(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府および日銀による経済・金融政策の継続により企業収益や設備投資の改善など緩やかな景気回復が見られたものの、米国の新政権による政策動向の不確実性や北朝鮮問題等、景気の下振れリスクが高まるなど先行き不透明な状況で推移いたしました。
当社が主軸を置く発電プラント業界におきましては、エネルギー需要が急増している新興国において新規プラントの増設が相次ぐ一方で、国内におきましてはこれまでに国内原子力発電所のうち数基が再稼働されたものの、当社グループの収益につながるまでには至らず、依然として厳しい事業環境が続きました。
このような環境の中、ユーザーに密着した柔軟な営業活動を展開するため、一部の営業部門とメンテナンス部門を統合させ、予てより推進しておりましたメンテナンス部員によるサイトセールスを更に強化したほか、従来のバルブ販売、メンテナンス工事に加え原子力発電所再稼働に必要な震災対策工事等に注力し、業績向上に努めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は8,304百万円(前連結会計年度比10.7%増)、営業利益は234百万円(前連結会計年度比106.3%増)となりました。経常利益につきましては、373百万円(前連結会計年度比10.9%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は193百万円(前連結会計年度比14.3%減)となりました。なお、営業外収益には東日本大震災に伴う受取補償金78百万円が含まれております。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
〔バルブ事業〕
バルブ事業におきましては、大型案件であるマレーシアの新設火力発電所案件が売上を牽引しました。国内では新設プラントである松浦火力発電所向けのほか、女川原子力発電所向けの震災対策弁における販売等を中心に進めた結果、バルブ事業における売上高は4,882百万円(前連結会計年度比2.3%増)と前期並みの売上高を確保しました。損益面につきましては、材料・購入部品の高騰や工場稼働率の低下など生産コストが上昇したこともありまして、セグメント利益は396百万円(前連結会計年度比5.0%減)となりました。
なお、バルブ事業のうち海外向けの売上高は1,584百万円(前連結会計年度比14.6%増)であり、バルブ事業売上高の32.4%となっております。
〔メンテナンス事業〕
メンテナンス事業におきましては、期初は小規模案件が続きましたが、第2四半期以降大型案件である柏崎刈羽原子力発電所7号機向け震災対策工事の売上計上により、売上高は3,422百万円(前連結会計年度比25.3%増)と前期を大幅に上回りました。これに伴い売上利益率が好転し、セグメント利益は465百万円(前連結会計年度比70.5%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,758百万円増加し、当連結会計年度末には4,168百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に売上債権の減少により、前連結会計年度に比べ701百万円増加し、557百万円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出が増加し、前連結会計年度に比べ76百万円支出が増加し、△245百万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入れによる収入が増加し、前連結会計年度に比べ2,514百万円増加し、2,446百万円となりました。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
総重量又は製造原価 |
前年同期比(%) |
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バルブ事業 |
663,157kg |
△10.5 |
|
メンテナンス事業 |
2,645,959千円 |
17.3 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高(千円) |
前年同期比 (%) |
|
バルブ事業 |
5,088,390 |
△11.3 |
6,399,564 |
3.3 |
|
メンテナンス事業 |
3,254,823 |
4.1 |
1,403,516 |
△10.7 |
|
合計 |
8,343,213 |
△5.9 |
7,803,080 |
0.5 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
バルブ事業 |
4,882,094 |
2.3 |
|
メンテナンス事業 |
3,422,870 |
25.3 |
|
合計 |
8,304,964 |
10.7 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
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販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
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岡野商事㈱ |
2,891,690 |
38.6 |
2,978,524 |
35.9 |
|
三井物産プラントシステム㈱ |
1,749,644 |
23.3 |
1,172,267 |
14.1 |
|
東京電力ホールディングス㈱ |
1,087,406 |
14.5 |
1,957,793 |
23.6 |
(1)バルブ事業
バルブ事業におきましては、受注・生産絶対量増大による事業規模拡大とそれによる収益性向上を基本戦略としております。具体的には国内市場と比較してより大規模な海外市場での販路拡大による受注・生産絶対量増大を実現するとともに、製造分野においては最新鋭設備を導入した新工場の操業を開始することで生産機能向上を図り、さらに内製・アウトソーシングの振り分けをコントロールし、生産効率及び利益率の極大化を目指します。また、バルブ製品・販売体系刷新を中核とした、受注から生産着手までの基幹業務効率向上を推進していき、直接的には営業及び技術分野における基幹業務対応工数を削減し、間接的には製造分野への機能的な業務展開により原価低減を追求します。
(2)メンテナンス事業
メンテナンス事業におきましては、将来的な顧客ニーズを見据えたバルブメンテナンスの高度化・合理化による抜本的な事業基盤変革および収益構造再構築を基本戦略としています。具体的には、最先端情報技術、診断技術を取り入れたバルブ非分解でのメンテナンスを従来のバルブ分解によるメンテナンスへ組み込んだ、より科学的且つ体系的な保全システム構築によって、国内市場シェア拡大を進めております。
更にバルブ事業、メンテナンス事業に加え、これら本業を取り巻く事業環境の影響を受けにくい新たな事業領域の基盤確立によって、専業リスクの回避および企業規模拡大に取り組んでまいります。
今後も目まぐるしく変化する外部環境へフレキシブルに対応し続けることにより、発電業界におけるサプライ
