文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
ブラザーグループは、すべてのステークホルダーから信頼され、従業員にとって心の底から誇りの持てる企業となることを目指しています。2002年に策定した中長期ビジョン「Global Vision 21」(以下「GV21」)では、ブラザーグループが目指す3つの項目を以下の通り掲げ、事業活動に取り組んでいます。
・「グローバルマインドで優れた価値を提供する高収益体質の企業」になる
・ 独自の技術開発に注力し「傑出した固有技術によってたつモノ創り企業」を実現する
・「“At your side.”な企業文化」を定着させる
(2)中長期的な経営戦略、経営環境及び対処すべき課題
ブラザーグループでは、この「GV21」実現に向けたロードマップとして、中期戦略を策定しております。2018年度を最終年度とした3年間の中期戦略「CS B2018」では、“Transform for the Future ~変革への挑戦~”をテーマに掲げ、プリンティング事業の収益最大化を図るとともに、産業用領域の拡大を通じた複合事業企業への変革を目指し、事業、業務、人財の3つの変革に取り組んでまいりました。その結果、プリンティング事業における大幅な収益性改善や、産業用領域での売上成長に一定の成果を上げることができました。
しかしながら、プリンティング事業を取り巻く環境は、デジタル化の進行による印刷機会減少の流れに加え、「所有から利用へ」と顧客の消費行動が変化する中で、顧客ニーズの多様化が進むなど、今後もより一層の変化が予想されます。また、産業用領域においては、省人化・自動化需要の高まりや、トレーサビリティ・カスタマイズ需要の高まりなど、当社を取り巻く事業環境は、今後も大きく変化し、厳しさを増していくものと認識しています。
このような認識のもと、ブラザーグループでは、「GV21」達成に向けて従来以上に踏み込んだ改革が必要不可欠であると考え、新中期戦略「CS B2021」を策定いたしました。
新中期戦略「CS B2021」では、“Towards the Next Level ~次なる成長に向けて~”をテーマに掲げ、グループ全体で以下の4つの経営の優先事項にフォーカスした改革を実行し、成長基盤の構築を目指してまいります。
①プリンティング領域での勝ち残り
・高PV*1ユーザーの獲得強化と本体収益力向上による事業規模の維持、収益力の強化
・新たなビジネスモデルへの転換加速により、安定収益確保と顧客との繋がりを強化
②マシナリー・FA*2領域の成長加速
・自動車/一般機械市場強化による産業機器分野の大幅な成長
・省人化、自動化ニーズを捉えたFA領域の拡大
③産業用印刷領域の成長基盤構築
・シナジー顕在化によるドミノ事業の成長再加速
・インクジェットを核としたプリンティング技術活用による産業用印刷領域の拡大
④スピード・コスト競争力のある事業運営基盤の構築
・IT活用によるグループ全体の業務プロセス変革・効率化の実現
・人財の底上げ、最適人員体制の確立による組織パフォーマンスの最大化
・不採算・低収益事業の梃入れ
これらの改革を成し遂げることにより、中期戦略の最終年度となる2021年度の業績目標として、売上収益7,500億円、営業利益750億円、営業利益率10%の達成を目指してまいります。
同時に、グローバル社会の一員として企業活動のあらゆる面でESGを中心としたCSR経営を推進し、地球環境の保全、従業員の健康維持、人財多様性の確保、コーポレート・ガバナンスの強化などの取り組みを通じて、企業価値の持続的な向上を目指してまいります。
*1:Print Volume(印刷量)の略
*2:Factory Automationの略。工場の様々な作業や工程を機械や情報システムを用いて自動化すること
当社グループの事業、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある事項は次の通りであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場競争
当社グループの各事業は、プリンティング事業を始めとして事業を展開する多くの市場において他社との激しい競争にさらされております。一部の競合他社は当社グループよりも多くの経営資源を有しているほか、今後市場環境の変化により新規競合他社の参入、あるいは競合先間の提携が行われ、競争が更に激化することが想定されます。これらの要因により現在の市場シェアを維持できなくなり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(2) 人材確保
当社グループは、グローバルに展開する企画、開発、設計、製造、販売、サービス等の各機能に必要な人材確保に努めております。しかしながら労働市場における人材の獲得競争は激化しており、有能な人材の採用や雇用の継続が困難になった場合は、研究開発に十分な資源を投入できないことによる製品競争力の低下や労働力不足による製品の安定供給への支障など、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 知的財産権
