文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
「品質至上」を基本に
① 新しい価値の創造
未来に目を向けた研究と開発に努め、お客様に喜んでいただける新しい価値の提供を通して、豊かな社会づくりに貢献する
② 国際協調と競争の中での着実な成長
世界各国、各地域に根づいた企業活動を通して、世界市場で着実な成長と発展をめざす
③ 社会・自然との共生
社会・自然との調和を大切にし、良き企業市民としての信頼に応える
④ 個人の創造性・自発性の尊重
個人の創造性・自発性を尊重し、活力にあふれ、常に進歩をめざす企業風土をつくる
(2)目標とする経営指標
当社グループは、中期経営計画において、2023年度の経営目標を営業利益率7%以上としており、「CASEに対する企業構造の変革」と、「企業体質の強化」を進めています。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
今、当社グループが直面するCASE革命は、自動車業界のみならず異業種企業も参画した革命であり、さまざまな業界再編・事業提携によりパラダイムシフトが起こりつつあります。また、中国メーカーの桁違いのスピードでの追い上げもあり、競争環境は今後さらに熾烈となり、勝つか負けるかではなく、まさに「生き残れるか否か」の戦いとなっています。
加えて、新型コロナウイルス感染症の急拡大に伴い、世界中の人やモノの動きが停滞し、生産・販売が急激に落ち込むなど、実体経済に大きな影響が及んでおり、かつて経験した事のない、厳しい事業環境となっています。
先が読めない状況にありますが、このような時こそ、いかなる環境下でも生き残れる“真の競争力”を一刻も早く身に付けるため、これまで進めてきた「CASEに対する企業構造の変革」、「企業体質の強化」を一気に進めていきたいと考えています。
競争力強化に向け、まずは、品質・生産性向上により収益を改善し、足元固めを行います。そのうえで、アイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュの統合並びに子会社の統廃合を強力に推し進めながら、固定費を最適化すると同時に、「事業・業務のスクラップ&ビルド」や、量から質への転換をはかる「働きがい改革」により、未来の重点領域にチャレンジするためのリソーセスシフトを速やかに行っていきます。
併せて、持続可能なモビリティ社会の実現に向け、企業価値の向上と地球環境との両立をはかるため、CO₂削減に貢献する商品の開発や、工場におけるCO₂排出量のゼロ化に向けた革新的な設備導入など、着実に実行しながら、持続的な成長をめざします。
新型コロナウイルス感染症の1日も早い終息を願いながら、この難局をチャンスと捉え、当社グループは、“One Team”となり、一人ひとりの本気のチャレンジを結集し、真の競争力を身に付け、世界のお客様が喜ぶ新たな価値を創造し、より良い未来を切り開いていきます。
当社グループは、「真の競争力を身につけ、新たな価値を提案できる元気な会社」をめざし、次の4つの方針を重点に、全力をあげて取り組んでいきます。
≪すべての基本≫ 安全・コンプライアンスの最優先と品質の早期立て直し
≪未来への挑戦≫ 生き残りをかけた重点領域での成長戦略の加速
① CASE領域に向けた技術開発の加速と市場投入
② 社会の変革を先読みした外部連携を含む新たな技術の積極活用
③ 独自の技術・ノウハウ・顧客との結びつきを活かした新たなビジネスモデルの構築
≪持続的成長≫ 既存事業の競争力向上
① 成長商品へのリソーセス集中と不採算商品のスクラップによる収益構造転換
② 事業環境を見極めたグローバルでの効率的な事業体制の構築
③ グローバルベストを活かした生産性向上・原単位改革による商品競争力・低コスト競争力の強化
≪足元固め≫ 持続的成長を支える経営基盤の強化
① 持続可能な社会の実現に貢献する企業行動の実践「※SDGs・ESG、ダイバーシティ」
② 働きがい向上に向けた改革の推進〔人材育成、制度・意識改革、デジタル化〕
③ グループ全体視点での機能集約と徹底的な固定費削減によるリーンな体制の構築
今後も、グループ一丸となって今後25年・50年と生き残るための改革を進め、より良いクルマ社会づくり、より良い生活環境づくりに貢献していきます。
※SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)
ESG:環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)
当社グループでは、グループ主要5社の取締役社長が参画する「(連結)危機管理委員会」において、企業経営に重大な影響を及ぼす様々なリスクを洗い出し、グループ各社が連携してリスクマネジメント体制の強化やリスク対応力の向上に努めています。また、グループ経営委員会においては、事業・投資リスクの多面的な検討を行っています。
当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる主な事項を以下に記載しています。なお、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載した以外にも投資家の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 社会的課題への対応
当社グループは、自動車部品関連、住生活・エネルギー関連などの事業領域で多様な製品・サービスを提供していますが、国際社会で持続可能な社会を目指す動きが加速する中で、気候変動、資源枯渇、環境汚染、事故・災害など将来予想される社会的課題に対する意識の高まりは、市場動向や顧客ニーズに変化をもたらす可能性があります。こうした事業環境の変化に適切に対応できない場合、競争力や企業価値の低下などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、創業以来、「品質至上」を経営理念の基本とし、お客様に喜ばれる魅力ある商品づくりに取り組むとともに、「豊かな社会づくりへの貢献」「社会・自然との調和」を経営理念に掲げ、持続可能な社会の実現に貢献する企業行動の実践を推進しています。このような価値観・取り組みは、2016年1月に発効した国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」と親和性が高く、今後も、事業活動を通じ、SDGsの達成に貢献できると考えています。これらの活動を加速していくため、サステナビリティ会議において、当社グループとして注力していく7つのマテリアリティ(優先課題)に対し、KPI(重要業績評価指標)と2030年度目標を設定するとともに、当社グループの取り組みをステークホルダーに積極的に情報発信するよう努めています。
