第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

①経済情勢および業界の状況

 当事業年度における世界経済は、英国のEU離脱決定や米国の大統領選挙での予想と異なる展開など政治的な不確実性が高まる状況の下、米国経済には回復基調が見られましたが、中国や新興国では下振れ懸念が拭えない状況で推移いたしました。国内経済では、輸出企業を中心に業績や設備投資に回復傾向が見られましたが、個人消費は低迷が続き、回復基調は極めて緩やかなものとなりました。

 このような状況下において、当社では、大きな成長が期待される電気自動車関連への車載用リチウムイオン二次電池や燃料電池用塗工乾燥装置、スマートフォン・タブレット端末用の光学フイルムやタッチパネル用塗工装置、医療材用塗工乾燥装置および電子部品関連塗工乾燥装置の受注強化に取り組んでまいりました。その結果、海外における車載用リチウムイオン二次電池業界の大型の設備投資やディスプレイ用光学フイルム向けの設備投資の恩恵を受け、これらの業界への販売に大きな伸びがありました。

 売上高は、10,837百万円(前期比23.1%増)となりました。主な最終製品別売上高は、エネルギー関連機器が5,894百万円(前期比392.1%増)、薄型表示部品関連機器が2,477百万円(前期比14.8%減)、化工機器が892百万円(前期比166.8%増)、機能性紙・フイルム関連塗工機器が687百万円(前期比67.9%減)、電子部品関連塗工機器が177百万円(前期比88.5%減)となりました。売上高に占める輸出の割合は、海外向けエネルギー関連機器の増加により72.2%(前期は35.4%)となりました。売上総利益は、1,721百万円(前期比85.6%増)、売上総利益率は、15.9%(前期は10.5%)となりました。販売費および一般管理費は、713百万円(前期比15.8%増)となりました。営業利益は、1,008百万円(前期比223.3%増)、経常利益は、1,032百万円(前期比200.6%増)、当期純利益は、692百万円(前期比229.9%増)となりました。

 受注高は、16,067百万円(前期比101.8%増)、その内輸出受注高は、13,267百万円(前期比271.9%増)となりました。これは主に海外向けで車載用リチウムイオン二次電池用のエネルギー関連機器および光学フイルム関連塗工装置の大型受注が増加したことによるものであります。受注残高は、8,343百万円(前期比168.0%増)、その内輸出受注残高は、7,273百万円(前期比296.3%増)となりました。

 品目別内訳は、車載用リチウムイオン二次電池や燃料電池用エネルギー関連部材用塗工装置、スマートフォン・タブレット端末などの光学系フイルムなどの薄型表示部品用塗工装置、タッチパネル用ハードコートフイルム塗工装置およびFPC関連用塗工装置で構成されております。

 個別の受注金額は、中国市場や新興国を最終需要先とした国内企業をはじめ、中国や韓国企業向けでも、国内外の設備メーカーの価格競争は大変厳しいものとなっています。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ301百万円増加し、5,506百万円(前期末は5,205百万円)となりました。

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

 営業活動の結果得られた資金は、823百万円(前期は2,927百万円)となりました。これは主に仕入債務の増加によるものです。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

 投資活動の結果使用した資金は、209百万円(前期は17百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものです。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

 財務活動の結果使用した資金は、312百万円(前期は得られた資金126百万円)となりました。これは主に借入金の返済および配当金の支払いによるものです。

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社は、全ての製品が一品一様の受注生産で事業部門別の組織とはならず、単一セグメントとなっています。よって、セグメントごとの記載に代えて、品目別に記載しています。

(1)生産実績

品目別

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

塗工機械(千円)

9,524,141

112.5

化工機械(千円)

1,117,296

366.4

その他(千円)

206,105

104.4

合計(千円)

