文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、持続的な成長発展を図り、企業価値の最大化に努めることが、株主及び顧客のご期待に応えることと考えております。そのためのスローガンとして常にお客様を第一としベストソリューションを提供し続けるコーティング・乾燥技術のプロ集団を目指しています。
<お客様との協働>
開発力・・・・・・・「こんな商品を!」の声に応える新商品開発サポート
経験豊富な技術者・・豊富な経験と先端の知識を備えお客様のコミュニケーションを基点に動く技術者集団
守秘義務の遵守・・・万全なお客様機密情報の保護
(2)経営戦略等
<事業戦略>
①業務の質の向上による顧客満足度の充実
②営業力の強化と新規顧客の開拓や各種PRの推進
③独自の技術による新製品の開発と先端製品開発用テスト機の効率的な使用
④グローバル展開の推進
⑤シナジー効果と将来性のある企業のM&Aの推進
⑥工場再編完了による生産の効率化と生産能力のアップ
⑦加工機械の新規投資による付加価値の高い生産
⑧地域住民の皆さまとの活動を含む社会貢献への取組み
<事業展開>
従来からの当社の重要な事業の柱の一つである、他社の追従を許さないスマートフォン、タブレットやテレビなどの光学系ディスプレイ分野については、世界的に見ればこれからもまだ伸びる分野と考えており、今後も引き続き力を入れて取組んでまいります。
もう一つの事業の柱である、エネルギー関連分野の車載用リチウムイオン二次電池分野については、EV市場の需要の鈍化を受けているものの、全固体電池など投資活動の動きも見られ、コスト競争が激しい中これまでに培ってきた技術や品質の優位性に加え、新しい観点からのコストダウンに取組むと共に、全社を挙げてのグローバル展開を更に推し進め、業績の向上と持続的な成長と発展を図ります。
(3)経営環境
EV市場の需要鈍化を背景に、当社の顧客においても設備投資の延期や計画の見直しが見られました。車載用リチウムイオン電池関連分野では、商談中の案件はいくつかあるものの、顧客の発注時期が不透明な状況が続いており、短期的な回復基調には至っておりません。また、データセンター用など蓄電用途向けの引き合いも一部で見られるものの、現時点では規模の大きな案件には至っていない状況です。
一方、国内・海外におけるディスプレイ部品関連機器については、引き続き一定の需要が見込まれており、機能性フィルム関連塗工機器につきましても、底堅く推移するものと考えております。今後につきましては、市場及び顧客の動向を注視しつつ、新エネルギーとして期待される各種製品関連設備をはじめ、幅広い分野における塗工乾燥装置の受注の積み上げに注力してまいります。
案件によっては条件面が厳しくなるなど、価格競争の激しさが増しており、引き続き原価低減への取り組みが重要となっております。また、顧客の希望納期への対応も求められますが、半導体供給問題に端を発した電装機器の長納期化については概ね改善されたこともあり、納期検討においては顧客希望納期を十分に認識し、業務の効率化と原価低減、生産量確保に努めてまいります。
このような状況のもと、光学フィルムや機能性フィルム関連設備に加え、今後の成長が期待される半導体及び電子部品関連分野に対する販売強化を進めるとともに、顧客と連携した製品開発への取り組みを通じて、新素材や新技術に関する情報収集を行い、営業展開の幅を広げてまいります。
(4)第4次中期経営計画(2026年度~2028年度)
2026年5月に第4次中期経営計画(2026年度~2028年度)を発表いたしました。
今後は、事業戦略としてディスプレイ関連及び機能性フィルム関連を中心に受注を獲得し、利益規模を維持しつつ将来の成長に向けた体制整備に取り組みたいと考えております。
また株主資本コスト9~10%を下回る6~9%のROEとなることを想定しております。2030年3月期以降では株主資本コストを超えるROEを達成すべく、バランスシート改革を含む資本効率の改善に取り組んでまいります。DOE(純資産配当率)については、株主還元の安定化及び拡大と資本効率の改善を目指していきたいと考えております。
なお詳細につきましては下記URLをご参照ください。
https://www.technosmart.co.jp/cat_ir/disclosure/
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、第4次中期経営計画に基づき、企業価値の向上、成長目標及び適切なキャピタルアロケーション(資本の配分)を明確にし、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
