第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。

なお、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

 当社グループは、「エレクトロニクス分野を通して高い品質と優れた技術に基づいた価値ある製品・サービス・情報を提供することにより夢とゆとりのある社会の実現に貢献します」という当社の経営理念のもと自動車、家電、産業機など様々な電子製品に搭載されるエレクトロニクス部品の取り扱いとともに製造業向けに各種メカトロニクス装置や関連システムをトータルに提供する技術商社機能、高品質で優れた技術力に基づき、お客様のニーズに合わせ各種のシステム・ソフトウェアを開発し提供するシステムインテグレーター機能を強みに、ICT技術×電子デバイス・装置で、新たなビジネスの価値を創造する“System Technology Group” として、お客様のものづくりや製品開発などの課題解決を実現するソリューション企業として事業展開を図っております。

 今後とも先端技術の分野で、創造的な製品やサービスを提供し、お客様から変革を共に推進するパートナーとして常に選ばれる企業グループになることを目指し、成長・発展をし続ける方針です。

 また、企業経営においては、常に株主に対する利益還元を念頭におきながら安定利益の確保に努め、同時に、全てのステークホルダーとの相互の信頼関係や、サステナビリティへの取組みを通じて、社会全体に対する貢献を大切にしてまいります。

 

(2)経営環境

 当連結会計年度におけるわが国経済は、2023年5月に新型コロナの感染症法上の位置付けが5類感染症に移行したことにより、経済社会活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直し、その他要因も相まって、長年続いたデフレからの脱却が期待される状況となりました。しかしながら足元では、企業の業況や収益の改善が続く中においても、個人消費については、所得の伸びが物価の上昇を下回ったことにより、力強さを欠く結果となりました。

 世界経済は、堅調なアメリカ経済、底打ち感があるも低迷が続いた欧州経済、中長期的に停滞感が漂う中国経済と、地域により温度差があり、また地政学的リスクも高まったことにより不透明な状況が続きました。

 半導体デバイス事業の主要顧客であるエレクトロニクス業界では、数年来続いてきた半導体の供給制約が緩和されたことにより、需要は弱含む状況にありながらも、出荷は回復局面を迎えました。当社グループが主に取扱いをしている自動車、民生品、産業機器向け半導体・デバイスについては、業種・品種・お取引先ごとに状況は異なり、市況感はまだら模様となりました。今後は車載部品の電装化並びに電気自動車へのシフトが急速に進むことが見込まれる自動車関連、産業機器向けモータのインバータ化、産業IoTのセンサーやAI活用が増加する産業機関連、太陽光発電や風力発電向けパワー半導体の拡大が見込まれるカーボンニュートラル関連などにより更なる市場拡大が見込まれます。

 プリント配線板事業の主要顧客である自動車部品業界は、車載部品の電装化並びに電気自動車へのシフトが急速に進むことで拡大が見込まれるとともに、グローバルな調達が一層強まることが見込まれます。

 産業機器システム事業の主要顧客である機械装置製造業界では、省人化ニーズやメカトロニクス装置をネットワークに接続するIoTの普及などから、FA機器、メカトロニクス装置並びにこれらに関連するシステム開発を含めた設備投資が緩やかな調整局面はあるものの期待されます。

 また、省人化ニーズが益々高まるとともにデータ連携に基づく生産性の向上などを可能にするロボティクスの隆盛が今後は更に加速すると思われ、ハードウェアの販売に留まらず倉庫や工場全体の管理を可能にするシステム化のニーズが拡大をしていくとともに3Dデータから造形物を3Dプリンタで出力する造形サービスのニーズも高まるものと期待されます。

 システム開発事業の属するIT市場におきましては、システムエンジニアの不足感が継続しておりますが、DX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとする企業のIT投資は引き続き活況を呈しており、成長が見込まれます。主要顧客である電力関連業界は、脱炭素社会に向けた再生可能エネルギー利用が一段と促進されることにより、新たなシステム開発の需要が見込まれるものと期待されます。また、DX関連市場においても、AIやIoTの活用が見込まれるなど様々な市場に必要不可欠なシステム開発の領域はさらに拡大が期待されるもののシステムエンジニアやパートナー会社不足が事業拡大を阻害する要因になる可能性があることが懸念されます。建築積算ソフトの主要顧客である、建設関連市場においては、これまで設計や施工の段階で様々なソフトウェアで分断されていた情報が統合共有され、コスト削減、リスク低減、スピードアップなどを実現するBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)が普及することにより、当社が得意とするBIMに対応した当社オリジナルパッケージソフトのBIM対応RC数量積算システム「FKS RC 2.0」、仕上数量積算システム「FKS FN 2.0」の販売拡大が期待されます。なお、これらの商品は、国土交通省の建築BIM加速化事業の対象製品に選定されております。

(3)経営環境を踏まえた取組み

 半導体デバイス事業では、強みとする「アナログ&パワー半導体」事業を更に強固なものとすべく、営業と技術の両面で市場のニーズにお応えできる体制を構築し、IoT化やAI実装の進展により今後益々需要の拡大が期待される自動車や産業機器、家電製品向けの拡販に努めております。また、従来比で電力変換損失を大きく低減できる酸化ガリウムパワーデバイスは、電気自動車や産業機器、民生用小型電源機器等への搭載が期待されており、環境負荷を低減させることができる商材として市場への普及を目指しております。技術面においては、マイコン開発技術者にアナログとデジタル技術の両方を習得させることにより、アナログ技術者不足により充足されていない需要の取込みを目指しております。

 プリント配線板事業では、海外基板メーカーの開拓を継続的に行い、高品質かつ価格競争力のある商品を拡充させ、自動車関連業界や各種電子機器製造業界に向けて提案活動を行っております。なお、業績が低迷しておりますプリント配線板製造子会社の協栄サーキットテクノロジ株式会社は2024年9月をもちまして、生産活動を終了し、解散する予定です。

 産業機器システム事業では、省人化ニーズの拡大やIoTの普及などにより、FA機器、メカトロニクス装置並びに関連するシステム開発への積極的な投資が期待される状況のもと、「モノ」から「コト」へのコトソリューションビジネスの拡大に向けて、三菱電機株式会社製を中心とするFA機器と、当社のシステム開発力、そして協力会社のハードウェア組み立てノウハウを組み合わせたソリューションの開発と販売に注力しております。

