第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社は、「人と時間」「人と空気」の分野で新しい価値を創造し、安心・快適で健全な社会の実現に貢献することを経営理念としております。

  この経営理念のもと、経営環境の変化に対応した最適なガバナンス体制を機軸に、既存事業の拡大に加え、中長期・グローバルな視点での新しい事業・市場を創出して持続成長を実現することにより、企業価値の最大化を図ります。また、事業活動を通じて確保した適正な利益を継続的に還元して、「お客さま、取引先、株主、従業員、地域社会」の全てのステークホルダーに信頼され評価される企業を目指してまいります。

 当社は、2023年4月から2026年3月までの3ヵ年の「第9次中期経営計画」を策定しておりますが、当期の業績を勘案し、その数値計画を見直しております。その詳細につきましては、当社ウェブサイトに掲載しております。

(https://www.amano.co.jp/ir/managementpolicy/plan/)

 

[1]基本方針

 第9次中期経営計画では、「100年企業への4th Stage -サステナブル経営に繋がるパラダイムシフトへの取り組み-」を経営コンセプトとして掲げております。

 ハードウェアメーカーとしてスタートした当社は、市場ニーズの変化や技術革新に伴い、ソフトウェアやクラウド、受託事業などサービスを含めたトータルソリューションを提供する企業として成長してまいりました。その動きを更に発展すべく、各事業分野におけるDXを推進し、ソフト系資産やIoT、AI等への戦略投資等を実行してまいります。また、標準品の機能拡充によりお客さまの利便性向上を図ると共に、収益面においても競争優位性を更に高めていきます。併せて、経営インフラの整備・拡充を進めると共に、人的資本の価値最大化、環境負荷低減といった社会的な課題解決にも取り組んでまいります。

 この方針の下、成長ドライバー3本柱による業績拡大を図り、本計画の最終年度である2026年3月期に売上高1,680億円、営業利益230億円、営業利益率(OPR)13%、ROE12%の達成を目指してまいります。

第9次中期経営計画における成長ドライバー3本柱による業績拡大

①情報システムのソフト・クラウド事業

②データセンターを核としたパーキングシステムのシステム提案・運営受託事業

③クリーンシステムのロボット+クラウド事業

 

[2]数値計画

(数値計画の主な前提・ポイント)

・アマノ単体の情報システムは働き方改革関連法の適用猶予業種や公共・教育部門をはじめとして各社のシステム投資が継続する見込み。また、パーキングシステムはコロナ禍で落ち着いていた更新投資の本格拡大や新紙幣対応等により過去最高業績の更新を想定。環境システムは二次電池関連の大型システム投資を中心に伸長、クリーンシステムは清掃ロボットの拡販により大幅な業績伸長を見込む。

・国内外の駐車場管理受託事業は成長ドライバーとしてグループ全体の業績を更に牽引。

・懸案の北米アマノマクギャン社は新商品効果および販売体制再構築により更なる収益改善を計画。

(単位:百万円)

 

 2024年3月期

(実績)

2025年3月期

(修正前)

2025年3月期

(修正後)

2026年3月期

(修正前)

2026年3月期

(修正後)

 

金額

前年比

金額

前年比

金額

前年比

金額

前年比

金額

前年比

売上高

152,864

15.1%

150,000

△1.9%

160,000

4.7%

160,000

6.7%

168,000

5.0%

営業利益

19,567

23.9%

19,500

△0.3%

21,000

7.3%

21,000

7.7%

23,000

9.5%

営業利益率

12.8%

13.0%

13.1%

13.1%

13.7%

経常利益

20,855

23.0%

20,500

△1.7%

22,000

5.5%

22,000

7.3%

24,000

9.1%

親会社株主に
帰属する
当期純利益

13,141

16.4%

13,500

2.7%

14,500

10.3%

14,500

7.4%

15,500

6.9%

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、サステナビリティに関する取り組みの詳細は当社ウェブサイトに掲載しております。

(https://www.amano.co.jp/sustainability/)

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

■サステナビリティ基本方針

私たちアマノグループは、「人と時間」「人と空気」の分野で、新しい価値を創造し、安心・快適で健全な社会の実現に貢献することを経営理念とし、その実践を通じて持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めます。企業を含む社会全体でのサステナブルな取り組みが求められている中、対応すべき課題に対し積極的に取り組むとともに、「お客さま、取引先、株主、従業員、地域社会」の全てのステークホルダーに信頼され、評価される企業を目指してまいります。
 

①ガバナンス

当社グループでは、2022年4月に持続可能な社会の実現に向けた取り組みの推進と企業価値の向上との両立を目指すため、「サステナビリティ委員会」を設立しました。当委員会は、代表取締役社長を委員長とし、当社グループのサステナビリティ経営に関わる対応やマテリアリティ策定ならびに社内教育、情報開示の機能等を担っています。具体的には、各関連部門やリスクマネジメント委員会と連携し、サステナビリティ活動に関する基本方針や活動目標、実施課題を策定します。策定したものについては、グループ会社にも展開しております。また取締役会が、持続可能な社会の実現に向けた事業貢献について、当委員会が検討した基本方針や活動目標の報告を年に1回以上受け、その進捗状況の評価、活動方針の実効性を承認し、監視・監督しております。

