第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 ブラザーグループは、すべてのステークホルダーから信頼され、従業員にとって心の底から誇りの持てる企業となることを目指しています。2002年に策定した中長期ビジョン「Global Vision 21」では、ブラザーグループが目指す3つの項目を以下の通り掲げ、事業活動に取り組んでいます。

 

・「グローバルマインドで優れた価値を提供する高収益体質の企業」になる

・ 独自の技術開発に注力し「傑出した固有技術によってたつモノ創り企業」を実現する

・「“At your side.”な企業文化」を定着させる

 

(2)中長期的な経営戦略

中期戦略「CS B2021」

 2021年度を最終年度とする中期戦略「CS B2021」では、“Towards the Next Level ~次なる成長に向けて~”をテーマに掲げ、「事業・業務・人財」の3つの変革をさらに加速させていくことを目指し、グループ全体で以下の4つの経営の優先事項にフォーカスした改革を実行し、成長基盤の構築を進めております。

 

プリンティング領域での勝ち残り

・高PV*1ユーザーの獲得強化と本体収益力向上による事業規模の維持、収益力の強化

・新たなビジネスモデルへの転換加速により、安定収益確保と顧客との繋がりを強化

 

②マシナリー・FA*2領域の成長加速

・自動車/一般機械市場強化による産業機器分野の大幅な成長

・省人化、自動化ニーズを捉えたFA領域の拡大

 

産業用印刷領域の成長基盤構築

・シナジー顕在化によるドミノ事業の成長再加速

・インクジェットを核としたプリンティング技術活用による産業用印刷領域の拡大

 

スピード・コスト競争力のある事業運営基盤の構築

・IT活用によるグループ全体の業務プロセス変革・効率化の実現

・人財の底上げ、最適人員体制の確立による組織パフォーマンスの最大化

・不採算・低収益事業の梃入れ

 

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 当初掲げていた2021年度の業績目標である売上収益7,500億円、営業利益750億円については、新型コロナウイルス感染症拡大や世界的なサプライチェーンの混乱など、事業環境の大きな変化により、達成が難しい状況ではありますが、変化対応力を一層強化し、成長基盤構築に向けた取り組みを継続してまいります。

 加えて、グローバル社会の一員として企業活動のあらゆる面で環境・社会・ガバナンス(ESG)を中心としたCSR経営を推進し、地球環境の保全、従業員の健康維持、人財多様性の確保、コーポレート・ガバナンスの強化などの取り組みを通じて、企業価値の持続的な向上を目指してまいります。

 

(3)経営環境の変化

 当期における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、年度前半において急速に減速したのち、緩やかな回復の兆しを見せています。地域別には、中国経済は順調な回復を見せる一方、感染が再拡大した欧州などにおいては、経済活動の制限が長期化し、依然として先行き不透明な状況が続いています。

 加えて、世界的な半導体不足や、海上輸送の混乱をはじめとして、サプライチェーンに関連する様々なリスクが顕在化するなど、グローバルにビジネスを展開する企業にとっては、急激な変化にいかに迅速に対応するかが問われた1年でした。

 

当社グループに関連する事業環境の変化(新型コロナウイルス感染症による影響)

 

事業

事業分野

事業環境の変化

P&S事業

通信・プリンティング機器

・在宅勤務用途として、家庭/SOHO*3向けの小型複合機・プリンターの需要増加

・在宅勤務など働き方の多様化によるオフィスでの印刷量低下

・生産地での感染拡大による生産・供給の遅延

・Eコマースやデリバリーサービスなどの拡大によるラベル印刷需要の増加

電子文具

P&H事業

・巣ごもり消費により自宅で手芸などを楽しむ人が増え、家庭用ミシン特需が発生

マシナリー

事業

工業用ミシン

・工業用ミシン:顧客である縫製工場の稼働率低下を受けた設備投資需要の低迷

・ガーメントプリンター:米国を中心に需要拡大が継続

産業機器

・中国の自動車・一般機械向けを中心に、全地域で受注は回復傾向

工業用部品

・製造業全般の設備投資抑制の動きがあったものの、自動化/省人化へのニーズの高

まりを受け、需要は回復傾向

N&C事業

・店舗の休業や時間短縮営業の影響などにより、カラオケ利用者が大幅に減少

ドミノ事業

・設備投資の抑制傾向が続き、デジタル印刷機本体の需要は低迷

 

(4)事業別の取り組み

 当社グループは、中期戦略「CS B2021」に基づく活動を推進するとともに、新型コロナウイルス感染症拡大による外部環境変化への対応に取り組みました。

 

◆プリンティング・アンド・ソリューションズ事業

 レーザー複合機・プリンターでは、在宅勤務や在宅学習の機会が増加したことにより、製品本体の販売数量は増加しました。インクジェット複合機も同様に需要は拡大しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で工場の操業が一定期間停止していたことにより製品が十分供給できなかったことで、製品本体の販売数量は大幅に減少しました。

 消耗品は、顧客の在宅勤務が継続したことによりオフィスでの印刷量が低下した影響に加え、製品本体と同様に生産活動の制約を受け、売上は減少しました。

 製造面での取り組みとしては、生産効率向上のため、連結子会社の拠点再編を決定しました。一方で、消耗品を複数拠点で生産・供給できる体制の整備を進めるなど、安定供給に向けた取り組みを進めています。また、ベトナム工場内で建設を進めていた新棟が1月に竣工し、稼働を開始しました。今後も在宅勤務の定着やオフィスにおける印刷分散化ニーズの拡大など、印刷機会の多様化による複合機・プリンターの需要拡大の流れを的確に捉え、事業規模の維持・拡大を目指します。

 電子文具につきましては、ホーム・オフィス向けは各国でのロックダウンやオフィス閉鎖などの影響により一時的に需要が落ち込みましたが、第1四半期を底に需要は概ね前年の水準まで回復しました。また、特殊業務用途向けのビジネスにおいては、Eコマース市場の急拡大やフードデリバリーサービスなどの新しいサービスの台頭に合わせ、バーコードプリンターなどの自動認識市場向けの製品ラインアップの拡充や、ソリューション提案力の強化を進めました。

 

◆パーソナル・アンド・ホーム事業

 巣ごもり消費により自宅で手芸などを楽しむ人やマスクを手作りする人が増えたことで、普及価格帯を中心に家庭用ミシンの販売が好調に推移しました。加えて、欧米を中心に副業を新たに始める方が増え、中高級刺しゅう機の需要も拡大しました。

 営業活動については、対面での営業活動が制限を受ける中においても、ディーラー向けのオンラインイベントの開催や、動画配信を活用したマーケティング活動、ウェブサイトでのバーチャルショールームの開設など、新しい形の活動にも積極的に取り組みました。

 今後も、オンラインを活用した営業活動の強化や中高級刺しゅう機の販売拡大を進め、顧客基盤の維持・拡大を目指します。

 

◆マシナリー事業

 工業用ミシン分野については、アパレル需要減少による縫製工場の稼働率低下を受けた設備投資の抑制により、売上が減少しました。事業環境の悪化を踏まえ、固定費削減及び生産効率化のため生産体制の見直しを行いました。ガーメントプリンターについては、米国を中心にデジタル印刷市場が成長し、大容量インクにも対応した新製品で、新たな需要を取り込むことに成功しました。

