第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による経済・金融政策の継続により緩やかな回復傾向が見られたものの、英国のEU離脱問題やアジア新興国経済の減速懸念等から先行きが不透明な状況で推移いたしました。

 発電プラント用バルブの製造販売およびメンテナンスを主要事業とする当社グループにおきましては、東日本大震災後これまでに国内原子力発電所のうち数基が再稼働されたものの、その他の原子力発電所においては再稼働に至らず、依然として厳しい事業環境が続きました。

このような環境の中、主に国内外での火力発電所向けバルブ販売の他、メンテナンス事業においては通常のバルブメンテナンス工事に加え、原子力発電所再稼働に必要な震災対策工事等にも注力してまいりましたが、当連結会計年度の売上高は7,501百万円(前連結会計年度比1.6%減)、営業利益は113百万円(前連結会計年度比69.6%減)となりました。経常利益につきましては、東日本大震災に伴う受取補償金247百万円が営業外収益に計上されたことから419百万円(前連結会計年度比31.8%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は226百万円(前連結会計年度比33.8%減)となりました。

 

セグメント別の状況は以下のとおりです。

 

 〔バルブ事業〕

バルブ事業におきましては、大型案件である新設の西名古屋火力発電所7号系列や台湾、中国の新設火力プラント案件に加え、柏崎刈羽原子力発電所および島根原子力発電所向け震災対策弁の販売が堅調に推移いたしました。しかしながら、原子力案件の一部において売上計上が繰延べになったことが大きく影響し、バルブ事業における売上高は4,770百万円(前連結会計年度比8.8%減)と前期を下回りました。また、損益面につきましては、収益性の高い原子力案件が減少し、さらに生産量の減少から工場稼働率が低下したことなどから、セグメント利益は417百万円(前連結会計年度比34.0%減)となりました。

なお、バルブ事業のうち海外向けの売上高は1,381百万円(前連結会計年度比5.3%増)であり、バルブ事業売上高の29.0%となっております。

 

 〔メンテナンス事業〕

メンテナンス事業におきましては、期末にかけて大型案件である柏崎刈羽原子力発電所7号機向け震災対策工事が売上計上されたことにより、売上高は前期を上回る2,730百万円(前連結会計年度比14.0%増)を確保することができました。しかしながら、その他の工事は期を通じて小規模な案件に終始したため、メンテナンス待機工数の増加が収益を圧迫することとなり、セグメント利益は272百万円(前連結会計年度比12.7%減)にとどまりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ380百万円減少し、当連結会計年度末には1,409百万円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、主に売上債権の増加により、前連結会計年度に比べ1,219百万円減少し、△143百万円となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産、投資有価証券の取得が減少したことにより、前連結会計年度に比べ286百万円支出が減少し、△168百万円となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、主にリース債務の返済が減少したこと等により、前連結会計年度に比べ13百万円支出が減少し、△68百万円となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

総重量又は製造原価

前年同期比(%)

バルブ事業

740,929kg

14.2

メンテナンス事業

2,255,316千円

23.9

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比

(%)

受注残高(千円)

前年同期比

(%)

バルブ事業

5,735,948

△7.1

6,193,268

18.5

メンテナンス事業

3,127,345

39.5

1,571,563

33.7

合計

8,863,293

5.3

7,764,832

21.3

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

バルブ事業

4,770,076

△8.8

メンテナンス事業

2,730,925

14.0

合計

7,501,002

△1.6

(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

岡野商事㈱

3,071,718

40.3

2,891,690

38.6

三井物産プラントシステム㈱

1,682,181

22.1

1,749,644

23.3

 

 

3【対処すべき課題】

(1)バルブ事業

バルブ事業におきましては、受注・生産絶対量増大による事業規模拡大とそれによる収益性向上を基本戦略としております。具体的には、国内市場における継続的な優位性維持と、近年堅調に推移しつつある、国内市場と比較して圧倒的に規模の大きな海外市場における事業展開をより強力に推し進めることにより、受注・生産絶対量増大を実現します。また、海外市場での事業展開に不可欠となる価格競争力向上、受注・生産絶対量増大を可能とする生産能力向上、変動する生産量へ柔軟に対応できる体制構築を目的とし、製品および販売体系刷新の完遂、生産機能の集約・合理化、アウトソーシング活用範囲拡大等、事業基盤の改良を引き続き推進してまいります。

 

(2)メンテナンス事業

メンテナンス事業におきましては、将来的な顧客ニーズを見据えた上でのバルブメンテナンスの高度化・合理化による事業基盤の抜本的変革および収益構造再構築を基本戦略としております。具体的には、従来型のバルブ分解を伴うメンテナンスに最新情報技術、診断技術を適用した非分解によるメンテナンスを組み合わせ、より科学的且つ体系的な保全システムを構築することにより、国内シェア拡大を実現します。また、これによって物理的阻害要因を排除することによる海外市場への参入、保全技術の応用によるバルブメンテナンス以外の市場への参入も併せ、事業規模の震災前水準への回復を推進してまいります。

更に、全事業領域におけるBPR(業務効率化)の継続的実施による損益分岐点の引き下げ、電力業界の動向に大きく左右されるバルブ事業、メンテナンス事業へのリスクヘッジも踏まえた新事業領域への本格参入を推し進め、売上規模拡大と収益性向上を実現すると共に、発電業界におけるサプライチェーンの重要な一角を担う企業としてこの社会的使命を全うしてまいります。

 

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営環境の変化による影響

 当社グループが営んでいる事業は、現在は原子力発電所向けの割合が高い状況にありますが、国内外の原子力利用政策が今後大幅に後退した場合、もしくは原子炉等規制法等による原子力発電所の建設抑制や検査サイクルに関する規則の変更(検査サイクルの更なる延長等)がなされた場合、当社グループの事業に重要な影響を受ける可能性があります。