(2) 経済状況
当社グループの連結売上収益のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、中国、タイ、インドネシア、インドなど当社グループの主要市場における経済や景気及びそれに伴う自動車需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化や自動車需要の動向を常に注視するとともに、需要変動に対応した柔軟な生産体制づくりの推進やリーンな企業体質への変革を進めています。リーンな企業体質に向けては、市場の激しい変化に耐えうるよう、固定費の削減を徹底して進め、「スクラップ&ビルド」「分社経営からグループ経営」をキーワードに、事業、組織、業務のそれぞれにおいて改革を進めています。
(3) 為替レートの変動
当社グループは、海外連結子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のため円貨換算しており、現地通貨建ての項目は、現地通貨における価値に変動がない場合も、換算時の為替レートにより円貨換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループが行う外貨建取引から生ずる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替レートの変動の影響を受ける場合があり、当社グループが日本で生産し、輸出する取引における他の通貨に対する円高は、当社グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、通貨別に為替リスクを測定したうえでヘッジ効果とヘッジコストを勘案し、許容可能な為替リスク量まで為替リスクを軽減するため、資金事務手続規定におけるデリバティブ取扱要領に従い、為替予約、通貨スワップ、通貨オプションを利用してヘッジをしています。
(4) 金融市況の変動
株式市況の低迷等により当社グループの保有する株式等の価値変動が生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは純投資目的での株式は保有していませんが、当社グループの企業価値を中長期的に維持・向上させることを目的とする政策保有株式を保有しています。政策保有株式については、毎年の締役会で保有の適否を判断しており、中長期的な企業価値の維持・向上に資すると認められない株式がある場合は、縮減を検討します。
また、市場の金利状況により、資金運用・資金調達の受取・支払利息が増減し、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、資産と負債の統合管理をはかるとともに、金利スワップ等により金利変動によるリスクを軽減するための対策を講じています。
当社グループの確定給付制度債務の算出において前提条件とした割引率・制度資産などについて、金融市況の悪化により、実際の結果が前提条件よりも低下・減少することで当社グループの確定給付制度債務が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、運用にあたる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取り組みにより、企業年金が運用の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう努めています。また、政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しています。
(5) 原材料や部品の調達
当社グループは、製品の製造に必要な原材料や部品を複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、基本取引契約を結び、安定的な取引を前提としていますが、需要の急激な変化や供給元が災害等により被災するなど供給能力の制約や物流機能の低下等により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが調達している原材料や部品の価格が高騰し、生産性向上などの内部努力や販売価格への転嫁などにより影響を吸収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、得意先への製品の継続的な供給と急激な需給変動の要請に応えられるよう、供給元とのコミュニケーションを強化するとともに、供給元と一体になった新材料・新工法開発や徹底的なムダ排除を観点とした工程改善による原価低減活動を積極的に推進することなどにより、確実な納期の確保、安定的かつ柔軟な供給体制の構築、最適な価格の維持に努めています。また、安定的な生産や調達活動に影響を及ぼす自然災害や火災などへの対応として、平時から災害に備えるとともに、サプライチェーン情報管理システムを整備するなど有事の際の迅速な初動・復旧を確実に実行できるよう取り組んでいます。
(6) 得意先への依存
当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業は、世界の主要自動車メーカーを得意先としています。当社グループの業績は、各自動車メーカーの業績や販売・生産動向の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、当社グループの連結売上収益に占めるトヨタグループに対する連結売上収益の割合は、当連結会計年度において61.0%を占めており、トヨタグループの事業戦略や購買政策等は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これまで培ってきた専門性の高い技術をベースとして、電動化、自動運転をはじめとするCASEに対応する製品・技術の開発や世界のどの地域でも高品質な製品を生産できるグローバル生産体制の整備を推進し、新興国での新たな需要の発掘や世界中の自動車メーカーへの拡販活動を強化しています。
(7) 価格競争
