第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

   アイシングループ経営理念

 

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(2)目標とする経営指標

 当社グループは、「アイシングループビジョン2030」において、2030年度の経営目標を営業利益率8%、ROIC(投下資本利益率)13%としています。

※ROIC(投下資本利益率):税引後営業利益÷(棚卸資産+有形固定資産+無形資産)

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

 相次ぐ新型コロナウイルスの感染拡大や地政学的リスクの高まりなどにより、世界経済の見通しは依然不透明なままであり、自動車業界においても部品・半導体不足や原材料価格・輸送費の高騰が続き、足元の事業環境は厳しさを増しています。また昨年開催されたCOP26に代表されるように、国際的な環境規制の枠組みは年々強化され、日本においても温室効果ガスの削減目標が引き上げられるなど、企業による社会課題の解決に一層の貢献が期待されています。

 こうした変化が速く大きく、先行きが不透明だからこそ、生き残りをかけて社員一人ひとりが一歩踏み出し「アイシングループのフルモデルチェンジ」を成し遂げていきたいと考えています。そして、これからのアイシングループの成長には「電動化」「カーボンニュートラル」「成長市場での拡大」が最重要だと考えています。

 電動化では、2025年電動ユニット450万基の生産体制構築に向け、2022年に機電一体eAxleの第1世代を市場投入し、将来の第2・第3世代では更なる高効率・小型化・低コストの実現を目指します。また幅広い商品群を持つ強みを活かし、電動化領域を車両全体に拡大する当社グループならではのシステム開発・提案を進めます。

 カーボンニュートラルでは、「2030年に2013年比生産CO₂排出量50%削減」という目標に向けて、「省エネ」「発電・燃焼」「CO₂回収・再利用」「エネルギーマネージメント」という4つのテーマをキーとして取り組んでいきます。また、これらの活動で得られた技術・知見を当社の取引先にも展開・普及させることで、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル実現へ寄与していきます。

 成長市場での拡大では、お客様の課題解決に貢献することを目指して、海外拠点との連携をより強め、お客様に寄り添える営業組織へと変革していきます。また、各地域のベンチマークを徹底して行い、最適な品質・コストを実現できるよう開発・調達・生産のあり方を見直していきます。これらの活動を通して、当社が充分に入り込めていない地域・お客様での事業拡大を図ります。

 以上の重要テーマに取り組む中で、新たな価値の創造を促すために自前にこだわらず社外との連携を強化し、社会課題の解決に貢献していきます。

 当社グループは、「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」の経営理念のもと、誰もが安心・快適な未来を創るために、次の経営方針を全力をあげて取り組んでいきます。

 

 

≪すべての基本≫ 事業活動の前提となる優先すべき事項の徹底

 ①安全・健康・コンプライアンスの最優先と品質の早期立て直し

 ③カーボンニュートラルに向けた技術・商品開発と外部提携の加速、ものづくり力強化〔CN〕

 ②持続可能な社会の実現に貢献する企業行動の実践〔SDGs・ESG〕

 

≪未来への挑戦≫ フルモデルチェンジに向けた将来戦略の加速

 ①電動化・ソフトウェアファーストを軸に、コア技術を活かしたソリューション型商品の開発加速と市場投入

 ②成長市場・新規顧客獲得に向けた4軸※連携の加速

 ③お客様の期待を超える新しい価値を届ける、新技術・ビジネスモデルの創出と推進

 ※4軸:カンパニー、機能、地域、グループ会社

 

≪持続的成長≫ 既存事業の競争力向上

 ①各地域の成長領域・成長商品での収益最大化を目指した構造改革と、大胆なリソーセスシフトの実行

 ②リスクに強いBCP・サプライチェーン構築と固定費の適正化・収益体質の強化

 ③徹底的なベンチマークにより、競合に打ち勝つ商品競争力・コスト競争力の強化(生産性向上・原単位改善等)

 

≪足元固め≫ 持続的成長を支える経営基盤の強化

①デジタルトランスフォーメーション推進による業務プロセス革新と統合効果の最大化・シナジー発揮による競争

 力ある経営基盤の構築

②組織の壁を越えたコミュニケーションの促進と、自ら考え、スピーディーにチャレンジできる風土醸成・人材育

 成

③グループ資産(ヒト・モノ・カネ・情報)の有効活用による資本効率の向上

 

 

(4)TCFD

 当社グループは、2019年11月にTCFD(気候関連財務情報タスクフォース)へ賛同し、TCFDの提言に基づきシナリオ分析を実施しています。気候変動がもたらす事業活動へのリスクと機会を明確にしてその対応を経営戦略に盛り込むとともに、関連情報を開示しています。

ガバナンス

 当社は、気候変動への対応を重要な経営戦略と位置付け、「地球温暖化防止への取り組み」を経営会議・取締役会での議論を経て、グループとして注力する優先課題(マテリアリティ)に選定

 取締役会において、各気候関連会議である「サステナビリティ会議」、「環境委員会」、「カーボンニュートラル推進会議」を通じて提案・報告される気候関連の重要事項の審議を行い、必要に応じて事業戦略・計画を変更

戦略

・脱炭素社会への移行に向けて、カーボンニュートラル推進センターを設立

・TCFD提言が推奨する定義を踏まえた気候変動に伴う移行・物理的リスク、機会を分析

  及び対応を検討(下図参照)

リスク管理

・気候変動に起因する移行・物理的リスクを特定し、リスク評価と管理の枠組みを構築

・当社グループに影響を与える重大なリスクを特定し、サステナビリティ会議等で定期に

  モニタリング

・投資家との対話やCDPなどの外部評価を受け、必要に応じ変更

指標と目標

2030年度目標

・生産CO₂排出量(スコープ1,2) 2013年度比50%以上削減

・ライフサイクルCO₂排出量 2019年度比25%以上削減

指標(2020年度実績※)

・生産CO₂排出量:248.4万t-CO₂ (2013年度比10%削減)

・ライフサイクルCO₂排出量:1460.4万t-CO₂ (2019年度比16%削減)

※2021年度実績は、第三者検証後に当社サステナビリティサイト(https://www.aisin.com/jp/sustainability/)にて公開予定

 

