第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1)経営方針

 当連結グループは、「豊かな大地、豊かな街を未来へ・・・快適な生活空間づくりに貢献する」という企業ビジョンを掲げ、全従業員がグループ共通の価値基準・行動規範である Kenkijin スピリット(「Challenge(チャレンジ精神)」、「Customer(個客志向)」、「Communication(風通しの良さ)」)の下、「身近で頼りになるパートナー」として Reliable solutions を継続的に提供し、お客さまの課題解決に努めます。

これにより事業競争力とグループ経営力の強化を追求し、収益性の向上とキャッシュ・フローの創出力を高め、また、SDGsやESG等を経営課題として、持続可能な社会の構築と事業成長を実現することにより、企業価値の増大と更なる株主価値向上をめざします。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

株主構成の変更

 2022年1月14日付けで、当社の親会社である株式会社日立製作所(以下、「日立」)と、日本産業パートナーズ株式会社(以下、「日本産業パートナーズ」)が管理・運営・情報提供を行うファンドがその持分の全てを保有する特別目的会社及び伊藤忠商事株式会社(以下、「伊藤忠商事」)がその持分の全てを保有する特別目的会社が共同で出資する予定のHCJIホールディングス合同会社(以下、「JIPコンソーシアムSPC」)との間で、日立が保有する当社普通株式55,290,000株(議決権所有割合26.0%(2021年9月30日現在の総株主の議決権の数2,125,317個を基準に算出))をJIPコンソーシアムSPCへ譲渡することが合意されました。

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日本産業パートナーズは、企業風土を尊重しつつ、既存事業・産業を変革する意志をもった企業家・経営陣と協力し、時代の要請に合致した新たな事業・産業を構築することにより、本来その事業・産業が有していた潜在的な力を十分に引き出す支援を事業目的としています。

今回の合意以降、中長期の保有を通じ、経験・ノウハウ、幅広い専門家ネットワークを活用し、日立建機が行う事業戦略策定及び事業戦略遂行に必要な経営基盤の強化をサポートし、財務基盤の効率化に貢献することに加え、豊富なファイナンスの経験から、ファイナンスでの連携の実績のある伊藤忠商事グループと共に、日立建機のレンタル資産の管理運用等に関する最適なアドバイス等を今後提供して頂けるものと考えています。

伊藤忠商事は、建機分野において従来より輸出トレード・ファイナンス案件や合弁会社の設立による事業展開等を通じて日立建機と様々な取引関係を有しており、特にインドネシアでは製造・販売・金融の分野において30年来の共同事業を展開しています。伊藤忠商事は日米間の陸海送物流や米国内における倉庫や物流・資材センター等の物流ネットワークと、小型建機の製造・販売会社、建機のオンライン・レンタル会社を通じて全米の建機レンタル会社の顧客ネットワークを有しており、また、伊藤忠商事グループは、米国でファイナンスサービスを提供する事業会社を保有しており、北米において、販売代理店向けと、リテール向けの双方で、幅広くファイナンスでの協業の検討を進めてまいります。

このように新たなパートナーとの資本関係によって、世界最大の北米市場における事業展開をより確かなものとしていくと共に、日立建機としては南米市場をはじめとする世界各地のパートナーとの連携も継続し、グローバルでの成長戦略を加速してまいります。

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4つの経営戦略の柱

日立建機グループでは、「豊かな大地、豊かな街を未来へ…快適な生活空間づくりに貢献」を企業ビジョンとし、快適な生活空間の象徴である「豊かな大地」「豊かな街」をつくることに、最大限の役割を果たし、社会に貢献していきます。

2023年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「Realizing Tomorrow’s Opportunities 2022 明日の好機をつかみとれ」では、①バリューチェーン事業の強化、②お客さまとのあらゆる接点で深化したソリューションを提供、③変化に強い企業体質の形成に新たに「北中南米全域で戦略を実現」を加えた4つの経営戦略の柱で持続的な成長と企業価値の向上に取り組みます。

直近の市場環境は、新型コロナウィルスの影響により、サプライヤーや輸送業の操業鈍化による生産・調達への影響及び資材費、輸送費、資源価格の高騰、地政学リスクによる事業影響懸念等により、先行き不透明な状況にあります。このような状況下、4つの経営戦略の柱を基本とし、「Reliable solutionsの提供」を旗印として、お客さま課題を解決することを目的に、デジタルテクノロジーを駆使し、お客さまからゆるぎない信頼を勝ち取り続けて、グローバル市場の中で確固たるポジションを築くことをめざします。

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①バリューチェーン事業の強化

社会課題やお客さまの事業・ニーズが変化する中、日立建機グループでは、機械のライフサイクル全体を通じて、お客さまに最適なソリューションを提供しています。新車販売を除く部品・サービス、レンタル・中古車、ファイナンス事業、ソリューションビジネス等をバリューチェーン事業と位置づけ、経営戦略の重要活動として強化を図っています。

②お客さまとのあらゆる接点で深化したソリューションを提供

日立建機では、お客さまの課題である「安全性向上」「生産性向上」「ライフサイクルコスト低減」をお客さまとともに解決する各種ソリューションを提供しています。今後も幅広い先進技術や、ビジネスパートナーとのエキスパート技術を融合したオープンイノベーションの技術を活用して、他社を凌駕するソリューションをスピード感を持って提供します。

③北中南米全域で戦略を実現

2021年8月に、ディア アンド カンパニー社(以下、「ディア社」)との間で、北中南米の合弁事業に関する業務提携を解消することに合意しました。ディア社との業務提携解消後、米州全域の地域統括会社「日立建機アメリカInc.」を通じて2022年3月より独自展開を始めています。