 今後については、工業用ミシンでは、ノンアパレル市場での販売拡大、ガーメントプリンターでは、デジタル印刷による大量印刷用途向けでのプレゼンス向上を目指します。

 産業機器分野においては、米中貿易摩擦に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりグローバルで工作機械の需要が低迷したものの、受注は第1四半期を底に回復が続きました。地域別では特に中国の自動車・一般機械向け及びIT市場向けの受注が増え、中国向け全体の受注が、第2四半期から好調に推移しました。製品面では、新しい自社製制御装置を搭載した新製品を発売し、製品ラインアップの強化を進めました。

 製造面では、今後の中国国内における工作機械需要の増加に備え、中国にある連結子会社、ブラザーマシナリー(西安)の増築を行いました。これにより、中国における工作機械の生産能力は約2倍となりました。営業面では、刈谷工場(愛知県刈谷市)敷地内に、新たに工作機械のショールーム「ブラザーテクノロジーセンター」を新設しました。従来のショールーム機能に加え、加工や自動化などの技術提案機能を一段と充実させた施設として、お客様に対して幅広いソリューション提案をしていきます。

 今後については、中国を含むアジア及び国内市場での販売拡大を軸に、自動車・一般機械向けの顧客基盤の拡大を目指します。

 工業用部品分野においては、製造業全般での生産活動や設備投資抑制の影響により低迷していた需要が、緩やかに回復しつつあります。減速機については、産業用ロボットやFA機器市場に向けて、高剛性減速機を開発しました。歯車については、従来の熱処理設備を刷新し、環境負荷を低減するとともに、高精度な歯車製造を可能とする、熱処理工場の建設を開始しました。

 今後については、高剛性減速機の市場投入のスピードアップや精密歯車での新規案件獲得により、ロボット・FA市場での売上の拡大を目指します。

 

◆ネットワーク・アンド・コンテンツ事業

 新型コロナウイルス感染症拡大により、年間を通じてカラオケ利用者数が大幅に落ち込み、業績が低迷しました。このような状況の中、カラオケを安心して利用できる環境づくりに力をいれ、マスクを着用したまま歌っても歌声がこもらずはっきり聴こえる「マスクエフェクト」の開発・導入や、自宅でもカラオケが楽しめるオンラインでのカラオケ配信などに取り組みました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の再拡大を受け、自治体の要請などでのカラオケ店舗利用の制限や営業時間の短縮などもあり、厳しい環境が長期化しました。収益悪化に伴い、年間を通じて販管費削減を行ったほか、店舗の営業継続の基準を設け、不採算店舗を閉店したことなどにより、固定費を削減しました。なお、店舗の閉店に伴い、店舗資産の一部について減損損失を計上しております。

 今後については、より安心して楽しめる店舗環境づくりや、映像視聴やライブ・ビューイング、会議室としての利用などカラオケルームの多目的利用の促進、音楽をはじめとするエンタテインメント業界とのさらなる連携による魅力的なコンテンツ開発などに注力することで、収益力の回復に努めます。

 

◆ドミノ事業

 各国のロックダウンの影響を受け、一時は欧州を中心に製品本体の需要が減少したものの、食品・飲料・医薬品などの生活必需品の需要の底堅さに支えられ、C&M*4本体販売は堅調に推移しました。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大により、営業活動が制限された影響で、DP*5の本体販売は低調に推移しました。消耗品は、C&M・DPともに堅調に推移しました。

 DP分野では、ブラザー製プリントヘッド搭載のデジタル印刷機「N730i」を発表しました。加えて、コルゲート印刷機「X630i」により、コルゲート(段ボール)印刷領域に進出しました。

 今後については、C&M・DP分野での製品の拡販とサービス・ソリューション強化により、売上成長と収益性の改善を目指します。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、今後の事業計画をより慎重な前提に見直した結果、2021年3月期第4四半期連結会計期間において、のれんの一部について減損損失を計上しております。

 

◆スピード・コスト競争力のある事業運営基盤の構築

 限られたリソースを有効活用し、顧客への価値提案力を継続的に高めていくために、グループ全体で業務プロセスの抜本的な見直しを行うとともに、RPAやAIなどのITを活用した業務の自動化を推進しています。

 また、中期戦略「CS B2021」では、不採算・低収益事業の損益改善を目標に掲げ様々な活動を進めてきましたが、新型コロナウイルス感染症拡大で事業環境が大きく変化したことにより、当面は、事業の継続への対応を優先しながら、引き続き、収益性の改善に取り組んでまいります。

 

(5)ESGの取り組み

 持続的発展が可能な社会の構築に向け、環境・社会・ガバナンス(ESG)を重要視した経営を推進しています。社会的な環境課題の解決に貢献するため「ブラザーグループ 環境ビジョン2050」を定め、重要課題として「CO2排出削減」「資源循環」「生物多様性保全」に取り組んでいます。また2020年2月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同し、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会の分析を進め、経営への反映と関連情報の開示に向けて活動しております。さらに、すべてのステークホルダーから信頼される企業を目指し、RBA*6に加盟し、人権・労働・安全衛生・地球環境への影響の削減に取り組むなど、サプライチェーンにおけるリスク評価と是正への体制を強化しています。

 ブラザーグループでは従業員一人ひとりの健康をかけがえのない財産ととらえ、従業員の健康の保持・増進に取り組むとともに、ダイバーシティの推進、多様な働き方の支援により、組織能力の最大化を図っております。これらの活動をグローバルに展開することにより、持続的な企業価値の向上を図ってまいります。

 

 *1:Print Volume(印刷量)の略称

 *2:Factory Automation(工場の様々な作業や工程を機械や情報システムを用いて自動化すること)の略称

 *3:Small Office Home Office(自宅や小規模なオフィスで働く事業者、事業形態)の略称

 *4:Coding & Marking(コーディング・マーキング機器)の略称

 *5:Digital Printing(デジタル印刷機)の略称

 *6:Responsible Business Alliance(CSRの国際的推進団体)の略称

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

項 目

リスクの内容・可能性・時期・影響の程度

対応策

1.国際情勢に関するリスク

当社グループはグローバルに事業活動を行っており、中国・アジアを中心に生産拠点を有し、販売会社は世界各地に展開しているため、米中貿易摩擦やBrexitといった国際情勢の動向は事業に影響を及ぼしうる大きなリスクであると認識しております。
米中貿易摩擦については、追加関税の影響は比較的限定的でしたが、米中両国が定める輸出入規制により、今後の事業活動へ影響を与える可能性があり規制動向を注視しております。
Brexitについては、Brexit移行期間終了間際に合意した通商・協力協定により関税等の影響は発生しておりません。EU離脱に起因する英国及びEU全体の経済状況の悪化、また間接的なビジネスへの影響については今後も注意をしてまいります。

米中貿易摩擦に対しては、米国現地法人と連携し、価格戦略の見直しや消耗品の原産国の精査などを実施し追加関税の影響を極小化するとともに、今後の米中両国の規制動向に関し情報収集し迅速に対応してまいります。
Brexitに対しては、英国とEUの状況を注視しながら、貿易面、法規制面など適切な対応を進めてまいります。

2.プリンティン

グ市場の縮小

オフィス・ホーム向けのプリンティング市場は、デジタル化の進展や働き方の変化の流れを受け、プリントボリュームが減少し、緩やかな市場縮小が続いています。特に、在宅勤務の拡大・定着により、オフィス向け機器のプリントボリュームが減少する可能性があります。プリンティング・アンド・ソリューションズ事業の売上収益、営業利益は全社の半分を超える規模を占めているため、市場の動向に対応した製品やサービスを提供できない場合、当社グループ全体の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