当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業におけるグローバルでの価格競争は、大変厳しいものとなっています。得意先からの価格引き下げ要請や、新しい競合先の台頭や既存の競合先間の提携などにより、価格競争力や製品の優位性が維持できない場合には、当社グループ製品に対する需要の低下及び製品価格の低下を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、高い技術開発力、圧倒的なものづくり力、グループの総合力により、高品質で高い付加価値を有する自動車関連製品をグローバルで供給し続けることで優位性を確保するとともに、事業環境を見極めたグローバルでの効率的な事業体制の構築やグローバルベストを活かした生産性向上・原単位改革による商品競争力・低コスト競争力の強化など既存事業の更なる競争力向上に取り組んでいます。
(8) 新商品開発
当社グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、環境・燃費、安全・安心、快適・利便を追求した独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
①新商品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。
②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新技術の創造へつながる保証はありません。
③当社グループが市場からの支持を獲得できる新商品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの商品の販売が成功する保証はありません。
④新たに開発した商品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。
⑤技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループの商品が時代遅れになる可能性があります。
⑥現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、持続的な成長と持続可能な社会の実現に向け、CASE領域に対応する技術・商品・サービスの開発を強化しています。電動駆動ユニットや駐車支援システムなど、商品ラインアップの拡充に向けて、競争力が弱く、成長が望めない商品への開発リソーセスをCASE領域へシフトするとともに、デジタル開発による効率化をはかり、商品開発を加速していきます。また、あらゆる領域で自前主義にこだわらずパートナーとの技術連携を積極的に取り入れ、新規事業の開拓も加速していきます。
さらに、当社グループは、CASEに対応する企業構造への変革を進めており、電動駆動モジュールの開発・拡販強化に向け、株式会社デンソーと合弁で株式会社BluE Nexus(ブルーイーネクサス)を2019年4月に設立するとともに、自動運転や車両運動制御等に必要な統合制御ソフトウェアの開発を行うJ-QuAD DYNAMICSを当社、株式会社アドヴィックス、株式会社ジェイテクト、株式会社デンソーの4社で2019年4月に設立するなど、CASE領域での開発、販売、生産体制の強化にも積極的に取り組んでいます。
(9) 海外事業展開
当社グループは、世界の主要自動車メーカーの近くで多様なニーズに対応し、高い付加価値を有する製品を開発、提供できるよう、グローバルな供給体制を構築しています。当社グループが事業を展開している国又は地域における事業運営には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
①予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
②社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの活動への悪影響
③不利な政治的又は経済的要因の発生
④人材の採用と確保の難しさ
⑤テロ、戦争、疾病その他の要因による社会的混乱
当社グループは、国内グループ会社に加え、北中南米、欧州、豪亜、中国、インドを統括する各地域統括本部長が、グループに共通する経営上のリスクと国や地域によって異なるリスクの情報を共有することによって効果的な対策を推進しており、グローバルな視点でリスクマネジメントを強化しています。また、当社グループが事業展開する国又は地域の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国の環境関連規制、製品の安全性・品質関連規制、輸出入関連規制の情報をタイムリーに収集し、適時適切な対応をとっています。
(10) 事業投資
当社グループは、グローバルでの事業拡大に向け、成長領域や需要の拡大が見込まれる事業への設備投資等の事業投資を行い、更なる企業価値の向上に努めています。しかしながら、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、事業計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが創出できない場合、設備投資により計上した有形固定資産の減損処理などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社連結子会社において経営環境の著しい悪化や収益状況の悪化等が将来にわたって見込まれる場合、繰延税金資産の回収可能性の判断、当社が保有する関係会社株式や当社連結子会社への貸付金の評価などに影響を及ぼす可能性があり、当社、当社連結子会社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、事業軸での6つのカンパニーが、グループ全体視点から将来を見据えた開発のさらなる加速や持続的な事業価値の最大化、重点事業課題への対応等を担っており、中長期目線で事業の方向性を示すプレジデント及び統括役員が意思決定を行っています。また、当社グループの中長期の方向性及びグループを含めた意思決定については、取締役会運用基準に則り、取締役会にて審議・決議するとともに、グループ経営委員会、執行委員会、各種機能会議等で、当社グループ各社の業績や重要な投資に対してのモニタリングを実施し、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。
(11) 製品の品質不具合