 

②戦略

当社グループは長期経営ビジョンとして掲げた「100年企業を目指して」に基づき、グローバルに展開する時間情報システム事業、環境関連システム事業を軸に、中長期・グローバルな視点で社会課題解決に事業を通じて取り組んでおります。また、安全・安心な製品・サービスの開発・提供、サステナブル調達の推進、多様な人材の活動支援などに加え、マテリアリティの特定や気候変動対応等にも取り組んでおります。これら取り組みの詳細は当社ウェブサイトをご参照ください。

(https://www.amano.co.jp/sustainability/)

「時間を見える化し、安全で快適な社会の構築を。空気のチカラで、心地よい地球環境の創造を。」当社グループはこれからも、未来を良くする挑戦を続け、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

 

また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

■人材育成方針

当社グループは、長期経営ビジョン「100年企業を目指して」に基づき、社会面における取り組みとして人的資本の価値最大化を重要な取り組みの一つに位置付けております。

「企業の成長」と「個人の成長」を目的として、主体的に考え行動する自律型人材を支援し、高い専門性と幅広い見識を持った真のプロフェッショナル人材を育成するために、人材育成に関する各種施策を推進してまいります。

a.組織の持続成長を牽引する人材

企業の持続的な成長を実現するためには、強靭な経営基盤を構築することが重要です。こうした基盤の構築に向けて、事業、顧客、業務、財務といった多角的な視点から意思決定し、事業を推進していくことのできる人材が必要であると認識しております。例えば、シェアNo.1の事業領域を増やすためには、既存の市場でのシェア拡大だけでなく、新領域でのシェア拡大に向けた取り組みも重要です。こうした戦略の実施に向けて、パートナーとの共創やM&Aの検討、投資判断等、重要かつ困難な判断が出来るリーダーシップを持った人材が求められます。

このような人材を育成するために、組織力強化、個別能力向上、内部統制強化を目的とした教育研修を実施しております。研修の中ではビジョン形成力や意思決定・判断等の概念化能力、リーダーシップや部下育成力等の対人関係能力、専門知識や時間管理能力等の業務遂行能力といった様々な能力の中から、役職に求められる能力を習得することができるよう人材育成プログラムを整備しております。

b.事業変化への対応力強化のための専門人材

中長期的な外部環境変化に対応し、業績拡大と企業価値向上を支えるためには、専門人材の確保が不可欠であると認識しております。例えば、機種の統廃合や商品ラインナップの拡充、ストックビジネスの拡大のためには、VRやAI、IoTなどの新技術を活用した商品開発力の強化や、お客さまの業種や運用に合わせた最適な提案を実施できる専門性が必要です。また今後もグローバル展開を進めていくに当たっては、蓄積されたノウハウ・技術力に加えて国ごとの法規制や文化、価値観にも目を向けて取り組むことが出来る適応力を持つ人材が必要です。

このような人材の育成・確保に向けて、事業戦略強化、専門スキル向上を目的とした教育研修を実施しております。加えて、社員の自発的な取り組みを支援するための集合研修、eラーニング、通信教育を含めた応募型研修を実施しております。これら研修プログラムを通じてリスキリングや能力拡大等に注力し、個人の成長をサポートしてまいります。

人材育成/教育研修制度に関する取り組みの詳細は、当社ウェブサイトをご参照ください。

(https://www.amano.co.jp/sustainability/social/humanresource_policy/)

 

■社内環境整備方針

人的資本の価値最大化のためには、多様性を活かす職場環境の構築が非常に重要であると認識しております。ウェルビーイング経営やワークライフバランスの推進によって、従業員一人ひとりの主体性と創造力、一人ひとりとの共存共栄を大切にします。また、職場の安全を確保し、従業員の心身の健康とプライバシーを守るとともに、個性を尊重し合う健全な職場環境づくりに取り組んでまいります。

a.人権の尊重

当社の全ての事業活動の前提となるものが、当社の事業に関わる全ての人の人権の尊重です。当社グループでは、2021年に「人権方針」を制定し、人権デュー・デリジェンスの仕組みの構築に取り組んでおります。併せて、人権リスクに適切に対応していくために、内部通報制度の整備・拡充を進めております。引き続き、人権侵害に対する予防・改善のための取り組みを推進してまいります。

人権尊重に関する取り組みの詳細は、当社ウェブサイトをご参照ください。

(https://www.amano.co.jp/sustainability/social/humanrights/)

