第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 (当社グループは、前連結会計年度より決算日を3月31日から12月31日に変更しました。前連結会計年度と当連結会計年度では、会計期間の差異があるため、以下の記述においては業績の対前期増減率については記載していません。)

 

 当連結会計年度の当社グループの業績は、受注高 130,980百万円、売上高 132,890百万円、営業利益 4,893百万円、経常利益 4,201百万円、親会社株主に帰属する当期純利益 2,729百万円となりました。

 航空機部品の出荷高が大きく伸長したほか、ポンプ・システムの国内事業や、血液透析装置の国内・海外販売に勢いを取り戻しつつありますが、原油価格低迷の影響を受けたLEWA社や、市場競争が激化しているCRRT(急性血液浄化療法)事業など海外事業が不調となりました。また、航空宇宙事業が円高による利益率の低下に苦しんだほか、全事業にわたる製品の品質不適合対策や納期遅延の補償等の費用計上が利益の下押し要因となっています。昨年8月発表の業績予想と比べると、下半期にかけて国内事業の持ち直しによって受注高、売上高は増加、上記減益要因によって営業利益はやや減少しましたが、為替影響の戻りもあって経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は増加しました。

 

 5ヵ年の中期経営計画「日機装2020」の初年度にあたる当連結会計年度は、対処すべき課題を明確化し、経営の将来像を具体化するため諸施策を実行し、その一環として、宮崎新工場建設を決定しました。宮崎工場は、当初は、航空宇宙事業でのカスケード増産や新規受注品に対応する工場としてスタートさせますが、今後、高度な技術領域のポンプ製品群の生産や血液透析装置の増産への対応も視野に入れた、次世代の当社事業領域全般にわたる基幹工場として育成していく方針です。各事業分野における成長施策を着実に遂行し、平成32年(2020年)12月期には、国際財務報告基準(IFRS)適用の前提で、売上高2,000億円、営業利益200億円を達成できる企業グループを目指してまいります。

 

 セグメントの業績は次のとおりです。

工業部門

 工業部門は、ポンプ・システム製品、精密機器製品等を手掛けるインダストリアル事業、炭素繊維強化樹脂を使った航空機部品等を手掛ける航空宇宙事業、及び新規事業の紫外線LED事業等で構成しています。

 

<インダストリアル事業>

 産油国による減産合意等により、長期低迷していた原油価格に緩やかな上昇が見られましたが、産油国やオイルメジャーなど上流分野の設備投資の本格的な回復には至りませんでした。LEWA社では、生産能力の増強、中東ポンプパッケージ工場の買収など事業体制を強化する一方、石油化学分野の案件やアフターセールスに注力しましたが、原油・ガス採掘など上流分野の落ち込みを補うには至りませんでした。国内事業では、採算性をより重視した受注活動を推進したほか、半導体業界向け小型高速ポンプやアフターセールスが伸長し、収益改善に繋がりました。

 

 発電所向け案件においては、原子力発電所向け案件の停滞を受け、電力小売り自由化以降、顧客の投資意欲が継続している火力発電所向け案件の受注や、受注済み案件の遂行に注力しました。また、電子部品製造業界に向けた温水ラミネーター装置の販売が伸びました。

 

 この結果、インダストリアル事業の業績は、受注高 61,013百万円、売上高 62,505百万円となりました。

 

 インダストリアル事業では、中長期的な視点から、生産体制の強化を図るとともに、LEWA社など海外関係会社との協働により、各種ポンプ・システムの生産・販売体制の見直しや、LNGなどの産業ガス向けの機器への需要拡大も視野に入れた抜本的な事業再編を急ぎ、収益性の向上を目指してまいります。

 

<航空宇宙事業>

 大型航空機の一部で減産がありましたが、航空機全体の需要は依然として堅調に推移しています。国内では、主力製品であるカスケードが過去最高水準の出荷高となったほか、ベトナム・ハノイ工場では、Jパネルやシャークレット等の主翼部品の生産が本格化しました。航空宇宙事業の受注高及び売上高は15,383百万円と順調に推移しましたが、業容拡大に応じた事業体制の整備のための経費増加、ベトナム・ハノイ工場の品質不適合対策と円高進行による国内生産品の利益率低下などにより収益面では前年比横這いにとどまっています。

