文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、2023年度において新たに企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する『水の新たな価値』の開拓者」を定めました。また、当社グループの経営の中核的概念を、従来の「CSR」から「サステナビリティ」に広げ、企業活動と自然環境や社会システムとの相互影響を踏まえた持続的な成長を指向し、サステナビリティを標榜した企業ビジョンの実現に向けた当社グループの重要課題を「クリタグループのマテリアリティ」として定めました。
当社グループは、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進し、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
①価値創造ストーリー
当社グループは、企業理念の実現に向け社会と共に持続的、長期的に成長していくための道筋をクリタグループの価値創造ストーリーとして言語化しました。当社グループの一人ひとりが価値創造ストーリーの担い手となることで、企業理念の実現を目指してまいります。
(クリタグループの価値創造ストーリー)
私たちクリタグループは、世界の様々な現場で日々変化する水の課題に対しソリューションを提供しております。
現場から得られる水に関する課題や情報は、私たちの知として集約、蓄積されます。私たちはこの知の活用により、お客様の真の課題を理解し、お客様と共有できる形での価値の予測とともに最適なソリューションを提供します。
私たちは、予測した価値の実現により、お客様と社会との共通価値を創造(Creating Shared Value:CSV)し、社会と産業を変えていきます。そして、創造した価値にふさわしい収益を得るとともに、お客様と社会からの信頼を基に更なる現場と新たな知を獲得していきます。
②Value Pioneering Path
当社グループは、マテリアリティへの取り組みを中期経営計画PSV-27の戦略と有機的に融合させております。この全容をPSV-27計画における価値開拓および企業ビジョン実現の道筋として「Value Pioneering Path」に示し、グループ一体の取り組みによって企業ビジョンの実現を目指しております。
③中期経営計画
当社グループは、2023年4月より5カ年の中期経営計画「PSV-27」(Pioneering Shared Value 2027)をスタートさせました。マテリアリティの課題解決に繋がる社会価値を起点とした新事業の創出やCSVビジネスの展開に加え、顧客価値を起点とした既存ビジネスの深化・変革により、強固な社会価値・経済価値の創出基盤を確立することを目指しています。PSV-27 計画最終年度(2027年度)の目標は次の通りとしております。
(財務指標)
売上高 4,700億円
売上高事業利益率※ 16%
親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 12%以上
投下資本利益率(ROIC) 10%以上
※事業利益は、売上高から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除した恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の指標です。IFRSで定義されている指標ではありませんが、財務諸表利用者にとって有用であると考え、自主的に開示しております。
(主要な非財務指標)
CSVビジネスによる節水貢献量 250百万㎥
CSVビジネスによる温室効果ガス(GHG)削減貢献量 3,000千t-CO2以上
CSVビジネスによる資源化貢献量・資源投入削減貢献量 300%増(2022年度比)
「PSV-27」では「人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓く」を基本方針とし、次の重点施策に取組んでいきます。
(重点施策)
・電子産業への重点化
超純水供給事業で蓄積した「水に関する知」をバリューチェーン全体で活用し、併せて営業・設計・調達の変革を実現することにより、圧倒的なスピードで深い顧客理解に基づくソリューションを提供し、世界の電子産業市場に対する事業展開を加速していきます。
・多様な産業を通じた社会との共通価値の創出とグローバル展開
各国・地域の顧客動向やニーズを一元的に把握し、CSVビジネスをはじめとした社会との共通価値を創出するソリューションをグローバルに展開します。また、サーキュラーエコノミーの視点で、企業と企業、企業と地域をつなげるソリューションを開発し提供していきます。
・社会課題を解決するイノベーションの推進
GHG排出削減、節水、資源循環などで社会に貢献する新たな領域の開発に中長期的な視点で取り組みます。また、外部機関との協業を推進し、新たな領域で確固たる競争優位性を確立していきます。
・技術立社としての基盤強化
技術立社を支える多様な分野の人材の獲得と育成を強化するとともに、世界の知財のビッグデータを駆使し、イノベーションや事業の方向付けを行います。また、デジタル技術を駆使した「水に関する知」の蓄積と利活用を進めていきます。
・グループ経営基盤のさらなる強化
当社の経営体制を変革し、コーポレート・ガバナンスの水準を一層高めていきます。また、多様な人材の育成と活躍の支援によるエンゲージメントの向上、生産プロセスの変革とサプライヤーとの共存共栄に基づく強固なサプライチェーンの構築、デジタル技術の早期確立と業務プロセスの変革によるデータドリブンな経営に取り組んでいきます。
(3) 会社の対処すべき課題
当社グループが2023年度にスタートした5ヵ年の中期経営計画 Pioneering Shared Value 2027(PSV-27計画)は、人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓くことを基本方針としており、「顧客価値起点のトランスフォーメーションの実現」と「社会価値起点のイノベーションの創出」の2軸の競争戦略を通じて、企業ビジョンが目指す、社会に高い価値を提供するとともに、クリタグループが高収益企業へと成長することを目指しています。そのため、PSV-27計画には、企業ビジョン実現のための重要課題であるクリタグループのマテリアリティ解決の取り組みが有機的に組み込まれており、その全容は前項の②Value Pioneering Pathのとおりです。
PSV-27計画の2年目である当期は、電子産業における事業基盤の強化とグローバル展開の推進に取り組み、世界四極(日本、アジア、北南米、EMEA)での電子事業戦略の基本方針に基づいた活動を推進し、米国および欧州での案件を受注したほか、精密洗浄事業の市況低迷や水供給事業の計画変更を受けて、サービス事業の拡大を図りました。社会との共通価値の創出の取り組みにおける重点施策であるCSVビジネス(注1)の拡大については、新規CSVビジネスの創出に向けた業務プロセスの運用を開始したほか、既存CSVビジネスを中東・アフリカ・インドでも展開しました。社会課題を解決するイノベーションの推進に向けては、1件の新規事業を開始しました。また、技術立社としての基盤強化に向けた「水に関する知」として蓄積すべき情報の活用について、当期は国内で製紙工場の紙製品製造工程における水質データなどを活用し、製造品質の低下やそれに伴う操業障害などを事前に予測して、その原因の推定を可能にする予兆診断サービスの本格展開を開始し、中国・ASEANでは遠隔支援サービスを拡大しました。2025年度には、世界四極共通のデータ基盤の本格稼働を見込んでいます。さらに、グループ経営基盤の更なる強化として、取締役会による「長期的な方向付け」の策定に向け、取締役会およびサステナビリティ諮問会議において、長期的な外部環境の変化や当社グループの価値提供のあり方について検討を行ったほか、タレントマネジメントプラットフォーム構築に向けた取り組みを進めました。
これらの取り組みの結果、多くの重点施策で一定の成果が見られ、2024年度までの計画は次のとおり順調に進捗しています。しかしながら、前述の精密洗浄事業の市況低迷や水供給事業の計画変更等の影響を踏まえて、2025年度以降は計画達成に向けて中期的な視点で重点施策を推進する必要があります。
PSV-27計画の3年目にあたる2025年度は、当社グループの対処すべき課題として、次の5つの重点施策に取り組んでまいります。
1) 電子産業での重点化
競合他社との差別化を推進し、海外および主要顧客における顕在・潜在案件の投資情報を事前に把握して確実に確保するとともに、EPC(注2)およびEP+モジュールを起点としたサービス事業の拡大に取り組みます。また、精密洗浄事業の選択と集中により収益性改善を図るとともに、連携して事業拡大を推進していきます。
2) 多様な産業を通じた社会との共通価値の創出とグローバル展開
CSVビジネスの既存展開および新規創出のさらなる加速を目指すとともに、PFAS需要への高まりに対してグローバルに対応していきます。また、低収益ビジネスの見直し、リカーリングビジネスの獲得による顧客生涯価値の最大化に取り組み、収益性と営業効率の向上を目指します。
3) 社会課題を解決するイノベーションの推進
新規事業創出の事業化テーマについて、社会価値と経済価値の両面から検証を行うとともに、顧客および社内外との意見交換を通じた大型化の検証と見直しを図ることで、新規事業立ち上げを目指します。また、既存事業の強化に向けて、新たな市場開拓・価値創出、シェア拡大に貢献する製品・サービスの競争力を生み出すコア技術の開発に取り組みます。
4) 技術立社としての基盤強化
新規事業案や開発テーマの中から、特許網構築やIPランドスケープの活用により競争優位性を強化できる対象を選定し、PSV-27計画達成への貢献を高める事業開発・市場展開策を具体化します。また、「水に関する知」として蓄積すべき情報の活用に向け、データ基盤を本格活用する範囲を拡大していきます。
5) グループ経営基盤の更なる強化
中長期視点での戦略的取り組みおよび企画力の強化に向けて、サステナビリティに関する社内外の情報やIPランドスケープを活用した洞察により、中長期的な経営戦略の核となる社会価値起点の新規事業の構想を立案するプロセスを構築していきます。また、タレントマネジメントプラットフォームにおいて、クリタグループ全体を対象にグループ人材の適所適材に向けた運用を開始します。
(注)1 社会価値が高い水処理に係る事業の中でも、従来に比べ節水、GHG排出削減、廃棄物の資源化または資源投入量の削減に大きく貢献する製品、技術、ビジネスモデルを「CSV(Creating Shared Value)ビジネス」として定めています。
2 Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)。
文中の将来に関する事項は、特に断りのない限り、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)クリタグループのサステナビリティへの取組
当社グループはサステナビリティを「自然環境や社会システムの中に企業活動を位置づけ、それらとの相互影響を踏まえて持続的な成長を図ること」と捉え、サステナビリティを経営の中核に据えて取組んでおります。企業ビジョンである「持続可能な社会の実現に貢献する『水の新たな価値』の開拓者」の実現に向けた重要課題を「クリタグループのマテリアリティ」として特定し、マテリアリティに係る取組みの進捗を測る指標とその目標を設定してPDCAサイクルによる推進管理を行っております。
