文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において提出会社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当連結グループは、事業競争力とグループ経営力の強化を追求し、収益性の向上とキャッシュ・フローの創出力を高め、企業価値の増大と更なる株主価値向上をめざします。
これらを実現するために、グループ共通の価値基準・行動規範であるKenkijin スピリット(注)を共有し、Reliable solutionsの継続的な提供を通じて、2020VISION「地球上のどこでもKenkijin スピリットで身近で頼りになるパートナー」になることをめざし、お客様や地域の持続的な発展に貢献していきます。
(注)Kenkijinスピリット:
経営方針を追求していくには、コンプライアンスやCSR等の社会的要請に応えつつ当連結グループの中長期ビジョン・中期経営計画を達成していくことが重要であり、その原動力はグループ社員(Kenkijin)一人ひとりの行動にあります。その行動が共通の価値基準・行動規範に裏付けされたものであれば、一人ひとりの創意工夫を活かしながら目的を追及できます。Kenkijinスピリットはグループ社員の心構えとして、この価値基準・行動規範を明文化したものです。
(2)経営環境及び対処すべき課題
2017年度の当連結グループを取り巻く事業環境は、建設機械において油圧ショベルの需要が中近東を除く各地域で前連結会計年度を上回りました。マイニング機械需要についても、鉱山会社の投資増加を受け、前連結会計年度を大きく上回っています。
このような環境下、当連結グループでは、中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」のもと、以下の3つの戦略を軸に、変化に強い企業体質づくりと成長戦略の刈り取りを促進していきます。バリューチェーン全体でお客様の期待を上回る「Reliable solutions」を継続的に提供することで、お客様からゆるぎない信頼を勝ち取り、確固たるグローバル建機メーカートップ3のポジションを築くことをめざします。
具体的な数値目標
|
収益性 |
営業利益からその他の収益及びその他の費用を除いた利益率 9%以上をめざす |
|
効率性 |
ROE 9%以上をめざす |
|
ネットD/Eレシオ |
0.4以下をめざす |
|
株主還元 |
連結配当性向を30%程度、もしくはそれ以上をめざす |
(注)当目標の前提となる為替レートは、米ドル100円、ユーロ110円、人民元15円としています。
3つの経営戦略
① アフターセールス事業の強化
当連結グループの事業は、研究・開発・生産に始まり、お客様への新車販売、レンタル、サービスを行い、更新時には中古車の取り扱いを行うという長いライフサイクルが特長です。お客様にこれまで以上に価値のあるサービスやソリューションを提供して、満足度向上を図っていきます。
② ホイールローダ、ダンプトラックのプレゼンス向上
当連結グループの主力製品で、グローバルでトップレベルの製品力を持つ油圧ショベルに加え、ホイールローダ、ダンプトラックの分野でも開発力と販売力の両面で競争力強化を図り、第2、第3の主力製品としての成長をめざします。ホイールローダについては、排出ガス規制対応機の開発を進めると同時に、生産効率の向上とコスト低減を強力に推進、販売面ではグローバルでの販売サービス体制を強化し、販売効率の向上を図ります。ダンプトラックでは、既にシリーズ化した高地仕様や、低燃費と作業効率の向上を実現するトロリー仕様のモデルの拡販を図ることと、AHS(Autonomous Haulage System:自律走行システム)の本格商用化、マイニング分野を担うH-E Parts International LLC及びその子会社とBradken Limited及びその子会社とのシナジー、ならびにFMS(Fleet Management System:鉱山運行管理システム)を提供する当連結グループのウェンコ・インターナショナル・マイニング・システムズLtd.とのシナジーを更に創出していきます。
③ICT・IoTソリューションの開発強化
当連結グループは、お客様の課題である安全性・生産性の向上とライフサイクルコストの低減を解決するICT/IoTソリューション「Solution Linkage(ソリューションリンケージ)」を、日立グループの幅広い先進技術と、ビジネスパートナーのエキスパート技術を融合したオープンイノベーションを活用して開発を加速していきます。
機械本体の作業性能や低燃費化等の開発はもちろん、お客様の施工プロセス全体の効率化や現場運営の最適化に貢献するソリューションや、機械の安定稼働とライフサイクルコスト低減に繋がるサービスソリューション「ConSite」を一段と進化させて提供していきます。
