文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、「ものづくりの世界の発展に貢献する」という会社の使命のもと、企業価値の向上に努めることを最重要課題と考えております。そして、長期ビジョンとして、「成長企業への挑戦、夢をかなえるものづくり企業へ」を掲げ、業績目標 売上高4,000億円、営業利益600億円の実現に向けて経営基盤の強化にとり組んでおります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、長期ビジョンの実現を目指し、そのマイルストーンとして、中期業績目標 売上高3,000億
円、営業利益270億円を掲げ、売上高と営業利益を経営指標としております。
(3) 経営環境および対処すべき課題
当社グループをとり巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染拡大の影響や、米中通商問題の継続など、先行きが不透明であり、現時点におきましては、自動車・産業機械・建設機械・市販分野ともに需要動向が見通しづらい状況にあります。また、脱炭素社会の実現に向けて、当社の主要な事業領域である自動車分野においてはEV化のとり組みが加速、さらに、ものづくりのFA化・IoT化の進展など、当社グループをとり巻く経営環境も、大きく変化しております。
当社グループといたしましては、「ロボットを核に 世界最高水準の技術で ものづくりの革新をリードする」を事業運営スローガンとして、営業・サービス、製造・調達、研究開発の各面で体質を強化してまいります。そして、ロボットをはじめ多彩な事業・技術・生産ノウハウを有する独自性を活かし、新しいビジネスチャンスを創出するとともに、市場の動き・ニーズを捉え、全部門の技術を連携・結集した商品・サービスを拡販し、また、生産性を向上させていくことで、業績の一層の向上に努めてまいります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響は、足下では、自動車生産の回復や建設機械分野での増産の動き、産業機械分野での緩やかな需要の戻りなどを受けて、徐々に収束しつつありますが、引き続き影響は残ることが予想されます。当社としましては、顧客、取引先及び従業員の安全確保を第一に考え、感染予防策を徹底するとともに、今後の需要の変動、サプライチェーンの停滞などによる影響を、一層注視してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、「リスク管理委員会」において、「リスク管理規程」などに基づき、環境安全、災害、情報、セキュリティなどのリスクについて、定期的あるいは随時把握し、報告される体制を整備し、全社横断的にリスクを回避・軽減するための措置を講じております。
(1) 経済情勢・需要変動について
当社グループは、自動車・自動車関連、一般産業機械、電機・電子等の分野において事業を展開しており、また、国内のほか、米州、欧州、アジア市場で事業活動を行っております。このため、当社グループの経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローは、各製品を製造・販売している特定の国、地域の経済状況の変動や取引先が属する産業の景気変動の影響を受ける可能性があります。
とくに、自動車・自動車関連産業向けの売上高が約半分を占めており、その需要動向やEV化の進展が当社グループの業績および財務状況に大きく影響を及ぼす可能性があります。当社としましては、顧客の自動車生産計画や、中長期的なEV化の進展見通しなどに基づき、経営資源の効率的な投入を行い、また、需要の裾野が広い一般産業機械分野、電機・電子分野への販売拡大などを進めております。
なお、現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、世界的に経済活動に影響が発生し、感染再拡大の状況によっては、今後も、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、顧客、取引先および従業員の安全確保を第一に考え、感染予防策を徹底しております。
また、事業継続に向け、生産体制の整備、サプライチェーンの確保、手元流動性の確保などを進めております。
(2) 海外事業展開について
当社グループは、国内のほか、米州、欧州、アジア地域など、グローバルな事業展開を行っており、世界各地に販売会社と生産会社を設立しております。連結売上高に占める海外売上高の割合は約5割となっており、世界市場での事業拡大に向けた営業・生産体制の拡充を進めております。米中貿易摩擦の長期化や新型コロナウイルス感染症への対応を含め、各国および地域の経済環境の動向や法規制等の予期せぬ変化が、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し、特定の地域に偏重することなく、バランスのとれた事業展開に努め、また、各地との緊密な連携をとることで、遅滞なく危険情報を取得し対処しております。
(3) 外的要因が財務状況に与える影響について
海外子会社の現地通貨建ての経営成績及び財務状態は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、現地通貨における価値が変わらなくとも、当社グループの連結財務諸表は為替レートの変動による影響を受けます。また、外貨建ての商取引により、為替レートの変動が当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、金利の上昇により支払利息が増加する可能性があります。
当社グループは、為替変動や金利変動の影響を軽減するため、為替予約、最適地生産・調達等の施策を含めてリスクヘッジを進め、また、有利子負債の削減を中心に財務体質の強化に努めております。
