第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は、「ものづくりの世界の発展に貢献する」という会社の使命のもと、企業価値の向上に努めることを最重要課題と考えております。そして、長期ビジョンとして、「成長企業への挑戦、夢をかなえるものづくり企業へ」を掲げ、業績目標 売上高4,000億円、営業利益600億円の実現に向けて経営基盤の強化にとり組んでおります。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、長期ビジョンの実現を目指し、そのマイルストーンとして、海外事業の拡大により、海外売

上高比率60%、営業利益率10%を掲げ、海外売上高比率と営業利益率を経営指標としております。

 

 

(3) 経営環境および対処すべき課題

 当社グループをとり巻く経営環境は、足もとでは、新型コロナウイルス感染症の再拡大や、半導体不足の影響が残るものの、自動車・産業機械・建設機械・市販分野ともに需要は概ね緩やかに回復していくことが予想されます。一方で、脱炭素社会の実現に向けて、当社の主要な事業領域である自動車分野においては、本格的なEV化に向けたとり組みや事業再編が加速し、さらに、ものづくりのDXの進展や、SDGsをはじめとした社会・環境問題への対応など、当社グループをとり巻く経営環境は大きく変化しております。

 当社グループといたしましては、ロボットをはじめ多彩な事業・技術・生産ノウハウを有する独自性を活かし、EVへの採用拡大と産業機械分野の深耕を軸に、新しいビジネスチャンスを創出してまいります。そして、営業・サービス、製造・調達、研究開発の各面で体質を強化して、市場の動き・ニーズを捉え、全部門の技術を連携・結集した商品・サービスを拡販し、また、自動化・合理化により生産性を向上させていくことで、業績の一層の向上に努めてまいります。そして、事業活動を通して、環境・社会・ガバナンスなどの課題にとり組み、持続的な企業成長を目指してまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

当社は、「リスク管理委員会」において、「リスク管理規程」などに基づき、環境安全、災害、情報、セキュリティなどのリスクについて、定期的あるいは随時把握し、報告される体制を整備し、全社横断的にリスクを回避・軽減するための措置を講じております。

 

(1) 経済情勢・需要変動について

 当社グループは、自動車・自動車関連、一般産業機械、電機・電子等の分野において事業を展開しており、また、国内のほか、米州、欧州、アジア市場で事業活動を行っております。このため、当社グループの経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローは、各製品を製造・販売している特定の国、地域の経済状況の変動や取引先が属する産業の景気変動の影響を受ける可能性があります。

とくに、自動車・自動車関連産業向けの売上高が約半分を占めており、その需要動向やEV化の進展が当社グループの業績および財務状況に大きく影響を及ぼす可能性があります。当社としましては、顧客の自動車生産計画や、中長期的なEV化の進展見通しなどに基づき、経営資源の効率的な投入を行い、また、需要の裾野が広い産業機械分野、電機・電子分野への新商品開発・販売拡大などを進めております。

なお、現在、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大や半導体不足による自動車等の減産により、今後も、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、新型コロナウイルス感染症に対し、顧客、取引先および従業員の安全確保を第一に考え、感染予防策を徹底しております。

また、事業継続に向け、生産体制の整備、サプライチェーンの確保、手元流動性の確保などを進めております。

 

(2) 海外事業展開について

 当社グループは、国内のほか、米州、欧州、アジア地域など、グローバルな事業展開を行っており、世界各地に販売会社と生産会社を設立しております。連結売上高に占める海外売上高の割合は約5割となっており、世界市場での事業拡大に向けた営業・生産体制の拡充を進めております。米中摩擦の影響や新型コロナウイルス感染症、半導体不足の状況が長期化した場合の対応を含め、各国および地域の経済環境の動向や法規制等の予期せぬ変化が、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 これらに対し、特定の地域に偏重することなく、バランスのとれた事業展開に努め、また、各地との緊密な連携をとることで、遅滞なく危険情報を取得し対処しております。

 

(3) 外的要因が財務状況に与える影響について

 海外子会社の現地通貨建ての経営成績及び財務状態は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、現地通貨における価値が変わらなくとも、当社グループの連結財務諸表は為替レートの変動による影響を受けます。また、外貨建ての商取引により、為替レートの変動が当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、金利の上昇により支払利息が増加する可能性があります。

当社グループは、為替変動や金利変動の影響を軽減するため、為替予約、現地生産・調達等の施策を含めてリスクヘッジを進め、また、有利子負債の削減を中心に財務体質の強化に努めております。