また当社グループは、顧客、取引先、従業員、株主・投資家および地域社会といったステークホルダーとのエンゲージメントに取組み、エンゲージメントを通じて得た期待や懸念および評価を、マテリアリティや指標及び目標の妥当性の検証、目標達成に向けた諸活動に反映しております。
①ガバナンス
当社グループは、マテリアリティの指標ごとに所管部署を定め取り組んでおります。当社の執行役員であるサステナビリティ経営戦略室長を委員長とするサステナビリティ推進委員会は、各組織における活動について議論し、グループにおけるマテリアリティへの取組みを統括、推進しております。また、マテリアリティの共通価値テーマである「水資源の問題解決」、「脱炭素社会実現への貢献」、「循環型経済社会構築への貢献」については、サステナビリティ推進委員会の傘下に専門分科会を設置し、各テーマに関連する指標や目標達成に向けた取組みを強化しております。マテリアリティへの取組み状況は原則年2回、経営会議へ付議または報告され、経営会議ではその内容を審議し、必要な施策を決定します。経営会議は取組み状況を、マテリアリティの取組み全般の監督を担う取締役会へ報告しております。
取締役会の諮問機関であるサステナビリティ諮問会議は、サステナビリティを取り巻く国内外の情勢を踏まえ、マルチステークホルダー視点や中長期的視点からサステナビリティ経営に関する当社グループの在り方を検討、審議し、取締役会へ答申、報告しております。
なお、執行役のインセンティブ報酬のうち、業績連動報酬である短期インセンティブ報酬は、マテリアリティにおける各指標(CSVビジネスによる節水貢献量、GHG削減貢献量、資源化貢献量・資源投入削減貢献量)の計画達成率の平均値を反映し、算出しております。
②戦略
当社グループは、マテリアリティへの取組みを中期経営計画PSV-27の戦略と有機的に融合させております。この全容をPSV-27計画における価値開拓および企業ビジョン実現の道筋として「Value Pioneering Path」に示し、グループ一体の取組みによって企業ビジョンの実現を目指しております。
③リスク管理
当社グループは、マテリアリティ特定プロセスにおいて、サステナビリティに関するリスク、機会およびインパクトを識別し、評価しました。機会として特定したテーマについては、主にマテリアリティの共通価値テーマにおいてCSVビジネスを推進する指標として、機会の創出と拡大に取り組んでおります。
また、各事業年度におけるサステナビリティに関するリスクについては、当社グループの全社的なリスク管理プロセスにおいて分析・評価し、対応しております。詳細は、「
■マテリアリティ特定プロセス
<Step1:サステナビリティ課題の抽出>
国際規範※1、法令と情報開示基準※2、および過去のステークホルダーエンゲージメント※3より得られた課題から、マテリアリティ候補となるサステナビリティ課題37テーマを網羅的に抽出しました。
<Step2:マテリアリティ・マトリクスの作成>
E&S委員会※4委員、社外取締役、監査役※4、E&S委員会※4事務局にアンケートを実施し、以下の2側面につきポジティブ側面・ネガティブ側面での影響度(発生可能性と影響の大きさ)評価を行いました。
(i) サステナビリティ課題がクリタグループの企業価値に与える影響(財務マテリアリティ)
(ⅱ)クリタグループがサステナビリティ課題に取組むことで社会・環境に与える影響(インパクトマテリアリティ)
評価結果を、上記(i)(X軸/横軸)および(ⅱ)(Y軸/縦軸)の2軸のマトリクスで整理し、X軸・Y軸ともに影響度の大きいテーマをマテリアリティ候補とし、7つのマテリアリティと複数のマテリアリティに共通する5つのサブテーマに絞り込みました。
<Step3:妥当性の確認とマテリアリティの特定>
Step2で絞り込んだマテリアリティ候補を経営会議および取締役会※4へそれぞれ報告し意見を得た後、経営会議メンバーを中心とする中期経営計画の検討を担う委員会でPSV-27の検討と並行してマテリアリティの妥当性を確認し、最終的に8つの課題を、経営・事業活動の基礎とすべき「基礎テーマ」と、社会との共通価値創造に繋がる「共通価値テーマ」に分類しました。その後、取締役会※4にてこれを決議し「クリタグループのマテリアリティ」としました。
※1 SDGs、UNGC10原則、OECD多国籍企業行動指針、WEFグローバルリスク報告書。
※2 GRIスタンダード、GHGプロトコル、SASBスタンダード、EUタクソノミー、SFDR、CSRD、TCFD、TNFDなど。
※3 顧客からの調査への回答、取引先アンケート結果、従業員エンゲージメント調査結果、株主・投資家への
説明会、ESG評価機関からの調査への回答、社会貢献活動など。
※4 定款の一部変更が行われた2023年6月29日以前の機関であり、E&S委員会は現サステナビリティ推進委員
会の旧称です。
④指標および目標
マテリアリティの指標および目標は、各活動所管部署が策定の上、E&S委員会(現サステナビリティ推進委員会の旧称)および中期経営計画の検討を担う委員会での討議を経て、取締役会にてこれを決議しました。
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マテリア リティ |
意味するところ、 取組みの方向性 |
指標 |
目標(上段)と実績※1(下段) |
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2023年度 |
2024年度 |
2025年度 |
2027年度 |
2030年度 |
2050年度 |
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共 通 価 値 テ | マ |
1.水資源 の問題 解決 |
水に関する知を生かしたソリューションの提供と様々な組織との協働により水量、水質、水へのアクセスの側面から水資源の問題解決に取組むとともに、生態系サービスとしての水の適切な循環を維持する。 |
コレクティブアクションを実施する延べ流域数※2 |
3流域・ 130百万人 |
3流域・93百万人 |
4流域 |
5流域 |
7流域 |
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未達成 (3流域・ 93百万人) |
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CSVビジネスによる節水貢献量 |
125百万m3 |
135百万m3 |
150百万m3※3 |
250百万m3※3 |
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未達成 (90百万m3) |
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GHG排出量・節水貢献量比※4の削減割合(2022年度比) |
5% |
20% |
35% |
50% |
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未達成 (△17.3%) |
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取水量原単位(連結売上高比)の削減割合(2022年度比、超純水供給事業を除く) |
7% |
21% |
27%※3 |
30%以上※3 |
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達成 (18.2%) |
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|
水資源に関する関心向上のためにエンゲージした個人・組織・団体の数 |
前年度 以上 |
前年度 以上 |
前年度 以上 |
前年度 以上 |
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達成 |
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2.脱炭素 社会実現 への貢献 |
産業・社会における温室効果ガスの削減に資するソリューションの開発・提供、低炭素な事業活動の実践により、サプライチェーン全体で脱炭素社会の実現に貢献する。 |
Scope1+2の削減割合(2019年度比) |
17% |
50% |
52% |
73% |
80%※5 |
Net-Zero |
|
|
達成 (21.2%) |
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|
Scope3の削減割合(2019年度比) |
11% |
14% |
17% |
22% |
30% |
Net-Zero |
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未達成 (△37.6%) |
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CSVビジネスによるGHG削減貢献量 |
630千t-CO₂ |
900千t-CO2 |
2,500千t-CO2※3 |
3,000千t-CO2以上※3 |
|
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達成 (733千t-CO₂) |
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3.循環型 経済社会 構築への 貢献 |
限りある資源、再生可能な資源を最適な方法で有効活用・再利用する製品・サービスの開発・提供により、持続可能な産業・社会の構築と自然の喪失防止・回復に貢献する。 |
CSVビジネスによる資源化貢献量・資源投入削減貢献量の増加割合(2022年度比) |
30% |
65% |
100% |
300% |
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未達成 (△2%) |
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自社廃棄物のリサイクル化率 |
前年度 以上 |
前年度 以上 |
前年度 以上 |
前年度 以上 |
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|
達成 |
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基 礎 テ | マ |
4.革新的な 製品・ 技術・ ビジネス モデルの 開発と 普及 |
グループ内外の様々な人・組織の協働を通し、社会課題の解決に資する革新的な製品・技術・ビジネスモデルの開発と普及に努め、持続可能な社会の発展に寄与する。 |
革新領域※6への投資割合 |
15% |
20%以上 |
25%以上 |
30%以上 |
|
|
|
達成 (18%) |
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革新領域※6のテーマ件数割合 |
20% |
23%以上 |
30%以上 |
30%以上 |
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達成 (22%) |
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|
革新領域※6に関するステークホルダーエンゲージメント件数 |
