第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による経済・金融政策を背景に企業収益や雇用環境に改善がみられるなど景気は緩やかな回復基調となりましたが、一方で中国をはじめとする新興国経済における景気の下振れリスクが増大するなど、企業を取り巻く環境は不透明感を払拭できない状況で推移いたしました。
 発電プラント用バルブの製造販売およびメンテナンスを主要事業とする当社グループにおきましては、平成27年8月に川内原子力発電所がようやく運転を再開したものの、他の原子力発電所は依然として未稼働状態であり、そのため当社事業の収益形成の柱となる定期検査工事が開始されるまでには未だ時間を要することから、引き続き厳しい環境下での事業活動を強いられております。

このような環境の中、メンテナンス事業の業績低迷を補填し黒字経営を維持すべく、バルブ事業拡大に向けた諸施策に注力した結果、当連結会計年度の売上高は7,624百万円(前連結会計年度比2.5%増)、営業利益は373百万円(前連結会計年度比133.3%増)を計上することができました。また、東日本大震災に伴う受取補償金138百万円および平成26年度先進超々臨界圧火力発電実用化要素技術開発費補助金36百万円が営業外収益に計上されたこともありまして、経常利益は615百万円(前連結会計年度比74.9%増)、当期純利益は342百万円(前連結会計年度比73.4%増)となりました。

 

 セグメント別の状況は以下のとおりです。

 

 〔バルブ事業〕

 バルブ事業におきましては、国内では柏崎刈羽原子力発電所6号機、7号機および志賀原子力発電所2号機向け震災対策弁の販売がメインとなった他、新大分3号系列4軸や鈴川エネルギーをはじめとした新設火力発電所向けの売上が集中しました。また、海外においても台湾、中国、インドなどにおいてまとまった売上を確保することができた結果、バルブ事業における売上高は5,229百万円(前連結会計年度比6.4%増)となりました。また、利益率の高い取替部品の販売が増加したことや原子力発電所向け大型案件において、当初の予想を上回る利益を計上することができたことなどから、セグメント利益は633百万円(前連結会計年度比240.7%増)となりました。

なお、このうち海外向けの売上高は1,311百万円(前連結会計年度比30.0%減)となり、バルブ事業売上高の

25.1%となっております。
 

 〔メンテナンス事業〕

 メンテナンス事業におきましては、期末にかけて柏崎刈羽原子力発電所5号機や浜岡原子力発電所3号機向けの大型案件が売上計上されたものの、その他は期を通して小規模な工事に終始しました。また、国内電力政策の流動性から客先において納期調整が生じたため、期中に予定していた大型案件が次期に繰延べになるなど、売上高は低調であった前期をさらに下回りました。これらの結果、メンテナンス事業における売上高は2,395百万円(前連結会計年度比5.0%減)にとどまり、また、絶対的工事量不足から生じた未稼働人件費が利益を圧迫したため、セグメント利益は312百万円(前連結会計年度比35.7%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ538百万円増加し、当連結会計年度末には1,790百万円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、主に売上債権の減少により、前連結会計年度に比べ1,242百万円増加し、1,075百万円となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産、投資有価証券の取得により、前連結会計年度に比べ215百万円減少し、△455百万円となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、主にリース債務の返済等により、前連結会計年度に比べ114百万円増加し、△82百万円となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

総重量又は製造原価

前年同期比(%)

バルブ事業

648,946kg

△37.3

メンテナンス事業

1,820,795千円

△1.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比

(%)

受注残高(千円)

前年同期比

(%)

バルブ事業

6,176,889

47.2

5,227,396

22.1

メンテナンス事業

2,242,278

△20.2

1,175,144

△11.5

合計

8,419,168

20.1

6,402,540

14.2

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

バルブ事業

5,229,367

6.4

メンテナンス事業

2,395,341

△5.0

合計

7,624,708

2.5

(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

岡野商事㈱

2,716,974

36.5

3,071,718

40.3

三井物産プラントシステム㈱

1,957,569

26.3

1,682,181

22.1

 

 

