第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度の世界経済は、北米、欧州においては個人消費の増加などにより景気の着実な回復が続きましたが、中国をはじめとする新興国においては、成長スピードに鈍化がみられました。国内においては、企業収益の回復や個人消費が増加するなど、景気の回復が見られました。

 自動車業界については、一部の新興国で新車販売台数の減少が見られたものの、北米、欧州、中国といった大規模市場においては、新車販売台数が増加したこともあり、世界全体としては堅調に推移しました。なお、国内においては、軽自動車の販売台数減少により、前連結会計年度を下回る結果となりました。

 このような状況の中、当企業グループは「元気で持続的に成長できる会社」をめざし、グループ競争力の強化、革新的な技術開発、ものづくり力の強化など競争力強化に向けた取り組みを推進しました。

 売上高については、国内外における得意先カーメーカーの生産台数増加により、前連結会計年度(2兆9,646億円)に比べ9.4%増の3兆2,431億円となりました。

 利益については、将来の成長に向けた研究開発費や減価償却費が増加したものの、収益体質強化活動の成果などにより、営業利益は前連結会計年度(1,661億円)に比べ6.2%増の1,764億円となりました。一方、為替差損などにより、経常利益は前連結会計年度(1,883億円)に比べ0.8%減の1,868億円となったものの、法人税等が減少したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度(775億円)に比べ25.0%増の969億円となりました。

 なお、当連結会計年度から、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としています。

 

 セグメントの業績は、次のとおりです。

 

① アイシン精機グループ

 国内外の得意先カーメーカーの生産台数増加などにより、売上高は前連結会計年度(14,025億円)に比べ7.0%増の15,009億円となりました。営業利益は売上高の増加や収益体質強化活動の成果などにより、前連結会計年度(481億円)に比べ27.7%増の615億円となりました。

② アイシン高丘グループ

 国内外の得意先カーメーカーの生産台数増加などにより、売上高は前連結会計年度(2,638億円)に比べ4.6%増の2,759億円となりました。営業利益は収益体質強化活動の成果があったものの、減価償却費などの費用増加により、前連結会計年度(112億円)に比べ18.7%減の91億円となりました。

③ アイシン・エィ・ダブリュグループ

 国内外の得意先カーメーカーの生産台数増加などにより、売上高は前連結会計年度(1兆1,272億円)に比べ13.2%増の1兆2,765億円となりました。営業利益は研究開発費や減価償却費などの費用増加があったものの、売上高の増加や収益体質強化活動の成果などにより、前連結会計年度(897億円)に比べ3.7%増の930億円となりました。

④ アドヴィックスグループ

 北米をはじめとした海外の得意先カーメーカーの生産台数増加などにより、売上高は前連結会計年度(5,273億円)に比べ4.5%増の5,512億円となりました。営業利益は収益体質強化活動の成果があったものの、減価償却費などの費用増加により、前連結会計年度(96億円)に比べ8.0%減の88億円となりました。

⑤ その他

 得意先カーメーカーの生産台数増加などにより、売上高は前連結会計年度(1,877億円)に比べ5.7%増の1,985億円となり、営業利益は前連結会計年度(61億円)に比べ44.7%減の33億円となりました。

 なお、当連結会計年度より会計方針を変更し、当社および一部の連結子会社の国内売上について、従来、主として出荷基準により収益を認識していましたが、検収基準に変更しました。そのため、前年同期比較は遡及修正後の金額で行っています。(以下、「2 生産、受注及び販売の状況」および「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」においても同じ。)

