第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済は、米国および欧州において景気の回復基調が継続し、中国をはじめとするアジアの新興国も政策効果などにより景気が回復に転じた結果、総じて緩やかに成長しました。
  国内経済は、個人消費が徐々に持ち直し、企業収益も年度後半の円高一巡や海外経済の緩やかな成長に伴い改善するなど、力強さはないものの成長が続きました。
  当社グループを取り巻く市場環境は、国内においては、需要の増加や在庫調整の進展などにより製造業の生産活動に復調の動きがみられましたが、設備投資は年度前半の円高進行による先行き懸念を受け伸び悩みました。海外においては、東アジア・東南アジアの水処理需要が引き続き増加しました。
  このようななか、当社グループは平成27年度からスタートした3ヵ年の中期経営計画「CK-17」(Competitive Kurita 2017)に基づき、海外事業の拡大と収益性の改善および競争力のある商品・サービスの創出に注力しました。
  海外事業の拡大については、米国での事業展開を加速するため、米国の水処理薬品の製造・販売会社であるフレモント・インダストリーズ,LLCを買収し、米国中西部に事業基盤を獲得しました。また、欧州・中東・アフリカ地域での経営効率を高めるため、クリタ・ヨーロッパGmbHとクリタ・ヨーロッパ APW GmbHを合併し、保有技術・ノウハウの融合と販売・生産体制の再編に取り組みました。さらに、海水淡水化と排水回収再利用に関する技術開発のスピードアップを図るとともに、最先端技術の情報収集とアジア地区顧客に対する技術PRのため、シンガポールに研究開発を行う新会社を設立することを決定しました。
  収益性の改善については、既存の技術・商品に、独自のセンシング技術・水処理データ解析ノウハウを組み合わせ、顧客に対する提案力の強化に努めました。また、高い付加価値を提供できる案件に集中して取り組むとともに生産業務におけるプロセスの見直しや標準化を進めたことにより、工事案件の採算性が改善しました。
  競争力のある商品・サービスの創出については、当社が保有する水処理装置と水処理薬品の要素技術を組み合わせた、水の再利用に貢献する標準型排水回収システム「CORR™システム(The Customized Optimal Ready-made Recycle System)」を開発しました。また、北米でIoTを活用したビッグデータ解析により商業施設・産業施設の節水に貢献するサービスを展開する米国ベンチャー企業のアパナInc.に出資し、同社との協業による新たなサービス事業の検討に着手しました。
  結果として、当期の受注高は218,730百万円(前年同期比1.1%減)、売上高は214,187百万円(前年同期比0.1%減)となりました。利益につきましては、営業利益は19,452百万円(前年同期比1.9%減)、経常利益は20,074百万円(前年同期比1.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は法人税率改正などにより税金費用負担が軽減されたことから14,506百万円(前年同期比15.3%増)となりました。

セグメント別の業績は次のとおりであります。

(水処理薬品事業)

CK-17計画において水処理薬品事業は、国内市場における収益基盤を再構築するとともに、海外市場におけるシェアを拡大し、日本・アジア・欧州・北南米地域での世界四極体制の構築を目指しています。
  国内では、IT・センシング技術の活用により収集したデータの解析結果に基づく提案活動を強化し、シェア拡大を図りました。海外においては、海外子会社の合併や企業買収のほか、成長市場であるベトナムおよびUAE(ドバイ)に現地法人を設立し、世界四極体制の整備を進めました。
  新商品としては、小型冷却塔の中に置くだけの簡易な処理で長期間に渡ってレジオネラ属菌の繁殖防止、汚れの付着低減および腐食抑制効果を発揮する固形カートリッジ型の冷却水薬品「カプセルゼロ™KS」、ならびにトンネルなどの地下インフラ建設工事で用いられる泥水式シールド工法において発生する泥水の脱水性能・ろ過速度を向上させることにより泥水処理コストを低減する脱水剤「ソイルフレッシュ®」の新シリーズを開発しました。また、平成26年度の欧州事業買収により獲得した水処理薬品「セタミン®」を改良し、日本の毒物および劇物取締法とPRTR制度の対象物質を含有しないボイラ向け皮膜性アミン防食剤「セタミン®JP」を上市しました。さらに、IT・センシング技術を活用した水処理管理サービス「テレマックNEO®」および「S.sensing®」の用途拡大、機能向上に取り組み、サービスのラインナップを増やし、提案の幅を広げました。
  受注高・売上高につきましては、国内では、顧客工場の操業度回復の動きがみられたことに加え、新商品・新サービスを活用した課題解決提案を強化したことにより、主力商品のボイラ薬品が増加に転じたほか、冷却水薬品、鉄鋼向けプロセス薬品が伸長し、受注高・売上高はともに増加しました。海外では、前連結会計年度から新規連結した欧州における買収事業の経営成績の連結対象期間が1ヵ月分増加したものの、円高の進行により海外子会社の受注高・売上高の円換算額が目減りし、受注高・売上高は減少しました。
  事業全体の利益につきましては、前連結会計年度に発生した欧州における買収事業の取得原価の当初配分額の見直しに伴う一時的な費用がなくなったことから増益となりました。
  この結果、水処理薬品事業全体の受注高は82,118百万円(前年同期比1.6%減)、売上高は81,883百万円(前年同期比2.1%減)、営業利益は7,231百万円(前年同期比11.8%増)となりました。