前年度 以上 |
前年度 以上 |
前年度 以上 |
前年度 以上 |
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達成 |
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5.戦略的な 人材育成 と活用 |
企業理念に共感する多様な人材の育成を含めた確保と活用を通し、一人ひとりが能力を発揮し、顧客価値の最大化と社会との共通価値の創造に取組む企業グループであり続ける。 |
エンゲージメントスコア(a.全業種平均を上回る会社の割合、b.調査した会社全体でのスコア) |
a.50% b.前回調査以上 |
-※7 |
a.65% b.前回調査以上 |
a.75% b.前回調査以上 |
|||
|
a.達成(51%) b.達成(41%、 前回+3pt) |
|||||||||
|
当社の業務執行に係る経営層に占める[女性、外国人、経験者採用者]の割合 |
30% |
前年度 以上 |
35% |
40% |
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|
未達成 (29.4%) |
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開発人材、デジタル人材、知財人材の充足度 |
65% |
70% |
75% |
80% |
|||||
|
達成 (65%) |
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6.高い品質 と安全性 の製品・ サービス の提供 |
多様な現場接点から得られる情報を基に、製品・サービスを生み出し、品質と安全を担保するための改善を継続し、社会からの信頼を高める。 |
顧客・社会に影響を与える事故の再発率の削減割合(前年度比) |
30% (当社) |
30% (当社) |
20% (当社、国内グループ会社) |
20% (当社グループ) |
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達成 (37%) |
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7.人権を 尊重した 事業活動 |
人権に関する国際規範を踏まえ、企業理念が示す「自然と人間が調和した豊かな環境」における「人間」への取組みとして、すべての人の人権を尊重することを目指す。 |
サプライヤーへの人権デューデリジェンスの実施 |
実施 |
実施 |
実施 |
実施 |
|
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達成 |
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労働安全強度率※8 (栗田工業および国内関係会社) |
0.005以下 |
0.005以下 |
0.005以下 |
0.005以下 |
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未達成 (0.035) |
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人権に関する教育研修について対象者の受講率 |
100% |
100% |
100% |
100% |
|||||
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達成 (100%) |
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|
人権侵害に関する救済窓口(グリーバンス・メカニズム)の設置 |
-※9 |
-※9 |
-※9 |
完了 |
|||||
|
8.公正な 事業活動 |
公正・透明・誠実な行動を実践し、正々堂々と業務に取組むことで、クリタグループで働く人々の自分の業務への誇りを高めるとともに、社会からの信頼を継続的に高める。 |
内部通報窓口に関する教育研修について対象者の受講率 |
100% |
100% |
100% |
100% |
|||
|
達成 (100%) |
|||||||||
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贈賄防止・競争法遵守等の法令・社内ルールに関する教育研修について対象者の受講率 |
100% |
100% |
100% |
100% |
|||||
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達成 (100%) |
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贈賄防止法および競争法に関する違反件数 |
0件 |
0件 |
0件 |
0件 |
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達成 (0件) |
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※1 2024年度の実績は当社グループホームページ サステナビリティWEBにて2025年9月末頃更新予定。
※2 当社グループの活動の成果をより適切に表現するため、「活動流域の延べ人口」の指標は中止することを取締役会で決定した。
※3 進捗状況および最新の評価結果を踏まえて目標値の修正を取締役会で決定した。CSVビジネスによる節水貢献量の目標値については現実的かつ達成可能な範囲内で下方修正し、取水量原単位の削減割合およびCSVビジネスによるGHG削減貢献量については、進捗状況および最新の評価結果を踏まえ、より高い成果を目指して2025年度および2027年度目標を上方修正した。
※4 当社グループのScope3カテゴリ11および13を水処理装置のCSVビジネス(Scope3カテゴリ11および13を発生させる)による節水貢献量で除した数値。
※5 従来、カーボンクレジットの購入を含めた100%削減を目標として設定していたが、国際的なコンセンサスに基づく目標に変更するため、2024年10月29日をもって、SBTi認定の要件を満たす手段により80%削減を目標とすることに変更した。
※6 Deloitte 7 cells(Deloitte社の成長戦略策定の考え方)における「革新領域」を指す。
※7 2年ごとにエンゲージメント調査を行うこととしており、次回は2025年度に実施する予定。
※8 日本国外の指標および目標については、現地法令等を踏まえ、2025年度に別途策定し、2026年度から取組む。
※9 2027年度までの設置完了を目標とし、2023~2025年度は設置に向けた調査等を行う。設置後は周知に関する目標を設定する。
また当社グループは、顧客、取引先、従業員、株主・投資家および地域社会といったステークホルダーとのエンゲージメントに取組み、エンゲージメントを通じて得た期待や懸念、評価を、「クリタグループのマテリアリティ」ならびにその指標および目標の妥当性の検証や目標達成に向けた諸活動に生かしております。2024年度の実施状況は以下の通りです。
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ステークホルダー |
2024年度に実施したエンゲージメント |
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顧客 |
顧客・サプライヤー評価機関からの調査へ適宜対応したほか、代表的なサプライヤー評価機関であるEcoVadisの当社グループへの評価結果を関連部署にフィードバックし活動の改善を推進した。 |
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商品・技術等のコンセプトおよびビジネスモデルの開発段階におけるヒアリングを実施した。 |
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2023年度実施の顧客調査の解析結果に基づき改善策を実施したほか、設問内容にサステナビリティに関するテーマを追加し、関連部署へ顧客回答をフィードバックした。 |
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取引先 |
取引先へEcoVadisの活用を促進するとともに、EcoVadisによる評価結果からリスクが高いと判断される取引先に対して改善を働きかけた。 |
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取引先からの匿名の相談・通報窓口である「お取引先様専用ヘルプライン」に関する情報を取引先に発信し周知を促進した。 |
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サプライチェーン全体で潜在的人権リスクを調査・軽減するため、紛争鉱物について電子部品の調達額の多い取引先に対して原材料の履歴を調査するとともに、外国人労働者を受け入れている取引先に対し訪問監査を実施した。 |
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従業員 |
2023年度に実施した従業員エンゲージメント調査結果に基づき、会社ごとに課題抽出と対策立案を行い、活動を推進した。 |
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自己申告制度を実施し、適正配置と自律的なキャリア形成の促進に向けた対話の充実を図った。 |
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匿名での相談・通報が可能なコンプライアンス相談窓口、公益通報窓口について、連絡先を記載したポータブルカードを配布するとともに、国内外グループで職場ダイアローグ・人権啓発研修・社内広報を通じて利用方法の周知と窓口の認知度向上を図った。 |
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株主・投資家 |
各種説明会の開催、カンファレンスへの参加、およびロードショーの実施による株主・投資家との対話を実施。面談や電話会議による証券アナリストや機関投資家との個別対話を行った。 |
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ESG評価機関等からの調査へ適宜対応した。 |
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地域社会 |
事業拠点へ寄せられた苦情や謝意を確認した。 |
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公益財団法人クリタ水・環境科学振興財団への出捐を通じて、水と環境に関する科学技術の振興を支援した。 |
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Water Resilience Coalition(WRC)※10の活動として米国コロラド川流域、ブラジルPCJ流域、インドネシアチタルム川流域にてコレクティブアクションを継続するとともに、新たに水に関する国際イニシアチブAlliance for Water Stewardship(AWS)※11に参加し、水に関する取組みの強化を図った。 |