(4) 価格競争について
当社グループの主力需要先である自動車・自動車関連産業は競争が激しく、同業界からの価格引き下げ要請への相応の対応が不可避であります。また、中国をはじめとする新興国製品の台頭により、一部商品では市場価格の下落が生じております。一方で、原材料の一部に価格の上昇がみられ、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し、当社は、VA・VE活動の強化や基幹部品の内製化などにとり組むとともに、原材料の購入量ならびに在庫量の最適化や、設計・部品の標準化による調達コストの低減、生産性の向上など、原価低減活動を継続的に実施しております。
(5) 原材料や部品の調達について
当社グループは、原材料および部品を複数の供給元から調達し、取引基本契約に基づき安定的な取引を行っております。しかしながら、市況の変化による原材料および部品の価格高騰や品不足、供給元の生産能力不足や品質不良、または火災や地震等の自然災害、あるいは倒産その他の理由により、原材料および部品の調達が困難となり、取引先への製品供給に支障をきたすリスクがあります。かかる場合には、当社グループの業績および財務状況は影響を受ける可能性があります。
これらに対し、グローバルで新規調達先の開拓・育成、最適な調達先の選定、調達先の分散化などを継続的に実施し、サプライチェーンの強化に努めております。
(6)研究開発について
当社グループは、事業基盤の一層の拡充を目的として、新商品開発に向けた研究開発活動を進めております。これらの研究開発は、多額の費用と期間を要するため、研究開発が計画どおり進まず商品化の機会を喪失したり、市場ニーズとのアンマッチから市場投入に至らなかったり、商品化しても十分な成果が得られなかったりした場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し、多様な市場分野において、顧客との緊密な関係性の構築によるニーズの発掘や、大学・研究機関などと積極的に連携することでリスクの低減に努めております。
(7) 品質問題について
当社グループは、世界的に認められている品質管理基準に従い各種製品を製造しております。しかしながら当社グループの製品が予期せぬ不具合を起こした場合には、多額の費用発生や社会的な信用低下等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し、品質保証を最重要課題の一つとして位置付け、商品開発から設計・製造・サービスに至るまでの品質向上を目指したプロセス管理の強化など、グループをあげて品質管理の徹底をはかっております。
(8) 環境・安全対策について
当社グループでは、環境負荷の低減に努めており、これまで重大な環境問題が発生したことはありません。しかしながら、予期せぬ事情により将来において環境問題が発生した場合には、多額の対策費用が発生し、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、脱炭素社会に向けた環境問題への対応については、その課題解決に向けた取り組みが成果につながれば、当社グループの業績に好影響を及ぼす可能性がある一方、対応を誤れば将来にわたり悪影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し、環境に配慮した新商品の市場投入を進めるとともに、生産工程において、温室効果ガス、廃棄物、環境負荷物質などの発生を極力抑えるよう、設計・生産の各段階で対策を講じております。
なお、製造設備等の主要施設については、火災等により生産活動や製品供給に支障をきたすことがないよう、災害対策に努め、また、ハードおよびソフト面で安全対策の基本方針を定め、労働災害の発生防止も進めております。しかしながら、完全なリスク回避は困難であり、重大な労働災害等が発生した場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)災害・テロについて
当社グループおよび当社グループ取引先の事業拠点が、地震、洪水などの天災、火災や、疾病発生などの災害、またはテロ攻撃や政情悪化に伴う物的・人的被害が生じる可能性があります。当社グループではリスク管理体制を構築し、被害を最小化するための事前対策・初動措置および事業継続に向けた対策を実施しておりますが、完全なリスク回避は困難であり、結果として、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、世界的に経済活動に影響が発生し、感染再拡大の状況によっては、今後も、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(10)情報セキュリティについて
当社グループは、業務を通じて入手した取引先の機密情報や個人情報等を多数保有しております。これらの情報を保護するため、管理体制の整備や教育、情報セキュリティシステムの構築などを行い、情報漏えいの防止に努めております。しかしながら、コンピュータウィルスの感染、不正アクセスや盗難、その他不測の事態により機密情報が消失、もしくは社外に漏洩した場合には、当社グループの業績や信用・評判などに影響を及ぼす可能性があります。
(11) 知的財産権について
当社グループはこれまでの製品開発において蓄積してきた技術を知的財産権として、権利保護の徹底と経営資源としての活用をはかっております。しかし、特定の国および地域においては、知的財産権の保護が必ずしも十分でないため、当社グループの知的財産権を侵害して類似した製品を製造する行為を効果的に排除できない場合など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性を完全に排除できるものではありません。