当社グループは、「品質至上」を経営理念の基本に据え、お客様に喜ばれる魅力あるものづくりに取り組んでいます。しかしながら、すべての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、徹底したTQM(Total Quality Management 総合的品質管理)活動を続け、開発から生産にいたるまで、厳格な品質保証体制を構築しています。企画、製品設計、生産準備から量産にいたる各段階において節目管理を実施するとともに、サイマルテニアス・エンジニアリング(SE)活動により製品設計段階から、技術、生産技術、工場、仕入先企業が一体となって品質の向上につなげています。量産にあたっては、「ジャストインタイム」と「自働化」によるトヨタ生産方式に基づいた生産を行なうとともに、各種品質管理手法を用いて工程を維持・管理し、お客様の信頼に応えるものづくりを実践しています。また、仕入先企業に対するリスク評価及びモニタリング、仕入先企業の能力向上に向けた様々な取り組みにより、仕入先企業の品質レベル向上をはかっています。
(12) 災害等による影響
当社グループは、大規模地震、自然災害、火災・爆発等の事故、感染症など災害等の発生により、グループ会社に人的・物的被害が生じるリスクを想定しており、当社グループの工場、又はその周辺地域での大きな事故の発生や、大規模地震、自然災害、感染症の蔓延等による操業停止で、得意先への製品供給に支障をきたした場合、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループの国内工場や取引先の多くは、中部地区に所在しており、この地域で大規模な災害等が発生した場合、生産・納入活動が遅延・停止する可能性があります。
また、新型ウイルス等の感染症の発生及び感染拡大による影響が長期化、深刻化した場合、個人消費の低迷、国内外のサプライチェーンの停滞、当社グループの事業活動の停滞など、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、CRO(Chief Risk Officer)のもとリスクの顕在化と未然防止をはかり、危機に強い企業づくりに取り組んでいます。当社グループでは、平時(リスク発生前)から緊急時(リスク発生時)の対応に関する実践要領をまとめた「危機管理ガイド」に基づき、一人ひとりの従業員がリスク発生時に的確な行動をとれるよう教育・啓発活動に取り組み、災害に強い企業づくりをグループ一体となって推進しています。また、地震など大規模災害に備えて、1.「人命・安全」、2.「地域貢献」、3.「生産復旧」を基本方針として、災害発生時の対応力を強化しています。
新型ウイルス等の感染症への対応では、当社グループが事業を展開している国・地域において、現地の政府及び自治体等の指導に沿った対応をしています。また、新型ウイルス等の発生及び感染拡大に対して、当社グループの従業員及びその家族の健康に配慮し、国内外の出張や渡航を原則禁止するとともに、在宅勤務の推奨や、テレビ会議の活用等の感染防止策に取り組むとともに、事業への影響を最小限に抑えるよう日々努めています。
(13) 気候変動
当社グループは、「地球環境と人類が調和した持続可能な社会を実現すること」を目指し、注力すべきマテリアリティ(優先課題)の1つとして選定しました。2030年にライフサイクル(資源の採取、原材料の加工、商品の生産、消費、廃棄などの各過程)でのCO₂排出量25%削減に向け、グループの総力を結集して中長期の削減シナリオづくりや生産技術の確立を進め、排出量低減に努めています。しかしながら、脱炭素社会への移行リスク(政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク等)や気候変動に関連する物理的リスクは、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
脱炭素社会への移行リスクとして、再生可能エネルギーへの代替などに伴う製造コストの増加や、市場・顧客ニーズに適切に対応できず競争力や企業価値の低下につながる可能性があります。また、物理的リスクとして、局地的な暴風雨や干ばつなど異常気象の深刻化により、当社グループの生産オペレーションやサプライチェーンに悪影響を及ぼし、生産能力の低下や製品供給の遅延といった事態を引き起こす可能性があります。
一方で、当社グループは気候変動を機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題を解決してくことをめざしています。当社グループは、脱炭素社会への移行に対処するため、生産活動でのCO₂排出削減の加速に加え、最適なエネルギー調達方法の中長期・短期事業戦略への反映や、CO₂削減に寄与する電動化商品の売上高比率を2030年には50%以上とする目標を掲げ、電動化商品の商品ラインアップの拡充に向けた開発の加速や電動化商品の拡販に向けた世界各地域での生産体制の強化に取り組んでいます。また、物理的リスクへの対応として、上記、「(5)原材料や部品の調達」、「(12)災害等による影響」に記載のとおり、サプライチェーンに対するリスクマネジメントの強化などに取り組んでいます。
(14) 知的財産権
当社グループは、他社製品と差別化をはかるため、独自の技術とノウハウ等の蓄積及び知的財産を保護するとともに、第三者の知的財産権に対する侵害の予防に努めています。しかし、特定の国及び地域においては、法的制限のため、知的財産の完全な保護が不可能又は限定的にしか保護されない状況にあります。そのため、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性や、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に知的財産権を侵害したとして第三者から訴訟を提起される可能性があります。
こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、知的財産管理の専門部署を設け、知的財産権の確実な取得と保全に努めています。具体的には、当社グループの競争力強化に貢献するため商品企画の段階から知的財産部が関わり、特許情報に基づき他社の特許ポートフォリオや開発動向を把握し、開発の方向性をガイドするほか、次世代成長領域への知財支援をしています。
(15) 情報セキュリティ