 

(4) 価格競争について

 当社グループの主力需要先である自動車・自動車関連産業は競争が激しく、同業界からの価格引き下げ要請への相応の対応が不可避であります。また、中国をはじめとする新興国製品の台頭により、一部商品では市場価格の下落が生じております。一方で、原材料の一部に価格の上昇がみられ、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し、当社は、VA・VE活動の強化や基幹部品の内製化などにとり組むとともに、原材料の購入量ならびに在庫量の最適化や、設計・部品の標準化による調達コストの低減、生産性の向上など、原価低減活動に加え、取引先への価格還流を継続的に実施しております。

 

(5) 原材料や部品の調達について

 当社グループは、原材料および部品を複数の供給元から調達し、取引基本契約に基づき安定的な取引を行っております。しかしながら、市況の変化による原材料および部品の価格高騰や品不足、供給元の生産能力不足や品質不良、または火災や地震等の自然災害、あるいは倒産その他の理由により、原材料および部品の調達が困難となり、取引先への製品供給に支障をきたすリスクがあります。かかる場合には、当社グループの業績および財務状況は影響を受ける可能性があります。
 これらに対し、グローバルで新規調達先の開拓・育成、最適な調達先の選定、調達先の分散化などを継続的に実施し、サプライチェーンの強化に努めております。

 

(6)研究開発について

当社グループは、事業基盤の一層の拡充を目的として、新商品開発に向けた研究開発活動を進めております。これらの研究開発は、多額の費用と期間を要するため、研究開発が計画どおり進まず商品化の機会を喪失したり、市場ニーズとのアンマッチから市場投入に至らなかったり、商品化しても十分な成果が得られなかったりした場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し、多様な市場分野において、顧客との緊密な関係性の構築によるニーズの発掘やシーズ技術を活かした独自の商品開発による差別化、大学・研究機関などとの積極的な連携によりリスクの低減に努めております。

 

(7) 品質問題について

 当社グループは、世界的に認められている品質管理基準に従い各種製品を製造しております。しかしながら当社グループの製品が予期せぬ不具合を起こした場合には、多額の費用発生や社会的な信用低下等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し、品質保証を最重要課題の一つとして位置付け、商品開発から設計・製造・サービスに至るまでの品質向上を目指したプロセス管理の強化など、グループをあげて品質管理の徹底をはかっております。

 

(8) 環境・安全対策について

 当社グループでは、環境負荷の低減に努めており、これまで重大な環境問題が発生したことはありません。しかしながら、予期せぬ事情により将来において環境問題が発生した場合には、多額の対策費用が発生し、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、脱炭素社会に向けた環境問題への対応については、その課題解決への取り組みが成果につながれば、当社グループの業績に好影響を及ぼす可能性がある一方、対応を誤れば将来にわたり悪影響を及ぼす可能性があります。

 これらに対し、環境に配慮した新商品の市場投入を進めるとともに、生産工程において、温室効果ガス、廃棄物、環境負荷物質などの発生を極力抑えるよう、設計・生産の各段階で対策を講じております。

 なお、製造設備等の主要施設については、火災等により生産活動や製品供給に支障をきたすことがないよう、災害対策に努め、また、ハードおよびソフト面で安全対策の基本方針を定め、労働災害の発生防止も進めております。しかしながら、完全なリスク回避は困難であり、重大な労働災害等が発生した場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)災害・テロについて

当社グループおよび当社グループ取引先の事業拠点が、地震、洪水などの天災、火災や、疾病発生などの災害、またはテロ攻撃や政情悪化に伴う物的・人的被害が生じる可能性があります。当社グループではリスク管理体制を構築し、被害を最小化するための事前対策・初動措置および事業継続に向けた対策を実施しておりますが、完全なリスク回避は困難であり、結果として、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の収束までの期間が長期化した場合、感染再拡大の状況によっては、今後、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。現在、新型コロナウイルス感染症に対して当社グループは、在宅勤務・テレワークの活用などにより感染防止に努めております。

 

(10)情報セキュリティについて

当社グループは、業務を通じて入手した取引先の機密情報や個人情報等を多数保有しております。これらの情報を保護するため、管理体制の整備や教育、情報セキュリティシステムの構築などを行い、情報漏えいの防止に努めております。しかしながら、コンピュータウィルスの感染、不正アクセスや盗難、その他不測の事態により機密情報が消失、もしくは社外に漏洩した場合には、当社グループの業績や信用・評判などに影響を及ぼす可能性があります。