また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害することのないよう、細心の注意を払っておりますが、当
社グループが第三者から知的財産権の侵害を主張された場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 競争法当局の調査等について
当社グループは、過去のベアリングの取引に関して、海外の競争法関係当局の調査を受けております。また、これらの調査に関連して、当社および当社の子会社に対して、米国およびカナダにおいて集団訴訟等が提起されております。これらの訴訟等の結果によっては損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 業務・事業提携について
当社グループは、海外企業を含めた複数の会社との業務提携や、合弁事業またはM&A等の資本提携を行い、相互の経営資源の有効活用をはかるとともに、技術開発、生産活動、営業活動等において提携効果の創出にとり組んでいます。しかしながら、提携先の経営戦略の変更、財務状況の悪化等により期待した効果を実現できない場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 人材確保について
当社グループは、競争力を維持するため、優秀な人材を継続的に確保・採用し、その教育とローテーションに
よりリーダーの育成に努めておりますが、少子高齢化を背景として有能な人材確保に向けた競争は高まってお
り、当社グループが人材を確保・育成できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がありま
す。
(15) コンプライアンスについて
当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、各地域の法令、規制の適用を受けておりますので、コンプライアンス体制の強化が求められています。このため、「不二越企業市民ルール」をグループの行動規範として位置づけて社内教育を実施するなど、コンプライアンス意識の向上をはかっております。また、内部通報制度を整備し、コンプライアンスリスクの未然防止に努めております。しかしながら、コンプライアンスリスクを完全に回避することは困難であり、重大な法令違反等が生じた場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の当社グループをとり巻く環境は、いち早く経済活動を再開した中国や、自動車・建設機械分野などの一部で持ち直しの動きもありますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日本を含めた世界経済は極めて厳しい状況が続きました。
このような状況のもと、当社グループは、ロボット事業を核に、工具、工作機械、ベアリング、油圧機器、そして特殊鋼事業をあわせ持つ総合機械メーカーとしての特長を活かし、ユーザーニーズにマッチした新商品の市場投入や、コロナ禍に適応した営業活動の展開などによる受注・売上の確保にとり組んでまいりました。また、足下の収益改善に向けて、需要の急激な変動に対応する生産体制の構築、合理化などを進めてまいりました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内外で自動車や産業機械分野の需要が大きく落ち込ん
だことにより、当連結会計年度の売上高は、2,010億55百万円(前期比19.3%減)、このうち、国内売上高は1,044
億90百万円(同22.6%減)、海外売上高は965億64百万円(同15.3%減)となりました。利益面につきましても、売上高
減少に伴う操業度の低下などにより、営業利益は68億50百万円(同48.7%減)、経常利益は55億8百万円(同55.0%
減)、親会社株主に帰属する当期純利益は24億58百万円(同70.2%減)となりました。
セグメントの経営成績につきましては、次のとおりであります。
機械工具事業では、工具・ロボットを中心とした新商品の投入や工作機械の大型案件があったものの、世界経済減速に伴う需要減や設備投資の抑制などにより、売上高は675億93百万円(前期比23.0%減)、営業利益は25億9百万円(同58.9%減)となりました。
部品事業では、自動車・建設機械分野の一部で持ち直しの動きがありましたが、主要ユーザーの生産減の影響などにより、売上高は1,206億81百万円(前期比15.6%減)、営業利益は36億88百万円(同32.4%減)となりました。
その他の事業では、特殊鋼需要の縮小と原材料価格の下落に伴う販売価格の引き下げなどにより、売上高は127億
80百万円(前期比30.1%減)、営業利益は5億74百万円(同67.0%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動および財務活動による収入が投資活動による支出を上回った結果、前連結会計年度末に比べ187億78百万円増加し、389億36百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により獲得した資金は、前連結会計年度に比べ49億68百万円減少し、192億58百万円となりました。これは、主として、税金等調整前当期純利益48億61百万円、減価償却費169億92百万円、売上債権の減少104億75百万円、たな卸資産の減少104億11百万円などにより資金が増加した一方で、仕入債務の減少180億19百万円、法人税等の支払額36億66百万円などにより資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により支出した資金は、新型コロナウイルス感染拡大による先行きの不透明感から設備投資を抑制した結果、前連結会計年度に比べ97億95百万円減少し、139億96百万円となりました。これは、主として、中国における工場増設を中心とした、自動車向け高機能ベアリングおよび自動車用油圧機器の生産能力増強、日本における超硬素材の生産能力増強ならびに、ロボット事業等における基幹システム導入に伴う無形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により取得した資金(前期は17億6百万円の支出)は、138億58百万円となりました。これは、主として、借入金の純増額168億41百万円などにより資金が増加した一方で、配当金の支払24億84百万円などにより資金が減少したことによるものであります。
