第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、「優秀な製品による社会への貢献」を経営理念とし、法の下に社業を忠実に行い、職務を通じて社会の進歩と発展に寄与することが責任遂行の基本と考え、高性能、高品質の製品を開発し、国内外の顧客に供給することによって、豊かな社会作りに貢献するとともに、会社の限りない繁栄を実現することを経営の基本方針としております。

当社は建設機械メーカーとして長きに渡り、上記の経営方針に則り、これまで蓄積してきた技術と経験を活かしたモノづくりを行ってまいりました。

しかしながら近年、国内需要の伸び悩みや海外メーカーとの競争が一層激化しております。さらにグローバルサプライチェーンの混乱や鋼材を始めとする原材料や原油価格の高騰による収益への影響に加え、米中の貿易摩擦やロシアのウクライナ侵攻により国際情勢も不安定さを増しており、当社を取り巻く事業環境は厳しい状況が続いております。

このような環境下においても経営方針を守り、絶やすことなく付加価値の高い製品を製造・販売していくことが社会づくりの基盤たる建設機械メーカーとしての当社の責務と考えております。

さらに事業を磨き上げ、将来に向けさらなる飛躍を果たし、あらゆるステークホルダーから共感・支持を得られる企業であり続けられるよう、全社一丸となって取り組んでまいります。

 

 

(2) 当社グループの経営環境

当社グループは、当社を中心に国内外にある子会社及び関連会社とともに、「建設用クレーン」、「油圧ショベル等」及び「その他の建設機械」の製造・販売を主要事業とする企業構造となっております。当社グループは構成単位ごとの独立性や採算性をもとに、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績の評価を定期的に行っております。

当社グループの主要な市場は先進国・開発途上国を問わず、当社製品を必要とするあらゆる地域でありますが、「日本国内」、「中国」及び「その他海外諸地域」(東南アジア、ヨーロッパ、北米)を当社グループの主要な市場として捉えており、日本国内においては当社が、中国及びその他海外諸地域では当該地域の子会社が製造・販売活動を行っております。当該地域の製造・販売拠点を基礎として報告セグメントを決定しております。

現在の当社グループを取り巻く市場環境は、国内では緩やかな需要回復が継続している一方、海外においては新型コロナウイルス感染症の影響に地域差が生じております。2022年3月期においては、EUコロナ復興基金によるインフラ投資拡大に伴い油圧ショベル等の需要が欧州にて拡大したほか、北米でも同機種の販売が好調に推移いたしました。反面、中国においては、景気減退のなかインフラ投資の鈍化や地場メーカーの販売攻勢もあり、厳しい販売環境が続いております。

 

(3) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題

① 中長期的な会社の経営戦略

国内における新型コロナウイルスの影響は小康状態が継続し、建設機械の需要も堅調に推移するものと想定しております。海外においては、欧州・北米でのさらなる需要拡大が期待される一方、国内に次ぐ主力市場である中国においては、厳しい事業環境が今後も継続するものと見込んでおります。

足元では鋼材を始めとする原材料や原油価格の高騰に加え、半導体不足等によるサプライチェーンの混乱、さらにロシアのウクライナ侵攻といった地政学的リスクなど不透明な事業環境が継続しております。

当社グループでは、厳しい事業環境下でも安定した業績をあげるためには、抜本的な収益力と体質改善が必要であると考え全社横断のプロジェクト(KATO Reborn Project)を組成し、各施策を推進してまいりました。また、これらの各施策を引継ぎ、さらなる成長を遂げることを目的に2022年度を初年度とする3ヶ年の新たな中期経営計画を策定し、2022年3月に公表いたしました。

 

新たな中期経営計画は、将来への飛躍に向けた準備期間との位置づけとして、優先課題として捉えているコストの削減、在庫水準の改善、製品開発の推進を進めてまいります

これらの推進状況に関するモニタリング機能強化の一環として、経営企画部門の機能を強化し、施策の進捗状況を管理し、会社全体のPDCAサイクルを図ってまいります。

 

「中期経営計画2022-2024」のテーマ及び基本方針並びに数値計画については以下のとおりです。

 

●テーマ

『スリムで骨太体質への変革』次なる飛躍に向けた徹底的な変革の3年間

 

●基本方針

収益性改善・強化

人員・設備・投資などのリソースをコア事業に集中させ、抜本的な改革を行い、収益性強化

財務体質の改善

在庫を中心とした運転資本を適正化し、資金効率を向上

将来の基盤構築

将来成長に向け、開発機種をコア事業に集中

 

