第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、下記の基本方針にもとづき、株主、投資家及びお客様満足度の向上を図ることで企業価値を高めてまいります。

①顧客満足の増進

複雑化、高度化するお客様の課題に対し、技術、価格、納期、アフターサービスなどに迅速かつ柔軟に対応し、お客様満足度の向上を目指します。

②生産技術の革新

製造業の基本であるコスト競争力を高めるため、製造装置の標準化(モジュール化、ユニット化)を中心とした継続的な生産技術の革新を行います。

③独創的な商品開発

競合他社が真似することのできない最先端の独創技術を商品化し、開発型のソリューションを提供する企業を目指します。

④自由闊達な組織

経営方針や情報が迅速に伝わる風通しのよい組織と企業風土を継続して形成します。

⑤企業価値の向上

株主価値の向上にとどまらず、技術の総合利用を通じて産業と科学の発展に貢献することを目指します。

 

(2)経営環境

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの世界的流行が継続している影響や米中貿易摩擦も長期化している状況などにより、未だに先行き不透明感が拭いきれておりませんが、各国の経済対策や新型コロナウイルスの感染拡大防止策などにより、一部の国や産業において持ち直しの動きがみられました。

当社グループを取り巻く事業環境は、半導体業界において、ファウンドリーやロジックメーカーによる先端投資の活発化やメモリ投資再開の動きがみられます。エレクトロニクス業界では、中国の国産化に向けた投資が活発化しています。フラットパネルディスプレイ(FPD)業界では、パネル需要の増加に対応して液晶パネル投資が活発化するとともに、スマートフォンやタブレットなどにおいて液晶から有機ELディスプレイ(OLED)へのシフトに対応した投資が継続しています。また、OLEDに関しては、タブレットやPC、医療用・車載用・ゲームといった広い用途に対応すべく、大型基板量産開発への取組みもみられます。

なお、新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大の継続による各国の移動制限や事業活動の制限などにより、世界各地で事業を展開している当社グループの事業にも一部影響が出ております。各国の要請も踏まえた感染拡大防止対策を講じながら、可能な限り事業活動への影響を最小限にとどめるよう努めてまいりました。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、「互いに協力・連携し、真空技術及びその周辺技術を総合利用することにより、産業と科学の発展に貢献することを目指す」という経営基本理念のもと、真空及びその周辺技術を、装置、材料、成膜加工、分析、カスタマーサポートといった幅広い事業領域において取り扱うことで生み出されるシナジー効果を強みとした事業経営を行っております。また、このシナジー効果をより効果的に発揮できるよう、更なる当社グループ間の連携強化や世界の多様な企業や研究所などとビジネスパートナーシップを形成することで、よりグローバルに事業を展開し、持続的成長と企業価値向上を実現する高い収益性を有する企業集団となるべく取組んでおります。

当連結会計年度における当社グループの事業環境は、米中貿易摩擦の長期化に加え、新型コロナウイルスの世界的流行が継続しており、依然、世界経済の先行き不透明感は拭いきれていない状況にあります。しかし、半導体業界でのロジックの先端投資活発化に加え、メモリの投資再開、エレクトロニクス業界での投資活発化、フラットパネルディスプレイ(FPD)業界での液晶やOLEDのパネル需要増加に対する投資継続の動きがみられます。当社グループといたしましては、これらの投資の更なる活発化の動きに対して、当社グループの強みである真空薄膜形成技術を用いて、これらの分野における製品の微細化、高性能化、低消費電力化に寄与し、社会的課題解決に貢献していく所存です。

そこで、当社グループは、2021年6月期を初年度とする3年間(2021年6月期~2023年6月期)の中期経営計画「Breakthrough 2022」の基本方針などは堅持しつつ、好調な市場環境を背景に、当社グループの更なる成長を目指し、2021年8月において、後述のとおり、数値目標の修正を行いました。

また、「真空技術及びその周辺技術の総合利用により、経済価値、社会価値、環境価値を創造する」という当社グループのサステナビリティ方針を定めております。事業活動を通して、幅広いステークホルダーとともに、産業と科学の発展に貢献し、環境負荷の低減や健康と幸せの創造により適正な利潤を追求し、気候危機や資源不足など地球の持続可能性を脅かす環境問題の解決に向けての取組みを推進しております。