北中南米全域におけるコンパクト・コンストラクションの油圧ショベル、マイニング向け超大型油圧ショベル、ダンプトラック、ホイールローダの販売・サービス網の構築、部品供給体制の強化、市場特性に応じたレンタル・中古車事業の展開、再生事業を含むマイニング事業の基盤拡充、グローバルでの生産拠点の活用、北米での生産能力増強により新たな製品供給体制の構築等を通じて、真の顧客満足をめざします。また、北中南米向けの油圧ショベルにもConSite®を導入します。

④変化に強い企業体質の形成

欧州を中心としたゼロエミッション対応、デジタル技術の急速な進展への対応、マーケティング・技術・情報・デジタルのグローバル一体連携体制を推進して変化に強い企業体質を形成し、先進国での電動化・多機能化、新興国での機能を限定し価格を抑えた機械等お客さまの多様な課題に柔軟に対応できる身近で頼りになるパートナーをめざします。また、開発・生産拠点再編の継続に加えて、4月からコンパクト、コンストラクション、マイニングなどのビジネスユニット制を導入し、営業から開発・設計・製造まで迅速な一気通貫の意思決定を図っています。

 

ビジネスユニット制の導入

2022年4月より、日立建機の組織体制にビジネスユニット制を導入し、5ビジネスユニット(以下、BU)、1ユニットを新設しました。具体的には、一般建設工事現場向け中・大型建機の「コンストラクションBU」、鉄鉱石など資源採掘・運搬向け超大型建機の「マイニングBU」、都市土木や農林業など向け小型建機の「コンパクトBU」、バリューチェーン事業の拡大につながる「部品・サービスBU」、「レンタル・中古車BU」、新規事業を生み出し、成長させる組織として「新事業創生ユニット」の構成となります。
 これまでは、機能別に部門が分かれていましたが、各ビジネスユニットが一気通貫し、事業の推進、説明責任を持つことになります。このビジネスユニット制では、縦割りを少なくし、事業計画の意思決定を速めると同時に業績責任を明確にします。 これは、①お客さま起点の事業体制の最適化(体制の整流化と経営リソースの最適化)、②中長期成長戦略の立案と責任の明確化、③収益責任の明確化を目的としています。
 お客さまの課題解決、環境対応、米州事業戦略、DXなど、大きく変貌する世の中の動きに素早く対応できる形になり、ベンチャービジネスへの投資、10年先の事業目線で見たソリューション機能と製品の抽出、戦略立案などを行っていきます。また、グローバルで機能を統括する開発、品質保証や生産・調達統括部門と財務、法務、人事などのコーポレート部門が全体を支えます。 この新たな組織体制で、現中期経営計画を完遂し、2023年度から始まる次期中期経営計画の作成に着手します。

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サーキュラーエコノミーへの取り組み

日立建機は事業を通じて、ESG・SDGsに貢献する活動を積極的に推進しています。

再生事業では、従来行ってきた部品の再生に加え、車体全体を再生する新たなビジネスモデルを構築しており、日本で油圧ショベルの再生を行い、販売しています。巨大なマイニング機の再生によって削減されるスクラップ及びCO2削減量は、さらに大きくなります。新車同様の原状回復だけではなく、製品のマイナーチェンジまでを反映させたメーカーならではの対応となり、お客さまにとって価値の高い製品へと貢献しています。

これからも、お客さまと社会・環境の課題解決に同時に貢献する持続可能な資源循環型ビジネスモデルを確立し、推進していきます。

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バリューチェーン全体での課題解決と価値創造、SDGs(持続可能な開発目標)

「豊かな大地、豊かな街を未来へ…快適な生活空間づくりに貢献」という企業ビジョンのもと、日立建機グループでは、これまでも事業活動を通じて社会課題の解決に取り組み、企業価値を高めてきました。私たちは、バリューチェーン全体で新しい価値を創造することで、お客さまをはじめとする世界中のステークホルダーのみなさんと一緒にSDGs達成に向けて取り組んでいきます。

社会に必要とされる企業であり続けるために、2030年目標の達成をめざし活動してまいります。

 

日立建機グループが注力する10のSDGs

日立建機グループの事業活動とSDGsの17の目標との関連性を整理し、特に注力すべき10の重点目標を設定しました。

 

SDGs目標

取り組み

期待される効果

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[教育支援の活動]

・教習所での資格取得支援

・海外インターンプログラム/自立支援

[従業員への技術・教育取得機会提供]

・サクセションプラン(後継者育成計画)

・リーダーの育成

・各自のレベルアップ、国内外の技術レベルの向上が、持続可能な成長に寄与する

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[女性の活躍推進]

・女性活躍の基盤構築、継続就労・復職支援、

キャリア形成支援

・教習所における女性講師の育成

女性が高いモチベーションで就業できる雇用環境を整えることで、ジェンダー(男女の性区分)平等を促進

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[排出抑制と汚染防止]

・水ストレスレベルの高い地域を特定

・事業活動に伴う水使用量の削減

・化学物質の管理(水リスクの低減)

水資源の持続可能な管理を確保するとともに、水リスクの高い地域での節水活動で地域コミュニティを支援

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[製造プロセスの環境負荷低減]

・電力監視システムの導入

自主技術を生産の現場に取り入れ、効率的なエネルギー使用を実現

[再生可能エネルギーの活用]

・太陽光パネルの設置

持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保

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[新規事業のグローバル展開]