当社グループは、必要に応じて、特許等の知的財産権に関するライセンス契約を他社と締結しつつ、事業活動を行っております。それら契約に基づくロイヤリティの収支は、業績の変動要因となり得、また、契約の条件によっては、事業活動における制約となる可能性があります。研究開発等の結果獲得した当社独自の技術を完全に保護することには限界があり、第三者による知的財産権の侵害や模倣品の製造・販売が起きる可能性があります。一方で他社から同様な訴えがなされる可能性もあり、これらは当社グループの業績に一定の影響を与える可能性があります。なお、当社グループは、発明報奨規程を設け、それに則り、発明者に対する報奨等を適切に行っております。しかし、その対価若しくは相当の利益をめぐって、発明者と争いになる可能性があります。
(4) 品質管理
当社グループは、高品質の魅力ある製品を提供するため、厳格な品質管理基準に従って生産管理体制を確立し、製品の製造を行っております。製造委託先から供給を受ける製品に対しても、同様な品質管理基準に従って適正な品質レベルであることを検証しております。しかし、すべての製品に対し欠陥がなく、将来に製品安全問題や品質問題が発生しないという保証はありません。それらの重大な問題が発生した場合、多額のコストを要するほか、ブランドイメージや社会的評価が低下し、顧客の当社グループ製品への購買意欲を減少させ、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(5) 為替・金利
当社グループは、海外での製造・販売比率が高く、外貨建取引に伴う将来の為替変動リスクが発生します。そのリスク低減のため、外貨建取引における受取と支払のリンク率向上を図る一方で、短期的には為替予約取引を行うなど、リスクを効率的に管理し、回避するよう努めております。しかし、中国・東南アジア等、主要な製造拠点の所在地域の通貨が上昇した場合、製造・調達コストを押し上げる要因になるなど、中長期的な為替レートの変動が、財務諸表等に一定の影響を及ぼすことが想定されます。また、金利変動リスクに対しては、固定金利での資金調達や金利スワップ等の金融商品を活用してリスクの軽減に努めておりますが、金利の大幅な変動があった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 法的規制
当社グループは、事業活動を行っている各国において、様々な関連法規や規制、税制の適用を受けております。グループ全体でこれらを遵守すべく内部統制の仕組みを強化しているほか、リスク管理体制の整備を進めております。万が一これらの規制を遵守できない事象が発生した場合などには、当社グループの事業活動が制限される可能性、費用負担の増加につながる可能性があります。特に、輸出入に関する規制・投資規制・海外送金に関する規制・移転価格税制等をはじめとする規制・税制等の変更のような、予測できない事態の発生により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(7) 原材料の価格高騰
当社グループの製品に使用されている樹脂材料や鋼板などの原材料価格が上昇した場合、製造コストを押し上げる要因になります。これらの影響を製品の販売価格に転嫁できない、あるいは経費削減、能率改善でコストを十分に吸収できない場合、将来の収益性に一定の影響を及ぼすことが想定されます。
(8) 情報ネットワーク
当社グループは、生産管理・販売管理及び財務等に関する情報をネットワークを通して管理しております。また、近年は管理状態を確認後にクラウドを含む社外の情報システムもネットワークを通して管理しております。双方の利用において情報の保存、設備の保全等の対策には万全を期しておりますが、万が一ネットワークの切断、システムの停止等が発生した場合、これらは事業活動の阻害要因となり得ます。また、コンピュータウィルスの感染やハッキングなどにつきましても、十分な予防措置を講じておりますが、予期し得ない外部からの侵入や攻撃がなされた場合、その内容や規模によっては、事業活動に悪影響を与える可能性があります。
また、内部統制への対応として、財務報告の信頼性を維持し高めることが求められている中、IT全般統制の視点から情報システムの開発・保守・運用業務の品質向上活動を継続し、適正なIT業務運用に努めております。しかしながら、予期し得ない統制上の問題が生じた場合には、財務報告の信頼性を担保できないような状況が起こり得ることも考えられます。
(9) 情報セキュリティー
当社グループは、情報管理規程を定めると共に情報管理委員会を設け、情報セキュリティー運用ルールを策定しております。また、SNS等のソーシャルメディアの利用に関しても、利用規程を定めております。それらの運用ルールや利用規程に基づき社内教育を通じて、個人情報及び機密情報の漏洩を防ぐよう努めております。また、近年はスマートフォン等により一部の社内情報の利用が出来ますが、利用端末の制限や暗号化等により管理体制の強化に努めております。さらに、個人情報や機密情報へのアクセスに関しましては、アクセス制御やアクセスログ管理を行っており、不正な取り扱いを回避しております。