(3)株式会社の支配に関する基本方針
提出会社は、株式の上場により、株式市場から事業運営の維持、事業の拡大に必要とする資金の調達を行うと共に、株主、投資家及び株式市場から評価を受けています。提出会社は、こうした日々の評価に対して、提出会社及び当連結グループへの期待を認識し、緊張感のある経営を実践することが、企業価値の向上に大きく寄与すると考えています。
また、提出会社は、事業運営の独立性を保ちつつ、親会社である株式会社日立製作所のグループの一員として、基本理念及びブランドを共有しており、基本的な経営方針の一体化が必要であると考えています。更に、同社及び同社グループ各社が有する研究開発力、ブランド力その他の経営資源を有効に活用することが、提出会社及び当連結グループの企業価値の一層の向上に資すると考えています。
提出会社は、上記基本方針のもと、ガバナンス体制の構築及び経営計画の策定・推進に取り組み、企業価値の向上及び広く株主全般に提供される価値の最大化を図ることとします。
当連結グループは、生産、販売、ファイナンス等幅広い事業分野にわたり、世界各地において事業活動を行っています。そのため、当連結グループの事業活動は、市況、為替、ファイナンス等多岐にわたる要因の影響を受けます。
当連結会計年度末現在予見可能な範囲で考えられる主な事業等のリスクは次のとおりです。
(1) 市場環境の変動について
当連結グループの事業は、需要の多くはインフラ整備等の公共投資、資源開発や不動産等の民間設備投資等に大きく影響を受けます。各地域の急激な経済変動により、需要が大きく下振れするリスクがあり、工場操業度の低下や競合激化による売価下落等の収益悪化リスクがあります。
(2) 為替相場の変動による影響について
当連結グループの海外売上の割合は、当連結会計年度では80%となり、為替変動のリスクも増加しています。主要な決済通貨である米ドル・欧州ユーロに加え、新興国通貨に対する円高の進行は、経営成績に重大な悪影響を与える可能性があります。為替相場の変動が業績に与える影響を軽減するため、現地生産比率の拡大、国際購買による輸入の促進、先物為替予約等を行っていますが、これらの施策によって、為替相場の変動によるリスクを回避できる保証はありません。
(3) 金融市場の変動について
当連結グループでは有利子負債の削減をめざし資産の効率化を進めていますが、2018年3月末で合計2,307億円の短期・長期の有利子負債があります。固定金利調達を行うことにより金利変動リスクの影響を軽減していますが、市場金利率の上昇は支払利息を増加させ、収益を減少させるリスクがあります。また、年金資産に関しては、市場性のある証券の公正価値や金利率等、金融市場における変動が、年金制度の積立不足金額や債務を増加させ、経営成績や財政状態を悪化させるリスクがあります。
(4) 生産・調達について
当連結グループの製品原価に占める部品・資材の割合は大きく、その調達は、素材市況の変動に影響を受けます。鋼材等の原材料価格の高騰は、製造原価の上昇をもたらします。
また、部品・資材の品薄時には、適時の調達・生産が困難になり、生産効率が低下する可能性があります。資材費の上昇については、VEC活動を通じて原価低減に努めると共に、これに見合った適正な販売価格の確保に努めることにより対応していきます。これらの対応を超える資材費の上昇や供給の逼迫が生じた場合は、業績へ影響を及ぼすリスクがあります。
(5) 債権管理について
当連結グループの主要製品である建設機械は、割賦販売、ファイナンス・リース等の販売ファイナンスを行っており、専門部署を設け、債権管理にあたっています。販売ファイナンスは多数のお客様が利用しており、極端な債権の集中はないものの、お客様の財政状態の悪化により貸し倒れが発生し、収益に影響を与えるリスクがあります。
(6) 公的規制、税務のリスク
当連結グループの事業活動は、政策動向や数々の公的規制、税務法制等の影響を受けています。具体的には、事業展開する国において、事業や投資の許可、輸出入に関する制限や規制等、また、知的財産権、消費者、環境・リサイクル、労働条件、租税等に関する法令の適用を受けています。これらの規制の強化や変更は、対応コスト及び支払税額の増加により、収益へ影響を与えるリスクがあります。
(7) 製造物責任について
当連結グループは、その事業及びその製品のために、社内で確立した厳しい基準のもとに、品質と信頼性の維持向上に努めていますが、万が一、予期せぬ製品の不具合により事故が発生した場合、製造物責任に関する対処あるいはその他の義務に直面する可能性があります。この費用が保険によってカバーできない場合、その費用を負担しなければならず、収益を減少させるリスクがあります。
(8) 提携・協力関係について
