第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営理念と経営の基本方針

 当社グループは、「より良き品を、より早く、より多く、より安く、より賢く」つくることで社会に貢献するという経営理念を基盤として、以下3つの経営基本方針を掲げております。

 ① 社是「五つの心得」に基づく透明度の高い経営

(一)従業員が誇りを持てる会社でなければならない

(二)お客様の信頼を得なければならない

(三)株主の皆様のご期待に応えなければならない

(四)地域社会に歓迎されなければならない

(五)国際社会の発展に貢献しなければならない

 

 この社是の下、当社グループは、株主の皆様・取引先・地域社会・国際社会・従業員をはじめとしたさまざまなステークホルダーに対して社会的な責任を果たすとともに、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

 また、当社グループは、「高付加価値製品の開発」「製品の品質の高度化」に積極的に取り組み、グループの総合力を発揮できる分野に経営資源を集中するとともに、「財務体質の強化」を中心とした企業運営の強化と社内外に対してわかりやすい「透明度の高い経営」の実践を心がけております。

 

 ② 常識を超えた「違い」による新しい価値の創造

 社会へ新しい価値を提案していくことが、これからのものづくりに求められます。2017年に、当社は「Passion to Create Value through Difference」というスローガンを定め、今後も常識を超えた「違い」で新しい価値をつくり、他社にはない強みを発揮してまいります。

 

 ③ ものづくりに真摯に取り組む姿勢

 グループ全社にて、ものづくりに対する姿勢、考え方、やり方のベストプラクティスを追求し、共有していくことが何よりも重要です。当社グループがこれまで徹底してきた「真摯なものづくり」を追求してまいります。

 

(2) 基本戦略

 当社グループは、企業成長と持続可能性の具体的方針である上記経営基本方針に基づき、経営の本質はサスティナビリティであると認識し、8本槍戦略を軸とした多角的な事業ポートフォリオの構築とリスク分散体制の強化を目指します。

 具体的には、当社グループが保有する機械加工製品技術、電子機器製品技術、ユーシンの車載技術、ミツミ・エイブリックの半導体技術との融合により、次世代に向けた新製品開発、複合製品事業の拡大を進めます。加えて、製造、営業、技術及び開発の領域を越えた総合力の発揮により、「顧客要求対応力」と「価格対応力」の強化に努めます。さらに、地域的なリスク検討を行いながら、大規模な海外量産工場の展開とグローバルな研究開発体制を整備するとともに、M&A、アライアンスを通じて、収益力の向上、企業価値の拡大を積極的に進め、2029年3月期売上高2.5兆円、営業利益2,500億円を目指してまいります。

 これらを推し進め、当社グループの持続的成長をはかるため、知的資本・人的資本・製造資本等の「非財務資本」と「財務資本」の融合により、コア事業の強化と多角化を進めるとともに、それらを相合(そうごう=相い合わせる)することで新たな価値を創造してまいります。各経営戦略の概要は以下のとおりです。

 

① 「コア事業の強化」

 当社グループは、全製品の強みの源泉である「超精密機械加工技術」と「垂直統合生産システム」「グローバルネットワーク」をさらに強化することで、ベアリング、モーターをはじめとする主力事業において圧倒的なシェアを獲得し、収益力の向上を進めてまいります。

 

② 「多角化でニッチ(8本槍)」

 当社は、ベアリング産業において外径22mm以下のミニチュア小径ベアリングというニッチ分野に、他社に先がけて特化することで高いマーケットシェアと収益力を構築してきました。また、市場規模、永続性の観点からこれまでさまざまな事業の多角化を行い、事業の中核である8本槍製品(ベアリング、モーター、アクセス製品、アナログ半導体、センサー、コネクタ・スイッチ、電源、無線・通信・ソフトウエア)を進化させてまいりました。特にアナログ半導体においては、エイブリックとの経営統合により成長の土台が完成し、8本槍を中心とする各事業との相合活動の質をさらに高めていく方針です。今後も特定領域(ニッチ)での高いシェアを獲得し、持続的な成長をはかってまいります。

 

③ 「相合によるシナジー創出」

 当社コア技術である「超精密機械加工技術」「大量生産技術」「センサー技術(荷重・圧力など)」「光学技術」「MEMS技術」「高周波技術」「電気回路技術」「半導体設計技術」「機構設計技術」「システム設計技術」を融合し、8本槍製品を進化させるとともに、その進化した製品を相合することで、自動車、航空機、ロボティックス、介護・医療、インダストリー、情報通信、インフラ、住宅設備といった分野でのシナジーを創出し、新たな価値をお客様へ提供してまいります。

 

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 また、当社グループは、持続的成長を支える取り組みとして、環境・社会・ガバナンスに配慮した「ESG」経営を重視しながら進めてまいります。当社製品の大半がミネベアミツミグリーンプロダクツに代表される環境貢献型製品であり、エネルギー消費の低減等に資する各種製品を社会に送り出すことにより、省エネルギー・省スペースに貢献しております。今後も環境負荷の低減と環境保全活動を推進し、社会にとってなくてはならない会社を目指してまいります。また、法令の遵守と企業倫理に則した公正・適切な事業運営、ステークホルダーとの良好な関係維持等におけるさまざまな取り組みを通じ、事業による環境・社会への貢献を行ってまいります。