 また、省人化ニーズの高まりからロボティクスの隆盛が期待される状況においては、無人搬送車(Automatic Guided Vehicle)の導入実証及び効果検証などの取組みを行っています。「物流の2024年問題」や「CO2排出量削減」、「地方創生」等、社会的課題の解決を目指し、新幹線を活用した列車荷物輸送サービス「はこビュン」による多量輸送のトライアルを実施いたしました。神奈川県の「令和5年度 ロボット実装促進センター 導入実証サポート」の参加企業にも採択され、2024年1月から1カ月間、横浜市の栄聖仁会病院にて協働運搬ロボット「Thouzer(サウザー)」を使った、オムツやリネン等の搬送業務の負荷低減に関する導入実証を行いました。今後も企業や地方自治体の課題解決に向けたソリューション提案を推進してまいります。

 その他、物流倉庫業をターゲットにした自動搬送ロボットソリューション営業の体制を強化している他、黎明期から取り扱いを開始している3Dプリンタ事業も装置販売に留まらず、神奈川県相模原市のテクニカルセンター(K-3TC)において、造形サービス、保守サービスなどを含めた多面的な事業展開を図るなど、新規事業の拡大、構築へも積極的に取り組んでおります。

 システム開発事業では、プロジェクトマネージャー及び専門性の高いスペシャリスト要員の育成を目的にスキル認定制度を導入するとともに、ビジネス面では、大手SIerと連携し、新分野(ヘルスケア、SDGs等)への参入に取り組んでおります。

 建築積算パッケージソフトにおいては、3次元モデルに建物の属性情報をひも付けることにより積算見積りから維持管理までを連携させることを可能とする建設DXの実現に向け、当社オリジナルのBIM対応RC数量積算システム「FKS RC 2.0」及び仕上数量積算システム「FKS FN 2.0」を開発し、拡販に努めております。東京工芸大学の建築コースにおいては、一般社団法人BIM教育普及機構企画のもと、公益社団法人日本建築積算協会との協力により、当社建築積算システム「FKS」と見積書作成システム「KYOEI COMPASS」を使用し「建築積算の授業」を行いました。この「建築積算の授業」は、これまで建築生産という枠組みの中で行われてきた建築積算の授業を、BIMに代表される建築情報処理という新たな視点で行うもので、建設DXが推進するデジタル環境の中でコストマネジメント教育を行う日本初の取組みとなりました。

 また、事業本部とは独立して設置されているビジネスイノベーション室では、市場の拡大が見込まれるインフラ点検市場向けに、ロボットを活用した画像解析サービスや点検業務、自治体向け営繕工事積算チェックツールなど新規ソリューションを提案する他、河川防災情報のデジタル化に向けた実証実験に参加するなど、次世代へ向けた事業創造や、地域社会の課題解決に向けた取組みを行っております。国立大学法人大阪大学とは、同大学が研究開発した2次元的な配筋状態を非破壊で可視化することでコンクリート埋設鉄筋の点検時間を従来比30分の1以下に短縮する小型スキャナーの製品化を目指す共同研究を行っており、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)、大阪大学と共同でプレスリリースいたしました。

 サステナビリティの取組みにおいては、次世代を担う地域の子どもたちの健やかな成長(未来)を応援するため、『未来の社会を考える』と題して、地域の中学生や高校生とそのご家族を最新設備が揃った3Dプリンタテクニカルセンターに招待し、3Dプリンタの仕組みや工程を学習するとともに、実際に装置を使い小物の製作等を行う職場体験を実施しております。

 

(4)目標とする経営指標

 当社グループでは、安定的な収益力の確保とグループ全体の業績向上のため事業効率を重視し、営業利益率3%の早期達成をはかり、さらなる利益率の向上及び株主価値の最大化を図ってまいります。

 

(5)優先的に対処すべき課題

 当社を取り巻く事業環境は、グローバル化による競争の激化に加え、技術革新の進展により新たな競争機会が増えるとともに省人化ニーズやIoT、DX、そして生成AIの普及などから新たな商機が幅広い領域で見込まれるなど大きく変化しております。

 このような環境のもと、当社といたしましても事業環境の変化に対応するためには、収益構造の改善や新規事業への取組み体制の強化を行い、経営基盤の安定強化を図る必要があると捉えており、以下の項目を対処すべき経営課題と認識しております。

 

①収益力を強化するために

・生成AIやロボティクスビジネスなどの新事業・新分野の更なる開拓を図る

・先進先端技術への取組みや、成長事業へ積極的に資源投入を図る

・海外事業推進とエンジニアリングサービス強化のためのアライアンス戦略を強化する

・自社ブランド製品の開発、販売を強化するとともに、それを支える品質管理体制の強化を図る

・主要仕入先・取引先との連携強化を図る

・システム投資や業務プロセスの見直しにより間接経費の削減を図る

②お客様から変革を共に推進するパートナーとして常に選ばれる企業グループになるために

・生成AIを活用したビジネスの開発や、お客様のDXを推進するソフトウェア、システムをはじめとする取扱商品の幅を広げるとともに、当社のICT技術と組み合わせることにより、お客様にとって付加価値の高い各種製品、サービス、ソリューション、ビジネスモデルの提供を図る

・Only1 技術を探求し、お客様の事業発展に貢献する

③技術力の強化と人材育成のために

・業務に必要な商品、技術、各種制度及び語学などの知識を深め、グローバルな視野を持ち、自律的に行動できる人材を育成するとともに社内ローテーションを活発化させて、より幅広い視座での発想を促す。また、人材の多様化や専門性の高い人材を外部からも積極的に採用し、活性化を図る

・働く女性のキャリアアップ支援を行い、女性管理職比率を10%以上とする

④企業基盤の整備と改革のために

・事業環境の変化に即応した組織機構・人事制度の改革を図る

・従業員一人ひとりが、安心・安全に、やりがいを持って働ける「ウェルビーイング」を重視した職場環境の実現を図るため健康経営体制の整備をはじめとした人的資本経営の推進を図る

・従業員のエンゲージメントを高める取組みを強化する

・効率的に資産を活用し、財務内容の健全化を図る

・テレワーク、フリーアドレス導入後における働き方の更なる改善やITインフラの整備を図る

⑤コーポレートガバナンスを強化するために

・企業の持続的成長・発展のためのサステナビリティ経営を重視するとともに内部統制システムの整備充実を図り、コンプライアンス意識の浸透を徹底する

 

