文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する“水と環境の独創的価値の創造者”」の実現を目指し事業活動を展開しております。また、CSR(Corporate Social Responsibility)に関する方針として「水と環境の問題にソリューションを提供し、未来への責任を果たす」を定め、CSRを経営の中核に位置付け、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進しております。そして当社グループは、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
①中期経営計画
当社グループは、2018年4月より5カ年の中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)をスタートさせ、成長投資と収益性の改善に注力しております。MVP-22計画最終年度(2022年度)の業績目標は次のとおり設定しております。
売上高年平均成長率 3%以上(M&A等による上積みを除いた自律的成長分)
売上高事業利益率 15%※
親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 10%以上
※事業利益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の指標であります。なお、直近の事業年度を取り巻く環境および事業の展開状況を鑑み、2022年度の連結業績予想では、売上高事業利益率を11.7%としております。
MVP-22計画の策定に先立ち、当社グループの競争力の源泉(バリュープロポジション)を「顧客親密性」と特定しました。顧客親密性とは、単なる顧客との物理的、時間的な密着度ではなく、顧客にとっての必要不可欠なパートナーとしての存在価値の大きさを意味しております。誰よりも顧客を知り、顧客と共に課題解決に取り組むことで、長期的に強固な関係構築を目指していきます。MVP-22計画では「既成概念を壊し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高め、顧客親密性を最大化する」を基本方針として、「社会との共通価値の創造」、「ソリューション提供の高速化」、「収益性のさらなる向上」、「コーポレートガバナンスの強化」、「働き方・意識改革とICT活用」を目指し、次の重点施策にスピードを上げて取組んでおります。
水処理薬品事業では、ビジネスモデルの変革と海外事業基盤の強化を進め、収益性の向上を目指しております。水処理装置事業では、超純水供給事業で培った知見や技術力を、大型のEPC(プラント建設などにおける設計(Engineering)、資材調達(Procurement)、建設工事(Construction)の一連の工程を請け負う案件)を起点とするメンテナンスと運転管理の包括契約提案につなげ、収益性の向上を目指しております。
(重点施策)
・CSV(Creating Shared Value)ビジネスの展開
自然環境、産業、人々の生活に貢献する独創性の高い技術・商品・サービスで収益を拡大する。
・総合ソリューションの拡充
水処理薬品、水処理装置、メンテナンスの技術・商品・サービスを駆使した総合ソリューションを顧客に迅速に展開する。
・水処理装置事業の生産体制の再構築
生産体制・プロセスを抜本的に見直し、生産活動の品質とスピードを飛躍的に高める。
・新事業の創出とイノベーション推進
既存の事業領域を拡大・拡充するとともに、新たな収益の柱となる事業領域を創出する。
・研究開発の基盤強化と推進
技術立社としての強固な基盤を構築し、先進的な研究開発を推進する。
・グループガバナンスの体制整備
グループ各社における内部統制の実効性を向上させる。
②価値創造ストーリー
当社グループは、社会と共に持続的、長期的に成長していくための道筋をクリタグループの価値創造ストーリーとして言語化しました。併せて、MVP-22計画における戦略ストーリーを作成しました。当社グループの一人ひとりが価値創造ストーリーの担い手となることで、企業理念の実現を目指してまいります。
(クリタグループの価値創造ストーリー)
私たちクリタグループは、世界の様々な現場で日々変化する水の課題に対しソリューションを提供しております。
現場から得られる水に関する課題や情報は、私たちの知として集約、蓄積されます。私たちはこの知の活用により、お客様の真の課題を理解し、お客様と共有できる形での価値の予測とともに最適なソリューションを提供します。
私たちは、予測した価値の実現により、お客様と社会との共通価値を創造(Creating Shared Value:CSV)し、社会と産業を変えていきます。そして、創造した価値にふさわしい収益を得るとともに、お客様と社会からの信頼を基に更なる現場と新たな知を獲得していきます。
③気候変動問題への対応
当社グループは、気候変動問題を世界共通で取り組むべき喫緊の課題と捉えており、TCFD※提言に基づき、事業活動に伴って発生する温室効果ガス(GHG)の継続的な削減と、事業を通したお客様におけるGHG排出削減に取り組んでおります。
※気候変動関連の情報開示と金融機関の対応について検討するため金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」
(ガバナンス)
当社グループは、当社の取締役を委員長とするE&S(Environmental & Social)委員会を設置し、当社グループにおける気候変動問題への取り組みを統括しております。E&S委員会と各本部・関係会社・その他の委員会は取締役会の指示の下、連携して活動を推進しております。なお、気候変動問題への取り組み全般の監督を担う取締役会は、E&S委員会から原則として年2回の報告を受け、必要な施策を決定しております。
(戦略)
当社グループは、2種類のシナリオ(1.5℃および4℃)※に基づき、「発生可能性」と「影響度」の2軸でリスクと機会および事業への影響を評価し、当社グループの施策を策定しております。
※気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)が予測する、工業化以前の水準からの気温上昇が1.5℃となるシナリオおよび最も気温上昇が高いシナリオになります。
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分類 |
リスク・機会の内容 |
時間軸 |
当社グループの施策 |
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短期 |
中期 |
長期 |
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政策と法 |
