文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)経営方針
当連結グループは、「豊かな大地、豊かな街を未来へ 安全で持続可能な社会の実現に貢献します」というビジョンを掲げ、全従業員がグループ共通の行動規範であるスピリット「Challenge Customer Communication」の下、「お客さまの課題をともに解決する、身近で頼りになるパートナー」として、お客さまの期待に応え、革新的な製品・サービス・ソリューションを協創し、ともに新たな価値を創造し続けます。
これにより事業競争力とグループ経営力の強化を追求し、収益性の向上とキャッシュの創出力を高め、また、SDGsやESG等を経営課題として、持続可能な社会の構築と事業成長を実現することにより、企業価値の増大と更なる株主価値向上をめざします。
(2)新中期経営計画の策定
当社は、2023年を初年度とする新中期経営計画(BUILDING THE FUTURE 2025 未来を創れ)を策定しました。
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事業環境 企業を取り巻く社会・技術・経済環境の変化に伴い、競争環境も大きく変化しています。電動化を含む、脱炭素技術開発の加速や、施工現場のデジタル化、自動運転等、異業種との競争・連携が活発化しています。 このような状況下で、2022年8月に当社の資本構成は、大きく変化しました。株式会社日立製作所が保有していた当社株式の約半数を、伊藤忠商事株式会社と日本産業パートナーズ株式会社により設立されたHCJIホールディングス株式会社へ譲渡され、筆頭株主の異動が行われました。 さまざまな変化があり、当社は、今まさに、新たな成長フェーズにあります。 |
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日立建機のグループアイデンティティ このような事業環境の変化を受け、当社は2022年に独自のグループアイデンティティを策定しました。 右図のミッションに掲げているように、お客さまの期待や課題に迅速にお応えして、卓越した技術をベースに、革新的な製品・サービス・ソリューションをお客さまや連携パートナーと協創してまいります。そして、この取り組みを通じて、ビジョンである豊かな大地、豊かな街を未来へつなげるための新たな価値を創造し、安全で持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 |
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新中期経営計画の経営戦略の柱
お客さまの経営課題の一つは「安全性と生産性の向上、ライフサイクルコストの低減、プラス環境対応」です。この課題は、今、そして10年後の課題でもあります。しかしこの課題の解決方法は、今と10年後では違ってきます。当社は、これらの変化する課題解決の為に、革新的なソリューションをお客さまに提供し続けます。それこそが、当社のグループアイデンティティの中のミッション「お客さまの期待に応え、革新的な製品・サービス・ソリューションを協創し、ともに新たな価値を創造し続ける」ということになります。
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1)顧客に寄り添う革新的ソリューションの提供 新中期経営計画の1つ目の柱は、「顧客に寄り添う革新的なソリューションの提供」です。 「安全性と生産性の向上」「ライフサイクルコストの低減プラス環境対応」という、お客さまの課題は不変です。しかし、技術の進歩に伴って解決策はますます複雑化していきます。 当社は、お客さまの課題を解決する為に、デジタルを活用して、「多様なデータの連携」と「製品の進化」が必要と考えています。 ソリューション1.0は従来型のデータを活用したサービスの提供、2.0はその情報を活用して、製品を進化させていくものと定義しています。 コンパクト・コンストラクション事業では、ソリューション1.0を今よりもさらに拡大しながら、ソリューション2.0の協調安全や高度な自律運転等、製品を進化させることで、「顧客に寄り添う革新的なソリューションの提供」につなげていきます。 また、異業種との協創を通じて付加価値の提供するソリューション3.0では、お客さま・パートナーとの協創を業界に先駆けて取り組んでおり、事業化に向けた取り組みを加速します。 マイニング事業では、当社の事業領域である、採掘(Pit)から選鉱領域(Plant)の多様なタッチポイントにおいて、当社グループおよび異業種のパートナーと連携します。また、製品を進化させていくことで、お客さまの課題である、生産性、安全性向上、ライフサイクルコスト削減、さらに環境対応の実現に向けて推進していきます。 |
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2)バリューチェーン事業の拡充
2022年度実績のバリューチェーン売上収益比率は40.6%ですが、2025年度には50%以上をめざします。
部品・サービス事業では、サービスメニュー「ConSite」を活用し、機械の長寿命化・稼働時間の最大化・作業効率向
上につながるソリューションを提案します。また、再生事業の売上拡大に向けて、北米やアフリカ等グローバルでの生産体制を強化します。さらに、本体を丸ごと再生する本体再製造は、これまでの実績を生かして、各拠点にノウハウを展開することにより、事業として本格化します。マイニング事業では、Bradken社/H-E Parts社のミネラルプロセッシング領域を含めた、採掘(Pit)から選鉱領域(Plant)でのマイニングバリューチェーン事業を強化します。レンタル・中古車事業では、2023年度からフランスで開始するなど、海外でのレンタル事業を拡大していきます。また、保証付き中古車「PREMIUM USED」の提供などにより、中古車価値を向上させ、お客さまに多様なメニューを用意いたします。
3)米州事業の拡大
米州事業は想定以上の立ち上がりと成長性を示しております。2025年度には、独自展開分のみで売上収益3,000億円以上をめざして、新車販売及びバリューチェーン事業を拡大し、収益の安定化を図ります。
コンパクト・コンストラクション事業では、独自の販売網について、2022年度に整備が進んだ北米につづき、中南米における構築を進めます。
マイニング事業では、北米向けに建設・砕石現場用の超大型油圧ショベルを拡販します。南米向けには、サービスサポート体制の底上げを図ります。また、米州全域のダンプトラックの体制強化に取り組んでまいります。
バリューチェーン事業では、レンタル事業に注力します。
大手代理店やレンタル会社では通常所有しないような機種をレンタルする「レンタルToレンタル」や、小規模の地域総合レンタル会社の支援を通じて、レンタル事業を拡大します。
4)人・企業力の強化
人財戦略として、人・組織・文化の3つの項目を最優先に取り組んでいきます。
「人」においては、国内外の人財がグローバルに活躍できる育成の場や機会を提供しています。
「組織」においては、2022年に導入したお客さまの業種や製品サイズ別に設計・製造・販売・サービスを一体となったビジネスユニット制を深化させ、グローバル全体での業績管理を高度化していきます。
「文化」においては、経営計画管理システムを通じ、完遂する文化を浸透させ、経営戦略の遂行と経営基盤の強化に向けた人財施策を推進します。
研究・開発体制では、アジャイル開発により企業文化を変革します。
収益構造では、ビジネスユニット制を通じて事業の効率が判断できるようになったことを生かし、全部門での総原価低減活動を継続的に推進します。
研究・開発~生産・供給~販売・サービスまで、グローバルに事業体質を強化していきます。
