第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営理念と経営の基本方針

 当社グループは、「より良き品を、より早く、より多く、より安く、より賢く」つくることで社会に貢献するという経営理念の下、以下3つを基盤とする経営の基本方針としております。

 ① 社是「五つの心得」に基づく透明度の高い経営

(一)従業員が誇りを持てる会社でなければならない

(二)お客様の信頼を得なければならない

(三)株主の皆様のご期待に応えなければならない

(四)地域社会に歓迎されなければならない

(五)国際社会の発展に貢献しなければならない

 

 この社是の下、当社グループは、株主の皆様・取引先・地域社会・国際社会・従業員をはじめとしたさまざまなステークホルダーに対して社会的な責任を果たすとともに、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

 また、当社グループは、「高付加価値製品の開発」「製品の品質の高度化」に積極的に取り組み、グループの総合力を発揮できる分野に経営資源を集中するとともに、「財務体質の強化」を中心とした企業運営の強化と社内外に対してわかりやすい「透明度の高い経営」の実践を心がけております。

 

 ② 常識を超えた「違い」による新しい価値の創造

 社会へ新しい価値を提案していくことが、これからのものづくりに求められます。2017年に、当社は「Passion to Create Value through Difference」というスローガンを定め、今後も常識を超えた「違い」で新しい価値をつくり、他社にはない強みを発揮してまいります。

 

 ③ ものづくりに真摯に取り組む姿勢

 グループ全社にて、ものづくりに対する姿勢、考え方、やり方のベストプラクティスを追求し、共有していくことが何よりも重要です。当社グループがこれまで徹底してきた「真摯なものづくり」を追求してまいります。

 

(2) 基本戦略

 当社グループは、上記経営理念に基づき、生産性を徹底して見直し、従来製品の一層の収益力の向上を目指します。

 具体的には、当社グループが保有する機械加工製品技術、電子機器製品技術、株式会社ユーシンの車載技術、そして、2020年4月30日付で経営統合したエイブリック株式会社の半導体技術との融合により、次世代に向けた新製品開発、複合製品事業の拡大を進めます。加えて、製造、営業、技術及び開発の領域を越えた総合力の発揮により、「顧客要求対応力」と「価格対応力」の強化に努めます。さらに、地域的なリスク検討を行いながら、大規模な海外量産工場の展開とグローバルな研究開発体制を整備するとともに、M&A・アライアンスを通じて、収益力の向上、企業価値の拡大を積極的に進め、2029年3月期売上高2.5兆円、営業利益2,500億円を目指してまいります。

 これらを推し進め、当社グループの持続的成長をはかるため、知的資本・人的資本・製造資本等の「非財務資本」と「財務資本」の融合により、コア事業の強化と多角化を進めるとともに、それらを相合(そうごう=相い合わせる)することで新たな価値を創造してまいります。各経営戦略の概要は以下のとおりです。

 

① 「コア事業の強化」

 当社グループは、全製品の強みの源泉である「超精密機械加工技術」と「垂直統合生産システム」「グローバルネットワーク」をさらに強化することで、ベアリング、モーターをはじめとする主力事業において圧倒的なシェアを獲得し、収益力の向上を進めてまいります。

 

② 「多角化でニッチ(8本槍)」

 当社は、ベアリング産業において外径22mm以下のミニチュア小径ベアリングというニッチ分野に、他社に先がけて特化することで高いマーケットシェアと収益力を構築してきました。また、市場規模、永続性の観点からこれまでさまざまな事業の選択と集中を行い、事業の中核である8本槍製品(ベアリング、モーター、ドアハンドル・ドアラッチ等のアクセス製品、アナログ半導体、センサー、コネクター・スイッチ、電源、無線・通信・ソフトウエア)を進化させてまいりました。エイブリック株式会社との経営統合では、研究開発、ものづくり、販路の相互活用など多様なシナジー効果を発揮し、半導体事業の規模拡大とアナログ半導体市場での地位向上を早期に実現するとともに、引き続き、特定領域(ニッチ)での高いシェアを獲得し、持続的な成長をはかってまいります。

 

③ 「相合によるシナジー創出」

 当社コア技術である「超精密機械加工技術」「大量生産技術」「センサー技術(荷重・圧力など)」「光学技術」「MEMS技術」「高周波技術」「電気回路技術」「半導体設計技術」に、株式会社ユーシンの「機構設計技術」「システム設計技術」を融合し、さらにエイブリック株式会社の取得を通じミツミ半導体の5つの注力開発分野(リチウム保護、車載電源、垂直統合、MEMSセンサー・カスタム、IGBT)とエイブリックとの共通分野であるリチウム保護、車載電源の相合と新たな開発分野である医療・高圧、磁気センサー、クリーンブーストの追加、活用により「8本槍」を進化させるとともに、その進化した製品を相合することで、医療・介護、情報・通信、ロボティクス、自動車、インダストリー、インフラ、住宅設備といった分野でのシナジーを創出し、新たな価値をお客様へ提供してまいります。

