第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

 当社グループは、当連結会計年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)から従来の日本基準に替えて国際財務報告基準(以下、「IFRS」)を適用しています。IFRSへの移行日は2016年1月1日であり、前連結会計年度(自 2016年1月1日 至 2016年12月31日)についても、IFRSに準拠して表示しています。IFRS上の営業利益は、従前の日本基準では営業外収益・費用、特別利益・損失に計上していた科目の一部が算入となるなど、日本基準上の営業利益の概念とは異なります。また、IFRS適用により、のれんの償却が停止となります。これらの影響により、前連結会計年度の日本基準の営業利益4,893百万円は、IFRSでは8,117百万円となります。日本基準とIFRSとの差異の概要は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 39 初度適用」をご参照ください。なお、前年同期比等については、IFRSに準拠した前期の連結数値をもとに算出しています。

 

(1)業績

 当連結会計年度の当社グループの業績は、受注高 140,412百万円(対前年同期比8.7%増)、売上収益 140,912百万円(同8.4%増)、営業利益 8,718百万円(同7.4%増)、税引前利益 8,310百万円(22.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益 5,182百万円(同6.1%増)となりました。

 工業部門では、国内ポンプ事業及び当社連結子会社LEWA GmbH(ドイツ)(以下、「LEWA社」)の利益面での改善が進んだほか、航空宇宙事業においては機種入替による端境期の影響により売上収益は微減となったものの、生産効率の向上に円安のメリットも加わり、セグメント利益は改善しています。

 医療部門では、国内血液透析市場の停滞により装置販売が不振の一方で消耗品販売が増加しましたが、CRRT(急性血液浄化療法)事業の業績悪化に歯止めがかからず、セグメント利益は減少しました。その他、Cryogenic Industries グループ(以下、「CIグループ」)の株式取得に関連したアドバイザリー費用、宮崎新工場の立ち上げなど一過性の費用を計上しましたが、本社第二別館の売却益計上により、全社の営業利益は前年同期に比べ増益となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりです。

工業部門

 工業部門は、産業用ポンプ・コンプレッサー等を手掛けるインダストリアル事業、発電プラント向け水質調整装置・電子部品製造関連装置等を手掛ける精密機器事業、民間航空機向け炭素繊維強化樹脂(CFRP)成形品等を手掛ける航空宇宙事業、及び新規事業の深紫外線LED事業等で構成しています。

(2016年10月、インダストリアル事業から発電プラント向け水質調整装置、電子部品製造関連装置および粉体計測機器に関する事業を分離し、精密機器事業を新設しました。そのため、インダストリアル事業と精密機器事業については、前年同期比は記載していません。)

 

<インダストリアル事業>

 インダストリアル事業の受注高は58,827百万円、売上収益は59,715百万円となりました。

 原油価格が本格的な上昇局面に入らないことから、原油・ガス採掘など上流分野の設備投資の本格的な回復には至っておらず、大型案件は限定的で競争環境は厳しさを増しています。上流分野向けの大型機器を主力事業とするLEWA社では上流分野の需要停滞で厳しい事業環境の中、石油化学分野の案件やアフターセールス事業の拡大に注力、さらに経費削減に努めることによって収益改善を図っています。クライオジェニックポンプ事業では、液化天然ガス(LNG)市場の需要の拡大によって引き続き活発な引合いを見込んでいます。前連結会計年度から続いている品質不適合問題は、当連結会計年度も対策費用の追加計上を余儀なくされたものの、技術的な課題解決にほぼ目途がつき、抜本的な改善に向け品質管理体制の強化などリスク管理施策を遂行しております。その他、国内事業については、原油安を受け石油化学メーカーの国内外への大型設備投資が活発化してきており、引合いが増加傾向にあります。

 