 

中期経営計画「Breakthrough 2022」の骨子は次のとおりです。

①基本方針

・成長に向けた開発投資(選択と集中)

・体質転換による利益重視の経営

 

②数値目標(連結)

指 標

2023年6月期目標

(2021年8月公表)

2023年6月期目標

(2020年8月公表時)

売上高

2,350億円

2,100億円

売上総利益率

35%以上

35%以上

営業利益

380億円

340億円

営業利益率

16%以上

16%以上

ROE(自己資本利益率)

13%以上

13%以上

営業キャッシュ・フロー

290億円

290億円

 

③具体的取組み

1.成長事業の強化

半導体、電子部品の開発投資拡大

①半導体:ロジックの微細化工程への新規参入、メモリの新工程への参入

②電子部品:電子部品製造装置のモジュール化推進による顧客要望に応じた複数の製造装置の組み合わせ提供の実現による拡販活動の強化、中国市場における開発・営業・カスタマーサポート体制の強化

コンポーネント、マテリアル、カスタマーサポートの強化

①コンポーネント、マテリアル:半導体、電子分野への市場参入、拡販強化

②カスタマーサポート:中国市場における装置拡販活動と連携した保守、表面処理、洗浄、部品販売などの拡販活動の強化

2.研究開発力強化

成長市場の技術革新に対応した製品開発強化

①半導体、電子部品及びFPD事業への開発投資の拡大

②世界のリーディング企業との最先端技術の共同開発を推進するグローバル開発体制の強化

③プロセス開発から製品開発への注力

3.モノづくり力

強化

技術・設計から生産体制まで全ての工程での生産性向上による売上総利益率改善

①技術設計改革:設計バリューエンジニアリング強化による製品品質の更なる向上

②購買体制改革:購買体制の集約化、グローバルサプライチェーンの構築

③生産改革:生産拠点毎の製造製品の集約化による各拠点の専門特化

④情報システム基盤強化:各業務プロセスの標準化による生産性向上と生産情報の共有化

4.グループ経営

効率強化

ビジネスユニット経営の推進

自社製品を持つグループ会社の経営強化

5.経営基盤強化

人財育成・活性化

人財スキルの見える化、次世代リーダー育成、ダイバーシティの推進

財務基盤強化

更なる成長のための開発投資や資金効率改善を実現するためのキャッシュ・フローマネジメントの強化

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

①FPD、半導体及び電子部品の市場変動による影響

当社グループは、特にFPD、半導体及び電子部品等の製造工程で使われる真空装置の分野において、独自技術の開発を行って市場投入することによりこの分野におけるシェアを獲得し、成長してまいりました。その反面、当社グループの顧客であるFPDメーカー、半導体及び電子部品メーカーの市況変化による設備投資の大幅な縮小が発生した場合や顧客の財務状況が悪化した場合には、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは、2021年6月期を初年度とする中期経営計画において、「成長に向けた開発投資(選択と集中)」、「体質転換による利益重視の経営」の2つの基本方針を定めております。この方針のもと、市場変動の中でも生産性向上による利益率の改善を果たすとともに、成長領域における開発に集中していくことで、持続的成長を実現してまいります。2021年8月には、好調な市場環境を背景に、中期経営計画の数値目標を上方修正いたしました。また、当社の多様な製品は幅広い分野で使用されており、とりわけ半導体や電子部品の分野において収益の安定基盤を築くことにより、市場変動への対応力を高めております。

 

②研究開発による影響

当社グループは、積極的な研究開発投資を継続して行うことにより、最先端技術を使用した新製品を市場に投入し続けてまいりました。しかしながら、開発の著しい遅延を余儀なくされ、新製品の市場への投入の遅れが生じた場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

成長のために必要な開発について、投資の選択と集中によりスピードアップを図るとともに、定期的なモニタリングを実施して著しい遅延が生じないよう、その進捗を管理しております。

 

③グローバルな競争環境の影響

当社グループは、グローバルに事業を展開し、世界各国・各地域の顧客に向けて製品を提供しておりますが、競合他社もグローバルに展開しており、新規参入もある競争環境です。この環境下で、製品の性能のみならず価格面での競争も激化しており、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは、顧客と技術・製品ロードマップを共有し、最先端技術の製品を適時に投入することで、競争力維持に努めております。