 

 旺盛な需要を背景に、民間航空機メーカー各社は既存機種の増産や新型機の開発を積極化させており、アジア地域での部品調達の動きを加速させています。国内及びベトナムに生産拠点をもつ当社グループは、これらの顧客動向に着実に対応すべく、平成28年8月には東村山工場にファンケースライナーの生産設備を新設、ハノイ工場の増設計画も予定どおり推進するなど、生産力の強化に向けた諸施策を遂行してきました。さらに、一層の需要増加が見込めるカスケードの生産能力を早急に確保するため、既存の金沢工場に加えて宮崎市に新工場を建設することを決定しました。宮崎工場では、カスケード増産や新規受注品の受入を進めるほか、国内外にある各拠点の生産体制を一元管理し、品質管理や生産技術を確立する基幹工場としての役割も担っていく予定です。

 

 このほか、事業化を目指している紫外線LED事業においては、世界最高水準にある深紫外線LEDチップの出力向上に向けた技術開発を継続したほか、応用分野として有力視している水殺菌モジュール事業の強化のため、米国AquiSense Technologies社を買収しました。また、今後の紫外線LED市場の本格的な拡大に備え、台湾プラスチックグループの中核企業である台塑石化股份有限公司との合弁会社の設立について正式に合意、工場建設を目指して準備に入っています。

 

 以上の結果、工業部門の業績は、受注高 76,503百万円、売上高 77,995百万円、セグメント利益 3,482百万円となりました。

 

医療部門

<メディカル事業>

 血液透析事業においては、国内の事業環境が厳しさを増すなか、製品力とメンテナンス体制の強みを活かした営業体制の強化によって透析装置の販売が増加に転じました。海外市場では、中国で、現地合弁会社の威高日機装(威海)透析機器有限公司を中心に積極的な事業展開を継続しており、急速に拡大する血液透析装置市場で着実に販路を拡大しています。また、欧州市場が順調に推移したほか、中南米や東南アジアでの販売も伸長しました。消耗品販売については、当社透析装置との組み合わせで付加価値を提供できる粉末型透析用剤や血液回路が順調に推移しましたが、ダイアライザーは伸び悩みました。米国Baxter社から事業買収したCRRT事業は、欧州、中国を主力市場としていますが、競争激化やポンド安、人民元安の影響により、業績が悪化しました。

 

 この結果、医療部門の業績は、受注高 54,477百万円、売上高 54,895百万円、セグメント利益 5,122百万円となりました。

 

 メディカル事業においては、主力である国内透析事業では、政府による医療費の抑制施策の推進や透析患者数の増加率の鈍化など、事業環境の転換期を迎えており、引き続き厳しい状況が続くものと見込んでいます。省力化や自動化など医療機関のニーズを的確に捉えた新製品の開発や、事業体制の最適化を着実に遂行してまいります。また、海外市場では、中国や欧州など従来からの重点市場に加え、大手プロバイダー向け販売も強化しました。当期苦戦したCRRT事業においては、グローバル販売体制の強化、市場競争力の強化のための新型装置の開発・投入等、事業収益向上に向けた施策を進めます。併せて、人工膵臓「STG-55」、マイクロ波外科手術用エネルギーデバイス「Acrosurg.」、潰瘍性大腸炎患者向けアフェレシス(血液浄化)製品「Immnopure」等、新規事業分野向けの製品も着実に進展しており、メディカル事業の中期的な収益基盤として育成してまいります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて1,482百万円減少し、25,919百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは+12,608百万円となりました。税金等調整前当期純利益の計上が主な要因です。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは△7,400百万円となりました。有形固定資産の取得による支出が主な要因です。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは△6,052百万円となりました。自己株式の取得による支出が主な要因です。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