在宅勤務の定着及びオフィス印刷の分散化が加速し、SOHO向け製品の需要は高まっています。変化する市場ニーズへの対応、上位機種の拡販により、高いプリントボリューム顧客の獲得を進めます。また、契約型など新たなビジネスモデルへの転換加速により、安定収益確保とともにお客様との繋がりを強化しています。加えて、今後も市場拡大が見込める特殊印刷やソリューション領域での売上拡大に注力し、事業規模の維持・拡大を目指します。

3.企業間競争

当社グループはプリンティング・アンド・ソリューションズ事業を始めとして、多くの市場において他社との激しい競争にさらされております。当社グループよりも多くの経営資源を有している企業との競合や、新興国の地場メーカーの台頭、あるいは競合先間の提携が行われ、市場競争が激化することが想定されます。企業間競争が激化すると、販売価格の低下や現在の市場シェアを維持できなくなることにより、当社グループの経営成績等に悪影響を受ける可能性があります。

各市場で顧客価値を実現する製品やサービスの提供に取り組むとともに、業務の効率化を推進し、手戻りの少ない開発の実践や製造コストの削減を行うことで、スピード・コスト競争力のある事業運営基盤の構築を実行しています。

 

 

項 目

リスクの内容・可能性・時期・影響の程度

対応策

4.世界経済状況の変動

当社グループはグローバルに事業を展開しているため、世界経済の状況の変動により関連する市場の動向が変化する場合、当社グループの経営成績等に影響することが想定されます。
当社のプリンティング領域の製品は、オフィス・ホーム向けや業務印刷ニーズといった特殊業務用途向けとしてお客様に利用いただいています。また、マシナリー・FA領域、産業用印刷領域の製品は、アパレル、IT、自動車、消費財の包装などの製造業にかかわる設備としてお客様に利用いただいています。世界経済状況の変動がお客様の経営状態に影響を与え、これら製品に対する投資が抑制されると、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

顧客価値を実現する製品やサービスを提供することで、短期的な世界経済状況の変動があったとしても、お客様に選ばれるブランドであり続けることを実現するため、開発、製造、販売・マーケティング、アフターサービス・メンテナンスの強化を実行しています。プリンティング領域では、コンパクトな複合機とモバイル機器やクラウドに対応できるスキャナーを組み合わせることで、インプットからアウトプットまで一貫してお客様のニーズに対応できる製品構成やサービスの提供を進めています。また、顧客層をSMB市場にも拡大し、お客様の困りごとに対するソリューションやオフィスでの最適製品・最適配置の提案、印刷管理・消耗品自動配送などの契約型ビジネスも拡大し、お客様の生産性向上とコスト最適化の実現に取り組んでおります。
また、マシナリー・FA領域、産業用印刷領域では、自動化・省人化のニーズに応える製品を継続的に市場投入していくとともに、顧客価値を実現する製品やサービスの提供に取り組む提案力を強化し、お客様の生産性向上に貢献してまいります。加えて、固定費や原材料費等の継続的な削減を実行し、世界経済状況の変動に影響されにくい収益構造の構築を図ります。

5.安全保障貿易

当社グループの産業機器事業で取り扱う工作機械は、国際的な安全保障貿易管理の枠組みによる規制品目に分類されております。
この安全保障貿易管理に関する規制動向を踏まえますと、今後、工作機械に対する一層の規制強化が想定されます。
この工作機械に対する規制強化が実施された場合、当社グループが販売する工作機械の多くが規制対象となることが想定されます。
この規制強化の結果、工作機械の生産、販売、サービスに係る海外との取引において、適正な法令遵守手続や当社の工作機械が懸念用途に使用されないためのより厳格な管理が必要となり、そのためにさらなる管理工数や費用の増加が見込まれます。
また、法改正が施行された場合、今まで以上に法令違反事故発生のリスクが高まる恐れがあります。
もし、法令違反事故が発生した場合には、法令に基づく処罰、規制当局による管理体制の見直しや一定期間の規制品目の輸出や提供の禁止などの行政指導を受ける可能性だけでなく、社会的信用の失墜等により、当社グループの事業経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。

適正な法令遵守体制を維持しつつ、このようなリスクを低減するために継続的な管理状況の評価と改善、従業員等への周知教育の実施、産業機器事業を中心としたグループ子会社及びサプライチェーンを構成する各社と連携を図ることにより、当社全体としての安全保障貿易管理体制の強化、より効率的な管理体制への再構築に努めております。

 

 

項 目

リスクの内容・可能性・時期・影響の程度

対応策

6.部材に関するリスク

当社グループの製品に使用されている樹脂材料や半導体を主とする電子部品は需要逼迫により調達困難である状態が継続するリスクがあります。

また、上記樹脂材料・電子部品価格が上昇するリスクと、更には鋼板や銅などの原材料価格が上昇するリスクがあり、製造コストを押し上げる要因になります。これらの影響を製品の販売価格に転嫁できない、あるいは経費削減、能率改善でコストを十分に吸収できない場合、将来の収益性に一定の影響を及ぼすことが想定されます。

樹脂材料や半導体を主とする電子部品の不足に対しては、調達先の検討、製品の設計変更による代替品の検討などの対策を進めます。

また、樹脂材料・電子部品、鋼板や銅などの原材料の価格高騰リスクを計画時点でも織り込むことで想定収益への影響を低減しております。

7.サプライチェーン

・サプライチェーンの断絶

・CSR調達

・サプライチェーンの断絶

当社グループは、生産・販売拠点をグローバルに展開しております。主要な生産拠点は中国・ベトナム・フィリピン等であり、販売拠点は世界各国に広がっております。感染症、戦争、テロ、大規模火災、巨大地震や地球温暖化に伴う異常気象などの想定を超える規模の自然災害等により社会的混乱が広まれば、部品調達体制を含めた生産・物流面で悪影響を受ける可能性があり、結果として市場での商品欠品による販売機会の損失や顧客流失による経営成績への影響の可能性があります。

 

 

 

・CSR調達

当社グループは、その生産拠点の多くを海外に置いており、主要な生産拠点は中国・ベトナム・フィリピン等となっております。これら諸拠点では部品調達先との取引関係がありますが、その調達先で発生する人権問題、例えば過重労働などがあった場合、お客様からの信頼を失うだけでなく、当社とお客様のお取引に影響が出る可能性があります。また、調達先のさらにその先をたどっていくと、原材料に行き着きます。その原材料において、アフリカなどの紛争地域で、不当な労働行為、例えば採掘における過酷な労働環境があった場合にも、同様にお客様からの信頼を失う可能性が出てきます。

・サプライチェーンの断絶

生産体制について、消耗品を中心に複数拠点生産によるリスク対応を行っております。また予備の生産設備の保有や部品の在庫保有などのリスク対応策も実施しております。部品調達先やその上流サプライヤーを戦略的に検討することによるリスク低減活動も行っております。販売拠点においては、欠品を防ぐための在庫水準見直しを行ってまいります。
また諸拠点においては、防災活動として、防火対策や地震・台風等の自然災害に対する一定の施策を講じております。本社機能が位置する日本でも南海トラフ地震を想定した防災危機管理体制を確立しております。

 

・CSR調達

リスク低減に向け、当社は「CSR調達方針」を制定し、ホームページでの開示の他、取引先説明会などで調達先の皆様への方針説明をおこなっています。また、2019年1月には世界的な業界団体である、RBA(Responsible Business Alliance)に加盟することで、人権問題だけでなく、安全衛生・地球環境への影響を削減するなど、サプライチェーンにおけるリスク評価と是正への体制を強化しています。
紛争鉱物については、「紛争鉱物対応方針」を制定し、ホームページに開示するとともに、お取引先の皆さまにも、紛争鉱物の使用回避に向けた調達活動に取り組んでいただくよう要請しています。

