第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、常に高品質で価値ある商品とサービスの提供を通じて社会・文化の向上に貢献するべく、法令等遵守のもと、各ステークホルダーの皆様と健全で良好な関係を維持しつつ、適正で効率的な経営に努めております。

また、当社グループは外部環境の変化に対応した強固な収益体質の構築を目指し、効率的な経営、生産効率の向上、研究・開発体制及び販売・サービス体制の強化等を行ってまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、「企業価値の向上」を経営方針の一つに揚げており、株主・従業員を含む全てのステークホルダーとのより一層良好な関係を構築し、企業価値を高める為、収益構造の改善と企業体質の強化に努めてまいります。

なお、2019年5月10日に公表した2020年3月期から2022年3月期までの中期経営計画「JANOME 2021 Navigation  for the Future」において営業利益率8%、自己資本純利益率(ROE)8%、総資産経常利益率(ROA)7%を中期目標としております。

 

(3)当社グループの対処すべき課題

当社グループは、2016年5月に、2016年度から2018年度の3ヵ年を対象とした中期経営計画「JANOME BREAKTHROUGH 2018」を策定いたしました。

この計画においては、「変革に取り組み、現状を打破することで次の100年を生き抜く」ことをテーマに据え、中期目標を“家庭用ミシン事業で、業界をけん引するリーディングカンパニーとなり、かつ産業機器事業を家庭用ミシンと並ぶ第二の柱に育て上げ、これらにより持続的成長を続ける。”こととし、その達成に向け取り組んでまいりました。

この中期経営計画を終了した現時点で振り返ると、経営の最優先課題であった復配を遂げることができたほか、産業機器事業が、家庭用ミシンに次ぐ第二の柱として成長を遂げ、一定の基盤を確立することができました。一方、主力の家庭用ミシン事業は、当初想定していた市場環境が、政治的・経済的要因により大きく変化し、これへの対応に、迅速さ・的確さを欠いたことなどにより、目標達成に齟齬をきたしました。

この結果を受け、2019年度から2021年度を対象とした新たな中期経営計画「JANOME 2021 Navigation for the Future」を策定いたしました。当社は、この中期経営計画の最終年度に創業100周年を迎えることもあり、基本方針を、主力である家庭用ミシン事業については事業基盤の強化に努め、産業機器事業については更なる投資を行い、活発な営業活動を行うことで、より強固な第二の柱とすることと定め、ミシン専業メーカーから「新生ジャノメ」への飛躍を目指してまいります。

この基本方針に基づき、事業部門ごとに次の重点施策を掲げ、鋭意取り組んでまいります。

   家庭用機器事業

・リーディングカンパニーとして業界をけん引し、市場の健全化に努める

・世界市場シェア2割(180万台)確保

・欧米市場における高付加価値製品の拡販

・地域特性に応じた製品投入、マーケティング展開

・日本国内の既存インフラを最大限に活用したエリアマーケティングの推進

・講習会やイベントを通じた高付加価値製品の拡販と需要の創出

   産業機器事業

・海外有望市場、未開拓市場への積極的な進出、営業展開

・国内外の営業・サービス拠点の拡充

・製品と付随設備のパッケージ販売の促進

   生産部門

・材料の調達先・調達方法の見直しによる原価低減

・業務効率化による生産性向上

・適地適産を念頭に置いた生産体制の最適化

   開発部門

・次世代プラットフォームの構築による開発期間短縮

・要素技術の開発と蓄積

・技術水準向上に向けた人財育成

・市場ニーズを的確に捉えた魅力的な製品開発

   全部門

・ステークホルダーとの良好な関係構築による企業価値向上

・働き方改革の推進による生産性の向上、ワーク・ライフ・バランスの同時実現

・人財育成、個々の能力の向上

 

(4)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

①基本方針の内容の概要

当社は、公開会社である当社の株券等については、株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方は、最終的には株主全体の意思により決定されるべきであり、当社の株券等に対する大量買付行為(下記③ロ)で定義されます。以下同じとします。)があった場合、これに応じるか否かの判断は、最終的には当社の株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。