しかしながら、何らかの原因で個人情報及び機密情報が外部に漏洩した場合、お客様からの信頼を失うとともに、ブランドイメージの低下を招くなど、当社グループの事業活動や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、顧客サービスの充実を目指して、お客様向けにWebサイトにて製品情報やサポート情報の提供を行っております。このようなWebサイトにつきましては、安全な情報セキュリティーレベルを維持することに努めておりますが、想定されない外部攻撃により、Webサイトの改ざんや不正なWebサイトへの誘導などの行為がなされた場合には、事業活動に悪影響を及ぼすことが考えられます。
(10)今後の事業展開・見通し
当社グループは、プリンティング事業領域に加えて、今後は産業用領域や新規事業にも重点をおいた改革を実行し、成長基盤の構築を行ってまいります。
当社グループが、産業用領域や新規事業の更なる拡大を目指すにあたっては、その事業固有のリスクが新たに発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、M&A等の実施においては、事業の統合に当初想定以上の負荷がかかることや投資時点において想定した通りに投資先が事業を展開できないこと等により、予想された通りの投資効果が得られず、投資に伴い発生したのれん等の無形固定資産、有形固定資産の減損損失が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(11)環境規制
当社グループは、国内外における事業活動に伴って発生する廃棄物や消費するエネルギー、環境中に放出する大気・水質・騒音等、製品に含まれる特定の化学物質など、様々な環境規制を受けております。また、当社グループは、環境に配慮した製品開発や環境に配慮したサプライヤーからの部品調達、製造プロセス・製品使用プロセスにおける資源・エネルギー量の削減、使用済み製品の回収・リサイクル等、製品のサプライチェーン全体にわたって環境負荷低減活動に取り組んでおります。また、これら環境規制への対応や環境負荷低減活動内容などの環境情報の適正開示を推進しております。しかしながら、将来において、十分な予防措置を講じているにも関わらず発生した環境事故、更なる環境法規制の強化に対応した法令順守体制の構築、中長期にわたる環境改善のための費用負担や、情報開示の不足等による社会的信用の低下が当社グループの事業経営に影響を及ぼす可能性があります。
(12)災害・その他
当社グループは、その生産・販売拠点の多くを、海外に置いております。主要な生産拠点は中国・ベトナム・フィリピン等であり、販売拠点は世界各国に広がっております。これら諸拠点においては、防災活動として、防火対策や地震・台風等の自然災害に対する一定の施策を講じております。しかし予期せぬ事象(戦争、テロ、伝染病、ストライキ又は労働争議、巨大地震や地球温暖化に伴う異常気象などの想定を超える規模の自然災害等)により社会的混乱が広まれば、部品調達体制も含めた生産・販売のダメージを受ける等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、本社機能が位置する日本でも南海トラフ地震を想定した防災危機管理体制を確立しておりますが、想定を超える規模の地震等により、一定の被害を受ける可能性があります。
当社グループの財政状態及び経営成績は次の通りです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
なお、当社グループの業績管理は、事業セグメント損益及び営業損益により行われております。事業セグメント損益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①経営成績の状況
当期における世界経済を振り返りますと、米国においては、雇用や所得環境の回復を背景に個人消費は拡大が持続したことに加え、内需の拡大により企業収益も改善するなど、景気は回復基調が続いているものの、米中貿易摩擦による中国の景気減速や、英国Brexitをめぐる不透明感の高まりなどにより、欧州を中心に景気の見通しは予断を許さない状況となっています。
当社グループの関連市場では、モノクロレーザー複合機・プリンターの需要は、グローバルで概ね安定的に推移しました。インクジェット複合機は、先進国での需要は若干縮小したものの、新興国では大容量タンクモデルの需要が拡大しました。家庭用ミシンは、概ね安定的に推移しました。工業用ミシンは、中国・アジアを中心に需要が拡大しました。産業機器は、中国向けを中心に外需が落ち込み、内需にも減速感が出てきました。国内におけるカラオケ市場は、概ね安定的に推移しました。ドミノ事業は、コーディング・マーキング機器、デジタル印刷機とも需要の拡大が持続しました。
このような状況の中、当社グループの連結業績は、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業は、モノクロレーザー複合機がグローバルで堅調に推移したほか、インクジェット複合機では、大容量タンクモデルの新製品が好調に推移しました。マシナリー事業は、産業機器の中国における需要低迷、及びIT関連における需要減の影響が大きく、事業全体で大幅な減収となりました。ドミノ事業は、グローバルに安定的な成長が続き、堅調に推移しました。