 

 

項 目

リスクの内容・可能性・時期・影響の程度

対応策

8.M&A(減損リスク)

当社グループは産業用領域のさらなる拡大・新規事業の創出・育成等に向けて、M&Aも含めた成長投資を加速する方針を掲げております。
M&A等の実施においては、事業の統合に当初想定以上の負荷がかかることや投資時点において想定した通りに投資先が事業を展開できないこと等により、予想された通りの投資効果が得られないリスクがあります。
当社グループは、2021年3月31日現在の連結財務諸表上、のれんを75,845百万円(総資産の10.2%)計上しており、そのうち、2015年に買収したドミノ事業に関連するのれんが74,657百万円を占めております。上記のリスクが顕在化し将来キャッシュ・フローの見積りが変動した場合、また、将来の金利水準や長期的な市場成長率などの変動が生じた場合、これらののれんや有形固定資産、無形資産等の減損損失が生じ、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、今後の事業計画をより慎重な前提に見直した結果、ドミノ事業ののれんの一部について減損損失27,197百万円を計上いたしました。

当社グループは、現行中期戦略「CS B2021」において、「シナジー顕在化によるドミノ事業の成長再加速」を重点戦略に掲げ、ドミノ事業の開発力、販売力の強化に向けて取り組んでおります。

また、のれんにつきましては少なくとも年に1回、減損の兆候の有無にかかわらず、将来得られるキャッシュ・フロー見積りと、帳簿価額を比較して、のれんの資産価値を確認しており、適正な評価額で計上しております。

 

9.為替変動リスク

当社グループは、海外での製造・販売比率が高く、外貨建取引に係る為替変動リスクが定常的に発生しております。グループのユーロ建売上が最も影響を受け、対ユーロで円高になると、2021年3月期の実績ベースで試算した場合、1円当たり、年間約9億円の利益の減少要因となります。
また、中国・東南アジア等、主要な製造拠点の所在地域の通貨が上昇した場合、製造・調達コストを押し上げる要因になるなど、中長期的な為替レートの変動が、経営成績等に一定の影響を及ぼすことが想定されます。
海外子会社の保有する現地通貨建ての資産(負債を控除した純額)は、各現地通貨に対して円高になると、円換算後の金額が目減りします。これは直ちに連結損益には影響しませんが、その他の包括利益が減少し、純資産を押し下げる要因となります。

リスク低減のため、外貨建取引における受取と支払のリンク率向上を図る一方で、短期的には為替予約取引を行うなど、リスクを効率的に管理し、回避するよう努めております。

 

 

項 目

リスクの内容・可能性・時期・影響の程度

対応策

10.環境

・環境に関する

社会的要請

・環境規制、環

境汚染

・環境に関する社会的要請

気候変動は、災害等による人的被害、操業の停止、サプライチェーンの断絶等、生産・販売活動に大きな影響を与える物理的リスクに加え、脱炭素社会への急速な移行に伴う法規制強化や対応コスト増、対応遅れによる販売機会喪失等の移行リスクを有し、グローバルに事業活動を展開する当社グループにとって、現在から将来にわたって極めて重要な課題であり、事業経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・環境規制、環境汚染

グローバルに事業を展開する当社グループは、各国・地域において様々な環境法規制の適用を受けております。中でもEU-RoHS指令をはじめとする製品含有化学物質に関わる法規制は、世界各国・地域において新設及び改正が頻繁に行われています。これら規制に対する違反が発生した場合、製品のリコール、生産・販売の中止、課徴金の負担、刑事罰、社会的信用の失墜等により、当社グループの事業経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。

・環境に関する社会的要請

当社グループは気候変動の原因となっている温室効果ガス排出を削減するべく、2030年中期目標(2015年度比で30%削減)を設定し、SBT(Science Based Targets)として認定を受けております。この目標の達成に向けて、温室効果ガス排出量の80%以上を占める製品の部材調達、使用、廃棄段階での排出を削減するため、特に調達する部材の省資源化・再生利用、製品の省エネルギー性能の向上・リサイクル性向上等に注力して取り組んでいます。
また、当社は2020年2月に金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に賛同致しました。そして2020年度には当社グループの主な事業に対して気候変動が与える財務的な影響の分析を実施しました。今後はこの分析結果に基づき、事業戦略の見直しも含めた適切な対応策の実施と適正な情報開示を行ってまいります。

 

・環境規制、環境汚染

当社グループは、禁止・管理対象とすべき化学物質を「ブラザーグループグリーン調達基準書」に明示すると共に、サプライヤーによる部材の適合保証、成分情報の伝達、サプライヤー監査、納入品の抜き取り検査等を実施することにより、確実な法規制遵守に努めています。
また、世界各国・地域における環境法規制の最新情報は環境担当部門が当社グループ拠点と連携を取って収集し、当社製品に必要な対策の立案を行い、製品設計変更に関わる開発、購買、製造、営業等の関連部門と協働し、製品への迅速な対策反映を図っています。

 

 

項 目

リスクの内容・可能性・時期・影響の程度

対応策

11.情報・システム

・情報セキュリティ

・情報ネットワーク

・情報セキュリティ

何らかの原因で個人情報及び機密情報が外部に漏洩した場合、お客様からの信頼を失うとともに、ブランドイメージの低下を招くなど、当社グループの事業活動や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、顧客サービスの充実を目指して、お客様向けにWebサイトにて製品情報やサポート情報の提供を行っております。このようなWebサイトにつきましては、安全な情報セキュリティレベルを維持することに努めておりますが、想定されない外部攻撃により、Webサイトの改ざんや不正なWebサイトへの誘導などの行為がなされた場合には、事業活動に悪影響を及ぼすことが考えられます。

また、近年は、IoT製品をターゲットとしたサイバー攻撃の脅威が増大しており、当社製品からお客様の個人情報や機密情報が漏洩した場合、お客様からの信頼を失い、ブランドイメージが失墜し、当社グループの事業活動や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。各国政府もIoT製品のセキュリティ向上や個人情報保護を目的とした法整備を活発化しており、法令に準拠しない製品は、対象国で販売できなくなる可能性があります。

 

 

・情報ネットワーク

当社グループは、生産管理・販売管理及び財務等に関する情報をネットワークを通して管理しております。また、近年は外部データセンターやクラウドサービスを活用し、社内のみならず社外に配置した情報システムもネットワークを通して使用しております。万が一ネットワークの切断、システムの停止等が発生した場合、これらは事業活動の阻害要因となり得ます。また、コンピュータウィルスの感染やハッキングなどにつきましても、予期し得ない外部からの侵入や攻撃がなされた場合、その内容や規模によっては、事業活動に悪影響を与える可能性があります。
また、財務報告の信頼性を維持し高めることが求められている中、予期し得ない統制上の問題が生じた場合には、財務報告の信頼性を担保できないような状況が起こり得る可能性があります。

・情報セキュリティ

当社グループは、情報管理規程を定めると共に情報管理委員会を設け、情報セキュリティー運用ルールを策定しております。また、SNS等のソーシャルメディアの利用に関しても、利用規程を定めております。それらの運用ルールや利用規程に基づき社内教育を通じて、個人情報及び機密情報の漏洩を防ぐよう努めております。また、近年はスマートフォン等により一部の社内情報の利用が出来ますが、利用端末の制限や暗号化等により管理体制の強化に努めております。さらに、個人情報や機密情報へのアクセスに関しましては、アクセス制御やアクセスログ管理を行っており、不正な取り扱いを回避しております。