・炭素税の導入や増加(リスク) ・GHG(温室効果ガス)排出量の多い製品やサービスへの規制(リスク) ・GHG排出量の少ないエネルギーへの転換を支援する政策インセンティブの普及(機会) |
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・デジタル技術の活用や設計等の見直しによる製品やサービスの低炭素化 ・代替燃料や再生可能エネルギーへの転換によるScope1および2の削減 ・バイオマス発電など、再生可能エネルギー関連事業の展開・拡大 |
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テクノロ ジー |
・GHG排出量の少ない製品やサービスへの転換が進む(リスク・機会) |
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市場 |
・化石燃料関連セクターからの需要減少(リスク) ・デジタルトランスフォーメーションの加速による電子産業の需要増加(機会) ・原料、エネルギーコストの高騰(リスク) |
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物理的な 影響 |
・サイクロンや洪水などによる工場停止や工期遅延の増加(リスク) ・冷却設備の稼働率増加(機会) |
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・水害対策など、自然災害に備えた事業継続体制の継続的強化 |
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資源効率 |
・効率的な生産や流通プロセスの普及(機会) ・水使用量の削減(機会) |
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・デジタル技術の活用や低動力技術の展開 ・バイオマス発電など、再生可能エネルギー関連事業の展開・拡大 |
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エネルギー源 |
・GHG排出量の少ないエネルギーの普及(機会) ・分散型エネルギー源への転換(機会) |
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製品と サービス |
・GHG排出量の少ない製品およびサービスの需要増加(機会) ・GHG排出削減に向けた多様な技術ニーズの増加(機会) |
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レジリエンス |
・燃料、水資源等の代替や多様化(リスク・機会) |
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※短期(1~3年)、中期(3~5年)、長期(5~20年)と設定しました。
(リスク管理)
当社グループに関わるリスクの監視およびマネジメントは、社長室長を担当役員として推進しております。社長室長は、「全社リスクマップ」に基づき、当社グループのリスクの分析・評価を定期的に行うとともに、継続的にリスクの監視を行うことで、その発生防止に努めております※。気候変動に関連するリスクは全社リスクマップに統合され、E&S委員会委員長を責任者として全社のリスク管理体制に基づきリスクの低減を推進しております。
※当社グループのリスクマネジメント体制については以下のリンク先をご参照ください。
https://www.kurita.co.jp/csr/csr_activity_risk/index.html
(指標と目標)
当社グループは、CSRに関する取り組みを推進するため、重点的に取り組む7つのテーマをグループ共通の「CSRに関する方針」に定めております。気候変動問題への取り組みとなるテーマ5においては、パリ協定に沿った取り組みとするため、従来の目標に加え、SBTi※1が示す手法に沿い、2019年度を基準年として2030年度にScope1、2およびScope3※2排出を27.5%削減し、2050年度にはScope1、2を100%削減する「Well-below 2℃水準(2℃を十分に下回る水準)」にて長期目標を新たに設定し、Scope1、2およびScope3の削減に取り組んでおります。
※1企業に対し、気候変動による世界の平均気温の上昇を、工業化以前と比べ2℃を十分に下回るレベルに抑えるという目標に向けて、科学的知見と整合した削減目標を設定することを推進するイニシアチブです。
※2Scope1: 事業活動に伴う直接排出量。
Scope2: 事業活動で使用した熱・エネルギーの製造段階における間接排出量。
Scope3: 事業活動に関連する他社からの間接排出量。
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CSRに関する方針の重点的に取り組むテーマ |
指標 |
長期目標 |
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2030年度 |
2050年度 |
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5.持続可能なエネルギー利用を実現する |
Scope1および2排出削減 (2019年度からの削減割合) |
27.5% |
100% |
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Scope3排出削減 (2019年度からの削減割合) |
27.5% |
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(3) 会社の対処すべき課題
当社は、企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する『水と環境の独創的価値の創造者』」の実現を目指し、2018年度よりMVP-22計画に取り組んでおります。MVP-22計画では、CSRを経営の中核に据え、社会との共通価値の創造に努めております。また、当社の競争力の源泉が「顧客親密性」であることを明確化し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高めたビジネスプロセスを実行することで、顧客に新たな価値を提供し、高い収益性と持続的な成長を実現することを目指しております。