 

 また、当社グループは、持続的成長を支える取り組みとして、環境・社会・ガバナンスに配慮した「ESG」経営を重視しながら進めてまいります。具体的には、エネルギー消費の低減等に資する各種製品を社会に送り出すことにより、環境負荷の低減と環境保全活動を推進し、社会にとってなくてはならない会社を目指すとともに、法令の遵守と企業倫理に則した公正・適切な事業運営、ステークホルダーとの良好な関係維持等におけるさまざまな取り組みを通じ、事業による環境・社会への貢献を行ってまいります。

 

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループは、業務遂行や事業活動に直接又は間接的に影響を与える可能性のある不確実な事象をリスクと定義しており、業務の遂行リスク管理を行う組織としてリスク管理委員会を設置しております。リスク管理委員会では、具体的なリスクを想定・分類し、有事の際の迅速かつ適切な情報伝達と緊急体制を整備し、リスク管理に関する事項を取締役会に報告を行っております。

 このような中で当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクの内容と対応を外部環境及び内部環境の観点から記載をしております。なお、文中の将来に関する主要なリスクは、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。ただし、全てのリスクを網羅したものではなく、現時点で予期できないリスクの影響を受ける可能性があります。

 

(外部環境)

① 自然災害等によるリスク

  当社グループは、平時より自然災害等の発生を想定した防災訓練・危機管理体制を強化すべく本部・各拠点が緊密に連携しリスクへの対応に努めております。

  しかしながら大規模な地震、洪水等の自然災害並びに新型感染症の発生等により、当社グループ及び当社グループ取引先の事業拠点が被災した場合、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 新型コロナウイルスの影響について

  新型コロナウイルスに関しては、当社グループ内への感染拡大を防止するため、社長執行役員を本部長とする対策本部を立ち上げ、グローバルな新型コロナウイルス対策会議を開催し、中国で行った対応策を世界の全工場、従業員に展開して防疫管理体制を確立し、安全操業に努めました。また各国政府による操業停止指示のあった地域では、グループ内で行った徹底した感染防止対策を説明し、早期の操業再開を達成いたしました。

 

(主な対策事例)

・全社員へのマスク着用、手洗い、食堂での私語禁止など公衆衛生教育の徹底

・体調不良時の自宅待機基準を明確にした管理方法の徹底

・SNS(LINE、WeChat)及びQRコードを活用し、全社員の検温を含む体調管理及び出勤可否の確認、社内での行動履歴の把握

・安全操業を最重要視し、地元政府と密接に連携

・事業・製品ごとの適正在庫政策、残業管理、一時帰休又は稼働日調整の実施

・時差出勤、在宅勤務、Web会議の活用、海外・国内出張禁止、不要不急の外部との接触を自粛等

 

(ステークホルダーに向けた施策例)

・2020年4月より供給責任及び社会的責任を果たすため、安全操業を目的とし、約10万人の従業員及びその家族向けにマスクの自社生産を開始

・2020年6月より日本国内において高品質マスクの供給に向けた外販用マスクの生産及び販売を開始

・災害用に備蓄していたN95マスク22万枚及びその他医療用アイテムを150の医療機関、政府機関等に寄贈

・医療体制の維持貢献に向け医療機器に使用される部品を優先的に生産

 

(経営成績への影響について)

  新型コロナウイルス感染拡大は、経済や企業活動に広範な影響を与える事象であり、当社グループにおいても外部環境の変化による売上減少及び各国の移動制限等による工場の稼働低下の影響を受けております。当連結会計年度の業績においては、売上高への影響は約300億円、営業利益への影響は売上減により64億円の減少、各国での感染防止対策費用及び工場での稼働損失による影響が26億円ありました。なお、新型コロナウイルスの感染が長期化した場合、当社グループの経営成績にさらに影響を及ぼす可能性があります。

 

(財政状態への影響について)

  現時点においては、各国金融当局が積極的に金融市場への資金供給を行っており、当社の資金繰り及び財務の安定性に大きな影響を与える可能性は限定的と認識しておりますが、金融市場が大きく混乱した場合、資金調達コストの上昇や新規の資金調達へ影響を与える可能性があります。感染拡大の影響は予測が困難なため、短期的には新たな投資活動の抑制や、安定的な資金調達に努めてまいります。

 

(生産活動への影響について)

  感染が拡大し、各国政府の要請等により事業活動及び行動の制限が強化された場合、工場の稼働停止等、当社グループの生産、販売活動に重大な影響を与える可能性があります。

 2020年6月時点における主な生産拠点の状況は下記のとおりです(括弧内は2020年3月期生産比率)。

 

地域

状況

アジア

(74%)

中国

通常操業時とほぼ同等の稼働

タイ

通常操業時とほぼ同等の稼働

カンボジア

通常操業時とほぼ同等の稼働

フィリピン

ルソン島 :通常操業時とほぼ同等の稼働

セブ島  :通常操業時とほぼ同等の稼働

マレーシア

通常操業時とほぼ同等の稼働

欧州

(8%)