2【事業等のリスク】

 当社グループは、業務遂行や事業活動に直接又は間接的に影響を与える可能性のある不確実な事象をリスクと定義しており、業務の遂行リスク管理を行う組織としてリスク管理委員会を設置しております。リスク管理委員会では、具体的なリスクを想定、分類し、有事の際の迅速かつ適切な情報伝達と緊急体制を整備し、リスク管理に関する事項を取締役会に報告を行っております。

 このような中で、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクの内容と対応を外部環境及び内部環境の観点から記載をしております。なお、文中の将来に関する主要なリスクは、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。ただし、全てのリスクを網羅したものではなく、現時点で予期できないリスクの影響を受ける可能性があります。

 

(外部環境)

① 自然災害等によるリスク

  台風、地震、洪水等の自然災害、火災等その他事故、及び新型感染症の発生等に起因し、当社グループ事業拠点及び取引先の被災や稼働率低下等が生じることにより、当社グループの生産、販売活動に重大な影響を与える可能性があります。

  これに対して、当社グループは平時から各拠点において自然災害等に関するハザードマップ、リスクサーベイ等の結果よりリスクを把握し、対策、備蓄品の準備、防災訓練等を実施しております。また本部(リスク管理委員会)、各拠点が緊密に連携して危機管理体制をさらに強化すべく努めております。

 

 新型コロナウイルスの影響について

  2020年1月より、社長執行役員を本部長とする対策本部を立ち上げ、グローバルなメンバーが参加する社内対策会議を開催して、ベストプラクティスをグループ内に素早く展開することにより、感染拡大防止策の徹底をはかっております。

 

(主な対策事例)

・グローバルCOVID対策会議の定期的開催

・新型コロナウイルス対応マニュアルの徹底(感染者、濃厚接触者、自主隔離、PCR検査、職場復帰等に関する諸規程)

・工場、事業所、オフィス内での感染防止策の徹底(マスク着用、消毒液設置、体温測定機器設置、換気、衝立設置、会議室人数制限、食堂席数制限と私語禁止、手洗い励行等)

・防疫備品の使用状況、在庫等の一元管理

・社内製業務用マスクの従業員配付、マスク在庫管理の徹底

・時差出勤、在宅勤務、国内外出張自粛、不要不急の会合等自粛

・各国政府、自治体との緊密な連携

 

(経営成績への影響について)

  新型コロナウイルス感染拡大は、経済や企業活動に広範な影響を与える事象であり、当社グループにおいても外部環境の変化による売上減少及び各国の移動制限等による工場の稼働低下の影響を受けています。当連結会計年度(2021年3月期)の業績においては、各国での感染防止対策費用及び工場での稼働損失などによる営業損益への影響が約76億円ありました。なお、新型コロナウイルスの感染が長期化した場合、当社グループの経営成績にさらに影響を及ぼす可能性があります。

 

(財政状態への影響について)

  現時点においては、各国金融当局が積極的に金融市場への資金供給を行っており、当社の資金繰り及び財務の安定性に大きな影響を与える可能性は限定的と認識しておりますが、金融市場が大きく混乱した場合、資金調達コストの上昇や新規の資金調達へ影響を与える可能性があります。新型感染症拡大の影響は予測が困難なため、短期的には新たな投資活動の抑制や、安定的な資金調達に努めてまいります。

 

(生産活動への影響について)

  感染が拡大し、各国政府の要請等により事業活動及び行動の制限が強化された場合、工場の稼働停止等、当社グループの生産、販売活動に重大な影響を与える可能性があります。

 

(サプライチェーンへの影響について)

  調達については、当社グループの生産拠点では政府による操業停止指示のあった中国、マレーシア、フィリピン等の資材調達先で操業再開の時期に差が見られましたが、特に大きな納期問題には発展しておりません。物流についても、船便及び航空便の減便やリードタイム延長により混乱が見られましたが、工場の操業及び顧客向けの出荷については問題無く維持できております。今後の感染状況によっては影響が顕在化する恐れがありますので、当社グループでは、事業継続計画(BCP)の観点から、調達先の地域の見直しや複数社からの調達(マルチソース化)、基幹部品のさらなる内製化、物流ルートの見直し等、サプライチェーンの見直しに着手しております。

 

② 海外進出に潜在するリスク

  当社グループは世界27ヵ国に93製造拠点、90営業拠点を有しており、予期しない法律もしくは規制の変更、大規模な労働争議、テロ、戦争又はその他の要因による社会的混乱といったリスクが内在している地域も含まれております。

  この対応として危機管理マニュアルを海外拠点において整備し、不測の事態への備えを強化するとともに、所在国、地域の関係当局とも緊密に連携をはかり、緊急事態発生時における会社や従業員の安全確保に努めております。また、所在地への社会貢献活動を積極的に実施していくこと等を通じて、関係当局のみならず、地元の住民からも地域社会に根差した企業として認知されるように努めております。