MVP-22計画の4年目である当期は、新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済との両立の模索が各国で続き、さらにロシアがウクライナに侵攻するなど、不安定な情勢が続きました。原材料・物流・エネルギーコストの高騰、サプライチェーンの混乱、円安の進行など、外部環境の変化が激しい中で当社グループは、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた今後の事業の在り方を考え、ビジネスプロセスの変革とビジネスモデルの変容、総合ソリューションの展開、経営資源の最適活用と体質強化に注力しました。また、価値創造ストーリーの実現に向け、当社の取締役会として保有すべきスキルの再定義やグループの人材戦略の策定、事業ポートフォリオの管理方針の策定などに取り組みました。
これらを踏まえ、当社グループの対処すべき課題は、持続可能な社会の実現に向け、DX推進によるビジネスプロセスの変革とビジネスモデルの変容、および気候変動問題への対応を含む社会価値に寄与するソリューションモデルの創出と展開の加速、そしてグループの中長期成長に資する収益基盤の構築と捉えております。MVP-22計画の最終年度となる2022年度は、次の4つの重点施策に取り組んでまいります。
①社会との共通価値創造に寄与するソリューションの展開と有望市場への取り組み強化
社会との共通価値を創造するソリューションの展開を組織横断で強力に推進します。また、カーボンニュートラルの実現に寄与する脱炭素やサーキュラーエコノミー等の実現に向けた新たな技術およびソリューションの創出に取り組むとともに、CSVビジネスの展開を加速します。さらに今後も活況が見込まれる電子市場の顧客に対し、グループ全体でサービス事業を集中展開していきます。
②顧客提供価値の向上とビジネスプロセスの見直しによるコスト構造の変革
急激に変化する外部環境を踏まえ、顧客の安定操業および事業継続への寄与に重点を置き、商品・サービス・ソリューションを見直すなど顧客に提供する価値を向上していきます。また、生産能力向上およびコスト競争力強化を可能とするスタートアップ企業等との協業や、国・地域を横断して組成したチームによるグローバルでの調達先見直しなどのコストダウンに関する取り組みを強力に加速し、コスト構造を変革させます。さらにアフターコロナの働き方も視野に、拠点の在り方や仕事のやり方を抜本的に見直していきます。
③デジタルトランスフォーメーションの加速によるビジネスプロセスの変革とビジネスモデルの変容
デジタル技術やツールの活用を加速することによって、内務、開発、生産、営業の各機能が相互に連携し、顧客への価値提供を最大化するビジネスプロセスを確立するとともに、多様な現場接点で収集したデータを「水に関する知」として活用し、デジタルによる顧客接点の構築も含め、新たな顧客提供価値を生み出す体制を構築します。また、メタ・アクアプロジェクトによる設計の自動化や最適化、水処理装置の運転効率化と最適化、データインフラの構築を推進していきます。
④グループの中長期成長に資する基盤の構築
持続的な企業価値向上と高収益性体質への変容に向け、低収益性事業の再生や継続可否の精査を加速し、事業ポートフォリオの最適化を図ります。また、2022年4月に新たな研究開発拠点としてKurita Innovation Hub(クリタイノベーションハブ)を開所しました。「社内外の多様な人々が集い、つながる、技術革新・社会変革の中心地(ハブ)」として、様々なステークホルダーとの交流・協働を通じてイノベーション創出の加速を目指します。また、ダイバーシティへの取り組みを強化し、人材の多様性とエンゲージメントの高い組織づくりに注力していきます。
当社グループに係るリスクについては、社長室長をリスク管理およびリスクマネジメント推進の担当役員として定め、当社およびグループ会社のリスクの分析・評価を定期的に行うとともに監視を継続し、その発生防止に努めております。なお、気候変動に関するリスクも統合して管理しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 新型コロナウイルス感染拡大の影響
世界的に拡大した新型コロナウイルスの感染は各国でワクチン接種が進むものの、度々コロナウイルスが変異し新規感染者の増減を繰り返しており収束していません。感染拡大および医療崩壊を防止するため、各国・地域において外出自粛や飲食業を中心に営業自粛・時短営業の要請などの措置が断続的に取られることが想定されます。感染収束時期や世界経済の先行きが不透明な状況にあることから顧客工場の稼働率低下や設備投資の延期、当社グループの事業活動の遅延などで当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは、事業所、現場等へ行かずに、事業継続に必要な業務を行えるようデジタル技術を活用したリモートによる業務プロセスへの変革や事業継続を観点とした製造拠点のバックアップ体制の構築を進めるとともに、新型コロナウイルス対策ガイドラインを定め、感染拡大防止策を講じたうえで、顧客の事業継続や社会と産業のインフラ維持に貢献する業務を継続しております。
(2) 海外事業展開に係るリスク
当社グループは海外市場における事業拡大を図っております。これらの海外市場への事業展開にあたっては、国内とは異なる、予期しない法律又は規制の変更、政治・経済の混乱、紛争・テロ等のリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループの事業展開地域においては、外務省やコンサルタントからの治安等の情報入手、現地の弁護士、会計士等の専門家の活用による法律・規制に関する確認等を実施しております。また、海外への出張者に対しては海外出張ガイドブックによる安全管理教育を実施し、海外駐在員に対しては医療・トラブル時の支援サービス、安全に関する情報を提供し役員・従業員の安全確保に努めております。また、米中貿易摩擦、ロシアのウクライナ侵攻等による規制・制裁強化の影響やそれに伴う景気悪化等の間接的な影響も考えられます。
(3) 大規模自然災害等
大規模自然災害等により当社グループの事業遂行に直接的または間接的な混乱が生じた場合は、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、当社グループでは、地震、台風、集中豪雨等大規模な自然災害その他の事象を想定したクリタグループBCM(事業継続マネジメント)方針を定め、事業継続計画の策定、当社グループの各拠点および役員・従業員の自宅の水害リスク調査と対策実施、安否確認システムの構築、建物の耐震化、防災用物資の備蓄、役員および従業員を対象とした災害対応訓練等を行っております。
(4) 経済、市場の状況