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2024年9月能登半島豪雨により被災した方々を支援するため、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームを通して支援金を拠出した。 |
※10 国連グローバル・コンパクトのイニシアチブの一つであるThe CEO Water Mandateが設立。世界各地域に
おける水資源の問題が深刻な流域において産業界主導で水資源の保全・回復に取り組んでいる団体。
※11 流域における企業の適切な水利用・管理を促進することで、持続的な水環境の実現に取組む国際イニシア
チブ。
(2)人的資本(人材の多様性を含む)への取組
①ガバナンス
当社グループは、当社の執行役である経営管理本部長が人的資本に関する取組全般の推進と統括を行い、当社の各本部・事業部およびグループ各社と連携し組織文化醸成に関する取組や人材育成施策を推進しております。また、人材育成や活用に関する取組は、「クリタグループのマテリアリティ」のテーマ5に定めており、サステナビリティ推進委員会がマテリアリティの指標、目標を管理、推進するとともに、人づくり委員会と連携して推進しております。経営管理本部長およびサステナビリティ推進委員会、人づくり委員会は、人的資本に関する取組状況を経営会議へ付議または報告し、経営会議はその内容を審議し必要な施策を決定します。また、経営会議は人的資本に関する取組状況を取組全般の監督を担う取締役会へ報告します。
②戦略
当社グループは、企業ビジョン実現下の人材と組織の状態をD&Iビジョンとして「水と環境を大切に想う多様な人々が、互いの違いを受け入れ、相互作用することで、水の新たな価値を創造し続ける企業グループ」と定めております。
また、D&Iビジョンの実現を通じ、価値創造ストーリーを具現化する組織・人材のあり方を、人材戦略として策定しております。人材戦略は、人材ポリシーとこれを支える取組の方向性で構成されております。人材ポリシーは価値創造ストーリーの基になっている「戦略ストーリー」に描かれている組織や人材の姿から抽出して整理し、「クリタグループの人材に求める、価値観や思考・行動の基本的な考え方」を表しております。これにグループ内外の環境変化を加味し、取組の方向性を「組織に関する方向性」と「人材活用に関する方向性」に整理しております。
<人材の多様性の確保に関する方針>
当社グループは、性差、国籍、年齢、障がいの有無、入社経緯や働き方(雇用形態、勤務形態)、経験等、様々なバックグラウンドを持つ人材が、企業理念の実現に向け互いの経験、知見、スキルなどを活かし、革新的な成果を創出していくことで、顧客・社会への価値提供を目指しており、経営層、管理職(相当)の中核人材においても、積極的に多様性を確保していきます。当社グループの中で多様性確保に課題の多い、当社での取組を重点的に推進すると共に、グループ会社とも連携し、施策を実施しております。
◇女性活躍
当社では、属性に関わらず全員が活躍し、組織として活力と貢献意欲を高めることを目指しており、女性従業員の活躍推進もその一環として取り組んでいます。2024年度には以下の取組を実施しました。
-女性管理職の登用促進、積極的な女性総合職の新卒・経験者採用の継続
-女性管理職が、別組織に属する役員とキャリア・自己開発、ワークライフバランスをテーマに話し合い、
気づきを得るための機会の提供
-専門職志向者向けに「自身が専門職になることのイメージ」を明確にし、「専門職としての思考ステッ
プ」を体験するワークショップ
◇経験者採用者
当社は事業の展開に合わせた即戦力人材としての期待から、経験者採用の強化を図っており、2023年度以降の経験者採用者数は、それ以前に比べて4~5倍程度高い水準で推移しています。具体的な取組としては、選考時の業務・キャリアパス説明強化の他、入社時の経験者採用受入プログラム(約3日間)や、配属後の状況を確認するための面談等を実施しております。当社は、社員全体に占める経験者採用者の割合を2031年4月には30%程度まで引き上げる計画で、今後も積極的な採用、管理職への登用等を継続してまいります。
<人材の育成に関する方針>
当社では、エンゲージメント調査より当社従業員から体系的なキャリア形成支援が求められていることを踏まえ、若年層のキャリア形成支援とキャリア形成を考慮した異動・配置の検討〔経験〕、部下の挑戦を支える管理職の育成〔助言〕、「実効性ある学習機会」と「自主的に学習できる環境」の提供〔研修〕の観点で人材育成施策の方向性を整理し、これに則した育成施策を実施しております。具体的には以下の取組を行っております。
◇「実効性ある学習機会」と「自主的に学習できる環境」の提供
-「専門技術者部会」による専門技術者の後継者育成、「DXマスターカレッジ」によるデジタル人材育成
-研修動画の拡充、人材育成コンテンツの一元化と当社グループへの公開
-「階層別研修」による、自律的に成長する意欲や本質的な課題解決力の習得につながるプログラムの提供
と社内外e-learningコンテンツを用いた自主学習環境の提供
◇部下の挑戦を支える管理職の育成
-人材特性(資質)と各人の心の状態の可視化による、上司・部下間のコミュニケーションの質向上
-挑戦者を支援するために必要なマインドセットと行動促進につながるプログラムの実施
◇キャリア形成支援とキャリア形成を考慮した異動・配置の検討
-適正配置と自律的なキャリア形成の促進に向け、自己申告制度の活用促進、キャリア相談窓口の設置、人
事情報管理システムを活用した異動マッチングの実施
-専門分野、スキル、資格等の人材情報の可視化と検索システム構築に向けた取組推進
-グローバルに活躍できるリーダー育成を目的とした「若手経営人材育成講座(海外ビジネススクールへの
派遣)」や、若年層を中心とした「海外トレーニープログラム(海外での語学研修・インターンシップ・
国外グループ会社でのOJT)」の実施。
<人材の採用および維持に関する方針>
当社は、競争力の源泉の一つである結束力を継承する新卒人材を一定数確保しつつ、専門性や多様性を拡充する人材である経験者採用を推進し、また、豊富な経験、スキル、実績を有するベテラン層の活躍機会の拡大を図ることを通して、人材の採用および維持を進めてまいります。
③リスク管理
当社グループに関わるリスクの監視およびマネジメントは、経営管理本部長が推進しております。経営管理本部長は「全社リスクマップ」に基づき、グループのリスクの分析・評価を定期的に行うとともに、継続的にリスクの監視を行うことで、その発生防止に努めております。人的資本に関連するリスクは全社リスクマップに統合され、経営管理本部長を責任者として、「
④指標および目標
当社グループにおける人材戦略の進捗を定量的に把握しながら施策を実行するため、2022年度に設定したKPIとKGIの進捗は、以下のとおりであります。この中で、エンゲージメント調査(2年毎に実施)から導く当社独自の指標として、「D&I実行度」(当社グループで策定した「D&Iビジョン実現のための推奨行動」の実行度を表す)や、「人事制度運用度」(人事制度の効果的な運用状況を表す)を定めており、これらの計測を通して人材戦略の実効性を高めてまいります。
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|
方向性等 |
指標 |
分類※1 |
KGI、KPIの実績および目標/水準 |
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2023年度 |
2024年度 |
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Outcome (価値創造ストーリーを実現する人材、組織) |
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KGI |
- |
エンゲージメントスコア(a.全業種平均を上回る会社の割合、b.調査した会社全体でのスコア) |
MA |
<実績> a. 51% (43社※4) |
<実績> - (隔年 調査) |
<目標> a. 65% |
<目標> a. 75% |
- |
|||
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Input/Output (人的資本拡充/活用) |
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KPI |
組織文化 |
|
MA |
<実績> 29% |
<実績>
|
<目標>
|
<目標> 40% |
- |
|||
|
|
T |
4.2% |
|
- |
|
- |
|||||
|
|
T |
26% |
|
- |
3割から 4割程度 |
- |
|||||
|
|
T |
12.8% |
|
- |
- |
|
|||||
|
|
T |
77% |
|
- |
8~9割 程度 |
- |
|||||
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|
T |
56日 |
|
- |
2~8週間程度 |
- |
|||||
|
D&I実行度 |
MO |
47% (43社※4) |
- |
前回調査以上 |
前回調査 以上 |
- |
|||||
|
組織体制 |
|
MO |
65% |
|
- |
8割程度 |
- |
||||
|
|
MO |
31% |
|
- |
- |
|
|||||
|
人材の確保・活用 |
|
MA |
65% |
|
|
80% |
- |
||||
|
人事制度 |
人事制度運用度 |
MO |
39% (43社※4) |
- |
前回調査以上 |
前回調査 以上 |
- |
||||
※1 MA:マテリアリティとして重視する、T:達成目標を設定する、MO:中期的に傾向をモニタリングする指標を表します。
※2 海外事業を展開する主な子会社における代表者とその直下の人材に占める現地社員割合を表します。
※3 管理職および管理職に相当する資格等級の保有者を表します。
※4 調査実施会社数を表します。
当社グループの中で多様性確保に課題の多い当社を中心とした多様性に関する指標の推移は、以下のとおりであります。
|
①女性 |
2018年度 |
2020年度 |
2022年度 |
2024年度 |
|
2027年度 |
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|
|
実績 |
実績 |
実績 |
実績 |
|
目標 |
|||
|
当社 |
女性管理職割合(12月1日集計) |
1.1% |
2.4% |
4.1% |
4.7% |
|
10%程度 ('28年4月) |
||
|
女性管理職人数(12月1日集計) |
3人 |
7人 |
13人 |
15人 |
|
- |
|||
|
総合職採用の 女性割合 |
(新卒) 4月入社時 |
21% |
33% |
31% |
29% |
|
- |
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|
(新卒・経験者) |
通年 |
通年 |
通年 |
12月末累計 |
27年度通年 |
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15% |
33% |
25% |
21% |
|
3割から4割程度 |
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<参考>各年度の12月1日時データ |
