文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は「人と技術と商品を大切にして、新しい時代にふさわしい美しい都市機能を、世界の国々で世界の人々とともに創ります。」という経営理念を掲げ、昇降機の専業トップメーカーになることを目指しています。
この基本方針の下、持続的な成長と高い収益力によって株主、顧客、ユーザー、取引先、地域住民ならびに社員等当社グループすべてのステークホルダーの満足を追求し、高度な研究開発力、生産・フィールド技術力を養成し、高品質な商品を納入するとともに、保守やモダニゼーションを通じて長期にわたり顧客・ユーザーとの信頼関係を構築しております。このような事業活動を通して、世界の国々の産業振興と経済発展に貢献し、また世界の人々と文明・文化を相互理解することで、全てのステークホルダーと共存共栄を図っていくことを目指しています。この経営理念を、グループ一丸となって実現することこそが企業価値の源泉であり、当社の企業価値および株主共同の利益を確保・向上させることにつながると考えています。
2026年3月期連結ベースで、売上高2,440億円、営業利益229億円、営業利益率9.4%を目指します。
当社は、当社を取り巻く事業環境の変化等に鑑み、当社の潜在価値を具現化するための抜本的な企業変革を伴う5ヵ年の中期経営計画「Move On 5」を2024年5月に発表しました。「日本の専業メーカーならではの美しさとおもてなしを誰でも実感できる業界トップの信頼のブランドを確立」を長期ビジョンとして掲げ、『不易流行』の精神で新生フジテックとしてエクセレントカンパニーへ進化することを目指してまいります。これにより、お客さまの信頼に応える"安全・安心"な商品を継続的に提供し、持続的成長と企業価値向上を目指します。「Move On 5」の戦略方針は次の通りです。
「不易」…これからも変えずに追求し続ける本質
〇“安全・安心″の追求 :“安全・安心”を徹底する思想に沿った開発、故障・事故の徹底防止
〇品質重視 :最高品質の快適な乗り心地を実現する製品開発
〇人材の育成 :技術と能力を備えたグローバル人材育成と、それを支える企業文化の醸成
「流行」…新たに注力すること
〇選択と集中 :全社マージン改善のための地域事業の明確なセグメント分けと
適切なリソース配分、取り組み方向性の明確化
〇グループ経営の強化 :更なる成長のためのグローバルでの組織基盤の改善
〇ガバナンスとコミュニケーションの充実 :最高水準のコーポレートガバナンスの確立
○“安全・安心”の追求では、以下に取り組みます。
・“安全・安心”を徹底する思想に沿った開発
-地震発生時のエレベータ運行データを自動収集
-復旧ニーズの見える化と迅速な技術者の派遣
-気候変動に関わるアップデートを継続実施し、豪雨等の災害に対応する
・故障/事故を徹底防止する仕組/体制
-2025年の品質ラボ竣工
-開発から調達、生産、据付に至るまで、様々なコンポーネントのE2Eでの安全試験を実施
○品質重視では、以下の取り組みで、高級ホテルで培った乗り心地をより多くのお客さまに展開することを目指します。
-最高品質の快適な乗り心地を実現する製品開発
-部品解析、故障解析等により品質とコストの両立を追求
○人材の育成では、以下の取り組みにより、“安全・安心”の追求と品質重視を貫きます。
-組織風土であるチャレンジを促し、個々の従業員が成長を実感できる健全な職場環境を提供する
-評価報酬制度を採用し、適宜改善する
-全ての従業員がおもてなしの精神を持ち、顧客満足度を高め、高い信頼を得る
-多種多様な研修を通じ、専門技術者のさらなるスキルアップを図る
○選択と集中では、以下の取り組みにより、全社マージン改善を目指します。
-各地域の戦略的位置付けを明確化し、“着眼点”と“取り組み方向”を策定
-デジタル技術も活用してメンテの生産性/収益性を改善
-サプライチェーン最適化、標準機種・工法の導入によるコスト削減
-業務標準化・効率化とITインフラ刷新、経費抑制によるSG&A比率の改善
○グループ経営の強化では、以下の取り組みにより、強靭な事業基盤を構築します。
-中計を実行するための役割分担・結果責任を明確化した実行/PMO体制の構築
-KPIを設定し事業パフォーマンスと施策の進捗をモニタリング
○ガバナンスとコミュニケーションの充実では、以下の取り組みにより、最高水準のコーポレートガバナンスを目指します。
-多様なバックグラウンドを持つメンバーによる強靭な取締役会
-経営陣の報酬を重要指標に連動させ、経営陣のコミットメントを確保
-ESG経営の更なる強化
このような状況の中、中期経営計画 「Move On 5」を確実に実行し、企業価値の向上に努めてまいります。
フジテック・グループでは、「サステナビリティ方針」「企業行動規範」を遵守し、経営理念「フジテックは、人と技術と商品を大切にして、新しい時代にふさわしい、美しい都市機能を、世界の国々で、世界の人々とともに創ります。」を実践することで、持続可能な社会の実現に寄与していきたいと考えています。この考え方は、売り手と買い手が満足するだけではなく社会に貢献できてこそ良い商売と考える、「三方よし」という商人の経営哲学につながっています。このように、社会インフラを担う当社ならではの貢献を通じて、社会的責任を果たしていきます。サステナビリティに向けた取り組みを強力に推進するため、サステナビリティ委員会を設置しています。同委員会では、サステナビリティ方針と経営計画の整合性の確認に加え、サステナビリティを推進するための施策や活動の進捗を管理・監督しています。今後、ESG関連の情報開示を充実させ、取り組みの進捗を適宜報告していきます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