また、この激しい経営環境の変化に立ち向かえるよう、収益構造の改善についても、引き続き取り組んでまいります。
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カーボンニュートラルに向けた取り組み 日立建機グループは、2050年までにバリューチェーン全体を通じてのカーボンニュートラルをめざし、製品開発および生産工程の両面でCO₂削減に取り組んでいます。 COP26合意に伴い、TCFDシナリオ分析の前提を、これまでの「2℃」から、さらに厳しい基準である「1.5℃」に変更しました。Scope1+2では、CO₂排出量を2010年度比で2025年に40%、2030年に45%削減する目標です。施策として、部門横断的な社内タスクフォースを再編し、設備投資による自家発電や再生可能エネルギー電力を積極的に導入し、CO₂排出量の削減を推進していきます。 Scope3では、同じく2025年に22%、2030年に33%削減を目標とし、コンパクトからマイニングまでの全製品レンジにおいて、CO₂排出量の削減および燃費低減に加えて、電動化建機の早期市場投入を図ります。 これらを通し、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて進めていきます。 |
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また、当社は「資源循環型ビジネス」をめざします。 再生・中古車・レンタル・サービスといったバリューチェーン事業を通じて、廃棄量をさまざまな角度から減らす取り組みを4つのR(Reduce・Reuse・Renewable・Recycle)として日立建機グループ全体で取り組んでいます。 製品の利用過程における取り組みにおいては、当社の強みであるConSiteや部品再生、本体再製造を活用することで、車体稼働年数を10年から15年に長期化をしていきます。このことにより、廃棄物の削減、投入資源の抑制に貢献し、最終的にはCO₂削減につながります。本取り組みにより、製品ライフサイクル1.5倍をめざしてバリューチェーン事業を拡大し、顧客価値の最大化と資源消費の最小化を両立し、当社がめざす、資源循環型ビジネスを実現します。 |
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中期経営計画の定量的目標
収益性では、調整後営業利益率を13%以上、そして売上に対しての稼ぐ力である“キャッシュ創出の能力指標”としてEBITDAマージン率18%以上を新たに目標に加えました。
また、効率性では、営業キャッシュフローマージン率及びROICを新たな指標として加えました。比較すべき資本コスト(WACC)の水準を7%程度と想定、投資家の要求スプレッドを2%以上とおき、ROIC目標9%以上と定めることで、投下資本の運用効率を意識して事業を展開し、資本収益性の向上を図ります。
また、獲得した収益を株主の皆様へ還元を行うため、連結配当性向は“30%~40%を目安に安定的且つ継続的に実施”とし、株主利益の最大化を図ります。
あわせて、ESG関連項目を目標として加えております。先に述べた環境負荷低減CO₂削減目標のほかに、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの指標を定め、グローバルの多様な人財が、能力・特性を最大限発揮できる機会を提供し、企業価値の向上を図ります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)はじめに
日立建機グループは、私たちのありたい姿、ミッション等を定めた「日立建機グループアイデンティティ」を策定しています。
サステナビリティ経営を推進していく際にも、「日立建機グループアイデンティティ」の視点を導入し、さまざまな取り組みを行っています。
(2)サステナビリティ基本方針
日立建機グループは、マテリアリティ(重要課題)を実践することで、サステナビリティを推進し、持続的な社会の発展に貢献していくことをめざして、サステナビリティ基本方針を策定しています。建設機械を通じて社会の持続的発展に貢献し、企業価値向上に努めてまいります。「サステナビリティ基本方針」は当社ホームページをご覧ください。 https://www.hitachicm.com/global/ja/sustainability/management/
※日立建機グループは2023年4月より国連グローバル・コンパクトに参加しました。
国連グローバル・コンパクトの10原則をグループ、グローバルで推進していきます。
(3)ガバナンス
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サステナビリティに関わる重要事項は、CSR推進責任者会議、環境推進責任者会議で議論した上で、執行役、主要グループ会社社長からなるサステナビリティ推進委員会(年2回開催)に報告されます。執行役社長兼COOは、サステナビリティ推進委員会の議長を務めており、気候変動、サーキュラーエコノミーなど経営に関わる重要事項の審議・承認を行っています。重要事項に関しては、執行役会および取締役会にて審議・承認され、適切に監視・監督が行われています。また、審議・承認された内容は、海外グループ会社からなるグローバルサステナビリティ推進責任者会議、およびその下部組織であるグローバルサステナビリティワーキンググループにも共有されています。 |
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<ガバナンス体制図> |
(4)戦略
①マテリアリティの特定
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日立建機グループでは、社会情勢や各国の政策・規制等の変化を踏まえ、2021年度にマテリアリティを刷新しました。特定プロセスにおいては、SDGsやESGといった社会課題の視点と、自社の企業価値の向上および毀損につながる外部環境の視点の両面で、中長期的なリスクと機会を検討し、4つのテーマを抽出しました。社内外のステークホルダーの意見を取り入れながら議論を重ね、2021年7月の執行役会にて承認を受け、取締役会にて報告しました。マテリアリティごとにKPI(重要業績評価指標)を設定し、サステナビリティ・ガバナンス体制のもとで進捗管理を行っています。なおマテリアリティは、外部環境の変化等を踏まえ、今後も随時見直しを行っていきます。 |
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4つのマテリアリティに基づき、サステナビリティ課題に対応する「環境戦略」「技術戦略」「人財戦略」について報告します。
②環境戦略
-カーボンニュートラルに達成に向けてー
2050年までにバリューチェーン全体を通じてのカーボンニュートラルをめざすべく、製品開発および生産工程の両面で
CO₂削減に取り組んでいます。
建設機械のライフサイクル全体でのCO₂排出量をみると、お客さまの直接排出(Scope1)にあたる製品の稼働時の排出量が90%を占めており、これを下げていくことが、ライフサイクル全体のCO₂排出量の削減には重要です。私たちは、カーボンニュートラル達成を見据え、よりCO₂を排出しない環境配慮製品をお客さまや社会に提供するための指標として、2030年度にCO₂排出量を2010年度比で33%削減する目標を設定し、推進しています。