当社グループは事業活動を行っている国内および海外の国・地域の経済状況の影響を受けております。水処理薬品事業は、主な需要先である鉄鋼、石油精製・石油化学、紙・パルプ産業等の工場操業度により需要が変動し、経営成績に影響を与える可能性があります。また、水処理装置事業は、主な需要先である製造業の設備投資の動向、超純水供給契約を締結する顧客の経営状況により需要が変動し、経営成績に影響を与える可能性があります。さらに米中貿易摩擦の加速により制裁関税措置や自国内での相手国企業の活動制限等が強化された場合は、関係する当社顧客の経営状況に影響し、間接的に当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。気候変動問題対応による顧客の化石燃料関連事業の縮小・撤退、燃料や水資源等の代替、当社設備および当社製品等から排出されるCO2に対する炭素税の導入や増加などにより経営成績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループは、水と環境に関わる課題にソリューションを提供していることから幅広い業種に多くの顧客を持ち、また、顧客の投資活動の波による当社グループの業績への影響を軽減できる超純水供給事業等のビジネスモデルを展開し、安定した収益の確保に努めております。さらに、当社は、関係会社の月次・四半期での業績や方針・施策の展開状況の確認、および内部監査や財務報告に係る内部統制のモニタリングを行うとともに、当社の決裁・審査規程に基づき関係会社における重要事項を当社が決定するなど、関係会社の事業管理に努めております。また、当社グループの事業分野における競合相手との競争激化による商品やサービスの価格下落等により、当社グループの収益性が低下する可能性がありますが、当社グループは(7)に記載のとおり競争優位性の確保に努めております。
(5) 為替変動
当社グループは、海外での企業買収などにより海外売上比率は44.7%になっております。
各海外子会社の現地通貨建の財務諸表は、円換算後に連結財務諸表に反映されております。従って、現地通貨と日本円との為替レートの変動が当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。なお、当社グループは、為替リスクをヘッジする目的で為替予約、通貨スワップ契約等のデリバティブを利用することがあります。
(6) 資材調達に関する影響、原材料・資材・エネルギーコストの高騰およびサプライチェーンの混乱
当社グループは製品の製造や製作・建設等のために使用する原材料や部品を当社グループ外から調達しております。また、様々な業務を行ううえで必要な役務サービスを当社グループ外から調達しております。これら調達については、クリタグループ行動準則に基づく人権への配慮に加え、クリタグループ調達方針を定め、法令を遵守し、経済・社会・環境に配慮した調達活動を行っておりますが、市況の変化により原材料、部品および役務の価格は変動し、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染拡大やロシアのウクライナ侵攻により、水処理薬品の原材料や水処理装置の資材の高騰、エネルギーコスト高騰による物流コストの増加、サプライチェーンの混乱が顕在化しており、販売価格への転嫁、在庫の確保などに努めています。
(7) 新技術・新商品・新サービスの開発、ビジネスプロセスの変革
当社グループは、従来に比べCO2排出削減、節水、廃棄物削減に大きく貢献するCSVビジネスをはじめ、新技術・新商品・新サービス等の開発により、薬品、装置、メンテナンスの技術・商品・サービスを駆使した総合ソリューションの拡充に取り組んでおります。また近年ではデジタル戦略本部を設置し、新商品・新サービスへのIoTやAIの活用、ビジネスプロセスのデジタル化などデジタルトランスフォーメーションに積極的に取り組んでおります。これらの開発・変革は不確実なものであり、顧客ニーズに合致した技術や優位性のある商品・サービス・ソリューションモデルをタイムリーに提案できない可能性や、技術革新や顧客ニーズの変化、デジタル技術の進化に追随できない可能性があります。優位性のある新商品・サービス・ソリューションモデルを開発できない場合やデジタルトランスフォーメーションの取り組みが遅延した場合、そして事業を通した顧客における温室効果ガス排出削減の取り組みが停滞した場合は、将来の成長と収益性を低下させる等、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(8) 固定資産の減損損失
①のれん及び無形資産の減損損失
当社グループは、海外事業の基盤獲得や競争力のある技術や事業モデル獲得のため、企業買収を実施し、結果として「のれん」の残高は62,992百万円(連結総資産の13.4%)となっております。「のれん」は償却を行わず、毎年又は減損の兆候が存在する場合はその都度、減損テストを実施しております。事業環境の変化等により買収が期待どおりの効果を得られない場合や減損テストにおける将来獲得キャッシュ・フローの見積りと実績に差異が発生した場合は、「のれん」等の減損損失が発生します。減損テストを実施するにあたり、回収可能価額は使用価値により測定しております。使用価値は将来キャッシュ・フローを資金生成単位の加重平均資本コストを参考に決定した割引率で割り引いて算定しております。将来キャッシュ・フローの予測期間は5年であり、過去の経験と外部の情報を反映して作成され、経営陣によって承認された事業計画を基礎としております。5年を超える期間については、資金生成単位が属する市場の状況を勘案して決定した長期平均成長率をもとに算定しております。5年のキャッシュ・フロー見積額、その後の期間の成長率および割引率を主要な仮定として使用しており、これら仮定の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、当社は、当社グループの投融資に関する審査機能を強化するため、経営管理本部副本部長を委員長とする投資委員会を設置しております。同委員会は取締役会や経営会議に付議する投融資案件について、事業計画・投資金額・リスク評価の妥当性、採算性、競争優位性、適法性などの観点から審査を実施し、審査結果や主要論点を取締役会および経営会議に報告することで、当社は十分な検討、議論を経て企業買収の実施を決定しております。また、買収後は(4)に記載の関係会社の事業管理を行っております。
②有形固定資産の減損損失
当社グループは、主に超純水供給事業等で顧客工場に事業用設備を設置しております。顧客の事業撤退や工場の休止に伴い固定資産の減損損失が発生する場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、これらの投資決定にあたっては、顧客の事業状況、顧客との契約条件および投資対効果などを慎重に検討しております。
(9) 不採算工事発生によるリスク