・部品再生事業

現地人財を採用することで地域雇用の創出に寄与し、経済成長へ

[事業構造改革]

・国内開発・製造拠点の再編

安全かつ効率的な製造ラインを実現し、ディーセント・ワークを実現

[働き方改革]

・労働安全衛生強化/ダイバーシティ推進

ディーセント・ワーク推進で、持続可能な経済成長、生産的な完全雇用

[安全・安心な労働環境の促進]

・コーポレート・ガバナンス/コンプライアンス

・人権尊重

ガバナンスの取り組みにより、組織が強化され企業価値が向上し、経済生産性が高まる

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[ICT・IoT技術を生かした製品やソリューションの開発]

・Solution Linkage®の展開

・無人化・ロボット化技術による省力化機械の開発

新たな価値を生み出す革新的な技術開発で、経済発展と人間の福祉を支援し、安全で生産的な労働環境を実現

[グローバルでのサービス強化]

・地域販社の設立

販路拡大により、地域のインフラ開発に寄与し、経済発展に貢献

[リスクマネジメント]

・BCP(事業継続計画)の策定

・BCM(事業継続マネジメント)体制強化

自然災害や人的災害(テロや暴動)等、企業を取巻くリスクへの対策により、強靭なインフラを整備し、持続可能な産業化を推進

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[建設機械の提供や支援]

・各国のインフラ整備

・自治体へのレンタル資機材の供給

災害に強い持続可能な都市や居住空間を実現

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[バリューチェーン事業の強化]

・レンタル事業のグローバル展開

製品のライフサイクル価値を向上し持続可能な消費/生産パターンを確保

[製品のリユース・リサイクル]

・部品再生事業の取り組み

廃棄物の削減に貢献

[製品・サービスに関する情報提供]

・リコール情報などの迅速な開示

・サプライチェーン上のリスク防止

持続可能な消費と生産のパターンを確保

[品質の向上]

・世界同一品質「Made by Hitachi」の実現

・中古車流通の強化

・差別化技術の開発

安全性・品質の確保で持続可能な消費と生産のパターンを確保し、製品のライフサイクルを通じた環境影響を最小化する

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[クリーン技術、環境配慮技術の開発]

・電動化、水素エンジンなど脱炭素技術の開発拡大による差別化

・高効率な鉱山運行管理システム

低炭素技術を備えた製品の開発・実用化で、気候変動リスクの低減に寄与

[気候変動リスクへの対応]

・太陽光発電の導入

・インターナルカーボンプライシングの導入

再生可能エネルギーの使用や省エネ設備の導入などを通じて、地球環境問題の解決に貢献

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[外部組織との協働による地域コミュニティの開発支援]

・中国のホルチン砂漠の緑化活動

・インドの「ものづくり技能移転推進プログラム」

グローバル・パートナーシップによる

イノベーションの活性化に貢献

[バリューチェーン全体でのCSR推進]

・サプライヤーに対する公正な調達の推進

・グローバルな技術継承や移転

グローバル・パートナーシップの活性化

 

 

 

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2【事業等のリスク】

 当連結グループは、生産、販売、ファイナンス等幅広い事業分野にわたり、世界各地において事業活動を行っています。そのため、当連結グループの事業活動は、市況、為替、ファイナンス等多岐に亘る要因の影響を受けます。
 当連結会計年度末現在予見可能な範囲で考えられる主な事業等のリスクは次のとおりです。

 

項目

リスク

対策

1

市場環境の変動

当連結グループの事業は、需要の多くはインフラ整備等の公共投資、資源開発や不動産等の民間設備投資等に大きく影響を受けます。各地域の急激な経済変動により、需要が大きく下振れするリスクがあり、工場操業度の低下や在庫水準の過不足、競合激化による売価下落等による収益悪化リスクがあります。

需要動向や各地域の市況の変化(コロナ、災害、法規制、他)による影響を軽減するため、毎月、現地から先々の見通しを取得し、その最新計画をもとに生産工場と連携し生産対応を進めています。

在庫管理においては各個社に基準在庫月数を設定し、機会損失及び在庫過剰とならないよう、適正在庫量をめざして先々を見据えた生産・供給コントロールを行っています。

想定を超える急激な変動が発生した場合には、臨時で販売生産会議を開催し各業務担当執行役の承認のもと、迅速な生産対応をとっています。

2

為替相場の変動

為替相場の変動は、外国通貨建ての売上や原材料の調達コストに影響を及ぼします。また、連結決算における在外連結子会社の財務諸表の円貨換算額にも影響を及ぼします。通常は外国通貨に対して円高になれば財政状態や経営成績にマイナスの影響を及ぼします。

これら為替変動リスクを軽減するため、現地生産を行い、また、先物為替予約等を行っています。しかし、これらの活動にも関わらず、為替相場の変動は、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

3

金融市場の変動

当連結グループは有利子負債を有しており、市場金利の上昇は支払利息を増加させ、利益を減少させるリスクがあります。また、年金資産に関しても、市場性のある証券の公正価値や金利等の変動が、財政状態や経営成績に悪影響を与えるリスクがあります。

これらの金融市場の変動に対応するため、固定金利調達を行うことにより金利変動リスクの影響を軽減しています。また、年金資産については、運用状況を常に監視し、安全で安定的な運用をめざしています。

4

生産・調達

当連結グループの製品原価に占める部品・資材の割合は大きく、その調達は、素材市況の変動に影響を受けます。鋼材等の原材料価格の高騰は、製造原価の上昇をもたらします。また、部品・資材の品薄時には、適時の調達・生産が困難になり、生産効率が低下する可能性があります。