  さらに、海外量産工場の展開とグローバルな研究開発体制により、外部環境の変化に効果的な製品ミックスとグローバル生産拠点が相互に補完し、収益を下支えする「リスク分散体制」を確立しております。

 

③ 為替変動によるリスク

  当社グループは、海外の売上高比率及び生産高比率が高く、予期できない急激な為替変動により経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。このため、将来の急激な為替リスク低減のための一定のルールに基づき為替予約等によるリスクヘッジを行っております。

 

④ 急激な市場環境の変化と低価格競争によるリスク

  PC及び周辺機器、情報通信機器、家電、自動車、航空機部品を中心とする当社グループ製品の主要市場は、国内外において競争が非常に激しく需要の大きな変動によるリスクがあります。急激な需要の縮小や海外製の低価格製品との価格競争は、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

  このため当社グループでは、「コア事業の強化」、「多角化でニッチ(8本槍)」、「相合によるシナジー創出」の経営戦略の下、販売先の集中リスクをできるだけ回避し、信用面で懸念ある取引先には保全活動を交渉するなど、債権管理を強化するとともに、価格競争にとらわれないオンリーワンの付加価値の高い製品づくりに注力することで市場環境及び低価格競争へのリスク対応を行っております。

 

⑤ 原材料費、物流費等のコスト高に対するリスク

  当社グループは、仕入先からさまざまな原材料等の調達と物流業者に委託して製品の保管、運送を行っており、仕入先及び物流業者の被災やパンデミック、倒産、キャパシティの縮小、ストライキ、事故、不法行為等により供給が途絶え、当社グループの生産、販売活動に重大な影響を与える可能性があります。

  当社グループは、リスク対策の調達・物流部門規程を策定し仕入先及び物流業者の分散と集約化を適宜組み合わせ、安定的なサプライチェーンの確保、リスクの低減に努めております。またサプライヤーとの健全なパートナーシップを築くため「資材調達基本方針」を定めサプライヤーに対して継続的な取引が可能であること、当社グループの製品含有化学物質に関する要領及び基準などを遵守できること、「ミネベアミツミグループCSR調達ガイドライン」に賛同できることなど当社グループの資材調達への考えに賛同いただくことを確認の上、新規に取引を行っております。

 

⑥ 知的財産権に関する紛争、模倣品(コピー商品)の氾濫に対するリスク

  当社グループは、当社グループの製品について第三者より知的財産権侵害の訴訟を提起されるリスクがあります。また、当社グループの製品の模倣品が流通することで、売上への影響、当社のブランド又は信用が損なわれるリスクがあります。

  これらのリスクに対し知的財産権侵害訴訟リスク低減のため、開発、設計時の他社知的財産権調査及び問題となる知的財産権への対応を行っています。また当社商標を税関登録し模倣品の監視体制をとるとともに、新規開発品について積極的に知的財産権を取得しています。また上記の対応にあたっては、特許等委員会にて適切な管理、運営をはかっております。

 

⑦ 重要な訴訟等に対するリスク

  当社グループは、国内及び海外で広範な事業活動を展開する中で、将来、顧客、消費者、サプライヤー、競合会社、政府などとの間で、契約違反、不法行為などに関する重大な紛争、訴訟が発生する可能性があります。

  重大な紛争、訴訟の発生を未然に防止するために、「法務部への連絡相談に係るガイドライン」を定め、法的な検討の要求される経営上の重要事項や契約書については、事前に国内及び海外の法務部門に連絡相談するよう義務付けています。また重大な紛争、訴訟が発生した場合には、法務部門と顧問弁護士が中心となり、関係する社内各部署と連携し、紛争、訴訟の適正かつ迅速な解決を目指して活動を行っております。しかしながら将来、重要な訴訟等が提起された場合には経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 環境関連法令等に対するリスク

  当社グループは、世界各地域においてさまざまな環境関連法令の適用を受けております。当社グループはこれらの規制に細心の注意を払いながら事業を行っておりますが、万一環境汚染が発生し又は発生のおそれが判明した場合には、当社グループに損失が生じる可能性があります。

  このため「ミネベアミツミグループ環境方針」の下、環境マネジメント体制(環境マネジメント委員会)を設け環境管理責任者を配し、厳格な環境汚染防止活動を平時より推進しリスクへの対応を行っております。

 

 

⑨ M&A、アライアンスに対するリスク

  当社グループは、M&Aとアライアンスを最重要施策の一つと位置付け推進しておりますが、市場環境の変化等に起因し、さらにアライアンスにおいては相手先との戦略の不一致等が発現し、当初想定した効果を生まないリスクが存在します。このようなリスクへの対応として当社グループは、M&Aにおいては人材と組織の融合、アライアンスにおいては知見の相互活用を重視し、シナジーの創出をはかっております。しかしながら、事業環境の変化により買収企業やアライアンス事業において想定以上の収益性の下振れや財務内容の悪化が発生した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(内部環境)