 

●数値計画

 

2022年3月期

(当期実績)

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

売上高

63,549百万円

64,100百万円

64,400百万円

66,400百万円

売上原価率

89.6%

85.4%

83.7%

83.2%

営業利益

△7,222百万円

1,300百万円

2,500百万円

3,100百万円

営業利益率

△11.4%

2.0%

3.9%

4.7%

棚卸資産

32,070百万円

31,000百万円

31,800百万円

32,700百万円

 

 

なお、当社は株式会社東京証券取引所の市場区分見直しに際し、プライム市場選択の届出を行い、2022年4月に同市場に移行いたしました。一方で2022年3月末時点において同市場の上場維持基準に設定された流通株式時価総額100億円を充たしておりません。新たな中期経営計画を推進し、企業価値と株主還元の双方を高めることで早期に数値基準の達成ができるよう努めてまいります。

 

 

② 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染拡大の影響により業績が悪化した2020年3月期以降、当社は3期連続の赤字決算が続いており、併せて財務状況も大幅に悪化いたしました。収益面と財務面の早期改善・健全化を最優先課題にあげ、2022年3月期中での施策の実施と経理処理を強く意識して進めてまいりました。収益面の改善策については、来期以降の人件費を抑制するため希望退職者の募集(結果119名が応募し、2022年3月末退職)を行ったほか、国内支店・営業所の統廃合を行いました。また、財務面の改善については、棚卸資産の圧縮に加え事業外遊休地3件の売却を行ったほか、コロナ禍により建設を中断していた茨城県ひたちなか市の工場用地の売却を決議し、解散するタイの連結子会社が保有する固定資産と併せ減損損失を計上いたしました。さらに連結子会社である加藤(中国)工程机械有限公司にて回収見込みが不確定と判断した債権分を貸倒引当金として計上いたしました。これらは早期の黒字転換と財務体質改善のために必要な施策として実施したものであり、結果として2022年3月期は一過性の損失計上が増加したことを受け、赤字幅が増大いたしました。

お、実施済のものを含め、新中期経営計画では2025年3月期までの収益改善として以下の施策を掲げております。

分類

改善金額(百万円)

内容

営業施策

1,300

・販売単価アップ

・販売台数の拡大

・国内販売拠点の統廃合

開発施策

820

・既存製品の徹底的なコストダウン

・新製品群の市場投入

製造施策

580

・生産コストの抜本的な見直し

・生産の平準化

人事施策

1,200

・希望退職の募集

・外部出向

その他施策

940

・各種固定費の削減

・アフターサービス事業の強化など

合計

4,840

 

 

 

 2023年3月期の業績見通しについて

2023年3月期の業績見通しについては、2022年3月期に計上した多額の損失が一過性のものであり、これまで推進してきたプロジェクト(KATO Reborn Project)及び中期経営計画の施策が奏功することで、特に収益面では大幅に改善するものと想定しております。一方で、海外における当社主力市場である中国の景気減退や地場メーカーとの競争に加え、ゼロコロナ政策など不透明な状況は続いております。また、サプライチェーンの混乱による工場の稼働低下、原材料や原油価格の高騰による売上原価の高止まり等が現状、収益を押し下げる要因として捉えております。

新中期経営計画で掲げた施策を遅滞なく進め、計画数値を達成してまいります。

なお、2023年3月期の業績見通しは以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

2023年3月期

64,100

1,300

1,000

600

 

 

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「中期経営計画2022-2024」において、収益性改善・強化、財務体質の改善、将来の基盤構築 を基本方針としております。したがって、それを実現する経営指標として、売上高、売上原価率、営業利益、営業利益率、棚卸資産の残高を目標としております。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは下記に記すとおりです。

なお、文中に記載の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 資金調達等について

当社グループでは、資金調達の機動性ならびに安定性向上のため、金融機関との良好な関係を維持しつつ、銀行借入に加え社債発行などによる資金調達手段の多様化やコミットメントライン契約の締結を行っております。

シンジケートローン契約やコミットメントライン契約及びその他一部の借入金には財務制限条項が付されており、特定の条項に抵触し、返済請求を受けた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 債権管理について