3【対処すべき課題】

(1)バルブ事業

バルブ事業におきましては、国内原子力発電所の安心・安全な再稼働に向けた製品開発・販売等の他、国内外新設火力発電所向けの需要が引き続き見込まれており、まずはこれらの案件を確実に受注し、売上高の確保に努めていきたいと考えております。また生産体制につきましては、当社ブランドとしての品質確保を前提のもと、グループ企業の他、平成26年に業務提携した平田バルブ工業との協業を深化させ、生産委託範疇を拡大し、選択受注をせず可能な限り受注範囲を広げる体制を構築していくことで絶対的生産量の拡大に努めてまいります。同時に、社内製造工程においても更なる集約化を進め、生産効率の向上を実現することで、国内・海外の両市場におけるシェア拡大とバルブ事業の基盤強化を目指してまいります。

 

(2)メンテナンス事業

メンテナンス事業におきましては、原発事故以降、厳しい需要環境により業績が低迷しておりますが、当社メンテナンス部門では、この状況を打破し収益を拡大すべくサイトセールスの強化および採算性の高い特殊工事の受注強化に重点的に取り組みます。具体的には、まずはバルブメンテナンス従事者の顧客応対スキル向上のための教育・育成を継続的に実施し、これに老舗バルブメーカーとしての技能・ノウハウを組み合わせ、安定的かつ高品質なサイトセールスを実施可能な人材の早期拡充を図ります。そして、全国のサービスネットワークを通じた現地密着型の機動的かつきめの細かいサイトセールス活動の展開により、潜在的な需要の掘り起こしと顧客ニーズに適した特殊工事の提供に注力してまいります。

 

現在、当社グループを取り巻く国内発電業界におきましては、原子力発電所の再稼働に向けたプラントの安全性向上対策と原発事故以降フル稼働を続けている火力発電所の健全性維持が必要不可欠となっております。当社グループとしましては、発電業界におけるサプライチェーンの重要な一角を担う企業として、この社会的使命を全うしていくとともに、中長期的な海外需要の増大も見据えながら、全社的に取り組んでいる経営計画を確実に推進させ、より強固かつ筋肉質な事業基盤を構築してまいります。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営環境の変化による影響

 当社グループが営んでいる事業は、現在は原子力発電所向けの割合が高い状況にありますが、国内外の原子力利用政策が今後大幅に後退した場合、もしくは原子炉等規制法等による原子力発電所の建設抑制や検査サイクルに関する規則の変更(検査サイクルの更なる延長等)がなされた場合、当社グループの事業に重要な影響を受ける可能性があります。

 

(2)発電所等の重大な自然災害による影響

 原子力発電所など当社グループの主要なエンドユーザーが地震等の重大な自然災害を被り、長期にわたってプラント運転が停止するなどの事態に至った場合、受注、売上が減少するなど当社グループの事業に重要な影響を受ける可能性があります。

 

(3)品質保証に関する影響

 当社グループは、発電設備等において重要な機能を果たす特殊バルブ及びその部品を製造、販売し、また定期的なメンテナンスを実施しているため、万一製品の欠陥や不具合等によりトラブルが発生した場合、当社グループの事業に重要な影響を受ける可能性があります。

 

(4)生産設備のトラブルによる影響

 当社グループは、高温高圧の条件下で使用される高品質な特殊バルブを製造するために、鋳鋼工場を始めとして長年の技術を蓄積した生産設備及び製造工程を構築しております。しかしながら、自然災害や事故などにより生産設備に重大なトラブルが発生した場合、当社グループの事業に影響を受ける可能性があります。

(5)労災事故等による影響

 当社グループは、日常的な安全教育、各種技能研修、資格取得の促進等を通じて、労災事故の撲滅と安全管理には最大限の取り組みを行っておりますが、製造部門における工場での現場作業、またメンテナンス部門における発電所内での定期検査工事につきましては労災事故に繋がる可能性がゼロではないため、万一重大な労災事故が発生した場合、社会的な責任とともにその後の受注に影響を受ける可能性があります。

 