水処理装置事業における水処理設備において、顧客との契約時に設定する原水条件等の当社グループ側での不備や、設計・施工における過失等に起因する製品・サービスの欠陥や事故による追加原価の発生、またはそれにより顧客へ損害が生じた場合の損害補償の発生の可能性があります。当社グループでは、設計・施工要領書に基づく設計・施工の徹底をしており、工事予算交付前にエンジニアリングレビューという会議体を設置し、その場にて工事単位ごとに品質・コスト・納期・安全・環境等に関する設計の妥当性を確認しております。また受注後から引渡しまで毎月ビジネスプロセスレビューという会議体において、工事進捗度の確認、工事単位ごとの収支管理を行い、工事原価総額の見積りにおいても最新の情報に基づいた見積りを行っております。海外のグループ会社でも同様の取組みを実施しており、大型工事については当社より設計や工程管理に関する支援を行っております。このように、問題情報データの共有等により不適合の未然防止を図っております。
(10)法令・コンプライアンス
当社グループの役員・従業員が法令を遵守できなかった場合や社会倫理に反する行動を起こした場合は、事業活動の制約、罰金、社会的信用の失墜等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。なお、当社グループは、当社取締役を委員長とするE&S(Environmental&Social)委員会およびグループ会社の代表者を委員とするグループE&S委員会を設置し、コンプライアンス活動を単に遵法活動と捉えるのではなく、社会倫理に基づいた行動を全ての企業活動の前提として徹底していくための活動として位置付け、推進しております。
(11)製品・サービスの品質および水処理設備のオペレーションエラー
顧客または当社グループの水処理設備のオペレーションにおける人為的なエラー等により基準に満たない処理水を供給または排出することで損害賠償の発生や社会的信用の失墜につながる可能性があります。賠償責任保険の適用を超えるような責任が発生した場合や社会的信用が失墜した場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループは(9)で記載したように品質マネジメントシステムを構築し、顧客満足向上のため、継続的な改善活動に取り組んでおります。
(12)知的財産権
広範囲に事業を展開する中で、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、こうした場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性がありますが、当社グループは知的財産権の重要性を認識し、国内および海外において、知的財産の権利化、第三者が保有する知的財産権の侵害防止に継続して取り組んでおります。
(13)情報システムのセキュリティ
当社グループの事業活動において、情報システムの利用とその重要性は増大しており、コンピュータウイルスその他の要因によってかかる情報システムの機能に支障が生じた場合は、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、当社グループは情報システム管理方針を定め、ウイルスチェックソフト導入、標的型攻撃メール訓練等の役員・従業員への情報セキュリティ教育や啓発の実施によりコンピュータウイルス対策を強化しております。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要な会計方針」、「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
(2) 経営成績
当期における世界経済は、新型コロナウイルス変異株の感染拡大による行動制限や物流混乱の影響により回復の勢いが弱くなることもありましたが、各国の景気対策やワクチン接種の普及により経済活動が正常化に向かったことで持ち直しの動きがみられました。
当社グループを取り巻く市場環境は、国内においては、製造業の生産活動は半導体不足など原材料の供給制約により一部に弱さがみられましたが、回復傾向が続き設備投資も持ち直しの動きがみられました。海外においては、欧米および中国の景気は緩やかな回復が続きましたが、アジアの一部は新型コロナウイルス感染の再拡大の影響により景気の回復に弱さがみられました。
このような中、当社グループは、中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)の4年目である当期において、顧客にとって長期的に必要不可欠なパートナーとなることを目指し、社会や顧客の課題に対する深い理解に基づいた節水やCO2排出削減、廃棄物削減といった環境負荷低減、生産性の向上など顧客の課題解決に貢献する総合ソリューションやCSVビジネスの拡大に注力しました。また、収益性の改善に向けて、高収益事業である超純水供給事業や精密洗浄事業では、顧客の生産能力拡大への対応や新規案件の開拓に取り組み成果を上げ、水処理装置の設計、施工プロセスにおいては、不適合再発・未然防止モデルの活用により追加コストの発生抑制を図りました。海外では、世界各地域における事業ポートフォリオや生産販売体制の見直しにより、高収益事業の拡大を進めるとともに、外部環境に左右されにくい事業体制の構築に取り組みました。また、中東のクリタ・アクアケミーLtd.とその子会社2社およびカナダのキーテック・ウォーター・マネジメントを連結子会社化し、経営成績を新規に連結しております。
これらの結果、当連結会計年度の受注高は315,240百万円(前年同期比20.2%増)、売上高は288,207百万円(前年同期比7.6%増)となりました。利益につきましては、事業利益は32,944百万円(前年同期比11.8%増)、営業利益は35,734百万円(前年同期比13.3%増)、税引前利益は30,079百万円(前年同期比3.2%増)となりましたが、米国のペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の非支配株主と締結した先渡契約に係る負債の事後測定により金融費用5,496百万円を計上したことから、親会社の所有者に帰属する当期利益は18,471百万円(前年同期比3.2%減)となりました。なお、当連結会計年度においては、その他の収益6,119百万円、その他の費用3,329百万円を計上しております。その他の収益には、主に旧本社(新宿)と大阪支社の不動産を売却したことによる固定資産売却益4,079百万円が含まれております。一方、その他の費用には固定資産の減損損失1,028百万円が含まれております。固定資産の減損損失は、主に当社の国内水処理装置事業の製造拠点再編に伴う山口事業所閉鎖や中国における水処理薬品の生産体制見直しによる栗田水処理新材料(江陰)有限公司(水処理薬品事業)の工場稼働停止決定に伴い発生したものであります。
(水処理薬品事業)