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況について、現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、営業活動により2,921億円の増加、投資活動により2,372億円の減少、財務活動により771億円の減少、現金及び現金同等物に係る換算差額により92億円の減少の結果、当連結会計年度末には2,632億円となり、前連結会計年度末(2,946億円)に比べ314億円(10.7%)の減少となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は、前連結会計年度(2,397億円)に比べ524億円(21.9%)増加し、2,921億円となりました。これは、減価償却費が271億円増加したことや、法人税等の支払額が185億円減少したことなどによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、前連結会計年度(2,613億円)に比べ240億円(9.2%)減少し、2,372億円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が261億円増加したものの、定期預金及び有価証券の増減額が311億円増加したことや、投資有価証券の取得による支出が367億円減少したことなどによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は、前連結会計年度(177億円)に比べ大幅に増加し、771億円となりました。これは、借入れとその返済による収支が403億円減少したことや、当連結会計年度は社債を発行しなかったため、社債の発行による収入が200億円減少したことなどによります。

 

 (注) 本報告書の売上高等は、消費税等抜きで表示しています。

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比増減率(%)

アイシン精機グループ

1,504,233

+6.8

アイシン高丘グループ

276,314

+4.6

アイシン・エィ・ダブリュグループ

1,281,006

+11.5

アドヴィックスグループ

551,257

+4.1

その他

199,689

+6.1

合計

3,812,500

+7.7

  (注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部売上高消去前の数値によっています。

     2 上記金額には、外部仕入先等からの仕入高が含まれています。

(2) 受注状況

  主要な事業である自動車部品製造・販売について、当企業グループの全てのセグメントは、トヨタ自動車㈱をはじめとした大手自動車メーカーより、約3ヶ月前後の予約的発注指示を受け、生産能力を勘案し生産計画を立て、生産を行っています。

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比増減率(%)

アイシン精機グループ

1,500,938

+7.0

アイシン高丘グループ

275,913

+4.6

アイシン・エィ・ダブリュグループ

1,276,551

+13.2

アドヴィックスグループ

551,289

+4.5

その他

198,561

+5.7

合計

3,803,253

+8.4

  (注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部売上高消去前の数値によっています。

     2 主な相手先の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

       なお、割合はセグメント間の内部売上高消去後の総販売実績に対して記載しています。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

959,499

32.4

1,002,339

30.9

 

3 【対処すべき課題】

 今後、世界各地域の自動車市場は不透明感を増しリスクも増大していきます。特に日本では、自動車市場の長期的縮小が見込まれています。また、次世代技術を巡る技術開発競争、熾烈な価格競争など、競争環境はこれまで以上に厳しさを増していきます。こうした状況の中、当企業グループは持続的な成長と企業価値の向上に向け、以下の課題に取り組んでいきます。

 一つ目は「グループ競争力の強化」です。グループ各社が方向性を共有し、各社の強みや特徴を活かしながら、世界で戦える真の競争力の確立をめざします。具体的には、事業効率向上によるコスト競争力の強化や、商品力向上による事業拡大といった成果を確実に刈り取っていきます。併せて、当社の屋台骨を支えるオートマチックトランスミッション事業の拡大に向け、グループ各社のリソーセスを最大限に活用した効率的な増産体制を構築していきます。さらに、グループ全体最適の視点で、事業戦略の構築、リソーセスの重点配分、間接部門のスリム化など、事業とマネジメントの両面から改革に取り組んでいきます。

 二つ目は「既存商品の競争力強化」です。厳しい環境にも耐えうる強固な収益体質をめざし、経営の根幹をなす既存商品の競争力強化に取り組みます。地域、顧客、商品の重点を定めた効率的な事業展開をはかる中で、独自技術の追求、生産性向上・原単位の改善、量を束ねた調達など、設計・生産技術・工場・調達が一体となったものづくり改革を推進します。また、開発費、設備投資、人件費など、固定費の適正化を全社的観点から進めます。

 三つ目は「次世代を見据えた新たな価値の創造」です。既存商品の競争力強化により経営の足元を固める一方、将来の成長力確保に向け、新たな事業の創出や魅力ある商品づくりに注力します。自動車部品事業においては、パワートレインの電動化や自動運転などの将来ニーズを先取りした次世代商品の先行開発をグループの技術・リソーセスを結集して取り組みます。また、第二の柱となる事業をめざし、エネルギー関連事業、アフターマーケット事業等の強化・拡大を進めるとともに、エンドユーザーの潜在ニーズを掘り起こす新商品・新事業の創出に挑戦していきます。