しかしながら、近時わが国の資本市場においては、対象となる企業の経営陣の賛同を得ずに、一方的に大量買付行為を強行する動きが顕在化しております。こうした大量買付行為の中には、対象会社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益に資さないものも想定されます。
 当社といたしましては、このような当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益の向上に資さない大量買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては不適切であると考えており、このような者が現れた場合には、必要かつ相当な対抗手段を講じることが必要であると考えます。

 

②基本方針の実現に資する特別な取り組みの内容の概要

当社取締役会は、下記の取り組みは、下記イ)記載の当社の企業価値の源泉を十分に理解した上で策定されており、当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を中長期的に向上するべく十分に検討されたものであることから、上記の基本方針に沿うものであり、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えております。

 

イ)企業価値向上に資する取り組み

当社は1921年に創業し、日本国内で初めてミシンの国産化を成し遂げて以来、「世界の人々の豊かで創造的な生活の向上を目指す」「常に価値ある商品とサービスの提供を通じて社会、文化の向上に貢献する」という企業理念及びジャノメグループ行動憲章に基づき、企業価値の向上に取り組んでおります。

1964年には蛇の目ミシン技術研究所を設立、1979年には国産初のコンピュータミシンを発売したのをはじめ、常に家庭用ミシン業界のリーダー的存在として、製品開発力、技術力を活かした新製品を提供してまいりました。さらに1990年には24時間風呂「湯名人」シリーズを発売、優れた技術と製品の利便性の高さから、お客様の支持を得て、同市場では高いシェアを維持しております。また、家庭用ミシンの生産で培った先進技術をベースに、「卓上ロボット」「エレクトロプレス」などの産業用機器を開発、携帯電話等の情報端末機器や自動車関連企業など生産現場の省力化と高度な品質管理が求められる企業に向けて、積極的に販売活動を展開しております。企業の生産拠点が海外へシフトしている状況に対応すべく、各拠点の販売・サービス体制の拡充にも注力しております。

当社グループの企業価値の源泉は①技術力と経験、②マーケティングと開発力、③ブランド、④販売力、⑤人財等にあると考えています。

具体的には、第一に、90年以上の歴史を通じて蓄積してまいりました技術と経験を活かして、多くの製品群を提供、第二に、世界各地域の市場から効率的なマーケティングにより得た情報を活かした魅力的な製品の開発、第三に、90年以上にわたる歴史と高い技術力に支えられた家庭用ミシン・産業機器における「JANOME」ブランド、第四に、直営支店・代理店・量販店等を通じた堅固な国内販売網と販売子会社・現地代理店等の海外販売網、第五に、これまで述べました「技術力・経験」、「開発力」、「ブランド」、「販売力」を具体的に担う人財群です。

当社は引き続きグローバルシェア拡大を図るとともに、お客様をはじめ株主の皆様にとってかけがえのない企業を目指し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

ロ)中期的な経営課題への取り組み

中期的な経営課題への取り組みにつきましては、上記「(2)当社グループの対処すべき課題」に記載しております。

 

 

ハ)コーポレート・ガバナンスについて

コーポレート・ガバナンスに関する取り組みにつきましては、下記「第4 提出会社の状況 4(1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。

 

③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの内容の概要

イ)企業価値の向上及び会社の利益ひいては株主共同の利益の実現

当社は、大量買付行為が行われた場合、当該大量買付行為が当社の企業価値の向上及び会社の利益ひいては株主共同の利益の実現に資するものであるか否か、株主の皆様に適切に判断していただき、当社株券等の大量買付行為に関する提案に応じるか否かを決定していただくためには、大量買付者(下記 ロ)で定義されます。)及び当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供され、検討のための十分な期間が確保されることが不可欠であると考えます。また、当社取締役会は、当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益の確保又は向上の観点から大量買付行為の条件・方法を変更・改善させる必要があると判断する場合には、大量買付行為の条件・方法について、大量買付者と交渉するとともに、株主の皆様に対して代替案の提案等を行う必要もあると考えておりますので、そのために必要な時間も十分に確保されるべきであります。