当社グループが扱う建設機械等は、比較的高額な売買となるため、国内・海外の取引先の業態や資金状況に応じた与信管理を行うとともに、必要に応じて担保の提供を受けるなど、不良債権の発生防止に努めております。また、一定の条件に該当する取引先に関しては、外部信用調査機関による信用調査情報に基づいて与信限度額の見直しやモニタリング等、定期的に債権審査会議を行っております。

貸倒引当金の計上に関して、一般債権については貸倒実績率により計上しており、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。しかしながら、景気の動向等によっては、追加的な引当計上の発生リスクがあり、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 棚卸資産について

当社グループには、比較的大型の製品が多いため、原材料、部品及び完成品等棚卸資産の在庫管理においては長期の需要予測を行うことによってその適正化に努めています。しかしながら、予期せぬ需要の減少や販売価格の下落、在庫期間の長期化が生じ、評価損の計上を余儀なくされた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 設備投資について

当社グループは、比較的大型の製品を製作する都合上、工場敷地、生産設備等に高額の設備投資を要する場合があります。遊休資産については売却等を進め、財務体質の改善に努めておりますが、一部の事業用固定資産につきましては、当連結会計年度において減損損失を計上しております。また、事業環境の悪化等により収益性が事業計画の想定を下回る場合には、新たに減損損失を計上する場合があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、経営企画部門が中心となって業績及び「中期経営計画2022-2024」における各施策の進捗状況を管理しており、PDCAサイクルを円滑に回していくことで、これらリスクの低減に努めております。

 

(5) 経済、市場環境等の変動について

当社グループは、景気循環の影響を受け易い産業に属していると考えています。国内市場はもとより、先進国、新興国それぞれのインフラヘの公共投資、民間設備投資やエネルギー価格、地域紛争の影響による経済安全保障、通貨変動等の要因が当社グループ製品の需要に影響を与える可能性があります。加えて、世界的規模で経済・市場環境が急激に悪化した場合も、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ロシア・ウクライナ情勢や中国のゼロコロナ政策の影響による物流の混乱やエネルギー価格及び原材料の高騰などにより、世界経済が大きく減速し、当社グループの販売及び部品調達計画に影響を及ぼす可能性があります。なお、現在ロシア向けの製品販売を停止しておりますが、その影響は軽微であります。

 

(6) 新型コロナウイルス感染症について

当社グループにおいては、対策本部を設置し、感染症拡大以降、国内の全ての職場においてソーシャルディスタンスの確保、在宅勤務の推進、消毒環境の整備などを継続して実施しております。また、海外子会社においては現地の感染対策に則った対応を継続しています。結果として、これまで一時的な生産活動の停止はあったもの、直接的な事業活動に与えた影響は軽微でありました。

しかしながら更なる大規模感染拡大が生じた場合には生産、販売に支障をきたすあるいは事業活動が一時的に停止するなどし、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 海外事業について

当社グループは、海外販路の拡大を図るため中国、アジア、欧州、北米において生産・販売の事業活動を展開しております。

 

これらの地域において、政治・経済の著しい変化、労働環境の違いによる労働争議等の発生、紛争・テロ・自然災害・感染症の発生やその対策により、大幅な需要の減少や、操業の中断など、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、海外子会社に適切な管理者の派遣を行うとともに、定期的なカントリーリスク分析及びモニタリングを実施するなど、各社の独立性を保ちながらリスクの低減に努めております。

 

(8) 各仕向け国の規制等について

当社グループの製品は、日本はもとより輸出先各国の様々な法令、規制等の適用を受けます。機械安全に係る保安事項はもとより、最近は特に環境保全のための排出ガス規制が年々強化される傾向にあります。その他にも、各国の政策による輸入制限、輸入禁止措置等が発生する可能性もあり、これらが業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、それら法令、規制等の迅速な情報入手と対応の策定に関するリスク管理体制を構築しております。

 

(9) 原材料の調達及び生産について

当社グループの製品は、調達部品の比率が比較的高く、原材料価格の高騰などによる原価高の発生や、部品や資材の仕入状況の悪化等が生産への影響、ひいては業績の悪化へとつながる可能性があります。

当社グループでは、社内における原価低減活動に加え、仕入先企業とのコミュニケーション強化を図り、最適価格の維持を図りつつ安定供給体制の維持に努めています。また、長期のリードタイムを要する調達部品、調達リスクの高い部品については特に在庫管理と生産計画管理の徹底を図っております。

 