 

④人材の確保に関する影響

当社グループがグローバルな事業環境の中で成長を続けるために、人材の確保は必須の条件となります。事業の成長に必要な人材を確保し続けることができない場合、競争力の低下を招くこととなり、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは、人材を「人財」として捉え、変化に挑戦し続ける人財の育成を推進し、多様な人財が心身ともに健康で活気に満ち、自分の能力が最大限に発揮できるように健康経営等を通して推進することで必要な人財を確保しております。

 

⑤法令、規制に関する影響

当社グループは、グローバルに事業を展開する上で、各国・各地域において、輸出入、競争法、贈収賄防止、環境、移転価格税制等、各種法規制の適用を受けています。これらの法規制に抵触した場合、当社グループの社会的信用の低下はもちろんのこと、課徴金や損害賠償訴訟への対応が生じ、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。また、これらの法規制は年々厳格化する傾向にあり、将来において予期せぬ法規制の改正等が行われることにより、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、企業倫理行動基準を定めて各種法規制遵守の重要性を啓蒙するとともに、グループ各社に設置するコンプライアンス委員会やリスクマネジメント委員会において、抵触のおそれがある行為の内容についての報告を実施し、適宜必要な対応がとれる体制をとっております。また、とりわけ重要な法規制への対応は当社常勤役員会で報告の上、当社役員の主導でグループ各社へ展開する体制をとっております。

 

⑥品質に関する影響

当社グループは、国際規格であるISO9001の認証取得を含む品質保証体制を確立し、高レベルのサービスを提供し続けてまいりました。しかしながら、常に最先端技術を利用した製品を提供していることから開発的要素も多く、予期せぬ不良が発生し、多額の追加原価の発生や信頼低下による売上高減少を招いた場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは、2021年6月期を初年度とする中期経営計画において、モノづくり力強化を進めております。技術図面の完成度を高めるバリューエンジニアリングを進めております。その中で、品質向上の仕組みを盛り込むとともに、生産工程の短縮や製造負荷の低減につながる設計を行っております。また、事業毎に生産効率向上を目的とした拠点集約も進めてまいります。これによる専門化・熟練化及び品質向上を推進してまいります。

 

⑦資金調達に関する影響

当社グループは、金融機関からの借入金等により資金調達を行っておりますが、市場環境、当社の信用力低下等により、資金調達が困難になる可能性があります。また、当社グループの借入金に係る金融機関との契約には、財務制限条項が付されているものがあり、現状、当社グループの財政状態は当該条項に照らして問題のない水準にあるものの、当該条項に抵触した場合、資金調達に支障が生じる可能性があります。資金調達が想定どおりに行えない場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは、資金調達にあたって年度別の返済額の平準化に努めており、リファイナンスリスクの低減や返済負担の軽減を図っております。また、新型コロナウイルス等により先行きが不透明な中、不測の事態に備え、十分な手元流動性資金を確保するとともに、コミットメントラインを設定し追加資金を確保できる体制を整えており、当面資金調達リスクは極めて低い状態にあります。事業環境の急激な変化にも対応できるよう、引き続き、適時に必要資金を確保できる体制を維持してまいります。

 

⑧情報セキュリティに関する影響

当社グループは、事業上の重要情報及び事業の過程で入手した個人情報や取引先等の機密情報を保有しております。これらの情報が意図せず流出した場合、顧客の喪失や社会的信用の低下、損害賠償等が発生する可能性があります。また、盗難・紛失等による第三者の不正流用、サイバー攻撃、その他不測の事態によって重要データの破壊や改ざん、情報漏えいや流出、システム停止等が発生する可能性があります。これらの要因により、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは、ネットワークやシステムにおける定期的なリスクアセスメント等セキュリティ対策を進めるほか、情報管理に関する諸規程のもと、適切な情報管理体制を構築し、社員教育によりその徹底を図っております。

 

⑨外国為替変動による影響

当社グループは、海外売上高比率が高いものの、原則として円建取引を行っております。しかしながら、当該円建取引では、円高時に海外メーカーと比較して価格競争力の面で不利になることがあります。また、外貨建取引を行った場合は、急激な為替変動による為替リスクが生じる可能性があります。これらの要因により、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは、為替予約等によりリスクヘッジを行うことで、為替変動による業績への影響を低減するよう努めております。