(気候変動のリスクと機会、当社グループの対応)

 

区分

影響段階

当社グループへの影響

時間的視点

短・中・長

事業/財務影響

大・中・小

対応

移行リスク

調達

サプライヤーによる環境配慮型への切り替えや炭素税等で増加したコストの価格転嫁による調達コストの増加

・製品設計時点での軽量化による購入原材料削減

・サプライヤーへの脱炭素教育と活動の支援

直接操業

炭素税等の政策導入によるコストの増加及び省エネ・再エネ推進によるエネルギーコストの増加

・グループ全体の再生可能エネルギー導入を一括で管理し戦略の立案・推進

製品需要

電動化の推進で、電動車向け製品需要が拡大する一方で、ガソリン車向け製品需要が減少

・2030年までに電動化商品売上高比率50%に上げる目標を設定し、製品構成を電動車向けへシフト

・高効率の電動ユニット、回生協調ブレーキ、熱マネジメントや空力など、幅広い製品によるモビリティの電動化とエネルギーソリューションでカーボンニュートラルへ貢献する製品の拡販を強化

物理的リスク

直接操業

気象災害(大雨、台風、洪水等)の発生頻度の増加や規模の拡大による被災時のサプライチェーン寸断の発生や一時的操業の停止

・調達物流のBCP高度化

・リスクのある拠点を抽出して定期的にモニタリング

・浸水対策計画の策定・実施

機会

製品需要

電動化の推進によるアイシン製電動ユニット関連商品の需要拡大

・関連製品の生産能力拡大

カーボンニュートラルを目指すため、排出したCOを吸収するニーズ増加

・アイシンが保有する技術を活用したカーボンリサイクル・コンクリートの実用化に向けた活動

・COの回収・利活用技術の開発

再生可能エネルギービジネスの拡大

・軽量かつ設置場所を選ばないペロブスカイト型太陽電池の開発

省エネルギーかつ低炭素排出の製品需要の拡大

・電気とお湯を生み出す家庭用燃料電池「エネファーム(SOFC)」のさらなる高効率化と拡販

 

(5)人的資本

 アイシングループでは、働く仲間一人ひとりが主役であり、働く仲間こそが強みであるとの考えから、意思を持って経営理念の提供価値の最初に「働く仲間」を位置づけ、以下のとおり定めています。

 「成長と幸せを働く仲間へ」多様な個性を尊重し、挑戦する企業風土の中で、社会貢献を胸に自ら考えて行動し、自己の成長と働きがい、人生の幸せを感じられる会社にします。

 この理念実現に向けて、「チャレンジに向けて一歩踏み出す人・職場づくり」をキーワードとして風土そのものの変革に取り組んでいます。社員一人ひとりが当事者意識を持って変革に取り組めるよう、労使協議会等を通じて目指す人・職場を描いたうえで、そこに至る課題は何かを職場ごとに明らかにしてアクションしています。

 チャレンジの促進に向けては、チャレンジする人材が適正に評価される評価・昇格制度や、チャレンジに対してメリハリある処遇ができる昇給・賞与のしくみなど、人事諸制度の見直しを行っています。そのうえで、メンバー一人ひとりが主体的に新しい価値を生み出せるよう、個人の夢・志と、組織の課題・挑戦をすり合わせて業務テーマへ落とし込むことを徹底しています。

 また、柔軟な発想で新たな価値創造に取り組めるよう、時間や場所に捉われない裁量労働制やテレワークなどの働き方拡充を進めるとともに、視野拡大に向けて社外で学ぶ機会を増やすため、自己啓発を補助する手当の支給や、異業種人材と交流し社会課題解決に取り組む越境体験プログラムの提供などを推し進めています。

 イノベーション創出に向けては、ジェンダー、障がい、年齢、国籍、経験等を問わず、多様な人材一人ひとりが活躍できるよう、ダイバーシティ&インクルージョンと働きがい改革の取り組みを進めています。これらの活動が評価され、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施している「なでしこ銘柄」企業選定において、2020年度から2年連続で「なでしこ銘柄」企業に選定されています。今後もメンバー一人ひとりのチャレンジを応援し、意識を未来に向けていけるよう人事諸施策を展開していきます。

 重点経営課題である「電動化」に向けては、アイシングループの強みを生かした車両全体でのEV向け商材の拡充をねらいに、トップ直下にEV推進センターを設置しました。最高責任者としてCESO(Chief Electric Strategy Officer)を任命し、カンパニー・グループ横断で先行開発を強化し、アイシンらしい魅力あるEV向け商品の開発を進めていきます。

 電動化の重点技術であるモーター、熱マネジメント技術者の確保・育成に向けては、既存領域人材に対し、数カ月間技術習得に専念しスキルチェンジしたうえで即戦力として配置転換するプログラムを開始するなど、スキルチェンジ・リソーセスシフトを推し進めています。

 「カーボンニュートラル」の実現に向けては、2021年8月にカーボンニュートラル推進センターを設置し、最高責任者としてCCNO(Chief Carbon Neutral Officer)を任命しました。タスクが明確な組織と顔の見えるリーダーでスピーディーに決断、実行していきます。人材確保に向けては、外部採用を強化するとともに社内オープンエントリー制度を活用しています。21年以降27名がカーボンニュートラル関連テーマ推進のため社内異動しました。またカーボンニュートラル活動は全社員が取り組むべき課題として、全社啓蒙・教育施策を展開しています。全社員への必須研修や広報活動に加えて、社員からのCO削減提案に対し賞金を授与する仕組みを展開予定です。カーボンニュートラルと日々の活動とのつながりを理解し、身近に感じてもらうことで全社的なカーボンニュートラル活動に繋げていきます。

 「成長市場」である海外市場での競争力向上に向けては、まずグローバルでのアイシンウェイの体現を基盤としながら、現地でスピーディーな意思決定ができるよう現地スタッフの幹部層登用を進める施策を強化しています。重要ポストの特定・見える化と並行し、次世代を担う現地スタッフの育成を推進しています。