本目標達成に向け、コンパクトからマイニングの超大型機まで全製品レンジの開発を進め、燃費低減に加えて電動化建機の早期市場投入、水素燃料製品の技術面での見極め、さらにはお客さまの使用段階でのCO₂削減を実現するソリューションの提供を進めています。また、大手鉱山各社のお客さまは、2050年までのネット・ゼロ・エミッションの実現を目標に掲げており、なかでも台数の多いダンプトラックのゼロエミッション化の要望が高く、その要望に応えるため、当社はスイスABB社と連携してフル電動化に取り組み、鉱山現場全体のネット・ゼロ・エミッションをめざしています。当社が既に持っている電動走行可能なトロリー式ダンプトラックのエンジンをバッテリーに置き換えることで、トロリー給電とバッテリー給電を併用してフル電動化を実現します。当社のリジッドダンプトラック「EH3500AC-3」をフル電動駆動にした場合、1日20時間稼働で6.8トンのCO₂排出量の削減につながります。
一方、生産工程においては、省エネ、再生可能エネルギーへの転換(設備投資による自家発電、再生可能エネルギー電力導入)、電化、燃料転換などの面でCO₂排出量の削減を推進しています。特に省エネは、エネルギーコストの削減、再エネクレジットの購入費用の削減、さらに将来想定される炭素税軽減において効果を発揮します。また、インターナルカーボンプライシング(ICP)を活用した新設備投資基準を導入し、CO₂削減量が大きい設備に優先的に投資していきます。これは国内外の生産拠点とグループ会社のすべてに適用して推進しています。
<環境配慮製品を拡充し、オープンイノベーションでスピード加速>
-TCFD提言への対応-
2020年7月に全社のコーポレート部門と事業部門の部門長およびキーマンによる社内タスクフォースを設立し、同年10月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しました。2022年には、1.5℃と4℃を想定したシナリオ分析、気候変動リスクの発生可能性や財務影響について評価を行っています。TCFDフレームワーク*1に基づき、気候変動がもたらすリスクと機会および対応する戦略についての開示を行い、持続可能な事業展開をめざして、本提言に沿った推進強化に努めています。
また2022年度には経済産業省の主導するGX(グリーントランスフォーメーション)リーグ基本方針に賛同し、2023年5月よりGXリーグ*2に参画しています。
*2 GXリーグ …GX(グリーントランスフォーメーション)リーグは、経済産業省主導で立ち上げられた、2050年カーボンニュートラルに向けて「産・学・官・金」が連携し、経済社会システム全体の変革に取り組む協働の場です。
-資源循環型ビジネスへの転換について-
当社は「資源循環型ビジネス」をめざします。
再生・中古車・レンタル・サービスといったバリューチェーン事業を通じて、廃棄量をさまざまな角度から減らす取り組みを4つのR(Reduce・Reuse・Renewable・Recycle)として日立建機グループ全体で取り組んでいます。
製品の利用過程における取り組みにおいては、当社の強みであるConSiteや部品再生、本体再製造を活用することで、車体稼働年数を10年から15年に長期化をしていきます。このことにより、廃棄物の削減、投入資源の抑制に貢献し、最終的にはCO₂削減につながります。本取り組みにより、製品ライフサイクル1.5倍をめざしてバリューチェーン事業を拡大し、顧客価値の最大化と資源消費の最小化を両立し、当社がめざす、資源循環型ビジネスを実現します。
③技術戦略
―DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進―
日立建機グループは、バリューチェーンの深化やデジタル活用によって、お客さまの課題解決に貢献することをめざしています。2020年4月より全社DXをリードする組織としてDX推進本部を立ち上げ、さまざまな施策を展開しています。
2022年1月には株式会社日立製作所と共同で、建設機械の稼働状況や生産・販売・在庫などのデータを活用するためのプラットフォーム「DX基盤」を構築しました。従来、これらのデータを活用するシステムを個別に構築していましたが、DX 基盤を活用することでデータの収集・分析・利活用が格段に効率化されます。DX基盤を用いた取り組みの第一弾として、2022年度より「営業支援アプリ」を国内で運用を開始しました。国内で建設機械の販売や部品・サービス事業を担う日立建機日本株式会社の各担当者(全国243拠点、約1,000名)が対象となります。お客さまが保有する機械の稼働状況やメンテナンス計画、取引履歴などの情報をまとめて閲覧でき、これらのビッグデータをもとにAIによって判断した複数パターンの提案内容を瞬時に表示できるようになります。本アプリを活用し、新たな価値の創出につなげていきます。
-DX人財の育成-
DXの基盤を活用するには、これらを駆使できる人財の育成が必要となります。
日立建機グループでは、デジタルソリューション事業や業務プロセス改革をより強化するため、2つのプログラムを実施しています。
「デジタル基礎研修」では、リテラシーの向上を図ってデジタル人財の裾野を広げ、さらに、「デジタルチャレンジプログラム」では、顧客価値を起点とするDX事業を創出できるようにフロント業務とモノづくり現場のそれぞれに必要なデジタルスキルを考慮した上で、実践的なスキルを身に付けるように取り組んでいます。2023年度までにこれらのプログラム受講者の目標を1,000人とし、今後さらに求めれるデジタル化へ向けて、迅速に対応できるよう人財を育成していきます。
④人財戦略
人的資本に関する戦略
「第2の創業期」にある現在、日立建機グループは、既存事業の拡大に加え、デジタルソリューションを中心とした成長事業の深化と、今後の柱となる新規事業の探索をしてまいります。
上記のような事業構造の大きな変革局面においても、日立建機グループにとって人とは財産・資本、すなわち「人財」であり、会社の成長に欠かせない「人的資本」です。それを「Kenkijin」と称しております。そして、変革が必要な今こそ、Kenkijinが個性・強みを最大限に発揮できるよう、育成の強化や変革に臨む組織・風土の醸成等、数々の取組みが不可欠と考えます。こうした取組みにより会社と事業を変革し、顧客に対する新たな価値を創造して企業価値の向上に努めることが、日立建機グループにおける「人的資本経営」です。
そして、人的資本経営を進める上での基本思想として、2つの思いを特に大切にしております。
第一は、「会社と個人は、対等の関係」です。基礎を成す考え方として従業員と会社は双方にとって「選び・選ばれる関係」と捉えた上で、会社は従業員のキャリア形成や成長を支援することを通じて、新たな価値創造や企業価値の向上につなげていくことをめざします。
第二は、「チームで勝つ」です。成長事業の深化や新規事業の探索等の新たな取組みに、チームで挑んでまいります。特にソリューション・サービスにおいて、現場の従業員がお客さまに寄り添って最適なサービスに気付き提供するには、組織や立場に関係なく一体となったチームが不可欠です。そこで、誰もが個性や強みを発揮できる環境を整えることで、多様な個人の組合せにより「チームで勝つ」ことをめざします。
(5)リスク管理
情報通信技術の発展や地政学的リスク、経済情勢の変化など、社会を取り巻く事業環境は日々変化しています。日立建機グループでは、このような事業環境を日頃から把握・分析し、社会的課題や当社の競争優位性、経営資源などを踏まえ、備えるべきリスクと、さらなる成長機会の両面からリスクマネジメントを実施し、リスクをコントロールしながら経営戦略へと反映しています。2022年4月には、全社的リスクマネジメントを担うERM(Enterprise Risk Management)委員会を発足しました。