サステナビリティ推進体制:https://www.fujitec.co.jp/ir/business_policy/governance
当社では、サステナビリティ活動の推進のため、6つのマテリアリティと主要テーマを定めています。

ESG情報開示の対応方針については、次の通りです。今後、更なる開示の充実を進めてまいります。
・マテリアリティに関するKPI設定と情報開示
・TCFDに準拠した長期シナリオ分析及び機会/リスク開示
・開示項目の現状調査と全社モニタリング体制の整備
・統合報告書の作成・開示
(気候変動について)
当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明し、その枠組みに基づき、気候変動に係るリスクおよび機会に関するシナリオ分析などの取り組みについてまとめています。
当社は、経営理念を実践することこそが、社会や自然との共生や、持続可能な社会の実現につながると認識し、ステークホルダーの皆様とともに、“安全・安心”の追求、人材開発、技術の伝承、社会貢献活動、環境活動を含む、さまざまな事業活動に取り組みます。
気候変動に係るリスクおよび機会の分析・管理に関しては、代表取締役社長が管掌するサステナビリティ委員会が、他のサステナビリティ課題・取り組みなどと併せて、経営計画との整合性の確認および施策の管理・監督を行います。また、サステナビリティ委員会は気候変動を含むサステナビリティに関する重要事項について、必要に応じて取締役会への報告を実施します。
気候変動に関する具体的な分析や施策については、サステナビリティ推進室が取締役会、サステナビリティ委員会および環境マテリアリティ・オーナーの監督のもとに実施しています。また、サステナビリティ推進室は当社グループ内の事業部門、本社機構、グループ各社と連携し、気候変動リスクおよび機会の事業戦略への落とし込みや、気候変動関連課題への対応策、管理指標および目標の検討を行い、サステナビリティ委員会へ上申、報告を行います。
(2) 戦略
気候変動が当社事業・業績に与える影響について、TCFDフレームワークに基づいて定性的な分析を行いました。 以下の2つのシナリオに基づきシナリオ分析を実施しました。
• 2℃未満シナリオ(IPCC SSP1-2.6):低炭素経済へ移行するシナリオ
• 4℃シナリオ(IPCC SSP5-8.5):物理的気候変動リスクが高まるシナリオ
対象範囲は、当社および連結子会社を分析対象として選定しています。
気候変動によるリスクと機会の一覧
(人的資本について)
当社グループでは、ダイバーシティとグローバル人材開発を推進していくため、「経営人事理念」のもと、2022年に「人材開発方針」を策定しています。

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針は、グローバルな事業展開における新たなステージに向けた基盤として、個々のレベルアップを図り、闊達・溌剌とした人材を育成しています。社内環境整備に関する方針としては、多様性を認め合う価値観の醸成、環境づくりを加速しています。
中期経営計画「Move On 5」では「“安全・安心”の追求」や「品質重視」を貫くには人材こそが最大の財産とし①組織風土であるチャレンジを促し、業務を通じた育成によって個々の従業員が成長を実感できる健全な職場環境を提供すると共に、評価報酬制度を採用・適宜改善 ②全ての従業員がおもてなしの精神を持ち、総合的な満足度を提供。関係者やお客さまから高い信頼を獲得 ③専門技術者のさらなるスキルアップを図る多種多様な研修を通じて、お客さまに信頼される"人"と"技"の調和を追求することを掲げ人材育成を行ってまいります。
当社では、社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、事業リスクの低減と倫理・遵法、環境、品質問題など社会的に大きな影響を与えるリスクの根絶を目指し、リスクの早期発見とその対策に取り組んでいます。
この下位組織として、「リスクマネジメント運営委員会」を設置して、リスクマネジメントが全社的に機能するよう、情報の収集およびグループ各社・各事業本部への指導・管理を行い、企業を取り巻く潜在的なリスクに対して、迅速かつ的確な対処を行っています。
気候変動に関連する重要なリスクなどについては、全社リスクマネジメント管理のプロセスと同様に、リスクマネジメント委員会がサステナビリティ委員会と経営会議による分析を経て、その影響度や管理状況について適宜取締役会への報告を行っています。
コーポレートガバナンス:https://www.fujitec.co.jp/ir/business_policy/governance
(4) 指標及び目標
当社グループのCO2排出量(以下、CO2排出量)は以下のとおりです。