資材費の上昇については、VEC活動を通じて原価低減に努めると共に、生産においても、自動化やデジタル技術活用による生産性向上で原価低減を図っています。これに加え、製造原価上昇に見合った適正な販売価格の確保に努めることにより対応していきます。

また、部品・資材の品薄時には、代替品への切り替えにより、生産への影響を回避していきます。

5

債権管理

当連結グループの主要製品である建設機械は、割賦販売、ファイナンスリース等の販売ファイナンスを行っております。お客さまの財政状態の悪化により貸し倒れが発生し、収益に影響を与えるリスクがあります。

専門部署を設け、極端な債権の集中が生じないように、与信管理や遅延債権管理を徹底して、債権管理にあたっています。

6

公的規制・税務

当連結グループの事業活動は、政策動向や数々の公的規制、税務法制等の影響を受けています。具体的には、事業展開する国において、事業や投資の許可、輸出入に関する制限や規制等、また、知的財産権、消費者、環境・リサイクル、労働条件、租税等に関する法令の適用を受けています。これらの規制の強化や変更は、対応コスト及び支払税額の増加により、収益へ影響を与えるリスクがあります。

法務部門が、知的財産や環境等の各部門やグループ各社の法務部門と協力して、各国の法令動向や当連結グループの事業や製品への影響を調査しています。

影響を察知した場合は、必要な部門に情報を提供し、対応に当たる体制を整備しています。

 

 

 

 

項目

リスク

対策

7

環境規制・気候変動

当連結グループが取り扱う建設機械は、気候変動(CO2削減等)及び環境負荷(排ガス、騒音)等の社会問題への対応が求められており、環境規制の適用を受けています。これらの要求に応えるため、開発や、サービス・販売・生産・調達体制の構築といった投資が必要になり、経営に財務的なインパクトを与えるリスクがあります。

環境に配慮した事業運営は、当連結グループが積極的に取り組むべき課題と認識し、より高度な環境対応技術の開発のための先行研究やリソースの確保(人財確保、施設導入等)の中長期的な計画を立案すると共に、TCFDのリスク評価及び管理プロセスを導入することで、財務的なインパクトの平準化に努めています。

8

製造物責任

予期せぬ製品の不具合により事故が発生した場合、製造物責任に関する対処あるいはその他の義務に直面する可能性があり、収益を減少させるリスクがあります。

社内で確立した厳しい基準のもとに、品質と信頼性の維持向上に努めています。

万が一事故が発生した場合に備え、充分な保険を付保して、費用や賠償責任の負担による財務的インパクトを軽減しています。

9

提携・協力関係

当連結グループは国際的な競争力を強化するために、販売代理店、供給業者、同業他社等さまざまな提携・協力を講じて製品の開発、生産、販売・サービス体制の整備・拡充を図っています。これらの提携・協力による期待する効果が得られない場合、あるいは紛争や争訟等の結果、提携・協力関係が解消された場合には、業績に影響を与えるリスクがあります。

提携・協力関係を構築する際には、事前調査や契約条件等を精査したうえで慎重に決定する体制と基準を整備しています。万が一、提携・協力関係に障害や解消の必要性等が生じた場合は、法務部門と関係部門が協力して対応し、業績に与える影響を最大限抑制する体制としています。

10

国際取引規制

国内外の取引については、安全保障貿易管理法令や国際的な規制が適用されます。当連結グループの製品・顧客・用途等に適用される法令や国際的な規制が変更された場合、取引が継続不能となり、業績に影響を与えるリスクがあります。

国内外の取引においては、当連結グループの製品・顧客・用途等に適用される法令や国際的な規制を精査し、慎重に判断しています。法令や国際的な規制の変更等の動向について、常に情報を収集し当連結グループ内への周知を行う等、確実な法令遵守とリスク管理を行う体制としています。

11

情報セキュリティ

当連結グループは事業活動において、顧客情報・個人情報等に接することがあり、営業上・技術上の機密情報を保有しています。万が一、情報漏洩等の事故が発生した場合には、評判・信用に悪影響を与えるなどのリスクがあります。

また、開発・生産・販売等の拠点を多くの国に設け、それらの拠点とネットワークを介してグローバルに事業を展開しています。近年増加傾向にあるサイバー攻撃による被災等が発生するリスクがあります。

各種情報の取り扱い、機密保持に関する管理体制及び取扱規則を定め、不正なアクセス、改ざん、破壊、漏洩、紛失等を防止する合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じています。

また、サイバー攻撃への耐性を向上させるため、サーバーの堅牢化や、工場ネットワークの分離対策を推進すると共に、情報セキュリティの事業継続計画(IT-BCP)の構築を推進しています。

12

知的財産

当連結グループが提供する製品・サービスが第三者の知的財産権(特許等)に抵触した場合、第三者から訴訟を提起されるリスクがあります。

また、第三者の技術情報を不正に取得・使用した場合、第三者から訴訟を提起されるリスクがあります。

当連結グループは、第三者の知的財産権を尊重する方針のもと、知的財産に関する専門の部門を設置し、第三者の知的財産権を侵害しないように、第三者の知的財産権の監視・対策を実行しています。

また、第三者の技術情報の取得・使用に当たっては、事前の検討と取得後の適正な管理を徹底する体制としています。

 

 

 

項目

リスク

対策

13

天変地異・感染症・戦争・テロ等

当連結グループは開発・生産・販売等の拠点を多くの国に設け、グローバルに事業を展開しています。それらの拠点において、地震・水害等の自然災害、感染症の流行、戦争、テロ、事故、第三者による非難・妨害等が発生するリスクがあります。