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事業運営を踏まえ全社的な対応方針、経営判断が必要なリスク、グローバルに展開している事業の根幹を揺るがすようなリスクについて、CSO(最高戦略責任者)をはじめとする経営メンバー主導のもと、全体管理・対策を迅速に対応する体制をとっています。基本的に期1回の開催とし、突発的な全社的リスク対応への要請や、委員長あるいは各委員会・関連部門の要請に応じて、臨時開催も実施します。なお、倫理・法令違反については、コンプライアンス管理委員会で議論し、事案 発生防止に向けた啓発、再発防止策の実施を行っています。 2022年度は、ロシア・ウクライナ情勢についてリスク対策本部を立ち上げ、グループ会社を含む方針や対応について迅速に決定し、対応しました。 |
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<ERM委員会を設置> |
(6)指標と目標
日立建機グループが特定したマテリアリティに対する目標値(2030年度)は、以下のとおりです。
※2022年度の各種実績につきましては、
当連結グループは、生産、販売、ファイナンス等幅広い事業分野にわたり、世界各地において事業活動を行っています。そのため、当連結グループの事業活動は、市況、為替、ファイナンス等多岐に亘る要因の影響を受けます。
当連結会計年度末現在予見可能な範囲で考えられる主な事業等のリスクは次のとおりです。
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項目 |
リスク |
対策 |
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1 |
市場環境の変動 |
当連結グループの事業は、需要の多くはインフラ整備等の公共投資、資源開発や不動産等の民間設備投資等に大きく影響を受けます。各地域の急激な経済変動により、需要が大きく下振れするリスクがあり、工場操業度の低下や在庫水準の過不足、競合激化による売価下落等による収益悪化リスクがあります。 |
需要動向や各地域の市況の変化(災害、法規制、他)による影響を軽減するため、毎月、現地から先々の見通しを取得し、その最新計画をもとに生産工場と連携し生産対応を進めています。 在庫管理においては各個社に基準在庫月数を設定し、機会損失及び在庫過剰とならないよう、適正在庫量をめざして先々を見据えた生産・供給コントロールを行っています。 想定を超える急激な変動が発生した場合には、臨時での販売生産会議を開催し、各業務担当執行役の承認の下、生産対応を速やかに進める対応をとっています。 |
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2 |
為替相場の変動 |
為替相場の変動は、外国通貨建ての売上や原材料の調達コストに影響を及ぼします。また、連結決算における在外連結子会社の財務諸表の円貨換算額にも影響を及ぼします。通常は外国通貨に対して円高になれば財政状態や経営成績にマイナスの影響を及ぼします。 |
これら為替変動リスクを軽減するため、現地生産を行い、また、先物為替予約等を行っています。しかし、これらの活動にも関わらず、為替相場の変動は、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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3 |
金融市場の変動 |
当連結グループは有利子負債を有しており、市場金利の上昇は支払利息を増加させ、利益を減少させるリスクがあります。また、年金資産に関しても、市場性のある証券の公正価値や金利等の変動が、財政状態や経営成績に悪影響を与えるリスクがあります。 |
これらの金融市場の変動に対応するため、固定金利調達を行うことにより金利変動リスクの影響を軽減しています。また、年金資産については、運用状況を常に監視し、安全で安定的な運用をめざしています。 |
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4 |
生産・調達 |
当連結グループの製品原価に占める部品・資材の割合は大きく、その調達は、素材市況の変動に影響を受けます。鋼材等の原材料価格の高騰は、製造原価の上昇をもたらします。また、部品・資材の品薄時には、適時の調達・生産が困難になり、生産効率が低下する可能性があります。 |
資材費の上昇については、VEC活動を通じて原価低減に努めると共に、生産においても、自動化やデジタル技術活用による生産性向上で原価低減を図っています。これに加え、製造原価上昇に見合った適正な販売価格の確保に努めることにより対応していきます。 また、部品・資材の品薄時には、代替品への切り替えにより、生産への影響を回避していきます。 |
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5 |
債権管理 |
当連結グループの主要製品である建設機械は、割賦販売、ファイナンスリース等の販売ファイナンスを行っております。お客さまの財政状態の悪化により貸し倒れが発生し、収益に影響を与えるリスクがあります。 |
専門部署を設け、極端な債権の集中が生じないように、与信管理や遅延債権管理を徹底して、債権管理にあたっています。 |
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6 |
公的規制・税務 |
当連結グループの事業活動は、政策動向や数々の公的規制、税務法制等の影響を受けています。具体的には、事業展開する国において、事業や投資の許可、輸出入に関する制限や規制等、また、知的財産権、消費者、環境・リサイクル、労働条件、租税等に関する法令の適用を受けています。これらの規制の強化や変更は、対応コスト及び支払税額の増加により、収益へ影響を与えるリスクがあります。 |
法務部門が、知的財産や環境等の各部門やグループ各社の法務部門と協力して、各国の法令動向や当連結グループの事業や製品への影響を調査しています。 影響を察知した場合は、必要な部門に情報を提供し、対応に当たる体制を整備しています。 |
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項目 |
リスク |
対策 |
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7 |
環境規制・気候変動 |
当連結グループが取り扱う建設機械は、気候変動(CO2削減等)及び環境負荷(排ガス、騒音)等の社会問題への対応が求められており、環境規制の適用を受けています。これらの要求に応えるため、開発や、サービス・販売・生産・調達体制の構築といった投資が必要になり、経営に財務的なインパクトを与えるリスクがあります。 |
環境に配慮した事業運営は、当連結グループが積極的に取り組むべき課題と認識し、より高度な環境対応技術の開発に向けた先行研究やリソースの確保(人財確保、施設導入等)の中長期的な計画を立案すると共に、TCFDのリスク評価及び管理プロセスを導入することで、財務的なインパクトの平準化に努めています。 |
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8 |
製造物責任 |
予期せぬ製品の不具合により事故が発生した場合、製造物責任に関する対処あるいはその他の義務に直面する可能性があり、収益を減少させるリスクがあります。 |
社内で確立した厳しい基準のもとに、品質と信頼性の維持向上に努めています。 万が一事故が発生した場合に備え、充分な保険を付保して、費用や賠償責任の負担による財務的インパクトを軽減しています。 |
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9 |
提携・協力関係 |