 

⑩知的財産権に関する影響

当社グループは、各種真空装置に関する多数の特許を保有し、積極的に新規権利獲得にも努めております。しかしながら、第三者から不測の特許侵害訴訟が提起された場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

これに備えるため、当社グループの製品・技術に関して、定期的に特許調査を行っております。

 

⑪安全に関する影響

当社グループの製品に関連する安全性等の問題により、顧客への損害発生、損害賠償責任や売上高の減少、社会的信用の低下等につながる可能性があります。また、不測の事態により従業員や施設に影響を与える労働災害が発生し、製品の供給やサービスの提供に支障をきたす事態となった場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは、「安全第一」を企業経営の基本とし、顧客に利用していただく様々な製品やサービスの安全と、私たち自身が安全で明るく元気に働くことのできる活気ある職場づくりを、リスクアセスメントを中心とした安全管理システムの運用を通じて目指していきます。

 

⑫環境規制、気候変動への対応に関する影響

当社グループは、地球温暖化防止、水質汚濁、大気汚染、騒音、土壌汚染、廃棄物処理、使用する有害化学物質等において、国内外の様々な環境法令の適用を受けており、その遵守に努めております。

しかしながら、将来、環境規制への適応が極めて困難な事象や不測の事態が発生した場合には、環境対応費用の増加や事業活動停止、社会的信用の低下等の可能性があり、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

気候変動対応に関しては、将来の規制動向も踏まえて事業機会およびリスクの分析を開始しています。また、当社グループによる中長期の温室効果ガス排出量削減目標として、2030年に40%削減(2020年比)、2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロを定めました。

環境関連法令や規制を遵守するための取り組み、環境理念や環境方針に基づいた環境負荷の低減、温室効果ガス排出量削減目標達成に向けた施策を継続的に推進し、環境情報の適切な開示を行ってまいります。

 

⑬新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルスの感染拡大継続に伴う世界的な移動制限や経済環境の悪化等により、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは、代表取締役社長を本部長とする新型コロナウイルス緊急対策本部を中心として、感染拡大防止対策を講じながら、事業活動への影響を最小限にとどめるよう努めております。

 

⑭その他リスク

当社グループと同様にグローバルな事業展開や広範な事業展開をしている企業と同じく、各国・各地域における経済環境、自然災害、戦争、テロ、感染症等の諸般の不可抗力要因が、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの世界的流行が継続している影響や米中貿易摩擦も長期化している状況などにより、未だに先行き不透明感が拭いきれておりませんが、各国の経済対策や新型コロナウイルスの感染拡大防止策などにより、一部の国や産業において持ち直しの動きが見られました。

当社グループを取り巻く事業環境は、半導体業界において、ファウンドリーやロジックメーカーによる先端投資の活発化やメモリ投資再開の動きがみられます。エレクトロニクス業界では、中国の国産化に向けた投資が活発化しています。フラットパネルディスプレイ(FPD)業界では、パネル需要の増加に対応して液晶パネル投資が活発化するとともに、スマートフォンやタブレットなどにおいて液晶から有機ELディスプレイ(OLED)へのシフトに対応した投資が継続しています。また、OLEDに関しては、タブレットやPC、医療用・車載用・ゲームといった広い用途に対応すべく、大型基板量産開発への取組みも見られます。

なお、新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大の継続による各国の移動制限や事業活動の制限などにより、世界各地で事業を展開している当社グループの事業にも一部影響が出ております。各国の要請も踏まえた感染拡大防止対策を講じながら、可能な限り事業活動への影響を最小限にとどめるよう努めてまいりました。

その結果、当連結会計年度につきましては、受注高は1,989億9百万円(前年同期比423億38百万円(27.0%)増)、売上高は1,830億11百万円(同23億91百万円(1.3%)減)となりました。また、損益面では、営業利益は171億97百万円(同12億38百万円(7.8%)増)、経常利益は179億66百万円(同86百万円(0.5%)減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は148億30百万円(同40億61百万円(37.7%)増)となりました。

 

企業集団の事業セグメント別状況は次のとおりであります。

 

「真空機器事業」

真空機器事業を品目別に見ますと下記のとおりです。

 

(FPD製造装置)