 

(水処理装置事業)

CK-17計画において水処理装置事業は、収益・コスト構造を見直し、将来にわたり安定収益を確保できる体制をつくりあげること、そして収益の柱となる新たなビジネスモデルを創出し、事業を持続的に成長させていくことを目指しています。

国内では、営業、生産(設計・工事など)、開発の連携を強化し、注力する産業分野・顧客の課題や要求レベルに合致した総合的な提案を強化するとともに、規格型装置・標準図面の整備および業務プロセスの見直しによる生産活動の効率化に取り組みました。海外では、日本本社、海外グループ会社間の連携強化、およびプロジェクトマネジャーによる工程・原価管理の強化を図りました。また、前期後半に韓国大手半導体メーカー向けに開始した第1期の超純水供給事業は、顧客工場の安定操業への貢献により信頼を獲得し、当期の第2期の受注につながり、韓国における事業拡大の基盤を整えました。
  新商品としては、食品産業廃棄物をメタン発酵してバイオガス発電を行う施設向けに、メタン発酵時に発生する高濃度窒素系廃液を高効率に処理する技術「連続一槽型ANAMMOXプロセス」を開発し、当社の湿式メタン発酵システムの競争力を向上しました。また、顧客の敷地内に当社資産の中小型純水装置を設置し、運転状況や処理水質をリアルタイムで遠隔監視する純水供給サービス「KWSS(Kurita Water Supply Service)」を開始しました。
  受注高・売上高につきましては、国内では、電子産業分野においては、メンテナンス・サービスの受注高は、前期に好調であった反動もあり減少しましたが、水処理装置の受注高は大型案件の受注により大幅に増加しました。また同分野向けの売上高は、メンテナンス・サービスは概ね横ばいでしたが、水処理装置は減少しました。一般産業分野においては、水処理装置の受注高は、前期の大型案件受注の反動があり減少しましたが、メンテナンス・サービスの受注高は民間工場向け、官公需向けともに増加しました。電力分野の受注高は、火力発電所向け排水処理装置や設備洗浄工事の大型案件の受注により大幅に増加し、土壌浄化の受注高も大型案件の受注があり増加しました。売上高は、電力向けの水処理装置は減少しましたが、その他の水処理装置、土壌浄化およびメンテナンス・サービスは増加しました。海外では、受注高は、前期の中国および台湾向けの大型案件の反動で減少しましたが、売上高は中国および韓国の電子産業向け大型案件を中心に増加しました。なお、超純水供給事業の国内および海外を合わせた売上高は、新たに契約した案件の収益計上がありましたが、契約期間満了や一部顧客との契約変更による影響があり、減少しました。
  事業全体の利益につきましては、水処理装置およびメンテナンス・サービスは、売上高増加と原価管理徹底による採算性改善があったものの、超純水供給事業の減収の影響を受け減益となりました。
  この結果、水処理装置事業全体の受注高は136,611百万円(前年同期比0.9%減)、売上高は132,304百万円(前年同期比1.2%増)、営業利益は12,220百万円(前年同期比8.6%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、65,438百万円となり、前連結会計年度末に比べ21,846百万円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動で得られた資金は、33,941百万円(前年同期比7,359百万円増)となりました。これは主に、税金等   調整前当期純利益20,465百万円、のれん償却を含む減価償却費15,857百万円、売上債権の減少額2,030百万円、仕入債務の増加額1,525百万円等で資金が増加したことに対し、その他の流動資産の増加額866百万円、法人税等の支払額6,893百万円等で資金が減少したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動で使用した資金は、1,119百万円(前年同期比32,053百万円減)となりました。これは主に、定期預金の預入・払戻による差引収入13,960百万円等で資金が増加したことに対し、超純水供給事業用設備等の有形固定資産の取得による支出10,156百万円、事業買収に伴う支出(買収資産に含まれる現金及び現金同等物控除後)4,506百万円等で資金を使用したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、10,154百万円(前年同期比4,447百万円増)となりました。これは主に、長期借入による収入2,329百万円で資金が増加したことに対し、配当金の支払額5,761百万円、自己株式の取得による支出5,195百万円及び短期借入金の純減額665百万円等で資金を使用したことによるものであります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