当連結グループは国際的な競争力を強化するために、販売代理店、供給業者、同業他社等さまざまな提携・協力を講じて製品の開発、生産、販売・サービス体制の整備・拡充を図っています。これらの提携・協力による期待する効果が得られない場合、あるいは紛争や争訟等の結果、提携・協力関係が解消された場合には、業績に影響を与えるリスクがあります。 |
提携・協力関係を構築する際には、事前調査や契約条件等を精査したうえで慎重に決定する体制と基準を整備しています。万が一、提携・協力関係に障害や解消の必要性等が生じた場合は、法務部門と関係部門が協力して対応し、業績に与える影響を最大限抑制する体制としています。 |
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10 |
国際取引規制 |
国内外の取引については、安全保障貿易管理法令や国際的な規制が適用されます。当連結グループの製品・顧客・用途等に適用される法令や国際的な規制が変更された場合、取引が継続不能となり、業績に影響を与えるリスクがあります。 |
国内外の取引においては、当連結グループの製品・顧客・用途等に適用される法令や国際的な規制を精査し、慎重に判断しています。法令や国際的な規制の変更等の動向について、常に情報を収集し当連結グループ内への周知を行う等、確実な法令遵守とリスク管理を行う体制としています。 |
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11 |
情報セキュリティ |
当連結グループは事業活動において、顧客情報・個人情報等に接することがあり、営業上・技術上の機密情報を保有しています。万が一、情報漏洩等の事故が発生した場合には、評判・信用に悪影響を与えるなどのリスクがあります。 また、開発・生産・販売等の拠点を多くの国に設け、それらの拠点とネットワークを介してグローバルに事業を展開しています。近年増加傾向にあるサイバー攻撃による被災等が発生するリスクがあります。 |
各種情報の取り扱い、機密保持に関する管理体制及び取扱規則を定め、不正なアクセス、改ざん、破壊、漏洩、紛失等を防止する合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じています。 また、サイバー攻撃への耐性を向上させるため、サーバーの堅牢化や、工場ネットワークの分離対策を推進すると共に、情報セキュリティの事業継続計画(IT-BCP)の構築を推進しています。 |
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12 |
知的財産 |
当連結グループが提供する製品・サービスが第三者の知的財産権(特許等)に抵触した場合、第三者から訴訟を提起されるリスクがあります。 また、第三者の技術情報を不正に取得・使用した場合、第三者から訴訟を提起されるリスクがあります。 |
当連結グループは、第三者の知的財産権を尊重する方針のもと、知的財産に関する専門の部門を設置し、第三者の知的財産権を侵害しないように、第三者の知的財産権の監視・対策を実行しています。 また、第三者の技術情報の取得・使用に当たっては、事前の検討と取得後の適正な管理を徹底する体制としています。 |
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項目 |
リスク |
対策 |
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天変地異・感染症・戦争・テロ等 |
当連結グループは開発・生産・販売等の拠点を多くの国に設け、グローバルに事業を展開しています。それらの拠点において、地震・水害等の自然災害、感染症の流行、戦争、テロ、事故、第三者による非難・妨害等が発生するリスクがあります。 現在のロシア・ウクライナ情勢による経済活動への影響には不確実性が存在し、当社の事業活動に影響を及ぼすリスクがあります。 |
災害等により、材料・部品の調達、生産活動、販売・サービス活動に影響が発生する可能性を事前に察知した場合、グループ各社及び取引先と連携して、遅延や中断を最小限に食い止める体制を構築しています。 ロシア・ウクライナ情勢については、常に最新の情報を入手し、従業員の安全確保を最優先の事項として対応すると共に、国の方針や規制の範囲内で当社の事業活動を円滑に継続できるよう対応しています。 |
1.経営成績等の状況の概要
(1)業績
① 売上収益
当連結会計年度の連結売上収益は前連結会計年度比24.8%増加の1兆2,794億6千8百万円となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度比21%増加の9,015億2千万円となりました。売上原価の売上収益に対する比率は前連結会計年度より2.2ポイント減少し70.5%となりました。
また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度比29.9%増加の2,422億4千7百万円となりました。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度より25.1%増加し1,333億1千万円となりました。営業利益の売上収益に対する比率は前連結会計年度から変わらず10.4%となりました。
④ 金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用は、前連結会計年度の19億4千5百万円の損失(純額)から当連結会計年度151億1千2百万円の損失(純額)と、損失が131億6千7百万円増加しました。これは主に、為替差損が、前連結会計年度13億8千2百万円から当連結会計年度107億4千8百万円と、93億6千6百万円増加したことによるものです。
⑤ 税引前当期利益
税引前当期利益は、前連結会計年度より1.6%増加し1,126億6千1百万円となりました。
⑥ 法人所得税費用
当連結会計年度における法人所得税費用は、前連結会計年度より19.1%増加し、369億3千9百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,119億9千2百万円となり、当連結会計年度期首より177億3千5百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動に関するキャッシュ・フローは、当期利益が757億2千2百万円、減価償却費550億2千2百万円をベースに、買掛金、支払手形の増加154億7千7百万円の計上等があった一方で、売掛金、受取手形及び契約資産の増加313億9千1百万円、棚卸資産の増加753億8千4百万円、保証債務の履行による支出534億7千9百万円、法人所得税の支払372億3千6百万円等があったことにより当連結会計年度は261億3千5百万円の支出となり、前連結会計年度に比べて収入が654億5千2百万円減少しました。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動に関するキャッシュ・フローは、主として、有形固定資産の取得528億3千9百万円、無形資産の取得63億1百万円があったことで426億4千7百万円の支出となり、前連結会計年度と比べて357億9千3百万円支出が増加しました。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動に関するキャッシュ・フローは、主として、配当金の支払(非支配持分株主への配当金を含む)337億6千6百万円、非支配持分株主からの子会社株式取得による支出190億2千2百万円があったものの、短期借入金の増加1,355億8千9百万円があったこと等により、870億8千9百万円の収入となりました。この結果、前連結会計年度と比べて1,127億4百万円収入が増加しました。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