 

  (11) 知的財産権について

 当社グループはこれまでの製品開発において蓄積してきた技術を知的財産権として、権利保護の徹底と経営資源としての活用をはかっております。しかし、特定の国および地域においては、知的財産権の保護が必ずしも十分でないため、当社グループの知的財産権を侵害して類似した製品を製造する行為を効果的に排除できない場合など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性を完全に排除できるものではありません。

また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害することのないよう、細心の注意を払っておりますが、当

社グループが第三者から知的財産権の侵害を主張された場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (12) 業務・事業提携について

 当社グループは、海外企業を含めた複数の会社との業務提携や、合弁事業またはM&A等の資本提携を行い、相互の経営資源の有効活用をはかるとともに、技術開発、生産活動、営業活動等において提携効果の創出にとり組んでいます。しかしながら、提携先の経営方針・戦略の変更、財務状況の悪化等により期待した効果を実現できない場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 人材確保について

 当社グループは、競争力を維持するため、国内外の優秀で多様な人材を継続的に確保・採用し、その教育と

ローテーションによりリーダーの育成に努めておりますが、少子高齢化を背景として有能な人材確保に向けた競争は高まっており、当社グループが人材を確保・育成できない場合には、当社グループの中長期的な業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) コンプライアンスについて

当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、各地域の法令、規制の適用を受けておりますので、コンプライアンス体制の強化が求められています。このため、「不二越企業市民ルール」をグループの行動規範として位置づけて社内教育を実施するなど、コンプライアンス意識の向上をはかっております。また、内部通報制度を整備し、コンプライアンスリスクの未然防止に努めております。しかしながら、コンプライアンスリスクを完全に回避することは困難であり、重大な法令違反等が生じた場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の当社グループをとり巻く環境は、経済活動の正常化が進み、日本・欧米などの先進国経済の持ち直しが続くなど、総じて緩やかな回復基調にあります。一方で、新型コロナウィルス感染症の再拡大や世界的な半導体不足による自動車の減産、中国経済の減速懸念などにより、依然として先行きの不透明な状況が継続しております。
 このような状況のもと、当社グループは、ロボット事業を核に、工具、工作機械、ベアリング、油圧機器、そして特殊鋼事業をあわせ持つ総合機械メーカーとしての特長を活かし、ユーザーのものづくりに寄与する新商品の開発技術や提案などにより、受注・売上の拡大にとり組んでまいりました。また、収益の改善に向けて、需要の変動に柔軟に対応する生産体制の構築、合理化などを進め、さらに、中期的な脱炭素・EV化をはじめとする産業構造の変化を見据え事業全般の構造改革を推進してまいりました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は、自動車や建設機械分野に加え、産業機械・市販分野での需要の回復を

受けて、2,291億17百万円(前期比14.0%増)、このうち、国内売上高は1,167億71百万円(同11.8%増)、海外売上

高は1,123億45百万円(同16.3%増)となりました。利益面につきましては、売上・生産の増加による操業度の改善に

加え、昨年来実施してきた自動化・合理化による生産性の向上、内製拡大、業務の効率化による販売費・一般管理

費の節減など、トータルコストダウンの効果を取り込み、営業利益は147億18百万円(同2.1倍)、経常利益は144億57

百万円(同2.6倍)、親会社株主に帰属する当期純利益は99億93百万円(同4.1倍)となりました。

 

セグメントの経営成績につきましては、次のとおりであります。

 機械工具事業では、回復基調にある工具需要と、中国を中心としたロボット需要の拡大により、売上高は714億93百万円(前期比5.8%増)となり、合理化や経費削減により営業利益は46億9百万円(同83.7%増)となりました。
 部品事業では、市況回復が続く自動車・建設機械分野に加え、産業機械・市販分野の需要を取り込み、売上高は1,447億38百万円(同19.9%増)となり、操業度の改善と自動化・合理化による生産性の向上・内製拡大などのコストダウン効果で営業利益は99億3百万円(同2.7倍)となりました。