(6)中長期的な会社の経営戦略と見通し

 翌連結会計年度の見通しにつきましては、デフレ脱却に向かって経済が新たなステージを迎える期待感がある一方で、企業の好調な業況や収益が賃金や投資に十分に結びついておらず、また、地政学的リスクの懸念もあり、経済回復の力強さには不透明感が残っております。

 このような環境の中、半導体デバイス事業におきましては、下期からの回復を見込むも、上期中は弱含む市況の中、前期比でマイナス成長を見込んでおります。

 プリント配線板事業におきましては、2024年9月末での自社国内製造事業終了へ向けた取組みが予定通り進む見通しである一方で、海外製品の拡販に努めることから、利益の改善を見込んでおります。

 産業機器システム事業におきましては、前期からの半導体市況の需要減速の影響で、在庫調整の局面を迎えておりますが、下期以降の需要回復が期待されます。

 システム開発事業におきましては、電力受託開発及び建設・受注・タクシーソリューションの需要が旺盛で、全体として堅調に推移すると見込んでおります。

 このような状況のもと、当社では、2023年2月27日に公表をいたしました2024年3月期から2028年3月期までの5ヵ年を対象とする中期経営計画「KYOEI Power 2028」(連結業績目標 売上高 750億円 営業利益21億円 営業利益率2.8%)に基づいて、システム開発事業を重点成長領域と位置づけ、M&Aなどの活用と事業ポートフォリオの最適化により、安定した利益を創出し、お客様から変革を共に推進するパートナーとして常に選ばれ、必要とされる存在価値のある企業グループへの成長の実現に向けた取組みを行ってまいります。また、脱炭素社会に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)、生産性向上に向けたDXへの取組みや人口減少による人材不足に対して採用の多様化、給与体系の見直しや多様な働き方の推進に向けた人的資本投資、大学、スタートアップ企業との研究段階からの関係構築により、次世代ビジネスの創出を目的とした研究開発投資などは中長期的に取り組んで行かねばならない事項であると認識し、これらを含め、以下の施策に取り組んでまいります。

 

 半導体デバイス事業は、三菱電機株式会社製パワー半導体、海外製メモリ他の内外メーカーの半導体デバイスの販売活動を核とし以下の施策を実施します。

 ①既存中核ビジネスの更なる強化

 ②新商材発掘、新商流開拓、次世代パワー半導体製品の積極展開

 ③お客様の設計段階において弊社販売製品の採用を促進する営業活動の強化

 ④大学、スタートアップ企業との研究段階からの関係構築

 ⑤IC設計及びソフト開発受託ビジネス、EMS/DMS完成品ビジネスの拡大 等

 

 プリント配線板事業は、国内外の基板製造先に委託し、複数の特色のある協力メーカーから、顧客要望に最適なメーカーを提案実施する海外ビジネスを拡大させていくため以下の施策を実施します。なお、連結子会社での生産事業を2024年9月末を以て終息します。

 ①海外生産品の、日本・中国・その他アジア各国への販売強化

 ②アジア地区での生産拠点の拡充等

 

 産業機器システム事業は、三菱電機株式会社製品を中心にしたFAシステム機器、メカトロニクス製品の販売及び斯かる機器・製品に関するシステムの構築、各種システム・ソフトウェアの開発・販売等といった既存事業の維持拡大に加えて、当社の保有技術の融合により、変化する市場やお客様ニーズに最適なサービスを提案、提供するトータルソリューション事業の拡大を進めるため以下の施策を実施します。

 ①「モノ」から「コト」へのコトソリューションビジネスの拡大

 ②FAを中心とした基幹既存ビジネスの安定的規模拡大

 ③当社システム開発による、IoT・空調・物流・工程間搬送ビジネス拡張

 ④3DPの当社保守業務のルート拡張

 ⑤当社製自動化装置の保守拡張による事業領域の拡大等

 

 システム開発事業は、脱炭素社会に向けた再生可能エネルギー分野やAIやIoTの活用によるDX関連分野でのシステム開発領域の拡大。また、建築積算市場でのBIMの普及が見込まれることにより、これらの市場での優位性を確立するため以下の施策を実効します。

 ①品質・サービス・変革をお届けするコトソリューションの推進

 ②パッケージ及び標準システムによる安定的な収益基盤の確保

 ③顧客ニーズに則した製品・サービス提供を実現するアライアンスの強化

 ④パッケージ製品のサブスクリプション販売への転換

 ⑤大手SIerとの共創による新分野プロジェクト開発への参入

 ⑥SI活動の強化、保守サービスビジネスの拡大等

 

 以上のセグメント事業の取組みに加えて、管理業務では、世界標準を意識した組織改革により、事業の成長を強力に後押しするため、グループ経営基盤の強化として、人的資本戦略としては、あらゆる競争力の源泉は人材にあるとの考えのもと、多様性の拡張と社員教育の拡充、採用システムの改革を強力に推進します。財務戦略は、バランスシートを改善し、事業ポートフォリオの最適化に向けM&Aの活用やベンチャービジネスへの投資等、攻めの経営を可能とする基盤づくりに注力します。サステナビリティ戦略としては、重要課題を特定し、解決へ向けて活動し、持続可能な社会の発展に貢献していきます。

 

 以上により、翌連結会計年度の見通しにつきましては、売上高は580億円、営業利益は14億円、経常利益は13億円、固定資産の売却等による特別利益の計上見込みに加え、連結子会社の清算結了が見込まれることに伴い、有形固定資産の減損等により発生していた課税所得計算上の一時差異が損金算入され、課税所得金額が減少し、税金費用が減少することが見込まれることにより、親会社株主に帰属する当期純利益は14億円を見込んでおります。

 また、2025年3月期の配当予想につきましては、1株当たり110円(中間55円、期末55円)を見込んでおります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります

 なお文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ戦略をグループ全社で横断的に推進するため、2023年3月1日に取締役コーポレート本部長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ重要課題(以下「マテリアリティ」という。)への取組みを進めております。

 サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する機会やリスクを含めたマテリアリティへの取組み方針を定期的に協議・審議を行うとともに、グループの取組みの進捗状況をモニタリングしております。協議・審議した事項及びマテリアリティへの取組み状況については、定期的に取締役会へ報告しております。取締役会は報告に対し、サステナビリティに関する課題への対応方針、施策及び実行計画等への議論・監督を行っております。

 