建設機械ビジネス |
1,241,064 |
125 |
|
ソリューションビジネス |
- |
- |
|
合計 |
1,241,064 |
125 |
(注)1.金額は、販売価格によっています。
2.ソリューションビジネスセグメントのビジネスは、マイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品開発、製造、販売及びサービスソリューションの提供を主たる目的としており、ビジネスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しています。
3.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2「事業の状 況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」2.財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)当連結会計年度の経営成績の分析」をご参照願います。
② 受注実績
当連結グループの製品は、そのほとんどが見込生産のため受注実績の記載は省略しています。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
建設機械ビジネス |
1,154,103 |
124 |
|
ソリューションビジネス |
125,365 |
138 |
|
合計 |
1,279,468 |
125 |
(注)1.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
2.財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)重要な会計方針及び見積り
当連結グループは連結財務諸表の作成に際し、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、財政状態及び経営成績の金額に影響を与える見積りを行っていますが、特に以下の重要な会計方針が、提出会社の連結財務諸表の作成における重要な見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当該仮定は当連結会計年度末時点における最善の見積りであると判断していますが、実際の経済活動の推移が今後この仮定から乖離した場合には翌期以降の重要な会計上の見積りの判断に影響を及ぼす可能性があります。
① 棚卸資産
当連結グループは、棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い方の金額で評価しており、実際の将来需要または市場状況が悪化した場合は、評価減が必要となる可能性があります。
② 有形固定資産及び無形資産
当連結グループは、有形固定資産及び無形資産について減損の兆候の有無の判定を行い、その帳簿価額が回収不可能であるような兆候がある場合、減損テストを実施しています。将来の営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローの悪化等により回収可能価額が低下した場合には追加の減損損失の計上が必要になる可能性があります。
また、耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年、主に第4四半期において、その資産の属する資金生成単位ごとに回収可能価額を見積もり、減損テストを実施しています。のれんが発生している連結子会社の超過収益力が低下した場合には、追加の減損損失の計上が必要になる可能性があります。
③ 営業債権及びその他の金融資産
金融資産については、減損を示す客観的な証拠が金融資産の当初認識後に発生しておりその金融資産の見積将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合、当該金融資産について減損損失が発生する可能性があります。
また、営業債権にかかる減損損失については、事業を行う国あるいは地域の特有な商慣行を含む事業環境に関連した潜在的なリスクを評価した上で算定した将来の回収可能額の見積りに基づいて減損損失を計上しており、将来の市況悪化や取引先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
④ 繰延税金資産
繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。将来において業績及び課税所得が見積額より悪化した場合、繰延税金資産に対し追加の評価減の計上が必要となる可能性があります。
⑤ 退職給付に係る負債
当連結グループは、退職給付制度に基づく確定給付債務及び制度資産の測定に当たっては、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び死亡率などが含まれます。将来において、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付に係る負債、退職給付費用及び退職給付制度の再測定に影響を及ぼす可能性があります。
なお、会計上の見積りを行う上での及びロシア・ウクライナ情勢の影響についての影響の考え方は以下のとおりです。
ロシア・ウクライナ情勢の影響について
当連結会計年度末の連結財政状態計算書には当社の連結子会社である在ロシアの日立建機ユーラシアLLC(以下、HCMR)の財政状態計算書が含まれております。
このHCMRの財政状態計算書のうち、主要な項目としては代理店に対して有する売上債権が7,705百万円、棚卸資産が7,121百万円含まれています。売上債権については全期間の予想信用損失を見積り、貸倒引当金を計上していますが、当該見積りは代理店の財政状態やその顧客の属する産業の状況、直近の回収状況等を考慮し、回収期間にわたり直近の状況が継続するとの仮定に基づいております。棚卸資産についても、受注の状況を踏まえた今後の販売計画を考慮した上で評価しております。
当該仮定は当連結会計年度末時点における最善の見積りであると判断しておりますが、ロシア・ウクライナ情勢による経済活動への影響には不確実性が存在し、実際の経済活動の推移等が見積りから乖離した場合には、翌期以降の会計上の見積りに影響を及ぼし、貸倒引当金及び棚卸資産の評価に重要な変更をもたらすリスクがあります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当連結グループは、2023年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画「Realizing Tomorrow’s Opportunities 2022 明日の好機をつかみとれ」において、①バリューチェーン事業の強化、②お客さまとのあらゆる接点で深化したソリューションを提供、③変化に強い企業体質の形成、そして、新たに④「北中南米全域で戦略を実現」を加えた4つの経営戦略で、持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでまいりました。
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における油圧ショベル需要は、中国以外の主要地域において前年度並みの高水準で推移しました。特に先進諸国の需要は堅調に推移しました。また、マイニング需要は、高水準の資源価格を背景とした顧客の高い投資意欲や、高い稼働率に伴うオーバーホール需要および定期メンテナンス需要等が継続し、ロシアを除くグローバル市場全体で堅調に推移しました。
このような環境下、売上収益は、2022年3月から本格的な独自展開を開始した米州でのコンストラクション・マイニング製品の新車販売および部品サービス事業が前年度比で大幅に増加したほか、これまで注力してきた取り組みが実り、マイニング事業およびバリューチェーン事業が過去最高の売上収益を達成しました。