 得意先からの生産拡大に向け、生産現場の弱点を要因解析し、「人:標準作業」「製品:加工点マネジメント」「設備:自主保全」の3本の柱に層別し、全員参加で改善/評価/標準化を繰り返す“職場運営の3本柱活動”をグローバル展開し、職場運営をレベルアップすることで、世界で戦える現場の構築と人材育成を進めています。

 また、ものづくりの現場でリーダーとなる人材の育成のために、企業内訓練校「アイシン学園」を中国(蘇州)及びタイでグローバルに運営するなど、実践的な技能教育とリーダーに必要な心身教育を実施しています。

 

2 【事業等のリスク】

(1) 当社のリスクマネジメント体制

 当社グループでは、グループの取締役社長が参画する「リスクマネジメント委員会」において、企業経営に重大な影響を及ぼす様々なリスクを洗い出し、グループ各社が連携してリスクマネジメント体制の強化やリスク対応力の向上に努めています。また、経営会議においては、事業・投資リスクの多面的な検討を行っています。

 

リスクマネジメント体制

 

アイシングループ重点リスク設定の考え方

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(2) 当社のリスクマネジメントの取り組み

 気候変動や資源の枯渇、大規模災害や感染症の流行、半導体などの材料不足などによる事業活動への影響、格差拡大による社会の不安定化など、社会・環境問題が企業の価値創造やビジネスモデルに大きな影響を与える時代になっています。このように経営環境が大きく変化する中、企業の長期的視点での持続的な成長を阻害する可能性のある「リスク」を把握し、適切に対処していくことが求められています。

 持続的成長と安定を目指すうえで、リスクマネジメントを重要な経営課題であると位置付けております。1997年に発生した刈谷工場火災の経験を踏まえて発足したリスクマネジメント委員会で企業が直面するリスクを総合的にマネジメントしています。また、平時(リスク発生前)から緊急時(リスク発生時)の対応に関する実践要領をまとめた「危機管理(リスクマネジメント)ガイド」に基づき、一人ひとりの従業員がリスク発生時に的確な行動を取れるよう教育・啓発活動に取り組み、災害に強い企業づくりをグループ一体となって推進しています。

 

リスクマネジメントプロセス

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(3) 事業等のリスク

 当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を 及ぼす可能性のあると考えられる主な事項を以下に記載しています。なお、以下は当社グループに関するすべてのリ スクを網羅したものではなく、記載した以外にも投資家の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

 

①社会的課題への対応

 当社グループは、自動車部品関連、エナジーソリューション関連などの事業領域で多様な製品・サービスを提供していますが、国際社会で持続可能な社会を目指す動きが加速する中で、気候変動、資源枯渇、環境汚染、事故・災害、人権保護など将来予想される社会課題に対する意識の高まりは、市場動向や顧客ニーズに変化をもたらす可能性があります。こうした事業環境の変化に適切に対応できない場合、競争力や企業価値の低下などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは2021年4月の経営統合を機に策定したグループ経営理念「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」に基づき、私たちの商品・サービスによって、環境・社会課題に具体解を示し、人々の笑顔あふれる持続可能な社会をつくっていきたいと考えています。このような価値観・取り組みを軸に社会の一員として社会課題の解決に寄与するため、経営課題や重要性から7つのマテリアリティ(優先課題)を絞り込み、解決に向けた具体解としてSDGs2030年目標・KPIを設定した活動へと落とし込んでいます。目標値・KPIに関しては年に1度のサステナビリティ会議を通じ、取締役社長を議長としてフォローを行っています。また、変化の激しいサステナビリティを巡る課題についても共有を行い、適切な対応に向けた議論を行っています。これらの目標値・KPIは2021年4月の経営統合を機に策定したアイシングループビジョン2030とも連動しています。このような長期ビジョンの実現に向けては、人的資本、知的財産、研究開発費をはじめとする経営資源の適正な配分や事業ポートフォリオに関する戦略策定を中期計画検討会にて議論し、中期経営計画に落とし込んでいます。各年度では、中期経営計画を踏まえた経営方針及び利益計画の達成状況を、取締役会・執行会議等で監督しています。

 このような取り組みを通じて、より大きく進化した価値を社会に提供し、事業を通じたサステナビリティ課題に対して適切な対応を行って貢献していきます。

 

②経済状況

 当社グループの連結売上収益のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、中国、タイ、インドネシア、インドなど当社グループの主要市場における経済や景気及びそれに伴う自動車需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化や自動車需要の動向を常に注視するとともに、需要変動に対応した柔軟な生産体制づくりの推進や高い収益力を持つ企業体質へ変革するべく、

構造改革・原価低減活動を加速させています。

 具体的には、アイシングループの中核2社が経営統合を果たしたことにより、グループ共同活動は一層拡大し、また2社の重複機能や子会社の管理部門集約、事業再編、会社統廃合などの効率化が成果を上げています。今後はこれらの活動をさらに拡大するとともに、恒久的に効果の発生する仕組みにしていきます。

 

③為替レートの変動

 当社グループは、海外連結子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のため円貨換算しており、現地通貨建ての項目は、現地通貨における価値に変動がない場合も、換算時の為替レートにより円貨換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループが行う外貨建取引から生ずる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替レートの変動の影響を受ける場合があり、当社グループが日本で生産し、輸出する取引における他の通貨に対する円高は、当社グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、通貨別に為替リスクを測定したうえでヘッジ効果とヘッジコストを勘案し、許容可能な為替リスク量まで為替リスクを軽減するため、資金事務手続規定におけるデリバティブ取扱要領に従い、為替予約、通貨スワップ、通貨オプションを利用してヘッジをしています。

④金融市況の変動

 株式市況の低迷等により当社グループの保有する株式等の価値変動が生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは純投資目的での株式は保有していませんが、当社グループの企業価値を中長期的に維持・向上させることを目的とする政策保有株式を保有しています。政策保有株式については、毎年の取締役会で保有の適否を判断しており、中長期的な企業価値の維持・向上に資すると認められない株式がある場合は、対象企業との対話を通じて継続的に縮減を進めています。