(https://www.amano.co.jp/sustainability/social/humanrights_dd/)

b.ダイバーシティとワークライフバランスの推進

当社グループの事業を取り巻く環境や社会の変化に柔軟に対応し成長を続けるために、従業員の多様な視点や価値観を取り入れ、従業員と会社がともに成長する環境を作ることが重要です。

当社グループでは、女性活躍の推進に積極的に取り組んでいる他、多様な人材の確保という観点から、障がい者雇用、高齢者雇用、外国人雇用といった施策を実施しております。

また、働き方改革の実現とワークライフバランスの推進の観点から、多様で柔軟な働き方を選択できるように各種施策を実施しております。

ダイバーシティとワークライフバランスの推進に関する詳細は、当社ウェブサイトをご参照ください。

(https://www.amano.co.jp/sustainability/social/wlb/)

c.労働安全衛生の確保

すべての従業員が安全・安心に、そして快適に気持ちよく働くことができる職場環境づくりのため、従業員への労働安全衛生に対する様々な意識づけを図っております。入社時に実施する基本教育やAEDの配備と講習等により、一人ひとりの労働安全衛生に対する意識を高めている他、保安防災への取り組み、労働災害を防止するための活動等を展開しております。

労働安全衛生に関する詳細は、当社ウェブサイトをご参照ください。

(https://www.amano.co.jp/sustainability/social/occupational_safety/)

d.健康経営の実践

当社グループでは、従業員の心身の健康が経営を支える重要な基盤の一つだと考え、戦略的に「健康経営」を推進していくため、2017年に「健康経営宣言」を制定しました。代表取締役社長を健康経営責任者とする組織体制の下、「健康経営戦略マップ」に基づき様々な取組みを展開しております。

こうした取り組みの結果、健康経営優良法人2024<大規模法人部門(ホワイト500)>に認定されております。

健康経営に関する取り組みの詳細は、当社ウェブサイトをご参照ください。

(https://www.amano.co.jp/sustainability/social/health_management/)

e.エンゲージメントの向上

従業員一人ひとりが明るく働き甲斐を持って働くことのできる環境を目指し、2023年度に「エンゲージメント調査」を導入しました。エンゲージメントの見える化を通じ、より良い職場づくりのために継続的な改善活動に取り組んでまいります。

f.コンプライアンスの更なる徹底

当社グループでは、全てのステークホルダーに信頼され評価される企業として、コンプライアンスを遵守し、健全な組織を維持するために、『アマノグループ企業倫理綱領』を制定し、全従業員に配付の上、不正や法令違反等について周知徹底を図っております。更に、「コンプライアンス基本方針」「コンプライアンス規程」に基づき、コンプライアンス意識の徹底に向けて、様々な活動に取り組んでおります。

コンプライアンスに関する取り組みの詳細は、当社ウェブサイトをご参照ください。

(https://www.amano.co.jp/sustainability/governance/compliance/)

 

③リスク管理

サステナビリティ委員会は、各関連部門と協議の上、気候関連リスク・人権リスク等を含むサステナビリティに関するリスクの洗い出しを年次で行い、シナリオ分析、財務的影響評価等を適宜実施しております。また、そこで特定した重要リスクに対する対応方針については、サステナビリティ委員会およびリスクを所管するリスクマネジメント委員会が協議し、決定しております。特定した重要リスクや対応方針は、リスクマネジメント委員会を通じ、リスク管理統轄に報告し承認を得ております。

 

④指標及び目標

当社グループは、中長期的な会社の経営戦略として2023年4月から2026年3月までの3ヵ年の「第9次中期経営計画」を策定しております。中期経営計画の重要課題として、環境負荷低減・地球環境保全、人的資本の価値最大化の以下指標及び目標を掲げております。なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、現時点では連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

■環境負荷低減・地球環境保全

指標

目標

CO2排出量の削減

年1%削減

水使用量

年1%削減

廃棄物削減

廃棄物総排出量原単位を年1%削減

 

 

■人的資本の価値最大化

指標

目標

実績(当事業年度)

女性管理職比率

2026年3月まで5

2.7

女性従業員に占める管理職比率

2026年3月まで10

3.6

男性育児休暇取得率

2026年3月まで50

40.0

 

 

 

3 【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

  なお、当社グループは、現在及び将来における事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項については、コンプライアンス委員会、リスクマネジメント委員会のほか各種社内委員会を設置し、可能な限りこれらを想定した中でリスク要因の排除、対応に注力し事業活動を行っております。各委員会の活動内容は随時、代表取締役に報告されるとともに、必要に応じて取締役会に報告されます。各委員会の概要については、当社ウェブサイトをご参照ください。
(https://www.amano.co.jp/sustainability/governance/corp/)

  また、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において当社が判断したものであります。

 

① 経営環境等の変化による収益への影響

 当社グループは、蓄積した独自技術とノウハウにより高品質な製品やサービス、ソリューションを顧客に提供し、各事業領域において日本をはじめ北米・欧州・アジア各地域で高い市場シェアを占め、グローバルな事業展開を行っております。