2018年度 |
2020年度 |
2022年度 |
2024年度 |
|
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|
〇女性管理職割合 |
当社(a) |
1.1% |
2.4% |
4.1% |
4.7% |
|
|
||
|
国内連結子会社(b) |
4.4% |
5.5% |
5.1% |
5.0% |
|
|
|||
|
海外連結子会社(c) |
17.2% |
19.0% |
21.9% |
24.9% |
|
|
|||
|
|
合計(a+b+c) |
8.5% |
11.5% |
13.2% |
15.4% |
|
|
||
|
〇全従業員の女性割合 |
当社グループ |
24.1% |
24.5% |
25.3% |
25.9% |
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|
|
|
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|
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②経験者採用 |
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2022年度 実績 |
2024年度 実績 |
2030年度 目標 |
||
|
当社 |
社員に占める経験者採用社員の割合(12月1日集計) |
10.6% |
17.6% |
30%程度 ('31年4月) |
|||||
|
|
管理職相当※1に占める経験者採用社員割合(12月1日集計) |
12.5% |
15.2% |
- |
|||||
※1 管理職および管理職に相当する資格等級の保有者を表します。
(3)気候変動問題への取組
当社グループは、気候変動問題を世界共通で取組むべき喫緊の課題と捉え、「クリタグループのマテリアリティ」の一つに「脱炭素社会実現への貢献」を定めております。TCFD提言に基づき、事業活動に伴って発生する温室効果ガス(GHG)の継続的な排出量削減と、事業を通じてお客様のGHG排出削減にも取組んでおります。
①ガバナンス
当社グループは、当社の執行役員であるサステナビリティ経営戦略室長を委員長とするサステナビリティ推進委員会の傘下に専門分科会としてカーボンニュートラル推進分科会を設置し、Scope3の削減割合およびCSVビジネスによるGHG削減貢献量の目標達成に向けた推進策の強化に努めるとともに、サステナビリティ推進委員会が、カーボンニュートラル推進分科会や各組織における活動内容について議論し、グループにおける気候変動問題への取組みを統括、推進しております。サステナビリティ推進委員会は、気候変動問題への取組み状況を原則年2回経営会議へ付議または報告することとしており、経営会議はその内容を審議し必要な施策を決定します。経営会議は気候変動問題への取組み状況を、サステナビリティに関する取組み全般の監督を担う取締役会へ報告しております。サステナビリティ諮問会議は国内外の情勢を踏まえ、マルチステークホルダー視点、中長期的視点から取締役会へ答申、報告を行っております。
②戦略
当社グループは、IPCC SR1.5およびIPCC RCP8.5などで描かれる2種類のシナリオ(1.5℃および4℃)※1に基づき、「発生可能性」と「影響度」の2軸で短期・中期・長期※2のリスクと機会を特定し、当社グループの施策を策定するとともに一部のリスクと機会については事業への財務影響を評価しています。
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分類 |
リスク・機会の内容 |
時間軸 |
事業への財務影響・施策 |
|
|
政策と法 |
リスク |
炭素税の導入や増加 |
中~長期 |
<事業への財務影響(2050年度時点)> ・1.5℃:22億円※3 ・4℃:なし <施策> ・Scope1+2:2030年度までに推定で約11億円の費用を投じ、再生可能エネルギーの採用やハイブリッド車・電気自動車の導入などにより80%削減。 ・Scope3:2030年度までにCSVビジネス※4の推進に加え、低炭素原料の調達などにより基準年比30%削減。 |
|
リスク |
GHG排出量の多い製品やサービスへの規制 |
中~長期 |
<施策> ・デジタル技術の活用や設計などの見直しによる製品やサービスの低炭素化。 ・再生可能エネルギーの採用やハイブリッド車・電気自動車の導入などによるScope1および2の削減。 ・バイオマス発電、エネルギー回収、資源回収、排ガス処理、CO2回収、電池関連事業などGHG削減に寄与するCSVビジネスの展開・拡大。 |
|
|
機会 |
GHG排出量の少ないエネルギーへの転換を支援する政策インセンティブの普及 |
中~長期 |
||
|
テクノ ロジー |
リスク/ 機会 |
GHG排出量の少ない製品やサービスへの転換が進む |
短~長期 |
|
|
市場 |
リスク |
化石燃料関連セクターからの需要減少 |
中~長期 |
<施策> ・デジタル技術の活用や設計などの見直しによる製品やサービスの低炭素化や、バイオマス発電、エネルギー回収、資源回収、排ガス処理、CO2回収、電池関連事業などGHG削減に寄与するCSVビジネスの展開・拡大による事業のシフト。 |
|
リスク |
原料、エネルギーコストの高騰 |
中~長期 |
<施策> ・デジタル技術の活用や設計などの見直しによる製品やサービスの低炭素化。 ・再生可能エネルギーの採用やハイブリッド車・電気自動車の導入などによるScope1および2の削減。 ・バイオマス発電、エネルギー回収、資源回収、排ガス処理、CO2回収、電池関連事業などGHG削減に寄与するCSVビジネスの展開・拡大。 |
|
|
機会 |
DXの加速による電子産業の需要増加 |
中~長期 |
||
|
物理的な影響 |
リスク |
サイクロンや洪水などによる工場停止や工期遅延の増加 |
短~長期 |
<事業への財務影響(2020年度以降)> ・1.5℃と4℃共通:リスクがあると特定した国内生産拠点で約157億円/年。 <施策> ・約14百万円を投じ、1拠点で止水板を設置済。 ・水害対策など、自然災害に備えた事業継続体制の継続的強化。 |
|
機会 |
冷却設備の稼働率増加 |
短~長期 |
<施策> ・デジタル技術の活用や設計などの見直しによる製品やサービスの低炭素化。 ・バイオマス発電、エネルギー回収、資源回収、排ガス処理、CO2回収、電池関連事業などGHG削減に寄与するCSVビジネスの展開・拡大。 ・比較的排出量の小さい拠点を対象とした再エネ証書購入。 |
|
|
資源効率 |
機会 |
効率的な生産や流通プロセスの普及 |
短~長期 |
|
|
機会 |
水使用量の削減 |
短~長期 |
||
|
エネル ギー源 |
機会 |
GHG排出量の少ないエネルギーの普及 |
短~長期 |
|
|
機会 |
分散型エネルギー源への転換 |
短~長期 |
||
|
製品と サービス |
機会 |
GHG排出量の少ない製品およびサービスの需要増加 |
短~長期 |
<事業への財務影響(2027年度以降)> ・1.5℃:約6,300億円/年※5 ・4℃:なし <施策> ・デジタル技術の活用や設計などの見直しによる製品やサービスの低炭素化。 ・再生可能エネルギーの採用やハイブリッド車・電気自動車の導入などによるScope1および2の削減。 ・バイオマス発電、エネルギー回収、資源回収、排ガス処理、CO2回収、電池関連事業などGHG削減に寄与するCSVビジネスの展開・拡大。 |
|
機会 |
GHG排出削減に向けた多様な技術ニーズの増加 |
短~長期 |
||
|
レジリエンス |
リスク/ 機会 |
燃料、水資源などの代替や多様化 |
短~長期 |
<施策> ・デジタル技術の活用や設計などの見直しによる製品やサービスの低炭素化。 ・再生可能エネルギーの採用やハイブリッド車・電気自動車の導入などによるScope1および2の削減。 ・バイオマス発電、エネルギー回収、資源回収、排ガス処理、CO2回収、電池関連事業などGHG削減に寄与するCSVビジネスの展開・拡大。 |
※1 気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)が予測する、工業化以前の水準からの気温上昇が1.5℃となるシナリオおよび最も気温上昇が高いシナリオ。
※2 短期(1~3年)、中期(3~5年)、長期(5~20年)と設定。
※3 (事業展開地域のScope1および2排出量+Scope3カテゴリ1排出量)×(事業展開地域の炭素価格)の2050年度予測に基づく試算。
※4 従来に比べ節水・GHG排出削減・廃棄物の資源化および資源投入量の削減に大きく貢献する製品・技術・ビジネスモデル。
※5 GHG削減に寄与する新規のCSVビジネスのSAM(Serviceable Available Market)を試算。
③リスク管理
当社グループに関わるリスクの監視およびマネジメントは、経営管理本部長が統括しております。当社グループでは、「全社リスクマップ」に基づき、グループのリスクの分析・評価を定期的に行うとともに、継続的にリスクの監視を行うことで、その発生防止に努めております。気候変動に関連するリスクは全社リスクマップに統合し、「
④指標および目標
当社グループは、気候変動問題への取組みを「クリタグループのマテリアリティ」のテーマに定め、SBTi※6が示す手法に沿い「Net-Zero」を長期目標とし、Scope1、2および3の削減に取組んでおります。なお、当目標はパリ協定の目標と整合する「科学的な根拠に基づく削減目標(SBT)」として、2025年4月にSBTiの認定を取得しました。さらに、CSVビジネスによるGHG削減貢献量の中期目標も設定し、産業・社会におけるGHGの削減に資するソリューションの開発・提供、および低炭素な事業活動の実践により、サプライチェーン全体で脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
目標の基準年となる2019年度における当社グループのCO₂排出量は、Scope1+2が約2%、Scope3が約98%でした。Scope1+2は、その大半はScope2の電力由来のCO₂排出であるため、再生可能エネルギーの採用を進めるとともに、ガソリン車から電気自動車やハイブリッド車に順次切り替えております。Scope3は、約70%はカテゴリ11「販売した製品の使用」(主に水を送るために用いられるポンプなどの回転機)によるCO₂排出であり、当社グループの競争優位性向上との両立を図るため、CSVビジネスの仕組みを活用してお客様に提供するソリューションの低炭素化を推進しております。
有価証券報告書提出時点で最新の実績を確認できる年度である2023年度は、Scope1+2は主に電力由来のCO₂排出量が多い国内の複数の拠点にて再生可能エネルギーを採用したことで、基準年である2019年度比で約21%減少しました。また、Scope3は主要排出源となっているポンプ類の調達実績に基づく消費電力量の増加が主因となり、基準年である2019年度比で約38%増加しました。
2024年度のScope1+2およびScope3は、上記施策のさらなる推進により前年比で減少する見通しです。
|
指標 |
中・長期目標※7 |
実績※7 |
||||
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2027年度 |
2030年度 |
2050年度 |