(10) 製品の不具合等について

当社グループでは、製品の欠陥による大規模リコールや市場対策措置の実施に伴う多額の措置費用、また大型の機械であるが故に製品事故が発生した場合、多額の賠償責任費用を負うリスクが有り、これらは当社グループの信用にも重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社は、製造物責任保険等で十分な保障額の付保を図っておりますが、保証額を超えた場合、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 為替レートの変動について

当社グループは、販売、海外調達を実施している仕入れ等輸出入において為替レートの変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、この変動リスクを回避するため、円建てによる輸出取引に加え、外貨建債権の為替予約取引を基本としております。さらに回収した外貨で輸入取引の決済を相殺するなど為替変動によるリスクを最小限に抑えるよう留意しております。

 

(12) 自然災害・事故、気候変動等について

当社グループでは、地震、火災、風水害等、自然災害の発生に対して一定の防災対策は講じておりますが、生産活動及び事業活動に支障をきたした場合、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、特に近年、気温や海水温の上昇などの気候変動により、集中豪雨や強力な台風等が増加する可能性が指摘されており、当社グループでは、気候変動に伴うリスクを低減しつつ、製造メーカーとして高まる環境問題の改善に少しでも寄与していけるよう、積極的に対応してまいります。

 

(13) 継続企業の前提に関する重要事象等

  当社が取引金融機関との間で締結しているシンジケートローン契約、コミットメントライン契約及びその他借入金契約の内、借入金残高121億7千9百万円は財務制限条項が付されているものがあります。

当連結会計年度末において、以下の条項に抵触しております。

・ 121億7千9百万円の内、59億9千7百万円については、各事業年度末日における連結の損益計算書に記載される経常損益を2期連続して損失としないこと

  当社は当連結会計年度において「KATO Reborn Project」を起点とした各施策を実施し、業績及び財務状況の改善に取り組んでまいりました。その間、取引金融機関とは建設的な協議を重ね、当期末において財務制限条項に抵触する借入金について、期限の利益喪失の請求権を行使しないことについての合意を得ており、各施策の一環として行った資金効率改善の取組みにより、手許資金は潤沢で資金繰りに懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

  ① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が残る一方、ワクチン接種の普及や公共投資等の施策により持ち直しつつあり、建設機械の需要も緩やかながら回復基調にあります。

しかしながら、鋼材をはじめとする原材料価格や原油価格の高騰、半導体不足等によるサプライチェーンの混乱に加え、中国の景気後退やロシアのウクライナ侵攻等、業界を取り巻く事業環境は依然として厳しく、不安定な状況が継続しております。

このような状況下、当社は経営基盤の強化と事業構造改革を経営課題に掲げ、抜本的な収益力と体質改善に向けたプロジェクト(KATO Reborn Project)を立ち上げ、全社をあげて様々な施策に取り組んでまいりました。営業部門では、売上や販売台数の確保から利益重視へ販売戦略を転換するとともに、製造部門における外注業務や調達部門の発注部品の見直し等、変動費やコストの削減も併せて推進してまいりました。さらに棚卸資産の削減や事業外遊休地の売却等、財務体質の改善にも努めてまいりました。

当連結会計年度の経営成績は、アジア・大洋州での建設用クレーン及び北米・欧州での油圧ショベルの販売増が主因となり、売上高は635億4千9百万円(前年同期比108.6%)と、前期比50億2千9百万円の増収となりました。

一方で、前述しました収益構造改革の一環として、売上原価に棚卸資産評価損11億5千6百万円、販売費及び一般管理費に加藤(中国)工程机械有限公司の貸倒引当金繰入額51億5千5百万円を計上したことに加え、特別損失に常陸那珂工場(仮称)の減損損失15億6千4百万円、KATO WORKS(THAILAND)CO.,LTD.の固定資産の減損損失14億3千万円、さらに希望退職による特別退職金等の事業構造改善費用5億5千1百万円を計上いたしました。

これらの結果、営業損失72億2千2百万円前年同期は営業損失28億1千万円)、経常損失69億2千9百万円(前年同期は経常損失19億2千1百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失95億7千5百万円前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失57億3千8百万円)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用により、当連結会計年度の売上高は33百万円減少し、販売費及び一般管理費は33百万円減少しております。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
 (日本)

国内の建設用クレーンは、前年度のコロナショックによる需要減から緩やかな回復基調にある中、新型の大型ラフター投入効果もあり、売上高は308億8千9百万円(前年同期比101.9%)となりました。海外向け建設用クレーンは、アジア・大洋州で増加し、売上高は50億7千6百万円(前年同期比114.4%)となりました。