 当社グループの2024年3月期における事業部門別売上高の構成比は、時間情報システム事業が76.4%、環境関連システム事業が23.6%の割合となっております。営業利益への貢献割合につきましては、配賦不能経費控除前で時間情報システム事業が80.7%、環境関連システム事業が19.3%となっております。また、直近5ヵ年間の加重平均値を用いた場合でも、時間情報システム事業は売上高で74.9%、営業利益で76.4%を占めております。

 将来のリスク要因としては、当社グループの業績において高い割合を有する時間情報システム事業について、需要構造の激変、新市場の創出等により市場拡大が見込まれると予測された場合、異業種からの参入又は強力な競争相手の参入が予想されます。この場合、競争相手が当社を凌駕する革新的な製品やソリューションをもって参入してきた時、当社グループの市場優位性が低下し、業績へ重大な影響を与えることがあります。

 当社グループはこれらのリスクに備え、競争力のある商品の継続的な開発やサポート体制の更なる強化を図っており、既存顧客との関係強化や新規顧客への取引拡大により、各事業における競争優位性を維持、向上させる事業活動を行っております。

 

② 為替相場の変動

  当社グループは、グローバルな事業展開を進めており、海外に生産・販売拠点を保有しております。したがって、当社グループの業績は、海外での取引を円換算する際に、為替相場の変動により影響を受ける状況にあります。

 当社グループはこれらのリスクに備え、必要に応じて為替予約等の実施を検討し、リスク低減に努めております。

 

③ 情報セキュリティ

  当社グループでは、システム・ソリューションの提案やASP・SaaSサービス、ホスティングサービス等のクラウドビジネスを展開する中で、顧客及び顧客からお預かりした個人情報等の機密情報を取扱っておりますが、サイバー攻撃等の予期せぬ事態によりそれら機密情報や個人情報の紛失、漏洩が起きた場合には、信用の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループはこれらのリスクに備え、情報セキュリティ管理委員会を設置の上「情報セキュリティ管理規程」に基づく安全管理措置の強化・徹底を図っております。具体的には、ハードディスクや外部媒体の暗号化による機密情報漏洩防止措置、定期的なe-learningによる社員教育等を実施しております。また、当社は2014年2月にプライバシーマークの認証を取得し、業務委託先の監督や社内規定の遵守徹底を図る等、情報セキュリティへの取り組みについては万全を期しております。当社の欧州子会社においては、2018年5月施行のGDPR(EU一般データ保護規則)について、現地の専門家の指導も仰ぎ、適切な対応を実施するなど、リスク低減に努めております。

 

 

④ 自然災害及び感染症

 大規模地震や世界的な気候変動に伴う風水害等が増加している状況であり、これらの自然災害発生時には、販売拠点である営業所及び製造拠点である事業所の損壊等、人的・物的被害を受ける可能性があります。また、感染症の拡大に伴う従業員の業務従事困難な状況の発生により、事業活動が一時的に継続できなくなる可能性があります。

 当社グループはこれらのリスクに備え、平時より緊急連絡網や安否確認システムの導入による従業員の安全確認・確保に加え、事業継続に向けたファイルサーバー等の外部データセンター移設やリモートワーク等を進めております。また、緊急事態発生時における災害対策本部設置体制の整備等、必要な措置を講じており、リスク低減に努めております。

 

⑤ 海外展開

 当社グループは、日本をはじめ北米・欧州・アジア各地域においてグローバルな事業展開を行っております。展開先の国・地域における独自の法令諸規則適用や政治変動による社会混乱、戦争・テロ・パンデミック発生等により、業務不能な状況となることも想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループはこれらのリスクに備え、平時より展開先の国・地域の情勢について情報収集を行うとともに、海外グループ会社経営会議を四半期毎に開催し、経営層が直接状況を確認、指示することでリスク低減に努めております。各種リスクが顕在化した際には、海外グループ各社との情報共有・交換を行うことで早期の状況把握に努めるとともに、必要に応じて外部の専門家も活用しながら適時適切な対応を行います。

 

⑥ 会計上の見積り前提変動

 当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたって、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等に関して見積りを行っております。これらの見積りは、将来に関する一定の前提に基づいて作成しており、国内外の経済活動に多大な影響を与える可能性のある自然災害、感染症の感染拡大等予期せぬ事象の発生により、その前提と大きく異なる場合、業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループはこれらのリスクに備え、会計上の見積り時に、入手可能な情報に基づき合理的な金額を算出するように努めております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末日における資産・負債の報告金額並びに当連結会計年度における収益・費用の報告金額に関する見積り、判断及び仮定を使用する必要があります。その詳細は第5[経理の状況]1[連結財務諸表等]「注記事項」「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。

 