これらの結果、売上収益は、前期比4.1%の減収となる683,972百万円、事業セグメント利益は、前期比6.8%の減益となる71,973百万円となりました。営業利益は、為替予約の評価損の影響がなくなったことにより、前期比4.7%の増益となる71,925百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比7.8%の増益となる53,902百万円となりました。
*平均為替レート(連結)は次の通りであります。
当期 米ドル :110.69円 ユーロ :128.43円
前期 米ドル :110.81円 ユーロ :129.45円
セグメント別の業績は、次の通りであります。
1) プリンティング・アンド・ソリューションズ事業
売上収益 403,036百万円(前期比△2.2%)
○通信・プリンティング機器 353,120百万円(前期比△3.2%)
主にSOHO市場向けのモノクロレーザー製品がグローバルで堅調に推移したことに加え、インクジェット複合機の新興国向けの大容量タンクモデルの販売が計画を上回るペースで進捗したものの、IFRS第15号の適用による影響や為替のマイナス影響もあり、事業全体では減収となりました。
○電子文具 49,916百万円(前期比+5.6%)
「ピータッチ」ブランドで展開するラベルライター・ラベルプリンターが、グローバルで堅調に推移したことに加え、モバイルプリンターを中心とするソリューション分野が好調に推移し、事業全体で増収となりました。
事業セグメント利益 52,181百万円(前期比△1.3%)
営業利益 52,903百万円(前期比+11.7%)
事業セグメント利益は、ほぼ前年並みの水準となりました。営業利益は、為替予約に関する評価損の影響がなくなったことにより、大幅な増益となりました。
2) パーソナル・アンド・ホーム事業
売上収益 45,445百万円(前期比+2.2%)
米国で販売を開始した最高級刺しゅうミシンが好調に推移したことなどにより、増収となりました。
事業セグメント利益 4,037百万円(前期比+103.8%)
営業利益 4,028百万円(前期比+283.1%)
最高級刺しゅうミシンの販売好調による製品構成の変化により、大幅な利益改善となりました。
3) マシナリー事業
売上収益 104,130百万円(前期比△18.2%)
○工業用ミシン 32,626百万円(前期比+4.9%)
工業用ミシンは、中国での需要が堅調に推移しました。ガーメントプリンターも欧米を中心に需要拡大が続きました。これらにより、事業全体でも増収となりました。
○産業機器 51,768百万円(前期比△31.9%)
自動車・一般機械関連は、国内向けの需要は堅調に推移したものの、後半は中国向けの需要に減速感が出
てきました。IT関連でも、中国向けを中心に需要が落ち込み、事業全体では大幅な減収となりました。
○工業用部 19,735百万円(前期比△2.2%)
海外の景気減速の影響により、減収となりました。
事業セグメント利益 9,753百万円(前期比△32.4%)
営業利益 9,910百万円(前期比△29.9%)
主に産業機器が減収となった影響により、減益となりました。
4) ネットワーク・アンド・コンテンツ事業
売上収益 47,926百万円(前期比△2.3%)
前期に発売した新モデル「JOYSOUND MAX2」の需要が一巡したことに加え、売買取引が中心であった前期と比較して、当期はレンタルでの取引が増加したこともあり、減収となりました。
事業セグメント利益 1,778百万円(前期比△33.2%)
営業利益 1,593百万円(前期比+18.6%)
減収に伴い、事業セグメント利益は大幅な減益となりました。営業利益は、前期に計上した減損損失がなくなったことにより増益となりました。
5) ドミノ事業
売上収益 71,234百万円(前期比+4.2%)
コーディング・マーキング機器、デジタル印刷機とも、グローバルで堅調に推移し、増収となりました。
事業セグメント利益 3,948百万円(前期比△14.9%)
営業利益 2,864百万円(前期比△28.4%)
事業セグメント利益は、減益となりましたが、社内計画に対しては概ね想定どおりの水準となりました。営業利益は、開発プロジェクトの見直しにより、開発資産の除却損を計上したことにより、減益となりました。
②財政状態の状況
資産合計は、営業債権及びその他の債権や円高に伴う為替影響によるのれん及び無形資産が減少した一方、現金及び現金同等物や棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ325百万円増加し、708,604百万円となりました。
負債合計は、営業債務及びその他の債務、社債及び借入金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ28,773百万円減少し、267,010百万円となりました。
資本合計は、当期利益による利益剰余金の増加、在外営業活動体の換算差額の影響などにより、前連結会計年度末に比べ29,098百万円増加し、441,593百万円となりました。
*当期における期末為替レートは、次の通りです。
米ドル :110.99円 ユーロ :124.56円
③キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物(以下「資金」)は、営業活動により73,280百万円増加、投資活動により22,624百万円減少、財務活動により39,040百万円減少等の結果、当連結会計年度は前連結会計年度に比べ9,767百万円増加し、131,152百万円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は、次の通りです。
1)営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前利益は72,274百万円で、減価償却費及び償却費33,674百万円など、非資金損益の調整による資金の増加や、棚卸資産の増加による資金の減少12,179百万円などがあり、法人所得税の支払額17,459百万円などを差し引いた結果、73,280百万円の資金の増加となりました。
2)投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産の取得による支出17,673百万円、無形資産の取得による支出7,794百万円などにより、22,624百万円の資金の減少となりました。
3)財務活動によるキャッシュ・フロー
配当金の支払額15,603百万円、社債の償還による支出20,231百万円などにより、39,040百万円の資金の減少となりました。
④生産、受注及び販売の状況
1)生産実績
当社グループの生産実績は、販売実績と近似しておりますので、記載を省略しております。
2)受注実績
当社グループの生産活動は、その多くを見込生産で行っておりますので、受注実績は記載しておりません。
3)販売実績
当社グループの販売実績は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記6.セグメント情報」を参照ください。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成されております。
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行うことが要求されております。当社グループの判断、見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)当連結会計年度の経営成績
経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」を参照ください。
2)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループは、製品・サービスの販売、製品の製造など、事業活動の大半を海外で展開しております。よって、グループの業績は、各国の市場動向、為替動向、海外工場におけるモノづくり力の維持・強化など、様々な要因により影響を受ける可能性があると認識しております。
まず為替リスクに対する対応としては、利益への影響が大きいユーロについては、一定の基準に基づき為替予約を行うことで、急激な為替レートの変動が業績に与える影響をコントロールしております。
製造面に関しては、コストダウンや様々なリスクヘッジを目的に、各事業とも中国を中心とした体制から、ベトナムやフィリピンといったアジア地域を中心とした体制へとシフトを進めております。製造拠点を分散化させることで、災害や事故などのリスクを低減し、安定した製品供給を実現してまいります。
また、事業別に見ると、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業が占める割合は売上収益の58.9%、事業セグメント利益の72.5%を占めており、P&S事業の業績動向が経営成績に重要な影響を与える最大の要因となっております。当社グループは、SOHO向けのレーザー複合機・プリンターにおいて、米国や西欧などの先進国地域を筆頭にグローバルで高いシェアを保持しているだけでなく、収益性についても、事業セグメント利益率12.9%と、高い収益性を実現しております。この分野においては、競合企業間の事業再編の影響などもあり、競争環境は比較的穏やかな状況が継続していることから、今後もグループ全体の収益を支える事業として、持続的な成長を実現してまいります。一方でこの分野は、デジタルデバイスの普及や、インターネットを中心としたテクノロジーの進化、オフィスにおける働き方の変化、顧客の購買方法の変化など、ビジネス環境が刻々と変化していることから、持続的な成長の実現に向けて、変化への対応力が求められております。
ブラザーグループは、このような状況に対応するため、2021年度を最終年度とする中期戦略「CS B2021」(2019年度~2021年度)を策定し、「次なる成長に向けて」をテーマに、成長基盤の構築を目指してまいります。
3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
中期戦略「CS B2021」では、2021年度の業績目標を以下に設定しております。
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2018年度実績 |
2019年度計画 |
CS B2021業績目標 |
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売上収益 |