現在のロシア・ウクライナ情勢による経済活動への影響には不確実性が存在し、当社の事業活動に影響を及ぼすリスクがあります。

災害等により、材料・部品の調達、生産活動、販売・サービス活動に影響が発生する可能性を事前に察知した場合、グループ各社及び取引先と連携して、遅延や中断を最小限に食い止める体制を構築しています。

ロシア・ウクライナ情勢については、常に最新の情報を入手し、従業員の安全確保を最優先の事項として対応するとともに、その他地域における当社の事業活動を円滑に継続できるよう対応しています。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

 

(1)業績

① 売上収益

 当連結会計年度の連結売上収益は前連結会計年度比26.0%増加の1兆249億6千1百万円となりました。

 

② 売上原価、販売費及び一般管理費

 当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度比20.2%増加の7,449億7千3百万円となりました。売上原価の売上収益に対する比率は前連結会計年度より3.5ポイント減少し72.7%となりました。

 また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度比16.1%増加の1,864億7千万円となりました。

 

③ 営業利益

 営業利益は、前連結会計年度より277.5%増加し1,065億9千万円となりました。営業利益の売上収益に対する比率は前連結会計年度から6.9ポイント増加し10.4%となりました。

 

④ 金融収益及び金融費用

 金融収益及び金融費用は、前連結会計年度の40億8千5百万円の損失(純額)から当連結会計年度19億4千5百万円の損失(純額)と、損失が21億4千万円減少しました。これは主に、その他の金融費用が、前連結会計年度13億6千5百万円から当連結会計年度1億8百万円と、12億5千7百万円減少したことによるものです。

 

⑤ 税引前当期利益

 税引前当期利益は、前連結会計年度より333.5%増加し1,108億6千9百万円となりました。

 

⑥ 法人所得税費用

 当連結会計年度における法人所得税費用は、前連結会計年度より183.1%増加し、310億5百万円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は942億5千7百万円となり、当連結会計年度期首より139億2千7百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動に関するキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動に関するキャッシュ・フローは、当期利益が798億6千4百万円、減価償却費481億6千4百万円をベースに、買掛金、支払手形の増加150億9千2百万円の計上等があった一方で、売掛金、受取手形及び契約資産の増加△503億1千6百万円、棚卸資産の増加△481億6千7百万円、法人所得税の支払188億4千2百万円等があったことにより当連結会計年度は393億1千7百万円の収入となり、前連結会計年度に比べて収入が520億2千2百万円減少しました。

 

(投資活動に関するキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動に関するキャッシュ・フローは、主として、有形固定資産の取得279億2千4百万円、無形資産の取得66億1千6百万円があった一方で、当社の持分法適用関連会社であったディア日立コンストラクションマシナリーCorp.及びディア日立建機ブラジルS.A.の当社保有株式の売却等による収入225億9千2百万円があったため68億5千4百万円の支出となり、前連結会計年度と比べて254億2千7百万円支出が減少しました。

 

(財務活動に関するキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動に関するキャッシュ・フローは、主として、短期借入金の増加213億1千4百万円があったものの、社債及び長期借入金の減少136億7千3百万円、配当金の支払(非支配持分株主への配当金を含む)205億5千2百万円があったこと等により、256億1千5百万円の支出となりました。この結果、前連結会計年度と比べて203億9千6百万円支出が減少しました。

 

 

 

 

(3)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前連結会計年度比(%)

建設機械ビジネス

993,654

139

ソリューションビジネス

合計

993,654

139

(注)1.金額は、販売価格によっています。

2.ソリューションビジネスセグメントのビジネスは、マイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品開発、製造、販売及びサービスソリューションの提供を主たる目的としており、ビジネスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しています。

3.当連結会計年度において生産実績に著しい変動がありましたその内容等については、「第2事業の状 況経営者による財政状態経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)(2)当連結会計年度の経営成績の分析をご参照願います

 

② 受注実績

 当連結グループの製品は、そのほとんどが見込生産のため受注実績の記載は省略しています。

③ 販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比(%)

建設機械ビジネス

933,857

126

ソリューションビジネス

91,104

115

合計

1,024,961

126

(注)1.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。

 

2.財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)重要な会計方針及び見積り

 当連結グループは連結財務諸表の作成に際し、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、財政状態及び経営成績の金額に影響を与える見積りを行っていますが、特に以下の重要な会計方針が、提出会社の連結財務諸表の作成における重要な見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
 当該仮定は当連結会計年度末時点における最善の見積りであると判断していますが、実際の経済活動の推移が今後この仮定から乖離した場合には翌期以降の重要な会計上の見積りの判断に影響を及ぼす可能性があります。

 

① 棚卸資産

 当連結グループは、棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い方の金額で評価しており、実際の将来需要または市場状況が悪化した場合は、評価減が必要となる可能性があります。

 

② 有形固定資産及び無形資産

当連結グループは、有形固定資産及び無形資産について減損の兆候の有無の判定を行い、その帳簿価額が回収不可能であるような兆候がある場合、減損テストを実施しています。将来の営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローの悪化等により回収可能価額が低下した場合には追加の減損損失の計上が必要になる可能性があります。

また、耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年、主に第4四半期において、その資産の属する資金生成単位ごとに回収可能価額を見積もり、減損テストを実施しています。のれんが発生している連結子会社の超過収益力が低下した場合には、追加の減損損失の計上が必要になる可能性があります。

