第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当中間連結会計期間(2025年3月1日~2025年8月31日)におけるわが国経済は、インバウンド需要の回復や経済活動の正常化の進展により、景気は緩やかな回復基調にあります。一方で、中国経済の先行き懸念、中東情勢の緊迫化、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、米国トランプ政権の関税政策等、我が国経済を取り巻く世界情勢は依然として予断を許さない状況となっており、景気の下振れリスクが高まっています。

このような状況の下、当社は、当社グループの技術と知識で持続可能な豊かな社会の実現に貢献すべく、社会の抱える様々な課題との関わりを常に意識し、グループ一丸となって持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでおります。また、㈱東京衡機試験機においては、既存顧客を中心に受注拡大に注力しつつ、原価管理を徹底しコスト低減を図るため、相模原工場と豊橋工場の連携を強化するとともに、CAE(Computer Aided Engineering)ソフトウェアの開発およびその受託解析・開発業務を行っている㈱先端力学シミュレーション研究所(2025年3月31日付で子会社化。以下、「ASTOM R&D社」といいます。)と連携して事業拡大のためのプラットフォーム作りに取り組んでおり、今後さらに成長していくための施策を進めております。

エンジニアリング事業においては、高速道路や橋梁等のインフラ向けゆるみ止め製品が引き続き好調に推移し、引き合いも堅調に継続しております。加えて、電力ばねの販売が前年同期比で大きく伸長し、ナット製品も堅調に推移しており、市場シェアの拡大に向けた営業活動を引き続き強化しております。

当社グループの主力事業は当社創業以来の試験機事業であり、これとあわせて「ゆるみ止め製品」のエンジニアリング事業を展開し、そして当中間連結会計期間から追加されたデジタル事業は、強固な収益基盤を確立していくことに注力しております。

この2つの主力事業は産業の基盤と社会インフラの「安全・安心」を支える事業であり、社会に必要不可欠な製品・商品・サービスを提供する企業グループとして今後も成長していくために、顧客満足度の向上を目指して製品品質・サービスの向上に取り組んでまいりましたが、さらに当中間連結会計期間からはASTOM R&D社の事業であるデジタル事業を加え、3つの事業に取り組んでまいります。

そして、試験機事業の持分法適用関連会社である㈱ZR東京衡機サービスにつきましては、同社の親会社である㈱ツビックローエルと戦略的な連携を深め、当社グループの試験機のメンテナンスサービスのほか、ZwickRoell SE社製品の日本市場でのアフターサービスの充実・拡大を進めております。

当中間連結会計期間は、試験機事業につきましては、各種材料の評価試験、動力・性能試験等の各分野における業界トップレベルの品揃えを強みに、開発・設計・生産からメンテナンス・校正まで、技術と実績に裏付けられたワンストップソリューションを提供するとともに、ASTOM R&D社と連携し実測(リアル)データと仮想(バーチャル)データをデジタルツイン技術でコラボレーションすること等の提案も行い、自動車、鉄鋼、鉄道、産業機器等のメーカーや各種研究機関、学校、官公庁など幅広いユーザーからご支持をいただくことができました。

また、エンジニアリング事業につきましては、公共工事や都市開発、エネルギー関係を中心にゆるみ止め製品は高評価をいただいており、販売の状況は堅調に推移しております。

そして、デジタル事業につきましては、主に大手自動車メーカーや大手機械メーカーの受託開発、商品販売およびその保守事業を行い、堅調に推移しております。

 

 

以上の結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高1,842,124千円(前年同期比22.8%増)となり、大幅な増収を達成しました。営業利益は1,229千円(前年同期△40,147千円)と黒字転換を果たし、経常損失は13,807千円(前年同期△31,535千円)、親会社株主に帰属する中間純損失は22,298千円(前年同期△41,305千円)にとどまり、いずれも前年同期から損失幅を半減させました。