6,840億円 |
6,900億円 |
7,500億円 |
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営業利益 |
719億円 |
650億円 |
750億円 |
4)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
事業セグメントごとの経営成績の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」を参照ください。
5)当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性維持及び、柔軟で効率的な資金の確保を財務活動の重要な方針としております。この方針に従って、当社グループは、グループ会社が保有する資金をグループ内で効率よく活用するキャッシュマネジメントシステムを構築し運用しております。また、手元流動性の補完として複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しております。これらの結果、資金の偏在をならし、グループ全体で借入を極力削減する体制を整えております。
流動性管理
当社グループは、現金及び現金同等物と未使用のコミットメントラインを合わせた金額を手元流動性と位置付けております。当連結会計年度末現在、当社グループは現金及び現金同等物131,152百万円を保有しております。
また、複数の金融機関と合計10,000百万円のコミットメントライン契約を締結しており、未使用額は10,000百万円です。これらを合わせると、当社グループは手元流動性を141,152百万円確保しております。これにより、季節的な資金需要の変動、1年以内に期限の到来する借入、事業環境リスク等を考慮の上、通年に渡り十分な手元流動性を確保していると考えております。
資金調達
運転資金等の短期資金は、原則として期限が1年以内の短期借入金を現地通貨で調達することとし、生産設備等の長期資金は、内部留保資金の他、固定金利の長期借入金及び社債等で調達することを基本方針としております。当連結会計年度末現在、短期借入金の残高は122百万円で、通貨は主にマレーシアリンギットであります。1年内返済予定の長期借入金の残高は、19,189百万円で、通貨は米ドル、日本円であります。長期借入金の残高は57,243百万円であり、通貨は米ドル、日本円であります。また、1年内償還予定の社債の残高は248百万円で、通貨は英ポンドであります。社債の残高は19,989百万円で、通貨は日本円であります。
当社は、株式会社格付投資情報センターから格付けを取得しています。当連結会計年度末現在、長期債及び発行体格付けがA、コマーシャルペーパーがa-1であります。金融・資本市場へのアクセスを保持するため、一定水準の格付けの維持は重要と考えております。
当社グループでは、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力に加えて、コミットメントライン契約を含めた手元流動性、健全な財務体質により、当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び設備投資・研究開発資金等を確保することが可能と考えております。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下の通りであります。
(のれん及び無形資産)
日本基準において、のれんはその効果の及ぶ年数にて均等償却を行っておりましたが、IFRSでは、のれんは償却を行わず、減損の兆候の有無に関わらず毎期減損テストを実施しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて営業利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益が54億円増加しております。
技術契約
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契約会社名 |
相手先 (国名) |
内容 |
契約期間 |
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当社 |
キヤノン株式会社 (日本) |
電子写真及びファクシミリに関する特許実施権の許諾 |
2009年6月27日から対象特許の満了日まで |
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〃 |
株式会社リコー (日本) |
電子写真技術及びファクシミリ装置に関する特許実施権の許諾 |
2014年10月1日から5年間 |
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〃 |
Lemelson Medical, Education and Research Foundation(米国) |
画像処理技術及びバーコード技術等に関する特許実施権の許諾 |
1998年4月2日から対象特許の満了日まで |
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〃 |
