第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1)経営方針

 当連結グループは、事業競争力とグループ経営力の強化を追求し、収益性の向上とキャッシュ・フローの創出力を高め、企業価値の増大と更なる株主価値向上をめざします。

 これらを実現するために、グループ共通の価値基準・行動規範であるKenkijin スピリット(注)を共有し、Reliable solutionsの継続的な提供を通じて、「地球上のどこでもKenkijin スピリットで身近で頼りになるパートナー」になることをめざし、お客様や地域の持続的な発展に貢献していきます。また、SDGsやESG等を経営課題として認識しており、企業が果たすべき役割をアウトサイドインの視点から整理し、グループ全体をあげてESG活動を推進しています。これらの課題の解決をビジネスチャンスと捉え、事業を通して持続可能な社会に向けた経営を行います。

(注)Kenkijinスピリット:

 経営方針を追求していくには、コンプライアンスやCSR等の社会的要請に応えつつ当連結グループの中長期ビジョン・中期経営計画を達成していくことが重要であり、その原動力はグループ社員(Kenkijin)一人ひとりの行動にあります。その行動が共通の価値基準・行動規範に裏付けされたものであれば、一人ひとりの創意工夫を活かしながら目的を追及できます。Kenkijinスピリットはグループ社員の心構えとして、この価値基準・行動規範を明文化したものです。

 

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

 2019年度の当連結グループを取り巻く事業環境は、当第4四半期連結会計期間から新型コロナウイルスの影響が各地に広がるなど悪化傾向にあり、建設機械において油圧ショベルの需要が中国・アジア・インド・オセアニア・アフリカ・西欧等多くの地域で前年同期を下回りました。

 マイニング機械需要は、大規模鉱山を所有する大手鉱山会社からの需要は前年同様の比較的高い水準で推移しましたが、中規模鉱山会社からの需要は減少しており、全体としては前年同期を下回りました。

 建設機械・マイニング機械の需要は、中長期的には緩やかな拡大が見込まれますが、短期的には変動が生じます。こうした環境等から生じる諸課題を克服して、安定した収益を確保し持続的な成長を続けるために、提出会社は2017年度から2019年度までの中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」において、社会全体のトレンドや顧客ニーズの変化に呼応し、新車販売中心のビジネスモデルから、経営資源を主要製品へと集中し、新車販売後に全世界で稼働する機械をターゲットとした「バリューチェーン事業」へとビジネスモデルを変換し、収益構造の改善及び安定化を図ってまいりました。また、日本を含む世界各地の拠点にて事業の再編を実行し、経営の効率化に努めてまいりました。今後は、バリューチェーン事業を更に強化する、デジタル技術を活用してお客様とのあらゆる接点において深化したソリューションを提供する、そして変化に強い企業体質を形成することを、新たな中期経営戦略の方向性にします。

 なお、2020年度を初年度とする中期経営計画の施策詳細及び数値目標につきましては、新型コロナウイルスが事業活動及び経営成績に与える影響により、現時点では適正かつ合理的な算定が困難であることから開示しておりません。今後、算定が可能となった時点で速やかに当社ホームページにて開示します。

 

2【事業等のリスク】

 当連結グループは、生産、販売、ファイナンス等幅広い事業分野に亘り、世界各地において事業活動を行っています。そのため、当連結グループの事業活動は、市況、為替、ファイナンス等多岐に亘る要因の影響を受けます。
 当連結会計年度末現在予見可能な範囲で考えられる主な事業等のリスクは次のとおりです。

(1)市場環境の変動について

 当連結グループの事業は、需要の多くはインフラ整備等の公共投資、資源開発や不動産等の民間設備投資等に大きく影響を受けます。各地域の急激な経済変動により、需要が大きく下振れするリスクがあり、工場操業度の低下や在庫水準の過不足、競合激化による売価下落等による収益悪化リスクがあります。

 

(2)為替相場の変動による影響について

 当連結グループの海外売上の割合は、当連結会計年度では78となり、為替変動のリスクも増加しています。主要な決済通貨である米ドル・欧州ユーロに加え、新興国通貨に対する円高の進行は、経営成績に重大な悪影響を与える可能性があります。為替相場の変動が業績に与える影響を軽減するため、現地生産比率の拡大、国際購買による輸入の促進、先物為替予約等を行っていますが、これらの施策によって、為替相場の変動によるリスクを回避できる保証はありません。

 