当連結グループは国際的な競争力を強化するために、販売代理店、供給業者、同業他社等さまざまな提携・協力を講じて製品の開発、生産、販売・サービス体制の整備・拡充を図っています。これらの提携・協力による期待する効果が得られない場合、あるいは提携・協力関係が解消された場合には、業績に影響を与えるリスクがあります。
(9) 情報セキュリティ・知的財産等について
当連結グループは事業活動において、顧客情報・個人情報等に接することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しています。これら各種情報の取り扱い、機密保持には細心の注意を払っており、不正なアクセス、改ざん、破壊、漏洩、紛失等から守るため、管理体制及び取扱規則を定め、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じています。万が一、情報漏洩等の事故が発生した場合には、評判・信用に悪影響を与えるなどのリスクがあります。また、知的財産権については、第三者による不正利用等による侵害や、当連結グループに対する訴追等のリスクがあります。
(10) 天変地異等による影響について
当連結グループは開発・生産・販売等の拠点を多くの国に設け、グローバルに事業を展開しています。それらの拠点において、地震・水害等の自然災害、戦争、テロ、事故、第三者による非難・妨害等が発生するリスクがあります。こうした障害により、短期間では復旧不可能な損害を被り、材料・部品の調達、生産活動、販売・サービス活動に遅延や中断が発生した場合、業績に大きな影響を与えるリスクがあります。
1.経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において提出会社グループが判断したものです。
(1) 業績
当連結グループは、2017年度からの中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」に掲げる経営施策を推進しています。お客様の事業課題である「安全性向上」「生産性向上」「ライフサイクルコスト(燃料費・維持費・故障対策費等を含むトータルコスト)低減」に繋がるICT・IoTを活用した解決策を「Solution Linkage」と位置付け、その開発・提供を推進しています。また、前連結会計年度に連結子会社化したH-E Parts International LLC及びその子会社とBradken Limited及びその子会社のマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品・サービス事業強化の取り組みなど、新車販売以外での収益拡大を図るべくバリューチェーンの深化を推進中です。併せて、全世界でお客様や代理店へのサポート体制を強化し、シェア向上、コスト低減を進めるなど、経営の体質強化と効率化に取り組んでいます。
以上の結果、当連結会計年度の売上収益については、前連結会計年度に実施した日立住友重機械建機クレーン株式会社の持分法適用会社化による影響があるものの、特に中国をはじめとする建設機械の販売増加と、H-E Parts International LLC及びその子会社とBradken Limited及びその子会社の連結子会社化による売上収益増加の結果、前連結会計年度比127%の9,591億5千3百万円となりました。営業利益は前連結会計年度比405%の957億3千7百万円となり、税引前当期利益は前連結会計年度比401%の956億1千2百万円、親会社株主に帰属する当期利益は前連結会計年度比748%の600億4百万円となりました。
① 建設機械ビジネス
当期における油圧ショベル需要は、中近東を除く各地域で前連結会計年度を上回りました。当連結グループでは、お客様の機械を総合的にサポートするサービスソリューション「ConSite(コンサイト)」のグローバル展開や、部品供給体制の拡充等により、部品・サービス事業の強化を図り、収益の拡大に努めています。「ConSite」では、建設機械業界初となる、センサによりオイルの状態を遠隔で検知し、エンジンや油圧機器の故障予知を行う「ConSite OIL」をメニューに加え、10月から欧州・豪州で提供開始しました。日本では、国土交通省が推進するi-Constructionへの対応として、茨城県ひたちなか市に開設したICTデモサイトでの講習会や、施工プロセスの効率化に繋がる解決策の提供等、ICT施工の普及に努めています。
マイニング機械需要は、鉱山会社の投資増加を受け、前連結会計年度を大きく上回っています。提出会社では、日立グループの力を合せて高度な車体安定化制御を実現したリジッドダンプトラックAC-3シリーズの拡販に努めると共に、マイニング機械の運行管理システムの提供や自律運転技術の開発等、鉱山運営の効率化に取り組んでいます。また、より高度なレベルの顧客サポート体制の構築を進め、部品・サービスの売上収益拡大に努めています。