セイコーエプソン株式会社 (日本) |
印刷装置等に関する特許実施権の許諾 |
2018年6月28日から対象特許権の満了日まで |
当社グループでは、固有の技術を生かしてお客様の求める製品・サービスを生み出すことが真の技術力であると考えています。それは優れた技術も製品に生かされてこそ価値が生まれると考えるためです。お客様に評価され選ばれる製品をご提供するために、当社グループの技術者はお客様と向き合い、お客様の声に真摯に耳を傾けています。そして、お客様が喜ぶ顔をどんな技術で実現するか、どんな製品でお客様の役に立つことができるかを常に考えながら価値創造に取り組んでいます。
試験研究に従事する者は、グループ全体で2,203人であります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、
当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発内容や研究開発成果及び研究開発費は、次の通りであります。
(1)プリンティング・アンド・ソリューションズ事業
レーザーやインクジェットなどのプリンティング技術を追求し、ワークスタイルの革新を提案します。代表的な製品としては、コンパクト性を追求したプリンターのほか、1台にプリンター・ファクス・コピー・スキャナーなどの機能を搭載した複合機、また、使いやすさにこだわったラベルライターがあります。これらの情報通信機器で、SOHO(Small Office・Home Office)やSMB(Small and Medium Business)などで幅広いニーズにお応えします。
また、海外生産が加速する流れの中で、モノ創り企業としての足腰を固めるため、製造をサポートするための生産技術開発を行い、モノ造りの早い段階での性能・品質の作りこみを目的としたプロセス改革、及び超精密加工技術なども推進しています。
当連結会計年度の主な成果としては、レーザープリンターにおいては、コンパクトサイズでありながら、約34枚/分の高速プリントを実現するなど、性能が向上したA4モノクロレーザープリンター・複合機「MFC-L2750DW」の発売をあげることができます。
インクジェットプリンターにおいては、超大容量インクカートリッジとサブタンクを搭載した「ファーストタンク」モデルの「MFC-J6999CDW」の発売をあげることができます。
ドキュメントスキャナーにおいては、読取速度が従来機種より向上し、約25枚/分となった無線LAN対応のコンパクトモデル「ADS-1700W」の発売をあげることができます。
電子文具においては、感熱ラベルプリンター「P-touch Color」の新製品として、フルカラー対応で写真やイラスト入りの彩り豊かなオリジナルカラーラベルを作成できる「VC-500W」の発売をあげることができます。
当事業に係る研究開発費は、
(2)パーソナル・アンド・ホーム事業
高性能かつ高付加価値の製品を提供できる業界随一の開発力を有しています。特に電子技術の強みを生かした最先端の機能を使いやすい形でお客様に提供することで、市場をリードしています。
当連結会計年度の主な成果としては、カッティングマシン「ScanNCut(スキャンカット)」シリーズにおいて、カットする素材の厚みを検知し、刃の出量とカット圧を自動で調整する機能を搭載した「ScanNCut(スキャンカット) DX」の発売をあげることができます。
当事業に係る研究開発費は、
(3)マシナリー事業
使いやすさ、高品質な縫製、省エネルギーを実現した工業用ミシン、スマートフォンなどのIT関連機器や自動車・オートバイの部品加工に最適な工作機械をお客様に提案し、密着したサポートをすることで、生産性向上と新たな価値創出をお手伝いしています。また、減速機・歯車分野では、よりユーザーニーズに合致した製品を開発することを目的としております。
当連結会計年度の主な成果としては、工業用ミシンにおいては、ブリッジ型プログラム式電子ミシン「NEXIO BAS-360H」の発売をあげることができます。
工作機械においては、加工能力の向上と加工の安定化を実現したコンパクトマシニングセンタ「SPEEDIO(スピーディオ)F600X1」の発売をあげることができます。
減速機においては、主力製品であるインダクションギアモータのリニューアルを行いました。
当事業に係る研究開発費は、
(4)ネットワーク・アンド・コンテンツ事業
通信カラオケ事業において、業務用通信カラオケシステムを提供するとともに、通信カラオケで培ったコンテンツや配信技術を活用し、健康分野に向けたサービスや映像コンテンツの配信など、新たな顧客価値を追求しています。
当事業に係る研究開発費は、
(5)ドミノ事業
各種コーディング・マーキング機器の販売からアフターサービスまでの一貫した提供を通じて、お客様による品質管理やトレーサビリティーの向上などの需要にお応えします。
また、インクジェット方式のデジタル印刷機、及びそのアフターサービスまでの一貫した提供を通じて、お客様によるラベルなどパッケージ印刷に対する多種少量化・短納期化などの需要にお応えします。
当事業に係る研究開発費は、
(6)その他事業
当事業に係る研究開発費は、2,690百万円であります。