当社グループは、お客様に安心して製品をお使いいただくために、「製品情報セキュリティ基本方針」を定め、グループ全体で製品セキュリティの向上を図っております。また、製品に関する脆弱性リスクが発生した場合の報告ルートや製品情報セキュリティ事故の対応体制に関する社内規程を定め、体制を構築することでリスクを最小化する対策を実施しております。各国の法令順守に関しては、海外子会社と連携し、法令等の新設・改訂の情報を察知し、法律の内容を十分に理解したうえでグループのビジネスや製品サービスへ迅速に反映するよう努めております。

 

 

 

 

 

・情報ネットワーク

情報の保存、設備の保全等の対策には万全を期しておりますが、サプライチェーンに影響する重要システムは、万が一の故障時にもダウンタイムを最小限にして早期復旧を可能とするシステム構成にしております。
予期し得ない外部からの侵入や攻撃への対策として、多層防御に基づくセキュリティ対策を行っており、定期的に見直しを行っております。24時間365日のセキュリティ監視を行うことで、PC、及びサーバ上の不正なふるまいをいち早く検知し、脅威を除去することで高度化するサイバー攻撃への対応も行っております。

上記のように、対応し得る最善の仕組みで対策を行うと同時に、日々進化するITテクノロジーに対応するため、システムを運営、利用する人材を継続的に教育することでレベルアップを図っております。万が一事故が発生した場合に備え、日頃より社内の対応組織の訓練を行い、迅速に対応することで被害を最小限に抑えるよう努めております。

内部統制への対応として、IT全般統制の視点から情報システムの開発・保守・運用業務の品質向上活動を継続し、適正なIT業務運用に努めております。

 

 

項 目

リスクの内容・可能性・時期・影響の程度

対応策

12.人材

・労働災害、

人的被害

・人材確保

・労働災害、人的被害

当社グループはグローバルに事業拠点を展開しており、多様性や環境、安全に対する意識並びに順守すべき法律も拠点所在国・地域によって異なっています。そうした労働条件において軽微なものから障がいが残る重篤な災害まで多くのリスクが労働環境には潜んでいます。加えて、昨今の想定を超えた天災から生じる被害や機械・設備などが起因となる火災、爆発などの事故で製造拠点の操業を停止することで社会責任が果たせなくなると共に当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

・人材確保

労働市場における人材の獲得競争は激化しており、有能な人材の採用や雇用の継続が困難になった場合は、研究開発に十分な資源を投入できないことによる製品競争力の低下や労働力不足による製品の安定供給への支障など、結果として当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。発生可能性は現時点で低いものの、特にブランドイメージが著しく損なわれた場合に発生することが想定され、影響は案件の内容次第となります。

・労働災害、人的被害

グループ各拠点の安全防災事務局から毎月の事故・災害状況を入手して、発生した災害に関しては原因の究明や再発防止策などの情報を共有し水平展開を図ることで同種・同類災害の再発を防止しています。また、各拠点で実施されている安全防災活動を支援し、工場監査を通じて実施状況の確認を行っております。
なお、火災・爆発のリスクに関しては、2017年に「ブラザーグループ防災体制・管理規程」を制定し、各国の消防法令の枠を超えたグループ標準を設けて遵守事項についての監査を実施しています。

 

・人材確保

当社グループは、グローバルに展開する企画、開発、設計、製造、販売、サービス等の各機能に必要な人材確保に努めております。
人材の定着においては、従業員が長期にわたって活躍できるよう人事制度の進化や職場環境の継続的な改善に取り組むとともにキー人材についてはサクセッションプランの策定を行っています。
またブランドイメージの維持向上については、グローバル憲章による社員啓発や企業広報の強化に取り組んでいます。

 

 

項 目

リスクの内容・可能性・時期・影響の程度

対応策

13.法規制

・コンプライアンス全般

・税制

・コンプライアンス全般

当社グループは、事業活動を行っている各国・地域において、様々な法令や規制の適用を受けております。各国・地域の法令・規制の新設・変更によって、当社グループの事業活動が大きく制限されたり、法令や規制対応のために多額の費用負担が発生する可能性があり、意図せずに法令・規制に違反した場合には、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、従業員による不正行為によって当社グループにおいて損害が発生し、または当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・税制

当社グループは、グローバルに事業活動を展開しており、事業拠点を有する各国・地域における税制の適用を受けております。各国・地域における税制や税率が変更された場合、当社グループの経営成績等にマイナスの影響を与える可能性があります。
また、BEPS問題(税源浸食と利益移転)に対処するため各国・地域の税務当局による取組が強化されており、今後、法規制が変更された場合や税務執行が厳格化された場合、追加課税や国際的な二重課税が発生し、税負担が上昇するリスクがあります。

・コンプライアンス全般

当社グループは、コンプライアンス(法令・倫理の順守)がCSR経営の基盤を支え、さまざまなリスクを回避する上で不可欠なものであると考えています。グループ全体でコンプライアンスを徹底するために「ブラザーグループ グローバル憲章」の行動規範のひとつである「順法精神・倫理観」と、企業としての責任を明確に定義し行動していくための「ブラザーグループ社会的責任に関する基本原則」に基づいて、従業員の行動基準を定めています。
当社では、コンプライアンス委員会の設置や相談通報窓口(ヘルプライン)を設けて不祥事の未然防止や早期対応、再発防止に努めています。海外を含むグループ各社でも個別にコンプライアンス委員会・部門やコンプライアンスヘルプラインを設置して対応しています。
重要なコンプライアンス案件については、グループ各社のコンプライアンス委員会・部門だけでなく、当社のコンプライアンス委員会にも通知され、グループ一体となって対応する体制を築いています。

 

・税制

重要な税務上の事項については、各地域の統括会社を通して、当社税務部門に適宜共有され、税理士法人などの外部専門家のサポートを受けるだけでなく、必要に応じて税務当局ともコミュニケーションを取って対処しております。また、当社グループ間の取引については、独立企業間価格となるように、各国・地域との移転価格を適切に管理しており、移転価格課税リスクの高い取引については、APA(事前確認制度)を活用することで税務リスクを低減しています。

14.品質・製造物責任

すべての製品に対し欠陥がなく、将来に製品安全問題や品質問題が発生しないという保証はありません。それらの重大な問題が発生した場合の可能性として、多額のコストを要するほか、ブランドイメージや社会的評価が低下し、顧客の当社グループ製品への購買意欲を減少させ、当社グループの経営成績等が影響を受けることがあります。

当社グループは、高品質の魅力ある製品を提供するため、厳格な品質管理基準に従って生産管理体制を確立し、製品の製造を行っております。製造委託先から供給を受ける製品に対しても、適正な品質レベルであることを検証しております。また、仮に製品起因の事故が発生した場合には、被害者への対応を第一優先に行うとともに情報公開、官公庁への報告など被害拡大の抑制に取り組んでいきます。

 

 

項 目

リスクの内容・可能性・時期・影響の程度

対応策

15.知的財産

(1)第三者による模倣品の販売など、第三者による当社グループ所有の知的財産権の侵害が発生する可能性があります。この結果、当社グループの経営成績等が悪化したり、信用が低下したりする可能性があります。


(2)第三者所有の特許権等について、第三者より

当社グループに対し、侵害の訴えが提起され

る可能性があります。第三者の主張が認められると、製品の販売の差止めや、損害賠償の支払などが求められる可能性があります。

 


