(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、企業ビジョンを「株式会社 北川鉄工所はものづくりという業にあって、お客様の喜びを我々の喜びとし、素直な心を尊び、勇気ある行動を敬い、自己実現の場として自律した活力あるリーダーを育成し、技術を誇り、未知なる世界に挑戦するQuality Businessを実践する集団である。」と掲げ、グループ社員全員でこの価値観を共有して実践することが、ものづくり企業としての企業価値の向上に繋がるものと考えております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、2021年度に長期経営計画「Plus Decade 2031」を策定し、その中で2031年度に連結売上高1,000億円、2027年度に連結営業利益で43億円を目標として掲げております。そして、当該目標を達成するために、2024年11月に2025年度からの3か年計画「中期経営計画2027」を策定いたしました。本計画では資本コストを上回る収益の確保を目指すべく、2027年度には投下資本利益率(ROIC)を6.0%、自己資本利益率(ROE)を6.5%と設定しております。
また、資本政策につきましても、キャピタリゼーション比率を25〜30%と設定し、新規事業投資と株主還元を行いつつ、自己資本と有利子負債のバランスを図ってまいります。
当社グループは、「Plus Decade 2031」の実現に向けて基盤事業の収益力改善・強化を図り、事業・収益構造の転換に向けた土台作りを進めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、グループ全体の視点から、事業ビジョン、組織ビジョンを明確化し、中長期的な戦略に取り組んでおります。「Plus Decade 2031」のビジョンは「4つの価値観を実践し、世界基準の成長を実現する」です。当社の行動原理である「4つの価値観」を実践することで、世界経済の成長に立ち遅れることなく、継続した事業規模の拡大に取り組んでまいります。また、本計画の骨子として以下の3点を重点項目に挙げております。
①事業構造の転換
主として工作機器事業・産業機械事業・金属素形材事業・半導体関連事業の4事業を行っておりますが、これら既存事業のバランスを見直し、新事業分野やM&Aによる新領域への事業展開を推進することで事業ポートフォリオの再構築を図ります。
②経営品質の進化
ITインフラの強化やAI・3Dモデルの活用など最先端情報技術を実装することで技術基盤を確立してまいります。また、資源の再利用やCO2削減に寄与する商品開発を行い、脱炭素社会の実現に貢献することを目指します。
③人材育成
当社は企業成長の根幹は人材であるという思想のもと、「働きやすく、成長できる企業へ」をテーマに、自ら学習し、思考し、行動できる社員の育成を図ります。また、ジェンダーギャップの解消やダイバーシティの推進などに取り組み、人材育成の基盤を構築してまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
①事業ポートフォリオの転換
経営資源の選択と集中という観点から、抜本的な事業構造の変革を推進するとともに、社外連携やM&Aの活用による既存事業の市場拡大および新規市場の開拓に努め、持続的な企業成長に資する新たなビジネスモデルの創出に取り組んでいきます。
②既存事業の基盤強化
キタガワ グローバル ハンド カンパニー(工作機器事業)は、海外での生産能力の増強や国内外の営業連携強化により海外市場への展開を強化し、また、既存商品の応用や商品とシステムを統合したソリューション提案を推し進め、新たな事業領域へ進出いたします。さらに、DX活用による業務効率の向上や商品の統廃合およびリニューアル、販売価格の見直しなど商品戦略を再構築することにより、事業体制の基盤強化に取り組んでまいります。
キタガワ サン テック カンパニー(産業機械事業)は、コンクリートプラント事業はリードタイムの短縮や、設備配置の自由度の向上により市場競争力を高めてまいります。荷役機械事業は既存商品のシェア拡大を図り、クレーン製造で培った技術の水平展開による新たな商品開発を行います。自走式立体駐車場事業は徹底した収益管理により、安定した収益確保に取り組んでまいります。
キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニー(金属素形材事業)は、経営資源の最適化を目指し、生産性の改善や業務の効率化を進めてまいります。また、継続的な価格交渉により不採算部品の収益性を高めるとともに、不良率の低減およびライン稼働率の向上によりオペレーションの改善を図ります。既存事業の最適化と並行し、新規市場・製品の開発をより強化し、新たな事業領域への参入を目指してまいります。
半導体関連事業は、装置販売体制の強化を行い、半導体等の装置受注の拡大を図ってまいります。また、半導体製造装置を中心とした長期的な事業成長を目指し、半導体分野の対応力強化に向けた投資を本格化いたします。
③働きやすく成長できる環境の構築