10,847,542

120.9

 (注)1.上記金額は販売価額によっています。

2.上記金額には、消費税等は含まれていません。

(2)受注状況

品目別

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

塗工機械

13,951,568

200.2

6,936,965

277.1

化工機械

1,907,614

238.6

1,381,676

233.1

その他

208,403

108.4

24,674

147.9

合計

16,067,585

201.8

8,343,316

268.0

 (注)1.上記金額は販売価格によっています。

2.上記金額には、消費税等は含まれていません。

(3)販売実績

品目別

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

塗工機械(千円)

9,518,425

114.5

化工機械(千円)

1,118,736

373.3

その他(千円)

200,415

102.9

合計(千円)

10,837,577

123.1

(注)1.上記金額には、消費税等は含まれていません。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりです。

前事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

相手先

金額(千円)

割合(%)

相手先

金額(千円)

割合(%)

椿本興業株式会社

924,895

10.5

S1社

2,401,924

22.2

S2社

1,773,773

16.4

椿本興業株式会社

1,699,332

15.7

(注) 当社とS1社およびS2社との間には、秘密保持契約が締結されているため、社名の公表は控えさせていた

だきます。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は、持続的な成長発展を図り、企業価値の最大化に努めることが、株主及び顧客のご期待に応えることと考えております。そのため、社会やマーケットの潮流を的確に把握し、これまで培ってきた優位の技術を融合し、技術やサービスを通じて最適なソリューションを提供する「技術革新型企業」を目指しております。対外的には透明かつ公正な企業活動を行うことにより、真に豊かな社会の実現に貢献することを経営方針としております。

 

(2)経営戦略等

 当社は、平成28年度から平成30年度にかけて、3年間の中期経営計画「Smart Future2018」を策定致しております。

<事業戦略>

①顧客満足度の充実

②営業力の強化と新規顧客の開拓や各種PRの推進

③独自の技術による新製品の開発と先端製品開発用テスト機の設置計画

④グローバル展開の推進

⑤シナジー効果と将来性のある企業のM&Aの推進

⑥保守点検などのアフターサービスの展開促進

⑦新工場の建設計画並びに旧工場の建直しによる製造プロセスの効率化の計画

⑧CADの新規投資による設計の効率化

⑨加工機械の新規投資による製造の効率化

⑩地域住民の皆さまとの活動を含む社会貢献への取組み

 

<事業展開>

 当社などの設備産業は、景気の影響をいち早く受け易く、回復には時間がかかる業種とされています。そのため、企業努力により、景気に左右され難い体質作りが必要であり、当社も更なる発展に向け事業内容と組織の再編を行なっていく所存です。

 営業展開については、従来からの当社の重要な柱の一つであり、他社の追従を許さないスマートフォン、タブレットやテレビなどの光学系ディスプレイ分野については、大型新規投資は少なくなってきましたが、まだ伸びる分野と考えています。もう一つの柱である、エネルギー関連分野の車載用リチウムイオン二次電池分野については、中国などで大型新規投資が続いており、コスト競争が激しい中、新しい観点からコストダウンを図り、積極的に受注する営業展開を行います。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社の製品は、大半が先端産業向け機器で、そのすべてが特別仕様の受注型生産形態となっております。そのため機器の設計製作段階において開発投資的な費用が発生しても、個別の製品原価に含まれる仕組みとなっております。

 その結果、年度により大きく総資産や純資産が変動して、ROAやROEなどの経営上の基準となる指標を導入することが困難な構造となっていますが、事業計画では、今後もROEが改善するよう経営改革に努めてまいりたいと考えております。

 

(4)経営環境

 海外における車載用リチウムイオン二次電池業界での、大型の設備投資やディスプレイ及びタッチパネル用光学フイルム向けの設備投資が進められるものと思われます。中国景気の減速が懸念されてはおりますが、塗工装置が必要とされる中国の業界の製品には、次第に高付加価値が必要とされてきており、特にエネルギー関連のリチウムイオン二次電池関連でまたディスプレイ及びタッチパネル用の光学フイルム、ハードコートフイルム関連、新規塗工設備の導入が堅調に推移すると見込まれ、関連部材への需要増も期待できます。