これは、主力の試験機事業の需要増加に加え、全社的な原価管理・販管費削減等の成果によるものです。

一方で、2025年3月に当社グループ入りしたASTOM R&D社の連結損益反映(4月~6月の3か月間)に伴い、同社の売上・利益が1月~3月に集中する季節的な要因から、当中間連結会計期間では営業損失65,379千円を計上しました。これがグループ全体の営業利益1,229千円にとどまった主因です。

なお、ASTOM R&D社を除く既存事業会社の業績は堅調に推移し、試験機事業は営業利益276,371千円、エンジニアリング事業は営業利益20,318千円を計上するなど、前年同期比で増収・増益を達成しております。

デジタル事業(ASTOM R&D社)の売上は、同社の決算期(12月末)とのずれにより、2026年1〜3月分の売上は当社の2027年2月期に計上する予定です。

また、去る9月17日に新中期経営計画をお知らせいたしましたが、近年、顧客ニーズの高度化、国際競争の激化、そしてデジタル技術の急速な進展を背景に、従来の「製品販売中心のビジネスモデル」から「ソリューション・サービス型ビジネス」への抜本的な転換が不可欠となっており、2025年3月には、CAE分野に強みを持つASTOM R&D社を子会社化し、試験機とCAE解析を融合した新たなソリューションを提供できる体制を確立いたしました。これにより、グループ全体でのシナジー創出が現実のものとなり、技術・人材・顧客基盤の融合を通じて持続的成長への道筋が一層明確になりました。

今般策定した新中期経営計画は、こうした変革の流れを加速させるものであり、事業基盤の強化、ソリューションビジネスの拡大、収益力の飛躍的向上を通じて、強固な財務基盤を築き上げます。そして、株主・お客様・社員をはじめとするすべてのステークホルダーに対して、確かな価値を提供し続ける企業へと進化してまいります。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

①試験機事業

試験機事業では、重工業・鉄鋼・自動車業界を中心とする顧客の設備投資意欲が堅調に推移する中で、当社グループのコア技術とカスタマイズ対応力が高く評価され、オーダーメイド製品の受注が順調に推移しました。特に、ZwickRoell SE社との連携による販路拡充に加え、ASTOM R&D社のCAE解析技術と連動したソリューション提案が奏功し、開発・設計段階からの包括提案が増加傾向にあります。また、過去最高水準となった受注残高の一部が売上として計上されたことで、売上高・営業利益ともに前年同期を上回りましたが、さらなる差別化と高付加価値化を進めることにより、今後も収益性の向上が期待される分野です。

以上の結果、試験機事業の売上高は1,518,820千円(前年同期比19.2%増)、営業利益は276,371千円(前年同期比62.6%増)となりました。

 

②エンジニアリング事業

エンジニアリング事業では、主力製品である「ゆるみ止めナット・スプリング」の需要が社会インフラ向けに堅調に推移し、とりわけ電力ばねが前年同期比で大きく売上を伸ばしたほか、ナット製品も堅調に推移しました。特に、電力会社向け新製品であるスマートスプリング(電力ばね)や、通信鉄塔・都市開発向けに導入が進むスマートハイパーロードナット(SHLN)等の高付加価値製品の採用が相次いでおり、顧客ニーズに即した製品展開と営業力強化が奏功し、売上高・営業利益ともに前年同期を上回りました

以上の結果、エンジニアリング事業の売上高は225,601千円(前年同期比5.2%増)、営業利益は20,318千円(前年同期比336.7%増)となりました。

 

③デジタル事業

2025年3月に子会社化したASTOM R&D社を中心とするデジタル事業は、売上計上が主に1〜3月に集中する収益構造となっているため、当中間連結会計期間ではセグメント損失を計上しました。

ただし、これは季節性によるものであり、通期では安定的な売上計上と収益改善を見込んでおります。

また、開発投資や専門人材の採用を積極的に行っており、これらは将来成長に向けた先行投資と位置付けています。今後は、試験機・エンジニアリング事業と横断的にシナジーを発揮し、デジタルツインやAI解析を活用した新サービスを創出することで、グループ全体の収益成長を牽引する事業へと成長してまいります。

以上の結果、デジタル事業の売上高は88,530千円、営業損失は65,379千円となりました。

 