 その他の事業では、特殊鋼需要は持ち直しつつありますが低水準で推移した結果、売上高は128億84百万円(同

0.8%増)、営業利益は99百万円(同82.7%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による収入が投資活動および財務活動による支出を上回った結果、前連結会計年度末に比べ14億38百万円増加し、403億74百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動により獲得した資金は、前連結会計年度に比べ138億21百万円増加し、330億80百万円となりました。これは、主として、税金等調整前当期純利益146億10百万円、減価償却費168億38百万円、仕入債務の増加122億23百万円などにより資金が増加した一方で、売上債権の増加62億35百万円、たな卸資産の増加73億35百万円、法人税等の支払額23億16百万円などにより資金が減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動により支出した資金は、前連結会計年度に比べ1億76百万円増加し、141億72百万円となりました。これは、主として、国内と中国・北米での自動車向けベアリングの生産能力増強、タイにおける軸受生産体制の強化、国内での建設機械向け油圧商品の生産能力増強等による有形固定資産の取得ならびに、基幹システム導入による無形固定資産の取得であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動により支出した資金(前期は138億58百万円の獲得)は、186億8百万円となりました。これは、主として、借入金の純減額185億40百万円、配当金の支払額12億41百万円、自己株式の取得32億96百万円などにより資金が減少した一方で、コマーシャル・ペーパーの純増額50億円などにより資金が増加したことによるものであります。

 

(2) 生産、受注および販売の実績

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

機械工具

53,666

11.0

部品

141,156

24.7

その他

13,385

4.4

合計

208,207

19.4

 (注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

機械工具

70,725

17.8

22,971

△8.9

部品

148,869

25.4

23,378

27.7

その他

13,748

23.3

3,186

44.0

合計

233,343

22.9

49,535

8.3

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

機械工具

71,493

5.8

部品

144,738

19.9

その他

12,884

0.8

合計

229,117

14.0

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主要な相手先別の販売実績および販売実績の総額に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

岡谷鋼機株式会社

33,265

16.5

31,489

13.7

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの財政状態および経営成績等の状況に関する分析・検討の内容は以下のと

おりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年2月22日)現在に

おいて判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

 当連結会計年度における当社グループの経営成績の分析は次のとおりであります。

1) 売上高

 当連結会計年度の売上高は、2,291億17百万円と前連結会計年度と比べ14.0%の増収となりました。このうち、国内売上高は、1,167億71百万円と同11.8%の増収となりました。これは、自動車・建設機械分野に加え、産業機械・市販分野の需要が回復したことにより、工具・部品を中心に売上高が増加したためであります。一方、海外売上高は、1,123億45百万円と同16.3%の増収となりました。これは、建設機械分野向けを中

心とした油圧機器の拡販に加え、自動車・産業機械分野向けの需要が伸び、工具やロボット、軸受などの売上高が増加したためであります。

 なお、期初に公表した売上高の年度計画2,050億円に対しては、達成率111.8%となりました。これは、自動車・建設機械・産業機械分野の需要が想定を上回って回復し、事業全般で売上高が増加したことによります。また、海外売上高比率は、海外での拡販に伴い、期初計画48.8%に比べ0.2ポイント上昇し49.0%となりました。

 

2) 売上総利益

 当連結会計年度の売上総利益は522億64百万円と、部品事業を中心とした売上高の増加により前連結会計年度に比べ増益となりました。

 

3) 販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費は、375億45百万円となり、前連結会計年度に比べ42億66百万円増加しました。これ

は、売上高の増加により、荷造運搬費が増加したほか、前連結会計年度に比べ人件費や研究開発費が増加した結果であります。また、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は16.4%と前連結会計年度に比べて0.2ポイント低下しました。

 

4) 営業損益

 当連結会計年度の営業利益は147億18百万円と前連結会計年度に比べ114.8%の増益となりました。

また、売上高営業利益率は6.4%となり、前連結会計年度に比べて3.0ポイント上昇しました。

 なお、期初に公表した営業利益の年度計画80億円に対しては、達成率184.0%となりました。これは、主に、期初計画に対する売上・生産増に伴う操業度の改善、為替の円安推移によるものであります。そして、営業利益率は、期初計画3.9%に比べ2.5ポイント上昇し6.4%となりました。

 

5) 営業外損益

 営業外損益(費用)は、2億60百万円の費用(純額)となり、前連結会計年度の13億41百万円の費用(純額)から10億81百万円減少しました。これは、支払利息が1億43百万円減少し、為替差益が1億64百万円(前期は為替差損7億19百万円)となったことによるものであります。

 

6) 経常損益

 当連結会計年度の経常利益は144億57百万円と前連結会計年度に比べ162.4%の増益となりました。

 