水処理薬品事業(百万円)

81,363

96.7

水処理装置事業(百万円)

132,828

100.9

          合計(百万円)

214,192

99.2

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

水処理薬品事業

82,118

98.4

3,793

106.6

水処理装置事業

136,611

99.1

56,783

108.2

合計

218,730

98.9

60,577

108.1

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

水処理薬品事業(百万円)

81,883

97.9

水処理装置事業(百万円)

132,304

101.2

          合計(百万円)

214,187

99.9

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

シャープ株式会社

23,097

10.8

 

当連結会計年度において外部顧客への販売実績が総販売実績の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社経営の基本方針

当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、企業ビジョン「水と環境の先進的マネジメント企業」の実現を目指して事業活動を展開しております。企業ビジョンの実現に向けた経営の指針として、①世界トップクラスの水・環境事業、②新しい事業の創出、③技術立社、④国内外グループ総力の発揮、⑤人材強化、⑥社会的責任の遂行の6つを掲げ、そのために経営者と社員全員が共有し大切にする5つの価値(公正・透明・誠実・安全・共生)を定めています。さらに、法令遵守と社会倫理に基づいた正しい行動を具体的に実践していくために、「グループ行動準則」を定め、事業活動を行っていく上での判断・行動の基本としています。

また、コーポレートガバナンスに関する方針を定め、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示に努め、説明責任を果たすことを通して、より透明性の高い経営の実現を目指しています。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、平成27年4月より3ヵ年の中期経営計画「CK-17」(Competitive Kurita 2017)を遂行中です。「勝てる人材、勝てるしくみ、勝てる商品」の実現を基本テーマとし、①競争力のある商品・サービスの創出、②新市場の開拓、③生産体制の最適化とグループネットワークの活用、に取り組んでいます。

競争力のある商品・サービスの創出に向けては、欧州・北米の買収事業も含めて、グローバルな研究開発体制の構築を進めます。また、IT・センシング技術を活用した商品・サービスの競争力強化とビジネスプロセスの変革を通じて顧客の課題解決に貢献する提案力・対応力を高め、顧客親密性の向上を図ります。

新市場の開拓においては、引き続きM&Aによる事業基盤の獲得を進めるほか、今年度出資した米国ベンチャー企業との提携関係を活用し、新たな節水事業モデルの創出と国内での市場開拓に挑戦します。

生産体制の最適化とグループネットワークの活用に対しては、買収した事業を含め、グループ全体で生産拠点、販売ネットワークの再編に取り組みます。また、ITを取り入れた生産業務プロセスの変革により、業務効率化とコストダウンを図ります。

 

(3) 対処すべき課題 

当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、企業ビジョン「水と環境の先進的マネジメント企業」の実現を目指して事業活動を展開しています。

3ヵ年の中期経営計画「CK-17」(Competitive Kurita 2017)の中間年度である平成28年度は、海外事業のさらなる拡大に向け、米国における企業買収、海外子会社の再編および新会社設立、韓国における超純水供給事業の展開により、事業基盤を整備・強化しました。また、IT・センシング技術の活用による商品・サービスの付加価値向上、工事案件の工程・原価管理の徹底による採算性向上など今後の収益性改善につながる成果を得ることができました。さらに、ESG(環境、社会、統治)課題への対応の一環として、当社グループの全ての役員・従業員が遵守すべき基本的な行動を定めた「クリタグループ行動準則」を制定しました。

当社グループのさらなる発展のためには、継続して事業の変革、事業基盤の整備、技術・商品開発などの取り組みを強化するとともに、顧客の信頼獲得を第一義とする事業の在り方を追求していくことが重要であると考えます。

CK-17計画の最終年度となる平成29年度は、「顧客に最良のソリューションを提供することにより顧客親密性を高める」を基本方針として、以下の課題を解決し新たな中期経営計画の土台を固めます。

