第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、本年度新たに定めた企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する“水と環境の独創的価値の創造者”」の実現を目指しております。また、昨年度CSRに関する方針として「水と環境の問題にソリューションを提供し、未来への責任を果たす」を定め、CSRを経営の中核に位置付け、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進していくものとしました。そして当社グループは、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標

当社グループは平成27年度から中期経営計画「CK-17」(Competitive Kurita 2017)に取組んで参りました。しかしながら、平成28年度に減収減益となるなど、当初の中期経営計画の達成には至りませんでした。
  「CK-17」計画では、「顧客に高い付加価値を提供するため、あらゆる仕事を基本から見直す」基本方針のもと、持続的な成長に向け「グループの総合力発揮」、「海外事業の拡大」および「収益性の改善」を目指し、高い専門性とコミュニケーション能力を有し主体的に行動する人材、顧客へスピーディに課題解決策を提供する仕組み、競争優位性の高い商品・サービスと先進的なマネジメントを体現するビジネスモデルの確立に注力いたしました。
  人材につきましては、様々なプログラムを実行し専門性の向上を図ったものの、課題解決に必要な専門性のレベルは一層高まりつつあり、今後も継続的に取り組む必要があります。仕組みにつきましては、IT戦略室の設置や顧客視点での組織改編など、顧客親密性の向上とソリューションの提供に向けた仕組みの変革に着手しましたが、既存のビジネスモデルからの脱却には至っておらず、さらなる取組みの強化と加速を図る必要があります。また、商品・サービス、ビジネスモデルの確立につきましては、水処理薬品事業、水処理装置事業それぞれにおいて競争力の高い商品・サービスを創出したものの、新たなビジネスモデルの創出と顧客視点でのソリューションの展開は道半ばであり、さらなる加速を図る必要があります。
  これらを踏まえ、当社グループは、中期経営計画の期間を従来の3カ年から5カ年へ変更し、本年度より新中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)をスタートさせました。「MVP-22」計画最終年度(平成34年度)の業績目標は次のとおりです。

 

売上高年平均成長率               3%以上(M&A等による上積みを除いた自律的成長分)

売上高営業利益率                 15%

自己資本当期純利益率(ROE)      10%以上

 

「MVP-22」では、「既成概念を壊し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高め、顧客親密性を最大化する」ことを基本方針として、「社会との共通価値の創造」、「ソリューション提供の高速化」、「収益性のさらなる向上」、「コーポレートガバナンスの強化」、「働き方・意識改革とICT活用」を目指し、以下の重点施策にスピードを上げて取組んで参ります。

 

(重点施策)

1)CSV(Creating Shared Value)ビジネスの展開

自然環境、産業、人々の生活に貢献する独創性の高い技術・商品・サービスで収益を拡大する。

2)総合ソリューションの拡充

水処理薬品、水処理装置、メンテナンスの技術・商品・サービスを駆使した総合ソリューションを顧客に迅速に展開する。

3)水処理装置事業の生産体制の再構築

生産体制・プロセスを抜本的に見直し、生産活動の品質とスピードを飛躍的に高める。

 

4)新事業の創出とイノベーション推進

既存の事業領域を拡大・拡充するとともに、新たな収益の柱となる事業領域を創出する。

5)研究開発の基盤強化と推進

技術立社としての強固な基盤を構築し、先進的な研究開発を推進する。

6)グループガバナンスの体制整備

グループ各社における内部統制の実効性を向上させる。

 

(3) 会社の対処すべき課題

「CK-17」計画においては、1、2年目の基本方針を「顧客に高い付加価値を提供するため、あらゆる仕事を基本から見直す」、当期の基本方針を「顧客に最良のソリューションを提供することにより顧客親密性を高める」として、海外事業の拡大、ビジネスプロセス変革による収益性の改善、ならびに新たな商品・サービスおよびビジネスモデルの創出に取り組みました。
  海外事業の拡大については、欧州・米国での水処理薬品事業の買収、海外事業会社の再編、ならびにシンガポールの研究開発拠点設立等により事業基盤を拡充し、3年間で海外売上高は倍増しました。収益性の改善については、ビジネスプロセス変革は途上であり、改善成果は十分とは言えませんが、原価管理の徹底および設計の標準化等により水処理装置事業の工事案件の採算性が改善しました。新たな商品・サービスおよびビジネスモデルの創出については、ソリューション推進部門を設置し、IT・センシング技術を活用した商品・サービスを展開しましたが、圧倒的な優位性を持つビジネスモデルへの転換には至っておりません。
  現状の当社グループの優先課題は、顧客親密性の向上および高収益体質への転換に向けて、ビジネスプロセスおよびビジネスモデルの変革のスピードを加速することと捉えています。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済、市場の状況