(2) 生産、受注および販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
機械工具 |
48,350 |
△27.0 |
|
|
部品 |
113,153 |
△20.8 |
|
|
その他 |
12,816 |
△28.9 |
|
|
合計 |
174,320 |
△23.2 |
|
(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
|
機械工具 |
60,061 |
△31.4 |
25,213 |
△23.9 |
|
|
部品 |
118,692 |
△17.1 |
18,303 |
△10.8 |
|
|
その他 |
11,153 |
△36.4 |
2,212 |
△42.4 |
|
|
合計 |
189,907 |
△23.5 |
45,729 |
△20.5 |
|
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
機械工具 |
67,593 |
△23.0 |
|
|
部品 |
120,681 |
△15.6 |
|
|
その他 |
12,780 |
△30.1 |
|
|
合計 |
201,055 |
△19.3 |
|
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主要な相手先別の販売実績および販売実績の総額に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
岡谷鋼機株式会社 |
34,908 |
14.0 |
33,265 |
16.5 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの財政状態および経営成績等の状況に関する分析・検討の内容は以下のと
おりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年2月24日)現在に
おいて判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの経営成績の分析は次のとおりであります。
1) 売上高
当連結会計年度の売上高は、2,010億55百万円と前連結会計年度と比べ19.3%の減収となりました。このうち、国内売上高は、1,044億90百万円と同22.6%の減収となりました。これは、新型コロナウイルスの感染拡
大によって、当社の主要な取引先の減産が相次ぎ、当社が行うすべての事業で売上高が減少したためであります。工作機やロボットを含む機械工具事業では、約3割の売上減少となり、部品事業でもベアリング、油圧機器ともに1割強の売上減少となりました。一方、海外売上高は、965億64百万円と同15.3%の減収となりました。これは、世界的な自動車・建設機械分野での減産を受けて、工具、ベアリング、油圧機器、工作機などの販売が世界的に落ち込んだことによるものであります。しかしながら、いち早く経済活動を再開した中国においては、ロボット、油圧機器の需要が伸長し、一部増収となりました。
なお、中期業績目標を踏まえた当初計画(売上高2,300億円)に対しては、達成率87.4%と未達となりました。これは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により世界経済が大幅に減速し、国内外で、自動車分野・産業機械分野ともに需要が大きく落ち込み、全ての事業で販売が低迷したことによります。
2) 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は401億30百万円と、原材料仕入や人件費などのコストダウンにとり組みましたが、全事業の世界的な売上高の減少と操業度の悪化が大きく影響し、前連結会計年度に比べ減益となりました。
3) 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、332億79百万円となり、前連結会計年度に比べ71億26百万円減少しました。これ
は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う取引高の急激な減少により、荷造運搬費や販売促進費を抑制したほか、人件費の削減にとり組んだ結果であります。しかしながら、売上高の減少に追いつかず、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は16.6%と前連結会計年度に比べて0.3ポイント上昇しました。
4) 営業損益
当連結会計年度の営業利益は68億50百万円と前連結会計年度に比べ48.7%の減益となりました。
また、売上高営業利益率は3.4%となり、前連結会計年度に比べて2.0ポイント低下しました。