受注高・売上高につきましては、国内では、製造業の生産活動回復の動きを受け、顧客の工場稼働率が上昇し増加しました。海外では、前期の新型コロナウイルス感染拡大による経済活動停滞に伴う需要減少の反動増に加え、第1四半期連結会計期間に買収した中東およびカナダの子会社の経営成績を新規に連結したことや円安が進んだことに伴う海外子会社の円換算額の増加もあり、受注高・売上高はともに増加しました。これらの結果、当社グループの水処理薬品事業全体の受注高は118,401百万円(前年同期比14.3%増)、売上高は117,672百万円(前年同期比14.0%増)となりました。利益につきましては、営業活動の通常状態への回復が進んだことに伴う経費の増加や原材料価格高騰の影響がありましたが、売上高が増加したことにより、事業利益は13,589百万円(前年同期比10.6%増)となり、営業利益は海外子会社での為替差益計上もあり、14,560百万円(前年同期比23.2%増)となりました。
(水処理装置事業)
国内では、電子産業分野向けの水処理装置の受注高は大型案件の受注により大幅に増加し、売上高も大型案件の工事進捗により増加しました。同分野向けのメンテナンス・サービスの受注高・売上高は、顧客の工場稼働率が堅調に推移したことを背景とした増設および消耗品交換などの修繕案件により、増加しました。一般産業分野向けの水処理装置は、受注高が大型案件の受注取消により大幅に減少し、売上高も大型案件の売上計上が一巡し減少しました。同分野向けのメンテナンス・サービスの受注高は、採算性を重視した営業活動により減少しましたが、売上高は顧客の工場稼働率の回復を背景に需要が伸長し、増加しました。電力分野向け水処理装置は、大型案件の受注の減少と受注残からの売上計上の一巡により、受注高・売上高ともに減少しました。土壌浄化の受注高は増加しましたが、売上高は大型案件の売上計上が一巡し、減少しました。海外では、東アジアの電子産業向けの水処理装置の大型案件の受注・売上計上があったことに加え、精密洗浄の需要が伸長したことにより、受注高・売上高ともに増加しました。なお、超純水供給事業の国内および海外を合わせた売上高は、前期に開始した契約案件に加え、新規稼働した案件の売上貢献により増収となりました。
これらの結果、当社グループの水処理装置事業全体の受注高は196,839百万円(前年同期比24.0%増)、売上高は170,534百万円(前年同期比3.7%増)となりました。利益につきましては、主に原価低減など収益性改善に努めた結果、事業利益は19,391百万円(前年同期比13.2%増)となり、営業利益は前期にその他の収益に計上した超純水供給事業における一部顧客との契約の解除に伴う清算益2,066百万円がなくなったものの、21,169百万円(前年同期比7.8%増)となりました。
生産、受注および販売の実績は、以下のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
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水処理薬品事業(百万円) |
119,951 |
117.3 |
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水処理装置事業(百万円) |
170,819 |
103.4 |
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合計(百万円) |
290,770 |
108.7 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
②受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
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水処理薬品事業 |
118,401 |
114.3 |
5,459 |
114.5 |
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水処理装置事業 |
196,839 |
124.0 |
83,542 |
146.6 |
|
合計 |
315,240 |
120.2 |
89,001 |
144.1 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
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水処理薬品事業(百万円) |
117,672 |
114.0 |
|
水処理装置事業(百万円) |
170,534 |
103.7 |
|
合計(百万円) |
288,207 |
107.6 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(3) 財政状態
①資産合計 469,981百万円(前連結会計年度末比45,053百万円増加)
流動資産は178,396百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,914百万円増加しました。これは主に有形固定資産の取得による支出や法人所得税の支払等により現金及び現金同等物が16,498百万円減少したものの、増収影響により営業債権及びその他の債権が11,147百万円増加したことに加え、その他の流動資産、棚卸資産がそれぞれ3,784百万円、3,221百万円増加したためであります。
非流動資産は291,585百万円となり、前連結会計年度末に比べ43,140百万円増加しました。有形固定資産の増加(43,431百万円)は、主に当社が2022年4月に東京都昭島市で新たな研究開発拠点Kurita Innovation Hub(クリタイノベーションハブ)を開設したことや超純水供給事業 (水処理装置事業)に係る設備の新規取得によるものであります。のれんの増加(7,396百万円)は、海外子会社で計上しているのれんの円換算額が円安により増加したことに加えて、第1四半期連結会計期間より中東のクリタ・アクアケミーLtd.(水処理薬品事業)の株式51%分を取得し、その100%子会社2社も含めて連結子会社化したこと、およびカナダのキーテック・ウォーター・マネジメント(水処理薬品事業)を買収し、連結子会社化したことによるものであります。その他の金融資産の減少(10,552百万円)および繰延税金資産の増加(2,872百万円)は、主に政策保有株式の一部を売却したためであります。
②負債合計 192,119百万円(前連結会計年度末比25,029百万円増加)
流動負債は113,927百万円となり、前連結会計年度末に比べ38,975百万円増加しました。これは主にその他の金融負債、営業債務及びその他の債務、社債及び借入金がそれぞれ19,613百万円、11,461百万円、7,735百万円増加したためであります。その他の金融負債は、米国のペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(水処理装置事業)の非支配株主と締結した先渡契約に係る負債を事後測定したことに加え、非流動負債から振り替えた結果、増加しました。