連結売上収益は、前連結会計年度比116%の8,668億6千6百万円となりました。
② ソリューションビジネス
当事業は、前連結会計年度に連結子会社化した、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品・サービス事業を行うBradken Limited及びその子会社とサービスソリューションを提供するH-E Parts International LLC及びその子会社で構成されています。
連結売上収益は、オーストラリアや南米でマイニング機械向けの売上収益が堅調に推移し、前連結会計年度比1,385%の926億3千8百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は819億2千9百万円となり、当連結会計年度期首より164億7千4百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動に関するキャッシュ・フローは、当期利益が692億2千2百万円、減価償却費及び償却費378億3千2百万円、買掛金及び支払手形の増加533億3千7百万円を計上した一方で、売掛金及び受取手形の増加274億9千7百万円、棚卸資産の増加246億6千4百万円、ファイナンス・リース債権の増加142億5千7百万円等がありました。
この結果、当連結会計年度は845億2千8百万円の収入となりました。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動に関するキャッシュ・フローは、主として、有形固定資産の取得168億8千7百万円、有価証券及びその他の金融資産(子会社及び持分法で会計処理されている投資を含む)の取得214億1千6百万円があったため375億6千2百万円の支出となりました。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動に関するキャッシュ・フローは、主として、短期借入金の減少338億6千4百万円、社債及び長期借入金の増加195億4千2百万円、配当金(非支配持分株主への配当金を含む)の支払114億6千4百万円等があったことにより304億8千3百万円の支出となりました。
(3) 生産、受注及び販売の状況
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
建設機械ビジネス |
896,796 |
136 |
|
ソリューションビジネス |
88,356 |
1,430 |
|
合計 |
985,152 |
148 |
(注)1.金額は、販売価格によっています。
2.「ソリューションビジネス」セグメントの主な変動理由は、2016年12月にH-E Parts社およびその連結子会社、2017年3月にBradken Limited社およびその連結子会社を連結子会社化したことによります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)受注実績
当連結グループの製品は、そのほとんどが見込生産のため受注実績の記載は省略しています。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
建設機械ビジネス |
866,866 |
116 |
|
ソリューションビジネス |
92,287 |
1,379 |
|
合計 |
959,153 |
127 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2.「ソリューションビジネス」セグメントの主な変動理由は、2016年12月にH-E Parts社およびその連結子会社、2017年3月にBradken Limited社およびその連結子会社を連結子会社化したことによります。
3.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
2.財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)重要な会計方針及び見積り
当連結グループは連結財務諸表の作成に際し、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、財政状態及び経営成績の金額に影響を与える見積りを行っていますが、特に以下の重要な会計方針が、提出会社の連結財務諸表の作成における重要な見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当連結グループが判断したものです。
① 棚卸資産