 

医療/航空向け :操業度を下げて稼働

自動車向け   :操業度を下げて稼働

北米及び

中南米

(5%)

アメリカ

操業度を下げて稼働

メキシコ

6月より稼働再開

ブラジル

5月より稼働再開

 

(サプライチェーンへの影響について)

  調達については、当社グループの生産拠点では政府による操業停止指示のあった中国、マレーシア、フィリピン等の資材調達先で操業再開の時期に差が見られました。現時点で部材の納入状況に問題はないものの、今後の感染拡大の状況によっては影響が顕在化するおそれがあります。物流については、各国の移動規制が物流面にも大きな影響を与え、船便及び航空便の減便やリードタイム延長により、当社グループにおける工場の操業及び顧客向けの出荷に影響を与えました。

  当社グループは、事業継続計画(BCP)の観点から、調達先の地域の見直しや複数社からの調達(マルチソース化)、基幹部品のさらなる内製化、物流ルートの見直し等、サプライチェーンの見直しに着手しております。

 

② 海外進出に潜在するリスク

  当社グループの生産の多くは、タイ、中国、フィリピン、カンボジア等海外で行われております。海外進出後、長期間が経過し、地場との融合が行われておりますが、予期しない法律もしくは規制の変更、人材の採用と確保の難しさ、テロ、戦争又はその他の要因による社会的混乱といったリスクが内在しております。このため、海外進出に潜在するリスクの対応として危機管理マニュアルを海外拠点において整備し、不測の事態への備えを強化しております。また、所在国・地域の関係当局とも緊密に連携をはかるとともに、事態発生時における正確な情報収集に基づいた早急な対応により、会社や従業員の安全確保に努めております。さらに、海外量産工場の展開とグローバルな研究開発体制により、外部環境の変化に効果的な製品ミックスとグローバル生産拠点が相互に補完し、収益を下支えする「リスク分散体制」を確立しております。

  当連結会計年度において、2019年5月に施行されたタイの労働者保護法改正による影響として退職給付費用2,790百万円を当連結会計年度において計上しております。

 

③ 為替変動によるリスク

  当社グループは、海外売上高比率(66.1%)及び海外生産高比率(87.7%)が高いため、為替相場の変動によるリスクがあります。このため、将来の急激な為替リスク低減のための為替予約等を中心とするリスクヘッジを行っておりますが、予期できない急激な為替変動は、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 急激な市場環境の変化と低価格競争によるリスク

  PC及び周辺機器、情報通信機器、家電、自動車、航空機部品を中心とする当社グループ製品の主要市場は、国内外において競争が非常に激しく需要の大きな変動によるリスクがあります。急激な需要の縮小や海外製の低価格製品との価格競争は、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

  このため当社グループでは、「コア事業の強化」、「多角化でニッチ(8本槍)」、「相合によるシナジー創出」の経営戦略の下、販売先の集中リスクをできるだけ回避し、信用面で懸念がある取引先には保全活動を交渉するなど、債権管理を強化するとともに、価格競争に捉われないオンリーワンの付加価値の高い製品づくりに注力することで市場環境及び低価格競争へのリスク対応を行っております。

 

⑤ 原材料費、物流費等のコスト高に対するリスク

  当社グループは、サプライヤーとの健全なパートナーシップを築くため「資材調達基本方針」を定めており、サプライヤーに対して継続的な取引が可能であること、当社グループの製品含有化学物質に関する要領及び基準などを遵守できること、「ミネベアミツミグループCSR調達ガイドライン」に賛同できることなど当社グループの資材調達への考えに賛同いただくことを確認の上、新規に取引を行っております。

  「資材調達基本方針」の考えの下、調達価格の安定化をはかるべく複数のサプライヤーから生産に必要な原材料等調達の分散に努め、また生産性改善によるコストダウンを進めることで原材料費、物流費等のコスト高に対するリスクへの対応を行っております。しかしながら予期できない自然災害、感染症、事故、倒産等によりサプライヤーの経営状態が著しく悪化し、原材料等の供給制限などが生じた結果、急激な原材料等の価格が上昇した場合は、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 未払退職金及び年金費用

  当社グループは、運用収益の悪化による年金資産の公正価値の減少、割引率の低下、昇給率やその他の年金数理計算に使用する前提とする比率の変動による退職給付債務増加に伴い積立状況が悪化した場合には年金費用が増加するリスクがあります。結果、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。このため当社グループは複数の確定給付制度を有し、特定の資産運用に集中させることでリスクへの対応を行っております。

 

⑦ 重要な訴訟等に対するリスク

  当社グループは、国内及び海外への広範な事業活動を展開する中で、将来、重要な訴訟等が提起されるリスクがあります。独占禁止法、製造物責任法、知的財産法をはじめとするさまざまな法律に関わる訴訟リスクが想定されますが当社グループでは重要な訴訟等が発生した際の対応を法務部が一括して管理し顧問弁護士とともに行っております。しかしながら将来、重要な訴訟等が提起された場合には経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 環境関連法令等に対するリスク