当社は、このような考え方に立ち、2016年6月17日開催の第90回定時株主総会にて、当社株券等の大量買付行為への対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)を更新することをお諮りし、株主の皆様より承認、可決されました。本プランは、大量買付者に対し、本プランの遵守を求めるとともに、大量買付者が本プランを遵守しない場合、ならびに大量買付行為が当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を著しく害するものであると判断される場合の対抗措置を定めています。

 

なお、本プランは当事業年度末のものを記載しています。本プランの有効期間は、第93回定時株主総会の終結の時までとなっており、当社は2019年5月21日開催の取締役会において、本プランを継続しないことを決議しています。

 

 

ロ)本プランの対象となる行為

本プランの対象となる行為は、概ね、当社株券等の20%以上の買付けその他の有償の譲受け又はこれらに類似する行為(以下「大量買付行為」といいます。)であり、本プランは、大量買付行為が行われる場合に、大量買付行為を行い又は行おうとする者(以下「大量買付者」といいます。)に対し、事前に株主の皆様及び当社取締役会による当該大量買付行為の内容の検討に必要な情報の提供を求め、かつ、株主の皆様及び当社取締役会による当該大量買付行為についての情報の収集及び検討のために必要な一定の期間を確保した上で、必要に応じて、大量買付者との間で大量買付行為に関する条件・方法について交渉し、また、当社取締役会として、株主の皆様に代替案を提示するなどの対応を行うための手続を定めております。

 

ハ)対抗措置の概要

本プランは、大量買付者が大量買付行為を行うに当たり、所定の手続に従うことを要請するとともに、かかる手続に従わない大量買付行為がなされる場合や、かかる手続に従った場合であっても当該大量買付行為が当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を著しく害するものであると判断される場合には、かかる大量買付行為に対する対抗措置として、原則として新株予約権を株主の皆様に無償で割り当てるものです。

本プランに従って割り当てられる新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)には、①大量買付者及びその関係者による行使を禁止する行使条件や、②当社が本新株予約権の取得と引換えに大量買付者及びその関係者以外の株主の皆様に当社株式を交付する取得条項等を付すことが予定されております。

本新株予約権の無償割当てが実施された場合、かかる行使条件や取得条項により、当該大量買付者及びその関係者の有する議決権の当社の総議決権に占める割合は、大幅に希釈化される可能性があります。

 

ニ)独立委員会の設置

本プランに定めるルールに従って一連の手続が遂行されたか否か、ならびに、本プランに定めるルールが遵守された場合に当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を確保し又は向上させるために必要かつ相当と考えられる一定の対抗措置を講じるか否かについては、当社取締役会が最終的な判断を行いますが、その判断の合理性及び公正性を担保するために、当社は、当社取締役会から独立した組織として、独立委員会を設置することとします。独立委員会の委員は、3名以上5名以下とし、社外取締役、弁護士、税理士、公認会計士、学識経験者、投資銀行業務に精通している者及び他社の取締役又は執行役として経験のある社外者等の中から当社取締役会が選任するものとします。

 

ホ)株主総会の開催

大量買付者が本プランに定める手続に従って大量買付行為を行い又は行おうとする場合には、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重した上で、大量買付行為に対する対抗措置発動の是非を決議することを原則としますが、大量買付者による大量買付行為の内容、株主総会開催に要する時間等諸般の事情を考慮の上、法令及び当社取締役の善管注意義務等に鑑みて、独立委員会に対する諮問に加え、株主の皆様の意思を直接確認することが実務上適切と判断するときは、当社取締役会は、株主総会を招集し、対抗措置の発動に関する株主の皆様の意思を確認することができるものとします。また、当社取締役会は、株主総会が開催された場合、対抗措置の発動に関して、当該株主総会における株主の皆様の判断に従うものとします。

 