(2) 経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、海外の景気後退懸念、各種価格の上昇や為替変動による影響など景気に先行き不透明な状況が見られるものの、経済活動の正常化が進む中、緩やかな景気回復基調で推移しているものと考えられます。

 このような経営環境下にあって、当社グループは、2023年4月よりスタートした第9次中期経営計画において、「100年企業への4th Stage -サステナブル経営に繋がるパラダイムシフトへの取り組み-」を経営コンセプトに掲げ、各事業分野におけるDXを推進し、ソフト系資産やIoT、AI等への戦略投資等を実行するとともに、収益面においても競争優位性を更に高め、社会的な課題解決にも積極的に取り組んでまいりました。

  その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は152,864百万円(前期比15.1%増)、営業利益19,567百万円(同23.9%増)、経常利益20,855百万円(同23.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益13,141百万円(同16.4%増)となり、増収増益となりました。

 

(経営成績のポイント)

・アマノ単体は、回復基調が鮮明となったパーキングシステムは大幅伸長が継続したほか、クリーンシステムも清掃ロボットが好調で増収継続。情報システムはソフトウェア・ハードウェアともに伸長。環境システムは工作機械受注の影響を受けて汎用機が減収となったものの、二次電池等の需要を捉えた大型システムが伸長し事業全体で増収。

・国内グループ会社は、駐車場管理受託事業が好調でコロナ前の売上を超えたほか、就業管理のクラウドサービス事業も引続き伸長。デジタルタイムスタンプ事業は改正電子帳簿保存法対応等のニーズを掴み好調を継続。

・海外グループ会社は、円安効果もあり、北米、欧州、アジアともに増収。欧州ではフランスの情報システムが顧客からのニーズを捉え引続き伸長。北米ではパーキングシステムは新製品効果による増収で需要期での単月黒字を実現するなど収益も改善傾向となる一方、クリーンシステムは主力の木材床研磨事業が減速しており減収。またアジア地域では、韓国や香港でパーキングシステム、タイで環境システムが伸長。

・期末決算時に当社が保有する投資有価証券の一部について、将来の超過収益力等について判定を行った結果、会計上の減損処理による投資有価証券評価損を計上。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

① 時間情報システム事業

 時間情報システム事業の売上高は、116,840百万円で、前期比17,936百万円の増収(18.1%増)となりました。

・情報システム 35,757百万円(前期比14.0%増) 

 当期の国内実績は、アマノ単体が前期に比べ、ソフトウェアは中小規模向けの需要回復が継続し809百万円の増収(8.2%増)、ハードウェアは451百万円増収(16.8%増)、メンテ・サプライは33百万円減収(0.7%減)となりました。アマノビジネスソリューションズ社が展開するクラウドサービスは、引続き堅調に推移いたしました。

 海外の実績は、北米のアキュタイムシステムズ社、欧州のホロクオルツ社ともに増収となり、海外全体では3,024百万円増収(前期比23.1%増)となりました。

 

・時間管理機器 2,572百万円(前期比9.5%減)

 当期の国内実績は、前期に比べ、標準機、勤怠管理ソフト付きタイムレコーダーともに減収となり、全体では51百万円減収(2.2%減)となりました。

 海外の実績は、北米、アジアが減収となり、海外全体では176百万円減収(前期比23.8%減)となりました。

 

・パーキングシステム 78,510百万円(前期比21.3%増)

 当期の国内実績は、アマノ単体が前期に比べ、駐車場機器は回復が継続し2,925百万円増収(21.2%増)、メンテ・サプライは1,600百万円増収(16.6%増)となりました。アマノマネジメントサービス社による運営受託事業は、堅調に推移し増収、受託車室数は投資の継続により前期末比27,000台増加(3.9%増)となりました。

 海外の実績は、北米のアマノマクギャン社が増収、アジアは韓国、香港の運営受託事業が増収となり、海外全体では9,190百万円増収(前期比31.2%増)となりました。

 

② 環境関連システム事業

 環境関連システム事業の売上高は、36,024百万円で、前期比2,117百万円の増収(6.2%増)となりました。

・環境システム 23,089百万円(前期比10.8%増)

  当期の国内実績は、アマノ単体が前期に比べ、汎用機は455百万円減収(6.1%減)、大型システムは2,518百万円増収(51.9%増)、メンテ・サプライは前期比横這いとなりました。 

 海外の実績は、アジアがタイを中心に回復し増収となり、海外全体では122百万円増収(前期比3.2%増)となりました。

 

・クリーンシステム 12,935百万円(前期比1.0%減)

 当期の国内実績は、アマノ単体が前期に比べ、清掃ロボットの増加により清掃機器は378百万円増収(17.4%増)、メンテ・サプライは22百万円増収(1.1%増)となりました。

 海外の実績は、北米のアマノパイオニアエクリプス社が減収となり、海外全体では560百万円減収(前期比7.0%減)となりました。

 