  当社グループは、世界各地域において、さまざまな環境関連法令の適用を受けるリスクがあります。このため「ミネベアミツミグループ環境方針」の下、環境マネジメント体制(環境マネジメント委員会)を設け環境管理責任者を配し、厳格な環境汚染防止活動を平時より推進しリスクへの対応を行っております。細心の注意を払いながら事業を行っておりますが、万一環境汚染が発生し又は発生のおそれが判明した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ M&A・アライアンスに対するリスク

  当社グループは、M&Aとアライアンスを最重要施策の一つと位置付け推進しておりますが、市場環境の変化等に起因し、さらにアライアンスにおいては相手先との戦略の不一致等が発現し、当初想定した効果を生まないリスクがあります。このようなリスクへの対応として当社グループは、M&Aにおいては人材と組織の融合、アライアンスにおいては知見の相互活用を重視し、シナジーの創出をはかっております。しかしながら、事業環境の変化により買収企業やアライアンス事業において想定以上の収益性の下振れや財務内容の悪化が発生した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(内部環境)

① コンプライアンスに関するリスク

  当社グループは、世界各地の法令、規則の適用を受けながら事業活動を行っており、これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等があれば、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、お客様からの信頼を失う可能性があります。当社グループでは、労働、安全衛生、環境保全、倫理的経営について「ミネベアミツミグループ行動規範」を定め、さらに全ての役員・従業員が遵守すべき具体的な基準として「ミネベアミツミグループ役員・従業員行動指針」を定めております。また、その徹底をはかるため、コンプライアンス委員会を設置して、当社グループのコンプライアンスの取り組みを横断的に統括するとともに、同委員会を中心に役職員教育等を行っております。しかしながら、将来にわたって法令違反等が発生する可能性が皆無であることを保証するものではなく、法令が改正されたり法令解釈が当局により変更された結果、法令等に抵触して当社グループのブランドイメージが低下したり、発生した損害への賠償金等の支払い又は遵守のための費用が増加した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 品質問題によるリスク

  当社グループの製品は、多くの産業分野で、とりわけ自動車、航空機、医療機器等、人命を担う最先端製品にも数多く使用されております。このため社会的責任とともに高い品質保証が求められることから品質問題に伴うリスクがあります。そこで当社グループでは、「ミネベアミツミグループ品質方針」に基づき、経営理念の徹底をはかるとともに、品質保証体制を確立させ品質の確保に取り組んでおります。また、品質保証本部による製造現場での品質向上活動に加え、不測の事態に備えての各種損害保険付保によるリスクマネージを行っております。しかしながら、当社グループの瑕疵において重大な事故、顧客の生産停止及びリコール等の事態が発生した場合、多大な費用の発生や社会的信用の低下により経営成績及び財政状態等に影響を及ぼすことも考えられるため、あらゆるリスクを想定しリスクの低減活動を行っております。

 

③ 情報セキュリティによるリスク

  当社グループは、事業活動の中で多くの重要情報や個人情報を入手することがあり情報セキュリティによるリスクがあります。このため、当社グループでは情報セキュリティ体制が適切に運営されているか検証する目的から情報セキュリティ委員会を設置しております。また情報セキュリティ教育の一環として理解度テストを励行し、機器の紛失・盗難、不注意等による情報流出の防止に努めリスク回避の対策を実施しております。しかしながら、予期せぬ事態により情報が流出し、社会的信用が低下した結果、多額の費用が発生する場合は、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 研究開発に対するリスク

  当社グループは、新製品を継続的に市場投入し、将来の売上高、収益の目標達成に貢献できるよう基礎研究、要素技術開発、製品開発及び生産工程開発を含む研究開発活動を行っております。研究開発の成果創出には不確実性が伴いますが、これを想定の範囲内に収めるべく、研究開発プロジェクトの進捗・費用については、「研究開発管理規定」等に則り、効果的かつ効率的な管理を行っております。しかし、想定に反して研究開発の成果物が適時創出できない場合、あるいは競合他社が当社の研究開発の成果物を凌駕するもので対抗してきた場合、将来の売上高、収益の目標達成ができず、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国の経済は、期初からの海外経済減速や国内外の自動車販売低迷に加え、第4四半期からは新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け輸出や設備投資が大きく減少するなど景気は大きく後退しました。米国経済は、米中貿易協議の進展を受け米国株が史上最高値を更新するなど好調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染拡大により経済活動に不透明感が大きく高まりました。欧州経済は、イギリスのEU離脱や新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け輸出は落ち込み、景気は低迷しました。アジア地域においては、中国経済は政策による下支えや米中貿易協議の進展により一時底入れの兆しが見えたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け経済活動は大幅に縮小いたしました。