① コンプライアンスに関するリスク

  当社グループは、世界各地域においてさまざまな事業活動を展開しており、各地域の多種多様な法令、規則の適用を受けているため、将来にわたって法令違反等が発生する可能性、また法規制や当局の法令解釈が変更になることにより法規制等の遵守が困難になり又は遵守のための費用が増加する可能性があります。

  当社グループでは、労働、安全衛生、環境保全、倫理的経営について「ミネベアミツミグループ行動規範」を定め、さらに全ての役員、従業員が遵守すべき具体的な基準として「ミネベアミツミグループ役員・従業員行動指針」を定めています。また、その徹底をはかるため、コンプライアンス委員会を設置し、当社グループの法令遵守体制が適切に運営されているか検証を行う体制が構築されております。実務面では「ミネベアミツミグループ役員・従業員行動指針」に定められた主管部署が業務上の法令遵守を担当し、内部監査室が監査を行い、内部統制面では内部統制推進室が主に財務報告の信頼性を確保するなど、グループ全体としての法令遵守の有効性を高めております。

 

② 品質問題によるリスク

  当社グループの製品は、一般市場及び多くの産業分野で高精度を要する部分(自動車、航空機、医療機器等人命に関わる製品)に使用されており、その社会的責任を認識し高い品質保証体制を確立することが求められます。同時に原材料、部品、副資材の選定及び、使用用途を熟慮した設計、開発等を行うことで「環境、健康、安心、安全」を顧客に提供する使命(期待)を担っております。万が一製品に欠陥が存在し、市場における重大な事故や顧客の生産停止あるいはリコール等の事態が発生した場合、多大な費用の発生や社会的信用の失墜だけではなく、業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性が考えられます。

  当社グループでは、「ミネベアミツミグループ品質方針」を基に「社会的責任」を十分に認識し下記対策を行っております。

・品質問題から得られた教訓への対応(未然防止、再発防止等)を徹底

・設計段階での調査と確認、サプライチェーンにおける管理体制強化

・各種法規制、顧客要求事項の周知と遵守を徹底

・全社横断の会議体や現場監査等を通して情報共有と施策の展開

 

③ 情報セキュリティによるリスク

  当社グループは、事業活動の中で多くの重要情報や個人情報を入手することがあり、当社グループでは情報セキュリティの方針を定め、情報の外部への流失及び目的外の流用等が起こらないよう運用しておりますが、予期せぬ事態により流出する可能性があります。このような事態が生じた場合、その対応のために多額の費用が発生するとともに、社会的信用が低下するリスクがあります。

 

  このため、当社グループでは情報セキュリティ体制が適切に運営されているか検証する目的から情報セキュリティ規程の策定並びに情報セキュリティ委員会を設置し、情報セキュリティ体制が適切に運営されているか検証を行う体制を構築しております。また情報セキュリティ教育並びに理解度テストを励行し、機器の紛失、盗難、不注意等による情報流出の防止に努めております。

  さらに、上記に加えコンピュータウィルスやマルウェア等の侵入、不正アクセス等のサーバー攻撃やシステム侵害による運用停止や情報漏洩への対策として業務で使用するネットワーク機器、パソコン、サーバー等については、安定稼働の確認が取れた直近のバージョンを適用しセキュリティホール等の問題に対応するとともに、アンチウィルス、マルウェア対策ソフトに加えて、AIを活用した24時間365日の情報セキュリティ対策システムを導入し、適正に運用しております。

 

④ 研究開発に対するリスク

  当社グループは、新製品を継続的に市場投入し、将来の売上高、利益の目標達成に貢献できるよう基礎研究、要素技術開発、製品開発及び生産工程開発を含む研究開発活動を行っております。しかしながら、想定に反して研究開発の成果物が適時創出できない場合、あるいは競合他社が当社の研究開発の成果物を凌駕するもので対抗してきた場合、将来の売上高、利益の目標達成ができず、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

  研究開発の成果創出には不確実性が伴いますが、これを想定の範囲内に収めるべく、研究開発プロジェクトの進捗、費用については、「研究開発管理規程」等に則り、効果的かつ効率的な管理を行っております。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国の経済は、新型コロナウイルス感染拡大により輸出及び消費が大幅に減少したものの、米国や中国向けの輸出の回復を背景に最悪期は脱しましたが、依然として先行きが不透明な状況が続いております。米国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により経済が減速しましたが、その後幅広い業種で生産が増加するなど経済活動は回復傾向にあります。欧州経済は、製造業は緩やかな回復基調にあるものの、感染再拡大に伴う活動制限の長期化により、景気は停滞しております。中国経済においては、中国国内の自動車販売台数が新型コロナウイルス感染拡大前の水準に立ち直るなど内需は回復し、輸出においても米国向けを中心に好調に推移しております。東南アジアにおいては、新型コロナウイルスの感染抑え込みのための経済活動制限の影響により先行きは依然として不透明な状況が継続しております。