ヘ)情報開示

当社は、本プランに基づく手続を進めるに当たって、大量買付行為があった事実、大量買付者から大量買付行為の内容の検討に必要な情報が提供された事実、独立委員会の判断の概要、株主総会開催の決定・株主総会決議の概要、対抗措置の発動又は不発動の決定の概要、対抗措置の発動に関する事項その他の事項について、適時かつ適切に株主の皆様に情報開示を行います。

 

④本プランの合理性(本プランが基本方針に沿い、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと及びその理由)

  当社取締役会は、以下の理由により、本プランが、上記の基本方針に沿うものであり、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えております。

イ)買収防衛策に関する指針の要件等を完全に充足していること

ロ)企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益の確保又は向上を目的として導入されていること

ハ)株主意思を重視するものであること

ニ)独立性の高い社外者の判断を重視していること

ホ)合理的な客観的要件を設定していること

ヘ)独立した地位にある第三者専門家の助言を取得できること

ト)デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況に影響を及ぼす可能性のある主なリスクとして以下のとおり認識し、その発生の回避を図るとともに、発生した場合の影響を最小限にとどめるよう対処してまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①為替変動がもたらす影響について

当社グループでは、家庭用機器事業及び産業機器事業における海外市場での積極的な営業展開により、連結売上高に占める海外売上高比率が70%前後で推移しております。そのため為替先物予約ならびに当社・子会社間のネッティング決済によって為替リスクを軽減してまいりますが、海外売上高の大部分を占める取引を外貨建てで行っておりますので、為替変動により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②仕入れコストの上昇について

当社グループでは、日本、台湾、タイに生産拠点を構え、世界市場の需要動向に応じた効率的な生産を行っており、グローバルな視点からの部品の調達により、仕入れコストの安定ならびに低減を図っております。また、当社生産管理本部が国内、海外の生産拠点を統括管理し、グループ全体で、仕入れコストへの影響を最小限に抑える努力を続けておりますが、鉄、アルミニウム、銅、プラスチック(樹脂)など原材料費の上昇により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③カントリーリスクについて

当社グループでは、生産及び販売活動を行っている各国におきまして、政治体制の変化、法規制の変更、政治・経済の変動、地震・台風等の自然災害、戦争・テロ等が発生し、事業活動の継続が困難になるなどの場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④品質管理について

当社グループの製品に関しては長年に亘る製造ノウハウを有しております。また、PL(製造物責任)委員会を設置し、製品に関する安全性等について毎月審議するとともに、当社品質保証部を中心に当社グループ全体の品質保証活動の推進をしており、当社及び国内外の関係会社において生産するミシン、産業機器などに対する品質監査と品質状況の把握に努めております。万一、重大な品質問題が発生した場合、リコール費用の発生やブランドイメージの低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤法規制等について

当社グループは業務の適正化、財務情報の信頼性を確保するとともに、関連法規・定款等を遵守する経営を行うべく、内部統制に向けた管理体制を確立しております。しかしながら、関連法規や規制を遵守できない事象が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥市場環境について

営業活動を展開するうえで競合他社との競争は避けられませんが、そのような状況に応えうるべく開発・製造・販売が一体となって商品・サービスの品質向上に努めております。しかしながら、競争が激化するなど、市場環境が大きく変化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦個人情報の管理について

当社グループでは、「個人情報保護方針」及び「個人情報管理規定」等を策定し、個人情報保護法に基づく社内管理体制を確立しておりますが、万一、顧客情報をはじめ大量の個人情報が漏洩した場合は、当社グループの信用のみならず業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧金利変動について

当社グループの有利子負債には、金利変動の影響を受けるものがあり、金利上昇による金利負担の増加が当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨固定資産の減損について

当社グループが所有する有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産等について減損処理が必要となった場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩繰延税金資産について

当社グループは、繰延税金資産について適正な金額を計上しておりますが、将来の業績変動により課税所得が減少し、繰越欠損金が計画通り解消できなかった場合における繰延税金資産の取崩しが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪退職給付債務について

当社グループは、退職給付債務について数理計算上で設定される割引率等の前提条件に基づき適正な金額を算定しておりますが、この前提条件が大きく変化した場合における退職給付債務の増加が、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫借入金にかかる財務制限条項について