非流動負債は78,191百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,946百万円減少しました。これは主に前述した先渡契約に係る負債を流動負債へ振り替えたことで、その他の金融負債が11,946百万円減少したためであります。
③資本合計 277,862百万円(前連結会計年度末比20,025百万円増加)
主に親会社の所有者に帰属する当期利益の計上などにより利益剰余金が15,935百万円、円安外国通貨高に伴う在外営業活動体の換算差額の計上などによりその他の資本の構成要素が3,661百万円それぞれ増加したためであります。
当連結会計年度末における資産をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
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(単位:百万円) |
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報告セグメント |
調整額 (注) |
連結財務諸表 計上額 |
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水処理薬品事業 |
水処理装置事業 |
計 |
|||
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セグメント資産 |
148,267 |
274,119 |
422,386 |
47,595 |
469,981 |
(注)主なものは各報告セグメントに配分していない全社資産であります。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は45,730百万円(前連結会計年度末比16,497百万円減少)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は28,737百万円(前年同期比11,265百万円減少)となりました。これは主に税引前利益30,079百万円、減価償却費及び償却費23,412百万円などで資金が増加したものの、法人所得税の支払額13,308百万円、営業債権及びその他の債権の増減額6,713百万円などで資金が減少したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動で使用した資金は39,929百万円(前年同期比29,158百万円増加)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入で9,197百万円、有形固定資産の売却による収入で8,743百万円の資金を得た一方で、有形固定資産の取得による支出55,096百万円などで資金を使用したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動で使用した資金は7,927百万円(前年同期比10,925百万円減少)となりました。これは主に短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの純増減額で7,577百万円の資金を得た一方で、配当金の支払額8,797百万円、リース負債の返済による支出5,005百万円などで資金を使用したためであります。
当社グループは事業運営上必要な流動性確保と安定した資金調達体制の確立を基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本とし、設備投資やその他成長分野への投資資金は自己資金を基本としつつも、必要に応じて債券市場での調達や銀行借入を想定しております。なお、当連結会計年度末において、取引金融機関1社とコミットメント・ライン契約を締結しております(借入実行残高 -百万円、借入未実行残高 20,000百万円)。
(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画「MVP-22」に対する達成状況については、以下のとおりであります。
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2021年3月期実績 |
2022年3月期実績 |
2023年3月期目標 |
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売上高年平均成長率 (M&A等による上積みを除いた自律的成長分) |
△1.1% |
0.2% |
3%以上 |
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売上高事業利益率 |
11.0% |
11.4% |
15% |
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親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) |
7.7% |
7.0% |
10%以上 |
(1) 固定資産の譲渡
① 当社は、2022年2月28日開催の取締役会において、固定資産の譲渡を行うことを決議し、2022年3月22日に不動産売買契約を締結し、2022年3月22日に譲渡が完了いたしました。
(i) 譲渡の理由
経営資源の有効活用による資産の効率化を図るため、以下の固定資産を譲渡することといたしました。
(ⅱ)譲渡資産の内容
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資産の内容及び所在地 |
譲渡価額 |
帳簿価額 |
譲渡益 |
現況 |
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賃貸等不動産 土地:1,414.89㎡ (東京都新宿区西新宿3丁目4-7) |
(※1) |
(※1) |
2,894百万円 |
賃貸等不動産 |
※1 譲渡価額、帳簿価額は、譲渡先の意向により開示を控えさせていただきますが、市場価格を反映した適正な価格での譲渡となります。
(ⅲ)譲渡先の概要
譲渡先との取り決めにより開示を控えさせていただきます。なお、譲渡先と当社との間には、資本関係、人的関係及び関連当事者として特記すべき事項はございません。
(ⅳ)譲渡の日程
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(1)取締役会決議日 |
2022年2月28日 |
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(2)契約締結日 |