2023年のスコープ1、2のCO2排出量は、10.8%(基準年2019年比)減少し、23,670トンでした。売上高原単位は、2019年の14.6t/億円から29.5%(基準年2019年比)減少し10.3t/億円に低下しています。当社は環境や社会にやさしい企業として、脱炭素など社会的課題の解決に向けて、社会インフラを担う当社ならではの貢献ができることを検討し、社会的責任を積極的に果たしていきます。脱炭素の取り組みとしては、今後はサプライチェーンの取引先との情報共有を進めてまいります。

中期経営計画「Move On 5」では新たに「KPIと目標」として2030年までに2019年スコープ1、2比温室効果ガス(GHG)46%削減達成を目標として掲げています。
「気候変動に対応した低炭素社会への貢献」として、エネルギー使用量・温室効果ガス(GHG)排出量・廃棄物管理・削減施策推進、温暖化対策・脱炭素の取り組みへの社内教育徹底による、当事者意識の醸成強化、商品・工法改良による省資源化・廃棄材料削減・リサイクル化推進、水害対策製品・技術の開発と投入などを実施。また「省エネルギー対応力の強化」として環境配慮型商品・サービスの拡充、「商品ライフサイクルマネジメントの実践」としてパートナー企業と連携した業務効率改善による環境効率向上など積極的にグローバルな環境課題に取り組み、社会へ貢献してまいります。
また、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針に対する当社の取り組みは次のとおりです。
当社グループの人材の育成に関する具体的な取り組み
・世界10ヵ国以上の当社グループの人材が集い、世界の仲間からの刺激を受け、より高みを目指す動機につなげ、フィールド分野のスキルアップを目指すことなどを目的とした「Global Field Engineering Skill Competition」を継続的に開催しています。
・フィールドエンジニアのスキル向上など更なる人材育成を推進するため日本(東京・大阪)、シンガポールにエクスペリエンスセンターを設置しています。
・機械部分の据付工法や保守業務の基本的な作業方法を学び、各法人で指導者になる人材の育成を目的とした当社グループからフィールドエンジニアを集めた研修「グローバルフィールドテクニカルトレーニング」を初めて東京で開催しました。
・インドでは、エレベータ分野における将来のリーダー候補の育成・採用を目的とした人材育成機関「FUJITEC JIM」を設立し、経済産業省より「日本式ものづくり学校(JIM:Japan-India Institute for Manufacturing)」に認定されています。
海外法人の取り組み
・インドでは、レディース・デーが開催され、社会福祉学助教授の基調講演や永年勤続表彰が行われました。
・韓国では、女性の育児休暇を奨励し、男性の育児休暇の取得者もいます。
・米国では、性別、障がい、年齢など多様な人材を獲得するために、さまざまな採用手法を活用しています。
フジテック株式会社の取り組み
・従来から実施しているグローバルビジネスリーダー育成プログラムや、フィールドエンジニア向け各種実技研修プログラムなどの継続とともに、責任ある業務へのアサインメントを通じて、グローバルな視点を備えたマネジメント人材や、高い専門性を備えたエンジニアの育成を図ります。
・コアタイムのないフレックス勤務、時間単位の有給休暇取得、育児・介護休職/短時間勤務など、各種勤務制度の活用推進に加え、IT環境整備によるリモートワークの適用拡大、現場直行・直帰対応など、柔軟な働き方を可能にする環境を整えています。これにより、場所や時間に縛られない活発なコミュニケーションを促し、組織力の一層の強化に繋げていきます。
・がん等に罹患しても従業員が無理なく働き続けられることを目的としたサポート制度「治療と仕事の両立支援制度」の導入など多様な人材が働き続けられるような環境を整えています。
・日本国内における外国籍エンジニアの継続的な採用・育成、および積極的な登用を行います。
・新規入社者の2分の1程度がキャリア採用者である現状を基本とし、多様な経験を持つ人材の採用を一層進めます。
・女性・外国人・キャリア採用(中途採用)者の採用を一層推進してまいります。さらに、キャリア採用者については、その経験・スキル・実績等を総合的に評価した上で管理職への登用を進めており、2025年3月末時点の管理職比率は20%となっておりますが、今後も現状以上の比率となるよう積極的に登用を進めます。一方女性ならびに外国人については、2025年3月末時点の女性管理職比率が2.0%、外国人の管理職登用者数が0名であることから、当面の間は前年以上の比率・人数とすることを継続目標として、人材育成ならびに社内環境整備を強化してまいります。
当社人材育成:https://www.fujitec.co.jp/corporate/human_resources
当社グループの人権に関する取り組み
・当社では年1回人権・ハラスメント研修を実施しています。今後は当社グループの人権ポリシーの策定などを進めます。
国連グローバル・コンパクト加盟
当社は2021年4月21日付で国連が提唱する「国連グローバル・コンパクト(以下、UNGC)」に署名し、UNGCに署名している日本企業などで構成される「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入いたしました。UNGCは、各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組みです。UNGCが定める「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野からなる10原則に賛同し、当社の経営理念である「人と技術と商品を大切にして、新しい時代にふさわしい、美しい都市機能を、世界の国々で、世界の人々とともに創ります」の実現に向けて活動を継続します。