FPD製造装置は、スマートフォン用有機ELパネル投資や大型液晶パネル投資により、受注高は前年同期を上回りました。売上高は前連結会計年度の受注高減少の影響により前年同期を下回りました。

 

(半導体及び電子部品製造装置)

半導体製造装置は、メモリ投資の再開やロジック向け投資の活発化により、電子部品製造装置は、パワーデバイスやオプトデバイス、通信デバイスなどの投資活発化に加え、中国のエレクトロニクス国産化に向けた商談活発化などにより、受注高、売上高ともに前年同期を上回りました。

 

(コンポーネント)

コンポーネント事業は、当連結会計年度第1四半期の自動車関連投資停滞の影響などにより、売上高は前年同期を下回りましたが、同第2四半期以降、半導体電子業界を中心に景気回復の動きがみられたことにより、真空ポンプ、計測機器などの受注が増加したことから、受注高は前年同期を上回りました。

 

(一般産業用装置)

自動車部品製造用真空熱処理炉や高機能磁石製造装置、漏れ検査装置、医療用凍結真空乾燥装置などの受注が増加したことから、受注高、売上高ともに前年同期を上回りました。

 

その結果、真空機器事業の受注高は1,655億78百万円、受注残高は791億79百万円、売上高は1,512億69百万円となり、155億57百万円の営業利益となりました。

 

「真空応用事業」

真空応用事業を品目別に見ますと下記のとおりです。

 

(材料)

主にFPD用スパッタリングターゲットを中心に受注高、売上高ともに前年同期を上回りました。

 

(その他)

高精細、高機能ディスプレイ向けマスクブランクス関連は減少しましたが、表面分析機器関連が増加し、受注高は前年同期を上回り、売上高は前年同期並みとなりました。

 

その結果、真空応用事業の受注高は333億31百万円、受注残高は68億69百万円、売上高は317億42百万円となり、21億46百万円の営業利益となりました。

 

なお、上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

また、当連結会計年度末の財政状態は以下のとおりとなりました。

資産合計は、前連結会計年度末に比べ104億11百万円増加し、2,927億61百万円となりました。これは、当社グループの中期経営計画の施策のひとつであるキャッシュ・フローマネジメントの強化により、営業キャッシュ・フローが改善したことで現金及び預金が108億50百万円、受注増加を主な要因としてたな卸資産が20億52百万円それぞれ増加した一方で、資産の効率化及び財務体質の強化を目的とした保有上場株式の売却を主な要因として投資有価証券が45億9百万円減少したことなどによります。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ21億94百万円減少し、1,190億62百万円となりました。これは、返済により短期借入金及び長期借入金が103億92百万円減少した一方で、受注増加を主な要因として支払手形及び買掛金が46億34百万円、前受金が10億90百万円それぞれ増加したことなどによります。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ126億5百万円増加し、1,736億99百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上を主な要因として利益剰余金が110億2百万円、円安の影響により為替換算調整勘定が47億4百万円それぞれ増加した一方で、保有上場株式の売却を主な要因としてその他有価証券評価差額金が31億27百万円減少したことなどによります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比べて2.4ポイント増加し、57.0%となりました。今後もキャッシュ・フローマネジメントの強化等により、財務基盤の更なる強化を目指してまいります。

 

②キャッシュ・フロ-の状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりとなりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費等の計上に加え、受注が増加傾向にある中で、資金効率改善を目標としたキャッシュ・フローマネジメントの強化により運転資金を圧縮したことで、255億20百万円の収入となりました。中期経営計画において2023年度の目標として掲げている営業キャッシュ・フロー290億円の実現に向けて、キャッシュ・フローマネジメントの一層の強化に努めてまいります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出などの減少要因に対し、投資有価証券の売却による収入などの増加要因により、69億25百万円の支出となりました。

その結果、フリー・キャッシュ・フローは185億95百万円のプラスとなりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、創出したフリー・キャッシュ・フローを短期借入金及び長期借入金の返済、配当金の支払などに充当し、160億61百万円の支出となりました。

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ51億14百万円増加し、830億61百万円となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高

(百万円)

前年同期比

(%)