 当社グループは、かかる経営環境下で、収益力のさらなる向上を実現するために、徹底したコスト削減、高付加価値製品と新技術の開発及び拡販活動に注力してまいりました。

 この結果、売上高は988,424百万円と前連結会計年度に比べ9,979百万円(1.0%)の増収となり、創業以来の過去最高を更新しました。営業利益は51,166百万円と前連結会計年度に比べ7,481百万円(△12.8%)の減益、税引前利益は49,527百万円と前連結会計年度に比べ8,562百万円(△14.7%)の減益、親会社の所有者に帰属する当期利益は38,759百万円と前連結会計年度に比べ7,216百万円(△15.7%)の減益となりました。

 なお、2020年4月30日付でエイブリック株式会社を子会社化し、経営統合を実施したことに伴い、同社を連結対象に組み入れております。上記には、統合日以降の同社の損益が含まれております。

 

セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。

 

機械加工品事業

 機械加工品事業は、当社グループの主力であるボールベアリングのほかに、主として航空機に使用されるロッドエンドベアリング、ハードディスク駆動装置(HDD)用ピボットアッセンブリー等のメカニカルパーツ及び航空機用のねじが主な製品であります。主力製品であるボールベアリングは、ファンモーター向けにおいて需要が堅調に推移したことにより売上高は増加しました。ロッドエンドベアリングは、航空機関連の需要減により売上高は減少しました。ピボットアッセンブリーは、HDD市場の縮小を受け売上高は減少しました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は157,411百万円と前連結会計年度に比べ23,474百万円(△13.0%)の減収となり、営業利益は31,218百万円と前連結会計年度に比べ8,656百万円(△21.7%)の減益となりました。

電子機器事業

 電子機器事業は、電子デバイス(液晶用バックライト等のエレクトロデバイス、センシングデバイス(計測機器)等)、HDD用スピンドルモーター、ステッピングモーター、DCモーター、エアームーバー及び特殊機器が主な製品であります。モーターについては期後半にかけて需要が回復したことなどにより売上高は増加しましたが、液晶用バックライトはスマートフォンにおける採用モデルの減少に伴う需要減により、売上高は減少となりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は363,847百万円と前連結会計年度に比べ15,575百万円(△4.1%)の減収となり、営業利益は17,634百万円と前連結会計年度に比べ82百万円(0.5%)の増益となりました。

 

ミツミ事業

 ミツミ事業は、半導体デバイス、光デバイス、機構部品、高周波部品及び電源部品が主な製品であります。半導体デバイス、ゲーム機器等の機構部品が好調に推移し、売上高は増加しました。

 なお、エイブリック株式会社の取得に伴い、ミツミ事業に同社の損益が含まれております。また、一時的な費用として、エイブリック株式会社の取得に関連した取得原価配分(PPA)により計上した棚卸資産の売上原価等2,086百万円、中国大手顧客向け光デバイス関連費用1,899百万円が含まれております。

 この結果、当連結会計年度の売上高は361,004百万円と前連結会計年度に比べ68,761百万円(23.5%)の増収となり、営業利益は19,761百万円と前連結会計年度に比べ1,105百万円(5.9%)の増益となりました。

 

ユーシン事業

 ユーシン事業は、キーセット、ドアラッチ、ドアハンドル等の自動車部品のほかに、産業機器用部品、住宅機器用部品(ビル、住宅用錠前その他)が主な製品であります。自動車部品は、自動車市場減速により売上高が大幅に減少しました。なお、一時的な費用として欧州構造改革に関わる費用等4,257百万円が含まれております。

 この結果、当連結会計年度の売上高は105,133百万円と前連結会計年度に比べ20,012百万円(△16.0%)の減収となり、営業損失は1,850百万円と前連結会計年度に比べ4,448百万円の悪化となりました。

 

その他の事業

 その他の事業は、自社製機械が主な製品であります。当連結会計年度の売上高は1,029百万円と前連結会計年度に比べ279百万円(37.1%)の増収、営業損失は1,909百万円と前連結会計年度に比べ407百万円の悪化となりました。

 

 上記以外に、各セグメントに帰属しない全社費用等13,688百万円を調整額として表示しております。前連結会計年度の調整額は18,531百万円でした。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は165,479百万円となり、前連結会計年度末に比べ34,733百万円増加しました。

 

 営業活動によるキャッシュ・フローは、93,763百万円の収入(前連結会計年度は86,486百万円の収入)となりました。これは、主に税引前利益、減価償却費及び償却費、営業債権及びその他の債権の増減、棚卸資産の増減、営業債務及びその他の債務の増減等によるものです。

 

 投資活動によるキャッシュ・フローは、70,581百万円の支出(前連結会計年度は43,540百万円の支出)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出等によるものです。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、9,257百万円の収入(前連結会計年度は28,758百万円の支出)となりました。これは、主に短期借入金の増減等によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(ⅰ) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

 前年同期比(%)

機械加工品(百万円)

151,072

82.5

電子機器(百万円)

364,050

94.9

ミツミ事業(百万円)