 2017年8月21日に株式取得が完了したCIグループについては、第3四半期から連結業績に反映しています。CIグループについても、原油価格の低迷によるLNG市場の落ち込みを受け、当初見込みと比較して当期の売上収益は低調な結果となり、2018年も大きな回復は望めませんが、アジアを中心にLNG需要は増加傾向にあり、中長期的に市場は大きく拡大すると見込まれています。今後、本買収を通じて、成長が見込まれるLNGや次世代エネルギーとして期待される水素を含めた産業ガス製造装置事業への参入という事業領域の拡大にとどまらず、グループとして地域相互補完の関係を構築し、グローバル展開できる体制を整えてまいります。

<精密機器事業>

 精密機器事業の受注高は10,731百万円、売上収益は9,843百万円となりました。

 発電所向け案件においては、原子力発電所向け案件は再稼働の遅れにより停滞していますが、火力発電所向け案件の受注や、受注済み案件の遂行に注力しました。また、スマートフォンや車載向けデバイス市場の好況により、電子部品製造業界向けに2016年に販売開始した新型温水ラミネーター装置の販売が伸長しました。

 

<航空宇宙事業>

 航空宇宙事業の受注高は15,712百万円(前年同期比2.1%増)、売上収益は15,550百万円(同0.3%減)となりました。

 当期は、一部の航空機部品の価格改定や航空機メーカーの機種の切替えに伴う生産調整から出荷減になったことに加え、東村山工場や宮崎新工場の立ち上げによる先行経費負担の影響により厳しい業績を見込んでおりましたが、下期にカスケードの出荷が増加し、売上収益はほぼ前期並みの水準に回復しました。来期以降、カスケードやベトナム ハノイ第1工場での主翼部品の更なる出荷増が見込まれるほか、東村山工場において本格的に生産稼動し始めたファンケースライナーの出荷増を見込んでいます。

 

 新興国における旅客・貨物需要の増加や格安航空会社の成長等、民間航空機の需要は小型機を中心に引き続き堅調に推移しており、活発な引合い、商談が継続しています。2018年秋頃の生産・出荷開始を目指している宮崎新工場、2018年度中の竣工を目指すベトナム ハノイ第2工場を含めた生産拠点の拡充とともに、事業運営体制・生産体制の再整備により、世界的な航空機需要の高まりを着実に取り込む努力を続けてまいります。

 

 このほか、深紫外線LED事業においては、水殺菌では、水産加工業に向けた中流量水殺菌装置を開発・納入したほか、上下水道施設等に向けた大流量の水殺菌を可能とする製品開発を進めました。また、空気殺菌でも高出力と長寿命という当社深紫外線LEDの特長を活かしたモジュール開発を進めています。事業領域の拡大に向け市場の掘り起しを進め、当社グループの収益基盤の一つとなるよう育成してまいります。

 

 以上の結果、工業部門の業績は、受注高 85,406百万円(前年同期比13.6%増)、売上収益 85,228百万円(同12.7%増)、セグメント利益 7,539百万円(同27.1%増)となりました。

 

医療部門

<メディカル事業>

 国内の血液透析市場では、医療経済環境の変化を受けて透析装置販売は低調ながら、当社透析装置との組み合わせで付加価値を提供できる血液回路や人工腎臓透析用剤など消耗品販売が増加し、国内市場の売上収益を下支えしています。海外市場では、医療保険制度の普及が進む中国において市場が拡大しており、現地合弁パートナーである威海威高血液浄化製品有限公司(中国)の積極的な事業展開により透析装置販売は着実に増加しています。また、欧州での販売も伸長した結果、血液透析関連事業全体では売上収益は増加しました。一方で、新機種開発の進捗に伴う開発費用や販売費及び一般管理費の増加もあり、利益面では前期比減少となりました。不振が続くCRRT事業では、主力の中国市場における販売体制の再構築、営業・サービス機能強化により装置販売が大幅に伸長しているものの、欧州他での苦戦が響き、経費増を賄えず業績は悪化しました。

 

 以上の結果、医療部門の受注高は55,005百万円(前年同期比1.8%増)、売上収益は55,684百万円(同2.3%増)、セグメント利益は3,950百万円(同24.2%減)となりました。