工業部門

74,330

医療部門

38,002

合計

112,333

(注)1.当社グループは前連結会計年度より決算日を3月31日から12月31日に変更しました。決算日変更の経過期間となる前連結会計年度の連結対象期間は当連結会計年度と異なるため、前連結会計年度との比較増減は記載していません。

2.セグメント間の内部振替前の金額によっています。

3.金額は、販売価格によっています。

4.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2)受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

工業部門

76,503

33,338

医療部門

54,477

3,750

合計

130,980

37,088

(注)1.当社グループは前連結会計年度より決算日を3月31日から12月31日に変更しました。決算日変更の経過期間となる前連結会計年度の連結対象期間は当連結会計年度と異なるため、前連結会計年度との比較増減は記載していません。

2.セグメント間取引については、相殺消去しています。

3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

工業部門

77,995

医療部門

54,895

合計

132,890

(注)1.当社グループは前連結会計年度より決算日を3月31日から12月31日に変更しました。決算日変更の経過期間となる前連結会計年度の連結対象期間は当連結会計年度と異なるため、前連結会計年度との比較増減は記載していません。

2.セグメント間取引については、相殺消去しています。

3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

3【対処すべき課題】

(1)対処すべき課題

 経営環境の大きな変化に着実に対応しながら、今後さらなる成長を成し遂げるためには、現在の姿を再認識し、進むべき方向、対処すべき課題を明確化する必要があると判断し、平成28年12月期から始まる5ヵ年を対象とした中期経営計画「日機装2020」を策定し、推進していくこととしました。

 主力の各事業分野で卓越した技術力を武器に、顧客の要求に応える高度な製品・サービスを提供することができる世界トップレベルのサプライヤーであり続けるための「『技術の日機装』の確立」、経営環境の変化や業容の拡大に適切に対応するための「成長に向けた基盤強化と収益力の向上」を基本施策として掲げ、「日機装2020」の最終事業年度にあたる平成32年(2020年)12月期には、国際財務報告基準(IFRS)適用の前提で、売上高2,000億円、営業利益200億円を達成できる企業を目指していきます。

 

(2)株式会社の支配に関する基本方針

① 基本方針の内容

 当社の支配形態は、企業価値の向上と株主共同の利益を確保するため、株式市場における自由かつ公正な取引を通じて構成される株主の意思に基づき決定されるものとします。

 なお、当社は、平成27年6月まで、いわゆる事前警告型買収防衛策を導入していましたが、現在は導入していません。

② 当社の取り組みの具体的内容

 当社は、平成32年(2020年)12月期を最終事業年度とする5ヵ年の中期経営計画「日機装2020」及び当社グループの企業統治に関する基本方針を掲げた「日機装グループのコーポレート・ガバナンス基本方針」(平成27年10月制定)の着実な遂行・実施により、中長期的な企業価値の向上及び株主共同の利益の維持・向上に努めます。

ロ 短期的な利益や一部の株主の利益を優先する動きが生じる場合など、当社の企業価値と株主共同の利益が損なわれるおそれのある行為に対しては、当社は企業価値及び株主共同の利益の維持・向上の観点から、金融商品取引法など関係する法令に従い、当社株式の大量取得行為等についての是非を株主が適切に判断するために必要かつ十分な情報の開示を求めるとともに、その検討のために必要な時間の確保に努めます。また、仮に、当社取締役会が大量取得者等による当社株式の大量取得行為等が当社の企業価値・株主共同の利益に反すると判断する場合にはこれを防ぐべく、関係法令によって許容される合理的な対抗措置を講じます。

 なお、大量取得者等に対する対抗措置に係る当社取締役会の判断が恣意的になることを防止するため、一般株主との利益相反が生ずるおそれのない、独立社外取締役を2名以上選任します。

③ 当社の取り組みに対する取締役会の判断とその理由

 当社取締役会は、前記②の取り組みについて、合理的かつ妥当な内容であって、前記①の基本方針に沿っており、したがって当社の株主の共同の利益を損なうものではなく、かつ当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しています。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクとして、下記のとおり認識しています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。