(3)当社グループは、必要に応じて、特許権等知

的財産権に関するライセンス契約を他社と締

結しつつ、事業活動を行っております。しか

しながら、ライセンス契約の条件によっては

事業活動が影響を受ける可能性があります。

 

 


(4)発明者より、発明の報奨に関する訴えが提起

される可能性があります。

(1)当社グループは、第三者による侵害行為に

対しては、経営成績等や信用への影響度を考

慮しつつ、知的財産権を行使しております。

 

 


(2)当社グループは、他社の特許権等の知的財産

権を尊重して事業活動を行っておりますが、

第三者から侵害の訴えが提起された場合に

は、内容を精査した上で、防御や和解などの

対策を講じております。
 

 

(3)当社グループでは、研究開発の成果として多

数の特許権を取得しております。保有する一

部の特許権について相手方へライセンスを供

与するなどの対策を講じつつ、事業活動への

影響が最小限になるように契約を締結してお

ります。


 

(4)当社グループは、発明報奨規程を設けており、

発明者に対する報奨を適切に行っております。

16.新型コロナウイルス感染症

当社グループはグローバルに事業活動を行っており、新型コロナウイルス感染症の影響により、生産面において各国政府判断による国民の自宅待機など自社拠点及び生産部品取引先の操業度の低下が継続するリスクがあります。物流においても国際間の輸出入における制限や混乱が発生し調達や出荷に影響が出る可能性があり、またコンテナ不足に起因する海上運賃の世界的な上昇による利益面への影響が継続する可能性があります。
販売面において、特に日本国内を中心に展開するネットワーク・アンド・コンテンツ事業におきましては、政府の緊急事態宣言等により直営カラオケボックス店舗等の来客数減少が長期におよぶ場合には経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

お客様、お取引先様、及び全従業員の健康と安全を最優先に考え感染防止策を講じたうえで、事業活動の継続に努めてまいります。
製造工場では事業所内での感染防止策を徹底し、生産部品取引先とも連携を取りながら生産を継続していきます。
販売会社やオフィス業務等では引き続き各国の規制の下で在宅勤務や時差出勤などを柔軟に活用してまいります。
ネットワーク・アンド・コンテンツ事業においても直営カラオケボックス店舗等の営業等に関し、地域ごとの規制の状況に応じて、お客様や従業員の安心・安全策を徹底したうえで営業活動への判断をしてまいります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 当社グループの財政状態及び経営成績は次の通りです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。

 なお、当社グループの業績管理は、事業セグメント損益及び営業損益により行われております。事業セグメント損益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

①経営成績の状況

当期における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、年度前半において急速に減速したのち、緩やかな回復の兆しを見せています。地域別には、中国経済は順調な回復を見せる一方、感染が再拡大した欧州などにおいては経済活動の制限が長期化し、依然として先行き不透明な状況が続いています。

当社グループに関連する事業環境は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、プリンティング市場では、在宅勤務や在宅学習用途として、小型複合機・プリンターの需要は大きく増加しました。一方で、各国のオフィスの閉鎖等による影響や、在宅勤務などへの働き方の変化に伴い、オフィスでの印刷需要は減少しました。家庭用ミシンは、自宅で過ごす時間が増えたことによる手作り需要の高まりを受け、普及機を中心に需要が拡大しました。マシナリー事業の関連分野では、産業機器は中国を中心として需要回復の兆しが出てきているものの、工業用ミシンに関しては、新規投資への抑制傾向が続き、需要は低迷しました。国内におけるカラオケ市場は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、カラオケ利用者が大幅に減少し、厳しい状況となりました。ドミノ事業の関連分野では、コーディング・マーキング機器の需要は堅調に推移したものの、大型のデジタル印刷機などへの新規設備投資の抑制傾向が続きました

このような状況の中、当期における当社グループの連結業績は、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業では、在宅需要の堅調さが持続し、レーザー製品本体が好調に推移したものの、オフィスでの印刷需要の減少、インクジェット本体の供給不足による影響などにより、事業全体では減収となりました。パーソナル・アンド・ホーム事業では、マスクなどの手作り需要の拡大を受け、大幅な増収となりました。マシナリー事業では、工業用ミシンの設備投資需要の落ち込みが続いているものの、産業機器の需要が回復し、事業全体で増収となりました。ネットワーク・アンド・コンテンツ事業では、店舗の休業や時間短縮営業の影響などにより、大幅な減収となりました。ドミノ事業は、生活必需品の需要の底堅さに支えられコーディング・マーキング機器が堅調に推移し、増収となりました。

これらの結果、売上収益は、前期比0.9%の減収となる631,812百万円、事業セグメント利益は、前期比16.6%の増益となる78,076百万円となりました。営業利益は、ドミノ事業におけるのれんの減損損失、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業の一部の連結子会社における拠点再編費用、ネットワーク・アンド・コンテンツ事業での店舗事業における資産の減損損失を計上したことなどにより、前期比36.5%の減益となる42,731百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比50.5%の減益となる24,520百万円となりました。

 

*平均為替レート(連結)は次の通りであります。

当期 米ドル :106.17円   ユーロ :123.73円

前期 米ドル :109.10円   ユーロ :121.14円

 

セグメント別の業績は、次の通りであります。

 

1)プリンティング・アンド・ソリューションズ事業

売上収益  384,766百万円(前期比△1.5%

〇通信・プリンティング機器 337,950百万円(前期比△1.1%)

レーザー複合機・プリンターでは、在宅勤務や在宅学習の機会が増加したことにより、製品本体の販売数量は増加しました。インクジェット複合機においても、在宅勤務や在宅学習の機会が増加したことにより需要は拡大しましたが、工場の操業が停止していたことによる供給への制約が影響し、製品本体の販売数量は大幅に減少しました。消耗品は、在宅勤務などへの働き方へのシフトに伴いオフィスでの印刷量が低下し、売上は減少しました。
 これらにより、事業全体での売上は、ほぼ前年度並みとなりました。

〇電子文具 46,816百万円(前期比△4.4%)

モバイルプリンターを中心とするソリューション分野は、大口案件の獲得などにより堅調に推移しました。ラベルライター・ラベルプリンターでは、需要は緩やかに回復しているものの年度前半における各国のロックダウンが影響し、事業全体では減収となりました

事業セグメント利益 65,151百万円(前期比+14.1%

営業利益      60,989百万円(前期比+6.8%

消耗品の販売減に伴う粗利の減少があったものの、販売にかかる費用の抑制などにより、事業セグメント利益は、増益となりました。営業利益については、一部の連結子会社における拠点再編の一時的な費用の発生があったものの、事業全体では増益となりました。

2)パーソナル・アンド・ホーム事業

売上収益  53,668百万円(前期比+31.3%

家庭用ミシンは、自宅で過ごす時間が増えたことで、手作り需要が喚起され、普及機を中心に販売が好調に推移したことに加え、欧米を中心に副業用途での中高級刺しゅう機の需要も拡大し、大幅な増収となりました。

事業セグメント利益 9,803百万円(前期比+213.3%

営業利益      9,641百万円(前期比+203.7%

巣ごもり消費及び副業用途での需要の高まりを受け、家庭用ミシンの販売が好調に推移したことにより大幅な増益となり、事業として過去最高益となりました。

 

3)マシナリー事業

売上収益  78,917百万円(前期比+5.5%

〇工業用ミシン 24,154百万円(前期比△12.6%)