 また、市場の金利状況により、資金運用・資金調達の受取・支払利息が増減し、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、資産と負債の統合管理をはかるとともに、金利スワップ等により金利変動によるリスクを軽減するための対策を講じています。

 当社グループの確定給付制度債務の算出において前提条件とした割引率・制度資産などについて、金融市況の悪化により、実際の結果が前提条件よりも低下・減少することで当社グループの確定給付制度債務が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、運用にあたる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取り組みにより、企業年金が運用の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう努めています。また、政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しています。

 

⑤原材料や部品の調達

 当社グループは、製品の製造に必要な原材料や部品を国内・海外の複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、取引基本契約を結び、安定的な取引を行っていますが、地政学の影響や需要の急激な変化、供給元が災害等により被災するなど供給能力の制約により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが調達している原材料や部品の価格が高騰し、内部努力や販売価格への転嫁などにより影響を吸収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、得意先への製品の継続的な供給要請に応えられるよう、供給元とのコミュニケーションを強化し、確実な納期の確保、安定的かつ柔軟な供給体制の構築に努めています。安定的な生産や調達活動に影響を及ぼす自然災害や火災などへの対応として、平時から災害に備えるとともに、サプライチェーン情報管理システムを整備するなど有事の際の迅速な初動・復旧を確実に実行できるよう取り組んでいます。また、供給元と一体になった新材料・新工法開発や徹底的なムダ排除を観点とした工程改善による原価低減活動を積極的に推進することなどにより、最適な価格の維持に努めています。

 

⑥得意先への依存

 当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業は、世界の主要自動車メーカーを得意先としています。当社グループの業績は、各自動車メーカーの業績や販売・生産動向の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、当社グループの連結売上収益に占めるトヨタグループに対する連結売上収益の割合は、当連結会計年度において62.3%を占めており、トヨタグループの事業戦略や購買政策等は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、これまで培ってきた専門性の高い技術をベースとして、電動化や自動運転をはじめとするCASE領域を中心とした社会課題の解決に貢献するソリューション型商品の開発や世界のどの地域でも高品質な製品を生産できるグローバル生産体制の整備を推進し、新興国での新たな需要の発掘や世界中の自動車メーカーへの拡販活動を強化しています。

 

⑦価格競争

 当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業におけるグローバルでの価格競争は、大変厳しいものとなっています。得意先からの価格引き下げ要請や、新しい競合先の台頭や既存の競合先間の提携などにより、価格競争力や製品の優位性が維持できない場合には、当社グループ製品に対する需要の低下及び製品価格の低下を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、高い技術開発力、圧倒的なものづくり力、グループの総合力により、高品質で高い付加価値を有する自動車関連製品をグローバルで供給し続けることで優位性を確保するとともに、事業環境を見極めたグローバルでの効率的な事業体制の構築やグローバルベストを活かした生産性向上・原単位改革による商品競争力・低コスト競争力の強化など既存事業の更なる競争力向上に取り組んでいます。

 

⑧新商品開発

 当社グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、環境・燃費、安全・安心、快適・利便を追求した独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。

(ⅰ)新商品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。

(ⅱ)長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新技術の創造へつながる保証はありません。

(ⅲ)当社グループが市場からの支持を獲得できる新商品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれら

   の商品の販売が成功する保証はありません。

(ⅳ)新たに開発した商品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。

(ⅴ)技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループの商品が時代遅れになる可能性があります。

(ⅵ)現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。

   上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

   当社グループは、持続的な成長と持続可能な社会の実現に向け、CASE領域を中心とした社会課題の解決に貢献するソリューション型商品の拡充に取り組んでいます。電動駆動ユニットや駐車支援システムなど、商品ラインアップの拡充に向けて、競争力が弱く、成長が望めない商品への開発リソーセスをCASE領域へシフトするとともに、デジタル開発による効率化をはかり、商品開発を加速していきます。また、あらゆる領域で自前主義にこだわらずパートナーとの技術連携を積極的に取り入れ、新規事業の開拓も加速していきます。

 さらに、当社グループは、CASEに対応する企業構造への変革を進めており、電気自動車(EV)への移行が加速する中、カンパニー・グループ会社横断でのEV向け商品の開発強化に向け、2022年4月、「EV推進センター」を設置しました。当社グループの持つ様々な技術を結集し、さらに機動的な社外連携も実施しながら、圧倒的に高効率・小型なeAxleなど、アイシンらしい魅力あるEV向け商品の開発を強力に進めていきます。

 

⑨海外事業展開

当社グループは、世界の主要自動車メーカーの近くで多様なニーズに対応し、高い付加価値を有する製品を開発、提供できるよう、グローバルな供給体制を構築しています。当社グループが事業を展開している国又は地域における事業運営には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ⅰ)予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更

(ⅱ)社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの活動への悪影響

(ⅲ)不利な政治的又は経済的要因の発生

(ⅳ)人材の採用と確保の難しさ

(ⅴ)テロ、戦争、疾病その他の要因による社会的混乱

当社グループは、国内グループ会社に加え、北中南米、欧州、中国、豪亜・インドを統括する各地域統括本部長が、グループに共通する経営上のリスクと国や地域によって異なるリスクの情報を共有することによって効果的な対策を推進し、グローバルな視点でリスクマネジメントを強化しています。2022年4月には地政学リスクの高まりや複雑化を踏まえ、全社横断的な会議体として「経済安全保障委員会」を設置し、経営トップを中心にレピュテーションを踏まえた高度な判断を必要とする経済安全保障リスクに対応していく体制を構築しています。また、当社グループが事業展開する国又は地域の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国の環境関連規制、製品の安全性・品質関連規制、輸出入関連規制の情報をタイムリーに収集し、適時適切な対応をとっています。

 