多働環境を整備してまいります。また、成長を促進するために、個々のキャリア形成支援や評価・処遇等の人事制度の見直しを行ってまいります。これらの取り組みによって、人材育成の基盤を構築し、社員が成長や働きがいを実感し、自律した活力ある人材へ成長することを目指してまいります。
④デジタル技術活用による業務改革
DX化を加速させるため、人的資源の拡充やITインフラの戦略的更新を実施します。3DモデルやAI、ARなどの活用により、生産性の向上や新たな付加価値の創出に繋げていきます。また、情報セキュリティー対策の充実や基幹システムの再構築によりIT化のリスクの極小化を目指してまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は、気候関連課題や自然資本・循環型社会などを含めた環境課題全体の基本方針や重要事項・目標設定は取締役会で審議・決定しております。
取締役会は、気候変動問題を含むサステナビリティに関わる取り組みに関し、全社リスク委員会より報告を受け、進捗や目標の達成状況を監督し、適宜、方針・取り組みを見直しております。全社リスク管理委員会は、全取締役を委員とし、原則年1回以上開催しております。全社リスク管理委員会の下部組織として、各セグメントの責任者によって構成されたリスク管理委員会を設置し、原則年1回以上開催し、環境課題に関する取り組みを管理・推進しております。
当社では、リスク管理規程に基づき、リスク管理委員会を中核とするリスク管理体制を構築しております。
各セグメントリスク管理委員会は、気候変動に伴う外部環境分析をもとに、環境課題に係わるリスクの特定、経営・財務などへの影響および発生可能性に基づき、その重要度を評価し、対応を協議・決定しております。
また、必要に応じてリスク対策チームを設置し、リスク対策の立案・実施しております。
こうしたリスク管理の状況や重大なリスクの判断に関しては、原則年1回以上、重要度の高いリスク管理については、原則4ヶ月に1回、全社リスク管理委員会に報告しております。
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は「気候変動」および「人的資本」と認識しております。「気候変動」および「人的資本」に係る当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
①気候変動について
気候変動に対する「ガバナンス」はサステナビリティ全般における「ガバナンス」に組み込まれております。詳細は、(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理をご参照ください。
当社は、2030年および2050年における社会動向や規制動向などを予測し、シナリオ分析実施による事業へのリスクと機会を把握した上で、もっとも影響のある項目の事業インパクトの分析と対応した戦略を検討し、具体的な対策の計画・実行を推進しております。
・シナリオ分析の前提
当社のシナリオ分析においては、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに1.5℃に抑える努力を追求する」というパリ協定目標の達成と脱炭素社会の実現を見据え、1.5℃シナリオを中心に2℃シナリオも検討いたしました。さらに、世界的に気候変動対策が十分に進展しない場合も想定して、4℃シナリオも検討いたしました。
1.5℃および2℃シナリオは、温暖化抑止に向けて技術革新や規制強化が進み、社会が変化するもので、移行に伴う機会とリスクとして検討し、4℃シナリオは、十分な温暖化抑止がなされずに酷暑や激甚な暴風雨などが発生するもので、物理的影響に伴う機会とリスクとして検討いたしました。
(注1)財務影響における各記号の影響額については、次のとおりです。
影響 ▲▲、▼▼:1~5億円、▲、▼:1億円未満
(注2)事業セグメントの各略称の内容については、次のとおりです。
KGh:工作機器事業、KST:産業機械事業、KMT:金属素形材事業
(注3)炭素税の金額は、3,500円/t-CO₂として試算しております。
気候変動に対する「リスク管理」はサステナビリティ全般における「リスク管理」に組み込まれております。詳細は、(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理をご参照ください。
当社は、気候変動に伴うリスクと機会を評価・管理するため、2024年11月に中期経営計画2027において指標と目標を策定いたしました。
現在、国内単体のScope1+2の温室効果ガス(主にCO2)排出量を把握し、省エネの推進などの取り組みを進めております。太陽光発電設備(PPA)は、2025年6月に計2,284kw設置いたしました。
また、Scope3を含めた国内ならびに海外も含めたグループ全体の温室効果ガス排出量については、今後集計の精緻化を図るとともに開示可能となった段階で改めて本レポートにて開示いたします。

②人的資本について