 

③ 営業債権及びその他の金融資産

 金融資産については、減損を示す客観的な証拠が金融資産の当初認識後に発生しておりその金融資産の見積将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合、当該金融資産について減損損失が発生する可能性があります。

 また、営業債権にかかる減損損失については、事業を行う国あるいは地域の特有な商慣行を含む事業環境に関連した潜在的なリスクを評価した上で算定した将来の回収可能額の見積りに基づいて減損損失を計上しており、将来の市況悪化や取引先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

④ 繰延税金資産

 繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。将来において業績及び課税所得が見積額より悪化した場合、繰延税金資産に対し追加の評価減の計上が必要となる可能性があります。

 

⑤ 退職給付に係る負債

 当連結グループは、退職給付制度に基づく確定給付債務及び制度資産の測定に当たっては、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び死亡率などが含まれます。将来において、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付に係る負債、退職給付費用及び退職給付制度の再測定に影響を及ぼす可能性があります。

 

 なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)及びロシア・ウクライナ情勢の影響についての影響の考え方は以下のとおりです。

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響について

 当連結会計年度における将来業績予測に基づく重要な会計上の見積りについて、当連結グループはグローバルに事業活動を行っており、地域によって新型コロナウイルス感染症による状況は異なるものの、当連結グループの業績に対する影響は限定的であると考えており、当連結会計年度における当連結グループの会計上の見積り及び見積りを伴う判断に与える重要な影響はありません。

 当該仮定は当連結会計年度末時点における最善の見積りであると判断していますが、実際の経済活動の推移が今後この仮定から乖離した場合には、次連結会計年度以降の重要な会計上の見積りの判断に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

ロシア・ウクライナ情勢の影響について

 当連結会計年度末の連結財政状態計算書には当社の連結子会社である在ロシアの日立建機ユーラシアLLC(以下、HCMR)の財政状態計算書が含まれております。

 このHCMRの財政状態計算書のうち、主要な項目としては代理店に対して有する売上債権が20,087百万円、棚卸資産が10,823百万円含まれています。売上債権については全期間の予想信用損失を見積り、貸倒引当金を計上していますが、当該見積りは代理店の財政状態やその顧客の属する産業の状況、直近の回収状況等を考慮し、回収期間にわたり直近の状況が継続するとの仮定に基づいております。棚卸資産についても、受注の状況を踏まえた今後の販売計画を考慮した上で評価しておりますが、主に既存の受注残高に対応するための保有であり、当該計画に基づいて販売される仮定に基づいております。

 当該仮定は当連結会計年度末時点における最善の見積りであると判断しておりますが、ロシア・ウクライナ情勢による経済活動への影響には不確実性が存在し、実際の経済活動の推移等が見積りから乖離した場合には、翌期以降の会計上の見積りに影響を及ぼし、貸倒引当金及び棚卸資産の評価に重要な変更をもたらすリスクがあります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 当連結グループは、2017年度から注力してきたバリューチェーン事業をさらに強化するため、2020年度から進めている現中期経営計画「Realizing Tomorrow’s Opportunities 2022」でも、お客さまとのあらゆる接点において、最先端のデジタル技術を活用することで、さらに深化したソリューションを提供すると共に、変化に強い企業体質への転換に取り組んでいます。

 また、ディア アンド カンパニー(以下、「ディア社」)との合弁事業解消に伴い、2022年3月から、北中南米事業の独自展開を本格的に開始しております。世界最大規模の北中南米市場全域でこれまで注力してきたバリューチェーン事業や深化したソリューションを提供し、グローバルに主体的に事業を展開する体制を整え、企業価値のさらなる向上をめざしています。

 当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)については、一部地域で新型コロナウイルス変異株の感染拡大による行動制約などの影響を受けたものの、市場環境は中国以外の主要地域において堅調に推移しました。売上収益は、コンストラクション・マイニング製品の新車販売のほか、部品サービスを中心としたバリューチェーン事業でも増加し、為替影響等も加わって、1兆249億6千1百万円(対前年同期増減率26.0%)となりました。

 利益項目について、調整後営業利益は、鋼材価格を中心としたコスト増加の影響があったものの、好調な市場環境を背景とした売上収益の増加や第2四半期に計上した米州向けの販売価格決定による調整額、生産稼働率向上による損益改善、為替影響等によって935億1千8百万円(同185.9%)となりました。親会社株主に帰属する当期利益は、調整後営業利益の増加に加え、ディア社との合弁事業解消に伴う持分法適用会社(ディア日立コンストラクションマシナリーCorp.及びディア日立建機ブラジルS.A.)の株式譲渡益や海外の持分法適用会社による投資損益の増加、さらに第4四半期の常陸那珂工場隣接地の土地売却益等により758億2千6百万円(同633.3%)と大幅に増益となりました。

 

① 建設機械ビジネス

当連結会計年度における油圧ショベル需要は、中国市場では前年同期を大幅に下回った一方で、中国以外の主要地域で堅調に推移し、世界全体でも前年同期を上回りました。

 また、マイニング需要は、新型コロナウイルスの影響を受けていた鉱山の操業がほぼ正常に戻り、堅調な資源価格を追い風とした顧客の投資意欲の回復や、鉱山再稼働に伴う休車機のオーバーホール需要などから、新車・部品サービスともに堅調に推移しました。

 この結果、当連結会計年度における売上収益は、コンストラクション・マイニング製品の新車販売と、部品サービスを中心とするバリューチェーン事業で増加し、為替影響等も加わって、9,338億6千4百万円(同27.2%)となりました。