当社借入金の一部について、財務制限条項を付されているものがあり、抵触しますと金融機関から当該借入金の期限の利益喪失請求が行われる可能性があります。

 

⑬事業再編等について

当社グループは、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行うことがありますが、かかる事業再編が当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭自然災害について

当社グループの工場などにおいて、万一大きな自然災害などが発生した場合には、工場設備の被災や原材料調達などサプライチェーンの障害に伴う生産活動の停止による機会損失などによって、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

 

(1)  経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当期における世界経済は、先進国を中心に景気は緩やかに回復したものの、米中の貿易摩擦問題から特に中国経済の成長鈍化が顕著になるなど、景気減速感が強まり、更には英国のEU離脱問題の影響などもあり、依然として先行き不透明な状況が続きました。

わが国経済におきましては、雇用・所得環境の改善が継続し、人手不足に伴う省力化需要による設備投資が膨らむなど、景気は拡大基調を維持したものの、海外経済の不確実性が広まる中、輸出が伸び悩む等、そのペースの鈍化が明らかとなりました。

このような中、当社グループにおきましては、中期経営計画の最終年度として、家庭用ミシン及び産業機器においてお客様のニーズに対応した新製品の開発・投入、各販売チャネルに合わせた積極的な営業活動を展開するなどの各種施策を講じてまいりました。また、生産拠点における徹底した原価低減による価格競争力の強化にも努めてまいりました。

しかしながら、当社グループを取り巻く経営環境は厳しく、当期の総売上高は38,153百万円(前期比2,625百万円減)、営業利益は1,150百万円(前期比924百万円減)、経常利益は1,359百万円(前期比751百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は880百万円(前期比511百万円減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

・家庭用機器事業

家庭用機器事業におきましては、低調な動きを続けていた欧米市場で販売網の再整備に取り組むとともに、中・高価格帯ミシンの拡販に努めました。また、当社製品が国内外でデザイン賞を受賞し、縫い性能やデザイン性が国際的に高く評価されるなど、話題性のある製品を中心に需要喚起に注力いたしました。

しかしながら、北米市場では着実に販売台数が回復してきたものの、米国の諸地域に対する経済制裁や為替の変動等の影響により新興国市場で想定以上のマイナス要因となりました。さらに、生産拠点であるタイの現地通貨高に伴う原価の押し上げにより、利益面においても厳しい状況となりました。

その結果、海外・国内ミシンの販売台数は146万台(前期比13万台減)、家庭用機器事業全体の売上高は28,220百万円(前期比2,344百万円減)、営業利益は733百万円(前期比832百万円減)となりました。

 

・産業機器事業

産業機器事業のうち、卓上ロボットにつきましては、上半期は前期の特需の反動を最小限に抑え、順調に推移いたしました。第3四半期以降は、中国経済の減速等の影響を想定よりも大きく受けたことにより伸び悩んだものの、年間を通じて堅調さを維持いたしました。また、エレクトロプレスは、主に自動車部品関連企業への販売が好調に推移し、年間販売台数は過去最高を更新いたしました。一方、ダイカスト鋳造関連事業につきましては、取引先である産業機器関連企業で生産調整が続き、苦戦いたしました。

以上の結果、産業機器事業全体の売上高は6,917百万円(前期比15百万円減)、営業利益は203百万円(前期比74百万円減)となりました。

 

・IT関連事業

ITソフトウェア開発や情報処理サービス、システム運用管理のアウトソーシング等を行うIT関連事業の売上高は2,292百万円(前期比235百万円減)、営業利益は210百万円(前期比3百万円減)となりました。

 

また、当社グループにおける財政状態の概況は次の通りであります。

当社グループの当連結会計年度末の総資産は、50,657百万円(前期比352百万円減)となりました。

資産の部では、流動資産が受取手形及び売掛金の減少等により、22,689百万円(前期比226百万円減)となりました。固定資産は有形及び無形固定資産の減価償却等により27,967百万円(前期比125百万円減)となりました。