当連結グループは、棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い方の金額で評価しており、実際の将来需要または市場状況が悪化した場合は、評価減が必要となる可能性があります。
② 有形固定資産及び無形資産
当連結グループは、有形固定資産及び無形資産について減損の兆候の有無の判定を行い、その帳簿価額が回収不可能であるような兆候がある場合、減損テストを実施しています。将来の営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローの悪化等により回収可能価額が低下した場合には追加の減損損失の計上が必要になる可能性があります。
また、耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年、主に第4四半期において、その資産の属する資金生成単位ごとに回収可能価額を見積もり、減損テストを実施しています。のれんが発生している連結子会社の超過収益力が低下した場合には、追加の減損損失の計上が必要になる可能性があります。
③ 営業債権及びその他の金融資産
金融資産については、減損を示す客観的な証拠が金融資産の当初認識後に発生しており、その金融資産の見積将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合、当該金融資産について減損損失が発生する可能性があります。
また、営業債権にかかる減損損失については、事業を行う国あるいは地域の特有な商慣行を含む、事業環境に関連した潜在的なリスクを評価した上で、過去の経験等を考慮に入れ算定される貸倒実績率又は回収可能額の見積りに基づき減損損失を計上しており、将来の市況悪化や取引先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
④ 繰延税金資産
繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。将来において業績及び課税所得が見積額より悪化した場合、繰延税金資産に対し追加の評価減の計上が必要となる可能性があります。
⑤ 退職給付に係る負債
当連結グループは、退職給付制度に基づく確定給付債務及び制度資産の測定に当たっては、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び死亡率などが含まれます。将来において、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付に係る負債、退職給付費用及び退職給付制度の再測定に影響を及ぼす可能性があります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度における当連結グループの業績については、1.経営成績等の状況の概要(1)業績に記載のとおりです。
変化に強い企業体質づくりと成長戦略の刈取りを促進すべく策定した2017年度から3か年の中期経営計画の達成・進捗状況は、以下のとおりです。
|
指標 |
2019年度目標 |
当連結会計年度実績 |
前連結会計年度比 |
|
収益性 |
営業利益からその他の収益及びその他の費用を除いた利益率 9%以上をめざす |
9.8% |
6.0%pt増 |
|
効率性 |
ROE 9%以上をめざす |
14.1% |
12.1%pt増 |
|
ネットD/Eレシオ |
0.4以下をめざす |
0.33 |
0.13減 |
|
株主還元 |
連結配当性向を30%程度、もしくはそれ以上をめざす |
30.1% |
- |
(注)2019年度目標の前提となる為替レートは、米ドル100円、ユーロ110円、人民元15円としています。
引き続き中期経営計画策定時の前提市況ならびに為替水準をベースにした場合においても各数値目標が達成できるよう取り組みます。
① 売上収益
当連結会計年度の連結売上収益は前連結会計年度比27.2%増加の9,591億5千3百万円となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度比19.3%増加の6,953億1千6百万円となりました。売上原価の売上収益に対する比率は前連結会計年度より4.8ポイント減少し72.5%となりました。
また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度比19.3%増加の1,702億5千5百万円となりました。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度より305.3%増加し957億3千7百万円となりました。営業利益の売上収益に対する比率は前連結会計年度から6.9ポイント増加し10.0%となりました。