ガーメントプリンターは需要拡大が続いたものの、工業用ミシンはアパレル需要減少による縫製工場の稼働率低下を受けた設備投資の抑制により売上が減少し、事業全体で減収となりました。

〇産業機器 38,714百万円(前期比+29.8%)

自動車・一般機械向けでの中国における需要の回復に加え、IT向けでの在宅勤務の増加を受けたノートPCなどの需要の拡大により、増収となりました。

〇工業用部品 16,047百万円(前期比△7.5%)

国内向けを中心に製造業全般の生産活動鈍化や設備投資抑制の動きにより低迷していた需要は緩やかに回復しつつあるものの、事業全体で減収となりました。

事業セグメント利益 4,120百万円(前期比+493.4%

営業利益      3,303百万円(前期比+439.2%

事業セグメント利益は、工業用ミシンの需要低迷による影響があるものの、産業機器の需要の回復に加えて販管費の抑制による効果もあり、事業全体で大幅な増益となりました。営業利益は、工業用ミシンの生産体制見直しに伴う一時的な費用の発生があったものの、事業全体で大幅な増益となりました。

 

4)ネットワーク・アンド・コンテンツ事業

売上収益  31,044百万円(前期比△36.8%

新型コロナウイルス感染症拡大の影響による直営店舗の一定期間の全店休業、時間短縮営業要請への対応などによりカラオケ利用者数は大幅に落ち込み、店舗事業の売上は低迷しました。加えて、業務用カラオケ機器の新規需要の落ち込みにより、大幅な減収となりました。

事業セグメント損失 5,159百万円 (前期同期 事業セグメント利益 2,087百万円)

営業損失      7,348百万円 (前年同期 営業利益 1,864百万円)

事業セグメント利益は、年間を通じて販管費の削減を行ったものの、店舗の休業や時間短縮営業による影響及びカラオケ機器販売の落ち込みによる売上の減収を受け、大幅な赤字となりました。営業利益については、雇用調整助成金(新型コロナ特例)による効果があったものの、店舗事業の採算性悪化に伴う資産の減損損失を計上したことなどにより、大幅な赤字となりました。

 

5)ドミノ事業

売上収益  69,824百万円(前期比+3.4%

各国のロックダウンを受け欧州を中心に製品本体の需要は減少したものの、食品・飲料・医薬品などの生活必需品の需要の底堅さに支えられ、第2四半期からは、コーディング・マーキング機器の製品本体は堅調に推移しました。一方で、デジタル印刷機の製品本体は、顧客の設備投資需要の抑制や営業活動の制限により、低調に推移しました。消耗品は、コーディング・マーキング機器、デジタル印刷機ともに堅調に推移し、増収となりました。

事業セグメント利益 4,753百万円(前期比+25.5%

営業損失      23,940百万円 (前年同期 営業利益 3,918百万円)

事業セグメント利益は、売上の回復により増益となりました。営業利益は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により今後の事業計画を慎重に見直した結果、のれんの一部について減損損失を計上したことにより、大幅な赤字となりました。

 

②財政状態の状況

 資産合計は、減損損失の計上などによるのれん及び無形資産の減少の一方、現金及び現金同等物、棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ12,424百万円増加し、743,896百万円となりました。

 負債合計は、営業債務及びその他の債務の増加の一方、社債の償還や新型コロナウイルス感染症による事業や金融環境の変化に対応するため前連結会計年度に借り入れた手元資金の借入金返済による社債及び借入金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ42,111百万円減少し、244,189百万円となりました。

 資本合計は、前連結会計年度末に比べ54,535百万円増加し、499,707百万円となりました。

 

 当期における期末為替レートは、次の通りです。

   米ドル :110.71円   ユーロ :129.80円

 

 

③キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況については、現金及び現金同等物(以下「資金」)は、営業活動により109,265百万円増加、投資活動により25,080百万円減少、財務活動により74,038百万円減少等の結果、当連結会計年度末は前連結会計年度末と比べ22,580百万円増加し、191,002百万円となりました。

当期における各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は、次の通りです。

 

1)営業活動によるキャッシュ・フロー

税引前利益は42,944百万円で、減価償却費及び償却費38,252百万円、減損損失30,787百万円など非資金損益の調整などによる資金の増加、営業債権及びその他の債権の減少による資金の増加7,484百万円、棚卸資産の減少による資金の増加3,953百万円、営業債務及びその他の債務の増加による資金の増加1,232百万円などがあり、法人所得税の支払額16,945百万円などを差し引いた結果、109,265百万円の資金の増加となりました。

 

2)投資活動によるキャッシュ・フロー

有形固定資産の取得による支出20,655百万円、無形資産の取得による支出6,859百万円などにより、25,080百万円の資金の減少となりました。

 

3)財務活動によるキャッシュ・フロー

新型コロナウイルス感染症による事業や金融環境の変化に対応するために前連結会計年度に借り入れた短期借入金の返済による支出30,012百万円、リース負債の返済による支出8,798百万円、配当金の支払額14,830百万円、社債の償還による支出20,140百万円などにより、74,038百万円の資金の減少となりました。

 

④生産、受注及び販売の状況

1)生産実績

当社グループの生産実績は、販売実績と近似しておりますので、記載を省略しております。

2)受注実績

当社グループの生産活動は、その多くを見込生産で行っておりますので、受注実績は記載しておりません。

3)販売実績

当社グループの販売実績は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記6.セグメント情報」を参照下さい。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成されております。

 IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行うことが要求されております。当社グループの判断、見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)当連結会計年度の経営成績

 経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」を参照下さい。

 

2)経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループは、製品・サービスの販売、製品の製造など、事業活動の大半を海外で展開しております。よって、グループの業績は、各国の市場動向、為替動向、海外工場におけるモノづくり力の維持・強化など、様々な要因により影響を受ける可能性があると認識しております。

 まず為替リスクに対する対応としては、利益への影響が大きいユーロについては、一定の基準に基づき為替予約を行うことで、急激な為替レートの変動が業績に与える影響をコントロールしております。

 製造面に関しては、コストダウンや様々なリスクヘッジを目的に、各事業とも中国を中心とした体制から、ベトナムやフィリピンといったアジア地域を中心とした体制へとシフトを進めております。製造拠点を分散化させることで、災害や事故などのリスクを低減し、安定した製品供給を実現してまいります。

 また、事業別に見ると、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業が占める割合は売上収益の60.9%、事業セグメント利益の83.5%を占めており、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業の業績動向が経営成績に重要な影響を与える最大の要因となっております。当社グループは、SOHO向けのレーザー複合機・プリンターにおいて、米国や西欧などの先進国地域を筆頭にグローバルで高いシェアを保持しているだけでなく、収益性についても、事業セグメント利益率16.9%と、高い収益性を実現しております。この分野においては、競合企業間の事業再編の影響などもあり、競争環境は比較的穏やかな状況が継続していることから、今後もグループ全体の収益を支える事業として、持続的な成長を実現してまいります。一方でこの分野は、デジタルデバイスの普及や、インターネットを中心としたテクノロジーの進化、オフィスにおける働き方の変化、顧客の購買方法の変化など、ビジネス環境が刻々と変化していることから、持続的な成長の実現に向けて、変化への対応力が求められております。

 ブラザーグループは、このような状況に対応するため、2021年度を最終年度とする中期戦略「CS B2021」(2019年度~2021年度)を策定し、「次なる成長に向けて」をテーマに、成長基盤の構築を目指してまいります。

 

3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 中期戦略「CS B2021」では、2021年度の業績目標を以下に設定しております。

 

 