負債の部では、有利子負債の削減に努めたこと等により、24,783百万円(前期比1,052百万円減)となりました。

純資産の部(非支配株主持分を含む)は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、25,873百万円(前期比700百万円増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末から26百万円減少し、6,091百万円となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上、売上債権の減少等により2,073百万円の資金の増加となりました。(前期は2,882百万円の資金の増加)

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、製造子会社の機械設備や新機種に係る金型等の有形固定資産取得による支出821百万円、ソフトウェア等の無形固定資産取得による支出262百万円などにより、1,108百万円の資金の減少となりました。(前期は701百万円の資金の減少)

 

財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済等により943百万円の資金の減少となりました。(前期は2,709百万円の資金の減少)

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前期比(%)

家庭用機器事業(百万円)

14,527

△1.1

産業機器事業(百万円)

5,010

△3.2

    報告セグメント計(百万円)

19,537

△1.6

その他(百万円)

104

△11.3

合計(百万円)

19,642

△1.7

 

(注) 1.金額は製造価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b 受注状況

当社グループの生産は、主として見込み生産によっているため、記載を省略しております。

 

c 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前期比(%)

家庭用機器事業(百万円)

28,220

△7.7

産業機器事業(百万円)

6,917

△0.2

IT関連事業(百万円)

2,292

△9.3

    報告セグメント計(百万円)

37,429

△6.5

その他(百万円)

723

△4.0

合計(百万円)

38,153

△6.4

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産および負債または損益の状況に影響を与えるような会計上の見積もりは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.   経営成績の分析

当期における世界経済は、依然として先行き不透明な状況が続いており、わが国経済におきましては、景気は拡大基調を維持したものの、そのペースは鈍化しております。

このような中、当社グループにおきましては、家庭用機器事業においてスマートフォンと連動した刺しゅう専用機をはじめとした話題性の高い新製品の投入、産業機器事業では、国内最大の専門技術展など国内での展示会に出展し当社の産業用製品の認知度を高め、用途、市場の拡充に努めるなど、中期経営計画の最終年度として、家庭用ミシン及び産業機器において積極的な営業活動を展開してまいりました。また、生産拠点における徹底した原価低減による価格競争力の強化にも努めてまいりました。

しかしながら、当社グループを取り巻く経営環境は厳しく、当期の総売上高は38,153百万円(前期比2,625百万円減)、営業利益は1,150百万円(前期比924百万円減)、経常利益は1,359百万円(前期比751百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は880百万円(前期比511百万円減)となりました。

 

・家庭用機器事業

家庭用機器事業におきましては、中期経営計画「JANOME BREAKTHROUGH 2018」において北米市場、欧州市場を最重要市場とし、北米市場では組織再編、欧州市場では「JANOME EUROPEAN INSTITUTE」を開催、また各地域の特性に応じた商品提供を行うなど販売強化策を行ってきました。中期経営計画の最終事業年度である当期は、その効果を生かし販売拡大を目標としておりましたが、米国の諸地域に対する経済制裁や為替の変動等、家庭用ミシン事業を取り巻く環境が厳しく、家庭用機器事業全体の売上高は28,220百万円(前期比2,344百万円減)、営業利益は733百万円(前期比832百万円減)となりました。

今後につきましては、欧米市場では高付加価値製品の拡販、各地域の特性に応じたマーケティングを強化してまいります。

 

・産業機器事業

産業機器事業のうち、卓上ロボット、エレクトロプレスにつきましては、ラインアップの充実を図り、用途の拡充、拠点の活用によるサービスの強化を図り、順調に推移しました。特にエレクトロプレスの販売は過去最高を記録しております。

一方、ダイカスト鋳造関連事業は、取引先が生産調整の局面に入るなどの影響を受け、苦戦いたしました。以上の結果、産業機器事業全体の売上高は6,917百万円(前期比15百万円減)、営業利益は203百万円(前期比74百万円減)となりました。