当社は、「社員の成長が企業の成長へとつながる」という考えのもと、誰もが仕事にやりがいを感じ、成長できる企業を目指します。一人一人が自ら学習し、思考し、行動する人材となるよう、性別や家庭事情による障壁をなくし誰もが活躍できる環境整備のため、次の方針を掲げ、具体的な施策の計画・実行を進めております。
・働きやすい環境整備
子育てや介護、持病など様々な状況に応じたワークライフバランスを支援する為の各種制度の新設・充実を推進しております。
また、一人ひとりが安心して働ける職場構築を目指し、「対話」を中心としたコミュニケーションの拡充を進めております。
・成長できる環境の構築
成長や働きがいを実感し、自律した活力ある人材の育成を目指し、自己啓発支援やキャリア形成支援のためのさまざまな取り組みを実施しております。
一人ひとりのキャリアパス支援、技術者を中心としたスペシャリスト制度などの仕組づくりを推進してまいります。
イノベーションを創出し、持続的な成長を実現する為には、多様な人材を活かすことが必要ですが、それにはまずは、女性が当たり前に活躍する環境を整えることが重要であると考えております。
前述の働きやすい環境整備に加えて、ジェンダーギャップの本質的な解消に向け、長期的に女性比率を拡大し、無自覚な常識、固定的な見方の払拭への取り組みを推進してまいります。
女性活躍推進の一つの指標である男女の賃金の差異は72.8%となっています。当社では、同じ役割であれば男女で賃金の差は設けていないため、この差は、主に給与の高い管理職以上の社員における男性比率が高いことによるものです。そのため、男女の賃金の差異の解消の方針として、女性活躍推進の取り組みにより、女性の定着をさらに向上するとともに、管理職や指導職の女性比率を女性社員比率に対して適正に上げることを実行していきます。
当社はジェンダーギャップ解消の指標及び目標を次のとおりとしております。
(注)1 指導職とは、課長級より下位の役職全般を指します。 (事務系・技能系)
2 指標に関しては、必ずしもすべての連結子会社ですべての指標のデータ管理が行われていないため、当社グループとしての記載が困難であります。このため、指標に関する目標及び実績は、当社グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
当社は、グループ全体のリスク管理に関する基本的事項および推進体制を「リスク管理規程」において定め、その基本方針および管理の推進体制に基づき、代表取締役会長を委員長とする全社リスク管理委員会で、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止を図っております。
当社グループは、売上高のほとんどが民需を主体とした販売によるものであり、インフレの長期化や金融引締めなど景気の変動による業績への直接的な影響は避けられません。
また、米中貿易摩擦に起因する保護貿易政策の台頭や関税の引上げのような安全保障上の問題は当社グループの売上に大きな影響を及ぼしており、新たな政策の実施や国家間の利害対立など予期せぬ問題が発生した場合、当社グループの事業運営が制限される可能性があります。
当社グループは、工作機器、産業機械、金属素形材、半導体関連と多岐にわたる事業を展開しており、複数の取引先から多種多様な原材料、部品等を調達することにより安定的なサプライチェーンの構築を図っています。
これらの調達にあたっては、予期しない法律や規制の変更、政治・経済等の混乱による世界的な需給構造の変化、原材料やエネルギーの急激な価格上昇、特別な税金および関税、調達先の倒産などが生じる可能性があります。
その場合、生産コスト増加による利益率および工程遅れによる生産効率の低下等により当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、工作機器事業、産業機械事業、金属素形材事業、半導体関連事業のいずれの市場においても同業他社との激しい競合環境にあり、当社グループにとって優位に価格決定をすることが困難な状況に置かれています。
また、当社グループは、原材料およびエネルギー価格の高騰やインフレが進行した場合、即時の価格交渉による十分な売価への転嫁が難しい状況にあります。
当社グループは高付加価値製品の提供と省人化・効率化によるコスト競争力の向上、継続的な価格交渉により対応していく方針ではありますが、販売価格の下落および競合の市場競争力強化、原材料およびエネルギー価格の高騰が進んだ場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「お客様第一主義のものづくり」という認識のもと、ISO9001およびISO14001を取得するなど製品の品質を維持・向上するための取組みを行っております。
また、品質管理および環境管理を経営の最重要事項の一つとしており、製品の工程管理および完成検査の強化など、品質確保に関して出来る限り厳格な管理体制の構築に努めておりますが、製品の開発・製造などにおける品質上のリスクを全て将来にわたって完全に排除することは困難なものと認識しております。