⑩事業投資

当社グループは、グローバルでの事業拡大に向け、成長領域や需要の拡大が見込まれる事業への設備投資等の事業投資を行い、更なる企業価値の向上に努めています。しかしながら、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、事業計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが創出できない場合、設備投資により計上した有形固定資産の減損処理などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社連結子会社において経営環境の著しい悪化や収益状況の悪化等が将来にわたって見込まれる場合、繰延税金資産の回収可能性の判断、当社が保有する関係会社株式や当社連結子会社への貸付金の評価などに影響を及ぼす可能性があり、当社、当社連結子会社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、事業軸での6つのカンパニーが、グループ全体視点から将来を見据えた開発のさらなる加速や持続的な事業価値の最大化、重点事業課題への対応等を担っており、中長期目線で事業の方向性を示すプレジデント及び統括役員が意思決定を行っています。また、当社グループの中長期の方向性及びグループを含めた意思決定については、取締役会運用基準に則り、取締役会にて審議・決議するとともに経営会議、執行会議、各種機能会議等で、当社グループ各社の業績や重要な投資に対してのモニタリングを実施し、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。

 

⑪製品の品質不具合

 当社グループは、お客様に高い品質を確保した商品を提供するため、厳格な品質管理体制や品質管理基準に従い、グローバルで各種製品を製造しています。しかしながら、すべての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、徹底したTQM(Total Quality Management 総合的品質管理)活動を続け、開発から生産にいたるまで、厳格な品質保証体制を構築しています。企画、製品設計、生産準備から量産にいたる各段階において節目管理を実施するとともに、サイマルテニアス・エンジニアリング(SE)活動により製品設計段階から、技術、生産技術、工場、仕入先企業が一体となって品質の向上につなげています。量産にあたっては、「ジャストインタイム」と「自働化」によるトヨタ生産方式に基づいた生産を行うとともに、各種品質管理手法を用いて工程を維持・管理し、お客様の信頼に応えるものづくりを実践しています。また、仕入先企業に対するリスク評価及びモニタリング、仕入先企業の能力向上に向けた様々な取り組みにより、仕入先企業の品質レベル向上をはかっています。

 

⑫災害等による影響

 当社グループは、大規模地震、自然災害、火災・爆発等の事故、新型ウィルス等の感染症、災害等の発生により、グループ会社に人的・物的被害が生じるリスクを想定しており、これらリスクの発生による操業停止で、顧客への製品供給に支障をきたした場合、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループの工場や取引先は、国内外に所在しており、これらの地域で大規模な災害等が発生した場合、生産・納入活動が遅延・停止する可能性があります。

 こうしたリスクに対処するために、当社グループ全てを対象としたリスクマネジメント委員会においてリスクの顕 在化と未然防止をはかり、危機に強い企業づくりに取り組んでいます。当社グループでは、平時(リスク発生前)か ら緊急時(リスク発生時)の対応に関する実践要領をまとめた「危機管理ガイド」に基づき、一人ひとりの従業員が リスク発生時に的確な行動をとれるよう教育・啓発活動に取り組み、災害に強い企業づくりをグループ一体となって 推進しています。また、地震など大規模災害に備えて、1.「人命・安全」、2.「地域貢献」、3.「生産復旧」を 基本方針として、災害発生時の対応力を強化しています。

 新型ウイルス等の感染症への対応では、引き続き当社グループが事業を展開している各国・地域の政府及び自治体等の指導に従い、働く人々とその家族、顧客を始めとする全てのステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先に考え感染拡大の防止に努めるとともに、海外でのロックダウン等の外的要因リスクに対し代替生産やバックアップなどあらゆる手段で顧客への製品・サービスの供給継続に努めています。

 

⑬気候変動

 当社グループは全世界で事業を展開しているため、中長期にわたり様々な気候変動に関する影響を受けると認識し、「気候変動への対応」をマテリアリティ(優先課題)の1つとして選定しました。また、TCFD提言に沿ってシナリオを分析し、その対応策を事業戦略に組み込み推進しています。

 主な脱炭素社会への移行リスクとして、燃費・CO₂規制を導入する国や地域の増加に伴う自動車業界でのガソリン車から電動車へのシフトによって、再生可能エネルギーへの代替などに伴う製造コストの増加や、市場・顧客ニーズに適切に対応できず競争力や企業価値の低下につながる可能性があります。

 こうしたリスクへの対策として、2021年8月に「カーボンニュートラル推進センター」を新設し、①グループ全体のカーボンニュートラル(CN)戦略の立案と再生エネルギーの導入や調達②生産CO₂削減に向けたテーマの積み上げと実行③社外との連携を通じた技術開発や事業化などのCN関連活動をすべて集約し、強力に推進しています。

 また、電気自動車(EV)への移行が加速する中、当社グループの持つ様々な技術を結集し、さらに機動的な社外連携も実施しながら、圧倒的に高効率・小型なeAxleなど、アイシンらしい魅力あるEV向け商品の開発を強力に進めていくため、2022年4月に「EV推進センター」を設置しました。

 現在アイシングループのパワートレイン事業に関する電動化商品売上高比率は約12%(2021年度)ですが、更に加速する電動化に対応するため、2030年までに電動化商品売上高比率を50%に引き上げる目標を設定しました。また、高効率な電動ユニット、回生協調ブレーキ、熱マネジメントや空力など、幅広い製品によるモビリティの電動化とエネルギーソリューションでカーボンニュートラルへ貢献する取り組みを強化しています。

 

⑭知的財産権

 当社グループは、他社製品と差別化をはかるため、独自の技術とノウハウ等を蓄積し知的財産を適切に保護するとともに、第三者の知的財産権侵害のリスク軽減に努めています。しかし、特定の国及び地域においては、法的要件により、知的財産の完全な保護が不可能又は限定的にしか保護されない可能性があります。また、保有する知的財産権が無効となる可能性があります。そのため、第三者による当社グループの知的財産権の不正使用あるいは権利侵害を防ぐための手段が有効に機能しない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に知的財産権を侵害したとして第三者から訴訟を提起されることにより訴訟費用が発生する可能性があります。

 こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、知的財産管理の専門部署を設け、関係部門と連携して、特許をはじめとする各種知的財産権により技術と知的財産の保護を行うとともに特許調査等を行い第三者の知的財産権の侵害予防に努めています。

 