※顧客親密性とは、単なる顧客との物理的、時間的な密着度ではなく、顧客にとって必要不可欠なパートナーとしての存在価値の大きさを意味しています。

  1) ビジネスプロセスの変革と総合ソリューション提案の推進

顧客に最良の価値を提供するビジネスプロセス(バリューチェーン)の変革により業務の品質と効率を向上させ、顧客課題の解決力強化と顧客対応スピードの改善を図ります。
  IT・センシング技術を活用した競争力のある商品・サービスを市場投入するとともに、マーケティングを強化し、水処理薬品、水処理装置、メンテナンス・サービスの技術・ノウハウを駆使した総合ソリューション提案を強力に推進します。

  2) 成長分野への集中投資と事業の再構築

海外市場を成長分野と位置付け、当社グループの経営資源を集中投下し、M&Aによる事業基盤の構築・整備、各地域の強みのある技術、商品、ソリューション、ビジネスモデルの相互供給により、海外事業の拡大を加速させます。
  水処理装置事業において、一層のサービス化を推進します。国内外超純水供給事業への投資の拡大、純水供給・排水回収分野でのサービス型ビジネスモデルの展開を図るとともに、エネルギー・インフラを中心とした成長市場でも、運転管理やメンテナンスのノウハウを活かした新たな契約ビジネスを創出します。
  水処理薬品事業においても、国内の営業・サービス体制を見直し、大規模から小規模顧客まで、各顧客のニーズに合わせた商品・サービスをスピーディーに提供していくことで事業の収益性を改善します。

  3) CSR活動の強化による企業価値の向上

当社グループは、持続可能な成長を目指し、長期的な視点で企業価値の増大を図ります。
  そのため、取締役会の実効性向上に継続して取り組み、株主・投資家をはじめとするステークホルダーとの対話に努め、透明性の高い経営を実行していきます。
  働き方改革を進め、従業員が公私両面において幸福、充足感を得られるようにし、優秀な人材の確保、モチベーションの向上・研鑽促進・能力発揮、組織としての対応力の向上等を通じて競争力を高め、収益向上につなげます。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループを取り巻く経営環境において、考えられる主な事業等のリスクは次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1) 経済、市場の状況

当社グループの水処理薬品事業、水処理装置事業は、当社グループが事業活動を行っている国内及び海外の国・地域の経済状況の影響を受けています。水処理薬品事業は主な需要先である鉄鋼、石油精製・石油化学、紙・パルプ産業等の工場操業度により需要が変動し、経営成績に影響を与える可能性があります。また、水処理装置事業は主な需要先である電子産業分野・一般産業分野の設備投資の動向により需要が変動し、経営成績に影響を与える可能性があります。
  なお、当社グループの事業分野における競合相手との競争激化による商品やサービスの価格下落等により、当社グループの収益性が低下する可能性があります。

 

(2) 資材調達に関する影響

当社グループは商品の製造や製作・建設等のために使用する原材料や部品を当社グループ外から調達しております。市況の変化により原材料や部品の価格は変動し、経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 海外事業展開に関わるリスク

当社グループは海外市場における事業拡大を図っております。これらの海外市場への事業展開にあたっては、国内とは異なる、予期しない法律又は規制の変更、政治・経済の混乱、為替の変動等のリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合は、経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 新商品開発

当社グループは継続して新技術の開発及び新商品の開発に取り組んでおります。新技術・新商品開発は不確実なものであり、顧客ニーズに合致した技術や優位性のある商品をタイムリーに提案できない可能性や、技術革新や顧客ニーズの変化に追随できない可能性があります。優位性のある新商品を開発できない場合は、将来の成長と収益性を低下させる等、経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 知的財産権

当社グループは知的財産権の重要性を認識し、国内及び海外において、知的財産の権利化、第三者が保有する知的財産権の侵害防止に継続して取り組んでおります。しかしながら、広範囲に事業を展開する中で、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、こうした場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 情報システム

当社グループの事業活動において、情報システムの利用とその重要性は増大しており、コンピュータウイルスその他の要因によってかかる情報システムの機能に支障が生じた場合は、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 大規模自然災害等

地震や台風等大規模な自然災害その他の事象により、当社グループの事業遂行に直接的又は間接的な混乱が生じた場合は、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(連結子会社による持分取得)

当社は、米国の水処理薬品の製造・販売会社であるフレモント・インダストリーズ, LLC(以下「フレモント社」という)の全持分を、平成28年11月30日に設立した当社の100%子会社であるクリタ・アメリカ・ホールディングスInc.を通じて取得する契約を平成28年12月19日に締結し、平成29年1月3日に全持分の取得が完了しております。