7) 親会社株主に帰属する当期純損益

 特別利益は、固定資産売却益3億97百万円、投資有価証券売却益2百万円の計上で4億円となり、前連結会計年度に比べて3億70百万円増加しました。特別損失は、固定資産売却損1百万円、固定資産除却損1億68百万円、独占禁止法等関連損失62百万円、投資有価証券評価損14百万円の計上で2億47百万円となり、前連結会計年度に比べ4億29百万円減少しました。

 法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計は、42億67百万円となり、前連結会計年度に比べ20億77百万円増加しました。

 これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は99億93百万円となり、前連結会計年度に比べ75億35百万円の増益となりました。

 

② 資本の財源および資金の流動性についての分析

1) 財政状態の状況

 当連結会計年度末の資産合計は、3,193億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ262億51百万円増加しました。主として、現金及び預金が16億53百万円、受取手形及び売掛金が91億62百万円、たな卸資産が92億30百万円、有形固定資産が11億75百万円、投資有価証券が17億6百万円増加しております。

 負債合計は、1,811億円となり、前連結会計年度末に比べ122億99百万円増加しました。主として、支払手形及び買掛金が143億17百万円、コマーシャル・ペーパーが50億円、未払費用が45億26百万円、未払法人税等が25億10百万円増加し、借入金が176億50百万円減少しております。なお、当社は調達手段の多様化と支払金利の抑制を目的として、当連結会計年度にコマーシャル・ペーパーを50億円発行しております。
 純資産合計は、1,382億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ139億52百万円増加しました。主として、利益剰余金が87億52百万円、その他有価証券評価差額金が12億93百万円、為替換算調整勘定が48億66百万円増加しております。なお、自己株式の取得により、自己株式が27億84百万円増加しております。

 

2) キャッシュ・フローの状況

「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

3) 資金需要

 当社グループの資金需要は、仕入、生産及び販売活動に必要な運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費用、研究開発費によるもののほか、投資活動において、機械保全、品質向上および生産能力の増強と生産ラインの合理化を目的とした設備投資などであります。これらの資金需要に対しては、安定した収益基盤を確立し一層の利益追求をはかると同時に、売上債権、たな卸資産、仕入債務の適切な管理に加えて、固定資産の効率的活用などにとり組んでおります。また、不足分の資金は、有利子負債による調達を基本にしており、取引金融機関との安定した調達体制の維持に努めるとともに、調達手段の多様化による財務基盤の安定に向けたとり組みを進めております。なお、当社および主要なグループ会社間でキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、グループ内の資金効率化に努めております。

 当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は、919億46百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は403億74百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 また、新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております

 

 

4【経営上の重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループは「成長企業への挑戦、夢をかなえるものづくり企業をめざす」という長期ビジョンのもと、商品・技術の連環を深め、独自性の高い開発で社会の発展に貢献し、顧客から選ばれる企業を目指しております。

中期的にはロボット・ロボットシステムと、社内で培い進化してきた多彩な生産技術・ノウハウ、さらに、自動化・情報化・電動化に適した部品・加工技術を提供し、多様化する社会に向けたあらゆる産業分野のお客様の製品やその生産ラインの進化に貢献してまいります。

 これらを実現するうえで、従来の既成概念にとらわれない画期的な商品開発や各事業を横断した複合連関型商品開発にタイムリーにとり組めるよう開発体制を強化し、固有の基礎技術に根差し差別化されたオンリーワン商品に繋がるよう特許を含む知的財産の拡充を図ってまいりました。

 開発にあたっては、オープンイノベーションを志向し、カスタマーやサプライヤー、産学との共同開発を推進することで、当社の技術シーズを補完しながら開発のスピードアップをはかっております。

 これらの活動に伴う当連結会計年度の研究開発費は、機械工具事業で3,414百万円、部品事業で1,857百万円、その他の事業で652百万円となり、5,924百万円となりました

 

 当連結会計年度の主な活動状況および開発成果は、次のとおりであります。

(1)機械工具事業

 ロボットでは、主に電機・電子分野での搬送・組立ニーズに応えるため、小型垂直多関節ロボットMZシリーズのラインナップ拡充として、12kg可搬中空手首ロボット「MZ12H」、世界最小*のロボット制御装置「CFDs」を新規投入いたしました(*2021年12月現在)。また、電機・電子分野で自動化が困難であったコネクタ挿入作業を実現した「コネクタ挿入アプリケーション」が、日刊工業新聞社主催の2021年「十大新製品賞 本賞」を受賞するなど、生産設備の生産性向上への貢献が評価されております。さらに、ロボットシステムの稼働データの収集から見える化までを実現するIoTソリューション「NR:connect」、ロボットシミュレータ「FD

on DESKⅢ」も発売いたしました。今後もロボットラインナップの拡充を図ると共に、AIなど新技術を活用することで、より使いやすいロボットシステムを提案し、幅広い分野の自動化ニーズに応えてまいります。