① 製品市場変動

 インダストリアル事業の主要な顧客は、エネルギー業界、石油化学業界、電力業界などです。この業界における需要の縮小や競争の激化が、当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、航空宇宙事業の顧客の大半は航空機業界ですが、同時多発テロのような航空機需要に重大な影響を及ぼすような事態が発生する場合に、当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 医療保険行政

 メディカル事業は、人工透析関連をはじめとした医療市場を主要な販売先としており、医療保険行政の規制を受けています。したがって、メディカル事業の製品の市場と価格は、直接・間接にその影響を受けます。今後の規制の動向により、市場の縮小や価格の下落などが起きる場合には、当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 為替変動

 当社グループには、海外子会社の資産・負債をはじめとして外貨建の売上、仕入、資産、負債があり、連結財務諸表作成のために円換算しています。主な通貨は米ドルとユーロであり、これらの通貨の為替変動が当社グループの業績と財務状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループ全体では、外貨建売上が外貨建仕入を上回り、また外貨建資産が外貨建負債を上回るため、これらの通貨に対する円高が当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 海外生産

 当社グループでは、海外販売比率の増加に伴って、海外生産比率が増加してきています。工業部門では、ポンプ製品はドイツ、アメリカが主力生産拠点であり、一部製品を、中国、台湾などで生産しています。また、航空機部品の一部をベトナムで生産しています。医療部門では、消耗品の血液回路をベトナムとタイで生産し、人工透析装置の一部を中国の合弁会社で生産しています。したがって、これらの国における法律・規制の変更、政治・経済要因の変動などにより、子会社の正常な会社運営、生産活動が影響を受けることにより、当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 子会社の業績

 当社グループは、既存事業の製品ラインアップや技術、販路などを強化する目的や、新規事業の獲得などのために、国内外の事業会社やその事業などの買収、出資を行なっています。これらの買収や出資により事業体質の強化を図ることにより、将来の成長性は高まるものと考えていますが、その成果が著しく低調に推移する場合、当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ その他

 上記のほか、世界的な経済環境悪化や紛争の発生、大規模な自然災害などによって、当社グループの事業を取り巻く環境に甚大な影響を与える事象が発生する場合、当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、各事業分野において、独創的な技術を駆使し、顧客ニーズに合わせた新製品、新技術のための研究、開発を積極的に行なっています。

 工業分野では、省電力・長寿命の特長をもち、有害な水銀を使用しないことで環境保護につながる深紫外線LEDの開発に取り組んでいます。また、LNG開発基地向け大型ポンプの機能・効率向上や、軽量化により民間航空機のジェットエンジン燃料の削減に貢献する炭素繊維強化樹脂成形製品の新しい用途開発にも積極的に取り組んでいます。

 医療分野では、次世代の透析治療に対応するための基礎研究を進め、透析装置の機能向上、次期透析装置の開発に取り組んでいます。また、長年培ってきた透析関連の技術を活かし、潰瘍性大腸炎等の各種免疫疾患治療への貢献を目指した血液浄化療法の臨床研究を継続するとともに、内科・外科治療分野向け製品として販売を開始している人工膵臓のさらなる改良や急性期医療分野の新製品開発などにも取り組んでいます。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は1,679百万円です。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社が判断したものです。

 

(1)財政状態

① 資産

 当連結会計年度末の資産合計は175,457百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,188百万円減少しています。のれんの償却及び自己株式の取得に伴う現金及び預金の減少などが主な要因です。

② 負債

 当連結会計年度末の負債合計は109,923百万円となり、前連結会計年度末に比べて3,419百万円増加しています。仕入債務及び未払法人税等が増加したことが主な要因です。

③ 純資産

 当連結会計年度末の純資産合計は65,533百万円となり、前連結会計年度末に比べて5,608百万円減少しています。自己株式の取得が主な要因です。

 

(2)経営成績

 当連結会計年度の経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 1業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。