⑮情報セキュリティ

 当社グループでは、日々巧妙化するサイバー攻撃等の脅威や「会社情報」「得意先・お客様情報」等の情報漏洩から守る事は、リスク管理上の重要課題と捉え、情報セキュリティの強化に取り組んでいます。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、情報システム等に障害が生じる場合や、機密情報及び個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの事業活動の停滞や社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、「アイシングループ情報セキュリティ基本方針」を基本に、お客様や取引先からお預かりした、又は当社グループが保有する事業活動に関わる情報資産は、当社グループの重要な資産であるとの認識に立ち、組織的かつ継続的に情報セキュリティ対策に取り組んでいます。また、アイシングループ全体のサイバー攻撃や内部不正等のリスクから企業を守るため、2020年4月よりアイシングループ全体のコーポレートセキュリティガバナンスを強化しました。CSDO(Chief Software Digital Officer)の任命とセキュリティ専門組織情報セキュリティ推進室を設置し、情報セキュリティ推進室ではアイシングループ全体からセキュリティ関連情報の収集・展開とインシデント対応を行い、早期検知と迅速な対応に努めています。

 

⑯コンプライアンス

 当社グループは、事業活動を遂行するうえで、コンプライアンスを基本においていますが、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があります。また、社会情勢の変化、価値観や働き方などの多様化に伴い、ハラスメント等のリスクが増加する可能性があります。当社グループが重大なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの社会的信用の失墜による事業への悪影響などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、グループ全役職員の行動規範となる「アイシングループ企業行動憲章」及びその具体的な行動基準となる「社会的責任を踏まえた行動指針」を策定しています。また、コンプライアンスに関わる方針・体制を決める会議体として、「企業行動倫理委員会」を設置し、グループ主要12社の取締役社長、担当役員、常勤監査役が、法令遵守を含むコンプライアンスの活動状況及び当社グループの課題を確認すると共に、次年度の活動方針、実施事項を承認しています。さらに、コンプライアンス活動を推進するのはあくまで人であると考え、各種教育活動を継続的に行い、従業員一人ひとりのコンプライアンス意識向上に努めています。

 

⑰人権

 当社グループは、国内・海外に多くの拠点を保有し、グローバルな事業活動を実施しています。事業活動を遂行するうえで、人権の尊重を基本として活動していますが、サプライチェーンを含めた事業活動が各国・各地域において潜在的又は実際に、人権へ影響を及ぼすリスクがあると認識しています。これらのリスクの顕在化や取組み不足によっては、社会的信用の失墜により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、グループ全社員の行動規範となる「アイシングループ企業行動憲章」及びその具体的な行動基準となる「社会的責任を踏まえた行動指針」の中で、人権の尊重を明確に宣言しています。加えて、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき「アイシングループ人権方針」を策定しておりアイシングループすべての事業活動における人権尊重へのコミットメントを行うとともに、仕入先に対しても「仕入先サステナビリティガイドライン」を通じて「アイシングループ人権方針」への理解・支持を求め、サプライチェーンも含めた人権侵害の未然防止に努めています。また、コンプライアンスに関わる方針・体制を決定する「企業行動倫理委員会」の下部組織として「人権専門委員会」を設置し、グループ主要12社の取締役社長と担当役員が、人権デュー・ディリジェンスの進捗や人権リスクへの対応を確認すると共に、次年度の活動計画、重点分野(強制労働、サプライチェーンへの展開など)を承認しています。さらに、相談窓口の設置・運用、教育活動や外部専門家との対話、外部人権団体への参画等、総合的・継続的に人権への取組みを推進しています。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の自動車業界を取り巻く事業環境は、需要は回復基調にあるものの、新型コロナウイルス感染拡大に伴う部品・半導体不足などにより、カーメーカーの稼働が停止するなど引き続き厳しい環境となりました。さらに、原材料価格の高騰が産業全体の収益性に大きな影響を与えています。

 このような中、当社グループは度重なる生産変動に対応しつつ、これまで取り組んできた構造改革による収益体質の強化を一層加速させました。また将来を見据え、カーボンニュートラルや電動化の更なる進展に対し「アイシングループのフルモデルチェンジ」を実現する体制の構築と戦略の策定を進めました。

 

 売上収益については、半導体不足による車両減産影響があったものの、パワートレインユニット販売台数の増加や為替影響等により、前連結会計年度(3兆5,257億円)に比べ11.1%増の3兆9,174億円となりました。

 利益については、原材料高騰などのマイナス要因があったものの、売上収益の回復に加え、新アイシンでの構造改革・原価低減活動の加速により、営業利益は前連結会計年度(1,453億円)に比べ25.2%増の1,820億円、税引前利益は前連結会計年度(1,675億円)に比べ31.3%増の2,199億円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度(1,056億円)に比べ34.4%増の1,419億円となりました。

 また、当連結会計年度末の資産については、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末(4兆271億円)に比べ4.4%増の4兆2,058億円となりました。負債については、借入金の減少等により、前連結会計年度末(2兆2,684億円)に比べ2.6%減の2兆2,092億円となりました。資本については、有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末(1兆7,586億円)に比べ13.5%増の1兆9,965億円となりました。

 

 セグメント別の業績は、次のとおりです。

 

(ⅰ)日本

 売上収益については、パワートレインユニット販売台数の増加等により、前連結会計年度(2兆5,671億円)に比べ11.1%増の2兆8,524億円となりました。利益については、原材料価格高騰の影響を受けたものの、売上収益の回復や為替差益に加え、生産量変動への対応強化や構造改革の効果により、営業利益は前連結会計年度(1,048億円)に比べ11.1%増の1,165億円となりました。

 

(ⅱ)北米

 売上収益については、得意先の生産台数の増加等により、前連結会計年度(5,198億円)に比べ15.1%増の5,981億円となりました。利益については、売上収益の回復があったものの、海外輸送コンテナ不足に加え、原材料価格高騰や電動化商品に係る生産準備費用等の影響により、営業損失は166億円(前連結会計年度営業損失42億円)となりました。

 

(ⅲ)欧州

 売上収益については、パワートレインユニット販売台数の減少等により、前連結会計年度(3,518億円)に比べ2.8%減の3,420億円となりました。利益については、売上収益の減少等により、営業利益は前連結会計年度(51億円)に比べ0.6%減の51億円となりました。