④ 金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用は、前連結会計年度の5億4千8百万円の利益(純額)から当連結会計年度44億8千万円の損失(純額)と、利益が50億2千8百万円減少しました。これは主に、為替差損益が、前連結会計年度6億6千4百万円の利益(純額)から当連結会計年度16億5千2百万円の損失(純額)と、利益が23億1千6百万円減少したことによるものです。
⑤ 税引前当期利益
税引前当期利益は、前連結会計年度より300.7%増加し956億1千2百万円となりました。
⑥ 法人所得税費用
当連結会計年度における法人所得税費用は、前連結会計年度より172.9%増加し、263億9千万円となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当連結グループに与える業績変動要因、並びに国内外の政治的・経済的変動及び需要変動による影響については 2[事業等のリスク]に記載のとおりです。
(4)財政状態の分析
(注)当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、2017年3月期の
数値については暫定的な会計処理の確定による重要な見直しが反映された後の金額を記載しております。
[資産]
流動資産は、前連結会計年度末に比べて、12.8%、676億3千万円増加し、5,978億2千9百万円となりました。これは主として営業債権が351億3千9百万円、棚卸資産が201億1百万円増加したことによります。
非流動資産は、前連結会計年度末に比べて、2.1%、99億5千8百万円増加し、4,919億6千7百万円となりました。これは主として、営業債権が101億1千3百万円、持分法で会計処理されている投資が64億2千3百万円増加した一方で、繰延税金資産が50億4千5百万円減少したことによります。
この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて、7.7%、775億8千8百万円増加し、1兆897億9千6百万円となりました。
[負債]
流動負債は、前連結会計年度末に比べて、8.5%、341億1千3百万円減少し、3,664億2千2百万円となりました。これは主として営業債務及びその他の債務が625億8百万円増加した一方で、社債及び借入金が839億9千1百万円減少したことによります。
非流動負債は、前連結会計年度末に比べて35.4%、571億1百万円増加し2,183億4千4百万円となりました。これは主として社債及び借入金が659億5千5百万円増加したことによります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて4.1%、229億8千8百万円増加し、5,847億6千6百万円となりました。
[資本]
資本合計は、前連結会計年度末に比べて、12.1%、546億円増加し、5,050億3千万円となりました。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結グループの資本の財源及び資金の流動性については、1.経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況に記載のとおりです。
② 資金需要及び財務政策
当連結グループは、当期の運転・設備投資及び投融資資金に充当し、かつ借入金の長短、直間のバランスの適正化を目的として、長期借入金803億8千6百万円の調達、社債の発行100億円を行い、短期借入金338億6千4百万円、長期借入金508億4千4百万円の返済、社債200億円の償還を実施しました。
また、当連結グループは適時に資金繰り計画を作成・更新すると共に、手元流動性を極小化し資金効率を高める一方でコミットメント・ライン及び当座借越枠の確保により流動性リスクを回避する管理をしています。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに関する項目との差異は以下のとおりです。なお、提出会社は日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、差異の金額は概算額で記載しています。
(のれん)
日本基準ではのれんを償却していましたが、IFRSでは償却を行っていません。この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」が15億円減少しています。
(従業員給付)
日本基準では、数理計算上の差異及び過去勤務費用のうち、当期の費用として認識しなかった部分をその他
の包括利益累計額にて認識し、将来の一定期間にわたり純損益として認識しています。また、勤務費用、利息費用及び期待運用収益を純損益として認識しています。