 当社グループは、かかる経営環境下で、収益力のさらなる向上を実現するために、徹底したコスト削減、高付加価値製品と新技術の開発及び拡販活動に注力してまいりました。

 この結果、売上高は978,445百万円と前連結会計年度に比べ93,722百万円(10.6%)の増収となり、創業以来の過去最高を更新しました。営業利益は58,647百万円と前連結会計年度に比べ13,386百万円(△18.6%)の減益、税引前利益は58,089百万円と前連結会計年度に比べ13,232百万円(△18.6%)の減益、親会社の所有者に帰属する当期利益は45,975百万円と前連結会計年度に比べ14,167百万円(△23.6%)の減益となりました。

 なお、昨年4月10日付で株式公開買付けにより株式会社ユーシンを子会社化し、経営統合を実施したことに伴い、同統合日より同社を連結対象に組み入れております。上記には、統合日以降の同社の損益が含まれております。

 

セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、株式会社ユーシンの取得に伴い、ユーシン事業を新たに報告セグメントとして開示しております。また、「ミツミ事業」に含まれていた電池モジュール製品を「電子機器事業」に移管する会社組織の変更を行い、これに伴い、セグメント情報の変更を行っております。

 前連結会計年度のセグメント情報は、会社組織変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。

 

機械加工品事業

 機械加工品事業は、当社グループの主力であるボールベアリングのほかに、主として航空機に使用されるロッドエンドベアリング、ハードディスク駆動装置(HDD)用ピボットアッセンブリー等のメカニカルパーツ及び航空機用のねじが主な製品であります。主力製品であるボールベアリングは、自動車、エアコン向けにおいて需要が堅調に推移しましたが、ファンモーター向けの需要減等により販売数量、売上高ともに減少しました。ロッドエンドベアリングは、B737MAXの減産の影響は受けたものの、他の航空機等の受注が好調に推移し、売上高は増加しました。ピボットアッセンブリーは、HDD市場の縮小を受け、販売数量、売上高ともに減少しました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は180,885百万円と前連結会計年度に比べ7,439百万円(△4.0%)の減収となり、営業利益は39,874百万円と前連結会計年度に比べ7,876百万円(△16.5%)の減益となりました。

電子機器事業

 電子機器事業は、電子デバイス(液晶用バックライト等のエレクトロデバイス、センシングデバイス(計測機器)等)、HDD用スピンドルモーター、ステッピングモーター、DCモーター、エアームーバー及び特殊機器が主な製品であります。液晶用バックライトでは薄型技術に優位性を持つ当社への需要が堅調に推移しましたが、ステッピングモーターをはじめとするモーターの車載向け市場低迷に伴う需要減により、売上高は減少しました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は379,422百万円と前連結会計年度に比べ18,175百万円(△4.6%)の減収となり、営業利益は17,552百万円と前連結会計年度に比べ510百万円(3.0%)の増益となりました。

 

ミツミ事業

 ミツミ事業は、半導体デバイス、光デバイス、機構部品、高周波部品及び電源部品が主な製品であります。カメラ用アクチュエータが好調に推移しましたが、ゲーム機器等の機構部品の減少により、売上高は減少しました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は292,243百万円と前連結会計年度に比べ5,876百万円(△2.0%)の減収となり、営業利益は18,656百万円と前連結会計年度に比べ3,505百万円(△15.8%)の減益となりました。

 

ユーシン事業

 ユーシン事業は、キーセット、ドアラッチ、ドアハンドル等の自動車部品のほかに、産業機械用部品、住宅機器用部品(ビル・住宅用錠前その他)が主な製品であります。自動車部品は、中国、欧州等における自動車市場減速、新型コロナウイルス感染拡大等の影響で稼働が低下したことにより、当連結会計年度の売上高は125,145百万円となり、営業利益は2,598百万円となりました。

 

その他の事業

 その他の事業は、自社製機械が主な製品であります。当連結会計年度の売上高は750百万円と前連結会計年度に比べ67百万円(9.7%)の増収、営業損失は1,502百万円と前連結会計年度に比べ1,117百万円の悪化となりました。

 

 上記以外に、各セグメントに帰属しない全社費用等18,531百万円を調整額として表示しております。前連結会計年度の調整額は14,535百万円でした。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は130,746百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,314百万円増加しました。

 

 営業活動によるキャッシュ・フローは、86,486百万円の収入(前連結会計年度は100,722百万円の収入)となりました。これは、主に税引前利益、減価償却費及び償却費、営業債権及びその他の債権、棚卸資産の増減等によるものです。

 

 投資活動によるキャッシュ・フローは、43,540百万円の支出(前連結会計年度は54,190百万円の支出)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出等によるものです。

 

 財務活動によるキャッシュ・フローは、28,758百万円の支出(前連結会計年度は13,334百万円の支出)となりました。これは、主に長期借入れによる収入があった一方、長期借入金の返済による支出、自己株式の取得による支出、配当金の支払等があったことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(ⅰ) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

 前年同期比(%)

機械加工品(百万円)

183,030

95.8

電子機器(百万円)

383,574

97.6

ミツミ事業(百万円)

313,379

112.8

ユーシン事業(百万円)