 

(ⅳ)中国

 売上収益については、為替影響等により、前連結会計年度(3,896億円)に比べ20.5%増の4,697億円となりました。利益については、減価償却費及び生産準備費用の増加等があったものの、売上収益の増加等により、営業利益は前連結会計年度(276億円)に比べ26.5%増の349億円となりました。

 

(ⅴ)その他

 売上収益については、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた前連結会計年度(2,839億円)に比べ40.4%増の3,986億円となり、利益については、売上収益の大幅な回復等により、営業利益は前連結会計年度(152億円)に比べ220.4%増の488億円となりました。

 

(注)当連結会計年度より、セグメント区分を会社の所属する国又は地域別に変更しています。

なお、各セグメントの売上収益の金額は、外部顧客への売上収益に加え、セグメント間の内部売上収益も含めた金額としています。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況について、現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、営業活動により1,933億円の増加、投資活動により2,049億円の減少、財務活動により1,358億円の減少、現金及び現金同等物に係る換算差額により143億円の増加の結果、当連結会計年度末には3,869億円となり、前連結会計年度末(5,200億円)に比べ1,331億円(25.6%)の減少となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は、前連結会計年度(3,433億円)に比べ1,499億円(43.7%)減少し、1,933億円となりました。これは、営業債権及びその他の債権の増減額が853億円減少したことや税引前利益が524億円増加したことによる資金の増加があったものの、棚卸資産の増減額が1,625億円増加し、営業債務及びその他の債務の増減額が454億円減少したことにより資金が減少したこと等によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、前連結会計年度(1,381億円)に比べ667億円(48.3%)増加し、2,049億円となりました。これは、定期預金等の増減額が470億円増加したことにより使用した資金の増加があったこと等によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は、前連結会計年度(3,738億円)に比べ2,380億円(63.7%)減少し、1,358億円となりました。これは、借入金とその返済による収支が279億円減少したことにより使用した資金の増加があったものの、前期は子会社の自己株式取得に伴う支出2,969億円による資金の減少があったこと等によります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(ⅰ)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比増減率(%)

日本

2,874,558

11.3

北米

625,259

19.4

欧州

371,470

8.3

中国

480,068

23.5

その他

403,132

41.6

合計

4,754,490

15.3

(注1) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部取引消去前の数値によっています。

(注2) 上記金額には、外部仕入先等からの仕入高が含まれています。

(注3) 当連結会計年度において、報告セグメントの区分を変更しております。前期比増減率は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメントの区分に組み替えた数値に基づき算定しております。

 

(ⅱ)受注実績

 主要な事業である自動車部品製造・販売について、当社グループのすべてのセグメントは、トヨタ自動車㈱をはじめとした大手自動車メーカーより、約3ヶ月前後の予約的発注指示を受け、生産能力を勘案し生産計画を立て、生産を行っています。

 

(ⅲ)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比増減率(%)

日本

2,852,410

11.1

北米

598,139

15.1

欧州

342,047

△2.8

中国

469,753

20.5

その他

398,690

40.4

合計

4,661,041

13.3

(注1) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部取引消去前の数値によっています。

(注2) 当連結会計年度において、報告セグメントの区分を変更しております。前期比増減率は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメントの区分に組み替えた数値に基づき算定しております。

(注3) 主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

なお、割合はセグメント間の内部取引消去後の総販売実績に対して記載しています。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

1,065,191

30.2

1,099,839

28.1

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRS(国際会計基準)に準拠して作成しています。連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行っています。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。

 見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しています。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した会計期間及び将来の会計期間において認識しています。

 上記のうち、当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

② 経営成績の分析

 当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度に比べ11.1%増の3兆9,174億円、営業利益は25.2%増の1,820億円、税引前利益は31.3%増の2,199億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は34.4%増の1,419億円となりました。

 以下、連結損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析します。

 

(ⅰ)売上収益

 当連結会計年度の売上収益3兆9,174億円を事業の種類ごとに見ると、自動車部品事業では前連結会計年度に比べ11.2%増の3兆7,988億円となりました。その事業ごとの内訳としては、パワートレイン関連では13.5%増の2兆2,343億円、走行安全関連では17.9%増の7,667億円、車体関連では3.2%増の7,145億円、CSS関連他では21.1%減の832億円となりました。また、エナジーソリューション関連他では8.5%増の1,185億円となりました。

 

(ⅱ)売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は前連結会計年度(3兆1,212億円)に比べ11.1%増の3兆4,689億円となり、売上収益に対する割合は88.5%から88.6%に上昇しました。これは、材料費が増加したことなどによります。

 販売費及び一般管理費は、運賃及び荷造費の増加などにより、前連結会計年度(2,707億円)に比べ8.0%増の2,924億円となり、売上収益に対する割合は7.7%から7.5%に低下しました。

 

(ⅲ)その他の収益、その他の費用

 その他の収益は前連結会計年度(323億円)に比べ11.1%増の358億円となりました。

 その他の費用は、前連結会計年度(207億円)に比べ52.3%減の98億円となりました。これは、固定資産除却損失が減少したことなどによります。

 

(ⅳ)法人所得税費用

 当連結会計年度の法人所得税費用は、前連結会計年度(574億円)に比べ9.7%増加し、629億円となりました。

 

(ⅴ)非支配持分に帰属する当期利益

 当連結会計年度の非支配持分に帰属する当期利益は、前連結会計年度(44億円)に比べ236.8%増加し、150億円となりました。

 

(ⅵ)親会社の所有者に帰属する当期利益

 当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度(1,056億円)に比べ34.4%増加し、1,419億円となり、基本的1株当たり当期利益も391円96銭から526円66銭に増加しました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

(ⅰ)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しています。

 

(ⅱ)資金需要

 当社グループの資金需要の主なものは、電動化商品の生産に向けた設備投資や社会課題の解決に貢献するソリューション型商品を中心とした新商品開発への研究開発投資です。

 今後の持続的な成長のために必要な設備投資及び研究開発投資による資金需要が見込まれる場合には、長期資金の調達を実行する可能性があります。

 