本項では、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると特定した主要なリスクを記載しております。
なお、本項に記載した将来の事象や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。
1. 当社グループのリスクマネジメント体制
当社グループのリスクマネジメントは、リスクおよび機会を踏まえた適切な意思決定を促し、ビジネスの成長を推進することを目的として取り組んでいます。
リスクマネジメント委員会は、経営理念や事業目的などに照らし、利害関係者への影響を含めて、経営に大きな影響を及ぼすリスクを網羅的に識別した上で、重要なリスクを決定し、その活動に積極的に関与しています。
重要なリスクは、その特性から「事業リスク」と「業務リスク」に分類し、さらに業務リスクは「グローバルリスク」「ローカルリスク」に分類して管理しております。
リスクマネジメント委員会は、社長を委員長とし、委員会メンバーはそれぞれの専門領域の知見・知識を活かし、十分な議論のもと、リスクの識別・評価を行っております。
リスクマネジメントのプロセスは、はじめに当社グループの経営理念の実現、中期計画の実行および達成を阻害しうる不確実性をリスクと捉え、当社の全部門および全グループ会社からリスクおよびその対応策を抽出します。
次に、抽出したリスクを、影響度、発生可能性(頻度)の観点から評価し、リスクマネジメント委員会にて議論の上、重要なリスクを決定するとともに、各重要なリスクの責任者(執行役員)およびリスク対応策を決定します。
このように特定された重要なリスクについては、各重要なリスクの責任者(執行役員)の指示の下、実行部門により対応策が実行されます。各重要なリスクの責任者(執行役員)は、対応策の実行状況をモニタリングし、その実効性を測定します。これら一連の取り組みは取締役会に報告され、リスクマネジメントプロセスとその対応策の実効性が確認されます。
また、こうしたボトムアップ型のリスクマネジメントに加え、社内取締役へのインタビューに基づき経営陣の課題意識を浸透させるためリスクマネジメント手法の改善や活動PDCAサイクルの見直しを随時行っています。
リスクマネジメント体制図

(注)リスク評価は、当社における多種のリスクを独自に評価したものです。
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度の世界経済は、緩やかに回復しているものの、物価の高止まり、長期化する中国経済の低迷、各地での地政学的リスクに加えて、米国新政権下での通商政策など、依然として先行き不透明な状況が継続しました。米国では個人消費の増加により景気は堅調に推移したものの、設備投資が減速しました。中国では一時的に景気は持ち直したものの、不動産市場および個人消費等の回復には至らず、依然として景気は低迷しました。日本では、物価上昇の影響があったものの、雇用・所得環境の改善、好調なインバウンド需要、堅調な企業収益の影響などで、景気は緩やかに回復しました。
当社グループにおいては、当社を取り巻く事業環境の変化等に鑑み、当社の潜在価値を具現化するための抜本的な企業変革を伴う、2024年度を初年度とする5カ年の新中期経営計画「Move On 5」を5月に公表しました。「Move On 5」は、2028年度までに売上高3,250億円、収益性の向上により営業利益を440億円、営業利益率としては13.5%までの改善を、地域別、事業別での横断的な成長と効率性の両立により達成を目指します。この成長目標を達成するために、全社戦略として「3つの柱」を掲げています。一つ目が「地域/事業ミックスの選択と集中」で、各地域の戦略的な位置づけを明確化したうえで、各地域、事業の取り組みの方向性を定め、収益改善を目指します。各地域戦略の統括と実行を加速するため、各地域セグメントのリージョナルディレクターを中心とした具体的な実行体制を構築しました。また、不動産不況が続く中国では、契約の見直しによる代理店網の再構築、工場直接部門を中心とした人員削減を断行し、主要課題への打ち手を実施しております。二つ目が「高品質と高収益性の両立」で、当社の強みである品質を高めながら、グループの総力を挙げてマージン改善を目指します。本取り組みの一環として、各地域で遠隔監視を活用した予防保全システムの導入を推進しており、シンガポールでは、同国の政府が推進する遠隔監視を用いたエレベータのメンテナンスの規格認証を、日系メーカーとして初めて取得しました。この規格は、高層建築の多いシンガポールがエレベータという社会インフラの維持を持続可能にするために、メンテナンスに遠隔監視を使用するよう定めた世界で例のない取り組みです。また、日本では、国内向け標準型エレベータの新商品「エレ・グランス」を2025年4月より販売開始しました。現行の主力商品である「エクシオール」の後継機種として、デザイン・メンテナンス性・災害対策を強化しました。主要機器の小型・軽量化を行い、据付作業の効率化および生産における省資源化にも貢献しています。