(2)戦略

①サステナビリティ方針

 当社グループの経営理念(「エレクトロニクス分野を通して高い品質と優れた技術に基づいた価値ある製品・サービス・情報を提供することにより夢とゆとりのある社会の実現に貢献します。」)を具現化するため、「夢とゆとりのある社会」=「持続可能な社会」であるという思いのもと、顧客・株主・従業員をはじめとしたステークホルダーと責任ある対話を行い、公正かつ透明性の高い、サステナビリティを重視した経営に取り組みます。

 また、当社グループを取巻く事業環境が、大きく急速に変化して行くなか、次なる成長のステージに向け、ミライの社会のために、今後の事業展開を考え、「もっと便利に、快適に」を実現するため、サステナビリティ戦略を、中期経営計画(KYOEI Power 2028)の根幹に位置づけ、社会や経済に対する価値提供と企業利益を両立しながら、長期にわたって持続可能な企業を目指し、マテリアリティへの取組みを推進してまいります。

 

②マテリアリティへの取組み

1)マテリアリティの特定

 当社グループでは、社会や経済に対する価値提供と企業利益を両立しながら、長期にわたって持続可能な企業を目指すため、2033年(10年後)の在りたい姿に対し、機会とリスクの観点を踏まえて課題の抽出を行っています。その中で、環境・社会・ガバナンスの3つの切り口に、優先的に取組む9つのマテリアリティを特定しております。マテリアリティへの取組みは、当社グループの企業価値向上に資する取組みとして積極的に推進しております。

成し遂げたいこと

機会とリスク

9つのマテリアリティ

 

具体的施策

●環境保全に対する取組み

美しくかけがえのない地球を

次世代に引き継ぐ

●機会・環境関連市場の拡大

 ・企業イメージの向上

 ・長期的なコスト低減

●リスク

 ・企業イメージの低下

 ・販売機会の損失

事業活動により発生するCO2排出量の削減

・エネルギーの使用量とCO2の排出量の可視化

・グリーン調達の推進

脱炭素に向けた製品の販売及びサービスの提供

・環境商材の拡販、クラウド対応型ビル管理システムや太陽光発電ソリューション等の環境ビジネスの推進

 

 

成し遂げたいこと

機会とリスク

9つのマテリアリティ

 

具体的施策

●人的資本強化・多様性

イノベーションや付加価値を

生み出す人材の確保・育成・

組織の構築を目指す

●機会・事業の安定化

 ・多様な人材登用による成果向上への期待

 ・組織風土の改善

●リスク

 ・ステークホルダーからの

信用の低下

 ・人材不足による競争力の

低下

人材採用と育成への取組み

・中期的な(今後3年間)の採用計画の策定

・成果型報酬の導入も含めた、人材の多様化に対する報酬体系の見直し

・幹部候補者のマネジメント外部研修の受講推進

・階層別社内外研修の充実

ダイバーシティを推進するための取組み

・経験者採用の強化

・女性採用人数の増加

・女性管理職登用計画の策定

・女性取締役の登用

従業員の健康を増進させるための取組み

・従業員の健康管理強化

・健康経営優良法人の認定取得

エンゲージメントを向上させるための取組み

・アウトソーサーを活用した福利厚生制度の導入

・eスポーツ大会やファミリーDayなど、多様性を意識した社内イベントの定期開催

・多面評価の導入などによる評価方法の見直し

 

●ガバナンス・リスク管理強化

真のグローバル企業を目指し、

より公正かつ透明性の高い

経営を実現する

●機会

 ・遵法経営による企業価値の向上

●リスク

 ・各種法令違反

 ・社会的信用の失墜

 ・機会損失の発生

コーポレート・ガバナンス・コードへの取組み強化

・資本コストを意識した事業ポートフォリオの見直し

事業の多角化に伴うビジネスリスク対応強化

・新たなビジネス領域に関するリスク等、営業取引に関するリスクを総合的に評価できる仕組みの構築

情報セキュリティ強化

・情報漏洩対策、サイバーテロ対策強化(セキュリティ診断実施及び診断結果に基づく対策、サイバー保険付保、社内規則の見直し等)

 

2)環境保全に対する取組み方針

 美しくかけがえのない地球を次世代に引き継ぐために、事業活動を通じて地球環境の保全及び天然資源の有効活用に努め、人と自然が調和した豊かな未来の実現に貢献します。

 

3)人的資本強化・多様性への取組み方針

 イノベーションや付加価値を生み出す人材の確保・育成・組織の構築を目指します。

 人的資本への投資等につきましては、当社グループでは「従業員は事業推進を担う重要な根源であり、協栄産業グループのかけがえのない財産である」と認識しており、階層別集合研修や配属部門別専門研修等を継続的に実施することにより、人材の育成に努めております。

 また、当社グループではワークライフバランスを重要視し、様々な枠組みや働きやすい環境を整えることで、女性や多種多様な価値観を持つ全従業員がより活躍できる雇用環境の整備に努めております。

 

4)ガバナンス・リスク管理強化への取組み方針

 真のグローバル企業を目指し、より公正かつ透明性の高い経営を実現します。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、取締役会の監督の下で協議、審議を行う体制として、サステナビリティ委員会を設置しております。委員会では、機会とリスクが財務や持続的な企業活動に及ぼすインパクトの内容、大きさを分析し、解決に向けた具体的な活動施策を継続してモニタリングを実施しております。対応方針や課題については、優先度を選別・評価し迅速な意思決定を図ってまいります。

 

(4)指標及び目標

マテリアリティと具体的な施策

中長期目標

現時点の

進捗状況

 

目標

目標

年度

目標年度

変更点

●環境保全に対する取組み

 

事業活動により発生するCO2排出量の削減

・エネルギーの使用量とCO2の排出量の可視化

削減目標の設定と、目標達成に向けたロードマップの策定

2023

可視化ツール導入と削減目標達成に

向けたロードマップを策定済み

完了

・グリーン調達の推進

リユース品のオフィス家具、備品の調達率50%以上

2024

調達率100%で推移中

脱炭素に向けた製品の販売及びサービスの提供

・環境商材の拡販、クラウド対応型ビル管理システムや太陽光発電ソリューション等の環境ビジネスの推進

数値目標を含めた具体的な事業計画の策定

2024

事業本部主体に活動中

 

●人的資本強化・多様性

 