 

 メディカル事業において、主力である国内の血液透析市場は、医療経済環境、病院経営の大規模化など医療ビジネスモデルの変化による転換期を迎えており、引き続き市場の停滞、競争環境の激化が続くものと見込んでいます。その中で、国内市場のニーズを的確に捉えた新製品・サービスの開発と、それを支える事業運営体制の再構築及び業務改革を着実に遂行してまいります。また、海外市場では、中国以外のアジア諸国においても医療保険制度の拡充が進んでおり、大手透析サービスプロバイダーとの提携等も視野に入れ、販売体制の強化を進めます。

 CRRT事業では、グローバル販売体制の再構築、新型装置の開発体制の抜本的な見直しを行ない、収益性改善に向けた施策を進めます。併せて、新規事業分野である人工膵臓「STG-55」、マイクロ波外科手術用エネルギーデバイス「Acrosurg.(アクロサージ)」、潰瘍性大腸炎患者向けアフェレシス(血液浄化)製品「Immnopure(イムノピュア)」等も着実にグローバル市場の開拓を進めており、メディカル事業の中期的な収益基盤として育成してまいります。

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の当期末残高は、前連結会計年度末に比べて8,175百万円増加し、34,095百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは+4,915百万円となりました。税引前利益の計上が主な要因です。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは△48,058百万円となりました。CIグループの買収に伴う子会社株式の取得による支出が主な要因です。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは+51,015百万円となりました。短期借入れによる収入が主な要因です。

 

(3)並行開示情報

 連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下、「日本基準」)により作成した要約連結財務諸表及びIFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。

 なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていません。

 

① 要約連結貸借対照表(日本基準)

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2016年12月31日)

当連結会計年度

(2017年12月31日)

資産の部

 

 

流動資産

101,015

122,356

固定資産

 

 

有形固定資産

33,859

36,721

無形固定資産

27,008

64,097

投資その他の資産

13,574

17,950

固定資産合計

74,441

118,769

資産合計

175,457

241,125

 

 

 

負債の部

 

 

流動負債

51,886

115,621

固定負債

58,036

53,146

負債合計

109,923

168,767

 

 

 

純資産の部

 

 

株主資本

61,289

62,780

その他の包括利益累計額

2,915

7,717

新株予約権

86

79

非支配株主持分

1,242

1,780

純資産合計

65,533

72,357

負債純資産合計

175,457

241,125

 

② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)

要約連結損益計算書

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2016年1月1日

至 2016年12月31日)

当連結会計年度

(自 2017年1月1日

至 2017年12月31日)

売上高

132,890

143,327

売上原価

△87,665

△93,688

売上総利益

45,225

49,638

販売費及び一般管理費

△40,332

△45,816

営業利益

4,893

3,821

営業外収益

1,536

1,839

営業外費用

△2,228

△1,332

経常利益

4,201

4,329

特別利益

711

1,384

特別損失

△43

△75

税金等調整前当期純利益

4,869

5,637

法人税等合計

△2,061

△2,895

当期純利益

2,808

2,742

非支配株主に帰属する当期純利益

△78

△150

親会社株主に帰属する当期純利益

2,729

2,591

 

要約連結包括利益計算書

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2016年1月1日

至 2016年12月31日)

当連結会計年度

(自 2017年1月1日

至 2017年12月31日)

当期純利益

2,808

2,742

その他の包括利益合計

△2,212

4,888

包括利益

596

7,630

(内訳)

 

 

親会社株主に係る包括利益

583

7,393

非支配株主に係る包括利益

13

236

 

③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)

前連結会計年度(自 2016年1月1日 至 2016年12月31日)

(単位:百万円)

 

 

株主資本

その他の包括利益累計額

新株予約権

非支配株主持分

純資産合計

当期首残高

64,696

5,061

77

1,306

71,142

当期変動額合計

△3,407

△2,146

8

△63

△5,608

当期末残高

61,289

2,915

86

1,242

65,533

 