 調整後営業利益は、売上収益の増加や第2四半期に計上した米州向けの販売価格決定による調整額、生産稼働率向上による損益改善、為替影響等により、859億4千1百万円(同233.1%)と大幅な増益となりました。

 

② ソリューションビジネス

 当事業は、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty Limited及びその子会社と、サービスソリューションを提供するH-E Parts International LLC及びその子会社で構成されています。

当連結会計年度の売上収益は、マイニングの市場環境が堅調に推移し、為替影響等が加わって948億2千2百万円(同15.0%)となりました。調整後営業利益は、鋼材価格を中心としたコスト増加の影響を受けたものの、売上収益の増加と為替影響等により75億7千7百万円(同9.6%)となりました。

 

 なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値です。

 

 

 また、変化に強い企業体質づくりと成長戦略の刈取りを促進すべく策定した2020年度から3か年の中期経営計画の達成・進捗状況は、以下のとおりです。

 

指標

2022年度目標

当連結会計年度実績

前連結会計年度比

収益性

営業利益からその他の収益及びその他の費用を除いた利益率10%以上をめざす

9.1%

5.1%pt増

効率性

ROE10%以上をめざす

13.5%

11.4%pt増

ネットD/Eレシオ

0.5以下をめざす

0.42

0.06減

株主還元

連結配当性向を30%、もしくはそれ以上をめざす

30.9%

10.2%pt減

(注)2022年度目標の前提となる為替レートは、米ドル120円、ユーロ130円、人民元19円、豪ドル80円としています。

引き続き中期経営計画策定時の前提市況並びに為替水準をベースにした場合においても各数値目標が達成できるよう取り組みます。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因

  当連結グループに与える業績変動要因、並びに国内外の政治的・経済的変動及び需要変動による影響については 2[事業等のリスク]に記載のとおりです。

 

 

(4)財政状態の分析

[資産]

 流動資産は、前連結会計年度末に比べて、23.8%、1,471億6千2百万円増加し、7,643億5千5百万円となりました。これは主として営業債権が550億7千7百万円、棚卸資産が705億1百万円増加したことによります。

 非流動資産は、前連結会計年度末に比べて、7.1%、425億1千6百万円増加し、6,452億5百万円となりました。これは主として、有形固定資産が383億1千7百万円増加したことによります。

 この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて、15.5%、1,896億7千8百万円増加し、1兆4,095億6千万円となりました。

 

[負債]

 流動負債は、前連結会計年度末に比べて、22.2%、828億5千1百万円増加し、4,553億5百万円となりました。これは主として営業債務及びその他の債務が421億6千8百万円、社債及び借入金が240億7千5百万円増加したこと等によります。

 非流動負債は、前連結会計年度末に比べて2.7%、74億5千2百万円増加し2,863億2千4百万円となりました。これは主として契約負債が73億3百万円増加したことによります。

 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて903億3百万円増加し、7,416億2千9百万円となりました。

 

[資本]

 資本合計は、当期利益に加えて在外営業活動体の換算差額の好転等により前連結会計年度末に比べて、17.5%、993億7千5百万円増加し、6,679億3千1百万円となりました。

 

(5)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① キャッシュ・フロー

 当連結グループのキャッシュ・フローの分析・検討内容は、1.経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況に記載のとおりです。

② 資本の財源及び資金の流動性

 当連結グループは、成長投資の実行と財務の健全性向上及び株主還元を最適なバランスで行うため、資本効率を高めつつ適切な水準の流動性を維持し、調達手段の多様化を図ることとしています。

  資金調達にあたっては、長短、直間のバランスを考慮し金融機関からの借入や社債の発行を実施すると共に、債権の流動化等による調達手段の多様化を図っています。また、コミットメントライン契約を締結し適切な水準の流動性を確保する様にしています。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)業務提携契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

日立建機株式会社

株式会社クボタ

日本

ミニショベル

OEM購入

1995年4月19日から

2005年5月16日まで

以後2年毎の自動更新

日立建機株式会社

ベル エクイップメントLtd.

南アフリカ

アーティキュレートダンプトラック

サトウキビ・森林伐採機

OEM購入

2000年9月5日から

5年間

以後1年毎の自動更新

日立建機株式会社

ディア アンド カンパニー

米国

油圧ショベル及び

関連部品

OEM供給

2022年3月1日から5年間以後相手方の申し入れにより延長可能

(注)1.ディア アンド カンパニーとの1983年2月10日から効力を有していた油圧ショベルの旧OEM契約は、2021年8月19日付で相手方と合弁解消契約を締結し、2022年2月28日付で終了しています。

2.ディア日立建機ブラジルS.A.との2011年9月30日から効力を有していた油圧ショベルのOEM契約は、2021年8月19日付でディア アンド カンパニーと締結した合弁解消契約に基づき、2022年2月28日付で終了しています。

 

(2)技術提携契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

日立建機株式会社

株式会社中山鉄工所

日本

自走式クラッシャ

1 共同開発

2 部品の相互供給

1 1993年9月1日から

2年間

以後1年毎の自動更新

2 1995年7月25日から

1995年12月1日まで

以後1年毎の自動更新

(注)ディア日立建機ブラジルS.A.との油圧ショベルの技術供与契約は、契約期間の満了に伴い、当第2四半期連結会計期間において終了しました。

 

(3)その他の契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約期間

日立建機株式会社

株式会社日立製作所

(親会社)