詳細は、「第5経理の状況  1  連結財務諸表」の(企業結合等関係)をご参照ください。

 

 (販売提携)

契約会社名

提携先

提携の内容

契約期間

当社

三菱化学株式会社

イオン交換樹脂「ダイヤイオン」の販売に関する代理権の取得

昭和51年4月1日から
平成30年11月30日まで

 

(注)三菱化学株式会社は、平成29年4月1日をもって三菱樹脂株式会社及び三菱レイヨン株式会社と合併し、商号
を「三菱ケミカル株式会社」に変更しております。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、ボイラ・冷却水処理技術、超純水製造技術、用排水処理技術、水回収技術、土壌・地下水浄化技術といった主力事業の強化に向けた技術開発に加え、当社技術を支える分析技術や解析技術、新素材開発等の基盤技術の深化に取り組んでいます。また、宇宙や海洋など新分野に関わる水処理など、新事業進出のための開発にも積極的に取り組んでいます。

今後も、永年培ってきた“水”の技術にさらに磨きをかけるとともに、企業ビジョン「水と環境の先進的マネジメント企業」の実現に向けて、環境負荷低減、資源循環、生産性向上の視点から、産業と社会のニーズに幅広く対応する商品・技術の開発に積極的に取り組んでいきます。また、新事業進出のための新しい水機能の研究開発も積極的に行っていきます。

研究開発は、主に当社の開発本部により推進されており、研究開発スタッフはグループ全体で約200名にのぼり、これは従業員総数の3.6%に当たっております。当連結会計年度の研究開発費の総額は5,038百万円(売上高比2.4%)であります。

当連結会計年度における各セグメント別の研究開発概要と主な成果及び研究開発費は、次のとおりであります。

(1) 水処理薬品事業

顧客の省エネルギー・環境負荷低減・生産性向上に貢献する水処理や環境改善、生産プロセス向けの薬品開発や、薬品処理効果の診断技術などの開発に取り組んでいます。

当連結会計年度における主な成果は次のとおりであります。

・国内外で増加している発電ボイラなどの中高圧ボイラ向けに、従来の脱酸素剤に替わる安全性の高い皮膜形成型の防食剤を開発しました。また、ボイラ設備の異常予兆を検知してトラブルを未然に防止する水処理管理支援システムを開発しました。

・小型冷却塔向けに、塔内に置くだけの簡易な処理で長期間に渡ってレジオネラ属菌繁殖防止や汚れの付着低減,腐食抑制効果を発揮する固形カートリッジ型の冷却水薬品を開発しました。

・トンネル等の地下インフラ建設工事で用いられる泥水式シールド工法において、発生する泥水の脱水性能・ろ過速度を向上させることで、泥水のトータル処理コストを低減する脱水剤を開発しました。

なお、当事業に係る研究開発費は2,123百万円であります。

 

(2) 水処理装置事業

電子産業などの生産性向上に寄与する超純水水質の更なる高度化への挑戦や、環境規制を先取りした排水処理の開発を推進しています。また、排水回収・再利用技術、汚泥減量技術などの循環型社会に対応した技術開発にも取り組んでいます。

当連結会計年度における主な成果は次のとおりであります。

・膜処理ユニット主体で構成される設計・施工が容易で省スペース・低コストの規格型排水回収システムを開発しました。独自の薬品処理技術を組み合わせることで安定稼働を実現する当社の薬品・装置技術の総合力を活かした商品です。

・液状の食品産業廃棄物をメタン発酵してバイオガス発電を行う施設向けに、メタン発酵時に発生する高濃度窒素系廃液を高効率に処理する技術を開発し、当社の湿式メタン発酵システム全体のコスト競争力を向上しました。

・超純水製造システムを構成する各種ユニット機器に用いられる膜や樹脂の品質・性能を向上し、最先端の半導体製造プロセスに要求される水質に対応可能な超純水製造技術のコスト競争力の強化を図りました。

なお、当事業に係る研究開発費は2,914百万円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

当連結会計年度末における流動資産は、155,930百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,384百万円増加しました。これは主に、売掛金が順調な回収により3,113百万円減少した一方で、現金及び預金と有価証券を合わせた手元資金が7,413百万円増加したことによるものであります。