2020年度実績

CS B2021業績目標

売上収益

6,318億円

7,500億円

営業利益

427億円

750億円

 

4)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 事業セグメントごとの経営成績の状況については、(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」を参照下さい

 

 

5)当社グループの資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性維持及び、柔軟で効率的な資金の確保を財務活動の重要な方針としております。この方針に従って、当社グループは、グループ会社が保有する資金をグループ内で効率よく活用するキャッシュマネジメントシステムを構築し運用しております。資金の偏在をならし、グループ全体で借入を極力削減する体制を整えております。

流動性管理

当社グループは、現金及び現金同等物を手元流動性と位置付けております。当連結会計年度末現在、当社グループは、売上収益の約4ヶ月分に相当する現金及び現金同等物191,002百万円を保有しております。

当社グループは、当社及び金融子会社などの資金調達拠点を通じたキャッシュマネジメントシステムの活用により、資金の効率化を図り、流動性を確保しております。

これにより、季節的な資金需要の変動、1年以内に期限の到来する借入、新型コロナウイルス感染症などによる事業環境リスク等を考慮の上、通年にわたり十分な手元流動性を確保していると考えております。

資金調達

運転資金等の短期資金は、原則として期限が1年以内の短期借入金を現地通貨で調達することとし、生産設備等の長期資金は、内部留保資金の他、固定金利の長期借入金及び社債等で調達することを基本方針としております。当連結会計年度末現在、1年内返済予定の長期借入金の残高は、19,167百万円で、通貨は米ドル、日本円であります。長期借入金の残高は38,290百万円であり、通貨は米ドル、日本円であります。

当社は、株式会社格付投資情報センターから格付けを取得しています。当連結会計年度末現在、発行体格付けがA、コマーシャルペーパーがa-1であります。金融・資本市場へのアクセスを保持するため、一定水準の格付けの維持は重要と考えております。

当社グループでは、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力に加えて、手元流動性、健全な財務体質により、当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び設備投資・研究開発資金等を確保することが可能と考えております。

資金の需要動向

中期計画「CS B2021」では、成長のための投資枠として50,000百万円を設定しており、産業用領域の更なる拡大、新規事業の創出、育成、インクジェット関連の設備補強やM&Aを含めた成長投資を加速します。

        次なる成長に向けた成長基盤の構築のための投資を行う一方で、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に

     載の基本方針に基づき、株主利益還元を実施してまいります。

これらの資金需要に対応するため、営業キャッシュ・フローの獲得、また、必要に応じて、成長投資のための資金調達を機動的に実施する方針であります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

技術契約

契約会社名

相手先

(国名)

内容

契約期間

当社

キヤノン株式会社

(日本)

電子写真及びファクシミリに関する特許実施権の許諾

2009年6月27日から対象特許の満了日まで

株式会社リコー

(日本)

電子写真技術及びファクシミリ装置に関する特許実施権の許諾

2019年10月1日から5年間

Lemelson Medical,

Education and

Research

Foundation(米国)

画像処理技術及びバーコード技術等に関する特許実施権の許諾

1998年4月2日から対象特許の満了日まで

セイコーエプソン株式会社

(日本)

印刷装置等に関する特許実施権の許諾

2018年6月28日から対象特許権の満了日まで

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループでは、固有の技術を生かしてお客様の求める製品・サービスを生み出すことが真の技術力であると考えています。それは優れた技術も製品に生かされてこそ価値が生まれると考えるためです。お客様に評価され選ばれる製品をご提供するために、当社グループの技術者はお客様と向き合い、お客様の声に真摯に耳を傾けています。そして、お客様が喜ぶ顔をどんな技術で実現するか、どんな製品でお客様の役に立つことができるかを常に考えながら価値創造に取り組んでいます。

 

 試験研究に従事する者は、グループ全体で2,182人であります。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、43,080百万円であります。

 

 当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発内容や研究開発成果及び研究開発費は、次の通りであります。

 

(1)プリンティング・アンド・ソリューションズ事業

 レーザーやインクジェットなどのプリンティング技術を追求し、ワークスタイルの革新を提案します。代表的な製品としては、コンパクト性を追求したプリンターのほか、1台にプリンター・ファクス・コピー・スキャナーなどの機能を搭載した複合機、また、使いやすさにこだわったラベルライターがあります。これらの情報通信機器で、SOHO(Small Office・Home Office)やSMB(Small and Medium Business)などで幅広いニーズにお応えします。

 また、海外生産が加速する流れの中で、モノ創り企業としての足腰を固めるため、製造をサポートするための生産技術開発を行い、モノ造りの早い段階での性能・品質の作りこみを目的としたプロセス改革、及び超精密加工技術なども推進しています。

 当連結会計年度の主な成果としては、インクジェットプリンター「PRIVIO(プリビオ)」の新製品として、スマートフォンからの印刷がさらに便利になった「DCP-J987N-W」の発売をあげることができます。

 電子文具においては、ラベルプリンターの新製品として、高速・大量印刷を実現したブラザー初の産業用ラベルプリンター「TJ-4T」シリーズの発売をあげることができます。

 当事業に係る研究開発費は、28,281百万円であります。

(2)パーソナル・アンド・ホーム事業

 高性能かつ高付加価値の製品を提供できる業界随一の開発力を有しています。特に電子技術の強みを生かした最先端の機能を使いやすい形でお客様に提供することで、市場をリードしています。

 当連結会計年度の主な成果としては、業界初の縫製前のシミュレーションができるプロジェクター搭載の国内最上位モデルの家庭用刺しゅうミシン「LUMINAIRE XP1(ルミナイアー XP1)」の発売をあげることができます。

 当事業に係る研究開発費は、2,007百万円であります。

 

(3)マシナリー事業

 使いやすさ、高品質な縫製、省エネルギーを実現した工業用ミシン、スマートフォンなどのIT関連機器や自動車・オートバイの部品加工に最適な工作機械をお客様に提案し、密着したサポートをすることで、生産性向上と新たな価値創出をお手伝いしています。また、減速機・歯車分野では、よりユーザーニーズに合致した製品を開発することを目的としております。

 当連結会計年度の主な成果としては、工業用ミシンにおいては、電子送り本縫メス付ダイレクトドライブ自動糸切りミシン「NEXIO S-7780A」の発売をあげることができます。

 工作機械においては、立形30番マシニングセンタでは最大級の加工エリアを有する「コンパクトマシニングセンタ SPEEDIO W1000Xd1」の発売をあげることができます。

 減速機においては、高剛性・高トルク、大口径中空を特徴とした高剛性減速機中空タイプの開発を完了したことが挙げられます。

 当事業に係る研究開発費は、5,091百万円であります。

 

(4)ネットワーク・アンド・コンテンツ事業

 通信カラオケ事業において、業務用通信カラオケシステムを提供するとともに、通信カラオケで培ったコンテンツや配信技術を活用し、健康分野に向けたサービスや映像コンテンツの配信など、新たな顧客価値を追求しています。

 当事業に係る研究開発費は、872百万円であります。

 

(5)ドミノ事業

 各種コーディング・マーキング機器の販売からアフターサービスまでの一貫した提供を通じて、お客様による品質管理やトレーサビリティーの向上などの需要にお応えします。

 また、インクジェット方式のデジタル印刷機、及びそのアフターサービスまでの一貫した提供を通じて、お客様によるラベルなどパッケージ印刷に対する多種少量化・短納期化などの需要にお応えします。

 当事業に係る研究開発費は、4,007百万円であります。

 

(6)その他事業

 当事業に係る研究開発費は、2,819百万円であります。