当連結会計年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)

(単位:百万円)

 

 

株主資本

その他の包括利益累計額

新株予約権

非支配株主持分

純資産合計

当期首残高

61,289

2,915

86

1,242

65,533

当期変動額合計

1,490

4,802

△7

538

6,823

当期末残高

62,780

7,717

79

1,780

72,357

 

④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2016年1月1日

至 2016年12月31日)

当連結会計年度

(自 2017年1月1日

至 2017年12月31日)

営業活動によるキャッシュ・フロー

12,608

4,255

投資活動によるキャッシュ・フロー

△7,400

△47,660

財務活動によるキャッシュ・フロー

△6,052

51,278

現金及び現金同等物に係る換算差額

△638

302

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

△1,482

8,175

現金及び現金同等物の期首残高

27,402

25,919

現金及び現金同等物の期末残高

25,919

34,095

 

⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)

 

前連結会計年度(自 2016年1月1日 至 2016年12月31日)

 

ⅰ)連結の範囲に関する事項

 当連結会計年度から、Nikkiso America,Inc.が新たに取得したAquiSense Technologies LLCを連結の範囲に含めています。そのほか、マイクロトラック・ベル株式会社の子会社において、新設により1社を連結の範囲に含め、LEWA GmbHの子会社において、清算により1社を連結の範囲から除外し、取得により1社を連結の範囲に含めています。

 

ⅱ)持分法の適用に関する事項

 Typhon Treatment System Ltd.は、Nikkiso America,Inc.が株式を追加取得したため、当連結会計年度から持分法の適用範囲に含めています。

 

ⅲ)会計方針の変更

 当社及び国内連結子会社は、法人税法の改正に伴い、「平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第32号 平成28年6月17日)を当連結会計年度に適用し、2016年4月1日以後に取得した建物附属設備及び構築物に係る減価償却方法を定率法から定額法に変更しています。

 なお、当連結会計年度において、連結財務諸表に与える影響額は軽微です。

当連結会計年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)

 

ⅰ)連結の範囲に関する事項

 当連結会計年度から、新設した宮崎日機装株式会社及びCryogenic Industries,Inc.を連結の範囲に含めています。また、日機装インターナショナル株式会社及び新設したCryogenic Industries,Inc.を通じて、米国のCryogenic Industriesグループ傘下の事業会社であった21社を取得したことにより、日機装インターナショナル株式会社の子会社において12社を連結の範囲に含め、Cryogenic Industries,Inc.の子会社において9社を連結の範囲に含めています。さらに、株式の取得によりSolinas Medical Inc.を連結子会社の範囲に含めているほか、Microtrac, Inc.の子会社において、清算により1社を連結の範囲から除外しています。

 

⑥ IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

 

前連結会計年度(自 2016年1月1日 至 2016年12月31日)

 

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 39 初度適用」をご参照ください。

 

当連結会計年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)

 

ⅰ)のれんの償却

 日本基準において、のれんの償却についてはその効果の及ぶ期間を見積もり、その期間で償却することとしていましたが、IFRSでは移行日以降の償却を停止しています。この結果、のれん償却額(販売費及び一般管理費)が2,530百万円減少しています。

 

ⅱ)表示方法の変更

 日本基準では営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失に表示していた項目を、IFRSでは財務関連項目を金融収益、金融費用に、その他の項目についてはその他の収益、その他の費用又は持分法による投資利益に表示しています。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

工業部門

77,300

+17.6

医療部門

30,117

+0.9

合計

107,417

+12.4

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。

2.金額は、販売価格によっています。

3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2)受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

工業部門

85,406

+13.6

34,600

+0.5

医療部門

55,005

+1.8

3,063

△18.1

合計

140,412

+8.7

37,664

△1.3

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

工業部門

85,228

+12.7

医療部門

55,684

+2.3

合計

140,912

+8.4

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、社会の一員として健全な倫理・価値観を社会と共有しながら、それぞれの事業分野において、独創的な技術を活かし、市場のニーズに応えた特長ある製品、サービスを提供することにより社会に貢献することを、経営の基本方針としています。