(2) 財政状態の分析

当中間連結会計期間末における総資産は4,589,485千円となり、前連結会計年度末に比べ815,817千円増加し、着実に拡大しました。これは、ASTOM R&D社の子会社化を含む成長投資と、手元流動性の積み増しが主因です。

流動資産は3,256,358千円となり、前連結会計年度末に比べ559,736千円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金の増加695,017千円によるものであり、金融機関との関係強化を背景に、将来の投資と株主還元に備えた十分な流動性を確保しています。一方で、受取手形及び売掛金は216,003千円減少、仕掛品は65,164千円増加しました。

固定資産は1,333,126千円となり、前連結会計年度末に比べ256,081千円増加いたしました。主にのれんの増加126,883千円、顧客関連資産の増加41,778千円が要因です。これはASTOM R&D社の買収によるものであり、中期的なシナジー創出と新サービス展開に向けた戦略的投資であります。

流動負債は1,525,196千円となり、前連結会計年度末に比べ361,510千円増加いたしました。主に1年内返済予定の長期借入金の増加190,139千円、契約負債の増加105,369千円、賞与引当金の増加42,096千円が要因です。これは成長投資と人材強化を支えるものであり、計画的な資金運用の範囲内です。

固定負債は1,350,088千円となり、前連結会計年度末に比べ364,618千円増加いたしました。これは主に長期借入金の増加353,770千円によるものですが、同時に退職給付に係る負債は23,789千円減少しており、バランスシート全体としては安定性を維持しています。

純資産は1,714,201千円となり、前連結会計年度末に比べ89,688千円増加いたしました。利益剰余金が22,286千円減少した一方で、新株予約権の増加14,620千円、非支配株主持分の増加97,303千円が寄与しました。結果として、自己資本比率は33.8%を維持しており、健全性の高い財務基盤が確立されています。

当社グループは今後も、安定的な財務基盤を背景に、成長投資と株主還元の両立を図りつつ、中期経営計画で掲げるROE22.7%、ROIC16.4%、PBR1倍超の達成を通じて、2029年度の復配実現に向けて取り組んでまいります。

(3) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ695,017千円増加し、1,169,596千円となりました。これは、営業活動によるキャッシュ・フローの黒字化と、戦略的な資金調達によるものです。当社グループは十分な流動性を確保しつつ、成長投資と財務規律のバランスを維持しております。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローの増加は426,299千円(前年同期は197,520千円の減少)となり、大幅に改善しました。主な要因は、売上債権の減少504,782千円による資金回収の進展であり、一方で、棚卸資産は76,456千円増加しました。これにより、当社の営業活動が安定した資金創出力を回復しつつあることを示しています。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローの減少は104,089千円(前年同期は12,471千円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出16,816千円に加え、ASTOM R&D社の子会社化に伴う株式取得支出80,233千円などによるものです。これらは将来の成長基盤を構築するための戦略的投資であり、グループ全体のシナジー創出と新規事業展開を加速させるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローの増加は372,807千円(前年同期は101,672千円の減少)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入490,000千円により成長投資資金を確保した一方、長期借入金の返済による支出107,137千円等によります。これにより、当社は資金調達力を活用しながらも、健全な財務規律を維持しております。

 

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は次のとおりであります。

①対処すべき課題

近年、顧客ニーズの高度化、国際競争の激化、そしてデジタル技術の急速な進展を背景に、従来の「製品販売中心のビジネスモデル」から「ソリューション・サービス型ビジネス」への抜本的な転換が不可欠となっており、2025年3月には、CAE分野に強みを持つASTOM R&D社を子会社化し、試験機とCAE解析を融合した新たなソリューションを提供できる体制を確立いたしました。これにより、グループ全体でのシナジー創出を実現し、技術・人材・顧客基盤の融合を通じて持続的成長を目指してまいります。

 

②財務上の課題

2025年8月31日現在、連結財務諸表にのれん126,883千円を計上しております。事業収益性が低下した場合等にはのれんの減損損失が発生し、当社グループの業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、30,730千円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。