 

(参考情報)

〔所在地別情報〕

 

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益又は営業損失(△)

 

2023年
3月期

2024年
3月期

増減

増減率
(%)

2023年
3月期

2024年
3月期

増減

増減率
(%)

日本

78,840

87,229

8,388

10.6

16,936

19,347

2,410

14.2

アジア

25,431

32,473

7,041

27.7

1,784

2,385

600

33.6

北米

19,360

21,108

1,747

9.0

△722

△165

557

欧州

10,712

13,551

2,838

26.5

1,543

1,944

400

26.0

134,345

154,362

20,017

14.9

19,542

23,511

3,969

20.3

消去
又は全社

△1,534

△1,497

△3,755

△3,944

連結

132,810

152,864

20,054

15.1

15,787

19,567

3,780

23.9

 

(注) 1.国又は地域の区分は、地理的近接度によっております。

2.本邦以外の区分に属する主な国又は地域

(1)アジア……………シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、韓国、中国、フィリピン、ベトナム

(2)北米………………アメリカ、カナダ、メキシコ

(3)欧州………………フランス、ベルギー、スペイン

 

〔海外売上高〕

 

(単位:百万円)

 

海外売上高

連結売上高に占める
海外売上高の割合(%)

 

2023年
3月期

2024年
3月期

増減

増減率
(%)

2023年
3月期

2024年
3月期

増減

アジア

25,580

32,687

7,106

27.8

19.3

21.4

2.1

北米

18,185

19,800

1,614

8.9

13.7

12.9

△0.8

欧州

10,353

13,105

2,751

26.6

7.8

8.6

0.8

その他
の地域

1,198

1,361

163

13.6

0.9

0.9

0.0

55,318

66,954

11,636

21.0

41.7

43.8

2.1

連結売上高

132,810

152,864

 

 

 

 

 

 

(注) 1.国又は地域の区分は、地理的近接度によっております。

2.本邦以外の区分に属する主な国又は地域

(1)アジア……………シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、韓国、中国、フィリピン、ベトナム

(2)北米………………アメリカ、カナダ

(3)欧州………………フランス、ベルギー、スペイン

(4)その他の地域……中南米

3.海外売上高は、当社及び連結子会社の本邦以外の国又は地域における売上高であります。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

時間情報システム事業

32,242

14.0

環境関連システム事業

22,519

7.8

合計

54,762

11.3

 

(注) 金額は、平均販売価格によっております。

 

b. 受注実績

製品は見込み生産でありますが、一部製品に付帯する部品等は受注に応じて生産しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

時間情報システム事業

116,840

18.1

環境関連システム事業

36,024

6.2

合計

152,864

15.1

 

 

(3) 財政状態

総資産は、184,585百万円(前連結会計年度末比13,334百万円増加)となりました。

・流動資産:受取手形、売掛金及び契約資産の増加及び商品及び製品の増加等により7,142百万円増加

・固定資産:リース資産(純額)の増加及び投資有価証券の増加等により6,191百万円増加

 

負債は、56,482百万円(前連結会計年度末比6,869百万円増加)となりました。

・流動負債:リース債務の増加等により6,776百万円増加

・固定負債:リース債務の増加等により93百万円増加

 

純資産は、128,103百万円(前連結会計年度末比6,464百万円増加)となりました。

・株主資本:親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により728百万円増加

・その他の包括利益累計額:為替換算調整勘定の増加等により6,116百万円増加

 

セグメントごとの財政状態は、次のとおりであります。

① 時間情報システム事業

時間情報システム事業のセグメント資産は92,044百万円で、前連結会計年度に比べ12,534百万円の増加となりました。これは主に、情報・パーキングソフトウェアの開発・改良・改善、駐車場運営事業用設備の取得、工場改修、生産の合理化及び製品の信頼性向上のための設備投資によるものであります。

 

② 環境関連システム事業

環境関連システム事業のセグメント資産は30,330百万円で、前連結会計年度に比べ604百万円の減少となりました。これは主に、当社が保有する投資有価証券の一部の投資有価証券評価損の計上によるものであります。

 

 

(4) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、51,648百万円と前連結会計年度末に比べ3,435百万円減少いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、23,771百万円(前期比4,820百万円の収入の増加)となりました。

・主な収入:

税金等調整前当期純利益19,032百万円の計上、減価償却費10,256百万円の計上

・主な支出:

法人税等の支払額6,089百万円の計上、売上債権及び契約資産の増加額4,110百万円の計上

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、△10,221百万円(前期比2,845百万円の支出の増加)となりました。

・主な収入:

定期預金の払戻による収入10,856百万円の計上

・主な支出:

定期預金の預入による支出13,530百万円の計上、有形固定資産の取得による支出3,417百万円の計上、無形固定資産の取得による支出2,439百万円の計上、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,809百万円の計上

 