378,983

120.9

ユーシン事業(百万円)

105,168

87.8

その他(百万円)

405

210.9

合計(百万円)

999,678

100.0

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。

 

(ⅱ) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

機械加工品

134,917

73.5

74,705

76.9

電子機器

371,189

96.6

59,460

114.1

ミツミ事業

386,822

130.8

51,647

200.0

ユーシン事業

107,867

78.8

14,467

123.3

その他

1,185

159.7

271

235.7

合計

1,001,980

100.1

200,550

107.2

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。

 

(ⅲ) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

 前年同期比(%)

機械加工品(百万円)

157,411

87.0

電子機器(百万円)

363,847

95.9

ミツミ事業(百万円)

361,004

123.5

ユーシン事業(百万円)

105,133

84.0

その他(百万円)

1,029

137.1

合計(百万円)

988,424

101.0

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

      2.上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 相手先

 前連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

任天堂株式会社

122,851

12.6

159,487

16.1

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に準拠して作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。

 連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える仮定、見積り及び判断を必要としております。特に大きな影響を及ぼすものとして、貸倒引当金、製品補償損失引当金、訴訟等の偶発事象などに関する引当金や退職給付に係る会計処理及び非上場株式の公正価値の測定については、過去の実績や当該事象の状況に照らして合理的と考えられる見積り及び判断を行い、また、のれん、固定資産の減損及び繰延税金資産の計上については、将来の回収可能性などを考慮しております。

 新型コロナウイルス感染症に関しては、感染拡大へ厳重な対策を実施したうえで事業活動を継続しており、現時点においては、一部子会社を除き、平常時と概ね同水準の稼働率を維持しておりますが、今後各国政府の要請等により事業活動及び行動の制限が再度強化された場合、工場の稼働停止等、当社の生産、販売活動に重大な影響を与える可能性があります。

 上記の仮定、見積り及び判断については不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態、経営成績は次のとおりであります。

 

(財政状態の分析)

 当社グループは、「財務体質の強化」を主要な経営方針とし、効率的な設備投資、資産運用及び有利子負債の削減等に取り組んでおります。高収益のコア事業への比重を高めるポートフォリオ改革や実効性の高いM&Aを実現し、適切かつ機動的な財務戦略を推進いたします。

  当連結会計年度末における総資産は976,771百万円となり、前連結会計年度末に比べ112,290百万円の増加となりました。その主な要因は、現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権、のれん、有形固定資産の増加であります。

 当連結会計年度末における負債は522,773百万円となり、前連結会計年度末に比べ60,568百万円の増加となりました。その主な要因は、社債及び借入金の増加であります。

  なお、資本は453,998百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は46.2%と前連結会計年度末に比べ0.6ポイント増加しました。

 

 

(経営成績の分析)

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ1.0%増収988,424百万円となり、創業以来の過去最高売上高を更新し、営業利益△12.8%減益51,166百万円となりました。セグメント別の売上高及び営業利益については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 当連結会計年度における税引前利益は、△14.7%減益49,527百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益△15.7%減益38,759百万円となりました。

 

(キャッシュ・フローの分析)

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。運転資金の調達については、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。重要な資本の支出及びその資金の調達源については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載しております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は286,870百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は165,479百万円となっております。

 

 経営方針・戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

 当社グループは、2029年3月期に「売上高2.5兆円、営業利益2,500億円」の達成を目指しております。2022年3月期の業績予想につきまして、現時点で予想可能な範囲で通期連結業績予想を以下のとおりとしました。

 

 

(百万円)

売上高

1,000,000

営業利益

80,000

親会社の所有者に帰属する当期利益

64,000

 

 今後も他社にない幅広い製品ラインナップを持つ総合精密部品メーカーとして、当社が持つ技術及び製品を「相合」することで新たな価値を創出し、業績の向上に取り組んでまいります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 (技術導入契約等)

 当社は、次の技術導入契約等を締結しております。

相手先の名称

国名

契約の内容

契約期間

 

インターナショナル・ビジネス・マシンズ・コーポレーション

米国

コンピューター・キーボードに搭載されるポインティングスティックの操作性に関する著作権

自 1994年8月19日

至 契約著作権の保護期間満了日

 

ザ・ボーイング・カンパニー

米国

多重懸架装置MER-200(P)の製造に関する技術

自 1995年6月19日

至 2025年6月30日

 

パプスト・モートレン・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー

ドイツ

精密モーターの製造に関する技術

自 1995年6月19日

至 契約特許権の存続期間満了日

 

エルスリーハリス・テクノロジーズ・インク

米国

投下器BRU-47の製造に関する技術

自 1997年2月3日

至 2022年11月30日

 

シーゲート・テクノロジー・インク

米国

流体軸受及び同軸受搭載のハードディスク用スピンドルモーター等の製造技術

自 2000年2月29日

至 契約特許権の存続期間満了日

 

日本電産株式会社

日本

流体動圧軸受及びハードディスクドライブ用スピンドルモーターに関する特許権等のクロスライセンス契約

自 2004年12月18日

至 契約特許権の存続期間満了日

 