さらに、エレベータ・エスカレータの品質評価施設「ウィズダム スクエア」が2025年3月に竣工し、4月より順次稼働しています。「ウィズダム スクエア」は、最高品質の商品とサービスを日本はもとよりグローバルに提供していくことを目的として、品質に特化して実験・検証を行う施設です。今後、グループ全体の品質管理体制を強化し、当社の強みである「品質重視」を深化させ、日本国内はもちろん、グローバルにおいても専業メーカーならではの高い品質をより実感していただける商品とサービスを提供してまいります。三つ目が、これらを推進する上で必要不可欠な、SDGsをはじめとする「強靭な事業基盤の構築」となります。「Move On 5」の実行体制強化に向けて経営会議を中心としたグループ管理体制を整備し、責任と役割を明確化しました。また、環境負荷軽減に向けて2030年度までに温室効果ガスを2019年度比で46%削減することを掲げています。その取り組みの一つとして、エスカレータの研究開発・生産拠点である「ビッグステップ」で所有する4トントラックの燃料を軽油からバイオディーゼル燃料に切り替え、運行を開始しました。このような取り組みが評価され「ビッグステップ」は一般社団法人日本能率協会主催の2025年(第13回)GOOD FACTORY賞を受賞しました。これら「3つの柱」を継続的にモニタリングするため21の分科会を設定し、月次開催の経営会議にて各分科会における進捗の確認と課題の抽出を行い、対策を検討してまいります。
なお、今期の主な納入実績として、日本では、東京・渋谷の大規模複合施設「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」にエレベータ・エスカレータ計102台を納入しました。また、JR高輪ゲートウェイ駅直結の複合再開発「TAKANAWA GATEWAY CITY」に、エレベータ・エスカレータ計92台を納入しました。街に配備される警備、清掃、デリバリーなどのロボットとエレベータが連携して、自律的に階を移動できる仕様を採用しました。さらに、JR大阪駅北側の再開発区域うめきた2期「グラングリーン大阪」に、エレベータ・エスカレータ計47台を納入しました。香港では、金融街に建つ2棟の高層オフィス「Three Garden Road(スリーガーデンロード)」向けに、リニューアルしたエレベータ44台を納入しました。オフィス向けのリニューアル工事としてフジテック・グループ過去最多の台数です。また、今期の主な受注実績として、台湾では、台北市で建設が進む超高層ビル「台北ツインズ」向けにエスカレータ160台を受注しました。インドでは、南部のチェンナイで計画が進む「チェンナイメトロ(3号線・5号線)整備工事」向けにエレベータ239台を受注しました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績の状況は、以下の通りとなりました。
(金額単位:百万円未満切捨て)
国内受注は、新設事業では、選別受注の徹底により受注台数は減少しましたが平均単価は増加した結果、受注額は増加しました。アフターマーケット事業では、モダニゼーション工事が受注台数・受注額ともに前期比で増加しました。また、昇降機の整備・維持を行う保守でも、契約台数の増加や契約価格改定により増加しました。
海外受注は、東アジアでは、新設事業は香港で減少したものの、台湾および韓国で増加し、アフターマーケット事業は香港でのモダニゼーション工事が増加しました。南アジアでは、新設事業は主にインドで増加し、アフターマーケット事業は全地域で増加しました。米州・欧州では、新設事業は米国および英国で減少し、アフターマーケット事業は英国およびカナダで増加しました。
(金額単位:百万円未満切捨て)
当連結会計年度の業績は、東アジアでは減収となったものの、他の地域でカバーした結果、前期比で増収増益となりました。経常利益は、為替差益が減少したものの営業利益の増加が寄与し増加しました。税金等調整前当期純利益は、政策保有株式の売却に伴う投資有価証券売却益が増加したものの、前期の連結子会社の固定資産売却益の影響が無くなったことにより、減少しました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、減少しました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(金額単位:百万円未満切捨て)
前期比で増収増益となりました。売上高は、新設事業およびアフターマーケット事業が増加しました。営業利益は、人件費や材料費などの上昇の影響はあるものの、新設事業・アフターマーケット事業の採算改善により増益となりました。
(東アジア)
前期比で減収減益となりました。売上高は、アフターマーケット事業が主に香港で増加したものの、中国の新設事業が長期化する不動産不況下での受注低迷による手持ち案件の減少および販売単価の下落の影響で大幅に減少したことなどで、減収となりました。営業利益は、台湾と韓国での工事損失引当金の減少および香港でのアフターマーケット事業の売上増加の影響などで増加したものの、中国での新設事業の売上減少の影響および一時的な費用の発生により、減益となりました。
(南アジア)
前期比で増収増益となりました。売上高は、新設事業がシンガポールおよびインドで増加、アフターマーケット事業がシンガポールで増加し、増収となりました。営業利益は、シンガポールでの材料費や人件費などの上昇により主にアフターマーケット事業の採算性が少し悪化しましたが、インドの新設事業の売上増加の影響で、増益となりました。