なお、中期業績目標を踏まえた当初計画(営業利益125億円)に対しては、達成率54.8%と未達となりました。これは、主に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う売上高の計画未達に伴う利益の減少によるものであります。当社としましては、売上高の大幅な減少に対応するため、売上原価、販売費および一般管理費など、あらゆる費用の削減を進めましたが、売上高の減少に伴う利益の減少を補うには至りませんでした。
5) 営業外損益
営業外損益(費用)は、13億41百万円の費用(純額)となり、前連結会計年度の11億6百万円の費用(純額)から2億34百万円増加しました。これは、売上割引が1億25百万円減少したものの、受取利息および受取配当金が1億44百万円減少し、為替差損が76百万円、支払利息が45百万円増加したことによるものであります。
6) 経常損益
当連結会計年度の経常利益は55億8百万円と前連結会計年度に比べ55.0%の減益となりました。
7) 親会社株主に帰属する当期純損益
特別利益は、固定資産売却益13百万円、投資有価証券売却益6百万円、関係会社株式売却益(東亜電工㈱)
9百万円の計上で30百万円となり、前連結会計年度に比べて20百万円増加しました。特別損失は、固定資産売却損3百万円、固定資産除却損63百万円、米国集団訴訟で和解合意したことによる独占禁止法等関連損失2億99百万円、投資有価証券評価損3億11百万円の計上で6億77百万円となり、前連結会計年度に比べ2億40百万円増加しました。
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計は、21億90百万円となり、前連結会計年度に比べ10億57百万円減少しました。
これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は24億58百万円となりました。販売費及び一般管理費等あらゆる費用を削減しましたが、売上高の減少と原価率の悪化が大きく影響し前連結会計年度に比べ57億86百万円の減益となりました。
② 資本の財源および資金の流動性についての分析
1) 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、2,930億60百万円となり、前連結会計年度末に比べ76億90百万円減少しました。主として、受取手形及び売掛金が108億39百万円、たな卸資産が111億49百万円、有形固定資産が37億53百万円減少し、現金及び預金が186億6百万円増加しております。
負債合計は、1,688億円となり、前連結会計年度末に比べ71億53百万円減少しました。主として、支払手形及び買掛金が183億97百万円、未払費用および未払法人税等が49億83百万円減少し、借入金が167億42百万円増加しております。新型コロナウイルス感染症の流行が世界的に拡大するなか、手元流動性を高めるため、第2四半期連結会計期間に新たに借入を実行し預金残高を積み増ししました。また、コミットメントライン契約100億円を追加で締結し、不測の事態による流動性リスクに備えております。なお、既存の契約と合せたコミットメントラインの総額は300億円であります。
純資産合計は、1,242億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億37百万円減少しました。主として、利益剰余金が1億74百万円、為替換算調整勘定が17億78百万円減少し、その他有価証券評価差額金が5億20百万円、非支配株主持分が8億2百万円増加しております。
2) キャッシュ・フローの状況
「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
3) 資金需要
当社グループの資金需要は、仕入、生産及び販売活動に必要な運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費用、研究開発費によるもののほか、投資活動において、機械保全、品質向上および生産能力の増強と生産ラインの合理化を目的とした設備投資などであります。これらの資金需要に対しては、安定した収益基盤を確立し一層の利益追求をはかると同時に、売上債権、たな卸資産、仕入債務の適切な管理に加えて、固定資産の効率的活用などにとり組んでおります。また、不足分の資金は、有利子負債による調達を基本にしており、取引金融機関との安定した調達体制の維持に努めるとともに、調達手段の多様化による財務基盤の安定に向けたとり組みを進めております。なお、当社および主要なグループ会社間でキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、グループ内の資金効率化に努めております。
当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は、1,049億80百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は389億36百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成され
ております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸
表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見
積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態および経営成績に重要な