119,742

その他(百万円)

192

38.0

合計(百万円)

999,917

115.9

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。

 

(ⅱ) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

機械加工品

183,475

87.7

97,199

102.7

電子機器

384,198

98.5

52,118

110.1

ミツミ事業

295,841

100.4

25,829

116.2

ユーシン事業

136,878

11,733

その他

742

107.3

115

93.5

合計

1,001,134

111.9

186,994

113.8

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。

 

(ⅲ) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

 前年同期比(%)

機械加工品(百万円)

180,885

96.0

電子機器(百万円)

379,422

95.4

ミツミ事業(百万円)

292,243

98.0

ユーシン事業(百万円)

125,145

その他(百万円)

750

109.7

合計(百万円)

978,445

110.6

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

      2.上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。

 

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 相手先

 前連結会計年度

(自 2018年4月1日

  至 2019年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

任天堂株式会社

144,969

16.4

122,851

12.6

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。

 連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える仮定、見積り及び判断を必要としております。特に大きな影響を及ぼすものとして、貸倒引当金、環境整備費引当金及び訴訟等の偶発事象などに関する引当金や退職給付に係る会計処理については、過去の実績や当該事象の状況に照らして合理的と考えられる見積り及び判断を行い、また、のれん、固定資産の減損及び繰延税金資産の計上については、将来の回収可能性などを考慮しております。

 新型コロナウイルス感染症に関しては、感染拡大へ厳重な対策を実施したうえで事業活動を継続しており、現時点においては、一部子会社を除き、平常時と概ね同水準の稼働率を維持しておりますが、今後各国政府の要請等により事業活動及び行動の制限が再度強化された場合、工場の稼働停止等、当社の生産、販売活動に重大な影響を与える可能性があります。

 本感染症は経済、企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の終息時期等を予想することは困難なことから、当社が入手し得る最善の情報等を踏まえて、今後2021年3月期の1年間にわたり当該影響が継続するとの仮定の下、のれん、固定資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性の検討等の会計上の見積りを行っております。

 これらの仮定、見積り及び判断については不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態、経営成績は次のとおりであります。

 

(財政状態の分析)

 当社グループは、「財務体質の強化」を主要な経営方針とし、効率的な設備投資、資産運用及び有利子負債の削減等に取り組んでおります。

  当連結会計年度末における総資産は864,481百万円となり、前連結会計年度末に比べ122,354百万円の増加となりました。その主な要因は、営業債権及びその他の債権、棚卸資産、有形固定資産の増加であります。

 当連結会計年度末における負債は462,205百万円となり、前連結会計年度末に比べ127,338百万円の増加となりました。その主な要因は、営業債務及びその他の債務、社債及び借入金の増加であります。

  なお、資本は402,276百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は45.6%と前連結会計年度末に比べ8.3ポイント減少しました。

 

 

(経営成績の分析)

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ10.6%増収978,445百万円となり、創業以来の過去最高売上高を更新し、営業利益△18.6%減益58,647百万円となりました。セグメント別の売上高及び営業利益については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 当連結会計年度における税引前利益は、△18.6%減益58,089百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益△23.6%減益45,975百万円となりました。

 

(キャッシュ・フローの分析)

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。運転資金の調達については、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。重要な資本の支出及びその資金の調達源については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載しております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は233,452百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は130,746百万円となっております。

 

 経営方針・戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

 当社グループは、2029年3月期に「売上2.5兆円、営業利益2,500億円」の達成を目指しております。2021年3月期の業績予想につきましては新型コロナウイルスの世界的な感染拡大及び各国ロックダウン等による影響を精査中であり、現段階では合理的な算出が困難であるため、売上、利益ともに上限、下限と幅を持った予測としております。当社は2020年4月30日付でエイブリック株式会社の株式取得を完了し、同社は当社の子会社となりました。下記見通しには、同社統合後の見通しを含んでおります。

 

 

2020年

3月期

(実績)

2021年

3月期

(計画)

売上高(億円)

9,784

9,000~10,000

営業利益(億円)

586

500~600

 

 今後も他社にない幅広い製品ラインナップを持つ総合精密部品メーカーとして、当社が持つ技術及び製品を「相合」することで新たな価値を創出し、業績の向上に取り組んでまいります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 (技術導入契約等)

 当社は、次の技術導入契約等を締結しております。

相手先の名称

国名

契約の内容

契約期間

 

インターナショナル・ビジネス・マシンズ・コーポレーション

米国

コンピューター・キーボードに搭載されるポインティングスティックの操作性に関する著作権

自 1994年8月19日

至 契約著作権の保護期間満了日

 

ザ・ボーイング・カンパニー

米国

多重懸架装置MER-200(P)の製造に関する技術

自 1995年6月19日

至 2025年6月30日

 

パプスト・モートレン・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー

ドイツ

精密モーターの製造に関する技術

自 1995年6月19日

至 契約特許権の存続期間満了日

 