パナソニック株式会社

日本

ハードディスクドライブ用流体軸受モーターに関する特許実施の許諾

自 2018年4月1日

至 契約特許権の存続期間満了日

 

パナソニック株式会社

日本

ファンモーター及びDCブラシ付モーターに関する特許実施の許諾

自 2013年2月1日

至 2014年1月31日(自動更新規定あり)

 

パナソニック株式会社

日本

ポリゴンモーター、パワーブラシレスモーター及び小型ブラシレスモーターに関する特許実施の許諾

自 2013年2月1日

至 契約特許権の存続期間満了日

 

SAPジャパン株式会社

日本

SAPのソフトウエア使用許諾及びサポート契約

自 2014年9月29日

至 2015年12月31日(自動更新規定あり)

 

(注)1.上記契約に基づく対価は契約ごとに相違し、イニシャルペイメントのほかに売上高に応じて一定率のロイヤルティを支払っております。

 2.連結子会社においては、重要な技術導入契約等はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、各種ボールベアリング及びその応用部品に代表される精密機械部品、ロッドエンド&スフェリカル・ベアリング、高品質ファスナーをはじめとする航空機用部品、最先端のハードディスク駆動装置(HDD)に使用されるモーター及びピボット製品、電子機器に使用されるモーターや液晶用バックライト、照明製品、ひずみゲージ及びそれを利用したロードセルやセンサーなど各種電子部品並びにこれらの要素技術を組み合わせた複合部品・複合製品等の製造及び販売を行っております。当社は、日本、米国、欧州、タイ、インド及び中国に開発拠点を有し、各拠点の特徴を生かしながら相互補完を進め、新規事業に係わる新製品の開発のスピードアップをはかっております。

 2013年に東京本部に設立した東京研究開発センターは、人材及び情報が集約される東京の利便性を最大限に生かした研究開発体制をもって、ロボティックス関連製品等への応用を視野に、モーター制御に係るソフトウェア、ハードウェア等の開発に注力しております。

 2017年に経営統合したミツミ電機株式会社とは、お互いの強みを生かした製品を生み出すべく、シナジーを意識した研究開発活動を行っております。

 すなわち、ミツミ電機の入力・変換・制御機器とミネベアミツミの出力機器との組み合わせにより、IoTを見据えたデバイスの拡充、複合化・高付加価値ソリューションの開発を追求し、スマート、車載、産業/ロボット向けの分野への参入を目指しております。

 2019年には株式会社ユーシンとの経営統合を果たし、研究開発分野におきましても、さまざまなシナジーの創出を目指してまいります。

 さらに、2020年4月30日に経営統合したエイブリック株式会社は、当社と相互に補完しあえるアナログ半導体製品のポートフォリオを有しており、両社の高い技術の融合により、さらなる高性能・高品質製品の開発を目指してまいります。

 

 当連結会計年度における当社グループの研究開発費は32,154百万円であり、この中にはマテリアルサイエンス・ラボで行っている各種材料の分析等、各セグメントに配分できない基礎研究費用3,581百万円が含まれております。

 当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。

 

機械加工品事業

 機械加工品事業の主力である各種ベアリング、すなわち、ボールベアリング、ロッドエンドベアリング等のすべり軸受を対象にした材料、潤滑剤及び超低摩耗自己潤滑ライナー(ミネロン™)等のトライボロジー関連の基礎技術開発を行っております(ミネロンは、ミネベアミツミ株式会社の登録商標です。航空宇宙規格であるAS81934の認定を取得しております)。

 材料開発では高耐食性鋼材の開発にも成功し、従来品の200倍の耐食性を持ったボールベアリングとして生産・販売が開始されることになりました(ギガプロテクションシリーズ3)。

 また、IT産業、家電産業、自動車産業、航空機産業及び医療機器産業等の新しい分野への用途の要求に応えるべく、低発塵、高耐熱、長寿命及び導電性等の信頼性設計と応用設計に重点を置いた開発を行っております。

 精密加工技術の粋とも言えるミニチュアボールベアリングの用途の一つであるHDD用ピボットアッセンブリーは、トップメーカーとして、HDD市場で拡大しているデータセンター用ハイエンド・サーバーからニアライン向け用途に対応した新製品の開発や、高信頼性ピボットアッセンブリー用グリースの開発を行っております。

 航空機産業向けベアリングについては、ロッドエンドベアリングのすべり軸受の技術を応用することで、主に米国及び欧州航空機メーカーの航空機向けのメカアッシー、メイン・ランディングギア用のトラニオン・ベアリング及びフライト・コントロール用各種ベアリングの開発を行っております。

 自動車産業向けは、ターボチャージャー用高耐熱ボールベアリングユニットを当社海外連結子会社のmyonic GmbHが開発いたしました。ターボチャージャーは、近年では環境規制対応で小型化するエンジンの出力不足を補うための出力補助装置として注目され、その活躍の場を一般自動車やエコカーへと広げています。