 工具では、「材料」、「形状」、「コーティング」といった工具の基本要素をすべて一新し、「長寿命」、「高能率」、「多用途」を実現いたしましたアクアREVOブランドを展開。2019年の「アクアREVOドリル」に続き、2020年に「アクアREVOドリルオイルホール」、「アクアREVOミル」を発売開始。さらに、2021年は、小径ドリルに求められる折れにくさを追求した「アクアREVOドリルマイクロ」、立ち壁や深いポケットへの加工に最適な「アクアREVOミル4D」をラインナップに追加し、ユーザーでの生産性向上やコストダウンに貢献しております。また、ねじ加工工具においても、切りくずを出さない盛上げタップ「ZTフォーミングタップ」を新開発。お客様の困りごとを開発に生かすことで、圧倒的な長寿命と低トルクを実現いたしました。今後も、材料のマテリアル部門、熱処理・コーティングのサーモテック部門との連携で、市場ニーズに応えた商品を投入してまいります。

 工作機械では、機械・工具の双方を提供できる世界でも類のないメーカーである特徴を活かし、高能率・高精度な歯車スカイビング複合加工機のシリーズ拡充、拡販に取り組んでおります。今後は、更なる自動化オプションの開発、AI・IoTを活用したシステム開発に取り組み、ユーザーの要望に応えた工作機械の開発を進めてまいります。

 

(2)部品事業

 ベアリングでは、産業機械分野においては多点接触玉軸受や薄肉軸受の展開により、機器の小型化、高効率化に貢献しております。また自動車分野においてはEV化の進行に応じて、モータ高速化や電動コンプレッサなど補機類の電動化に対応した軸受の開発と提供を行っております。

 油圧では、鍛圧機械向け商品として、省エネ高精度なパワーマイスターに、大型プレス機にも適用できる大流量のUPS-2Aシリーズを追加(2021年7月)いたしました。また、定格圧力35MPaの高圧ピストンポンプに3サイズ目のPZH-1Bを投入(2021年11月)、2022年度にも2サイズを順次投入し、高圧ピストンポンプPZHシリーズを5サイズに拡充してグローバル展開してまいります。工作機械・産業機械をはじめ幅広い機械で使用されているソレノイドバルブでは、消費電力を従来比25%削減したSS/SA-G01-40デザインを投入(2021年9月)いたしました。また、工作機械等加工設備の自動化やIoT化ニーズ゛に応え、産業ネットワークEtherNet/IPに対応した比例弁用デジタルアンプ(2021年11月投入)に続き、今後も油圧と電子制御を組み合わせた商品を順次投入してまいります。

 カーハイドロリクスでは、自動車用のソレノイドやベーンポンプの技術を基盤としたEV用のアクチュエータやポンプの開発を進めており、2021年度もアクチュエータ新モデルの量産を開始いたしました。今後も小型・高効率な商品開発を進めラインナップ拡充に努めてまいります。

また事業領域を広げるべく、技術を生かした産機分野向け商品の開発を進めております。

 

(3)その他の事業

 マテリアルでは、不二越全社の新商品開発と連携し、切削工具用の新しい超硬材や高性能の軸受、アクチュエータ等に使用される高機能材料の開発を進めております。また、これまで基礎開発として取り組んできた摩擦かくはん接合(FSW)技術を活用し、異種材接合された部材の開発へ展開、今後拡大が見込まれるEV市場に向けた商品化を進めるなど、市場の要望に応える新素材開発を進めてまいります。

 サーモテックでは、高耐摩耗・低摩擦膜の高品質化・高速化のニーズに対応するために、DLCコーティング装置(SMVP-1020)を市場投入しました。従来困難であったパイプ、ノズル等の細孔内面成膜も可能になり、新規用途の拡大が期待されます。熱処理装置開発では、CO2排出量が少ない真空浸炭炉への更新需要を見据え、顧客ニーズを満足する商品の改良・開発を引き続き進めて参ります。