 人々の良質な暮らしの実現のために、高度な技術に裏打ちされた質の高い製品・サービスの提供を通じて、原油・天然ガス生産業や航空宇宙産業のほか、血液透析医療など暮らしの根幹分野で創造的な貢献を果たすことを企業理念とし、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。また、企業の社会的責任を自覚し、透明性の高い経営に努め、広く株主、顧客、取引先、従業員からの信頼を得て、その期待に応えていきます。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは収益力の指標として営業利益を重視しています。同時に、特定の指標に過度に依存することなく、収益力、効率性、成長性、安定性等の面で全体としてバランスのとれた姿を目指します。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 経営環境の大きな変化に着実に対応しながら、今後さらなる成長を成し遂げるためには、現在の姿を再認識し、進むべき方向、対処すべき課題を明確化する必要があると判断し、2016年12月期から2020年12月期までの5ヵ年を対象とした中期経営計画「日機装2020」を策定し、推進していくこととしました。

 主力の各事業分野で卓越した技術力を武器に、顧客の要求に応える高度な製品・サービスを提供することができる世界トップレベルのサプライヤーであり続けるための「『技術の日機装』の確立」、経営環境の変化や業容の拡大に適切に対応するための「成長に向けた基盤強化と収益力の向上」を基本施策として掲げ、「日機装2020」の最終年度にあたる2020年12月期には、売上収益2,000億円、営業利益200億円を達成できる企業を目指していきます。

 

(4)株式会社の支配に関する基本方針

① 基本方針の内容

 当社の支配形態は、企業価値の向上と株主共同の利益を確保するため、株式市場における自由かつ公正な取引を通じて構成される株主の意思に基づき決定されるものとします。なお、現在当社は買収防衛策を導入していません。

② 当社の取り組みの具体的内容

 当社は、2020年12月期を最終事業年度とする5ヵ年の中期経営計画「日機装2020」及び当社グループの企業統治に関する基本方針を掲げた「日機装グループのコーポレート・ガバナンス基本方針」(2015年10月制定)の着実な遂行・実施により、中長期的な企業価値の向上及び株主共同の利益の維持・向上に努めます。

ロ 短期的な利益や一部の株主の利益を優先する動きが生じる場合など、当社の企業価値と株主共同の利益が損なわれるおそれのある行為に対しては、当社は企業価値及び株主共同の利益の維持・向上の観点から、金融商品取引法など関係する法令に従い、当社株式の大量取得行為等についての是非を株主が適切に判断するために必要かつ十分な情報の開示を求めるとともに、その検討のために必要な時間の確保に努めます。また、仮に、当社取締役会が大量取得者等による当社株式の大量取得行為等が当社の企業価値・株主共同の利益に反すると判断する場合にはこれを防ぐべく、関係法令によって許容される合理的な対抗措置を講じます。

 なお、大量取得者等に対する対抗措置に係る当社取締役会の判断が恣意的になることを防止するため、一般株主との利益相反が生ずるおそれのない、独立社外取締役を2名以上選任します。

③ 当社の取り組みに対する取締役会の判断とその理由

 当社取締役会は、前記②の取り組みについて、合理的かつ妥当な内容であって、前記①の基本方針に沿っており、したがって当社の株主の共同の利益を損なうものではなく、かつ当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しています。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクとして、下記のとおり認識しています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。

① 製品市場変動

 インダストリアル事業の主要な顧客は、エネルギー業界、石油化学業界、電力業界などです。この業界における需要の縮小や競争の激化が、当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、航空宇宙事業の顧客の大半は航空機業界ですが、同時多発テロのような航空機需要に重大な影響を及ぼすような事態が発生する場合に、当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 医療保険行政