真空機器事業

154,194

96.3

真空応用事業

31,767

103.5

合計

185,961

97.4

 (注)1.金額は、販売価格をもって表示しております。

2.上記の金額には、消費税等は含んでおりません。

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

真空機器事業

165,578

130.5

79,179

129.0

真空応用事業

33,331

112.4

6,869

132.6

合計

198,909

127.0

86,048

129.3

 (注)上記の金額には、消費税等は含んでおりません。

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高

(百万円)

前年同期比

(%)

真空機器事業

151,269

97.7

真空応用事業

31,742

103.6

合計

183,011

98.7

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な品目別販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。

セグメントの名称

品目

当連結会計年度

販売高

(百万円)

割合

(%)

真空機器事業

FPD製造装置

45,299

30.0

半導体及び電子部品製造装置

56,481

37.3

コンポーネント

26,914

17.8

一般産業用装置

22,575

14.9

151,269

100.0

真空応用事業

材料

14,987

47.2

その他

16,755

52.8

31,742

100.0

3.上記の金額には、消費税等は含んでおりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループの経営成績については、売上高は1,830億11百万円(前年同期比1.3%減)となりました。FPD製造装置においては、パネル需要の増加によりLCD向け投資が活発化したこと、スマートフォンに加えてタブレット等のOLED投資が継続したことにより受注高が増加した一方で、前連結会計年度の低受注高の影響で、売上高が前年同期を下回る水準となりました。半導体及び電子部品製造装置においては、メモリ投資の再開やロジック向け投資の継続に加え、電子部品関連ではパワーデバイス、オプトデバイス、通信デバイスなどの受注増により、売上高が前年同期に比べて増加しました。

営業利益率は9.4%(前年同期比0.8ポイント増)となり、前年同期を上回りました。これは主に、中期経営計画の取組みであるモノづくり力強化の成果が出始めていることが要因です。

なお、研究開発費の総額は83億75百万円となり、前年同期から22百万円増加しました。研究開発費の売上高に対する比率は、売上高の減少により、前年同期から0.1ポイント増加し4.6%となりました。新型コロナウイルスの影響による移動制限等も継続し、前年同期並みとなりましたが、将来の成長に向けた投資を引き続き強化しております。

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、当社グループは2021年6月期を初年度とする3年間の中期経営計画「Breakthrough 2022」を推進しております。この中期経営計画において、「成長に向けた開発投資(選択と集中)」及び「体質転換による利益重視の経営」の2つの基本方針を掲げております。この方針のもと、売上高、売上総利益率、営業利益率、ROE(自己資本利益率)、営業キャッシュ・フローを中期経営計画上の財務モデルにおける指標としております。

中期経営計画3年目の数値目標について、好調な市場環境を背景にして、2021年8月に修正を行いました。売上高2,350億円(修正前目標2,100億円)、営業利益380億円(修正前目標340億円)の2つの目標を上方修正しております。この他、売上総利益率35%以上、営業利益率16%以上、ROE13%以上、営業キャッシュ・フロー290億円は2020年8月公表値を継続しております。この財務モデルの達成に向けて、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載した具体的取組みにより、中長期の視点で更なる成長を目指してまいります。

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

・真空機器事業

当連結会計年度における当セグメントの事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

売上高は、前年同期比2.3%減の1,512億69百万円となりました。FPD製造装置において、前連結会計年度のLCD装置及びOLED装置の受注減少の影響により、売上高が前年同期を下回ったことが主な要因です。一方で、半導体及び電子部品製造装置においては、メモリ向け、ロジック向けの受注回復と、電子部品関連ではパワーデバイスやオプトデバイス、通信デバイス向け受注が増加したことなどにより、売上高が前年同期を上回りました。

セグメント利益率については、当連結会計年度は10.3%と、前年同期の8.8%から改善しました。これは、FPD製造装置や電子部品製造装置において、中期経営計画の取組みであるモノづくり力強化の成果が出始めていることが主な要因であります。

 

・真空応用事業

当連結会計年度における当セグメントの事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

売上高は、前年同期比3.6%増の317億42百万円となりました。マスクブランクス関連が減少したものの、表面分析装置の売上高増加や、液晶ディスプレイ用スパッタリングターゲットにおいて、パネル需要増加による顧客工場の稼働率回復に伴う売上高増加により、当セグメントの売上高が増加しました。