 

(2)発電所等の重大な自然災害による影響

 原子力発電所など当社グループの主要なエンドユーザーが地震等の重大な自然災害を被り、長期にわたってプラント運転が停止するなどの事態に至った場合、受注、売上が減少するなど当社グループの事業に重要な影響を受ける可能性があります。

 

(3)品質保証に関する影響

 当社グループは、発電設備等において重要な機能を果たす特殊バルブ及びその部品を製造、販売し、また定期的なメンテナンスを実施しているため、万一製品の欠陥や不具合等によりトラブルが発生した場合、当社グループの事業に重要な影響を受ける可能性があります。

 

(4)生産設備のトラブルによる影響

 当社グループは、高温高圧の条件下で使用される高品質な特殊バルブを製造するために、鋳鋼工場を始めとして長年の技術を蓄積した生産設備及び製造工程を構築しております。しかしながら、自然災害や事故などにより生産設備に重大なトラブルが発生した場合、当社グループの事業に影響を受ける可能性があります。

(5)労災事故等による影響

 当社グループは、日常的な安全教育、各種技能研修、資格取得の促進等を通じて、労災事故の撲滅と安全管理には最大限の取り組みを行っておりますが、製造部門における工場での現場作業、またメンテナンス部門における発電所内での定期検査工事につきましては労災事故に繋がる可能性がゼロではないため、万一重大な労災事故が発生した場合、社会的な責任とともにその後の受注に影響を受ける可能性があります。

 

(6)コンピュータトラブルによる影響

 当社グループは、生産・販売を始めほとんどの分野でコンピュータを導入しております。高度なセキュリティ管理のもとで運用しておりますが、現状の対策にかかわらず、コンピュータウイルスの侵入やシステム上の予期せぬエラーなど、ハード及びソフトに障害を及ぼすトラブルが生じた場合、当社グループの事業に影響を受ける可能性があります。

 

(7)関連当事者との関係変化による影響

 当社の関連当事者である岡野商事㈱は、当社発行済株式の20.75%にあたる3,721,800株を保有しており、当社役員のうち4名が同社の役員を兼任しております。また、同社との間で当社製品等の販売取引等を行っており、当連結会計年度における同社への販売実績は当社売上高の38.6%にあたる2,891百万円となっております。このため、今後同社との関係に大きな変化が生じた場合、当社グループの事業戦略や経営成績等に影響を受ける可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動につきましては、主力製品である電力用バルブ及び発電所等の既存設備の保守・点検に関する客先ニーズに対応すべく、新技術及びメンテナンス装置の研究開発などに重点的に取り組んでまいりました。また、従来製品の更なる機能性向上、低コスト化、次世代プラント用バルブの研究開発等に積極的に取り組んでおります。

以上の結果、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は45百万円であります。

各セグメントにおける研究開発活動の内容は、次のとおりであります。

 

(1)バルブ事業

 

1)次世代発電技術に関する研究開発

前期に引き続き先進超々臨界圧火力発電(A-USC)技術において、試験用プラントにおける安全弁・一般弁の実証試験を実施しております。

 

2)既存技術基盤の向上に関する研究開発

当社の保有する既存技術ならびに基盤技術の維持・向上を図り、事業競争力を強化するための活動(研究開発含む)を進めております。

 

3)原子力発電設備の安全性向上に関する研究開発

原子力発電設備の安全性を更に高めるべく、シビアアクシデント対策に係る研究開発を行っております。

 

上記を含め、当事業に係る研究開発費は45百万円であります。

 

(2)メンテナンス事業

当事業に係る研究開発費は軽微であるため、記載を省略しております。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者は決算日における資産、負債並びに収益、費用の数値に影響を与える見積りを行っており、合理的に継続して評価しておりますが、実際の結果は将来の不確定な要因により異なる可能性があります。

 

(2)財政状態の分析

① 資産

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ52百万円増加し、11,206百万円となりました。

これは主に、受取手形及び売掛金の増加によるものであります。

② 負債

 負債については、前連結会計年度末に比べ50百万円減少し、2,012百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少によるものであります。

③ 純資産

 純資産については、前連結会計年度末に比べ102百万円増加し、9,194百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。

 

(3)経営成績の分析

① 売上高

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ123百万円減少(1.6%減少)し、7,501百万円となりました。

 バルブ事業におきましては、国内新設火力発電所、台湾、中国の新設火力プラントなどの大型案件に加え、震災対策弁の販売が堅調に推移しましたが、原子力案件の一部において売上計上が繰延べになったことにより、売上高は前期を下回りました。(同事業の前連結会計年度比8.8%減)

 一方、メンテナンス事業におきましては、期末にかけ大型案件である震災対策工事が売上計上されたことにより、前期を上回ることができました。(同事業の前連結会計年度比14.0%増)しかしながら、その他は期を通して小規模な工事に終始しました。

② 販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は、退職・人事異動による人員の減少や研究活動内容を絞り込んだことにより、人件費・経費が減少となり、前連結会計年度と比べ86百万円減少(7.2%減少)し、1,115百万円となりました。

③ 営業外損益

 営業外収益は、受取補償金の計上により、前連結会計年度と比べ66百万円増加(26.5%増加)し、316百万円となりました。

 

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ115百万円減少(33.8%減少)し、226百万円となりました。

 また、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度と比べ6.66円減少し13.04円となり、自己資本利益率(ROE)は、前連結会計年度と比べ1.3ポイント減少し2.5%となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、第2 事業の状況、1 業績等の概要の「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。