(3)金融市場の変動について

 当連結グループでは有利子負債の削減をめざし資産の効率化を進めていますが、2020年3月末で合計3,389億円の短期・長期の有利子負債があります。固定金利調達を行うことにより金利変動リスクの影響を軽減していますが、市場金利率の上昇は支払利息を増加させ、収益を減少させるリスクがあります。また、年金資産に関しては、市場性のある証券の公正価値や金利率等、金融市場における変動が、年金制度の積立不足金額や債務を増加させ、経営成績や財政状態を悪化させるリスクがあります。

 

(4)生産・調達について

 当連結グループの製品原価に占める部品・資材の割合は大きく、その調達は、素材市況の変動に影響を受けます。鋼材等の原材料価格の高騰は、製造原価の上昇をもたらします。また、部品・資材の品薄時には、適時の調達・生産が困難になり、生産効率が低下する可能性があります。資材費の上昇については、VEC活動を通じて原価低減に努めると共に、これに見合った適正な販売価格の確保に努めることにより対応していきます。これらの対応を超える資材費の上昇や供給の逼迫が生じた場合は、業績へ影響を及ぼすリスクがあります。

 

(5)債権管理について

 当連結グループの主要製品である建設機械は、割賦販売、ファイナンスリース等の販売ファイナンスを行っており、専門部署を設け、債権管理にあたっています。販売ファイナンスは多数のお客様が利用しており、極端な債権の集中はないものの、お客様の財政状態の悪化により貸し倒れが発生し、収益に影響を与えるリスクがあります。

 

(6)公的規制、税務のリスク

 当連結グループの事業活動は、政策動向や数々の公的規制、税務法制等の影響を受けています。具体的には、事業展開する国において、事業や投資の許可、輸出入に関する制限や規制等、また、知的財産権、消費者、環境・リサイクル、労働条件、租税等に関する法令の適用を受けています。これらの規制の強化や変更は、対応コスト及び支払税額の増加により、収益へ影響を与えるリスクがあります。

 

(7)環境規制(気候変動等)への対応について

 当連結グループが取り扱う建設機械は、気候変動(CO2削減等)及び環境負荷(排ガス、騒音)等の社会問題への対応が求められており、環境規制の適用を受けています。これらの要求に応えるべく、より高度な環境対応技術の開発のために、先行研究やリソースの確保(人財確保、施設導入等)、サービス・販売体制の構築といった投資が必要になり、経営に財務的なインパクトを与えるリスクがあります。

 

(8)製造物責任について

 当連結グループは、その事業及びその製品のために、社内で確立した厳しい基準のもとに、品質と信頼性の維持向上に努めていますが、万が一、予期せぬ製品の不具合により事故が発生した場合、製造物責任に関する対処あるいはその他の義務に直面する可能性があります。この費用が保険によってカバーできない場合、その費用を負担しなければならず、収益を減少させるリスクがあります。

 

(9)提携・協力関係について

 当連結グループは国際的な競争力を強化するために、販売代理店、供給業者、同業他社等さまざまな提携・協力を講じて製品の開発、生産、販売・サービス体制の整備・拡充を図っています。これらの提携・協力による期待する効果が得られない場合、あるいは紛争や争訟等の結果、提携・協力関係が解消された場合には、業績に影響を与えるリスクがあります。

 

(10)情報セキュリティ・知的財産等について

 当連結グループは事業活動において、顧客情報・個人情報等に接することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しています。これら各種情報の取り扱い、機密保持には細心の注意を払っており、不正なアクセス、改ざん、破壊、漏洩、紛失等から守るため、管理体制及び取扱規則を定め、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じています。万が一、情報漏洩等の事故が発生した場合には、評判・信用に悪影響を与えるなどのリスクがあります。また、知的財産権については、第三者による不正利用等による侵害や、当連結グループに対する訴追等のリスクがあります。

 

(11)天変地異・感染症・戦争・テロ・事故等による影響について

 当連結グループは開発・生産・販売等の拠点を多くの国に設け、グローバルに事業を展開しています。それらの拠点において、地震・水害等の自然災害、感染症の流行、戦争、テロ、事故、第三者による非難・妨害等が発生するリスクがあります。こうした障害により、短期間では復旧不可能な損害を被り、材料・部品の調達、生産活動、販売・サービス活動に遅延や中断が発生した場合、業績に大きな影響を与えるリスクがあります。

 なお、世界各地において、新型コロナウィルス感染症 (COVID-19) 拡大に関する外出自粛要請等が長引いたり、繰り返される場合は、当社の事業活動に甚大な影響を及ぼすリスクがあり、今後も引き続き注視してまいります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1)業績