一方、IFRSでは、確定給付型企業年金制度及び退職一時金制度から生じる再測定は、その他の包括利益にて認識しています。再測定は、確定給付制度債務に係る数理計算上の差異、制度資産に係る収益(制度資産に係る利息収益の金額を除く)により構成されています。過去勤務費用は直ちに純損益として認識しています。また、勤務費用は発生時に純損益として認識し、純利息費用は確定給付負債(資産)の純額に割引率を乗じた金額を純損益として認識しています。
この影響により、IFRSは日本基準に比べて、連結損益計算書の当連結会計年度の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」が15億円減少し、連結包括利益計算書の当連結会計年度の「確定給付制度の再測定」が10億円減少しています。
(法人所得税)
内部未実現利益の消去に伴う税効果について、日本基準では繰延税金資産を売却元の実効税率を用いて計
算していましたが、IFRSでは売却先の実効税率を用いて計算しています。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、連結損益計算書の「持分法による投資損益」が3億円増加し、「法人所得税費用」が5億円減少しています。
(1)業務提携契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
日立建機株式会社 |
株式会社クボタ |
日本 |
油圧ショベル |
OEM供給 |
1976年5月6日から 1997年2月21日まで 以後2年毎の自動更新 |
|
ミニショベル |
OEM購入 |
1995年4月19日から 2005年5月16日まで 以後2年毎の自動更新 |
|||
|
日立建機株式会社 |
株式会社タダノ |
日本 |
高所作業車 |
OEM相互供給 |
1999年1月11日から 2年間 以後1年毎の自動更新 |
|
日立建機株式会社 |
ディア アンド カンパニー |
米国 |
油圧ショベル |
OEM供給 |
1983年2月10日から 8年間 以後5年毎の自動更新 |
|
日立建機株式会社 |
北越工業株式会社 |
日本 |
ミニショベル |
OEM供給 |
2005年4月1日から 2007年3月31日まで 以後2年毎の自動更新 |
|
日立建機株式会社 |
ベル エクイップメントLtd. |
南アフリカ |
アーティキュレートダンプトラック サトウキビ・森林伐採機 |
OEM購入 |
2000年9月5日から 5年間 以後1年毎の自動更新 |
|
日立建機株式会社 |
ディア日立建機ブラジルS.A. |
ブラジル |
油圧ショベル |
OEM供給 |
2011年9月30日から 無期限 |
(2)技術提携契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
日立建機株式会社 |
株式会社中山鉄工所 |
日本 |
自走式クラッシャ |
1 共同開発 2 部品の相互供給 |
1 1993年9月1日から 2年間 以後1年毎の自動更新 2 1995年7月25日から 1995年12月1日まで 以後1年毎の自動更新 |
|
日立建機株式会社 |
ディア日立建機ブラジルS.A. |
ブラジル |
油圧ショベル |
技術供与 |
2011年9月30日から 2021年9月29日まで |
(3)その他の契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約期間 |
|
日立建機株式会社 |
株式会社日立製作所 (親会社) |
日本 |
日立ブランドに関する使用許諾 |
2015年4月1日から 5年間 以後1年毎の自動更新 |
当連結グループは、新たな付加価値の創造、品質・信頼性の向上を目的に、新技術や新製品の開発を積極的に推進しています。研究・開発本部の先行開発センタを主体に、研究・開発、生産・調達、品質保証の各本部、及びグループ会社の研究開発従事者が、緊密な連携を取りながら研究開発を推進しています。また、広範かつ高度な技術獲得のため、株式会社日立製作所、国内外の大学との依頼研究、共同研究を行っており、これらの研究活動を通して、高度技術人財の育成を同時に図っています。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、245億7千1百万円です。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりです。
(1) 建設機械ビジネス