人材採用と育成への取組み

・中期的な(今後3年間)の採用計画の策定

採用計画の策定

2023

組織再編もあり継続協議中

2024

・成果型報酬の導入も含めた人材の多様化に対する報酬体系の見直し

新人事制度の制定

2027

新制度に向けたリサーチを継続

・幹部候補者のマネジメント外部研修の受講推進

対象者の受講率100

2025

対象者拡大、新カリキュラム投入を検討中

・階層別社内外研修の充実

対象者の受講率100

2025

ダイバーシティを推進するための取組み

・経験者採用の強化

経験者比率30

2027

概ね順調に進捗中

(指標実績につきましてはHPにて開示しております)

・女性採用人数の増加

女性採用比率20以上

2026

・女性管理職登用計画の策定

女性管理職比率10

2027

・女性取締役の登用

女性取締役1以上

2027

従業員の健康を増進させるための取組み

・従業員の健康管理強化

健康診断受診率100

及び有所見者フォロー率100%

2025

従業員の意識醸成とフォロー体制の構築を継続

・健康経営優良法人の認定取得

認定取得

2025

基本方針・取組み内容をHPにて開示済み。認定取得に向け活動中

エンゲージメントを向上させるための取組み

・アウトソを活用した福利厚生制度の導入

新制度導入

2023

導入済み

完了

・eスポーツ大会やファミリーDayなど、多様性を意識した社内イベントの定期開催

年2回

2023

多種多様な社内イベントを定期開催

完了

・多面評価の導入などによる評価方法の見直し

新人事制度の制定

2027

今年度中の360度診断制度導入に向け準備中

 

 

 

マテリアリティと具体的な施策

中長期目標

現時点の

進捗状況

 

目標

目標

年度

目標年度

変更点

●ガバナンス・リスク管理強化

 

コーポレート・ガバナンス・コードへの取組み強化

・資本コストを意識した事業ポートフォリオの見直し

事業ポートフォリオの見直し内容開示

2027

簡易版ROICを用いた検討目線を策定済み、定期的に経営層で議論中

事業の多角化に伴うビジネスリスク対応強化

・新たなビジネス領域に関するリスク等、営業取引に関するリスクを総合的に評価できる仕組みの構築

全社リスク検討会の立ち上げ

2024

標準的なリスク低減策とフォロー体制・枠組みの構築を検討中

情報セキュリティ強化

・情報漏洩対策、サイバーテロ対策強化(セキュリティ診断実施及び診断結果に基づく対策サイバー保険付保、社内規則の見直し等)

全社情報セキュリティ体制の再構築

2025

管理体制・役割分担を整備し責任所在の明確化。課題や諸規則を整理し、対応策を策定中

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 当社グループは、これらのリスク発生を充分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。

 なお、当該リスク情報につきましては、当連結会計年度末現在の判断によるものであり、また、当社グループの事業上のリスクの全てを網羅するものではありません。

 

①経済状況の変動について

 当社グループは、主に半導体デバイス・FAシステム・産業メカトロニクス機器等の販売、ビジネス系やエンベデッド系システム等の開発、プリント配線板の製造及び販売など幅広い事業を行っており、その取引先も幅広い範囲に及んでおります。国内外の景気後退や自動車市場や家電、産業機市場など、当社グループの取引先が多く関係する市場における需要の減少は、当社の製商品及びシステムの販売減少につながり、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

②価格競争について

 当社グループの中心市場であるエレクトロニクス業界の価格競争は激しいグローバル競争や技術革新の急速な進歩から大変厳しいものになっております。当社グループといたしましては、価格競争力のある商材を取り揃え、システム・ソフトウェア開発並びにプリント基板製造においては品質の向上、信頼性の追求、生産性の向上を図ることでコストダウン要求に対応しております。しかし、将来において更なる価格競争の激化に直面することも予想され、このことが当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③棚卸資産の廃棄及び評価損について

 当社グループは、顧客の需要予測や仕入先の供給状況などを常に把握し、適正な在庫水準の維持と滞留在庫の発生を防止するよう努めるとともに、棚卸資産の資産性についてはその販売可能性に基づいて精査をしておりますが、市場の変化、顧客事情等により予測した需要が実現しない場合には過剰在庫となり、棚卸資産の廃棄及び評価損が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④為替変動の影響について

 当社グループは、輸出取引や国内での米ドル建取引を中心に為替リスクを負うことがあります。また、アジア地区を中心として、売上高に占める海外取引比率も20%を超える程度まで拡大しており、為替リスクの影響は増加傾向にあります。為替リスクを回避するため、先物予約によるリスクヘッジや仕入先へのドル建支払により為替リスク対象額の減少に努めておりますが、急激な為替レートの変動がある場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤特定仕入先への依存度が高いことについて

 当社グループでは、主力取扱商品である半導体やFAシステム、産業メカトロニクス機器の仕入れは、その多くが三菱電機株式会社からとなっており、当社仕入額の約20%を占めております。三菱電機株式会社とは代理店契約を締結し、親密な関係を維持するとともに、その取引価格等は両者の協議により決定しておりますが、両社の販売経営方針に大きな変更が見られた場合は、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥新規事業について

 当社グループは、新事業・新分野への更なる開拓を行ってまいりますが、新事業・新分野への開拓に追加的な支出が発生する場合は利益率が低下する可能性があります。また、急速な技術革新、市場ニーズの急激な変化等により新事業の縮小や撤退を決断した場合並びに新事業・新分野の経験が浅い場合には、経験不足により円滑な事業運営ができない可能性があり、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦不良補償問題が発生する懸念について

 当社グループが取扱う製品及び商品、システム、並びにサービス提供は広くエレクトロニクス業界全般に関係しており、厳しい品質水準が求められております。自社の製品については品質改善、出荷検査の徹底を図るとともに、販売商品につきましては製造メーカーとの連携や当社自身の技術サポート力強化に努めております。自社の製品、販売商品を問わず、システム並びにサービス提供を含めた品質管理に万全を期すべく品質管理部署を設けて対応しております。しかしながら不測の事態で不良補償問題が発生した場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧海外製品の調達リスクについて

 当社グループは、国内メーカーのみならず、海外メーカーからも商品を調達し、提供をしております。しかしながら、国際社会における国家間の対立、地域紛争や武力行使等により、調達に支障が生じて商品の安定的な供給が困難となる場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨自然災害の発生並びに感染症の拡大などについて