固定資産は、143,318百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,243百万円減少しました。これは主に、有形固定資産が4,352百万円、投資その他の資産が998百万円それぞれ減少した一方で、無形固定資産が1,106百万円増加したことによるものであります。有形固定資産の減少は、主に超純水供給事業用設備等の減価償却費の計上額が設備投資額を上回ったことによるものであり、投資その他の資産の減少は、主に保有する株式の時価下落により投資有価証券の含み益が減少したことによるものであります。無形固定資産の増加は、主にのれん償却など無形固定資産償却費を2,609百万円計上したこと等により減少した一方で、当連結会計年度における米国フレモント・ インダストリーズ,LLCの買収に伴い、のれん2,096百万円と顧客関連資産等1,983百万円を計上したことによるものであります。

流動負債は、44,410百万円となり、前連結会計年度末に比べ3百万円の微増となりました。

固定負債は、26,080百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,345百万円増加しました。これは主に、固定負債のその他が海外連結子会社の長期借入金計上等により1,213百万円増加したことによるものであります。

純資産合計は、228,758百万円となり、前連結会計年度末に比べ206百万円減少しました。これは主に、株主資本が3,602百万円増加した一方で、その他の包括利益累計額が3,875百万円減少したことによるものであります。

株主資本の増加は、利益剰余金が前連結会計年度の期末配当金及び当連結会計年度の中間配当金の合計額5,693百万円を上回る親会社株主に帰属する当期純利益14,506百万円の計上等により8,797百万円増加した一方で、平成29年2月28日付取締役会決議による市場買付や取締役に対する業績連動型株式報酬制度導入に伴う取得等で自己株式が5,195百万円増加(純資産は減少)したことによるものであります。その他の包括利益累計額の減少は、主にその他有価証券評価差額金が投資有価証券の含み益減少に伴い1,269百万円、為替換算調整勘定が円高外国通貨安に伴い2,975百万円それぞれ減少したことによるものであります。

以上の結果、当連結会計年度末の資産合計並びに負債純資産合計は299,249百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,142百万円増加しました。また、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の1,961円30銭から1,991円91銭へと増加し、自己資本比率は76.4%から76.1%へと0.3%減少しました。

 

(2) 経営成績の分析

①売上高

売上高は、前連結会計年度に比べ185百万円減収の214,187百万円となりました。これは、水処理薬品事業が1,797百万円の減収、水処理装置事業が1,612百万円の増収となったことによるものであります。

セグメント別の状況は、1「業績等の概要」(1)業績において記載したとおりであります。

②営業費用、営業利益

売上原価は、前連結会計年度の143,964百万円から1,491百万円増加(前年同期比1.0%増)の145,455百万円となりました。

販売費及び一般管理費は、退職給付費用の減少等で、前連結会計年度の50,574百万円から1,294百万円減少(前年同期比2.6%減)の49,280百万円となりました。

以上の結果、営業利益は、前連結会計年度の19,833百万円から381百万円減少(前年同期比1.9%減)の19,452百万円となりました。セグメント別では、水処理薬品事業が前連結会計年度の6,467百万円から764百万円増加(前年同期比11.8%増)の7,231百万円、水処理装置事業が前連結会計年度の13,366百万円から1,146百万円減少(前年同期比8.6%減)の12,220百万円となりました。

③営業外損益、経常利益

営業外収益は、前連結会計年度の1,438百万円から当連結会計年度1,429百万円と減少となったものの、営業外費用も前連結会計年度の832百万円から807百万円と減少しました。

以上の結果、経常利益は、前連結会計年度の20,439百万円から365百万円減少(前年同期比1.8%減)の20,074百万円となりました。

④特別損益、税金等調整前当期純利益

特別利益は、前連結会計年度の固定資産売却益148百万円から、当連結会計年度投資有価証券売却益391百万円となり243百万円の増加となりました。特別損失は前連結会計年度に事業整理損176百万円がありましたが、当連結会計年度は計上がなく、176百万円減少しました。これにより特別損益は利益増となりました。

以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の20,411百万円から54百万円増加(前年同期比0.3%増)の20,465百万円となりました。

⑤法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益

法人税率の改正等により、法人税等合計は前連結会計年度の7,654百万円から当連結会計年度5,803百万円となり、1,851百万円減少(前年同期比24.2%減)しました。

非支配株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の180百万円から当連結会計年度155百万円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の12,577百万円から1,929百万円増加(前年同期比15.3%増)の14,506百万円となりました。また、1株当たり当期純利益金額は前連結会計年度の108.24円から125.23円へと増加しました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

「1  業績等の概要」の  (2)キャッシュ・フロー  に記載のとおりであります。