日本

日立ブランドに関する使用許諾

2015年4月1日から

5年間

以後1年毎の自動更新

日立建機株式会社

HCJIホールディングス合同会社

日本

資本提携契約

2022年1月14日から

無期限

(注)2022年1月14日に公表したとおり、当社株式を保有する㈱日立製作所が26%相当分をHCJIホールディングス合同会社に譲渡する予定であり、これに伴いHCJIホールディングス合同会社との資本提携契約を締結しています。

 

 

 

5【研究開発活動】

 当連結グループは、新たな付加価値の創造、品質・信頼性の向上を目的に、新技術や新製品の開発を積極的に推進しています。研究・開発本部の先行開発センタを主体に、研究・開発、生産・調達、品質保証の各本部、及びグループ会社の研究開発従事者が、緊密な連携を取りながら研究開発を推進しています。また、広範かつ高度な技術獲得のため、株式会社日立製作所、国内外の大学との依頼研究、共同研究を行っており、これらの研究活動を通して、高度技術人財の育成を同時に図っています。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は、25,462百万円です。

 セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりです。

 

(1)建設機械ビジネス

 基軸製品である油圧ショベル、超大型ショベルに加え、ミニショベル、ホイールローダ等において、次期排ガス規制に対する技術開発を進めているほか、「低炭素」をキーワードに、クリーン化、省エネルギー化を考慮した製品開発を進め、国内の特定特殊自動車(オフロード法)排出ガス基準に適合した中型油圧ショベル、ホイールローダ、道路機械を開発しています。

 2021年4月には、「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」2014年基準に適合した土工用振動ローラZC120S-6を開発し、日本国内において2021年4月よりレンタルを開始しました。本製品は、当社従来製品が対象とした路盤から表層までの工程以外にも、道路や舗装の土台となる路床の締固めのほか、ダムや空港、港湾、宅地造成などの大規模なインフラ整備や、防災・減災に向けた国土強靭化の取り組みにおける活用が期待されます。

 2021年7月には、小規模舗装工事の整地作業向けに、PATブレードの3Dマシンコントロール仕様のミニショベルZX40U-5Bを、日本国内において販売開始しました。PATブレードとは、Power Angle Tiltブレードの略で、通常の上下動作に加え、ブルドーザのようにチルト、アングル動作も可能としたブレード(排土板)です。本製品は、2018年に販売・レンタルを開始したミニショベル「PATブレード3Dマシンコントロール仕様機ZX35U-5B」の機能を継承しつつ、常時360度の全旋回動作が可能となり使い勝手を大幅に向上させています。

 2021年10月は、「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律」2014年基準に適合した新型ICT油圧ショベルZX200X-7とZX330X-7を、日本国内向けに発売しました。両機種は、日立建機のICT施工ソリューションの中核を担うICT油圧ショベル「Solution Linkage® Assist(ソリューション リンケージ アシスト)」で、制御精度をさらに向上させた独自のマシンコントロール機能を搭載し、国土交通省が推進するi-Constructionに対応するとともに、建築基礎、土木工事など、さまざまな現場でのICT施工の支援を実現します。また、新採用の「エリアコントロール」機能により、油圧ショベルの上下・左右方向の動作制限エリアをモニター上で設定することが可能で、狭所や障害物のある現場での安全性向上に寄与します。さらに、日立建機のICT・IoTソリューション「Solution Linkage®」の新たなソリューションとして開発した「Solution Linkage® Work Viewer(ソリ ューション リンケージ ワーク ビューワー)」を採用しました。現在と過去の稼働状況の映像を、スマートフォンで見ることができ、作業者および管理者の両方の観点での施工進捗管理を支援します。

 2021年10月、超大型油圧ショベルEX1900-6をモデルチェンジし、作業量を維持したまま燃料消費量を最大19%低減したEX2000-7を発売しました。EX2000-7は、現在発売中のEX-7シリーズで実現した構造物の耐久性の向上、ICTやIoTの活用による修理・点検でのサポート機能に加え、油圧回路の刷新や作業モード選択機能の追加などにより高い燃費性能も実現しました。大幅な燃料消費量の低減により、環境負荷とライフサイクルコストの低減に貢献します。

 提出会社は、さまざまなビジネスパートナーとのオープンイノベーションによる連携を推進します。身近で頼りになるパートナーとして、社会課題を解決するソリューション「Reliable solutions」を、お客さまと協創し提供していくと共に、環境価値・企業価値の創出に努めていきます。

 当連結会計年度の建設機械ビジネスにおける研究開発費は、24,040百万円です。

 

 当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。

 土工用振動ローラ ZC120S-6

 PATブレードの3Dマシンコントロール仕様のミニショベル ZX40U-5B

 ICT油圧ショベル ZX200X-7、ZX330X-7

 超大型油圧ショベル EX2000-7

 

(2)ソリューションビジネス

 マイニング設備向けの事業では、交換性、摩耗寿命、安全性を考慮した、競争力の高いバケット消耗品の爪やマイニングショベル用の足回り製品の開発を行っています。

 また、お客さまの生産性向上に寄与する、油圧ショベルの特性とお客さまの掘削条件を反映した高効率バケットの製品化開発も行っています。

 固定プラント及び鉱物加工向けの事業では、電子厚さ測定装置やレーザースキャニング技術とディスクリート素子モデリングソフトウェアを使用して製品の設計を最適化し、ミルライナーや表面摩耗の寿命を延ばし、処理能力を向上させる開発を行っています。また、IoTを活用した製品ソリューションの提供についても研究を進めています。

 当連結会計年度のソリューションビジネスにおける研究開発費は、1,422百万円です。