 当連結グループは、2019年度が最終年度となる3カ年の中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」の経営施策を重点的に推進し、お客様の事業課題である「安全性向上」「生産性向上」「ライフサイクルコスト(燃料費・維持費・修理費等を含む費用)低減」に繋がるICT・IoTを活用した解決策を「Solution Linkage®」と位置付け、積極的に取り組んでまいりました。

 部品サービス事業では、「ConSite®」の浸透を図っており、とりわけ2017年度より始めた建設機械業界初の、センサーによりオイルの状態を遠隔で検知しエンジンや油圧機器の故障予知を行う「ConSite® OIL」を、ヨーロッパ、日本、オーストラリアに続き、連結会計年度は東南アジア・中国市場へ提供を開始するなど、世界各地のお客様のライフサイクルコストの低減に取り組みました。

 マイニング事業については、日立グループとの協業により高度な車体安定化制御を実現した、リジッドダンプトラックAC-3シリーズの拡販に努め、鉱山運営の効率化に貢献するマイニング機械の運行管理システムの提供や自律運転技術(AHS)の開発に積極的に取り組んでおり、今年前半の商用化をめざし、オーストラリアのWhitehaven Coal Mining Limitedと協業を進めてきました。

 また、買収したH-E Parts International LLC及びその子会社と、Bradken Pty Limited及びその子会社ではマイニング設備関連の部品サービス等を推進するソリューション事業を強化しています。Bradken Pty Limited及びその子会社では、連結会計年度から日立建機のダンプトラック用の純正荷台の製作を始め、更にグループの協業を深化させてきました。

 レンタル事業では、米国のAcme Business Holdco, LLCへの出資やイギリスのSynergy Hire Limited設立に続き、中国でも事業強化を進めており、今後更にアジア・大洋州でも展開を図っていきます。

 以上、提出会社では新車販売以外のバリューチェーン(新車販売以外の事業である部品サービス、ソリューションビジネス、レンタル等の事業)事業の強化を進め、収益の拡大を図ってきました。

 一方、世界的に先行き不透明感の広がる中、当第4四半期会計期間から世界中で深刻化した新型コロナウイルス感染拡大の影響による油圧ショベル需要の減少、資源価格下落の影響による中小規模鉱山会社からのマイニング機械需要の減少、また当第3四半期会計期間に発生した日本国内の台風による出荷遅れ、並びに前連結会計年度と比較し円高基調で推移した為替の影響等により、当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)の連結売上収益は、前連結会計年度比90%の9,313億4千7百万円となりました。

 連結の利益項目については、前連結会計年度比では、売上収益の減少、為替の円高影響等により、営業利益は前連結会計年度比71%の728億4千9百万円、税引前当期利益は前連結会計年度比65%の671億3百万円、親会社株主に帰属する当期利益は前連結会計年度比60%の411億7千1百万円となりました。

 

① 建設機械ビジネス

 当連結会計年度における油圧ショベル需要は、日本や北米においては堅調に推移したものの、世界的に先行き不透明感の広がる中、当第4四半期会計期間から新型コロナウイルスの影響が各地に広がり、中国・アジア・インド・オセアニア・アフリカ・西欧等、多く地域で前連結会計年度を下回りました。一方、マイニング機械需要は大規模鉱山を所有する大手鉱山会社からの需要は、前年同様の水準で推移しましたが、中規模鉱山会社からの需要は減少しました。

 この結果、当連結会計年度の売上収益は、新型コロナウイルスの影響による市場の減速に伴う新車販売の減少や円高影響等を受け、前連結会計年度比90%の8,407億6千2百万円となりました。

 

② ソリューションビジネス

 当事業は、2016年度に連結子会社化した、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty Limited及びその子会社と、サービスソリューションを提供するH-E Parts International LLC及びその子会社で構成されています。

 当連結会計年度の売上収益は、ロシアCISやアジア等でマイニング機械向け売上が堅調に推移し、前連結会計年度比で現地通貨ベースでは増収を確保したものの、為替の円高影響により、前連結会計年度比95%の919億7千5百万円となりました。

 

 なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値です。

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は621億6千5百万円となり、当連結会計年度期首より51億8千2百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動に関するキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動に関するキャッシュ・フローは、当期利益が447億6千8百万円、償却費461億4千7百万円をベースに、売掛金及び受取手形及び契約資産の減少6億4千6百万円、ファイナンス・リース債権の減少92億1千3百万円、棚卸資産の減少1億7百万円の計上等があった一方で、買掛金、支払手形の減少327億6千9百万円、法人所得税の支払314億4百万円等がありました。