当社グループの水処理薬品事業、水処理装置事業は、当社グループが事業活動を行っている国内及び海外の国・地域の経済状況の影響を受けています。水処理薬品事業は主な需要先である鉄鋼、石油精製・石油化学、紙・パルプ産業等の工場操業度により需要が変動し、経営成績に影響を与える可能性があります。また、水処理装置事業は主な需要先である電子産業分野・一般産業分野の設備投資の動向により需要が変動し、経営成績に影響を与える可能性があります。
  なお、当社グループの事業分野における競合相手との競争激化による商品やサービスの価格下落等により、当社グループの収益性が低下する可能性があります。

 

(2) 資材調達に関する影響

当社グループは商品の製造や製作・建設等のために使用する原材料や部品を当社グループ外から調達しております。市況の変化により原材料や部品の価格は変動し、経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 海外事業展開に関わるリスク

当社グループは海外市場における事業拡大を図っております。これらの海外市場への事業展開にあたっては、国内とは異なる、予期しない法律又は規制の変更、政治・経済の混乱、為替の変動等のリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合は、経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 新商品開発

当社グループは継続して新技術の開発及び新商品の開発に取り組んでおります。新技術・新商品開発は不確実なものであり、顧客ニーズに合致した技術や優位性のある商品をタイムリーに提案できない可能性や、技術革新や顧客ニーズの変化に追随できない可能性があります。優位性のある新商品を開発できない場合は、将来の成長と収益性を低下させる等、経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 知的財産権

当社グループは知的財産権の重要性を認識し、国内及び海外において、知的財産の権利化、第三者が保有する知的財産権の侵害防止に継続して取り組んでおります。しかしながら、広範囲に事業を展開する中で、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、こうした場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 情報システム

当社グループの事業活動において、情報システムの利用とその重要性は増大しており、コンピュータウイルスその他の要因によってかかる情報システムの機能に支障が生じた場合は、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 大規模自然災害等

地震や台風等大規模な自然災害その他の事象により、当社グループの事業遂行に直接的又は間接的な混乱が生じた場合は、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、欧米景気の着実な回復と中国をはじめとするアジア諸国の景気の持ち直しにより、総じて堅調に推移しました。国内経済は、個人消費の持ち直しや海外経済の回復に伴う企業収益の改善により景気回復の動きが続きました。当社グループを取り巻く市場環境は、国内においては、輸出の回復や需要の持ち直しなどにより製造業の生産活動は回復基調が続き、設備投資も堅調に推移しました。海外においては、東アジアの電子産業を中心に設備投資が活発化しました。
  このようななか、当社グループは「顧客に最良のソリューションを提供することにより顧客親密性を高める」という基本方針のもと、海外事業基盤の拡充と収益性の改善に向けたサービス事業の開発に注力しました。
  海外事業基盤の拡充については、米国では、新たに当社グループの一員となったフレモント・インダストリーズ,LLCと既存の米国子会社であるクリタ・アメリカInc.とが協働し、シナジー発揮に向けた取り組みを進めました。欧州では、クリタ・ヨーロッパGmbHの紙・パルプ向けプロセス薬品の生産能力強化のため、フランスのAkzo Nobel社から生産拠点を取得しました。アジアでは、韓国におけるソリューション提供力強化に向けて持分法適用関連会社の(株)韓水の株式を追加取得し、連結子会社としました。サービス事業の開発については、当社が保有する水処理装置と水処理薬品の要素技術を組み合わせた、水の再利用に貢献する標準型排水回収システムを用いたビジネスモデルの開発に取り組みました。また、IT・センシング技術を活用した競争力のある商品・サービスの開発とその市場展開や、環境負荷低減、省エネルギー、生産性向上など顧客の課題解決に貢献する提案営業を継続的に推進しました。結果として、当連結会計年度の受注高は251,447百万円(前年同期比15.0%増)、売上高は236,815百万円(前年同期比10.6%増)となりました。利益につきましては、営業利益は22,475百万円(前年同期比15.5%増)、経常利益は22,104百万円(前年同期比10.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、17,897百万円(前年同期比23.4%増)となりました。なお、韓国の持分法適用関連会社の(株)韓水の株式を追加取得し、同社を連結子会社としたことに伴い、段階取得に係る差益2,443百万円を特別利益に計上しています。また、政策保有株式等の売却により投資有価証券売却益1,720百万円を特別利益に計上しています。
  セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(水処理薬品事業)