国内の油圧ショベル等は、公共工事・民間工事の回復から需要は堅調に推移し、売上高は114億6千3百万円(前年同期比107.3%)となりました。海外向け油圧ショベル等は、北米向けの増加により、売上高は58億7千9百万円(前年同期比138.9%)となりました。

日本の売上高は544億5百万円(前年同期比106.1%)、セグメント損失は23億3百万円(前年同期はセグメント損失25億1千1百万円)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は33百万円減少し、販売費及び一般管理費は33百万円減少しております。

 

 (中国)

中国は、インフラ投資の鈍化や地場メーカーの販売攻勢により、厳しい販売環境にて推移いたしました。

中国の売上高は60億5百万円(前年同期比89.8%)となり、貸倒引当金繰入額51億5千5百万円を計上した結果、セグメント損失は51億6千9百万円(前年同期はセグメント利益3億4千9百万円)となりました。

 

 (その他)

その他の地域におきましては、欧州においてEUコロナ復興基金によるインフラ投資の拡大に伴い、油圧ショベル等の需要が拡大し、売上高は58億2千1百万円(前年同期比197.9%)となり、セグメント損失は1億3千8百万円(前年同期はセグメント損失10億6千3百万円)となりました。

 

 

 財政状態については、次のとおりであります。

  (資産の状況)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末の1,158億2千2百万円に比べ131億7千6百万円減少し、1,026億4千5百万円となりました。これは主として、現金及び預金の増加38億8千6百万円破産更生債権等の増加67億7千5百万円と売掛金の減少35億7千6百万円、棚卸資産の減少87億4千3百万円、有形固定資産の減少40億5千万円、貸倒引当金の増加による減少53億2千1百万円によるものであります。

 

  (負債の状況)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末の643億2千7百万円に比べ59億2千7百万円減少し、584億円となりました。これは主として、支払手形及び買掛金の増加8億6千8百万円短期借入金の減少10億8千4百万円1年内長期借入金の減少14億7千2百万円長期借入金の減少44億8百万円によるものであります。

 

  (純資産の状況)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末の514億9千4百万円に比べ72億4千8百万円減少し、442億4千5百万円となりました。これは主として、為替換算調整勘定の増加23億6千5百万円利益剰余金の減少96億9千2百万円によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は186億6千9百万円となり、前連結会計年度末と比べ40億5千4百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況につきましては、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金は、95億4千7百万円の増加となりました。その主な要因は、減価償却費19億5千6百万円減損損失29億9千5百万円貸倒引当金の増加47億9千6百万円売上債権の減少63億4千2百万円及び棚卸資産の減少94億2千7百万円の増加要因と、税金等調整前当期純損失90億1千7百万円固定資産売却益13億7千4百万円及び破産更生債権等の増加67億7千5百万円の減少要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金は、4億9千6百万円の増加となりました。その主な要因は、有形固定資産の売却による収入14億1百万円の増加要因と有形固定資産の取得による支出11億8千6百万円の減少要因によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金は、66億3千7百万円の減少となりました。その主な要因は、セールアンド割賦バック取引による収入15億4千6百万円の増加要因によるものと短期借入金の純減少額11億6千1百万円長期借入金の返済による支出59億1百万円社債の償還による支出5億2千4百万円の減少要因によるものであります。

 

 

   キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2018年
3月期

2019年
3月期

2020年
3月期

2021年
3月期

2022年
3月期

自己資本比率(%)

46.6

45.8

43.5

43.6

42.0

時価ベースの自己資本比率(%)

23.8

24.4

11.0

11.7

8.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.5

39.5

17.2

4.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

43.1

4.2

10.2

32.9

 

(注)自己資本比率: 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率: 株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率: 有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ: 営業キャッシュ・フロー/利払い

※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を用いております。

※2020年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、営業キャッシュ・フロー数値がマイナスのため、表記を省略しております。

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

44,457

△1.7

中国

5,973

 10.8

その他

2,646

△15.0

合計

53,077

△1.2

 

(注)  金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

当社グループの主要製品の生産方式は、ほとんどが見込生産方式なので、受注実績の記載は省略しております。

 

 c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

51,958

 5.8

中国

5,998

△10.1

その他

5,592

 104.3

合計

63,549

8.6

 

(注)  1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 当連結会計年度において、その他セグメントにおいて販売実績に著しい変動がありました。これは主に欧州にて新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の普及やロックダウン解除に伴う需要回復によるものであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。

なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針は「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.経営成績等の分析

   当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりであります。

 

   (売上高)

 当連結会計年度の売上高は635億4千9百万円(前年同期比108.6%)となりました。主要品目別の売上高の状況及び分析は以下のとおりであります。

     建設用クレーン

国内売上高は308億8千9百万円(前年同期比101.9%)とほぼ横ばいの推移になりました。35t・60tラフターの新機種投入効果もあり、大型ラフターが増加いたしました。海外売上高は、アジア・大洋州向けを中心に販売が増加し、62億7千4百万円(前年同期比140.9%)となりました。よって、建設用クレーンの売上高は371億6千3百万円(前年同期比106.9%)となりました。

 

    油圧ショベル等

国内売上高は、公共工事・民間工事の回復から需要は堅調に推移し、114億6千3百万円(前年同期比107.3%)となりました。海外売上高は、中国において景気後退により減少したものの、北米・欧州での需要が増加したため、138億2千5百万円(前年同期比120.6%)となりました。よって、油圧ショベル等の売上高は252億8千8百万円(前年同期比114.2%)となりました。

 

その他

その他の売上高は10億9千6百万円(前年同期比68.4%)となりました。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ10億3百万円増加し、66億3千5百万円前年同期比117.8%)となりました。その主な要因は、主として一過性の要因による棚卸資産の評価損が11億5千6百万円あったものの、売上高の増加効果と、部品メーカー及び外注先の協力もあり「抜本的なコスト構造の見直し」施策の短期的効果部分が発現したことによるものであります。その結果、売上総利益率は0.8ポイント増加し、10.4%となりました。

 

(営業損益)

 当連結会計年度の営業損益は、売上高が増加するとともに販売費及び一般管理費の削減に努めたものの、「売上債権の厳格化」の取組み施策も相まって、当社連結子会社である加藤(中国)工程机械有限公司の貸倒引当金繰入額51億5千5百万円を計上したことにより、前連結会計年度と比較し44億1千1百万円減少し、営業損失72億2千2百万円前年同期は営業損失28億1千万円)となりました。

 

(経常損益)

 当連結会計年度の営業外収益は、貸倒引当金戻入額及び製品保証引当金戻入額の減少により6億8百万円減少し、10億1千1百万円前年同期比62.5%)となりました。営業外費用は、1千2百万円減少し、7億1千8百万円前年同期比98.3%)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の経常損益は、前連結会計年度に比べ50億7百万円減少し、経常損失69億2千9百万円(前年同期は経常損失19億2千1百万円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

 当連結会計年度の特別利益は、「構造改革によるキャッシュ・フロー改善」の施策の一環である遊休資産(土地)の売却による固定資産売却益と、政策保有の株式を見直し、売却したことによる投資有価証券売却益の増加により前連結会計年度に比べ13億5千万円増加し、14億5千8百万円となりました。特別損失は、前連結会計年度に比べ28億4千2百万円増加し、35億4千6百万円となりました。これは、抜本的な事業構造の見直しにより、常陸那珂工場(仮称)とKATO WORKS(THAILAND)CO.,LTD.の固定資産の減損損失29億9千5百万円を計上した影響と希望退職による特別退職金等の事業構造改善費用として5億5千1百万円計上したことによるものであります。法人税等合計は、前連結会計年度に比べ26億5千8百万円減少し、5億7千2百万円となりました。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は95億7千5百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失57億3千8百万円)となりました。

 

  b.キャッシュ・フローの状況及び、資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資金需要は主に運転資金、設備投資資金、研究開発資金であります。

 運転資金のうち主なものは、製品製造のための原材料や販売用部品の仕入費用費や労務費及び製造経費をはじめ、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。当社グループは製造メーカーではありますが、外注先等による部品・半製品の製造のリードタイムを相当程度必要とするため、先行した部材の確保が必要です。また販売用部品の欠品を防ぐ必要性からも在庫負担が大きいという特徴があります。

 設備投資資金は主として、生産活動に必要な工場設備であり、研究開発資金は新製品の開発に係る費用及び開発部門の人件費であります。

 これらの資金需要につきまして、短期資金需要については、手元資金や営業活動により得られたキャッシュ・フロー及びコミットメントライン等の融資枠による金融機関からの短期借入を基本としております。また、長期運転資金及び大規模な設備投資資金については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの長期借入や社債を基本としております。