これらの結果に為替影響等も加わって、売上収益全体としても過去最高の1兆2,794億6千8百万円(対前年同期増減率24.8%)と大幅な増収になりました。
利益項目については、調整後営業利益(売上収益から、売上原価並びに販売費及び一般管理費の額を減算して算出した指標)が、鋼材価格や物流コストを中心としたコスト増加の影響があったものの、グローバルに主要地域での製品および部品の販売価格への転嫁を推進し、売上収益の増加と為替影響等も加わって、過去最高の1,357億1百万円(同45.1%)と大幅な増益となりました。親会社株主に帰属する当期利益は、持続可能な年金制度の実現に向けた改定に伴う一時的な損失計上、持分法で会計処理されている投資の減損損失等があり、さらに前年度との比較では、前第4四半期にディア アンド カンパニーとの合弁事業解消に伴う持分法適用会社の株式譲渡益があったことも影響し、701億7千5百万円(同△7.5%)となりました。
① 建設機械ビジネス
当連結会計年度における売上収益は、1兆1,541億3千6百万円(同23.6%)、調整後営業利益は1,239億5千4
百万円(同44.2%)となりました。
当第1四半期において発生した調達・物流の遅れによる事業影響は、当第2四半期以降大きく改善し、本格的
に独自展開を開始した米州事業も見通し以上に順調に立ち上がり、他の地域でも旺盛な受注に支えられ、コンス
トラクション・マイニングの新車販売だけでなく部品サービスを中心としたバリューチェーン事業も好調に推移
し、前年度比で大きく伸長しました。
② ソリューションビジネス
当事業は、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty
Limited及びその子会社と、サービスソリューションを提供するH-E Parts International LLC及びその子会社で
構成されています。
当連結会計年度の売上収益は、マイニングの市場環境が堅調に推移し1,311億6千4百万円(同38.3%)、調整
後営業利益も、売上収益の増加と為替影響等により117億4千7百万円(同55.0%)と大幅な増収増益となりまし
た。
(注)「ソリューションビジネス」としていたセグメント名称を、2023年4月より「スペシャライズド・パーツ・
サービスビジネス」に変更します。セグメント名称変更によるセグメント情報に与える影響はありません。
なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値です。
また、変化に強い企業体質づくりと成長戦略の刈取りを促進すべく策定した2020年度から3か年の中期経営計画の達成・進捗状況は、以下のとおりです。
|
指標 |
2022年度目標 |
当連結会計年度実績 |
前連結会計年度比 |
|
収益性 |
営業利益からその他の収益及びその他の費用を除いた利益率10%以上をめざす |
10.6% |
1.5%pt増 |
|
効率性 |
ROE10%以上をめざす |
11.0% |
2.5%pt減 |
|
ネットD/Eレシオ |
0.5以下をめざす |
0.60 |
0.18増 |
|
株主還元 |
連結配当性向を30%、もしくはそれ以上をめざす |
33.3% |
2.4%pt増 |
(注)2022年度目標の前提となる為替レートは、米ドル130円、ユーロ130円、人民元18.1円、豪ドル84円としていま
す。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因
当連結グループに与える業績変動要因、並びに国内外の政治的・経済的変動及び需要変動による影響については 3[事業等のリスク]に記載のとおりです。
(4)財政状態の分析
[資産]
流動資産は、前連結会計年度末に比べて、18.9%、1,445億5千万円増加し、9,089億5百万円となりました。これは主として棚卸資産が825億1千5百万円、営業債権が396億4千8百万円増加したことによります。
非流動資産は、前連結会計年度末に比べて、11.3%、728億9千3百万円増加し、7,180億9千8百万円となりました。これは主として、その他の金融資産が529億4千1百万円、有形固定資産が329億1千3百万円増加したことによります。
この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて、15.4%、2,174億4千3百万円増加し、1兆6,270億3百万円となりました。
[負債]
流動負債は、前連結会計年度末に比べて、35.0%、1,595億6千5百万円増加し、6,148億7千万円となりました。これは主として社債及び借入金が1,366億7百万円、営業債務及びその他の債務が211億9千3百万円増加したこと等によります。
非流動負債は、前連結会計年度末に比べて8.7%、247億6千9百万円増加し、3,110億9千3百万円となりました。これは主として社債及び借入金が177億5千3百万円増加したことによります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて24.9%、1,843億3千4百万円増加し、9,259億6千3百万円となりました。
[資本]
資本合計は、主に利益剰余金の積上げにより前連結会計年度末に比べて、5.0%、331億9百万円増加し、7,010億4千万円となりました。
(5)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フロー
当連結グループのキャッシュ・フローの分析・検討内容は、1.経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況に記載のとおりです。
② 資本の財源及び資金の流動性
当連結グループは、成長投資の実行と財務の健全性向上及び株主還元を最適なバランスで行うため、資本効率を高めつつ適切な水準の流動性を維持し、調達手段の多様化を図ることとしています。
資金調達にあたっては、長短、直間のバランスを考慮し金融機関からの借入や社債の発行を実施すると共に、債権の流動化等による調達手段の多様化を図っています。また、コミットメントライン契約を締結し適切な水準の流動性を確保する様にしています。
(1)業務提携契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
日立建機株式会社 |
株式会社クボタ |
日本 |
ミニショベル |
OEM購入 |
1995年4月19日から 2005年5月16日まで 以後2年毎の自動更新 |
|
日立建機株式会社 |
ベル エクイップメントLtd. |
南アフリカ |
アーティキュレートダンプトラック サトウキビ・森林伐採機 |
OEM購入 |
2000年9月5日から 5年間 以後1年毎の自動更新 |
|
日立建機株式会社 |
ディア アンド カンパニー |
米国 |
油圧ショベル及び関連部品 |
OEM供給 |
2022年3月1日から5年間以後相手方の申し入れにより延長可能。 |
(2)技術提携契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
日立建機株式会社 |
株式会社中山鉄工所 |
日本 |
自走式クラッシャ |
1 共同開発 2 部品の相互供給 |
1 1993年9月1日から 2年間 以後1年毎の自動更新 2 1995年7月25日から 1995年12月1日まで 以後1年毎の自動更新 |
(3)株式譲渡契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
株式譲渡日 |
|
日立建機株式会社 |