当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画「CK-17」において水処理薬品事業は、国内市場における収益基盤を再構築するとともに、海外市場におけるシェアを拡大し、日本・アジア・欧州・北南米地域での世界四極体制の構築を目指しました。国内では、当連結会計年度より水処理薬品事業部門と水処理装置事業のメンテナンス・サービス部門を一つの本部に集約し、両事業運営を融合した下で、顧客課題に対する総合的なソリューション提案を推進しました。また、経営効率の改善のため、一部販売子会社を統合しました。海外では、フランスの生産拠点取得、韓国の連結子会社化により四極体制の基盤を強化しました。また、当連結会計年度より海外の水処理薬品事業と水処理装置事業の本社機能を一つの本部に集約し、海外の事業運営の最適化を図るとともに、総合的なソリューション提案を推進しました。
  商品・サービスにつきましては、IT・センシング技術である「S.sensing®」を活用したサービス契約型ビジネスの提案を推進しました。また、処理効果の診断技術、および顧客の省エネルギー、環境負荷低減、生産性向上に貢献する水処理薬品の開発に取り組みました。
  受注高・売上高につきましては、国内では、顧客工場の操業度回復に加え、新商品・新サービスを活用した課題解決提案により新規の顧客開拓に努め、主力商品のボイラ薬品、冷却水薬品が増加しました。また、紙・パルプ向けプロセス薬品および鉄鋼向けプロセス薬品も伸長し、受注高・売上高はともに増加しました。海外では、各地域で増収となったことに加え、買収した米国子会社の経営成績を第1四半期連結会計期間から新規に連結したこと、第4四半期連結会計期間から韓国関連会社を連結子会社化したことにより、受注高・売上高ともに増加しました。事業全体の利益につきましては、増収による増益要因がありましたが、海外事業の積極展開による人件費増加やIT関連費用の増加により販売費および一般管理費が増加し、減益となりました。この結果、水処理薬品事業全体の受注高は90,358百万円(前年同期比10.0%増)、売上高は90,361百万円(前年同期比10.4%増)、営業利益は7,180百万円(前年同期比0.7%減)となりました。

(水処理装置事業)

「CK-17」計画において水処理装置事業は、収益・コスト構造を見直し、安定収益を確保できる体制を整備するとともに、収益の柱となる新たなビジネスモデルを創出し、事業の持続的成長を目指しました。
  国内では、顧客課題に対する総合的なソリューション提案を水処理薬品事業部門と連携し推進しました。また、半導体関連市場の好況による大型案件増加への対応と収益性向上のため、ITの活用および設計の標準化による生産プロセスの効率化に取り組みました。さらに、エネルギー市場分野を中心に、当社技術を活かした新たな事業・ビジネスモデルの創出に取り組みました。海外では、事業運営の最適化による収益性改善を狙い、台湾での現地法人設立および体制整備を行いました。商品・サービスにつきましては、国内では、純水供給サービス「KWSS(Kurita Water Supply Service)」を中心としたサービス契約型ビジネスの提案を推進しました。また、超純水供給事業においてIoT、AIを活用した運転管理の最適化に取り組みました。海外では、水の再利用に貢献する「冷却水ブロー水回収システム」の提案と標準型排水回収システム「CORR™システム(The Customized Optimal Ready-made Recycle System)」を用いたサービス契約型のビジネスモデルの確立に取り組みました。
  国内の受注高・売上高につきましては、電子産業分野においては、水処理装置は大型案件の受注と工事進捗により受注高・売上高ともに大幅に増加し、メンテナンス・サービスも、顧客工場の操業度上昇を背景とした増設、改造案件の受注により、受注高・売上高ともに増加しました。一般産業分野においては、水処理装置の受注高は減少しましたが、売上高は増加しました。メンテナンス・サービスの受注高は、顧客工場の設備更新や増設案件を中心に増加しましたが、売上高はやや減少しました。電力分野向け水処理装置の受注高は減少しましたが、売上高は増加しました。土壌浄化の受注高は横ばいとなりましたが、売上高は前連結会計年度の大型案件の売上計上の反動で減少しました。海外の受注高は、中国および韓国の大型案件の受注により大幅に増加し、売上高も当連結会計年度に受注した大型案件の工事進捗により増加しました。なお、超純水供給事業の売上高は、増設案件の収益計上があったものの、前連結会計年度における一部顧客との契約変更による減収もあり、減少しました。事業全体の利益につきましては、増収となったことに加え、工事案件の工程・原価管理の徹底により収益性が改善したことにより増益となりました。この結果、水処理装置事業全体の受注高は161,088百万円(前年同期比17.9%増)、売上高は146,453百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益は15,312百万円(前年同期比25.3%増)となりました。