 四つ目は「経営基盤の再強化」です。事業がグローバルに広がる中、各地域に根づいた企業活動を通して持続的に成長していくためには、企業経営の基盤を磐石にしておくことが大前提です。そのため、災害の未然防止を始めとする安全な職場づくり、COや廃棄物の削減などの環境保全活動、コンプライアンスの徹底をこれまで以上に推進していきます。また、品質至上を基本に、世界各国のお客様の使われ方に即した確かな品質を提供していきます。あわせて、すべての企業活動のベースとして、国籍、性別、年齢を問わず、社員一人ひとりが創造性や自発性を発揮して活き活きと働く企業風土を醸成していきます。

 これらの課題は一朝一夕で成し遂げられるものではありませんが、「好きなことをやって、いい明日をつくろう」をスローガンに、全社員が目標を共有し、元気で新しいことに果敢にチャレンジしていきます。そして、「真の競争力を身につけ、新たな価値を提案できる元気な会社」をめざします。

 

 

4 【事業等のリスク】

 当企業グループの経営成績および財務状況等(株価などを含む。)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月20日)現在において当企業グループが判断したものです。

(1) 経済状況

 当企業グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当企業グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジア等を含む当企業グループの主要市場における景気後退、およびそれに伴う需要の縮小は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
 また、当企業グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当企業グループと同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当企業グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当企業グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料・部品の供給

 当企業グループの製品は、原材料・部品を複数のグループ外供給元から調達しています。グループ外供給元とは、基本取引契約を結び、安定的な取引を前提としていますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の不慮の事故などにより、原材料・部品の不足が生じないという保証はありません。この場合、当企業グループ製品の原価上昇、さらには生産停止などが起こり、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 特定の得意先への販売依存度

 当企業グループは、自動車部品および住生活関連機器の製造・販売を主な事業としており、主力である自動車部品事業においては、主として国内外の主要自動車メーカーを得意先としています。これらの得意先の中でトヨタ自動車㈱およびトヨタグループへの販売依存度が最も高く、当連結会計年度においては販売高 2兆201億円、総販売実績に対する割合は、62.3%となっています。従って、同社および同グループの販売数量の変動は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、平成28年3月31日現在の同社による当社の議決権の所有割合は、直接所有割合23.2%、間接所有割合0.1%です。この情報は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 関連当事者情報 1 関連当事者との取引」に記載しています。

(4) 為替レート変動の影響

 当企業グループは、国内市場の販売力の強化をはかるとともに、北米、欧州、アジア等の海外市場の開拓を積極的に進めており、売上高に占める海外売上高比率は、当連結会計年度においては53.2%となっています。

 海外各国における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成時に円換算されており、現地通貨における価値に変動がない場合も、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。他の通貨に対する円高(特に当企業グループの売上の重要部分を占める米ドル、ユーロ、タイバーツおよび人民元に対する円高)は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当企業グループが日本で生産し、輸出する製品においては、他の通貨に対する円高は、当企業グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。当企業グループは、為替ヘッジ取引を行い、主要通貨間の為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、為替レートの変動は当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) 海外市場への事業進出

 当企業グループは北米、欧州、アジア等の諸地域に子会社・関連会社を有していますが、これらの海外市場への事業進出には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

①予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

②社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当企業グループの活動への悪影響

③不利な政治的または経済的要因の発生

④人材の採用と確保の難しさ

⑤テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱

 

(6) 新商品開発

 当企業グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、継続して独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。

①新商品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。

②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品または新技術の創造へつながる保証はありません。

③当企業グループが市場からの支持を獲得できる新商品または新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの商品の販売が成功する保証はありません。

④新たに開発した商品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。

⑤技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当企業グループの商品が時代遅れになる可能性があります。

⑥現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。

 上記のリスクをはじめとして、当企業グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) 製品の品質不具合