 この結果、当連結会計年度は226億8千2百万円の収入となりました。

(投資活動に関するキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動に関するキャッシュ・フローは、主として、有形固定資産の取得320億4千4百万円、無形資産の取得73億1千1百万円があったため347億4千9百万円の支出となりました。

(財務活動に関するキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動に関するキャッシュ・フローは、主として、配当金の支払(非支配持分株主への配当金を含む)253億8百万円があったものの、短期借入金の増加96億9千4百万円、社債及び長期借入金の増加393億8千2百万円等により、109億9千3百万円の収入となりました。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前連結会計年度比(%)

建設機械ビジネス

830,272

83

ソリューションビジネス

87,392

93

合計

917,664

84

(注)1.金額は、販売価格によっています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

② 受注実績

 当連結グループの製品は、そのほとんどが見込生産のため受注実績の記載は省略しています。

③ 販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比(%)

建設機械ビジネス

840,751

90

ソリューションビジネス

90,596

94

合計

931,347

90

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。

 

2.財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)重要な会計方針及び見積り

 当連結グループは連結財務諸表の作成に際し、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、財政状態及び経営成績の金額に影響を与える見積りを行っていますが、特に以下の重要な会計方針が、提出会社の連結財務諸表の作成における重要な見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 また、当連結会計年度における繰延税金資産の実現可能性の評価やのれん等の非金融資産の減損テストなどの将来業績予測に基づく重要な会計上の見積りについて、当連結グループはグローバルに事業活動を行っており、セグメントや地域によって状況は異なるものの、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)拡大に伴う経済活動停滞による影響は概ね2020年度上半期で発生し、一部は下半期まで及ぶという仮定に基づいております。
 この仮定のもとでは当連結会計年度の連結財務諸表に与える重要な影響はありませんが、実際の経済活動の推移が今後この仮定から乖離した場合には、翌期以降の重要な会計上の見積りの判断に影響を及ぼす可能性があります。

① 棚卸資産

 当連結グループは、棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い方の金額で評価しており、実際の将来需要または市場状況が悪化した場合は、評価減が必要となる可能性があります。

 

② 有形固定資産及び無形資産

当連結グループは、有形固定資産及び無形資産について減損の兆候の有無の判定を行い、その帳簿価額が回収不可能であるような兆候がある場合、減損テストを実施しています。将来の営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローの悪化等により回収可能価額が低下した場合には追加の減損損失の計上が必要になる可能性があります。

また、耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年、主に第4四半期において、その資産の属する資金生成単位ごとに回収可能価額を見積もり、減損テストを実施しています。のれんが発生している連結子会社の超過収益力が低下した場合には、追加の減損損失の計上が必要になる可能性があります。

 

③ 営業債権及びその他の金融資産

 金融資産については、減損を示す客観的な証拠が金融資産の当初認識後に発生しており、その金融資産の見積将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合、当該金融資産について減損損失が発生する可能性があります。

 また、営業債権にかかる減損損失については、事業を行う国あるいは地域の特有な商慣行を含む、事業環境に関連した潜在的なリスクを評価した上で、過去の経験等を考慮に入れ算定される貸倒実績率又は回収可能額の見積りに基づき減損損失を計上しており、将来の市況悪化や取引先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

④ 繰延税金資産

 繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。将来において業績及び課税所得が見積額より悪化した場合、繰延税金資産に対し追加の評価減の計上が必要となる可能性があります。

 

⑤ 退職給付に係る負債

 当連結グループは、退職給付制度に基づく確定給付債務及び制度資産の測定に当たっては、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び死亡率などが含まれます。将来において、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付に係る負債、退職給付費用及び退職給付制度の再測定に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度における当連結グループの業績については、1.経営成績等の状況の概要(1)業績に記載のとおりです。

 変化に強い企業体質づくりと成長戦略の刈取りを促進すべく策定した2017年度から3か年の中期経営計画の達成・進捗状況は、以下のとおりです。

 

