当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1)経営成績の分析
当中間連結会計期間における当社グループの事業環境は、米国による関税引き上げ政策とそれに伴う米中対立の激化の影響懸念、航空機メーカーの生産体制正常化に向けた不透明感、国内血液透析市場の需要減少、さらに円相場の乱高下など、先行きの予測が困難な状況が続いています。
インダストリアル事業の主要市場であるLNG分野では、中長期的なエネルギー安全保障の重要性が増す中、設備投資需要は引き続き拡大基調にあります。一方、次世代エネルギー市場においては、米国の気候変動政策の見直しをはじめ、地政学的要因の影響を受け、地域ごとに市場の進展速度や投資意欲にばらつきが生じています。
航空宇宙事業では、航空機産業の需要の回復を背景に、サプライチェーンの再構築や増産が進められているものの、部品供給の遅延や人材不足といった制約は依然として解消しておらず、不透明な状況が続いています。業界全体の回復が当初想定より遅れており、引き続き状況を注視していく必要があります。
メディカル事業の主要市場である血液透析市場では、日本国内は医療機関の設備投資意欲が低下しており、市場の縮小を背景に競争が激化しています。一方、海外市場においては、中国での需要回復が進んでいるほか、欧州市場は堅調に推移し、アジア地域でも患者数の増加や医療水準の向上により需要が伸び、市場が拡大しています。
こうした事業環境のもと、当中間連結会計期間においては、インダストリアル事業では、受注済み案件の着実な遂行に加え、産業用ポンプ・システム事業における収益性の高い案件や販売価格適正化の取り組みが寄与し、対ドルでの円高の影響による減収減益要因はあったものの、前年並みの利益を確保しました。航空宇宙事業は業界全体の回復遅れの影響を受け、前年から減収減益となりました。メディカル事業では、海外における血液透析事業が牽引したことに加え、前年同期に計上したヘルスケア事業での棚卸資産評価損の消滅も寄与し、前年から増益となりました。
この結果、当中間連結会計期間における当社グループの業績は、受注高は105,494百万円(前年同期比10.9%減)、売上収益は100,317百万円(同2.3%減)、営業利益は5,867百万円(同114.4%増)となりました。全体の売上収益はCRRT事業譲渡の影響もあって前年同期比では微減となっていますが、営業利益は当第1四半期にCRRT事業の譲渡益455百万円(「調整額(全社費用等)」計上)を計上したことや、前年同期に計上した深紫外線LED事業等の不採算事業の整理等に伴う一過性損失が消滅したこともあり、大幅な増益となりました。
税引前中間利益は4,845百万円(同31.8%減)、親会社の所有者に帰属する中間利益は4,929百万円(同17.2%減)と前年同期比では減少していますが、これは昨年来の大幅な為替変動の影響を受けたことが主要因であり(当中間連結会計期間は1,386百万円の為替差損、前年同期は3,837百万円の為替差益)、年間の事業計画は順調に進捗しているとみています。
セグメント別の状況 (単位:百万円)
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2024年12月期 中間期実績 |
2025年12月期 中間期実績 |
前年同期比 |
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増減額 |
増減率 |
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受注高 |
118,394 |
105,494 |
△12,899 |
△10.9% |
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工業部門 |
80,095 |
67,409 |
△12,686 |
△15.8% |
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インダストリアル事業 |
71,396 |
59,202 |
△12,194 |
△17.1% |
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航空宇宙事業 |
8,278 |
8,047 |
△231 |
△2.8% |
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医療部門 |
38,440 |
38,209 |
△231 |
△0.6% |
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売上収益 |
102,676 |
100,317 |
△2,358 |
△2.3% |
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工業部門 |
63,051 |
61,847 |
△1,203 |
△1.9% |
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インダストリアル事業 |
54,000 |
53,684 |
△315 |
△0.6% |
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航空宇宙事業 |
8,729 |
8,006 |
△723 |
△8.3% |
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医療部門 |
39,751 |
38,586 |
△1,164 |
△2.9% |
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セグメント利益 |
2,736 |
5,867 |
+3,130 |
+114.4% |
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工業部門 |
3,339 |
4,468 |
+1,128 |
+33.8% |
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インダストリアル事業 |
4,745 |
4,881 |
+136 |
+2.9% |
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航空宇宙事業 |
52 |
△183 |
△236 |
― |
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医療部門 |
1,296 |
2,592 |
+1,295 |
+99.9% |
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調整額(全社費用等) |
△1,943 |
△1,279 |
+664 |
― |
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税引前中間利益 |