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
  至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

水処理薬品事業(百万円)

90,088

+10.7

水処理装置事業(百万円)

145,811

+9.8

          合計(百万円)

235,899

+10.1

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

水処理薬品事業

90,358

+10.0

3,791

△0.1

水処理装置事業

161,088

+17.9

71,417

+25.8

合計

251,447

+15.0

75,209

+24.2

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
  至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

水処理薬品事業(百万円)

90,361

+10.4

水処理装置事業(百万円)

146,453

+10.7

          合計(百万円)

236,815

+10.6

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)財政状態の状況

① 総資産323,046百万円(前連結会計年度末比23,797百万円増加)

流動資産は162,004百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,074百万円増加しました。これは主に現金及び預金と有価証券を合わせた手元資金が12,264百万円減少した一方で、主に年度後半の水処理装置事業の増収に伴い売掛金が18,555百万円増加したことによるものであります。
  固定資産は161,042百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,724百万円増加しました。これは主に有形固定資産が11,992百万円、無形固定資産が5,695百万円それぞれ増加したことによるものであります。有形固定資産の増加は主に超純水供給事業(水処理装置事業)への設備投資によるもので、既存設備の減価償却費を大きく上回りました。また、無形固定資産の増加は韓国の持分法適用関連会社であった(株)韓水(水処理薬品事業)の株式追加取得により、のれんを5,155百万円、無形資産その他に含まれる顧客関連資産を733百万円それぞれ計上したことが主な要因であります。

② 負債82,193百万円(前連結会計年度末比11,703百万円増加)

流動負債は56,149百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,739百万円増加しました。これは主に買掛金が5,086百万円、未払金が2,976百万円それぞれ増加したことによるものであります。
  固定負債は26,044百万円となり、前連結会計年度末に比べ36百万円の微減となりました。

③ 純資産240,853百万円(前連結会計年度末比12,095百万円増加)

純資産は240,853百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,095百万円増加しました。これは主に株主資本が6,477百万円、その他の包括利益累計額が4,703百万円それぞれ増加したことによるものであります。株主資本の増加は主に利益剰余金が3,563百万円増加したことに加え、自己株式が2,948百万円減少(純資産の増加)したことによるものです。なお、経営環境に応じた機動的な資本政策の一環として当連結会計年度において自己株式の取得及び消却を実施しております。その他の包括利益累計額の増加は、円安外国通貨高に伴い為替換算調整勘定が3,600百万円増加したことや、保有する投資有価証券の含み益増加によりその他有価証券評価差額金が1,766百万円増加したことが主な要因であります。

 

当連結会計年度末における資産、負債をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額
(注)

連結財務諸表
計上額

水処理薬品
事業

水処理装置
事業

セグメント資産

95,589

158,631

254,220

68,826

323,046

セグメント負債

29,198

53,167

82,366

△172

82,193

 

(注)調整額は、次のとおりであります。

1.セグメント資産の主なものは、各報告セグメントに配分していない全社資産であります。全社資産の内訳は、前連結会計年度84,550百万円、当連結会計年度68,890百万円(預金、有価証券及び長期投資資金等)であります。

2.セグメント負債は、セグメント間債権債務消去に伴うものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は58,917百万円(前連結会計年度末比6,521百万円減少)となりました。
  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動で得られた資金は21,408百万円(前年同期比12,533百万円減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益25,535百万円、のれん償却を含む減価償却費16,861百万円等で資金が増加した一方、売上債権の増加額16,332百万円、法人税等の支払額6,170百万円等で資金が減少しました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動で使用した資金は15,928百万円(前年同期比14,809百万円増加)となりました。これは主に定期預金の預入・払戻による差引収入で5,787百万円資金が増加した一方、超純水供給事業用設備等の有形固定資産の取得による支出で17,924百万円、韓国の持分法適用関連会社であった(株)韓水の株式追加取得に伴い、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出で4,012百万円資金を使用したためです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動で使用した資金は12,419百万円(前年同期比2,265百万円増加)となりました。これは主に配当金の支払額で5,819百万円、自己株式の取得による支出で5,592百万円資金を使用したためです。