万が一、クレーム、製品の不具合、使用部品の不良、重大な事故が発生した場合、社会的信用の低下、取引停止、損害賠償、製品の補償費用の発生などを含め、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、アジア、北中米、欧州などにおいて積極的な事業展開を図っております。工作機器事業および金属素形材事業につきましては、海外に生産拠点を有しており、グローバル市場における価格競争力の強化に取り組んでいます。
しかし、これらの国、地域においては、予期しない法律または諸規則の変更、政府による政策発動、急激な経済の変化などの要因、宗教・文化の相違、商習慣に関する障害、特別な税金および関税などが、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、貿易取引において外貨建決済を行うことや、生産拠点のグローバル化を進めることによる外貨建債権の保有など、為替相場の変動によるリスクを有しております。
これらの取引に対し、先物為替予約や外貨建見合債務の保有などによるヘッジ策を講じておりますが、為替相場の変動によるリスクが完全に回避される保証はなく、当社グループの財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、企業成長の根幹は人材であるという思想のもと、「働きやすく、成長できる企業へ」をテーマに、自ら学習し、思考し、行動できる社員の育成を図っています。
当社グループの持続的な発展には専門性を有する多様な人材の確保が必要となりますが、少子高齢化による労働人口の減少および働き方の多様化による人材の流動化を背景に人材確保に向けた競争の激しさは増しております。
当社グループが事業活動に必要な人材を確保できなかった場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外の主要施設・生産拠点に関して、火災・地震・豪雨等の災害に対する防止策、軽減策および財務リスクを最小化すべく保険加入などの対策を行っています。さらに、災害発生時および発生後の迅速な対応・早期復旧を可能とするための体制整備などの対策も進めております。
しかし、大規模な地震、台風等の自然災害および火災等の事故が発生し、主要施設・生産拠点などが被害を受けた場合、生産・販売活動の中断による製品供給の停止、修復費用の発生などにより、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における世界経済は、中国経済の低迷や不安定な中東情勢、米国政府による輸入品関税の引上げリスクなど先行き不透明な状況が続いておりますが、米国での個人消費の増加やインフレの緩和による欧州経済の持ち直し等により緩やかな回復基調で推移しました。また、わが国経済も、物価の高止まりや急激な為替の変動など先の見通せない状況が続いていますが、雇用・所得環境の改善等もあり、個人消費や民間設備投資は持ち直しの動きが見られました。
このような経営環境下において、当社グループは、2021年11月に長期経営計画「Plus Decade 2031」を策定し、さらに2024年11月には「中期経営計画2027」を策定いたしました。これらの計画に基づき、基盤事業の収益力の改善・強化および資本の効率的な活用を通じて、事業および収益構造の転換に向けた基盤構築を着実に推進してまいります。
当連結会計年度におきましては、売上高は金属素形材事業のタイ工場の閉鎖等により減少となりましたが、産業機械事業、半導体関連事業の収益性が改善されたこと等により営業利益が前期比で増加しました。
その結果、売上高はグループ全体で、57,280百万円(前期比 7.0%減)、営業利益は1,872百万円(前期比 11.4%増)、経常利益は2,315百万円(前期比 3.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,246百万円(前期比 1.6%減)となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
なお、中間連結会計期間より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
キタガワ グローバル ハンド カンパニー(工作機器事業)
工作機械業界は、全体として需要の力強さを欠き、受注高は前期比で横ばいに推移しました。電気自動車(EV)関連等の投資が底堅く推移したことで海外向けは増加しましたが、国内向けは中小企業を中心に設備投資について慎重な姿勢が見られ減少となりました。
当カンパニーの売上高は、海外はインド向けを中心に受注が増えたものの、国内は設備投資の低迷が影響し、9,031百万円(前期比 2.2%減)となりました。また、セグメント利益(営業利益)につきましては、売上高の減少や1月に完成した本社工場棟への設備移設費用の計上などにより、427百万円(前期比 43.8%減)となりました。
キタガワ サン テック カンパニー(産業機械事業)
建設業界は、慢性的な建設労働者不足による労務費の高騰や建設資材価格の高止まり等により一部で建設延期や計画の見直しが発生していますが、公共投資、民間建設投資ともに好調であり底堅く推移しました。