 当社グループが事業展開する国や地域において、地震、風雪及び洪水、火災及び噴火などによる自然災害が発生し、社屋等の損壊により本社機能をはじめとする営業機能、物流機能、生産機能に混乱が生じた場合並びに国内外において感染症の拡大により企業活動に大きな制約が生じる場合には、災害対策マニュアルに則り事業継続を行うこととしております。しかしながら、斯かる状況が発生をした場合には、経済活動が停滞をし、生産活動や物流機能に混乱が生じるとともに、国内外での需要が大きく低迷することが予想され、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩気候変動問題への対応について

 当社グループは、気候変動問題への対応を重要な課題として捉えています。今後、環境関連法規制の強化により、脱炭素社会に向け、地球環境保全に関連する費用が増加した場合は、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。また、脱炭素社会移行への要求の高まりに対して、CO2排出量の開示や排出削減の取組みの対応が遅れた場合には、販売機会の損失、取引先から企業価値が低下したと判断され、サプライチェーンから外される恐れがあり、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪債権の貸倒リスクについて

 当社グループは、数多くの取引先と取引を行っております。従来から当社グループにおいては、債権残高管理や与信先の動態把握に十分留意をするなど与信管理を徹底しておりますが、予期せぬ貸倒リスクが顕在化し、売上債権の回収に支障が発生した場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります

 

⑫繰延税金資産について

 繰延税金資産の回収可能性は、将来収益力に基づく課税所得によって判断しております。当連結会計年度末における繰延税金資産については十分な回収可能性があると判断しておりますが、経営成績や市場並びに動向等により、その回収可能性の見直しが必要となった場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬資金調達について

 当社グループは、資金調達手法の一つとして複数の金融機関とシンジケートローン及び貸出コミットメント契約を締結しております。これらには財務制限条項が付されており、万一当社の業績が悪化し、この財務制限条項に抵触した場合には、安定的な資金確保に支障を来たし、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭情報セキュリティについて

 当社グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、また、営業上・技術上の機密情報を保有しています。想定を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス侵入等により、情報セキュリティ機能に重大な影響を受け、万一これら情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの営業機能、物流機能、生産機能に支障を来すとともに、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮コンプライアンスについて

 当社グループは、国内外の法令や規制を遵守し、半導体デバイス・FAシステム等の販売、ビジネス系やエンベデッド系システム等の開発、プリント配線板の製造及び販売などの事業活動を行っております。しかしながら、これら事業活動でコンプライアンスに反する行為が発生し、社会的信用が低下する事態が生じた場合には、顧客や仕入先の離反等により、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。斯かる事態を回避する為に、当社では全役職員に対するコンプライアンス研修を実施するとともにコンプライアンス遵守を経営理念の中核として位置付けて、遵法意識を徹底しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、2023年5月に新型コロナの感染症法上の位置付けが5類感染症に移行したことにより、経済社会活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直し、その他要因も相まって、長年続いたデフレからの脱却が期待される状況となりました。しかしながら足元では、企業の業況や収益の改善が続く中においても、個人消費については、所得の伸びが物価の上昇を下回ったことにより、力強さを欠く結果となりました。

 世界経済は、堅調なアメリカ経済、底打ち感があるも低迷が続いた欧州経済、中長期的に停滞感が漂う中国経済と、地域により温度差があり、また地政学的リスクも高まったことにより不透明な状況が続きました。

 当社グループの属するエレクトロニクス業界におきましては、半導体・デバイス市場は数年来続いてきた半導体の供給制約が緩和されたことにより、需要は弱含む状況にありながらも、出荷は回復局面を迎えました。当社グループが主に取扱いをしている自動車、民生品、産業機器向け半導体・デバイスについては、業種・品種・お取引先ごとに状況は異なり、市況感はまだら模様となりました。

 設備投資は、ほぼ横ばい、もしくはやや減少で推移するなど、持ち直しに足踏みが見られる状況となり、企業の業況や収益の改善が投資につながっていない実情が見られました。

 IT産業におきましては、DXをはじめとする企業のIT投資は引き続き活況を呈しておりますが、供給サイドにおきましてはシステムエンジニアの不足感が継続しております。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は616億7千9百万円(前期比1.9%増)、営業利益は16億5千2百万円(前期比12.3%増)、経常利益は17億3千7百万円(前期比11.4%増)、繰延税金資産の回収可能性について検討した結果、繰延税金資産を追加計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は13億3千7百万円(前期比209.1%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(半導体デバイス事業)

 当事業におきましては、白物家電向けは減速傾向となる一方で、生産台数が増加している自動車向けに関しては堅調な結果となりました。また、期末に向け円安が加速したことも収益を押し上げる要因となりました。

 これらの結果、当連結会計年度における売上高は390億8千7百万円(前期比0.0%減)、営業利益は20億8千2百万円(前期比0.9%増)となりました。

 

(プリント配線板事業)

 当事業におきましては、中国メーカーと連携して行っている海外基板ビジネスが堅調に推移した一方で、撤退を発表した自社国内製造品は新規顧客向け受注活動を停止したため、同製品の売上は減少しました。利益につきましても工場生産量減少に伴う稼働率低下により、損失が拡大しました。

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は68億1千7百万円(前期比0.9%減)、営業損失は1億9千4百万円(前期は2千2百万円の損失)となりました。

 

(産業機器システム事業)

 当事業におきましては、市況の減速感はあるものの、特定顧客向け加工機出荷が堅調に推移したこと、及びその他FA機器の半導体製造装置系主要顧客への受注残の出荷が進んだことにより、事業全体としては好調な結果となりました。3Dプリンタにつきましては、医療用途向けについては苦戦を強いられましたが、製造業用途向けが順調に推移し、前期比で売上・利益が拡大しました。空調冷熱機器は省エネ機器更新需要に支えられ堅調に推移いたしました。物流倉庫向け制御装置はお客様での設備投資が抑制されており、一部では大型受注もありましたが、全体としては低調に推移いたしました。

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は102億8千9百万円(前期比7.0%増)、営業利益は9億5千1百万円(前期比16.0%増)となりました。

 

(システム開発事業)

 当事業におきましては、建設系ITソリューション、受注ソリューション及び電力会社向け受託ビジネスが堅調に推移いたしました。また、タクシー会社向けソリューション及び組み込み系ソリューションの搬送ロボットの大型案件が売上・利益を押し上げました。一方で、ビジネス系ITソリューションは複数の大型リプレース案件が一巡したことにより前期比で売上が減少しました。

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は48億2千3百万円(前期比13.0%増)、営業利益は5億2千8百万円(前期比50.1%増)となりました。

 

(その他)