 

当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本とし、設備投資やその他成長分野への投資資金は自己資金を基本としつつも、必要に応じて銀行借入による調達を想定しております。なお、当連結会計年度末において、取引金融機関4社とコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高 - 百万円、借入未実行残高70,600百万円)。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得)

当社は、韓国の水処理薬品の製造、販売会社である(株)韓水の発行済株式の51.8%を平成29年11月30日付で、2.1%を平成30年3月30日付で取得しております。これにより同社に対する当社の出資比率は、従来の33.2%から87.1%となり、当社の連結子会社となっております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の(企業結合等関係)をご参照ください。

 

(販売提携)

契約会社名

提携先

提携の内容

契約期間

当社

三菱ケミカル株式会社

イオン交換樹脂「ダイヤイオン」の販売に関する代理権の取得

昭和51年4月1日から
平成30年11月30日まで

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、ボイラ・冷却水処理技術、超純水製造技術、用排水処理技術、水回収技術、土壌・地下水浄化技術といった主力事業の強化に向けた技術開発に加え、当社技術を支える分析技術や解析技術、新素材開発等の基盤技術の深耕に取り組んでいます。また、宇宙や海洋など新分野に関わる水処理など、新事業進出のための開発にも積極的に取り組んでいます。
  今後も、永年培ってきた“水”の技術にさらに磨きをかけるとともに、企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する水と環境の独創的価値の創造者」の実現に向けて、日本、ドイツ、シンガポールの開発拠点が連携して、産業と社会のニーズに幅広く対応する商品・技術の開発を積極的に進めてまいります。
  研究開発は、主に当社の開発本部により推進されており、研究開発スタッフはグループ全体で約180名にのぼり、これは従業員総数の3.0%に当たっております。当連結会計年度の研究開発費の総額は5,258百万円(売上高比2.2%)であります。
  当連結会計年度における各セグメント別の研究開発概要と主な成果及び研究開発費は、次のとおりであります。

(1) 水処理薬品事業

顧客の省エネルギー・環境負荷低減・生産性向上に貢献する水処理や環境改善、生産プロセス向けの薬品開発や、薬品処理効果の診断技術などの開発に取り組んでいます。

・シンガポールに設立したクリタR&DアジアPte.Ltd.を活用して、海外を対象市場とした海水淡水化、排水回収技術の開発を推進し、これらの造水施設の逆浸透膜(RO膜)の閉塞を低コストで防止できる技術を開発しました。

・国内外で強化される環境規制に対応するため、ドイツと日本の研究拠点が共同で検討し、低リン非亜鉛の冷却水処理薬品を開発しました。

・クリタ・ヨーロッパGmbHが保有する紙・パルプ向けプロセス薬品を、アジア地区のニーズに合わせた開発に取り組み、印刷工程におけるインク滲みを防止する薬品など、製品品質の向上に寄与する機能性薬品を開発し、全世界に展開する紙パルプ向けプロセス薬品のラインナップを充実させました。

なお、当事業に係る研究開発費は2,066百万円であります。

 

(2) 水処理装置事業

電子産業などの生産性向上に寄与する超純水水質の更なる高度化への挑戦や、環境規制を先取りした排水処理の開発を推進しています。また、排水回収・再利用技術、汚泥減量技術などの循環型社会に対応した技術開発にも取り組んでいます。

・製鉄所や発電所などでは、集中豪雨の増加に伴う一時的な処理ニーズや老朽化設備の修繕、更新需要に対応できる仮設レンタルビジネス提案を想定した可搬式高速凝集沈殿装置を開発しました。

・エネルギー分野の開発では、石炭火力発電所向けの安定運転とコスト競争力を向上させた生物処理によるセレン除去装置、LNG燃料を用いるGas Turbine Combined Cycle発電向けの膜処理式のコンパクトな用水処理装置など、今後のエネルギー源分散社会に貢献する技術を開発しました。

・ICT社会実現に向けて大きな需要が期待される半導体市場向けに、次世代の半導体材料の表面処理技術を世界的な半導体研究機関と共同で開発しました。

・IoT技術やAI技術を活用して、主に超純水供給事業用設備を最適制御する運転支援技術を開発しました。

なお、当事業に関わる研究開発費は3,192百万円であります。