財務活動によるキャッシュ・フローは、△18,216百万円(前期比4,265百万円の支出の増加)となりました。

・主な収入:

セール・アンド・リースバックによる収入1,732百万円の計上

・主な支出:

配当金の支払額8,764百万円の計上、リース債務の返済による支出6,785百万円の計上、自己株式の取得による支出3,719百万円の計上

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

  当社グループは、配当等による株主還元を継続的に実施し、事業運営に必要な運転資金を確保したうえで、事業拡大・企業価値向上に向けたM&Aや成長投資に備えて内部留保を行っております。

  ハードウェアメーカーとしてスタートした当社は、市場ニーズの変化や技術革新に伴い、ソフトウェアやクラウド、受託事業などサービスを含めたトータルソリューションを提供する企業として成長してまいりました。その動きを更に発展すべく、各事業分野におけるDXを推進し、ソフト系資産やIoT、AI等への戦略投資等を実行してまいります。また、標準品の機能拡充によりお客さまの利便性向上を図ると共に、収益面においても競争優位性を更に高めていきます。併せて、経営インフラの整備・拡充を進めると共に、人的資本の価値最大化、環境負荷低減といった社会的な課題解決にも取り組んでまいります。これら必要な投資については、状況に応じて外部から資金調達を行う場合もありますが、原則として自己資金にて賄う考えであり、営業活動によるキャッシュ・フローで、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの支出をカバーするという基本的な流れを当連結会計年度においても継続しております。

  なお、当連結会計年度末における当社グループの流動比率は266.9%と流動性は十分な水準にあります。

 

 キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。

 

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

自己資本比率(%)

70.5

73.6

72.5

70.5

69.1

時価ベースの自己資本比率(%)

116.1

134.0

102.4

106.8

152.1

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(%)

27.1

43.5

38.1

53.8

47.9

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

227.9

101.9

139.1

124.8

83.4

 

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※ 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(5) KPIの状況
① OPR13%達成

当連結会計年度は、原価率悪化及び販管費は増加したものの増収効果に伴う営業増益により、12.8%(前期比0.9Pt増)となりました。

② ROE12%達成

当連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純利益の増加により、10.6%(前期比1.0Pt増)となりました。

 

(6) 事業戦略展開

当社グループは、「100年企業への4th Stage -サステナブル経営に繋がるパラダイムシフトへの取り組み-」を経営コンセプトとして掲げ、各事業分野におけるDXを推進し、ソフト系資産やIoT、AI等への戦略投資等を実行してまいります。また、標準品の機能拡充によりお客さまの利便性向上を図ると共に、収益面においても競争優位性を更に高めていきます。併せて、経営インフラの整備・拡充を進めると共に、人的資本の価値最大化、環境負荷低減といった社会的な課題解決にも取り組んでまいります。各事業ごとのアクションプランは以下のとおりです。

① 情報システム

・クラウドサービスを含む業種特化型ソリューション提案強化

  (働き方改革関連法適用猶予業種、公共市場等)

・旧ソフト更新提案強化

・就業ターミナル提案強化(自治体等)

・デジタルタイムスタンプ市場の開拓推進(改正電子帳簿保存法対応)

・北米

  ERPシステム企業との連携強化

  生体認証付新ターミナルの提案推進

・欧州

  就業、人事、アクセスのクロスセル推進

  クラウド事業推進

② 時間管理機器

・コネクテッドタイムレコーダー・コネクテッドツールの拡販(Wi-Fi機能標準搭載)

・TimeP@CKシリーズ拡販、有償会員サービス拡充

・パートナー戦略強化

・北米、欧州、アジア

  新規販売チャネル開拓

③ パーキングシステム

・チケットレス・キャッシュレスシステム提案推進(スマホアプリ連動・ETCGO)

・クラウドサービス拡充(ストックビジネス拡大)

・運営受託事業 提案強化

・北米 サブスクリプションモデル販売拡大
・欧州 販売体制強化、運営受託事業強化

・アジア 運営受託事業拡大

④ 環境システム

・汎用集塵機 提案拡大

・新領域拡大(成長戦略分野への大型システム提案推進)

・周辺装置含めたトータルソリューション提案推進

・グループ連携によるグローバル展開の推進

・北米、中米

  新規顧客開拓

・アジア

  エンジニアリング力、生産・販売・サービス体制 強化

  現地企業に対する提案強化

⑤ クリーンシステム

・清掃ロボット機能強化・拡充

・ロボットクラウドサービス提案強化(ストックビジネス拡大)

・自動床洗浄機EGシリーズ提案強化(販売チャネル強化・コネクテッドサービス拡大)

・電解水生成装置を組み合わせた差別化提案拡大

・木材床研磨機器事業の拡大(欧州市場 展開強化)

  新チャネル開拓

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発活動は、時間情報システム機器と環境関連システム機器に分け関係会社間で行っております。