当社グループでは、日々巧妙化するサイバー攻撃等の脅威や「会社情報」「得意先・お客様情報」等の情報漏洩から守る事は、リスク管理上の重要課題と捉え、情報セキュリティの強化に取り組んでいます。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、情報システム等に障害が生じる場合や、機密情報及び個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの事業活動の停滞や社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「アイシングループ情報セキュリティ基本方針」を基本に、お客様や取引先からお預かりした、又は当社グループが保有する事業活動に関わる情報資産は、当社グループの重要な資産であるとの認識に立ち、組織的かつ継続的に情報セキュリティ対策に取り組んでいます。また、アイシングループ全体のサイバー攻撃や内部不正等のリスクから企業を守るため、2020年4月よりアイシングループ全体のコーポレートセキュリティガバナンスを強化しました。新たにCDO(Chief Digital Officer)を任命し、セキュリティ専門組織であるAG-CSC(AISIN Group Corporate Security Center)を設置しました。AG-CSCではアイシングループ全体からセキュリティ関連情報の収集・展開とインシデント対応を行い、早期検知と迅速な対応に努めています。
(16) コンプライアンス
当社グループは、事業活動を遂行するうえで、コンプライアンスを基本においていますが、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があります。また、社会情勢の変化、価値観や働き方などの多様化に伴い、ハラスメント等のリスクが増加する可能性があります。当社グループが重大なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの社会的信用の失墜による事業への悪影響などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、法令順守を含む企業倫理に関する重要事項について審議し、その方針を決定する会議体として、「(連結)企業行動倫理委員会」を設置し、グループ主要13社の取締役社長と担当役員が、活動方針や独占禁止法、贈収賄・腐敗防止等の法令の順守状況を確認しています。また、コンプライアンス活動を推進するのはあくまで人であると考え、従業員に対する階層別研修、職場管理者や役員向けの研修を行い、継続的なコンプライアンス意識の浸透に努めています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の自動車業界を取り巻く事業環境は、米中貿易摩擦などにより消費マインドが低迷している中、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、世界全体の経済が深刻な打撃を受けました。その結果、自動車販売台数は大幅に減少し、中国や北米、欧州など主要市場のすべてが前年度割れとなる、たいへん厳しい状況となりました。
このような状況の中、当社グループは「真の競争力を身につけ、新たな価値を提案できる元気な会社」をめざし、これまで進めてきたCASEに対応する企業構造の変革と企業体質の強化の取り組みを加速させ、次の時代で戦える体制の構築を推進しました。
売上収益については、中国市場を中心としたオートマチックトランスミッション販売台数の減少に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたことにより、前連結会計年度(4兆431億円)に比べ6.4%減の3兆7,845億円となりました。
利益については、構造改革が着実に進捗しているものの、売上の減少、先行投資に係る償却費などの増加、さらに減損など事業処理費用の計上により減益となり、営業利益は前連結会計年度(2,055億円)に比べ72.7%減の561億円、税引前利益は前連結会計年度(2,174億円)に比べ75.4%減の533億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度(1,101億円)に比べ78.2%減の240億円となりました。
また、当連結会計年度末の資産については、現金及び現金同等物の増加などにより、前連結会計年度末(3兆7,518億円)に比べ6.4%増の3兆9,926億円となりました。負債については、社債及び借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末(1兆8,782億円)に比べ17.0%増の2兆1,969億円となりました。資本については、前連結会計年度末(1兆8,736億円)に比べ4.2%減の1兆7,956億円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
(ⅰ)アイシン精機グループ
国内外の得意先への販売減少などにより、売上収益は前連結会計年度(1兆7,826億円)に比べ5.4%減の1兆6,857億円となりました。営業利益は合理化努力などの増益要因があったものの、売上の減少や減損などの事業処理費用の計上などにより、前連結会計年度(670億円)に比べ54.9%減の302億円となりました。
(ⅱ)アイシン高丘グループ
国内外の得意先への販売減少などにより、売上収益は前連結会計年度(3,207億円)に比べ3.3%減の3,100億円となりました。営業利益は合理化努力などの増益要因があったものの、売上の減少や減損などの事業処理費用の計上などにより、前連結会計年度(135億円)に比べ50.4%減の67億円となりました。
(ⅲ)アイシン・エィ・ダブリュグループ
国内外の得意先への販売減少などにより、売上収益は前連結会計年度(1兆7,992億円)に比べ9.8%減の1兆6,221億円となりました。営業利益は合理化努力などの増益要因があったものの、売上の減少や事業処理費用の計上などにより、前連結会計年度(1,102億円)に比べ81.9%減の199億円となりました。
(ⅳ)アドヴィックスグループ
国内外の得意先への販売減少などにより、売上収益は前連結会計年度(6,004億円)に比べ3.0%減の5,826億円となりました。営業利益は合理化努力などの増益要因があったものの、売上の減少や先行投資に係る償却費の計上などにより、35億円の営業損失(前連結会計年度営業利益118億円)となりました。
(ⅴ)その他