 協栄マリンテクノロジ株式会社が行う、救命設備の販売・整備事業は、船舶・航空機用救命具の整備受注が好調に推移するとともに、救命設備の販売も堅調に推移いたしました。

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は6億6千2百万円(前期比3.6%減)、営業利益は1億9百万円(前期比16.3%増)となりました。

 

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて48億6千1百万円増加し、422億7千1百万円となりました。

・流動資産は、受取手形及び売掛金13億9千1百万円の増加、現金及び預金12億2千2百万円の増加、商品及び製品6億1千9百万円の増加等により、32億8千9百万円増加し、340億1千4百万円となりました。

・固定資産は、投資有価証券13億4千7百万円の増加、退職給付に係る資産3億4千7百万円の増加等により、15億7千2百万円増加し、82億5千6百万円となりました。

・流動負債は、短期借入金12億9千1百万円の増加、支払手形及び買掛金12億3千6百万円の増加、事業撤退損失引当金8億7千万円の増加、未払法人税等5億3千6百万円の増加、電子記録債務3億3千7百万円の増加等により、45億6千8百万円増加し、206億6千6百万円となりました。

・固定負債は、長期借入金12億6千7百万円の減少、事業撤退損失引当金8億7千4百万円の減少、社債2億円の減少、繰延税金負債1億7千9百万円の増加等により、22億2千5百万円減少し、38億9百万円となりました。

 この結果、純資産は、25億1千9百万円増加し、177億9千4百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の40.8%から1.3ポイント増加し、42.1%となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ12億2千2百万円増加し、35億7千9百万円(前期は23億5千6百万円)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、増加した資金は19億9千5百万円(前期は10億7千3百万円の減少)となりました。これは主として次の要因によるものです。

資金増加要因:

税金等調整前当期純利益

仕入債務の増加

17億5千7百万円

13億5千1百万円

資金減少要因:

売上債権の増加

9億1百万円

 

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、減少した資金は1千3百万円(前期は2億4千6百万円の増加)となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、減少した資金は8億9千万円(前期は13億8千7百万円の増加)となりました。これは主として借入金の返済による支出等によるものです。

 

 ③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 なお、生産実績中、半導体デバイス事業の生産実績は、技術商社として、半導体デバイス事業内にマイコンソフト開発及びIC設計に係る製造部門を有しており、これの生産実績であります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

半導体デバイス事業(千円)

1,684,616

100.6

プリント配線板事業(千円)

5,984,552

96.4

産業機器システム事業(千円)

システム開発事業(千円)

5,697,430

119.4

その他(千円)

合計(千円)

13,366,599

105.6

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記金額には、セグメント間の内部取引高にかかる生産高が含まれております。

 

b.受注実績

 半導体デバイス事業の一部及びプリント配線板事業、システム開発事業については受注生産を行っており、これらの当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 なお、受注実績中、半導体デバイス事業の受注実績は、技術商社として、半導体デバイス事業内にマイコンソフト開発及びIC設計に係る製造部門を有しており、これの受注実績であります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

半導体デバイス事業

1,631,088

85.8

502,816

96.0

プリント配線板事業

2,243,099

81.6

611,527

63.0

産業機器システム事業

システム開発事業

5,930,564

119.8

1,071,036

99.7

その他

合計

9,804,752

102.1

2,185,380

85.1

 

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

半導体デバイス事業(千円)

39,087,441

100.0

プリント配線板事業(千円)

6,817,762

99.1

産業機器システム事業(千円)

10,289,071

107.0

システム開発事業(千円)

4,823,151

113.0

その他(千円)

662,098

96.4

合計(千円)

61,679,524

101.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.概況

当期におけるわが国経済は、2023年5月に新型コロナの感染症法上の位置付けが5類感染症に移行したことにより、経済社会活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直し、その他要因も相まって、長年続いたデフレからの脱却が期待される状況となりました。しかしながら足元では、企業の業況や収益の改善が続く中においても、個人消費については、所得の伸びが物価の上昇を下回ったことにより、力強さを欠く結果となりました。

世界経済は、堅調なアメリカ経済、底打ち感があるも低迷が続いた欧州経済、中長期的に停滞感が漂う中国経済と、地域により温度差があり、また地政学的リスクも高まったことにより不透明な状況が続きました。

当社グループの属するエレクトロニクス業界におきましては、半導体・デバイス市場は数年来続いてきた半導体の供給制約が緩和されたことにより、需要は弱含む状況にありながらも、出荷は回復局面を迎えました。当社グループが主に取扱いをしている自動車、民生品、産業機器向け半導体・デバイスについては、業種・品種・お取引先ごとに状況は異なり、市況感はまだら模様となりました。

設備投資は、ほぼ横ばい、もしくはやや減少で推移するなど、持ち直しに足踏みが見られる状況となり、企業の業況や収益の改善が投資につながっていない実情が見られました。

IT産業におきましては、DXをはじめとする企業のIT投資は引き続き活況を呈しておりますが、供給サイドにおきましてはシステムエンジニアの不足感が継続しております。

 

<売上高>

売上高は、前期に比べて1.9%増収の616億7千9百万円となりました。半導体デバイス事業では、前期に比べて0.0%減収の390億8千7百万円、プリント配線板事業では、前期に比べて0.9%減収の68億1千7百万円、産業機器システム事業では、前期に比べて7.0%増収の102億8千9百万円、システム開発事業では、前期に比べて13.0%増収の48億2千3百万円、その他(救命筏等整備事業)では、前期に比べて3.6%減収の6億6千2百万円となりました。

また、国内の売上高は、前期に比べて0.4%増収の465億3百万円となりました。海外売上高は6.6%増収の151億7千5百万円となり、海外売上高の連結売上高に占める比率は24.6%(前期23.5%)となりました。

<売上総利益>

売上総利益は、前期の84億9千9百万円に対し、2.9%増益の87億4千8百万円となりました。半導体デバイス事業と産業機器システム事業において売上総利益率の改善等が見られたことから、売上総利益率は14.2%(前期14.0%)となりました。

 

 

<販売費及び一般管理費>

販売費及び一般管理費は、前期に比べて1.0%、6千8百万円増加し、70億9千5百万円となりました。これは、旅費交通費が増加したこと等によるものです。

<営業利益>

営業利益は、前期の14億7千1百万円に対し、12.3%増益の16億5千2百万円となりました。これは、産業機器システム事業において、FA機器の半導体製造装置系主要顧客への受注残の出荷が進んだこと、システム開発事業において、搬送ロボットの大型案件で販売が行われたこと等によるものです。