チェーンの重要な一角を担う企業として、着実な企業発展を実現致します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境の変化による影響
当社グループが営んでいる事業は、現在は原子力発電所向けの割合が高い状況にありますが、国内外の原子力利用政策が今後大幅に後退した場合、もしくは原子炉等規制法等による原子力発電所の建設抑制や検査サイクルに関する規則の変更(検査サイクルの更なる延長等)がなされた場合、当社グループの事業に重要な影響を受ける可能性があります。
(2)発電所等の重大な自然災害による影響
原子力発電所など当社グループの主要なエンドユーザーが地震等の重大な自然災害を被り、長期にわたってプラント運転が停止するなどの事態に至った場合、受注、売上が減少するなど当社グループの事業に重要な影響を受ける可能性があります。
(3)品質保証に関する影響
当社グループは、発電設備等において重要な機能を果たす特殊バルブ及びその部品を製造、販売し、また定期的なメンテナンスを実施しているため、万一製品の欠陥や不具合等によりトラブルが発生した場合、当社グループの事業に重要な影響を受ける可能性があります。
(4)生産設備のトラブルによる影響
当社グループは、高温高圧の条件下で使用される高品質な特殊バルブを製造するために、鋳鋼工場を始めとして長年の技術を蓄積した生産設備及び製造工程を構築しております。しかしながら、自然災害や事故などにより生産設備に重大なトラブルが発生した場合、当社グループの事業に影響を受ける可能性があります。
(5)労災事故等による影響
当社グループは、日常的な安全教育、各種技能研修、資格取得の促進等を通じて、労災事故の撲滅と安全管理には最大限の取り組みを行っておりますが、製造部門における工場での現場作業、またメンテナンス部門における発電所内での定期検査工事につきましては労災事故に繋がる可能性がゼロではないため、万一重大な労災事故が発生した場合、社会的な責任とともにその後の受注に影響を受ける可能性があります。
(6)コンピュータトラブルによる影響
当社グループは、生産・販売を始めほとんどの分野でコンピュータを導入しております。高度なセキュリティ管理のもとで運用しておりますが、現状の対策にかかわらず、コンピュータウイルスの侵入やシステム上の予期せぬエラーなど、ハード及びソフトに障害を及ぼすトラブルが生じた場合、当社グループの事業に影響を受ける可能性があります。
(7)関連当事者との関係変化による影響
当社の関連当事者である岡野商事㈱は、当社発行済株式の20.75%にあたる372千株を保有しており、当社役員のうち4名が同社の役員を兼任しております。また、同社との間で当社製品等の販売取引等を行っており、当連結会計年度における同社への販売実績は当社売上高の35.9%にあたる2,978百万円となっております。このため、今後同社との関係に大きな変化が生じた場合、当社グループの事業戦略や経営成績等に影響を受ける可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動につきましては、主力製品である電力用バルブ及び発電所等の既存設備の保守・点検に関する客先ニーズに対応すべく、新技術及びメンテナンス装置の研究開発などに重点的に取り組んでまいりました。また、従来製品の更なる機能性向上、低コスト化、次世代プラント用バルブの研究開発等に積極的に取り組んでおります。
以上の結果、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は9百万円であります。
各セグメントにおける研究開発活動の内容は、次のとおりであります。
(1)バルブ事業
1)次世代発電技術に関する研究開発
前期に引き続き先進超々臨界圧火力発電(A-USC)技術において、試験用プラントにおける安全弁・一般弁の実証試験を実施しております。
2)既存技術基盤の向上に関する研究開発
当社の保有する既存技術ならびに基盤技術の維持・向上を図り、事業競争力を強化するための活動(研究開発含む)を進めております。
3)原子力発電設備の安全性向上に関する研究開発
原子力発電設備の安全性を更に高めるべく、シビアアクシデント対策に係る研究開発を行っております。
上記を含め、当事業に係る研究開発費は9百万円であります。
(2)メンテナンス事業
当事業に係る研究開発費は軽微であるため、記載を省略しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者は決算日における資産、負債並びに収益、費用の数値に影響を与える見積りを行っており、合理的に継続して評価しておりますが、実際の結果は将来の不確定な要因により異なる可能性があります。
(2)財政状態の分析
① 資産
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,919百万円増加し、14,126百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加によるものであります。
② 負債
負債については、前連結会計年度末に比べ2,692百万円増加し、4,704百万円となりました。これは主に、長期借入金の増加によるものであります。
③ 純資産
純資産については、前連結会計年度末に比べ227百万円増加し、9,422百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
(3)経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ803百万円増加(10.7%増加)し、8,304百万円となりました。
バルブ事業におきましては、大型案件であるマレーシアの新設火力発電所案件を牽引しました。国内では新設プラントである松浦火力発電所向けのほか、女川原子力発電所向けの震災対策弁にの販売が推移しましたなったことにより、売上高は前期を上回りました。(同事業の前連結会計年度比2.3%増)
一方、メンテナンス事業におきましては、期末にかけ大型案件である震災対策工事が売上計上されたことにより、前期を上回ることができました。(同事業の前連結会計年度比25.3%増)しかしながら、その他は期を通して小規模な工事に終始しました。
② 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、配置転換による人員の増加、バルブ売上増加による荷造諸掛の増加により、前連結会計年度と比べ196百万円増加(17.6%増加)し、1,311百万円となりました。
③ 営業外損益
営業外収益は、受取補償金の減少により、前連結会計年度と比べ164百万円減少(52.0%減少)し、151百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ32百万円減少(14.3%減少)し、193百万円となりました。
また、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度と比べ18.63円減少し111.73円となり、自己資本利益率(ROE)は、前連結会計年度と比べ0.4ポイント減少し2.1%となりました。
(4)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、第2 事業の状況、1 業績等の概要の「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。