 

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社は、平成28年度から平成30年度にかかる3年間の中期経営計画「Smart Future2018」を策定しており、達成に向け鋭意努力してまいります。

 最近の国内外の変化の激しい経済情勢の中、安定した経営基盤を確立するためには、より一層の新規応用分野への製品開発とコスト競争力の強化ならびに各部署での新規投資による効率化の推進が必要と考えております。

 新規応用分野への製品開発は、当社が蓄積してきた二次電池分野、光学フイルム分野および医療用部材分野などにおける技術力を背景に、日々の営業活動から新規顧客および既存顧客の要望に応えるビジネスに積極的に取り組むと共に、常設しているテスト機で顧客との共同研究開発を一層展開してまいります。

 コスト競争力の強化は、生産設備等に対する新規設備投資を進めると共に、営業、設計、製造、資材の全部署においてさらなるグローバル展開、特に東南アジアへの展開をさらに進め、コスト競争力を高めて収益に結び付ける仕組み作りを推進してまいります。

 

4【事業等のリスク】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。

(1)当社の販売形態について

 当社は、100%受注生産により塗工乾燥設備を販売しています。そのため、販売先の設備投資動向や景気変動により、経営成績が大きく影響を受ける体質を潜在的に保有しています。

(2)為替相場の変動について

 輸出売上高の割合が高い状態では、国際情勢の悪化や外国為替において円高になった場合、競争力の低下や収益の圧迫要因となる可能性があります。

(3)大規模災害による影響について

 当社の生産拠点は、滋賀県野洲市にある滋賀工場のみで、この地区に大規模災害が発生すると甚大な被害を受ける可能性があります。しかし、主要な製作外注先については、数箇所の府県に分散しています。

5【経営上の重要な契約等】

当社が技術援助等を受けている契約

相手先の名称

国名

契約内容

契約対象

契約期間

アルフセン・オグ・グンダーソン・アクチーセルスカブ

ノルウェー

フェルト熱処理機並びに網目状合成繊維布の熱処理機に関する技術指導

ロイヤリティ

販売価格の一定率

昭和52年1月24日から1年間の自動更新

 

6【研究開発活動】

 スマートフォンやタブレット端末などに必要なハードコートフイルム、反射防止フイルム、導電性透明フイルムなどに使用される薄膜塗工が可能なFKGコーター、ナノコーター及びスロットダイコーター、またリチウムイオン二次電池電極製造用の両面同時塗工装置、燃料電池用塗工装置、高速間欠塗工装置など生産効率の向上を目指した開発を行っており、また、省エネ対策やメンテナンスシステム開発にも取り組んでおります。さらに、最新のカセットチェンジコーターを揃えたテスト用クリーンパイロットコーターで、顧客との共同研究開発も行っております。

 なお、当期の研究開発活動に要した費用は、総額61,444千円となりました。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。財務諸表の作成において見積りや予想を必要とする会計処理がありますが、これらが実績と異なる場合があります。この財務諸表の作成のための重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 重要な会計方針」に記載しています。

(2)当事業年度の財政状態の分析

 総資産は、18,364百万円(前期末比16.0%増)となりました。これは主に売上債権の増加によるものです。負債は、7,440百万円(前期末比31.3%増)となりました。これは主に仕入債務の増加によるものです。純資産は、10,923百万円(前期末比7.5%増)となりました。自己資本比率は、59.5%(前期末は64.2%)となりました。

(3)当事業年度の経営成績の分析

 「1業績等の概要(1)業績」に記載しています。

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

 「4事業等のリスク」に記載しています。

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社は、営業活動においてキャッシュ・フローを獲得し、中期的に安定して資金を獲得することが重要と考えています。また、財務活動においても取引銀行と当座貸越契約の枠を十分に設定して不測の事態に備えています。

 なお、キャッシュ・フローの分析の詳細については、「1 業績等の概要(2)キャッシュ・フロー」に記載しています。