基軸製品である油圧ショベル、超大型ショベルに加え、ミニショベル、ホイールローダ等において、次期排ガス規制に対応する技術開発を進めているほか、「低炭素」をキーワードに、クリーン化、省エネルギー化を考慮した製品開発を進め、国内の特定特殊自動車(オフロード法)排出ガス2014年基準に適合した中型油圧ショベル、ホイールローダ、道路機械を発売しています。従来機ZH200-5Bと比較して約12%の燃費低減を実現させたハイブリッド油圧ショベルZH200-6を2017年9月に発売しました。ZH200-6では、株式会社豊田自動織機と共同開発したモータ一体型の新型ハイブリッドエンジンに加え、日立オートモティブシステムズ株式会社と共同開発したリチウムイオンバッテリを搭載して、自動車・産業車両分野の技術を融合させています。車体コントローラが、油圧システム、エンジン、リチウムイオンバッテリ、電動モータで構成されるハイブリッドシステムを統合的に制御し車体性能を最大限に引き出します。本システムのベースとなる油圧ショベル向けに開発した油圧省エネシステム「TRIAS(特許第5572586号)」は、2017年11月に公益社団法人発明協会の主催する平成29年度関東地方発明表彰「特許庁長官賞」を受賞しました。
新たな建設機械の潮流である情報・自動化技術関連では、機械の作業効率の向上、お客様の施工・管理コスト低減を目的とした機械の予防保全、施工支援システム等、建設機械のライフサイクル全体を視野に入れ、新たな顧客価値の創出を目的とした研究開発を推進しています。その成果として、ICT施工ソリューションの中核を担う、ZAXIS-6シリーズの新型ICT油圧ショベルZX200X-6を2018年1月から発売しました。日立建機独自のマシンコントロール機能である「Solution Linkage Assist(ソリューションリンケージ アシスト)」を搭載しており、GNSS受信機から得た機械の位置情報やバケット爪先の3D(三次元)情報を基に、設計値に従って機械のフロント(ブーム、アーム、バケット)をリアルタイムで半自動制御し、施工目標面を掘り過ぎることなく、効率的な作業が可能となります。ZX200X-6は、国土交通省が推進するi-Constructionに対応しています。
お客様の課題であるライフサイクルコストを低減するサービスソリューション「ConSite(コンサイト)」の新たなメニューとして、稼働する建設機械のエンジンオイルや作動油のオイル監視センサからの情報をモニタリングするとともに、オイルの状態を自動診断し、お客様と代理店のサービススタッフなどにレポートを自動で配信する「ConSite OIL(コンサイトオイル)」を開発しました。建設機械業界で初となる本ソリューションは、全世界での提供に先駆けて、2017年10月より、欧州及びオーストラリアで提供を開始しています。ICTやIoTの技術を活用した、センシングによる遠隔での予兆検知率を高めることをめざしています。
振動・騒音低減、安全性向上、オペレータ負荷低減、生産性・品質向上、コスト低減を実現するための基盤技術の開発を行い、圧倒的な製品力を持つ建設機械の提供を推進していきます。お客様の様々なニーズに対して、日立グループの強みであるシステム、制御及びIoT関連技術を活用しながら、「One Hitachi」で取り組むと共に、さまざまなビジネスパートナーとの連携によるオープンイノベーションによって、最適なソリューションを提供していきます。
当連結会計年度の建設機械ビジネスにおける研究開発費は、228億9千8百万円です。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
Solution Linkage Cloud(ソリューション リンケージ クラウド)
サービスメニュー ConSite OIL(コンサイトオイル)
油圧ショベル ZX200-6、ZX120-6、ZX160LC-6
後方超小旋回型油圧ショベル ZX225US-6、ZX135US-6
後方小旋回型油圧ショベル ZX225USR-6
ホイール式油圧ショベル ZX125W-6
ハイブリッド油圧ショベル ZH200-6
ホイールローダ ZW140-6、ZW150-6、ZW180-6、ZW370-6、ZW100-6、ZW120-6
タイヤローラ ZC220P-6
ICT油圧ショベル ZX200X-6
(2) ソリューションビジネス
移動式鉱山機械向けの事業では、シミュレーション分析とサービスモニタリングを通じて部品の断面の摩耗
を最適化するほか、安全性を向上させ、部品の交換時間を短縮し、部品コストを削減するために、バケットの
消耗品の先進的なロックピンを開発しています。また、電動ロープショベルの足回り製品の品揃えを拡張する
ための開発も行っています。
固定プラント及び鉱物加工向けの事業では、電子厚さ測定装置やレーザースキャニング技術とディスクリート
素子モデリングソフトウェアを使用して製品の設計を最適化し、ミルライナーや表面摩耗の寿命を延ばし、
処理能力を向上させる開発を行っています。
当連結会計年度のソリューションビジネスにおける研究開発費は、16億7千3百万円です。