セグメント利益率については、当連結会計年度は6.8%と、前年同期の5.4%から改善しました。これは、利益率の高い製品の売上高増加が主な要因であります。

財政状態の分析は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの主な資金需要は、新たな成長戦略の足がかりとなる研究開発投資や設備投資、事業により生じる運転資金に基づくもので、とりわけ成長事業として強化を図っていく半導体や電子分野の開発投資を拡大する予定です。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金などにより対応し、資金調達にあたっては、リファイナンスリスクの低減や返済負担の軽減を図るために、年度別の返済額の平準化に努めております。

また、新型コロナウイルス感染症等により先行きが不透明な中、不測の事態に備え十分な手元流動性資金を確保するとともに、コミットメントラインを設定し追加資金を確保できる体制を整えており、当面安定的な経営が可能な状態にあります。事業環境の急激な変化にも対応できるよう、引き続き、適時に必要資金を確保できる体制を維持してまいります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りの仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われておりません。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、真空技術を応用した次世代・最先端の分野における研究開発活動を経営の重要な柱に位置付けており、当連結会計年度における研究開発活動は、当社を中心として以下のとおり実施いたしております。

国内外の各開発拠点において競合他社に先駆けた独創的な新技術の開発、積極的な応用技術の開発を行っております。今後成長が見込まれるスマート社会の実現といった社会的課題の解決には、高度な電子デバイスが必要不可欠ですが、これらのデバイスを製造するための核心技術に当社の真空薄膜形成技術が貢献しております。当社は、主力製品である半導体製造用スパッタリング装置、FPD製造用スパッタリング装置及び真空蒸着装置に加え、さまざまな電子デバイス向けの成膜技術、材料の開発を重点的に行っております。また、お客様のご要望(VOC)や市場動向を収集し、タイムリーでスピード感のある開発を進めております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は8,375百万円となり、セグメントごとに研究開発活動の成果を示すと次のとおりであります。

 

(真空機器事業)

当社グループの事業の柱であるフラットパネルディスプレイ(FPD)や半導体、高機能電子デバイス製造装置などの電子デバイスの各分野に開発投資を行い、新商品や新技術を創出、受注にも貢献しております。

また、真空ポンプや真空計測機器等の各種コンポーネント分野へも開発投資を行っております。

当セグメントに係る研究開発費は7,965百万円となり、代表的な成果は次のとおりであります。

 

(1)半導体及び電子部品製造装置

半導体製造装置においては、微細化、高積層化の進むDRAM及び3次元NANDフラッシュメモリ工程用装置の性能向上を進めております。

また、大きく市場拡大が期待される最先端ロジック分野において装置・プロセス開発を行うとともに、不揮発性メモリ分野において市場要求に対応した装置・プロセス・材料を開発し、市場に投入しております。

電子部品製造装置においては、通信デバイス・オプト(光学膜)・電子部品(MEMS等)・パワー半導体・電子実装の製造に適した装置・プロセスを開発し、販売を行っております。

 

(2)FPD製造装置

液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びフレキシブルディスプレイなどの分野における次世代技術への開発投資を行っております。

今後、高精細化プロセスが必要な有機ELディスプレイに対して、製品歩留まりを改善するための技術開発(スパッタリング装置等における低発塵新搬送機構、マスク合わせ精度向上)や成膜性能を向上する新ユニットの開発、新材料開発など、総合的な成膜技術向上を進めております。高度化する市場要求水準に合った評価のために各種測定設備などの更新・新設を行うことで、開発をスピードアップさせております。

また、今後採用の拡大が予想される酸化物半導体薄膜トランジスタ向けのターゲット材料の開発を行うとともに、スパッタリング成膜プロセス開発も進めております。

 

(3)コンポーネント

真空ポンプや真空計測機器のほか、直流電源、真空搬送ロボットの開発をお客様のご要望も取り入れながら進めております。

さらに、クライオポンプ、量子コンピュータや医療関連に使用する極低温冷凍機の開発も進めており、幅広い分野に貢献しております。

 

(真空応用事業)

ターゲット材料をはじめとする先端材料、表面分析装置やマスクブランクスの開発を行っており、当セグメントに係る研究開発費は410百万円となりました。

主に、ディスプレイや半導体の高性能化に貢献するターゲット材料等の先端材料、先進的な表面分析装置の開発を行っております。また、半導体やFPDのリソグラフィ工程の重要部材であるマスクブランクスなどの開発を行っております。