2019年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
|
Scope1+2の削減割合(2019年度比) |
73% |
80%※8 |
Net-Zero |
-
( |
16%
( |
21%
( |
|
Scope3の削減割合(2019年度比) |
22% |
30% |
Net-Zero |
-
( |
10%
( |
△38%
( |
|
CSVビジネスによるGHG削減貢献量 |
3,000 千t-CO2以上※9 |
- |
- |
279 千t-CO2 |
499 千t-CO2 |
733 千t-CO2 |
※6 企業に対し、気候変動による世界の平均気温の上昇を、工業化以前と比べ1.5℃に抑えるという目標に向けて、科学的知見と整合した削減目標を設定することを推進するイニシアチブ。
※7 CO₂排出量の過年度の実績は、為替と物価の補正を行ったため、開示済みの数値を遡及修正しています。
※8 従来、カーボンクレジットの購入を含めた100%削減を目標として設定しておりましたが、国際的なコンセンサスに基づく目標に変更するため、2024年10月29日をもって、SBTi認定の要件を満たす手段により80%削減を目標とすることに変更しました。
※9 進捗状況および最新の評価結果を踏まえ、より高い成果を目指して目標値の修正を取締役会で決定しました。
当社グループに係るリスクについては、経営管理本部長をリスク管理およびリスクマネジメント推進の担当役員として定め、当社およびグループ会社のリスクの分析・評価を定期的に行うとともに監視を継続し、その発生防止に努めています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経済、市場の状況
当社グループは事業活動を行っている国内および海外の国・地域の経済状況の影響を受けております。電子市場、一般水処理市場ともに工場操業度、設備投資の動向により需要が変動し、経営成績に影響を与える可能性があります。電子市場では超純水供給契約を締結する顧客の経営状況により需要が変動し、経営成績に影響を与える可能性があります。さらに米中貿易摩擦の加速により輸出規制や制裁関税措置等が強化された場合や相互関税に代表される米国政策の動向によっては、関係する当社顧客の経営状況に影響し、間接的に当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。気候変動問題対応による顧客の化石燃料関連事業の縮小・撤退、燃料や水資源等の代替、当社設備および当社製品等から排出されるCO2に対する炭素税の導入や増加などにより経営成績に影響を与える可能性があります。また、日銀における継続的な利上げ検討等、グローバルな金利変動に伴う資金調達への影響も懸念されます。
なお、当社グループは、水と環境に関わる課題にソリューションを幅広い業種の顧客に提供しており、またサービスビジネスへの転換を推進し、安定した収益の確保に努めております。さらに、当社は、関係会社の月次・四半期での業績や方針・施策の展開状況の確認、および内部監査や財務報告に係る内部統制のモニタリングを行うとともに、当社の決裁・審査規程に基づき関係会社における重要事項を当社が決定するなど、関係会社の事業管理に努めております。また、当社グループの事業分野における競合相手との競争激化による商品やサービスの価格下落等により、当社グループの収益性が低下する可能性がありますが、当社グループは(3)に記載のとおり競争優位性の確保に努めております。
(2) 資材調達に関する影響、原材料・資材・エネルギーコストの高騰およびサプライチェーンの混乱
当社グループは製品の製造や製作・建設等のために使用する原材料や部品を当社グループ外から調達しております。また、様々な業務を行ううえで必要な役務サービスを当社グループ外から調達しております。これら調達については、クリタグループの人権方針に基づく人権への配慮に加え、クリタグループ調達方針を定め、法令を遵守し、経済・社会・環境に配慮した調達活動を行っておりますが、市況の変化により原材料、部品および役務の価格は変動し、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。なお、地政学的な情勢や米国の関税政策に伴う各国・地域における報復関税の発動等に伴う景気悪化等により、水処理薬品の原材料や水処理装置の資材の高騰、エネルギーコスト高騰による物流コストの増加、サプライチェーンの混乱が発生する可能性がありますが、その場合には販売価格への転嫁、在庫の確保などの対策を講じます。
(3) 新技術・新商品・新サービスの開発、ビジネスプロセスの変革
当社グループは、従来に比べGHG排出削減、節水、廃棄物の資源化または資源投入量の削減に大きく貢献するCSVビジネスをはじめ、新技術・新商品・新サービス等の開発により、薬品、装置、メンテナンスの技術・商品・サービスを駆使したソリューションの拡充に取り組んでおります。また近年ではデジタル戦略本部を設置し、新商品・新サービスへのIoTやAIの活用、ビジネスプロセスのデジタル化などデジタルトランスフォーメーションに積極的に取り組んでおります。これらの開発・変革は不確実なものであり、顧客ニーズに合致した技術や優位性のある商品・サービスをタイムリーに提案できない可能性や、技術革新や顧客ニーズの変化、デジタル技術の進化に追随できない可能性があります。優位性のある新商品・サービスを開発できない場合やデジタルトランスフォーメーションの取り組みが遅延した場合、そして事業を通した顧客における温室効果ガス排出削減の取り組みが停滞した場合は、将来の成長と収益性を低下させる等、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) 海外事業展開に係るリスク
当社グループは海外市場における事業拡大を図っております。これらの海外市場への事業展開にあたっては、国内とは異なる、予期しない法律又は規制の変更、政治・経済の混乱、紛争・テロ等のリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループの事業展開地域においては、外務省やコンサルタントからの治安等の情報入手、現地の弁護士、公認会計士等の専門家の活用による法律・規制に関する確認等を実施しております。また、海外への出張者に対しては海外出張ガイドブックによる安全管理教育を実施し、海外駐在員に対しては医療・トラブル時の支援サービス、安全に関する情報を提供し役員・従業員の安全確保に努めております。また、地政学的な情勢による規制・制裁強化の影響や米国の関税政策に伴う各国・地域における報復関税の発動、それに伴う景気悪化等の間接的な影響も考えられます。
(5) 大規模自然災害等
大規模自然災害等により当社グループの事業遂行に直接的または間接的な混乱が生じた場合は、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、当社グループでは、地震、台風、集中豪雨等大規模な自然災害その他の事象を想定したクリタグループBCM(事業継続マネジメント)方針を定め、事業継続計画の策定、当社グループの各拠点および役員・従業員の自宅の水害リスク調査と対策実施、安否確認システムの構築、建物の耐震化、防災用物資の備蓄、役員および従業員を対象とした災害対応訓練等を行っております。
(6) 為替変動
当社グループは、海外での企業買収などにより海外売上比率は51.9%になっております。
各海外子会社の現地通貨建の財務諸表は、円換算後に連結財務諸表に反映されております。従って、現地通貨と日本円との為替レートの変動が当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。なお、当社グループは、為替リスクをヘッジする目的で為替予約、通貨スワップ契約等のデリバティブを利用することがあります。
(7) 不採算工事発生によるリスク
水処理装置事業における水処理設備において、顧客との契約時に設定する原水条件等の当社グループ側での不備や、設計・施工における過失等に起因する製品・サービスの欠陥や事故による追加原価の発生、またはそれにより顧客へ損害が生じた場合の損害補償の発生の可能性があります。当社グループでは、設計・施工要領書に基づく設計・施工の徹底をしており、工事予算交付前にエンジニアリングレビューという会議体において、工事単位ごとに品質・コスト・納期・安全・環境等に関する設計の妥当性を確認しております。また受注後から引渡しまで毎月ビジネスプロセスレビューという会議体において、工事進捗度の確認、工事単位ごとの収支管理を行い、工事原価総額の見積りにおいても最新の情報に基づいた見積りを行っております。海外のグループ会社でも同様の取り組みを実施しており、大型工事については当社より設計や工程管理に関する支援を行っております。このように、問題情報データの共有等により不適合の未然防止を図っております。
(8) 固定資産の減損損失
①のれん及び無形資産の減損損失
当社グループは、海外事業の基盤獲得や競争力のある技術や事業モデル獲得のため、企業買収を実施し、結果として「のれん」の残高は66,347百万円(連結総資産の12.1%)となっております。「のれん」は償却を行わず、毎年又は減損の兆候が存在する場合はその都度、減損テストを実施しております。事業環境の変化等により買収が期待どおりの効果を得られない場合や減損テストにおける将来キャッシュ・フローの見積りと実績に差異が発生した場合は、「のれん」等の減損損失が発生します。減損テストを実施するにあたり、回収可能価額は使用価値により測定しております。使用価値は将来キャッシュ・フローを資金生成単位の加重平均資本コストを参考に決定した割引率で割り引いて算定しております。将来キャッシュ・フローの予測期間は5年であり、過去の経験と外部の情報を反映して作成され、経営陣によって承認された事業計画を基礎としております。5年を超える期間については、資金生成単位が属する市場の状況を勘案して決定した長期平均成長率をもとに算定しております。5年のキャッシュ・フロー見積額、その後の期間の成長率および割引率を主要な仮定として使用しており、これら仮定の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、当社は、当社グループの投融資に関する審査機能を強化するため、経営管理本部副本部長を委員長とする投資委員会を設置しております。同委員会は取締役会や経営会議に付議する投融資案件について、事業計画・投資金額・リスク評価の妥当性、採算性、競争優位性、適法性などの観点から審査を実施し、審査結果や主要論点を取締役会や経営会議に報告することで、当社は十分な検討、議論を経て企業買収の実施を決定しております。また、買収後は(1)に記載の関係会社の事業管理を行うとともに、主要な過去投資は投資委員会にて継続的なモニタリングを行い、最新の状況を確認するとともに必要に応じて投資実効性や継続妥当性を検証しております。
②有形固定資産の減損損失
当社グループは、主に超純水供給事業等で顧客工場に事業用設備を設置しております。顧客の事業撤退や工場の休止に伴い固定資産の減損損失が発生する場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、これらの投資決定にあたっては、顧客の事業状況、顧客との契約条件および投資対効果などを慎重に検討しております。
(9) 情報システムのセキュリティ