国内外の得意先への販売減少などにより、売上収益は前連結会計年度(689億円)に比べ4.8%減の656億円となり、営業利益は前連結会計年度(38億円)に比べ49.6%減の19億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況について、現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、営業活動により3,275億円の増加、投資活動により2,738億円の減少、財務活動により2,753億円の増加、現金及び現金同等物に係る換算差額により110億円の減少の結果、当連結会計年度末には6,751億円となり、前連結会計年度末(3,571億円)に比べ3,179億円(89.0%)の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度(3,549億円)に比べ273億円(7.7%)減少し、3,275億円となりました。これは、固定資産減損損失の増加などにより「その他」が768億円増加し、営業債権及びその他の債権の増減額が673億円減少したものの、税引前利益が1,640億円減少したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、前連結会計年度(4,144億円)に比べ1,406億円(33.9%)減少し、2,738億円となりました。これは有形固定資産の取得による支出が642億円減少したことに加え、定期預金等の増減額が631億円減少したことや、投資の取得による支出が120億円減少したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により増加した資金は、前連結会計年度(131億円)に比べ大幅に増加し、2,753億円となりました。これは、IFRS第16号「リース」の適用に伴い、適用開始前は営業活動によるキャッシュ・フローとして表示していた、オペレーティング・リースに係るキャッシュ・フローの一部を財務活動によるキャッシュ・フローとして表示したことなどにより、リース負債の返済による支出が119億円増加したものの、社債の発行による収入が1,880億円増加したことや、借入とその返済による収支が817億円増加したことなどによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(ⅰ)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比増減率(%) |
|
アイシン精機グループ |
1,680,424 |
△6.0 |
|
アイシン高丘グループ |
309,685 |
△3.8 |
|
アイシン・エィ・ダブリュグループ |
1,646,903 |
△11.3 |
|
アドヴィックスグループ |
582,744 |
△3.4 |
|
その他 |
65,674 |
△5.1 |
|
合計 |
4,285,432 |
△7.6 |
(注1) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部取引消去前の数値によっています。
(注2) 上記金額には、外部仕入先等からの仕入高が含まれています。
(ⅱ)受注実績
主要な事業である自動車部品製造・販売について、当社グループのすべてのセグメントは、トヨタ自動車㈱をはじめとした大手自動車メーカーより、約3ヶ月前後の予約的発注指示を受け、生産能力を勘案し生産計画を立て、生産を行っています。
(ⅲ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比増減率(%) |
|
アイシン精機グループ |
1,685,767 |
△5.4 |
|
アイシン高丘グループ |
310,060 |
△3.3 |
|
アイシン・エィ・ダブリュグループ |
1,622,194 |
△9.8 |
|
アドヴィックスグループ |
582,610 |
△3.0 |
|
その他 |
65,644 |
△4.8 |
|
合計 |
4,266,277 |
△6.7 |
(注1) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部取引消去前の数値によっています。
(注2) 主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
なお、割合はセグメント間の内部取引消去後の総販売実績に対して記載しています。
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
|
トヨタ自動車㈱ |
1,160,402 |
28.7 |
1,176,955 |
31.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRS(国際会計基準)に準拠して作成しています。連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行っています。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しています。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した会計期間及び将来の会計期間において認識しています。
上記のうち、当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しています。また、当連結会計年度末現在において、経営者が行った連結財務諸表の金額に重要な影響を与える判断、見積り及び仮定は以下のとおりです。なお、当連結会計年度末において、新型コロナウイルス感染症の拡大が、短期的に一定の影響を及ぼす可能性があることを踏まえ、連結財務諸表に与える重要な影響がないか検証を行っていますが、新型コロナウイルス感染症の世界経済への影響規模やまん延の終結の時期等については不確実性が高いため、実際の結果は異なる場合があります。
(ⅰ)有形固定資産
当社グループは、有形固定資産の資金生成単位について、概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小単位として事業グループ単位(会社単位)を基礎としてグルーピングを行い、報告期間の末日ごとに減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合は、当該資金生成単位の回収可能価額を見積もっています。回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としています。なお、使用価値の算定において、見積キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資金生成単位の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割引いています。
これらの仮定は、外部専門家などによる評価結果や経営者により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の市場動向、事業活動の状況及びその他前提条件の変化などにより、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、将来において減損損失の追加計上又は減損損失の戻し入れにより利益に影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ)繰延税金資産