当カンパニーの売上高は、概ね計画どおりに推移し、20,004百万円(前期比 1.3%増)となりました。また、セグメント利益(営業利益)につきましても、原材料コスト上昇分の価格転嫁や立体駐車場事業における施工管理の徹底などにより安定した収益が確保できたため、1,668百万円(前期比 46.2%増)となりました。
キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニー(金属素形材事業)
自動車業界は、世界的なEV需要の減速や米国による関税引上げ、国内自動車メーカーの不正認証の問題など先行きの見通せない状況が続いていますが、市況は概ね横ばいに推移しています。一方、農業機械・建設機械業界につきましては、欧米の高金利の影響による住宅着工数の減少や中国でのエンジン需要の低下などの影響が強く、市場は弱含みで推移しています。
当カンパニーの売上高は、タイ工場の閉鎖に伴う売上の減少や自動車部品・農業機械部品の受注量減少により、24,725百万円(前期比 17.0%減)となりました。また、コスト低減活動や、販売価格改定により収益性は徐々に改善しているものの、受注量減少の影響が大きく、セグメント損失(営業損失)は、128百万円(前期セグメント利益(営業利益) 102百万円)となりました。
半導体関連事業
半導体業界は、在庫調整による調整局面が終了し、緩やかに持ち直して推移しております。
当事業セグメントの売上高は、連結子会社である北川グレステック㈱がハードディスク製造装置の大型案件の売上を計上したこと、半導体関連の消耗品販売および受託加工が順調に推移したことにより、2,512百万円となりました。また、セグメント利益(営業利益)につきましては、586百万円となりました。
なお、当事業セグメントは2023年9月30日をみなし取得日として子会社化したケメット・ジャパン㈱およびシステム精工㈱の事業によって構成されており、前連結会計年度につきましては、6ヶ月の業績となっております。これにより、当連結会計年度と比較対象期間が異なるため、前期比の記載は省略しております。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、6,152百万円の収入となりました。収入の主な内訳は、減価償却費3,108百万円、前受金の増減額2,412百万円であり、支出の主な内訳は、仕入債務の増減額858百万円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,728百万円の支出となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出3,209百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,835百万円の支出となりました。支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出3,407百万円であります。
これらにより、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ841百万円増加し、11,208百万円となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、その他セグメントについては金額的な重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。
(注) 1 金額は販売価格で表示しており、セグメント間の取引については相殺消去しておりません。
2 半導体関連事業については、みなし取得日を2023年9月30日としているため、前期比を記載しておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、その他セグメントについては金額的な重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 半導体関連事業については、みなし取得日を2023年9月30日としているため、受注高の前期比を記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 半導体関連事業については、みなし取得日を2023年9月30日としているため、前期比を記載しておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
本項に記載した予想、見通し、方針等の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社経営陣は決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用に影響を与える見積りを行っております。また、見積りに関しては、過去の実績等の情報に基づいて判断しておりますが、不確実な要素も含んでおり、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、建物及び構築物、現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べて1,857百万円増加し、82,000百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前受金の増加などにより、前連結会計年度末に比べて149百万円増加し、40,260百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、為替換算調整勘定や利益剰余金の増加などにより前連結会計年度末に比べて1,707百万円増加し、41,739百万円となりました。純資産から非支配株主持分を差し引いた自己資本は41,734百万円となり、自己資本比率は50.9%となりました。