当社グループの事業活動において、情報システムの利用とその重要性は増大しており、コンピュータウイルスその他の要因によってかかる情報システムの機能に支障が生じた場合は、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、当社グループはクリタグループデジタル情報システム管理方針を定め、ウイルスチェックソフト導入、標的型攻撃メール訓練等の役員・従業員への情報セキュリティ教育や啓発の実施によりコンピュータウイルス対策を強化しております。またセキュリティ事故が発生した際の機会損失を最小限に抑えるため、緊急対応を実行する組織を設置しております。
(10)法令・コンプライアンス
当社グループの役員・従業員が法令を遵守できなかった場合や社会倫理に反する行動を起こした場合は、事業活動の制約、罰金、社会的信用の失墜等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。なお、当社グループは、サステナビリティ経営戦略室長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置し、インテグリティ活動※を推進しています。
※「自分たちの良心に照らし正しいことをする、良いことをするという思考」のもと、一般的なコンプライアンス活動を内包し、より広範な社会的な規範・価値観に対応していこうとする活動。
(11)製品・サービスの品質および水処理設備のオペレーションエラー
顧客または当社グループの水処理設備のオペレーションにおける人為的なエラー等により基準に満たない処理水を供給または排出することで損害賠償の発生や社会的信用の失墜につながる可能性があります。賠償責任保険の適用を超えるような責任が発生した場合や社会的信用が失墜した場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループは(7)で記載したように品質マネジメントシステムを構築し、顧客満足向上のため、継続的な改善活動に取り組んでおります。
(12)知的財産権
広範囲に事業を展開する中で、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、こうした場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性がありますが、当社グループは知的財産権の重要性を認識し、国内および海外において、知的財産の権利化、第三者が保有する知的財産権の侵害防止に継続して取り組んでおります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要性がある会計方針」、「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
(2) 経営成績
当期における世界経済は、ウクライナおよび中東情勢の悪化が長期化していることに加え、米国の通商政策変更の影響により先行き不透明な状況が続き、一部の国・地域では景気回復の動きに力強さを欠きましたが、持ち直しの動きが継続しました。国内では、製造業の生産活動は、一部自動車メーカーの生産停止解除や半導体などの電子部品の在庫調整の進展から持ち直しの動きがみられましたが、年度後半にかけて回復の動きが鈍化しました。設備投資は、高水準の企業収益を背景に底堅い動きが続きました。海外では、米国経済は、堅調に推移しましたが、欧州および中国は、内需に力強さが見られず、回復の動きに停滞感がみられました。中国を除くアジア諸国は、一部に弱さがみられたものの、持ち直しの動きが続きました。
このような中、当社グループは、5か年の中期経営計画「PSV-27」(Pioneering Shared Value 2027)の2年目である当期において、「人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓く」という基本方針のもと、電子産業市場分野では、デジタル技術を活用して、安全運転、環境負荷低減、コストダウンに係るノウハウやデータを蓄積し、可視化した「水に関する知」を駆使しお客様の多様な課題の解決に貢献するサービスラインアップを拡充し、顧客接点の拡大を図りました。また、グローバルに電子産業のパートナーとなることを目指す中、欧米における新たな事業基盤構築に取り組み、米国および欧州において半導体工場向けの水処理装置案件の受注を獲得しました。韓国では、主に同国の電子産業に対するサービスの提案・提供力を強化し、社会との共通価値を創造するCSVビジネスの展開を加速するため、水処理装置の製造・販売およびメンテナンス・サービス事業を展開してきた韓水テクニカルサービス株式会社と水処理薬品の製造・販売事業を展開してきた株式会社韓水を統合し、栗田韓水株式会社として事業を展開しております。
一般産業市場分野では、各国・地域において多様な事業に取り組む顧客の動向やニーズをグループ共通のデータ基盤により一元的に把握し、グループ横断的に利活用することでCSVビジネスの拡大に取り組みました。また、事業基盤の強化に向けた取り組みとして、国内では、水処理薬品とメンテナンス・サービスを一体化したワンストップ営業を実現し、顧客現場との接点を強化するため、国内販売事業会社等11社をクリタ東日本株式会社とクリタ西日本株式会社の2社に再編しました。海外では、世界有数の経済規模を有し、水処理需要が高まっているインドにクリタ・アクアケミ・インディア・プライベート・リミテッドを設立し、同国のお客様の水や環境に係る課題に応えるソリューションを迅速に提供するための体制整備に取り組みました。
以上の結果、当社グループ全体の受注高は432,953百万円(前年同期比11.0%増)、売上高は408,888百万円(前年同期比6.3%増)となりました。利益につきましては、事業利益は、49,184百万円(前年同期比17.0%増)、営業利益は、31,275百万円(前年同期比24.1%減)、税引前利益は、31,821百万円(前年同期比23.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は、20,305百万円(前年同期比30.4%減)となりました。
当連結会計年度においては、その他の収益3,140百万円、その他の費用21,050百万円を計上しております。その他の収益は、一部顧客との超純水供給契約(電子市場)解約に伴う前受金取崩益1,653百万円を計上したことなどにより前年同期比で1,172百万円増加しております。その他の費用には、主に米国および欧州において精密洗浄事業を展開している米国子会社ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(電子市場)の有形固定資産(建物使用権資産含む)の減損損失15,522百万円、同社ののれんの減損損失967百万円、主に水道管等の劣化予測ソフトウエアサービスを提供している米国子会社クリタ・フラクタ・ホールディングス,Inc.(一般水処理市場)ののれんの減損損失2,501百万円が含まれており、前年同期比で18,259百万円増加しております。
この結果、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は減益となりました。のれんを含む固定資産は、減損兆候が存在する場合はその都度、のれんについては減損兆候の有無にかかわらず、毎年定期的に減損テストを実施しており、減損損失は使用価値と会計上の簿価を比較することにより算出しております。
ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(電子市場)の有形固定資産(建物使用権資産含む)の減損損失は、一部の主要顧客の半導体工場の稼働率低迷や工場建設計画の変更、遅延の影響により建設中のアイルランドと米国アリゾナ州の精密洗浄工場の使用価値が著しく低下したため認識しております。なお、アイルランドの精密洗浄工場の建設は中止し、撤退することを決定しております。
のれんの減損損失を測定する際に必要となる使用価値は、予測される将来キャッシュ・フローを適切な割引率で割り引くことによって算出します。ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(電子市場)については、主要顧客の半導体工場稼働率回復の動きが想定を下回ったことにより影響を受けた当連結会計年度を含めた過去の業績達成状況を踏まえ、慎重に見積りを行い、前連結会計年度末における将来キャッシュ・フローの見積りの基礎である事業計画を下方修正しました。クリタ・フラクタ・ホールディングス,Inc.(一般水処理市場)についても、事業体制整備の遅れにより想定した収益獲得の早期実現が困難となったことや当連結会計年度を含めた過去の業績達成状況を踏まえ、前連結会計年度末の事業計画を下方修正しました。これらの結果、両社ののれんの使用価値が会計上の簿価を下回ったため、減損損失を認識しております。
(電子)
受注高は、194,994百万円(前年同期比17.6%増)となりました。水処理装置は、主に欧州向けの大型案件を受注したことにより増加しました。継続契約型サービスは、新規に稼働した超純水供給事業案件の売上や一過性の収益計上の貢献により増加し、メンテナンスも主に中国および台湾の顧客からの需要をとりこみ増加しました。精密洗浄は、半導体市況の回復を背景に増加しましたが、海外顧客の洗浄ニーズが本格的な回復には至っておらず、増加は緩やかなものとなりました。
売上高は、181,194百万円(前年同期比4.9%増)となりました。水処理装置は、前年同期の国内大型案件の売上計上の反動で減少しましたが、継続契約型サービス、メンテナンスおよび精密洗浄は増加しました。
利益につきましては、継続契約型サービスの伸長や比較的原価率が高い装置案件が減少したことによる売上原価率改善の影響を受け、事業利益は、24,216百万円(前年同期比21.5%増)、営業利益は、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.ののれんを含む固定資産の減損損失16,490百万円計上があり、8,945百万円(前年同期比55.7%減)となりました。
(一般水処理)
受注高は、237,958百万円(前年同期比6.1%増)となりました。水処理装置は、国内および米国における大型案件の受注計上などにより増加し、メンテナンスおよび継続契約型サービスも増加しました。水処理薬品は、欧州、中国および東南アジアの一部において、製造業の生産活動回復の動きに弱さがみられ、円安による円換算額増加の影響を除くと減少しました。
売上高は、227,693百万円(前年同期比7.3%増)となりました。水処理装置は、主に米国大型案件の工事進捗による売上計上で増加し、メンテナンス、継続契約型サービスも増収となりました。水処理薬品は、受注高と同様に、為替影響を除くと減収となりました。
利益につきましては、増収影響に加え、付加価値の高いCSVビジネスの伸長もあり原価率が改善したことから、事業利益は24,969百万円(前年同期比13.0%増)となり、営業利益は、クリタ・フラクタ・ホールディングス,Inc.ののれんの減損損失2,501百万円を計上したことなどにより22,331百万円(前年同期比6.2%増)となりました。
生産、受注および販売の実績は、以下のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
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電子市場(百万円) |
181,770 |
105.5 |
|
一般水処理市場(百万円) |
226,609 |
106.5 |
|
合計(百万円) |
408,380 |