 当企業グループは、品質至上を基本に、顧客のニーズにそった高品質で魅力あふれる製品づくりに全力で取り組んでいます。しかし、全ての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当企業グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(8) 災害や停電等による影響

 当企業グループは、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っています。しかし、生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。例えば、当企業グループの国内工場の多くは、中部地区に所在しています。従って、中部地区で大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当企業グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。

(9) 訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きにかかる影響

 当企業グループは、企業活動を遂行する上で、コンプライアンスを基本においていますが、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当企業グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きは、当企業グループの事業、経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 当社およびシロキ工業株式会社(以下「シロキ工業」という。)は、平成27年12月23日開催の取締役会において、当社を完全親会社、シロキ工業を完全子会社とする株式交換を行うことを決議し、同日、両者間で会社法第767条に基づく株式交換契約を締結しました。

 なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (重要な後発事象)」に記載しています。

 

6 【研究開発活動】

 当企業グループは、グローバルなR&D拠点、評価施設を活用する中で、現有商品から先端技術に至る幅広い分野での研究開発活動を展開しています。

 研究開発にあたっては、現有商品分野での専門技術・固有ノウハウを有する各社の技術開発部門と、広範囲な先端技術領域での研究開発に専念する国内外の研究法人との、相互の技術交流の中から、次世代を担う新技術・新商品を開発する体制となっています。

 当連結会計年度の研究開発費は総額1,626億円であり、セグメントごとの活動状況および研究開発費は次のとおりです。

 

(1) アイシン精機グループ

 システム化、モジュール化からITS関連商品の開発など、最先端の自動車部品技術を基盤に、住環境と生体の科学的研究、燃料電池やレーザーをはじめとする先端技術研究など、さまざまな分野へ開発の領域を広げています。最近の主な成果としては、ハイブリッド車用電動式4WD駆動ユニットやインテリジェントパーキングアシストシステムなどが挙げられ、得意先への積極的な販売活動を進めています。

 グループ全体における研究開発費は689億円です。

 

(2) アイシン高丘グループ

 軽量化や高強度化など、ユーザーからの多彩なニーズに対応するため、自動車鋳造部品技術についての研究開発を実施しています。最近の主な成果としては、ハイブリッド溶解などが挙げられます。

 グループ全体における研究開発費は12億円です。

 

(3) アイシン・エィ・ダブリュグループ

 ドライブトレインシステムの多様化やクルマ社会の高度情報化などに対応するため、トランスミッションやナビゲーションといったこれまでに培ってきた商品・技術を基盤に、次代に先駆けた商品開発を目指しています。最近の主な成果としては、FF用2モーターハイブリッドトランスミッションなどが挙げられ、得意先への積極的な販売活動を進めています。

  グループ全体における研究開発費は658億円です。

 

(4) アドヴィックスグループ

 車両運動性能を追求し、ユーザーが安心してクルマを楽しむことができる商品の開発に取り組んでいます。最近の主な成果としては、電子制御ブレーキシステムなどが挙げられ、得意先への積極的な販売活動を進めています。
 グループ全体における研究開発費は193億円です。

 

(5) その他

 その他の主な研究開発成果としては、高容量後輪駆動車(FR)6速マニュアルトランスミッションなどが挙げられ、得意先への積極的な販売活動を進めており、研究開発費は73億円です。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当企業グループの当連結会計年度の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。また、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月20日)現在において当企業グループが判断したものです。

 なお、当連結会計年度から、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」、「少数株主利益」を「非支配株主に帰属する当期純利益」としています。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当企業グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当企業グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。

① 製品保証引当金

 当企業グループは製品の品質保証期間内に発生する製品保証費に対して、製品の売上を認識する際に主として残存保証期間のクレーム発生見積額を過去の実績に基づいて計上しています。従って、本質的に不確実性を内包しているため実際の製品保証費は見積りと異なることがあり、将来の業績に影響を与える可能性があります。

② 貸倒引当金

 当企業グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、得意先の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。