<特別利益>

特別利益は、前期の6億2百万円に対し5億3千2百万円減少し、6千9百万円となりました。これは、前期に駐車場(東京都目黒区)の売却等による固定資産売却益4億9百万円を計上したこと等に対し、当期は投資有価証券の売却益による投資有価証券売却益6千9百万円を計上したことによるものです。

<特別損失>

特別損失は、前期の14億2百万円に対し13億5千2百万円減少し、4千9百万円となりました。これは、前期にプリント配線板製造事業からの撤退による、特別加算金等の人件費見込み、及び解体撤去費用等に伴う事業撤退損失引当金繰入額8億7千4百万円並びに減損損失2億8千7百万円を計上したこと等に対し、当期は事業撤退損失引当金繰入額4千8百万円を計上したこと等によるものです。

<税金等調整前当期純利益>

以上を受けて、前期の7億6千万円に対し、9億9千7百万円増加し、17億5千7百万円となりました。

<親会社株主に帰属する当期純利益>

親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の4億3千2百万円に対し、9億4百万円増加し、13億3千7百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前期の143.95円に対し、445.05円となりました。

 

b.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、営業利益率を重要な経営指標として位置付け、営業利益率3%の早期達成に努めております。

当連結会計年度における売上高は616億7千9百万円、営業利益は16億5千2百万円となり、営業利益率は2.7%となりました。引き続き、高収益ビジネスの創出と販管費の削減に努め、当該指標の改善に邁進していく所存です。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

<キャッシュ・フロー>

 営業活動によるキャッシュ・フローでは、19億9千5百万円の資金の増加となりました。これは税金等調整前当期純利益17億5千7百万円、仕入債務の増加13億5千1百万円等が、資金の減少要因である売上債権の増加9億1百万円等を上回ったことによるものです。

 投資活動によるキャッシュ・フローでは、1千3百万円の資金の減少となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出等によるものです。

 財務活動によるキャッシュ・フローでは、8億9千万円の資金の減少となりました。これは主に借入金の返済による支出等によるものです。

 これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は、前期の23億5千6百万円から12億2千2百万円増加し、35億7千9百万円となりました。

<資金需要>

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、半導体デバイス事業における仕入から回収までの資金立替、プリント配線板事業における材料等の購入及び製造費、全社の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告宣伝費、販売促進費等のマーケティング費用です。

 

<財務政策>

 当社グループは、運転資金及び設備資金については、内部資金や借入金を中心に資金調達することとし、海外現地法人を除いては、当社にて一括調達しております。このうち、運転資金については原則として短期借入金で調達し、金融情勢によっては一部を長期資金へシフトしております。2024年3月31日現在、短期借入金39億1千万円、長期借入金(一年内返済予定の長期借入金含む)38億3千4百万円、社債(一年内償還予定の社債含む)8億円から構成されております。

 当社グループは、健全な財政状態の維持改善、営業活動によるキャッシュ・フローの捻出、未使用のコミットメント・ライン枠12億5千万円及び未使用の借入枠75億8千8百万円を有することにより、当社グループが将来の成長に必要な資金を調達することが充分可能と考えております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

連結財務諸表の作成にあたり、当社グループは連結財務諸表に記載されている資産・負債の額及び偶発債務の開示額、並びに収益・費用の額などに影響を与える可能性のある見積り及び前提条件を使用しております。

当社グループは、その見積りと判断を、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要素に基づいて行っており、これらは、資産及び負債の帳簿価額あるいは収益・費用の額についての判断の基礎を形成しております。

実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

a.投資有価証券の減損

当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関が発行する株式を所有しております。これらの大半は市場価格のある株式で、一部に市場価格のない株式が含まれます。当社グループは市場価格のある株式への投資の場合、期末における株価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30%~50%下落した場合には、当社取扱い要領に基づき、個別銘柄毎の株価推移等から株価の回復可能性を判断して減損処理を行っております。株式市況悪化又は投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。

b.貸倒引当金について

当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。債権管理につきましては最善の注意をはらっておりますが、顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。

c.退職給付債務について

当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、割引率の低下や運用利回りの悪化がある場合は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

d.繰延税金資産について

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

e.事業撤退損失引当金について

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

5【経営上の重要な契約等】

(1)主な代理店契約

会社名

相手先

契約の種類

主要取扱商品

契約期間

備考

協栄産業

株式会社

(当社)

三菱電機

株式会社

代理店契約

回転機器、静止機器、コントローラ、駆動制御機器

2004年11月22日

から1年

自動更新

空調冷熱システム機器

2005年4月1日

から1年

自動更新

レーザ加工機、放電加工機

1996年4月1日

から1年

自動更新

半導体・電子デバイス

2015年4月1日

から1年

自動更新

ロボット

2017年4月1日

から1年

自動更新

(注)契約期間は再契約のものを含めて最新の契約書にもとづく契約期間を表示しております。

 

6【研究開発活動】

当社グループにおける当連結会計年度の研究開発費の総額は31,464千円であります。

セグメントの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

(プリント配線板事業)

2024年9月末日をもってプリント配線板製造事業から撤退することに対し、お客様から必要数量の取りまとめを実施し、生産を進めております。その中で、長期間生産実績の無い製品の再生産に対する加工技術の確認と設備の調整・準備を実施しております。

 また、移管先の製造メーカーへ技術供与を実施し、生産移管がスムーズに進むよう取り組んでおります。

 プリント配線板事業に係る研究開発費は13,999千円であります。

 

(全社)

国立大学法人大阪大学・産業科学研究所の研究グループと、永久磁石法を発展させたコンクリート構造物内部の鉄筋の配筋状況を非破壊で可視化できる新たなセンサーモジュール技術を用い、小型スキャナー製品化の共同研究を実施しており、点検業務の効率化を図るほか、老朽化などによる事故の発生を回避し、より安全・安心な社会の構築に貢献します。

令和5年度下水道応用研究(国土交通省)について「管路における光学的水面下調査技術の開発」が採択され、大手電気機器メーカー、当社グループ(協栄産業、協栄システム)の共同研究体にて水中ドローンを活用した水道管内の調査を可能とする研究開発を実施しました。

今後は、本研究で得た技術、知見を当社の保有技術(強み)として活かしていきます。

全社に係る研究開発費は17,464千円であります。