エルスリーハリス・テクノロジーズ・インク

(注)3

米国

投下器BRU-47の製造に関する技術

自 1997年2月3日

至  2022年11月30日

 

シーゲート・テクノロジー・インク

米国

流体軸受及び同軸受搭載のハードディスク用スピンドルモーター等の製造技術

自 2000年2月29日

至 契約特許権の存続期間満了日

 

日本電産株式会社

日本

流体動圧軸受及びハードディスクドライブ用スピンドルモーターに関する特許権等のクロスライセンス契約

自 2004年12月18日

至 契約特許権の存続期間満了日

 

パナソニック株式会社

日本

ハードディスクドライブ用流体軸受モーターに関する特許実施の許諾

自 2018年4月1日

至 契約特許権の存続期間満了日

 

パナソニック株式会社

日本

ファンモーター及びDCブラシ付モーターに関する特許実施の許諾

自 2013年2月1日

至 2014年1月31日(自動更新規定あり)

 

パナソニック株式会社

日本

ポリゴンモーター、パワーブラシレスモーター及び小型ブラシレスモーターに関する特許実施の許諾

自 2013年2月1日

至 契約特許権の存続期間満了日

 

SAPジャパン株式会社

日本

SAPのソフトウエア使用許諾及びサポート契約

自 2014年9月29日

至 2015年12月31日(自動更新規定あり)

 

(注)1.上記契約に基づく対価は契約ごとに相違し、イニシャルペイメントのほかに売上高に応じて一定率のロイヤルティを支払っております。

 2.連結子会社においては、重要な技術導入契約等はありません。

 3.ハリス・コーポレーションは、エルスリーハリス・テクノロジーズ・インクに社名を変更しました。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、各種ボールベアリング及びその応用部品に代表される精密機械部品、ロッドエンド&スフェリカル・ベアリング、高品質ファスナーをはじめとする航空機用部品、最先端のハードディスク駆動装置(HDD)に使用されるモーター及びピボット製品、電子機器に使用されるモーターや液晶用バックライト、照明製品、ひずみゲージ及びそれを利用したロードセルやセンサーなど各種電子部品並びにこれらの要素技術を組み合わせた複合部品・複合製品等の製造及び販売を行っております。当社は、日本、米国、欧州、タイ、インド及び中国に開発拠点を有し、各拠点の特徴を生かしながら相互補完を進め、新規事業に係わる新製品の開発のスピードアップをはかっております。

 2013年に東京本部に設立した東京研究開発センターは、人材及び情報が集約される東京の利便性を最大限に生かした研究開発体制をもって、ロボティクス関連製品等への応用を視野に、モーター制御に係るソフトウエア、ハードウエア等の開発に注力しております。

 2017年に経営統合したミツミ電機株式会社とは、お互いの強みを生かした製品を生み出すべく、シナジーを意識した研究開発活動をスタートいたしました。すなわち、ミツミ電機の入力・変換・制御機器とミネベアミツミの出力機器との組み合わせにより、IoTを見据えたデバイスの拡充、複合化・高付加価値ソリューションの開発を追求し、スマート、車載、産業/ロボット向けの分野への参入をめざしております。

 2019年4月10日には株式会社ユーシンとの経営統合を果たし、研究開発分野におきましても、さまざまなシナジーの創出を目指してまいります。

 当連結会計年度における当社グループの研究開発費は28,886百万円であり、この中にはマテリアルサイエンス・ラボで行っている各種材料の分析等、各セグメントに配分できない基礎研究費用1,877百万円が含まれております。

 当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。

 

機械加工品事業

 機械加工品事業の主力である各種ベアリング、すなわち、ボールベアリング、ロッドエンドベアリング等のすべり軸受を対象にした材料、潤滑剤及び超低摩耗自己潤滑ライナー(ミネロン™)等のトライボロジー関連の基礎技術開発を行っております(ミネロンは、ミネベアミツミ株式会社の登録商標です。航空宇宙規格であるAS81934の認定を取得しております)。

 また、IT産業、家電産業、自動車産業、航空機産業及び医療機器産業等の新しい分野への用途の要求に応えるべく、低発塵、高耐熱、長寿命及び導電性等の信頼性設計と応用設計に重点を置いた開発を行っております。

 精密加工技術の粋とも言えるミニチュアボールベアリングの用途の一つであるHDD用ピボットアッセンブリーは、トップメーカーとして、HDD市場で拡大しているデータセンター用ハイエンド・サーバーからニアライン向け用途に対応した新製品の開発や、高信頼性ピボットアッセンブリー用グリースの開発を行っております。

 航空機産業向けベアリングについては、ロッドエンドベアリングのすべり軸受の技術を応用することで、主に米国及び欧州航空機メーカーの航空機向けのメカアッシー、メイン・ランディングギア用のトラニオン・ベアリング及びフライト・コントロール用各種ベアリングの開発を行っております。