影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産の回収可能性の評価)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合には繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、主要顧客からの需要予測、業界市場予測等の外部情報を踏まえて慎重に検討しておりますが、市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症による影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループは「成長企業への挑戦、夢をかなえるものづくり企業へ」という長期ビジョンのもと、商品・技術の連環を深め、独自性の高い開発で社会の発展に貢献し、顧客から選ばれる企業を目指しております。中期的にはロボット・ロボットシステムと、社内で培い進化してきた多彩な生産技術・ノウハウ、さらに、自動化・情報化・電動化に適した部品・加工技術を提供し、多様化する社会に向けたお客様の製品やその生産ラインの進化に貢献してまいります。
これらを実現するうえで、従来の既成概念にとらわれない画期的な商品開発や各事業を横断した複合連関型商品開発、あるいは脱炭素社会の実現などに代表される社会課題の解決などにタイムリーにとり組めるよう、必要な時期に随時開発をスタートできる商品開発プロセスに改めました。また、技術開発本部内には「開発推進部」と「開発管理部」を新設し、上記商品開発を強力に推進する体制といたしました。
開発にあたっては、オープンイノベーションを志向し、ユーザーやサプライヤー、産学との共同開発を推進することで、当社の技術シーズを補完しながら開発のスピードアップをはかっております。
これらの活動に伴う当連結会計年度の研究開発費は、機械工具事業で
当連結会計年度の主な活動状況および開発成果は、次のとおりであります。
(1)機械工具事業
ロボットでは、主に電機・電子分野での搬送・組立ニーズに応えるため、小型垂直多関節ロボットMZシリーズのラインナップ拡充を進めております。2020年度は、25kg可搬高速・高機能ロボット「MZ25」が日刊工業新聞社主催の「十大新製品賞 ものづくり賞」を受賞するなど、生産設備の生産性向上への貢献が評価されております。さらに、ロボットシステムの稼働データの収集から見える化までを実現するIoTソリューション
「NR:connect」の商品化も行っており、今後もロボットラインナップの拡充を図ると共に、AIなど新技術を活用することで、より使いやすいロボットシステムを提案し、幅広い分野の自動化ニーズに応えてまいります。
工具では、材料・形状・コーティングといった工具の基本要素をすべて一新し、長寿命・高能率・多用途を実現した、アクアREVOブランドを展開しております。2019年度の「アクアREVOドリル」に続き、2020年度は「アクアREVOドリルオイルホール」でモノづくり日本会議と日刊工業新聞社が主催する「"超"モノづくり部品大賞 奨励賞」を受賞するなど、汎用性の高さと技術の革新性が評価されております。また、ドリルのみならず、エンドミルにおいてもREVOブランドを展開し、ユーザーの生産性向上やコストダウンに貢献しており、今後も材料のマテリアル部門、熱処理・コーティングのサーモテック部門との連携で、市場ニーズに応えた商品を投入してまいります。
工作機械では、機械・工具の双方を提供できる世界でも類のないメーカーである特長を活かし、高能率・高精度な歯車スカイビング複合加工機のシリーズ拡充、拡販に取り組んでおります。省人化にむけた自動化オプションの開発や、AI・IoTを活用したシステム開発と並行して、加工技術開発を強化しながら、ユーザーの要望に応えた工作機械の開発を進めてまいります。
(2)部品事業
ベアリングでは、自動車分野のEV化進行にあたり、駆動モータの高速化への対応や、エアコンなどの補機類の電動化に対応する軸受の開発と市場への投入を行っております。産業機械分野では、4点接触玉軸受や薄肉軸受の展開により機器の小型軽量化に貢献しております。
油圧では、IoT化や電動車の増加で需要が増えている電子部品製造設備で採用の多い、省エネ高精度な「パワーマイスター」に従来シリーズの2倍の大容量「UPS-2A」シリーズを開発しました。また、工作機械・産業機械をはじめ幅広い機械に使用されているソレノイドバルブのさらなる省エネ化や、加工設備の自動化で必要となる油圧力を遠隔から通信で制御できる機器など、油圧と電子制御を組み合わせた商品開発を進めており、順次投入してまいります。
カーハイドロリクスでは、主力商品の自動車用ソレノイドバルブや自動車用ベーンポンプに加えてEV化・自動運転に対応するアクチュエータの開発を進めており、2020年度も新モデルを市場投入しました。今後もEV化・自動運転に貢献できる小型・高効率な商品開発を進めラインナップ拡充に努めるとともに、事業の更なる拡大のため、車載機器の技術を生かした産機分野向け商品の開発を進めてまいります。
(3)その他の事業
マテリアルでは、自動車の電動化や軽量化に関連した材料・部材を中心に商品開発を進め、市場展開を図っており、近年は、特に、スーパーエンジニアリングプラスチック(フッ素樹脂を含む)の成形に使用される特殊な耐食合金を商品化し、ユーザーから部材の長寿命化や成形品の品質改善の点で高い評価をいただきました。現在は、これまで基礎開発として取り組んできた摩擦撹拌接合(FSW)技術を活用して、異種材接合部材の開発にも注力し、今後の拡大が見込まれるEV市場に向けた対応を進めております。さらには、医療や食品業界に向けた高機能ステンレス鋼の開発にも取り組み、マテリアル事業のさらなる拡大を狙っております。
サーモテックでは、ハイブリッド真空脱脂洗浄装置「HiNVD-10」を2020年8月に市場投入し、従来の浸漬洗浄に加え、蒸気洗浄の2種類の洗浄機能を標準装備し、高品質な洗浄を実現しました。真空浸炭炉はCO2が殆ど発生しないことから、CO2排出量が多いガス浸炭炉から真空浸炭炉への代替需要が見込まれる熱処理分野、産業機械分野での市場投入を進めてまいります。