当連結会計年度の売上高は、前期比7.0%減の57,280百万円となりました。
事業別では、キタガワ グローバル ハンド カンパニーは、海外はインド向けを中心に受注が増えたものの、国内は設備投資の低迷が影響し、2.2%減の9,031百万円となりました。
キタガワ サン テック カンパニーは、概ね計画どおりに推移し、前期比1.3%増の20,004百万円となりました。
キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニーは、タイ工場の閉鎖に伴う売上の減少や自動車部品・農業機械部品の受注量減少により、前期比17.0%減の24,725百万円となりました。
半導体関連事業は、連結子会社である北川グレステック㈱がハードディスク製造装置の大型案件の売上を計上したこと、半導体関連の消耗品販売および受託加工が順調に推移したことにより、2,512百万円となりました。
当連結会計年度の営業利益は、前期比11.4%増の1,872百万円となりました。
事業別では、キタガワ グローバル ハンド カンパニーは、売上高の減少や1月に完成した本社工場棟への設備移設費用の計上などにより、前期比43.8%減の427百万円となりました。
キタガワ サン テック カンパニーは、原材料コスト上昇分の価格転嫁や立体駐車場事業における施工管理の徹底などにより安定した収益が確保できたため、前期比46.2%増の1,668百万円となりました。
キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニーは、コスト低減活動や、販売価格改定により収益性は徐々に改善しているものの、受注量減少の影響が大きく、128百万円の営業損失となりました。
半導体関連事業は、売上が順調に推移したため586百万円となりました。
当連結会計年度の経常利益は、持分法による投資利益が増加した一方で為替差益の減少などにより前期比3.9%減の2,315百万円となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少により、前期比1.6%減の1,246百万円となりました。
キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に
記載しております。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
当社グループにおける資金需要の主なものは、製品製造のための原材料及び部品の購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金、また、製造設備の増強、合理化及び更新を目的とした設備資金であります。当社グループの資金の源泉は、主として、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入による資金調達となります。
当連結会計年度におきましては、設備投資及び借入金の返済を実施しましたが、営業活動によるキャッシュ・フローによる収入が増加したことにより、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は11,208百万円となり、前期末比841百万円の増加となりました。
当社グループ経営陣は、企業価値の最大化を目指し、現在の経営環境や入手可能な情報を元に最善の経営方針を立案するように努めております。当社グループ全体としては、各セグメントの成長追求、開発体制の再構築、人的資源の戦略的投入、持続的成長へ向けた経営基盤の確立を経営課題と認識して取り組んでまいります。
なお、各セグメントの具体的な取り組みは「第2 事業の状況」の「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載した活動を進めてまいります。
当連結会計年度において、重要な契約等はありません。
当連結会計年度は、開発本部では、半導体関連分野のネットワーク構築に向けて関連コンソーシアムに参画し、技術者を派遣した交流を開始いたしました。ネットワークでの交流を通じて、研究開発や新たな商品開発につながる市場の要求をとらえ、関連商品の開発を行っております。新事業分野では、今後成長が期待される分野にかかわる高付加価値素材を対象とした新型ウォータージェットの開発に取り組み、技術確立に向けた試験検証を進めております。その他、研究開発活動として、以前より取り組んでまいりました高速画像処理技術、画像検査技術の研究開発についても、試験機による検証試験を進めてまいりました。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