 ドイツの連結子会社であるCEROBEAR GmbHは、セラミックベアリング及び高性能鋼材を用いたハイブリッドベアリングの設計・製造・販売で20年以上の実績がありますが、同社の技術と、歯科、医療機器、航空宇宙産業向け特殊ベアリングに強みを持つmyonic GmbHの技術とを組み合わせ、シナジー効果を最大化しつつ、今後旺盛な需要が期待される航空宇宙産業向け新製品の開発を行っております。

 その他として、自社の製造現場の改善から生まれたクーラント噴射装置「ウェイビーノズル」を工作機械市場へ販売しております。

 当事業における研究開発費は1,719百万円であります。

 

電子機器事業

 電子機器事業の主力のひとつであるモーターには、HDD用スピンドルモーター、ステッピングモーター、DCモーター、エアームーバー(ファンモーター)及び精密モーター等があります。種々の用途において求められる小型化、高効率化(省エネ)、静粛性及び信頼性等顧客の要求に応じた先進的な製品を市場に先行投入できるよう、各種のシミュレーション技術、解析技術、制御技術及び材料技術等の基礎技術力と製品開発力を強化しております。

 磁気応用技術については、材料技術及び製造技術の研究開発を行っており、その結果、高性能の各種モーター用希土類ボンドマグネット、高耐熱タイプのマグネット等の高性能製品が生まれております。

 HDD用スピンドルモーターでは、高い信頼性が必要なデータセンター向けに最適な、当社独自の流体軸受け構造を開発しております。

 光学応用製品として、スマートフォンの大型化、薄型化に対応したモバイル用超薄型液晶用バックライトユニットを開発しております。

 当社グループの特徴である超精密加工技術、精密金型技術に加え、液晶用バックライト導光板の微細な光学パターンを高速で精密に転写できる透明樹脂の射出成形の技術を高めております。これにより、業界最高水準の厚さ0.3mmを切る5インチクラスのスマートフォン用超薄型導光板を開発いたしました。さらに、狭額縁化も実現しています。製造面では、自社技術を取り入れたバックライト自動組立機及び外観検査装置等を導入し、競合他社が追随できない量産技術を確立しております。また、バックライトで培った光学技術を応用し、LED照明用の薄型レンズとLED点灯回路とを組み合わせたLED照明製品を開発しております。このLED照明製品は従来製品に比べて薄型で高効率なため省エネルギー性に優れておりますが、さらなる高効率化にむけて技術開発を進めております。

 連結子会社であるスイスのPARADOX ENGINEERING SAの無線ネットワーク技術を組み合せることで、無線通信による制御が可能なスマートビルやスマートシティ向けのLED照明製品の開発を行っております。この成果を展開し、温室効果ガス削減の二国間クレジット制度を活用し、カンボジアで高効率無線制御付きLED街路照明を設置いたしました。このような事業を足掛かりに、スマートシティ実現に貢献できる技術の開発を推進しております。

 LED照明では、当社モーターと無線技術を組み合わせ、スマートフォン・タブレットで配光角・明るさ・上下・左右などを容易にコントロールすることができる「SALIOT」の開発・製品化を行いました。さらに、家庭用として「SALIOT pico」を開発いたしました。

 計測機器では、ひずみゲージを応用した計測機器を使い、千葉大学大学院医学研究院及び千葉大学医学部附属病院と共同で、生体情報モニタリングシステムの開発を視野に実証研究を行い、医療・介護の市場へ向けた製品化を目指し開発を行っております。

 さらに、15年間にわたる研究開発の結果、世界に先駆けてフィルム型高感度ひずみゲージ「MINEGE™」(ミネージュ™)の開発に成功いたしました。この新しいひずみゲージは、材料となる金属抵抗体材料に独自の製作方法を適用することで、高感度化(従来比500%以上)かつ、小型化(従来比1/10以下)を達成いたしました。今後、車載、モバイル・ウェアラブル、ロボティックス分野への応用が期待できます。

 当事業における研究開発費は9,175百万円であります。

 

ミツミ事業

 ミツミ事業においては、スマートフォンのカメラ用アクチュエータの手ぶれ補正機構の高精度化、アクチュエータの薄型化への開発、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小電気機械システム)素子に関する研究と周辺部品の開発、リチウムイオン2次電池に関わる半導体とモジュールの開発、さらに各種センサーの開発、レゾナントデバイスの技術開発などを進めております。

 なお、エイブリック株式会社の研究開発についてはミツミ事業の半導体の研究開発に含まれております。

 当事業における研究開発費は13,446百万円であります。

 

ユーシン事業

 ユーシン事業においては、ミネベアミツミの技術と融合させたシナジー創出で自動車事業向けのE-Access製品の強化を目指した開発を行っております。また、住宅機器事業では、スマートハウスに向けた新製品の開発を進め、スマートロックである「SADIOT LOCK」の販売を開始いたしました。

 当事業における研究開発費は2,861百万円であります。

 

その他の事業

 その他の事業は、自社製機械が主な製品であります。

 当事業における研究開発費は1,371百万円であります。