(米州・欧州)
前期比で増収増益となりました。売上高は、新設事業が主に米国での大型プロジェクトの進捗により増加し、アフターマーケット事業が全地域で増加し、増収となりました。営業利益は、米国の新設事業での一部案件の採算悪化の影響はあったものの、アフターマーケット事業の売上拡大の影響で、増益となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は平均販売価格によっています。
2 調整額△13,629百万円は、セグメント間の内部振替額です。
当社グループは、主として受注生産を行っていますが、一部見込み生産を行っています。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 受注高の調整額△14,671百万円および受注残高の調整額△5,854百万円は、それぞれセグメント間の内部振替額です。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 相手先別の販売実績が、総販売実績に対し10%以上のものはありません。
2 調整額△14,352百万円は、セグメント間の内部振替額です。
当連結会計年度末における総資産額は、2,622億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ58億55百万円増加しました。これは主に、投資有価証券の減少に対し、現金及び預金、受取手形、売掛金及び契約資産、有形固定資産が増加したことによります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ3億96百万円増加し、916億22百万円となりました。これは主に、退職給付に係る負債の減少に対し、支払手形及び買掛金、前受金が増加したことによります。
純資産額は、1,706億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ54億58百万円増加しました。これは、配当金の支払い152億16百万円、その他有価証券評価差額金の減少23億39百万円などに対し、親会社株主に帰属する当期純利益145億14百万円、為替換算調整勘定の増加91億70百万円などによります。また、当連結会計年度末の自己資本比率は59.3%(前連結会計年度末比1.4ポイント増)となり、1株当たり純資産額は1,994.06円(同92.78円増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、547億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ157億50百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
法人税等の支払額66億47百万円、受取利息及び受取配当金27億80百万円に対し、税金等調整前当期純利益199億75百万円、減価償却費47億6百万円などで、154億2百万円の収入(前期比20億95百万円の収入減)となりました。その主な要因は、固定資産除売却損益で前期比52億88百万円、売上債権が同56億58百万円の増加に対し、税金等調整前当期純利益が同39億40万円、工事損失引当金が同30億54百万円、退職給付信託の設定で25億円、法人税等の支払額で47億17百万円減少したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得61億65百万円に対し、定期預金の純減額166億4百万円、利息及び配当金の受取額32億33百万円、投資有価証券の売却による収入30億16百万円などにより、165億14百万円の収入(前期比160億81百万円の収入増)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出で前期比31億94百万円の減少に対し、定期預金の預入れ・払戻しの純収入額が同205億66万円増加したことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の純減額18億10百万円、配当金の支払などにより、192億70百万円の支出(前期比71億65百万円の支出増)となりました。その主な要因は、短期借入金の純増減額で前期比26億47百万円増加に対し、配当金の支払額が93億53百万円増加したことによります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。連結財務諸表の作成は、決算日における資産、負債の計上金額および報告期間における収益・費用の計上金額に影響を与える見積り、判断、仮定を必要とします。当社グループは、過去の実績や状況に応じて合理的と判断される範囲での様々な仮定に基づき、継続的に見積りの検証を行っています。これらの見積りには不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる見積り項目は以下のとおりです。
収益及び費用の計上