キタガワ グローバル ハンド カンパニー(工作機器事業)
当連結会計年度は、自動化関連の開発に重点的に取り組みました。旋盤用チャックでは日本機械学会賞(技術)受賞のBRチャックに装着する爪をロボットで自動交換するBR-AJCシステムを開発しました。加えて、チャック自体を自動交換するACCシステムの開発も行っています。また、それらを使用してお客様の自動化の手助けをするために自動化ソリューション事業を開始し、既に多くの引合いを頂いています。なお、BR-AJCシステムは、旋盤に標準搭載された普段使いのチャックをそのまま自動化できるというコンセプトが認められ2025年度精密工学会中国四国支部技術賞を受賞しています。
チャックの新機種として、半導体分野等に対応した脆性ワークを柔らかく把握可能な防塵・防水・低把握力のVSPチャックや、遊休機の有効活用を可能とする薄型PU・PWチャックの開発を行いました。
NC円テーブルでは、小型マシニングセンタで大型ワークを加工できる傾斜2軸タイプRKT600の開発を行いました。また、半導体市場に向けて研磨粉に耐性のあるグラインディングセンタ仕様の機種拡充に取り組みました。加えて、新商品となりますパレットクランプをNC円テーブルに組み込むことで加工エリアを含めた利便性をアピールしてまいりました。
ロボットハンドでは、把握と同時にワークを測長する機種の拡充を行い、従来の2爪タイプでは難しかった内径把握に適した3爪タイプNTS3-Sシリーズの開発に取り組みました。
現有商品を核として新分野や自動化分野に事業を広げるべく開発を進めてまいります。
当事業に係る研究開発費は
キタガワ サン テック カンパニー(産業機械事業)
当連結会計年度は、生コンプラント関係では、業界の人材不足への対応として前連結会計年度に実施したトリートメントシステムの開発に続き、品質・サービスの向上およびお客様との信頼関係強化を進めるためにメンテナンスシステムの開発に取り組みました。また、前連結会計年度に続きNEDOに創設された「グリーンイノベーション基金事業/CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」にも参加し、カーボンニュートラルコンクリートの製造に向けた設備技術の開発を進めてまいりました。翌連結会計年度においても、引き続きグリーンイノベーション基金事業を中心に脱炭素関連技術の開発を進める予定です。
建設機械関係では、クレーン運転の自動化に向けた技術開発を進めており、シンガポールの建設現場にて稼働を開始しました。また、クレーン同士や吊荷と障害物の接触を防止する三次元衝突防止(サードアイ)を開発し展示会に出展しました。今後も見学会の実施や展示会への出展により市場にPRするとともにフィールドテストを実施する予定です。引き続きクレーンの周辺機能に関連する開発を行ってまいります。
立体駐車場関係では、駐車スペースの横や通路に面した位置に設けられる柱を無くすことで、駐車や乗降のしやすさを改善することができ、また、体の不自由なお客様向けにゆったりスペースを確保し易くなる等、柱を無くすことで駐車スペースの大きさを自由に設定することができる「スーパーロングスパンタイプ」のメリットをご理解頂き、現在、大型のショッピングセンターや公共施設、従業員用の駐車場等、多くの引き合いを頂いております。また当連結会計年度はスーパーロングスパンタイプの駐車場を3基竣工することが出来ました。
今後も競合他社との差別化を図りつつ、お客様の視点に立った商品展開を進めてまいります。
当事業に係る研究開発費は
キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニー(金属素形材事業)
当連結会計年度は、素材開発および自社商品開発を基にした新規事業の実現を目指し、精力的に取り組んでまいりました。素材開発に関しては開発室を新設し、お客様のニーズに対応した材料を模索すると同時に、半導体業界に関連する材料開発に着手しております。一方、自社商品開発ではプロジェクト体制で新商品創出に取り組み、土壌関連商品の開発に着手し始めております。翌連結会計年度においても引き続き本開発を進めると同時に、成長分野を焦点とした新たな開発テーマにも取り組んでまいります。
また消失模型鋳造法において、低コストかつ少量多品種生産を実現するため、金型を使用せず、社内加工にて発泡模型を直接削り出す検証を進めてまいりました。翌連結会計年度においては発泡模型用の加工機を導入し、少量生産では不利な金型製作費用と製作時間を抑え、低コスト・短納期での商品の提供を実現するように進めてまいります。
更に前連結会計年度までに導入した3D-CAMソフトを活用し、砂型鋳造用金型の内製化を強化してまいりました。当連結会計年度では自動車用部品の金型に着手し、社外流出コストの低減に寄与できました。翌連結会計年度においても本取組みを継続してまいります。
当事業に係る研究開発費は