106.0 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
②受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
電子市場 |
194,994 |
117.6 |
78,392 |
121.4 |
|
一般水処理市場 |
237,958 |
106.1 |
69,586 |
117.3 |
|
合計 |
432,953 |
111.0 |
147,978 |
119.4 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
電子市場(百万円) |
181,194 |
104.9 |
|
一般水処理市場(百万円) |
227,693 |
107.3 |
|
合計(百万円) |
408,888 |
106.3 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(3) 財政状態
①資産合計 548,949百万円(前連結会計年度末比8,458百万円減少)
流動資産は220,950百万円となり、前連結会計年度末比7,068百万円減少しました。これは主に現金及び現金同等物が8,942百万円増加したものの、営業債権及びその他の債権が13,051百万円、その他の金融資産が1,769百万円それぞれ減少したことによるものであります。
非流動資産は327,998百万円となり、前連結会計年度末比1,390百万円減少しました。これは主に有形固定資産が4,458百万円、繰延税金資産が3,837百万円、それぞれ増加したものの、のれんが4,654百万円、使用権資産が3,070百万円、その他の金融資産が1,453百万円、それぞれ減少したことによるものであります。有形固定資産の増加は、減価償却費の計上26,070百万円と前述のペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(電子市場)の有形固定資産の減損損失計上による減少があったものの、超純水供給事業(電子市場)用設備の取得などの設備投資45,953百万円があったためであります。のれんの減少は、主に第4四半期連結会計期間において、クリタ・フラクタ・ホールディングス,Inc.(一般水処理市場)の「のれん」2,501百万円とペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の「のれん」967百万円を減損損失計上したことによるものであります。
②負債合計 210,444百万円(前連結会計年度末比13,551百万円減少)
流動負債は132,567百万円となり、前連結会計年度末比13,947百万円増加しました。これは主に社債及び借入金が14,796百万円増加したことによるものであります。社債及び借入金の増加は、コマーシャル・ペーパーの償還による減少があったものの、2025年12月に償還予定の社債30,000百万円を非流動負債から流動負債に振替したことによるものであります。
非流動負債は77,877百万円となり、前連結会計年度末比27,498百万円減少しました。これは主に社債及び借入金が22,388百万円、その他の非流動負債が2,821百万円それぞれ減少したためであります。社債及び借入金の減少は、長期借入金による資金調達10,000百万円増加があったものの、前述の社債の流動負債への振替によるものであります。
③資本合計 338,504百万円(前連結会計年度末比5,093百万円増加)
資本合計の増加は主に年度末にかけての円高外国通貨安の進行に伴う在外営業活動体の換算差額の減少によりその他の資本の構成要素が5,594百万円減少したものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等により利益剰余金が11,320百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における資産をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
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(単位:百万円) |
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報告セグメント |
調整額 (注) |
連結財務諸表 計上額 |
||
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電子市場 |
一般水処理市場 |
計 |
|||
|
セグメント資産 |
261,586 |
218,126 |
479,713 |
69,235 |
548,949 |
(注)主なものは各報告セグメントに配分していない全社資産であります。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は62,951百万円(前連結会計年度末比8,942百万円増加)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動で得られた資金は87,760百万円(前年同期比36,886百万円増加)となりました。これは主に法人所得税の支払額11,170百万円で資金が減少したものの、税引前利益31,821百万円、減価償却費、償却費及び減損損失54,689百万円、営業債権及びその他の債権の増減額(△は増加)9,803百万円で資金が増加したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動で使用した資金は52,074百万円(前年同期比16,273百万円増加)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出49,859百万円、無形資産の取得による支出3,827百万円などで資金を使用したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動で使用した資金は25,448百万円(前年同期比10,111百万円増加)となりました。これは主に長期借入れによる収入9,962百万円で資金が増加したものの、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの純増減額(△は減少)15,143百万円、配当金の支払額9,956百万円、リース負債の返済による支出6,290百万円で資金を使用したためであります。
当社グループは事業運営上必要な流動性確保と安定した資金調達体制の確立を基本方針としております。短期運転資金、設備投資やその他成長分野への投資資金は自己資金を基本としつつも、必要に応じて債券市場での調達や銀行借入を実施しております。なお、当連結会計年度末において、当社は取引金融機関2社とコミットメント・ライン契約を締結しております(借入実行残高 -百万円、借入未実行残高 20,000百万円)。
(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画「PSV-27」に対する達成状況については、以下のとおりであります。
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2024年3月期実績 |
2025年3月期実績 |
2028年3月期目標 |
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売上高(百万円) |
384,825 |
408,888 |
470,000 |
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売上高事業利益率(%) |
10.9% |
12.0% |
16% |
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親会社所有者帰属持分 当期利益率(ROE) |
9.3% |
6.1% |
12%以上 |
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投下資本利益率(ROIC) |
7.2% |
8.8% |
10%以上 |
該当事項はありません。
当社グループは、社会的課題の解決と顧客の企業価値・競争力向上に貢献する独創的なソリューションの提供に必要な商品・技術の開発に重点的に取り組んでいます。また、ビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションに必要なセンシング技術、データ解析技術、最適制御技術の開発、水処理技術の数理モデル化、当社商品技術を支える水処理の作用・障害の機構解明、および材料開発の効率化を図るマテリアル・インフォマティクスに注力して取り組んでおります。
今後も、永年培ってきた“水に関する知”に更に磨きをかけると共に、企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する『水の新たな価値』の開拓者」の実現に向けて、日本、ドイツ、シンガポール、北米等の開発拠点が連携して、社会と産業のニーズに幅広く対応する商品・技術の開発を積極的に進めてまいります。
研究開発は、主に当社のイノベーション本部により推進されており、研究開発スタッフはグループ全体で約209名にのぼり、これは従業員総数の2.6%にあたります。当連結会計年度の研究開発費の総額は
当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発概要と主な成果および研究開発費は、以下のとおりです。
(1) 電子市場
電子産業における生産性向上に寄与する中で、CO2排出量削減、水使用量および廃棄物削減に貢献し、使用材料のマテリアルリサイクルなど循環型社会の実現に向けた開発に取り組んでいます。当該連結会計年度における主な成果は次のとおりです。
・従来の超純水製造システムから、酸・アルカリの薬品使用量を大幅に低減した、環境負荷低減型の超純水製造システムを開発しました。顧客の水使用量に応じて、水質変動なく造水量を変化させる、流量可変型技術を組み合わせ、無駄な送水エネルギーを抑制することで、顧客のCO2削減にも大きく貢献します。
・半導体製造プロセスにおける生産性向上、超純水使用量削減、および薬品使用量削減に向けて、近年、AIなどの高性能デバイス向けに配線接合技術として注目を集めている三次元積層で採用されている接合工程において、配線材料の溶解を防止し接合面を洗浄する機能水供給ユニットを最先端半導体研究機関との協業により開発しました。
なお、当セグメントに係る研究開発費は
(2) 一般水処理市場
顧客の節水・CO2排出量削減・生産性向上や社会課題に貢献する技術開発や、排水の回収・再利用、廃棄物の削減・リサイクルや、再生可能エネルギー創出などの循環型社会の実現に向けた技術開発に取り組んでいます。当該連結会計年度における主な成果は次のとおりです。
・水と環境に係る社会課題であるPFAS(有機フッ素化合物)への対応においてPFASの分析、処理および無害化までの顧客の課題を一貫して解決するため、顧客のニーズに基づいて異なる処理方式の活性炭設備を用いるPFAS除去システムとISO規格に基づいた水中の低濃度PFAS分析技術を開発しました。
・顧客の用水・排水回収処理における節水・CO2排出量削減に向けて、RO膜に付着する無機スケールの析出を抑制しRO膜処理装置の水回収率を向上させる運転技術、排水回収装置でのRO膜の耐汚染性を向上させるRO膜処理技術を開発しました。
なお、当セグメントに係る研究開発費は