7,105 |
4,845 |
△2,259 |
△31.8% |
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親会社の所有者に帰属する中間利益 |
5,952 |
4,929 |
△1,023 |
△17.2% |
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※ 工業部門合計欄には、深紫外線LED事業の金額が含まれています。
※ 2025年1月1日付の組織変更に伴い、2024年12月期中間期のセグメント実績は、組織変更後の区分で表示しています。
※ セグメントごとの各金額欄には、内部取引控除前の金額を表示しています。
≪事業セグメント別の事業環境と事業概況≫
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事業 |
主要製品 |
2025年12月期 中間期の事業・受注環境 |
2025年12月期 中間期の業績概況 |
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インダストリアル事業 |
液化ガス・産業ガス関連機器・装置 |
・LNG市場は、エネルギー確保や低炭素化に向けた需要が活況で、北米、欧州、アジア地域の液化・受入基地等の案件で活発な動きが継続。
・水素、アンモニア等の次世代エネルギー市場においては、地政学的要因の影響を受け、地域ごとに市場の進展速度や投資意欲にばらつきが生じている。 |
主要プレイヤーであるCE&IGグループは、 ・受注済案件を着実に遂行し、為替影響を除く売上収益及び粗利益は増加。
・体制整備に伴う固定費の増加により、収益面では減益。
・低・脱炭素市場に向けた技術・製品開発に加え体制整備を継続中。 |
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産業用ポンプ・システム |
・受注高は前年を上回り、受注残の遂行に注力中。 |
・好採算案件や販売価格の適正化により、収益性の回復が継続。 |
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精密機器 |
・電子部品市場は依然として設備投資の調整局面が続いているが、中国のパワー半導体市場の高まりで、受注高は前年を上回る。 |
・前年同期比で僅かに減収減益。 |
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航空宇宙事業 |
民間航空機向け炭素繊維強化プラスチック(CFRP)成形品 |
・航空機産業では、需要回復に伴いサプライチェーンの再構築や増産対応が進められている一方、部品供給の遅延や人材不足といった制約が依然として残っており、足元では計画の遅れが継続。 |
・主力製品であるカスケードの出荷調整等が影響し、前年同期比で減収。前年から段階的に進めている販売価格の適正化は継続しているものの、為替の影響を含む減収要因に加え、増産対応等に伴う固定費の増加により、前年同期比で減益。 |
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メディカル事業 |
血液透析関連製品 |
・国内の血液透析患者数は、中長期的には緩やかな減少傾向に転じる可能性があるものの、当面は横ばいの状況が続くと予想される。
・患者数が世界最大の中国市場では、設備投資需要の拡大による成長が期待される一方、国産化政策の加速により現地メーカーの台頭が進んでいる。
・経済発展を背景としたアジア市場の拡大も期待される。 |
・血液透析装置の国内販売は、医療機関による設備投資意欲の低迷と競争激化の影響で前年を下回る。
・海外販売は、中国市場における一時的な需要減退からの回復に加え、欧州での販売拡大等も寄与し、前年同期比で増収増益。
・米国市場展開については、2025年5月に血液透析装置の販売許認可の取得完了。次のステップとして、上位機種となる多用途型血液透析装置の許認可申請準備を進行中。 |
(2)財政状態の分析
当中間連結会計期間末の資産合計は313,291百万円となり、前連結会計年度末に比べて12,272百万円減少しました。「営業債権及びその他の債権」と「売却目的で保有する資産」の減少が主な要因です。
当中間連結会計期間末の負債合計は169,507百万円となり、前連結会計年度末に比べて14,051百万円減少しました。「営業債務及びその他の債務」と「その他流動負債」並びに「売却目的で保有する資産に直接関連する負債」が減少したことが主な要因です。
当中間連結会計期間末の資本合計は143,784百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,779百万円増加しました。利益剰余金の増加が主な要因です。
(3)キャッシュ・フローの分析
当中間連結会計期間末における「現金及び現金同等物」は、前連結会計年度末に比べて3,469百万円増加し、38,133百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは+7,548百万円となりました。これは主に「税引前中間利益」及び「減価償却費及び償却費」を計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは+4,182百万円となりました。これは主に「連結範囲の変更を伴う関係会社株式等の売却による収入」が主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは△8,292百万円となりました。借入の返済が主な要因です。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、次のとおりです。
当社は、当社が製造した一部ポンプ製品において、出荷前の社内検査の一部を実施していなかった事実が判明したため、外部専門家等を中心とした特別調査委員会を2025年2月28日付けで設置し、事実関係の調査及び原因の究明を進めてきました。その後、当社は、2025年8月1日付けで受領した調査報告書に記載の特別調査委員会が認定した事実と原因分析に基づいた再発防止策の提言を真摯に受け止め、2025年8月4日付けで当社が取り組むべき再発防止策を策定しました。
今後、再発防止策の実行のための改善プロジェクトチームを組織した上で2025年末までに各種改善施策(組織体制の改善、業務プロセスの改善、品質マネジメントシステムの改善)の完遂を図ります。
当社は、本事案を一事業部門におけるルール逸脱の問題として矮小化せず、品質及び安全に対する役職員の意識、ガバナンス全般の問題と捉え、品質保証に関する意識の全社的な理解浸透に向けて不断の取り組みを続けてまいります。
なお、本事案が連結業績に与える影響は軽微です。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は1,961百万円です。
当中間期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。