指標

2019年度目標

当連結会計年度実績

前連結会計年度比

収益性

営業利益からその他の収益及びその他の費用を除いた利益率9%以上をめざす

8.2%

3.1%pt減

効率性

ROE9%以上をめざす

8.6%

6.1%pt減

ネットD/Eレシオ

0.4以下をめざす

0.58

0.09増

株主還元

連結配当性向を30%程度、もしくはそれ以上をめざす

31.0%

-

(注)2020年度目標の前提となる為替レートは、米ドル105円、ユーロ120円、人民元15円、豪ドル72円としています。

引き続き中期経営計画策定時の前提市況ならびに為替水準をベースにした場合においても各数値目標が達成できるよう取り組みます。

① 売上収益

 当連結会計年度の連結売上収益は前連結会計年度比9.9%減少の9,313億4千7百万円となりました。

 

② 売上原価、販売費及び一般管理費

 当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度比7.5%減少の6,805億9千万円となりました。売上原価の売上収益に対する比率は前連結会計年度より1.9ポイント増加し73.1%となりました。

 また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度比4.0%減少の1,741億3千9百万円となりました。

 

③ 営業利益

 営業利益は、前連結会計年度より28.8%減少し728億4千9百万円となりました。営業利益の売上収益に対する比率は前連結会計年度から2.1ポイント減少し7.8%となりました。

 

④ 金融収益及び金融費用

 金融収益及び金融費用は、前連結会計年度の43億1千万円の損失(純額)から当連結会計年度84億2千8百万円の損失(純額)と、損失が41億1千8百万円増加しました。これは主に、支払利息が、前連結会計年度52億6千4百万円から当連結会計年度65億8千6百万円と、13億2千2百万円増加したことによるものです。

 

⑤ 税引前当期利益

 税引前当期利益は、前連結会計年度より34.7%減少し671億3百万円となりました。

 

⑥ 法人所得税費用

 当連結会計年度における法人所得税費用は、前連結会計年度より21.7%減少し、223億3千5百万円となりました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因

  当連結グループに与える業績変動要因、並びに国内外の政治的・経済的変動及び需要変動による影響については 2[事業等のリスク]に記載のとおりです。

 

 

(4)財政状態の分析

[資産]

 流動資産は、前連結会計年度末に比べて、△9.1%、611億9百万円減少し、6,127億7千9百万円となりました。これは主として営業債権が283億2千1百万円、棚卸資産が236億2千2百万円減少したことによります。

 非流動資産は、前連結会計年度末に比べて、8.5%、434億2千万円増加し、5,547億8千8百万円となりました。これは主として、当連結会計年度期首からのIFRS第16号「リース」適用により、使用権資産が578億5千3百万円増加したことによります。

 この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて、△1.5%、176億8千9百万円減少し、1兆1,675億6千7百万円となりました。

 

[負債]

 流動負債は、前連結会計年度末に比べて、△21.1%、992億5千7百万円減少し、3,713億6千6百万円となりました。これは主として営業債務及びその他の債務が771億9千5百万円減少したことによります。

 非流動負債は、前連結会計年度末に比べて57.6%、991億1千8百万円増加し2,710億9千万円となりました。これは主として当連結会計年度期首からのIFRS第16号適用により、リース負債が477億9千5百万円、社債及び借入金が593億2千9百万円増加したことによります。

 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて1億3千9百万円減少し、6,424億5千6百万円となりました。

 

[資本]

 資本合計は、前連結会計年度末に比べて、△3.2%、175億5千万円減少し、5,251億1千1百万円となりました。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

 当連結グループの資本の財源及び資金の流動性については、1.経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況に記載のとおりです。

資金需要及び財務政策

 当連結グループは、当期の運転・設備投資及び投融資資金に充当し、かつ借入金の長短、直間のバランスの適正化を目的として、短期借入金96億9千4百万円、長期借入金618億6千8百万円、社債300億円の資金調達を行い、長期借入金224億8千6百万円、社債300億円の返済を実施しました。

 また、当連結グループは適時に資金繰り計画を作成・更新すると共に、手元流動性を極小化し資金効率を高める一方でコミットメント・ライン及び当座借越枠の確保により流動性リスクを回避する管理をしています。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)業務提携契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

日立建機株式会社

株式会社クボタ

日本

ミニショベル

OEM購入

1995年4月19日から

2005年5月16日まで

以後2年毎の自動更新

日立建機株式会社

ディア アンド カンパニー

米国

油圧ショベル

OEM供給

1983年2月10日から

8年間

以後5年毎の自動更新

日立建機株式会社

ベル エクイップメントLtd.

南アフリカ

アーティキュレートダンプトラック

サトウキビ・森林伐採機

OEM購入

2000年9月5日から

5年間

以後1年毎の自動更新

日立建機株式会社

ディア日立建機ブラジルS.A.