 自動車産業向けは、ターボチャージャー用高耐熱ボールベアリングユニットを当社海外連結子会社のmyonic GmbHが開発いたしました。ターボチャージャーは、近年では環境規制対応で小型化するエンジンの出力不足を補うための出力補助装置として注目され、その活躍の場を一般自動車やエコカーへと広げております。

 ドイツの連結子会社であるCEROBEAR GmbHは、セラミックベアリング及び高性能鋼材を用いたハイブリッドベアリングの設計・製造・販売で20年以上の実績がありますが、ここの技術と、歯科、医療機器、航空宇宙産業向け特殊ベアリングに強みを持つmyonic GmbHの技術とを組み合わせ、シナジー効果を最大化しつつ、今後旺盛な需要が期待される航空宇宙産業向け新製品の開発を行っております。

 その他として、自社の製造現場の改善から生まれたクーラント噴射装置「ウェイビーノズル」を工作機械市場へ販売しております。

 当事業における研究開発費は1,808百万円であります。

 

電子機器事業

 電子機器事業の主力のひとつであるモーターには、HDD用スピンドルモーター、ステッピングモーター、DCモーター、エアームーバー及び精密モーター等があります。種々の用途において求められる小型化、高効率化(省エネ)、静粛性及び信頼性等顧客の要求に応じた先進的な製品を市場に先行投入できるよう、各種のシミュレーション技術、解析技術、制御技術及び材料技術等の基礎技術力と製品開発力を強化しております。

 磁気応用技術については、材料技術及び製造技術の研究開発を行っており、その結果、高性能の各種モーター用希土類ボンドマグネット、高耐熱タイプのマグネット等の高性能製品が生まれております。

 HDD用スピンドルモーターでは、高い信頼性が必要なデータセンター向けに最適な、当社独自の流体軸受け構造を開発しております。

 光学応用製品として、スマートフォンの大型化、薄型化に対応したモバイル用超薄型液晶用バックライトユニットを開発しております。

 当社グループの特徴である超精密加工技術、精密金型技術に加え、液晶用バックライト導光板の微細な光学パターンを高速で精密に転写できる透明樹脂の射出成形の技術を高めております。これにより、業界最高水準の厚さ0.3mmを切る5インチクラスのスマートフォン用超薄型導光板を開発いたしました。さらに、狭額縁化も実現しております。製造面では、自社技術を取り入れたバックライト自動組立機及び外観検査装置等を導入し、競合他社が追随できない量産技術を確立しております。また、バックライトで培った光学技術を応用し、LED照明用の薄型レンズとLED点灯回路とを組み合わせたLED照明製品を開発しております。このLED照明製品は従来製品に比べて薄型で高効率なため省エネルギー性に優れておりますが、さらなる高効率化にむけて技術開発を進めております。

 連結子会社であるスイスのPARADOX ENGINEERING SAの無線ネットワーク技術を組み合せることで、無線通信による制御が可能なスマートビルやスマートシティ向けのLED照明製品の開発を行っております。この成果を展開し、温室効果ガス削減の二国間クレジット制度を活用し、カンボジアで高効率無線制御付きLED街路照明を設置いたしました。このような事業を足掛かりに、スマートシティ実現に貢献できる技術の開発を推進しております。

 LED照明では、当社モーターと無線技術を組み合わせ、スマートフォン・タブレットで配光角・明るさ・上下・左右などを容易にコントロールすることができる「SALIOT」の開発・製品化を行いました。

 計測機器では、ひずみゲージを応用した計測機器を使い、千葉大学大学院医学研究院及び千葉大学医学部附属病院と共同で、生体情報モニタリングシステムの開発を視野に実証研究を行い、医療・介護の市場へ向けた製品化を目指し開発を行っております。

 さらに、15年間にわたる研究開発の結果、世界に先駆けてフィルム型高感度ひずみゲージ「MINEGE™」(ミネージュ™)の開発に成功いたしました。この新しいひずみゲージは、材料となる金属抵抗体材料に独自の製作方法を適用することで、高感度化(従来比500%以上)かつ、小型化(従来比1/10以下)を達成いたしました。今後、車載、モバイル・ウェアラブル、ロボティクス分野への応用が期待できます。

 当事業における研究開発費は8,518百万円であります。

 

ミツミ事業

 ミツミ事業においては、スマートフォンのカメラ用アクチュエータの手ぶれ補正機構の高精度化、アクチュエータの薄型化への開発、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小電気機械システム)素子に関する研究と周辺部品の開発、リチウムイオン2次電池に関わる半導体とモジュールの開発、さらに各種センサーの開発、レゾナントデバイスの技術開発などを進めております。

 当事業における研究開発費は10,569百万円であります。

 

ユーシン事業

 ユーシン事業においては、ミネベアミツミの技術と融合させたシナジー創出で自動車事業向けのE-Access製品の強化を目指した開発を行っております。また、住宅機器事業では、スマートハウスに向けた新製品の開発を進めてまいります。

 当事業における研究開発費は4,727百万円であります。

 

その他の事業

 その他の事業は、自社製機械が主な製品であります。

 当事業における研究開発費は1,388百万円であります。