繰延税金資産は、将来減算一時差異等を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で、将来減算一時差異、繰越欠損金及び未使用の税額控除について認識しています。当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり行っている見積りは合理的であり、繰延税金資産が回収可能な額として計上されていると判断しています。ただし、これらの見積りは、当社及び当社連結子会社の事業計画に基づいて決定した各将来事業年度の課税所得の見積りを前提としており、将来の市場動向、事業活動の状況及びその他前提条件に変化が生じた場合には、将来において繰延税金資産の取崩し又は追加計上により利益に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績の分析
当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度に比べ6.4%減の3兆7,845億円、営業利益は72.7%減の561億円、税引前利益は75.4%減の533億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は78.2%減の240億円となりました。
以下、連結損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析します。
(ⅰ)売上収益
当連結会計年度の売上収益3兆7,845億円を事業の種類ごとに見ると、自動車部品事業では前連結会計年度に比べ6.2%減の3兆5,162億円となりました。その商品分野ごとの内訳としては、エンジン関連では4.3%減の3,687億円、ドライブトレイン関連では9.6%減の1兆6,863億円、ブレーキ及びシャシー関連では2.6%減の6,930億円、ボディ関連では2.4%減の7,680億円、情報関連他では10.9%減の1,484億円となりました。また、住生活・エネルギー関連事業では前連結会計年度に比べ3.0%減の569億円、その他事業では8.2%減の629億円となりました。
(ⅱ)売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は前連結会計年度(3兆5,452億円)に比べ4.1%減の3兆4,004億円となりましたが、売上収益に対する割合は87.7%から89.8%に上昇しました。これは、償却費等が増加したことなどによります。
販売費及び一般管理費は、運賃及び荷造費や旅費交通費等の減少などにより、前連結会計年度(3,065億円)に比べ2.0%減の3,005億円となりましたが、売上収益に対する割合は7.6%から7.9%に上昇しました。
(ⅲ)その他の収益、その他の費用
その他の収益は前連結会計年度(271億円)に比べ3.7%減の261億円となりました。
その他の費用は、前連結会計年度(128億円)に比べ大幅に増加し、536億円となりました。これは固定資産減損損失が増加したことなどによります。
(ⅳ)法人所得税費用
当連結会計年度の法人所得税費用は、前連結会計年度(583億円)に比べ59.1%減少し、238億円となりました。
(ⅴ)非支配持分に帰属する当期利益
当連結会計年度の非支配持分に帰属する当期利益は、前連結会計年度(490億円)に比べ88.8%減少し、54億円となりました。
(ⅵ)親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度(1,101億円)に比べ78.2%減少して240億円となり、基本的1株当たり当期利益も408円64銭から89円28銭に減少しました。
③ 資本の財源及び資金の流動性
(ⅰ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
(ⅱ)資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、新商品・改良商品への投資、生産能力の増強及び新技術・新商品等の研究開発です。さらなるグローバル化の進展、次世代を担う新技術・新商品の開発等による資金需要が見込まれるため、長期資金の調達を実行する可能性があります。
(ⅲ)財務戦略
当社グループは、企業価値の最大化を目標として、すべてのステークホルダーとの良好な関係を築き、長期安定的な成長と発展をめざしています。
当社グループの資本政策は、「財務の安全性」と「資本の効率性」のバランスをとることで、常に低コストで資金調達をできる状態に保ち、企業価値の向上を目指すことを基本方針としています。具体的には、キャピタリゼーション比率(注1)を指標として用い、当該比率が概ね25%~30%となることが最適な資本構成であると考えています。
「財務の安全性」については、格付会社による評価をひとつの目安とし、高い信用格付を維持することにより、低コストでの資金調達がいつでも可能になるよう努めています。一方、「資本の効率性」については、格付が維持できる範囲で、負債による資金調達を優先し、資本の規模を抑制することで、全体の資本コストの低減をはかっています。また、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)(注2)を導入することで、連結ベースでの財務戦略や当社グループ内での資金の有効活用を実現しています。
(注1) 有利子負債と資本(純資産)のバランスを示す指標です。(有利子負債 /(有利子負債+資本合計))
(注2) グループ企業の資金を親会社や中核会社が同一銀行内に専用口座を設置して集中管理することにより、効率的な連結運営や資金運用をする手法、又はその仕組みを指します。
(ⅳ)資金調達
当連結会計年度においては、2021年4月1日に予定している当社と当社子会社であるアイシン・エィ・ダブリュ株式会社(以下、「AW」という。)との経営統合に向けた一連の取引として、トヨタ自動車株式会社が保有するAWの全株式を、2020年4月1日にAWが自己株式取得することに伴い、当社は2020年3月31日までに公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)の発行などにより約3,000億円の資金調達を行いました。