時間情報システム機器については、当社及びアマノ シンシナティ Inc.、アマノ マクギャン Inc.、アキュタイム システムズ Inc.、ホロクオルツ S.A.及びアマノ コーリア Corp.の各会社間で北米地域、欧州地域、アジア・オセアニア地域におけるタイムレコーダー、就業情報・給与計算・人事情報システム、駐車場管理システムのソフト・ハードの相互供給体制と販売促進・保守体系を確立するため、国際バージョンの製品及び関連技術の共同開発を行っております。

環境関連システム機器については、集塵機、粉粒体空気輸送システム、排気ガス処理システム、脱臭システム等は、グループ各社の技術・市場情報をもとに当社が製品並びに技術開発を行っております。クリーンシステム機器は、当社とアマノ パイオニア エクリプス Corp.がグローバルプロジェクト体制で機器並びにケミカル用品の開発を行っております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は2,799百万円であります。

また、当連結会計年度のセグメント別の研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

① 時間情報システム事業

 時間情報システムについて、中大規模市場向けの就業ソフトウェア「TimePro-VG」に於いて、表示項目の名称・背景色変更および届出申請画面へ遷移できることで視認・操作性を向上した業種向け拡張機能『デイリーデータ修正画面機能強化』を2023年9月に市場投入いたしました。中小規模市場向け人事労務管理パッケージ「TimePro-NX」では、「TimePro-VG」とのWebAPIデータ連携に対応した『TimePro-NX Ver1.2.6.0』を2023年9月に市場投入いたしました。社会保険手続き電子申請の義務化に対応した「e-AMANO 人事届出クラウドサービス」では、源泉徴収票の摘要欄への前職情報の自動展開などお客様から頂いた声を製品に取り込んでおります。また、e-Gov(デジタル庁)の新しいAPIへの対応や労働保険年度更新、雇用契約書の労働条件明示、定額減税など多くの法改正に伴う対応にも適時対応しております。引き続き人事情報管理を基本とした就業・給与・入室の総合提案による更なる販売拡大を進めてまいります。

 情報ターミナルでは「SX-100/SX-170」の後継モデルとなる「SX-200」の無線LANモデルを2023年1月に、LTEモデルを2023年7月に市場投入いたしました。

 パーキングシステムについては、2023年11月に駐車場データセンター「ParkingWeb」の新サービスとして「アプリ連携サービス」を市場投入いたしました。この機能は商業施設の会員情報と連携し、チケットレスによる入出場、商業施設内での買上金額に応じた割引の自動付与、会員専用のスマホアプリに現在の駐車料金や次の課金までの残り時間をプッシュ通知でお知らせするなど、施設会員様への利便性を向上させました。同じく2023年11月に、社会実験として実施してきた「ネットワーク型ETCシステム」を新サービス「ETCGO」として有料道路市場と駐車場市場向けに正式にリリースいたしました。ETCカード決済によるワンストップ&キャッシュレスで利用者に対し利便性が向上しました。また、「ParkingWeb」の機能追加として、2024年1月には「定期Web申請サービス」を、2024年3月に「データ保管サービス」をそれぞれ市場投入いたしました。その他、法改正によるインボイス対応や新紙幣対応など、社会環境の変化に合わせた対応を実施しております。引き続き、お客様の利便性向上のためサービスの強化を進めて参ります。

当事業に係る研究開発費は2,390百万円であります。

 

② 環境関連システム事業

 環境システムについて、2023年12月に金属切削工程で発生する水溶性ミストを捕集するフィルターレスミストコレクター「MRシリーズ」に内蔵型アフターフィルターを搭載いたしました。新開発した小型フィルターにより本体内部へフィルターが搭載できるようになり、コンパクトな形状のままメンテナンス性を向上させ、より細かい粒子の捕集が可能となりました。今後も省エネ対応製品の拡大やスマートファクトリーへの対応などサステナブルな社会の実現へ貢献してまいります。

 クリーンシステムについては、駅、空港、商業施設、倉庫、工場に代表される広大なカーペットフロアやハードフロアのある全ての施設(標準清掃面積:2000 ㎡以上)をターゲットとしたスイーパー(除塵)タイプの清掃ロボット「RSrobo」を2023年5月に市場投入いたしました。屋内のカーペット、セラミック、コンクリートなどの幅広い床面に対して高い除塵能力を有しており、床洗浄前の除塵用ロボットとして幅広く運用いただけます。EGrobo 同様、ティーチング&トレース方式を採用しましたので、どなたでも直感的に操作しやすくなっています。データ通信サービスとしてクラウドサービスである「AMANO Robot Cloud」を活用することで、ロボットの稼働状況の監視や清掃ルート変更が可能となり、現場管理者の工数を大幅に削減します。今後もお客様の困りごとをアマノサポートセンターにてきめ細かく対応してまいります。

 当事業に係る研究開発費は408百万円であります。