今後につきましては、卓上ロボット、エレクトロプレス関連事業では、海外有望市場への拠点設立検討も含め積極的な営業活動を展開し、ダイカスト鋳造関連事業は、2019年2月に導入した大型ダイカストマシンにより新たに提供可能となった製品の受注獲得に注力いたします。

 

・IT関連事業

IT関連事業におきましては、新規顧客獲得、品質管理の向上に努めました。売上高は前期に大口案件が完了した関係で減少しておりますが、利益率の改善によりほぼ前期並みの利益を確保いたしました。

IT関連事業の売上高は2,292百万円(前期比235百万円減)、営業利益は210百万円(前期比3百万円減)となりました。

今後につきましては、消費税関連案件など顧客ニーズを確実に取り込みつつ、新たな提案にも積極的に取り組んでまいります。

 

b.   資本の財源及び資金の流動性について

当社グループにおける主な資金需要は、部品原材料の購入及び製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用に係る運転資金および設備投資資金であります。これらの資金は借入金および自己資金により充当しております。

また、主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、十分な流動性を確保しております。

 

③ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2017年3月期から2019年3月期までの中期経営計画「JANOME BREAKTHROUGH 2018」において売上高500億円、営業利益35億円、営業利益率7.0%、経常利益33億円、自己資本純利益率(ROE)8.5%、総資産経常利益率(ROA)6.0%を最終年度の計画に揚げておりました。

同計画の最終年度である2019年3月期の実績は、産業機器事業においては好調に推移しましたが、家庭用機器事業において米国の経済制裁の影響、ネットビジネスの台頭など外部環境の変化に迅速かつ柔軟に対応することが出来ず、目標数値から大幅に遅れる結果となりました。

2019年3月期実績は、営業利益率3.0%、自己資本純利益率(ROE)3.6%、総資産経常利益率(ROA)2.7%であります。

この結果を受け策定いたしました、2020年3月期から2022年3月期を対象とした新たな中期経営計画「JANOME 2021 Navigation for the Future」においては「企業価値の向上」を経営方針の一つに揚げており、営業利益率8%、自己資本純利益率(ROE)8%、総資産経常利益率(ROA)7%を中期目標としております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動については、顧客本位の価値ある商品とサービスを提供できるように、当社研究開発本部が中心となって、時代を先取りした家庭用ミシンと、ものづくりに必要とされる高機能を備えた産業用機器の開発で世界をリードしています。

電子部品を用いたマイコン制御技術によるミシン・産業用機器の応用開発、各種自動制御機構、金属素材の特殊鋳造加工技術・転写型技術、水浄化システムなど、あらゆるハイテク分野でその技術を蓄積し、次代を担う新技術・新工法の研究開発に積極的に取り組んでいます。

 

当連結会計年度における研究開発活動をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

(1)   家庭用機器事業

家庭用機器事業では、刺しゅう機能付きコンピュータミシンを始めとする家庭用ミシン、小型ロックミシン及びその関連商品(刺しゅう専用ソフト他)、スマホ・タブレットから操作する刺しゅう専用ミシンの入門機種などの研究開発を行っております。

また、海外生産子会社においても新たな商品開発拠点としての機能をもたせ、開発設計業務のスピードアップを図っています。

一方、ロングセラーになっております家庭用24時間風呂システム「湯名人」・「湯あがり美人」シリーズは継続して研究業務を遂行しています。

当連結会計年度の研究開発費の金額は、967百万円であります。

 

(2)   産業機器事業

産業機器事業では、ミシンの生産技術を応用した業界初のエレクトロプレス(電動モータプレス機)、同じくミシンの研究開発過程でその技術を応用した卓上ロボット、そしてインライン型のサーボスカラーロボットや直交ロボットなどの研究開発を行っております。

その開発手法はエレクトロプレス、ロボット関連商品それぞれで要素技術をプラットフォーム化した開発を行っており、エレクトロプレス、ロボットともにそのシリーズ化において、商品開発のスピードアップを図っています。

当連結会計年度の研究開発費の金額は、495百万円であります。

 

以上、その他事業の研究開発費8百万円を含めた当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,470百万円であります。