また、当社は、新型コロナウイルス感染症の影響長期化リスクを見据えた資金計画や市場動向等を勘案し、2020年4月に複数の国内金融機関と総額3,000億円のコミットメントライン契約を締結するなど、機動的・予防的な財務施策により継続的に十分な流動性の確保に努めています。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、世界各地において経済活動が制限される状況が続いています。当社グループの自動車部品事業においては、得意先の生産状況等を鑑み、国内及び海外の一部の工場で一時的な稼働停止や生産調整を行うなど厳しい事業環境が続いており、今後の経過によっては当社グループの財政状態及び経営成績等に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の世界経済への影響規模やまん延の終結の時期等については見通しが難しい状況ですが、当社グループは、事業環境が改善するまでは、機動的・予防的な財務施策により資金の流動性確保に努めるとともに、需要に応じた生産活動の徹底、設備投資の抑制や徹底的な固定費削減など緊急対策等を進め、新型コロナウイルス感染症の影響が最小限となるよう努めています。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標」に記載のとおりです。当連結会計年度においては、中国市場を中心としたオートマチックトランスミッションの販売台数の減少や新型コロナウイルス感染拡大の影響などによる売上収益の減少に加え、減損などの事業処理費用の計上により、営業利益率は1.5%となりました。
当目標の達成に向けた取り組みについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」に記載のとおりです。
当社は、100年に一度と言われる大変革の時代を生き抜くために、CASE領域における競争力強化を目的として2019年10月31日開催の当社取締役会において、当社を吸収合併存続会社、当社の子会社であるアイシン・エィ・ダブリュ株式会社(以下、AW)を吸収合併消滅会社とした経営統合することを決議し、基本合意しました。
合併の概要は、次のとおりです。
(1)合併の方法
当社を吸収合併存続会社、AWを吸収合併消滅会社とする吸収合併方式を予定しています。
(2)合併期日
2021年4月1日(予定)
(3)合併に際して発行する株式及び割当
本合併による株式その他の財産の割当ては予定していません。
(4)引継資産・負債の状況
現時点では確定していません。
(5)吸収合併存続会社となる会社の概要
現時点では確定していません。
「品質至上」を基本理念とし、「豊かな社会づくりへの貢献」「社会・自然との調和」を経営理念に掲げる当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献する企業行動の実践を推進しています。地球温暖化防止や交通事故低減などSDGsが目指す社会課題の解決や、持続的成長と持続可能な社会の実現に向け、当社グループは、CASE領域に対応する技術・商品・サービスの開発を強化していきます。
当社グループは、電動駆動ユニットや駐車支援システムなど、CASE領域に対応した商品ラインアップの拡充に向け、従来商品のスクラップ対象を洗い出し、開発リソーセスのシフトを進めています。開発費におけるCASE比率は、2017年度の20%程度から、2019年度には40%程度まで拡大させました。今後も、デジタル開発による効率化をはかりながら、CASE比率を高め、商品開発を加速していきます。
電動化対応製品の開発については、トヨタ自動車株式会社の新型BEV(電気自動車)車両「C-HR」、「IZOA」、レクサス初の市販BEV「LEXUS UX300e」に当社グループのeAxle(電動駆動モジュール)の搭載が決まり、生産を始めています。今後も、当社グループは幅広いeAxleのラインアップを取り揃え、駆動ユニットにおける、電動化製品の比率を拡大させることで、クルマの電動化とCO₂削減に貢献していきます。
自動運転領域では、2003年に世界に先駆けて市場投入した自動駐車を中心とした低速領域の自動運転技術のさらなる革新に取り組んでいます。自動運転を見据えた次世代商品の開発では、ステアリング操作に加え、アクセルやブレーキ操作、駐車スペース設定までを不要にする、新たな自動駐車技術を開発し、2020年2月発売のトヨタ自動車株式会社のヤリスに搭載されました。当商品は、カメラやソナーによって周囲を監視し、障害物や動く対象物を検知した場合には、ブレーキ制御を行うことで、駐車時の接触事故防止に寄与します。
また、当社グループは、2020年1月、アイシン・エィ・ダブリュ株式会社にCSS(Connected & Sharing Solutions)本部を設置し、これまで培ってきた最先端のナビゲーションシステムやコネクテッド技術をもとに、走行中の車両やスマートフォンから得られる位置情報を活用し、様々なコンテンツやサービスを展開しています。具体的には、車両で収集したデータを活用し、道路パトロール業務、補修計画作成業務を支援するサービスの実証実験を、2019年10月より愛知県岡崎市にて開始するなど、新たなビジネスモデルの構築に向けた取り組みを進めています。2020年4月からはCSSカンパニーとして新たなスタートを切り、従来の枠にとらわれることなく、モビリティに関わる幅広いお客様へ新たな価値を提供していきます。
当連結会計年度の研究開発費は総額
(1) アイシン精機グループ
「環境・燃費」、「安心・安全」、「快適・利便」を軸とした自動車部品の新技術開発に加え、住生活・エネルギー関連機器の開発、レーザー応用、人工知能等の先端技術研究など、さまざまな分野での研究開発を推進しており、当セグメントにおける研究開発費は
(2) アイシン高丘グループ
軽量化や高強度化など、ユーザーからの多彩なニーズに対応するため、自動車鋳造部品技術についての研究開発を推進しており、当セグメントにおける研究開発費は
(3) アイシン・エィ・ダブリュグループ
ドライブトレインシステムの多様化やクルマ社会の高度情報化などに対応するため、トランスミッションやナビゲーションといったこれまでに培ってきた商品・技術を基盤に、次世代に先駆けた商品開発を推進しており、当セグメントにおける研究開発費は
(4) アドヴィックスグループ
安全・快適で地球環境に優しいクルマ社会の実現に向け、車両運動性能を追求し、ブレーキペダルからパッドまでの開発を手がけるブレーキシステムサプライヤーとして、ブレーキ技術を更に深化させ、機能拡張商品の開発を推進しており、当セグメントにおける研究開発費は
(5) その他
その他のセグメントにおける研究開発費は