(ⅲ)財務戦略

 当社グループは、企業価値の最大化を目標として、すべてのステークホルダーとの良好な関係を築き、長期安定的な成長と発展をめざしています。

 当社グループの資本政策は、「財務の安全性」と「資本の効率性」のバランスをとることで、常に低コストで資金調達をできる状態に保ち、企業価値の向上を目指すことを基本方針としています。具体的には、キャピタリゼーション比率(注1)を指標として用い、当該比率が概ね25%~30%となることが最適な資本構成であると考えています。

 「財務の安全性」については、格付会社による評価をひとつの目安とし、高い信用格付を維持することにより、低コストでの資金調達がいつでも可能になるよう努めています。一方、「資本の効率性」については、格付が維持できる範囲で、負債による資金調達を優先し、資本の規模を抑制することで、全体の資本コストの低減をはかっています。また、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)(注2)を導入することで、連結ベースでの財務戦略や当社グループ内での資金の有効活用を実現しています。

(注1) 有利子負債と資本(純資産)のバランスを示す指標です。

(有利子負債 /(有利子負債+資本合計))

(注2) グループ企業の資金を親会社や中核会社が同一銀行内に専用口座を設置して集中管理することにより、効率的な連結運営や資金運用をする手法、又はその仕組みを指します。

 

(ⅳ)資金調達

 当社は、安定的かつ低コストで資金を確保することを基本方針としています。

 資金調達にあたっては、平均残存期間の維持及び返済年限の平準化に資する調達年限を設定し、市場動向等を勘案した最適な資金調達手段を選択・実行しています。また、当社は高い信用格付けを維持するとともに、金融機関や投資家等と幅広く良好な関係を構築しており、競争力のある調達コストの維持・追求に努めています。

 当連結会計年度末の社債及び借入金残高8,826億円のうち、2,725億円はハイブリッド社債とハイブリッドローンで調達しており、格付会社より残高の50%である1,362億円について資本性の認定を受けています。

 当社では、経営を取り巻く様々なリスクに対応できるよう、現預金だけでなく、コミットメントライン契約を締結するなど、十分な流動性の確保に努めています。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標」に記載のとおりです。当連結会計年度においては、原材料高騰などのマイナス要因があったものの、売上収益の回復に加え、新アイシンでの構造改革・原価低減活動の加速により、営業利益率は4.6%、ROIC(投下資本利益率)は6.6%となりました。

 当目標の達成に向けた取り組みについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」に記載のとおりです。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社は、2020年12月22日開催の取締役会において、当社の子会社であったアイシン・エィ・ダブリュ株式会社と経営統合を行うことを決議し、同日付で合併契約を締結し、2021年4月1日付で吸収合併いたしました。

合併の概要は以下のとおりです。

(1)合併の方法

   当社を吸収合併存続会社、アイシン・エィ・ダブリュ株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併方式

(2)合併の期日

   2021年4月1日

(3)合併に際して発行する株式及び割当

   本合併による株式その他の財産の割当はございません。

(4)引継資産・負債の状況

   当社は、吸収合併の効力発生日をもって、吸収合併消滅会社であるアイシン・エィ・ダブリュ株式会社から

その資産・負債その他の権利義務を合併契約書に従い承継いたしました。

(5)吸収合併存続会社となる会社の概要

   商号   株式会社アイシン

   事業内容 自動車部品、エネルギー・住生活関連製品の製造販売

   資本金  45,049百万円

 

 

 

5 【研究開発活動】

 「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」を経営理念に掲げる当社グループは、当社グループの商品・サービスによって、環境・社会課題を解決し、人々の笑顔あふれる持続的な社会をつくっていきたいと考えています。その中でもカーボンニュートラルを喫緊の課題として捉え、当社グループでは製品と生産の両軸でカーボンニュートラルの実現に貢献していきます。

 カーボンニュートラル実現に向け、世界各国で環境規制が強化されており、カーメーカーも電動化の戦略を次々と打ち出しています。このような状況に対し、当社グループは電動化製品の拡充を加速させており、eAxle・PHEV・HEV のフルラインアップでお客様のニーズに応えていきます。その中でも特にeAxleを最重点製品と位置付けており、先行開発への大幅なリソーセスシフトで開発スピードを上げ、高効率・小型・低コストな魅力ある製品をお客様へお届けします。

 電動車の競争力向上には、航続距離向上や高コストとなっているバッテリー搭載量の低減が課題となっています。このような課題に対し、当社グループの強みである幅広い製品群を活かした車全体でエネルギーを賢く使うシステムを提案していきます。具体的な製品としては、高効率・高精度の回生協調ブレーキシステム、冷却モジュールや電池ケースといった熱マネジメントなどの開発を強化していきます。そして、2025年までに車両でトータル10%以上の電費向上を目指します。

 また、電気自動車(EV)への移行が加速する中、カンパニー及びグループ会社横断でのEV向け商品の開発強化に向け、2022年4月、「EV推進センター」を設置しました。当社グループの持つ様々な技術を結集し、さらに機動的な社外連携も実施しながら、圧倒的に高効率・小型なeAxleなど、アイシンらしい魅力あるEV向け商品の開発を強力に進めていきます。

 競争力の強化や気候変動などの社会課題の解決をスピーディーに実行するため、異業種も含め社外と様々な連携を進めています。大成建設株式会社と当社は、当社が保有するCO₂を炭酸カルシウムとして固定化する技術を、大成建設株式会社が開発したカーボンリサイクル・コンクリートに活用するため、共同開発契約を締結し、2030年頃の実用化を目指しています。また、プラントエンジニアリング企業、原材料となるカルシウム源、排ガス供給者とも連携を進め、カーボンリサイクル・スキーム(ビジネスモデル)の実現に向けて取り組んでいきます。このように当社のコア技術を用いて、カーボンと産業副産物の再利用・循環に貢献します。

 当社グループの研究開発体制は、日本セグメントに所在する当社及び主要子会社が研究開発活動の中心を担っており、海外研究開発拠点及び先端研究機関と連携し、グローバルな研究開発活動を展開しています。

 なお、当連結会計年度の研究開発費は総額1,941億円です。