ブラジル

油圧ショベル

OEM供給

2011年9月30日から

無期限

 

(2)技術提携契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

日立建機株式会社

株式会社中山鉄工所

日本

自走式クラッシャ

1 共同開発

2 部品の相互供給

1 1993年9月1日から

2年間

以後1年毎の自動更新

2 1995年7月25日から

1995年12月1日まで

以後1年毎の自動更新

日立建機株式会社

ディア日立建機ブラジルS.A.

ブラジル

油圧ショベル

技術供与

2011年9月30日から

2021年9月29日まで

 

(3)その他の契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約期間

日立建機株式会社

株式会社日立製作所

(親会社)

日本

日立ブランドに関する使用許諾

2015年4月1日から

5年間

以後1年毎の自動更新

 

 

 

5【研究開発活動】

 当連結グループは、新たな付加価値の創造、品質・信頼性の向上を目的に、新技術や新製品の開発を積極的に推進しています。研究・開発本部の先行開発センタを主体に、研究・開発、生産・調達、品質保証の各本部、及びグループ会社の研究開発従事者が、緊密な連携を取りながら研究開発を推進しています。また、広範かつ高度な技術獲得のため、株式会社日立製作所、国内外の大学との依頼研究、共同研究を行っており、これらの研究活動を通して、高度技術人財の育成を同時に図っています。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は、23,720百万円です。

 セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりです。

 

(1)建設機械ビジネス

 基軸製品である油圧ショベル、超大型ショベルに加え、ミニショベル、ホイールローダ等において、次期排ガス規制に対する技術開発を進めているほか、「低炭素」をキーワードに、クリーン化、省エネルギー化を考慮した製品開発を進め、国内の特定特殊自動車(オフロード法)排出ガス2014年基準に適合した中型油圧ショベル、ホイールローダ、道路機械を開発しています。

 安定した作業能力と信頼性に基づく高稼働率を維持し、世界中の鉱山業界のお客様から高い評価をいただいている現行の超大型油圧ショベルEX-6シリーズからのフルモデルチェンジとなるEX-7シリーズの開発を進め、2019年4月から販売を順次開始しました。鉱山現場での安全性や生産性の向上、掘削から加工、搬出、積み出しまで鉱山現場全体のサプライチェーンにおける効率化を果たすことを目的に、ICTやIoT技術を活用した鉱山管理システム、更に、それを組み合わせたソリューション等の各種センサを搭載することで、お客様への定期的な稼働レポートの配信や、機械状態に応じた適切なメンテナンスやサービス部品の提供をタイムリーにすることを可能にしました。

 2019年7月には、粘性や含水比等が異なる原料土を現場で効率的に改良する自走式の環境製品は、大型の後処理装置と「尿素SCRシステム」を採用することで排出ガスの中のPM(粒子状物質)とNOx(窒素酸化物)排出量を大幅に低減し、環境性能を向上させた、自走式土質改良機SR2000G-6を、日本国内向けに発売しました。

 提出会社は、日立グループの強みである制御システム及びICT・IoTの技術を活用する「One Hitachi」で取り組むと共に、さまざまなビジネスパートナーとのオープンイノベーションによる連携を推進します。身近で頼りになるパートナーとして、社会課題を解決するソリューション「Reliable solutions」を、お客様と協創し提供していくと共に、環境価値・企業価値の創出に努めていきます。

 当連結会計年度の建設機械ビジネスにおける研究開発費は、22,239百万円です。

 

 当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。

 超大型油圧ショベル EX1200-7、EX2600-7、EX3600-7、EX5600-7

 自走式土質改良機  SR2000G-6

 中国市場向けのミニショベル土木専用機 ZX60C-5A

 

(2)ソリューションビジネス

 マイニング設備向けの事業では、交換性、摩耗寿命、安全性を考慮した、競争力の高いバケット消耗品の爪やマイニングショベル用の足回り製品の開発を行っています。

 また、お客様の生産性向上に寄与する、油圧ショベルの特性とお客様の掘削条件を反映した高効率バケットの製品化開発も行っています。

 固定プラント及び鉱物加工向けの事業では、電子厚さ測定装置やレーザースキャニング技術とディスクリート素子モデリングソフトウェアを使用して製品の設計を最適化し、ミルライナーや表面摩耗の寿命を延ばし、処理能力を向上させる開発を行っています。また、IoTを活用した製品ソリューションの提供についても研究を進めています。

 当連結会計年度のソリューションビジネスにおける研究開発費は、1,481百万円です。