当社グループでは、一定の要件を満たす特定の工事請負契約については、進捗度に応じて一定の期間にわたり収益を認識しています。進捗度は、契約内容や過去の同一機種の原価実績など、入手可能な情報から工事原価総額等を見積り、発生した工事原価が工事原価総額等に占める割合に基づいて算定します。算定に用いる仮定は、契約の変更、施工条件および資材・外注価格の動向など様々な要因により変動するため、継続的に検証し、見積りの改訂を行います。これらの改訂により工事の進捗率が変動することで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
工事損失引当金
当社グループでは、連結会計年度末における未引渡工事のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることが可能な工事について、損失見込額を計上しています。損失見込額は、契約内容や過去の同一機種の原価実績など、入手可能な情報から見積った工事原価総額等により算定します。算定に用いる仮定は、契約の変更、施工条件および資材・外注価格の動向など様々な要因により変動するため、継続的に検証し、見積りの改訂を行います。これらの改訂により、工事損失引当金が増額または減額すること、また工事の進捗率が変動することで、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
貸倒引当金
当社グループでは、売掛金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。将来、顧客の財務状態が悪化し支払能力が低下した場合は、追加の引当を行うことで、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
固定資産の減損
当社グループでは、各社ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下したグループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上しています。固定資産の回収可能価額は、経営計画や割引率などを前提条件として算定する将来キャッシュ・フローおよび時価などに基づく正味売却価額を用いて見積ります。当初想定していた収益が見込めない場合や時価の変動などにより前提条件が変化した場合は、回収可能価額の見積りを変更します。将来、見積りの変更により減損処理が必要となった場合は、減損損失の計上を行うことで、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
繰延税金資産
当社グループでは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、その結果回収の実現が困難と考えられる資産については、評価性引当金を計上しております。回収可能性の判断については、経営計画や将来減算(加算)一時差異の解消スケジュールなどを検討して課税所得見込額を予測し、実現可能性を評価しています。課税所得の予測は、市場動向や当社グループの業績などの影響を受けるため、それらの要因の変化により、繰延税金資産の回収が困難になったと判断した場合は、評価性引当金の計上を行うことで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
退職給付債務および退職給付費用
当社グループでは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における見込額に基づき、退職給付債務から年金資産を控除した金額を計上しています。退職給付債務および退職給付費用は、割引率や年金資産の長期期待運用収益率などの前提条件に基づき算定します。実際の運用結果が想定と異なる場合や割引率などの前提条件が変更された場合、その計算上の差異は将来に渡って規則的に認識され、当社グループの業績に影響する可能性があります。
投資有価証券
当社グループでは、投資有価証券を保有しております。市場価格のない株式等以外のものは決算日の市場価格等による時価法を、市場価格のない株式等は移動平均法による原価法により評価しています。市場価格のない株式等以外のものの連結会計年度末の時価が、取得原価に比べ50%以上下落した場合は原則減損処理を行い、30%から50%未満下落した場合は、回収可能性等を考慮して必要な額を減損しています。また、市場価格のない株式等については、実質価額が取得原価に比べ50%以上下落した場合は、回収可能性等を考慮して減損処理を行います。将来、市況悪化や投資先の業績悪化などの状況変化により減損処理が必要と判断した場合には、減損損失の計上を行うことで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
売上高
当連結会計年度の売上高は、前期比118億51百万円増加して、2,412億53百万円となりました。これは主に、南アジアが同79億26百万円、米州・欧州が同78億70百万円、増加したことによります。この結果、海外売上高の連結売上高に占める割合は、前期と同じく、62.7%となりました。
売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前期比58億22百万円増加して、1,868億16百万円となりました。売上原価率は同1.5ポイント減少し、77.4%となりました。
販売費及び一般管理費は、前期比44億30百万円増加して、382億65百万円となり、売上高に対する割合(売上高販管費率)は前期から1.2ポイント増加し、15.9%となりました。