(6)コンピュータトラブルによる影響

 当社グループは、生産・販売を始めほとんどの分野でコンピュータを導入しております。高度なセキュリティ管理のもとで運用しておりますが、現状の対策にかかわらず、コンピュータウイルスの侵入やシステム上の予期せぬエラーなど、ハード及びソフトに障害を及ぼすトラブルが生じた場合、当社グループの事業に影響を受ける可能性があります。

 

(7)関連当事者との関係変化による影響

 当社の関連当事者である岡野商事㈱は、当社発行済株式の20.75%にあたる3,721,800株を保有しており、当社役員のうち4名が同社の役員を兼任しております。また、同社との間で当社製品等の販売取引等を行っており、当連結会計年度における同社への販売実績は当社売上高の40.3%にあたる3,071百万円となっております。このため、今後同社との関係に大きな変化が生じた場合、当社グループの事業戦略や経営成績等に影響を受ける可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動につきましては、主力製品である電力用バルブ及び発電所等の既存設備の保守・点検に関する客先ニーズに対応すべく、新技術及びメンテナンス装置の研究開発などに重点的に取り組んでまいりました。また、従来製品の更なる機能性向上、低コスト化、火力及び原子力発電の次世代プラント用バルブの研究開発等に積極的に取り組んでおります。

以上の結果、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は61百万円であります。

各セグメントにおける研究開発活動の内容は、次のとおりであります。

 

(1)バルブ事業

 

1)次世代発電技術に関する研究開発

先進超々臨界圧火力発電(A-USC)技術において、検証用安全弁・一般弁を試験用プラントへ取り付け実証試験を実施しております。

 

2)既存技術基盤の向上に関する研究開発

当社の保有する既存技術ならびに基盤技術の維持・向上を図り、事業競争力を強化するための活動(研究開発含む)を進めております。

 

3)原子力発電設備の安全性向上に関する研究開発

原子力発電設備の安全性を更に高めるべく、シビアアクシデント対策に係るSRVの研究開発を行っております。

 

上記を含め、当事業に係る研究開発費は61百万円であります。

 

(2)メンテナンス事業

当事業に係る研究開発費は軽微であるため、記載を省略しております。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者は決算日における資産、負債並びに収益、費用の数値に影響を与える見積りを行っており、合理的に継続して評価しておりますが、実際の結果は将来の不確定な要因により異なる可能性があります。

 

(2)財政状態の分析

① 資産

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ389百万円増加し、11,153百万円となりまし

た。これは主に、現金及び預金、投資有価証券の増加によるものであります。

② 負債

 負債については、前連結会計年度末に比べ193百万円増加し、2,062百万円となりました。これは主に、未払法人税等、退職給付に係る負債の増加によるものであります。

③ 純資産

 純資産については、前連結会計年度末に比べ195百万円増加し、9,091百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。

 

(3)経営成績の分析

① 売上高

  当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ187百万円増加(2.5%増加)し、7,624百万円となりました。

バルブ事業におきましては、震災対策弁の販売がメインになった他、新設火力発電所向けの売上が集中し、また、海外案件もアジア諸国においてまとまった売上を確保することができました。(同事業の前連結会計年度比6.4%増)

 一方、メンテナンス事業におきましては、期を通して小規模な工事に終始しました。また、国内電力政策の流動性から期中に予定していた大型案件が次期に繰延べとなり、前期をさらに下回りました。(同事業の前連結会計年度比5.0%減)

② 販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は、組織変更による一般管理部門の人数増員及び作業服刷新により人件費・経費が増加となり、前連結会計年度と比べ108百万円増加(9.9%増加)し、1,201百万円となりました。

③ 営業外損益

 営業外収益は、補助金収入や受取補償金の計上により、前連結会計年度と比べ44百万円増加(21.5%増加)し、249百万円となりました。

 

 当期純利益は、前連結会計年度と比べ144百万円増加(73.4%増加)し、342百万円となりました。

 また、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度と比べ8.49円増加し19.70円となり、自己資本利益率(ROE)は、前連結会計年度と比べ1.6ポイント増加し3.8%となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、第2 事業の状況、1 業績等の概要の「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。