 当連結会計年度末における有利子負債の残高は402億3千万円、現金及び現金同等物の残高は186億6千9百万円となり、よってネット有利子負債は215億6千万円(前年同期比67.6%)となりました。有利子負債が大きく減少している理由といたしましては、当社グループの大きな資金需要である在庫に関して、当年度の「KATO Reborn Project」による財務体質の改善施策により、棚卸資産残高の適正化を図ったことによります。

 なお、常陸那珂工場(仮称)の建設中止・売却方針により当面の新工場の建設等に係る設備投資資金の需要は終了しましたが、コア事業及び将来成長に向けた新製品の開発には積極的かつ集中的に資金を振り向けていきます。

 

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは「中期経営計画2019-2021」において、総合建機メーカーを目指し、取り組みを行ってまいりましたが、当該中期経営計画の最終年において、国内の建設機械投資の鈍化、海外でのグローバル競争の激化、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う低迷による売上減少に伴い、取り組みの効果を実現することが困難となり方針を転換いたしました。

 このような事業環境に対応するため、早期に業績改善を行い、将来に向けた再成長を実現していくために、当期においては、「KATO Reborn Project」を2021年8月6日に公表し、収益性の改善と資金効率改善を重点的な方針とし、各重点テーマに即して短期的施策を着実に実施し、長期的な課題取り組みのために事業構造の改善に努めました。

 当社グループは、「KATO Reborn Project」の各施策を引継ぎ、持続的な成長と企業価値の向上を実現するために2023年3月期を初年度とする「中期経営計画2022-2024『スリムで骨太体質への変革』―次なる飛躍に向けた徹底的な変革の3年―」を策定し、厳しい事業環境下においても、コスト構造を根本から見直し、強靭な利益体質へと生まれ変わるために、その進捗を計る経営指標として、売上高、売上原価率、営業利益、営業利益率、棚卸資産残高を定めております。中期経営計画最終年度の2024年度(2025年3月期)においては、売上高664億円、売上原価率83.2%、営業利益31億円、営業利益率4.7%、棚卸資産残高327億円を数値目標としております。

 

 なお、経営指標は、新中期経営計画により定めたものでありますが、当連結会計年度の実績値は以下となりました。

 

 

2021年3月期

(前期実績)

2022年3月期

(当期実績)

売上高    (百万円)

58,519

63,549

売上原価率   (%)

90.4

89.6

営業利益   (百万円)

△2,810

△7,222

営業利益率   (%)

△4.8

△11.4

棚卸資産残高 (百万円)

40,814

32,070

 

 

 また、当期連結会計年度におきましては、「KATO Reborn Project」の施策である「売上債権管理の厳格化」などにより、貸倒引当金繰入額の追加計上等一過性の費用が増大したため、営業利益及び営業利益率は悪化しましたが、売上高は回復基調であるとともに、「在庫管理の厳格化及び在庫圧縮」に努めたため、棚卸資産残高につきましては、適正水準まで改善しております。

 

d.経営成績等に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性がある事項については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

新型コロナウイルス感染症については、ワクチン接種の進展等により新規感染者数が減少傾向でありますが、世界各国の地域状況により、再度の感染拡大の恐れがあるとともに、ロシアのウクライナ侵攻により、世界経済の先行きの不透明感は一層高まっております。

また、それに伴い当社グループの製品においては、多くの部材や外注品、多種の油圧部品や電子・自動車部品を必要とする為、今後も加速するであろう世界的な部品調達難、および物流価格の高騰により売上高及び利益に影響を及ぼす要因があります。

主としては、

・仕入先企業からの部品や資材の調達難による生産の見合わせ

・国内及び海外工場の生産調整、生産停止による稼働率の低下

・取引先からの受注の減少、キャンセルによる製品販売台数の減少、滞留在庫の増加

・製品の需給バランスが崩れることによる製品販売価格の下落

・取引先の財政状態悪化、信用不安による貸倒リスクの増加

であります。そのため「KATO Reborn Project」において分析した結果を踏まえ、コンサルタントの活用、生産・販売・設計のIT環境の充実、子会社及び国内支店・営業所の整理統合によるスリム化・組織変更などの事業体制の整備はもとより、品質保証部門や経営企画部門の整備による管理体制の強化を進め、常に市場動向及び業界動向に注視しつつ、社会及び顧客のニーズに合った製品開発とサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、建設用クレーン、油圧ショベル等及びその他の製品の新技術、新製品の開発と新規分野開拓のための研究に重点をおき、積極的に研究開発活動を推進しております。