 メディカル事業は、人工透析関連をはじめとした医療市場を主要な販売先としており、医療保険行政の規制を受けています。したがって、メディカル事業の製品の市場と価格は、直接・間接にその影響を受けます。今後の規制の動向により、市場の縮小や価格の下落などが起きる場合には、当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 為替変動

 当社グループには、海外子会社の資産・負債をはじめとして外貨建の売上、仕入、資産、負債があり、連結財務諸表作成のために円換算しています。主な通貨は米ドルとユーロであり、これらの通貨の為替変動が当社グループの業績と財務状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループ全体では、外貨建売上が外貨建仕入を上回り、また外貨建資産が外貨建負債を上回るため、これらの通貨に対する円高が当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 海外生産

 当社グループでは、海外販売比率の増加に伴って、海外生産比率が増加してきています。工業部門では、ポンプ製品はドイツ、アメリカが主力生産拠点であり、一部製品を、中国、台湾などで生産しています。また、航空機部品の一部をベトナムで生産しています。医療部門では、消耗品の血液回路をベトナムとタイで生産し、人工透析装置の一部を中国の合弁会社で生産しています。したがって、これらの国における法律・規制の変更、政治・経済要因の変動などにより、子会社の正常な会社運営、生産活動が影響を受けることにより、当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 子会社の業績

 当社グループは、既存事業の製品ラインアップや技術、販路などを強化する目的や、新規事業の獲得などのために、国内外の事業会社やその事業などの買収、出資を行なっています。これらの買収や出資により事業体質の強化を図ることにより、将来の成長性は高まるものと考えていますが、その成果が著しく低調に推移する場合、当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ その他

 上記のほか、世界的な経済環境悪化や紛争の発生、大規模な自然災害などによって、当社グループの事業を取り巻く環境に甚大な影響を与える事象が発生する場合、当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

株式取得による会社等の買収

 当連結会計年度において、当社は、2017年4月20日、当社の連結子会社である日機装インターナショナル株式会社及び新設子会社Cryogenic Industries Inc. (米国 旧Cryogenic Industries Holding, Inc.)を通じて、Cryogenic Industriesグループ傘下の事業会社であるACD社、Cosmodyne社、Cryoquip社及びCryogenic Industries AG、それぞれの全株式を取得する最終契約を締結し、その後、関係当局の許可を経て全株式を取得し、買収を完了しました。

 本件に関する詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 35 企業結合」に記載のとおりです。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、各事業分野において、独創的な技術を駆使し、顧客ニーズに合わせた新製品、新技術のための研究、開発を積極的に行なっています。

 工業分野では、省電力・長寿命の特長をもち、有害な水銀を使用しないことで環境保護につながる深紫外線LEDの開発に取り組んでいます。また、LNG開発基地向け大型ポンプの機能・効率向上や、軽量化により民間航空機のジェットエンジン燃料の削減に貢献する炭素繊維強化樹脂成形製品の新しい用途開発にも積極的に取り組んでいます。

 医療分野では、次世代の透析治療に対応するための基礎研究を進め、透析装置の機能向上、次期透析装置の開発に取り組んでいます。また、長年培ってきた透析関連の技術を活かし、潰瘍性大腸炎等の各種免疫疾患治療への貢献を目指した血液浄化療法の臨床研究を継続するとともに、内科・外科治療分野向け製品として販売を開始している人工膵臓のさらなる改良や急性期医療分野の新製品開発などにも取り組んでいます。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は2,435百万円です。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社が判断したものです。

 

(1)財政状態

① 資産

 当連結会計年度末の資産合計は244,692百万円となり、前連結会計年度末に比べて66,974百万円増加しています。CIグループの買収に伴うのれんの計上が主な要因です。

② 負債

 当連結会計年度末の負債合計は167,905百万円となり、前連結会計年度末に比べ57,851百万円増加しています。借入金の増加が主な要因です。

③ 資本

 当連結会計年度末の資本合計は76,787百万円となり、前連結会計年度末に比べて9,123百万円増加しています。親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加が主な要因です。

 

(2)経営成績

 当連結会計年度の経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 1業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。