2022年3月22日 |
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(3)物件引渡日 |
2022年3月22日 |
(ⅴ)当該事象の損益に与える影響額
当該事象により、2022年3月期第4四半期において、固定資産売却益2,894百万円をその他の収益として計上いたしました。
② 当社は、2021年10月29日開催の取締役会において、固定資産の譲渡を行うことを決議し、2021年12月16日に不動産売買契約を締結し、2022年3月31日に譲渡が完了いたしました。
(i) 譲渡の理由
施設老朽化に伴い、従業員の安全確保や事業継続の観点からより条件の良い立地、施設に移転するため、以下の固定資産を譲渡することといたしました。
(ⅱ)譲渡資産の内容
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資産の内容及び所在地 |
譲渡価額 |
帳簿価額 |
譲渡益 |
現況 |
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大阪支社 土地:703.52㎡のうち共有持分2分の1 建物:3,068.41㎡(延床面積) (大阪府大阪市中央区北浜2丁目2-22) |
(※1) |
(※1) |
1,079百万円 |
支社 |
※1 譲渡価額、帳簿価額は、譲渡先の意向により開示を控えさせていただきますが、市場価格を反映した適正な価格での譲渡となります。
(ⅲ)譲渡先の概要
譲渡先との取り決めにより開示を控えさせていただきます。なお、譲渡先と当社との間には、資本関係、人的関係及び関連当事者として特記すべき事項はございません。
(ⅳ)譲渡の日程
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(1)取締役会決議日 |
2021年10月29日 |
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(2)契約締結日 |
2021年12月16日 |
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(3)物件引渡日 |
2022年3月31日 |
(ⅴ)当該事象の損益に与える影響額
当該事象により、2022年3月期第4四半期において、固定資産売却益1,079百万円をその他の収益として計上いたしました。
(2) 販売提携
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契約会社名 |
提携先 |
提携の内容 |
契約期間 |
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当社 |
三菱ケミカル株式会社 |
イオン交換樹脂「ダイヤイオン」の販売に関する代理権の取得 |
1976年4月1日から 2023年11月30日まで |
当社グループは、社会的課題の解決と顧客の企業価値・競争力向上に貢献する独創的なソリューションの提供に必要な商品・技術の開発に重点的に取り組んでおります。また、ビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションに必要なセンシング技術、データ解析技術、最適制御技術の開発や、当社商品技術を支える水処理の作用・障害の機構解明、デジタルトランスフォーメーションのベースとなる水処理技術の数理モデル化にも注力して取り組んでおります。
今後も、永年培ってきた“水”の技術にさらに磨きをかけるとともに、企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する水と環境の独創的価値の創造者」の実現に向けて、日本、ドイツ、シンガポール、北米等の開発拠点が連携して、社会と産業のニーズに幅広く対応する商品・技術の開発を積極的に進めてまいります。
研究開発は、主に当社の開発本部により推進されており、研究開発スタッフはグループ全体で約170名にのぼり、これは従業員総数の2.2%に当たっております。当連結会計年度の研究開発費の総額は
当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発概要と主な成果および研究開発費は、以下のとおりであります。
(1) 水処理薬品事業
顧客の節水・CO2排出量削減・廃棄物削減や、生産性向上・環境負荷低減に貢献する水処理薬品の開発を推進しております。また、センシング技術を用いた薬品処理効果の診断や自動最適制御などの技術開発にも取り組んでおります。当該連結会計年度における主な成果は以下のとおりであります。
・用水設備や排水回収設備における水処理膜の安定稼働・省エネ運転を実現するため、富栄養化の原因となるりん系の成分を使用せず、様々な汚染種に対応できる高性能洗浄剤のラインナップを拡充するとともに、無機物と微生物由来の有機物による複合汚染に一剤で効果を発揮する多機能水処理剤を開発しました。
・製鉄所における降雨による原料中の水分上昇に伴う移送ラインの閉塞や燃料使用量アップを抑制するために、原料パイルの水分量監視技術、原料中の水分変動の予測アルゴリズム、降雨による水分上昇の防止機能を有する高遮水性防塵剤からなる鉄鋼原料ヤード監視システムを開発しました。
・排水処理プロセスの汚泥脱水処理を自動最適化するための独自センサー・センシング技術に改良を加え、幅広い汚泥性状や脱水機の種類に対応した脱水処理支援システムを開発しました。
なお、当事業に係る研究開発費は
(2) 水処理装置事業
排水の回収・再利用、廃棄物の削減やリサイクルによる再生可能エネルギー創出などの循環型社会実現に向けた技術開発に取り組んでおります。また、排水処理システムや半導体など電子産業製品の生産性向上に寄与する超純水製造システムの省エネルギー化、環境規制を先取りした土壌浄化技術の開発などを推進しております。当該連結会計年度における主な成果は以下のとおりであります。
・金属加工・電子部品の製造等で排出され、従来は産業廃棄物として処理されていたスズやニッケルのめっき廃水を濃縮し、産業廃棄物の処分費削減や有価物としての回収を可能とする高濃度廃液濃縮システムを開発しました。
・高齢化社会の進行に伴い増加する使用済み紙おむつのリサイクル技術の確立に向けて、回収された使用済み紙おむつを破袋・破砕、殺菌し、廃プラスチックとパルプ・高吸水性ポリマーへ分別・脱水を行う、様々なリサイクル方式に対応可能な処理装置を開発しました。
・半導体工場における廃棄物削減への貢献に向けて、顧客の製造プロセスでウエハ洗浄用の超純水製造に使用された高性能イオン交換樹脂を高精度で分離・再生する技術と、再生した樹脂の性能評価技術を開発しました。樹脂再生リユース事業としての展開を目指します。
なお、当事業に係る研究開発費は