以上の結果、営業利益は、161億71百万円(前期比11.0%増)となりました。
営業外損益
営業外損益は、前期の41億45百万円の利益(純額)から、14億50百万円減少して、26億95百万円の利益(純額)となりました。これは主として、為替差益の減少および正味貨幣持高に関する損失によるものです。
この結果、経常利益は、188億66百万円(前期比0.8%増)となりました。
特別損益
特別損益は、前期の51億99百万円の利益(純額)から11億09百万円の利益(純額)となり、前期に比べ、利益が33億62百万円減少、損失が7億26百万円増加しました。これは主に、固定資産売却益が減少し、構造改革費用が生じたことによります。
以上の要因を反映して、税金等調整前当期純利益は、199億75百万円(前期比16.5%減)となりました。
法人税等(法人税等調整額を含む。)
法人税等は、前期に比べ18億98百万円増加、非支配株主に帰属する当期純利益は25億23百万円減少しました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、145億14百万円(前期比18.6%減)となりました。これにより、1株当たり当期純利益は、前期の228.55円から42.56円減少して、185.99円となりました。
当社グループは、運転資金および設備投資資金については、内部資金または借入により調達しています。このうち、運転資金の借入による調達は、期限が一年以内の短期借入金で、各々の連結会社が運転資金として使用する現地通貨で調達することが一般的であります。2025年3月31日現在、短期借入金残高は41億26百万円であります。これに対して、生産設備などの長期資金の借入による調達は、原則として、長期借入金で行っています。2025年3月31日現在、長期借入金残高(1年内返済予定の長期借入金を含む)は1億64百万円であります。
当社グループは、営業活動から得られるキャッシュ・フローおよび借入、必要に応じて資本市場等よりの調達により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および生産設備などの長期資金を調達することが可能と考えています。
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「第2事業の状況、4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、②財政状態の状況」に記載のとおりです。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2事業の状況、4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループは、重要な経営指標として、営業利益率9.4%、ROE10.7%の達成を中長期的な目標として設定しております。
当連結会計年度は、売上高2,450億円、営業利益181億円、営業利益率7.4%を目標としてスタートしましたが、当初の想定より、中国の不動産不況下での売上高が減少し、日本での採算改善に対して、中国での新設事業の悪化に加えて、貸倒引当金の追加計上から、2025年2月6日付で、目標を売上高2,420億円、営業利益162億円、営業利益率6.7%に修正いたしました。
当連結会計年度における修正目標に対する達成状況は、売上高は修正目標比0.3%減の2,412億53百万円、営業利益は同28百万円減の161億71百万円、営業利益率は修正目標と変わらず6.7%となりました。ROEにつきましては、当連結会計年度末では9.5%となっています。
当社グループの経営目標および経営戦略につきましては、「第2 事業の状況、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)目標とする経営指標」および「(3)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題」に記載のとおりです。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動としては、当社グループ間でエレベータ主要機器の共通化を推進し、各地域に展開しています。商品開発では、国内向け標準型エレベータの新商品「エレ・グランス」を2025年4月より販売開始します。現行の主力商品である「エクシオール」の後継機種として、デザイン・メンテナンス性・災害対策を強化しました。据付面では、エレベータの据付省力化装置「ガイドレール清掃装置」を開発しました。工場出荷時にレールに塗布されるさび止め油を、エレベータ据付時においてこの装置をガイドレールに沿って上下に動かすことにより、自動でさび止め油をそぎ落とす装置で、作業者は「単調できつい」重労働から解放され、人の技量が求められるより高度な作業へ集中出来るようになります。また、LEDビジョンと音楽の融合により情緒的な体験を提供する「イマーシブ・エレベータ」が「デジタルサイネージアワード2024」XR/エンターテインメント部門で優秀賞を受賞しました。狭い閉ざされた空間を開放的に感じていただけること、乗車することが楽しみに感じられるような乗り物を具現化することを目的に開発したエレベータです。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、