住友重機械工業株式会社 |
日本 |
住友重機械建機クレーン株式会社の持株全ての売却および合弁契約の終了 |
2022年12月31日 |
(4)その他の契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約期間 |
|
日立建機株式会社 |
株式会社日立製作所 |
日本 |
移行サービス契約 |
原則として2022年8月23日から1年間 |
|
日立建機株式会社 |
株式会社日立製作所 |
日本 |
日立ブランドに関する使用許諾 |
2022年8月23日から1年間を経過する日の属する月の末日まで |
|
日立建機株式会社 |
HCJIホールディングス株式会社 |
日本 |
資本提携契約 |
2022年1月14日から 無期限 |
(注)株式会社日立製作所との2015年4月1日から効力を発生していた日立ブランドに関する使用許諾契約は、当第2四半期連結会計期間において新たに相手方と締結した同ブランドに関する使用許諾契約により、終了しました。
当連結グループは、新たな付加価値の創造、品質・信頼性の向上を目的に、新技術や新製品の開発を積極的に推進しています。研究・開発本部の先行開発センタを主体に、研究・開発、生産・調達、品質保証の各本部、及びグループ会社の研究開発従事者が、緊密な連携を取りながら研究開発を推進しています。また、広範かつ高度な技術獲得のため、株式会社日立製作所、国内外の大学との依頼研究、共同研究を行っており、これらの研究活動を通して、高度技術人財の育成を同時に図っています。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりです。
(1)建設機械ビジネス
基軸製品である油圧ショベル、超大型ショベルに加え、ミニショベル、ホイールローダ等において、次期排ガス規制に対する技術開発を進めているほか、「低炭素」をキーワードに、クリーン化、省エネルギー化を考慮した製品開発を進め、国内の特定特殊自動車(オフロード法)排出ガス基準に適合した中型油圧ショベル、ホイールローダ、道路機械を開発しています。
2022年4月には、後方超小旋回型ICT油圧ショベルZX135USX-7を日本国内向けに販売を開始しました。新型油圧ショベルZAXIS-7シリーズとしてICT油圧ショベルのラインアップを強化し、13tクラスの後方超小旋回型の特徴をいかして、建設基礎や宅地造成など都市土木をはじめ、お客さまの現場にあった最適な製品の提案を実現します。
2022年4月には、「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」2014年基準に適合した新型油圧ショベルZAXIS-7シリーズとして、中型油圧ショベルZX120-7、ZX135US-7、ZX200-7、ZX330-7の4機種を、日本国内向けに販売を開始しました。ZX120-7とZX135US-7は、自動車やハイブリッド油圧ショベルZH120-6で実績のある尿素水不要のエンジンを採用し、尿素水の管理や補充の手間を省き、お客さまのライフサイクルコスト低減に寄与します。ZX200-7とZX330-7は最新油圧システム「TRIAS Ⅲ(トライアス スリー)」を搭載し、作業負荷やオペレータの操作量に応じて最適な油圧制御を行うことで、低燃費と高い作業性を実現しています。全機種ともに居住空間を拡大した新設計の運転席(キャブ)を採用し、ロックレバーやマルチモニタ、各種スイッチなどのレイアウトを改善することで、オペレータの居住性と操作性を向上しています。また、キャブ内のモニターで機体周辺の俯瞰映像を確認できる周囲環境視認装置「AERIAL ANGLE®(エアリアル アングル)」を標準搭載し、安全性の向上に寄与します。
2022年6月には、電動化需要の高まりに応えるため、バッテリー駆動式ミニショベルZX55U-6EBを欧州市場向けに販売を開始しました。稼働時に二酸化炭素などの排出ガスを出さない電動化建機に対する期待が高まっており、これらのニーズにこたえる製品ラインアップを拡充することで、建設現場のゼロエミッション化に貢献します。
2022年6月には、「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」2014年基準に適合した土工用振動ローラZC120S-6を日本国内向けに販売を開始しました。道路や塗装の土台となる路床の締固めの他、ダムや空港、港湾、宅地造成などの大規模なインフラ整備や、減災・防災に向けた国土強靭化の取り組みでの活用が期待されています。
2022年7月には、後方小旋回型ICT油圧ショベルZX225USR-7、後方超小旋回型ICT油圧ショベルZX225US-7を日本国内向けに販売を開始しました。後方小旋回型及び後方超小旋回型の特徴を生かして、建設基礎や宅地造成など都市土木をはじめ、お客さまの現場にあった最適な製品の提案を実現します。また、ZX225USR-7、ZX225US-7は最新油圧システム「TRIAS Ⅲ(トライアススリー)」を搭載し、作業負荷やオペレータの操作量に応じて最適な油圧制御を行うことで、高い操作性を実現しています。
2023年2月には、「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」2014年基準に適合した13tクラスの後方超小旋回型油圧ショベル オフセットブーム1仕様機ZX135USOS-7を日本国内向けに販売を開始しました。本製品は、油圧ショベルZAXIS-7シリーズの特長である、燃費低減と高い作業性を実現する最新油圧システム「HIOS Ⅴ(ハイオス ファイブ)」を搭載し、尿素水不要のエンジンを採用しています。新機能として、バケットがブレードに接触する前に停止する「ブレード前範囲制限機能」を追加しました。さらに、バケットと運転室の接触を自動回避する機能「オートマルチーノシステム」や、フロントの動く範囲をあらかじめ設定する「エリアコントロール(フロント範囲制限システム)」、バケットの位置を運転室内のモニターに表示するシステムを導入しています。また、ワイドな掘削範囲を確保したため、様々な現場で活用していただけます。
提出会社は、さまざまなビジネスパートナーとのオープンイノベーションによる連携を推進します。身近で頼りになるパートナーとして、社会課題を解決するソリューション「Reliable Solutions」を、お客さまと協創し提供していくと共に、環境価値・企業価値の創出に努めていきます。
当連結会計年度の建設機械ビジネスにおける研究開発費は、
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
後方超小旋回型ICT油圧ショベルZX135USX-7、ZX225US-7
中型油圧ショベルZX120-7、ZX135US-7、ZX200-7、ZX330-7
バッテリー駆動式ミニショベルZX55U-6EB
土工用振動ローラZC120S-6
後方小旋回型ICT油圧ショベルZX225USR-7
後方超小旋回型油圧ショベル オフセットブーム仕様機ZX135USO-7
(2)ソリューションビジネス
マイニング設備向けの事業では、交換性、摩耗寿命、安全性を考慮した、競争力の高いバケット消耗品の爪やマイニングショベル用の足回り製品の開発を行っています。
また、お客さまの生産性向上に寄与する、油圧ショベルの特性とお客さまの掘削条件を反映した高効率バケットの製品化開発も行っています。
固定プラント及び鉱物加工向けの事業では、電子厚さ測定装置やレーザースキャニング技術とディスクリート素子モデリングソフトウェアを使用して製品の設計を最適化し、ミルライナーや表面摩耗の寿命を延ばし、処理能力を向上させる開発を行っています。また、IoTを活用した製品ソリューションの提供についても研究を進めています。
当連結会計年度のソリューションビジネスにおける研究開発費は、