研究開発活動の中心課題は、電子・制御工学ならびに新素材等の最先端技術の導入による製品の効率化、多機能化、環境保全及び安全性の向上であります。当連結会計年度における研究開発費は総額1,892百万円であります。

研究開発活動は主として日本セグメントで行っており、次のとおりであります。

 

(1) 建設用クレーン

国内向けのラフテレーンクレーンでは、13t吊/4.9t吊、35t吊、60t吊、75t吊の4機種を開発いたしました。

13t/4.9t吊の「MR-130RfⅡ/MR-130RfMⅡ」と35t吊の「MR-350RfⅡ」は、2軸のキャリヤに、2段または3段ジブの空中振出式EJIB Type-Sを搭載しております。特に、MR-350RfⅡは、油圧により伸縮・起伏することができる3段ジブを装備しており、旋回後端半径も小さいため狭い現場で懐の深い荷役作業が可能となっております。これらの2機種は、走行時にブームを前下がりに格納して前方視界を確保しております。

60t吊の「SL-600RfⅡ」は、3軸キャリヤに油圧により伸縮・起伏することができる3段ジブの空中振出式EJIBを搭載しております。75t吊の「SL-750RfⅡ」は、4軸キャリヤで80t吊の「SL-850RfⅡ」を基本車として、別送式のカウンタウエイト機能を無くしたものであります。これらの2機種は、市場からの装備要求が多い吊荷監視カメラの新たな機能として「無線式吊荷監視カメラ用電源供給システム」をオプションとして設定しております。

いずれの機種も運転席に12.1インチ大画面タッチモニタを装備したサラウンドビューシステムや人検知支援システム、車両直近の障害物を検知するクリアランスソナーやタイヤ空気圧モニタリングシステム等の安全機能を標準またはオプションで設定しております。また、35t吊と60t吊につきましては、ラフテレーンクレーンでは初めての採用となる走行安全機能として、ブレーキペダルから足を離してもブレーキ制動を保持し坂道の発進をサポートする「坂道発進補助装置」を標準で装備しております。

これらの機種の新規設定により、国内向けラフテレーンクレーンは4.9t吊から80t吊まで、10機種のラインナップとなりました。

なお、今後も各シリーズのラインナップ拡充、カーボンニュートラルへの対応を図るべく、研究開発を進めてまいります。

 

(2) 油圧ショベル等

中大型ショベルでは、国内向けとして50tクラスの「HD2050-7」を開発いたしました。欧州の排出ガス規制(StageⅤ)にも対応している最新型エンジンを搭載しております。あわせて、新型の油圧機器を採用し作業性能を向上させることで、低燃費、低騒音化による環境負荷の軽減を図っております。

ミニショベルでは、1.9tクラスを市場投入いたします。クロ-ラ幅可変機構を標準装備し、狭い現場に進入することが可能となります。キャノピ仕様とキャブ仕様を選択することができ、運転席周りのスペ-スを広く設計しております。本機の主な市場は北欧諸国、中国、北米となります。また、中国排出ガス規制(GB4)に適合したモデルチェンジ機はグロ-バルモデルと位置付け、日本国内の仕様に準じた大幅なスペックアップをしており、2022年12月に施行される規制開始時期と同時に市場投入いたします。

今後も最新の排出ガス規制に適合した機種の市場投入を順次進めてまいります。また、カーボンニュートラルへの取り組みとして、電動化製品の開発にも積極的に取り組んでまいります。

クローラキャリアでは、7.5t及び10t積載のモデルチェンジ機を2022年度に市場投入いたします。電子制御コントロ-ルの採用でスム-ズな操作性と燃費改善を実現し、低重心化により安定性が向上しております。また、3.7t積載のモデルチェンジ機も2022年度に市場投入いたします。国内・北米の排出ガス規制に適合しているとともに、欧州排出ガス規制(StageⅤ)にも適合しています。このクラスでは初の電子制御システムを採用しており、IoTに対応できる機種となっています。その他、旋回型クロ-ラキャリアのシリーズ開発も優先的に進めてまいります。

今後も、早期の市場導入に向けて、積極的に取り組んでまいります。

 

(3) その他の製品

空港用除雪車Sシリ-ズでは、高出力のエンジンに換装し、ブロワ(送風機)を2個搭載したスノースイーパー「S-380CⅡ」を市場投入いたしました。