③ 繰延税金資産

 当企業グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

④ 有価証券の減損処理

 当企業グループは長期的な取引関係の維持のために、得意先および金融機関の株式を保有しています。これらの株式は株式市場の価格変動リスクを負っているため、合理的な基準に基づいて有価証券の減損処理を行っています。将来、株式市場の悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損を計上する可能性があります。

⑤ 退職給付会計

 退職給付費用および債務は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率や年金資産の期待運用収益率等の多くの見積りが存在します。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、法改正や採用する退職給付制度の変更がある場合、過年度における数理差異の累計は将来期間において償却されるため、将来の退職給付費用および債務に大きな影響を与える可能性があります。

(2) 経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ9.4%増の3兆2,431億円、経常利益は0.8%減の1,868億円、親会社株主に帰属する当期純利益は25.0%増の969億円となりました。

 以下、連結損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析します。

① 売上高

 当連結会計年度の売上高は3兆2,431億円ですが、これを事業の種類ごとに見ると、自動車部品事業では生産数量が増加したことなどにより前連結会計年度に比べ9.8%増の3兆1,384億円となりました。その商品分野ごとの内訳としては、エンジン関連では6.4%増の3,191億円、ドライブトレイン関連では13.5%増の1兆4,518億円、ブレーキ及びシャシー関連では5.2%増の6,292億円、ボディ関連では8.7%増の5,699億円、情報関連他では7.1%増の1,682億円となりました。また、住生活関連事業では前連結会計年度に比べ4.9%増の463億円、その他事業では3.9%減の584億円となりました。

② 売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は前連結会計年度(2兆5,482億円)に比べ9.3%増の2兆7,857億円となり、売上高に対する割合は86.0%から85.9%に低下しました。これは、原価低減活動の成果などによります。一方、販売費及び一般管理費は、給料及び手当、運賃及び荷造費の増加などにより、前連結会計年度(2,502億円)に比べ12.3%増の2,810億円となり、売上高に対する割合は前連結会計年度の8.4%から8.7%に上昇しました。

③ 営業外損益

 当連結会計年度の営業外損益は、前連結会計年度(222億円)に比べ53.1%減少し、104億円の利益となりました。これは、為替差損益が前連結会計年度の76億円の差益から123億円の差損となったことなどによります。

④ 法人税等、法人税等調整額

 当連結会計年度の法人税等および法人税等調整額は、前連結会計年度(657億円)に比べ20.6%減少し、521億円となりました。

⑤ 非支配株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度(407億円)に比べ7.5%減少し、377億円となりました。

⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度(775億円)に比べ25.0%増加し969億円となり、1株当たり当期純利益も274円69銭から342円67銭に増加しました。

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度の現金及び現金同等物については、借入金の返済などにより、期末残高は前連結会計年度に比べ314億円減の2,632億円となりました。

② 資金需要

 当企業グループの資金需要の主なものは、車両のモデルチェンジに対応した新商品・改良商品への投資です。さらなるグローバル化の進展、次世代を担う新技術・新商品の開発等による資金需要が見込まれるため、長期資金の調達を実行する可能性があります。

③ 財務政策

 当企業グループの資本政策については、「財務の安全性」と「資本の効率性」のバランスをとりながら、企業価値の向上をめざすことを基本方針としています。

 「財務の安全性」については、格付機関による評価をひとつの目安とし、長期借入債務に対しての高い信用格付けを維持することにより、低コストでの外部資金調達が可能になるよう努めています。

 一方、「資本の効率性」については、上記格付けが維持できる範囲で、負債による資金調達を優先し、資本の規模を抑制することで、全体の資本コストの低減をはかっています。

 上記の方針に基づき、負債と資本のバランスに配慮しながら、適切で柔軟な資金調達を行うよう努めています。

 なお、当企業グループは、保有する換金性の高い流動性資産、営業活動によるキャッシュ・フロー、社債の発行と金融機関からの借入れなどの財務活動によるキャッシュ・フローにより、当企業グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えています。