当社の関連する業界では、スマートフォン・タブレット端末、ノートパソコン及び液晶テレビ向けを中心に、ディスプレイパネルに使用される各種光学系フィルム関連分野において、引き続き一定の需要が見込まれております。また、EV、HEV、PHEV及びFC車向けの二次電池を中心としたエネルギー関連分野については、市場環境に変動が見られるものの中長期的には需要回復や投資再開の動向を見極める必要がある分野であると認識しており、次世代新型二次電池については、顧客との共同研究開発を通じて取り組みを進めてまいります。
さらに、近年高まる装置の自動化・省力化ニーズや、生産性向上、品質安定化への要求に対応するため、当社ではこれらに関連する技術開発及び提案力の強化を進めております。加えて、サステナビリティ、DX、設備の安全・安心・安定化、省エネルギー化といった分野においても、事業環境の変化を捉えながら、新技術の開発及び導入に積極的に取り組んでまいります。
(6)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の製品は、大半が先端産業向け機器で、そのすべてが特別仕様の受注型生産形態となっております。そのため機器の設計製作段階において開発投資的な費用が発生しても、個別の製品原価に含まれる仕組みとなっております。
その結果、事業戦略を通じた業績の伸びに加え、資本コストを上回るROEの実現を目標として設定しております。
株主還元の安定化と拡大及び資本効率の改善を目指し、DOEの目標水準を5%以上に設定しております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、「Changing Life with Coating Technology」をスローガンとして掲げております。
環境問題については、重要な経営課題の一つとして位置づけ、環境推進室を設けています。水質汚濁の防止、廃棄物の管理、エネルギー消費などのモニタリングを行い、必要に応じて地方自治体に報告を行っています。またISO委員会を設置し、当社の品質の向上と環境保全を目的としており、目標の設定、議題に対する検討、実施及び確認、是正措置及び予防措置の報告を行っております。ISO委員会は、代表取締役社長を委員長とするCSR委員会に3カ月に1回、進捗状況の報告を行っております。取締役会に直接報告する仕組みはありませんが、全ての取締役が出席しており、ISO委員会からの報告に対して全社的な観点から検討を行っております。内容は、環境保護、顧客保護、地域社会への支援、人権の尊重、労働環境の保全についての取組みを実施し、各主題に基づき大気・水質・土壌など環境汚染の予防、太陽光など再生可能エネルギーの利用、顧客情報の保護、コミュニティへの参画、差別やハラスメントの禁止、雇用の創出、多様な人材の確保・育成について検討し、各部門へ解決に向けた指示を行っております。
詳細は、当社のホームページURL「
(2)戦略
①環境
当社の企業理念に「地球環境の保全が将来にわたり重要な課題であることを認識し、企業活動のあらゆる側面において社員一人一人が、環境汚染の予防、環境保全に配慮しながら事業活動を推進する」とした環境理念を謳っています。
当社のお客様からもCO2削減を目指した動きが活発になっており、排出されるCO2削減を目指した製品の開発も今後進めてまいります。さらにCO2削減に向けては、リチウムイオン二次電池市場が拡大していることから、当社もリチウムイオン二次電池関連塗工機の受注活動を積極的に進めております。
当社の販売するLiB・LiBs塗工機はCO2削減に向けて、地球規模で貢献するものと考えています。今後の研究開発では、エネルギーの回収や無溶剤化など環境負荷の低い設備の開発に取り組んでいます。
また滋賀事業所内では、各工場建物に太陽光パネルを設置し、空調設備稼働時に必要な電力の一部として使用することでCO2を削減しています。
②社会
社会貢献への取り組みは、インターンシップにより学生に学外実習の体験を通じ職業意識の向上や職業選択に役立つ機会を得られるようにしております。また滋賀事業所において地元の自治会と、当社社員寮を災害時の一時避難場所として使用する協定を締結しております。
③人材
人的資本については、技術力、開発力、営業力および製造能力の一層の向上を目指して、新卒採用及び多様性のある中途採用の強化、研修・教育に積極的な投資を行っていく方針であります。
技術部門では、設計技術者と研究開発技術者が協働してミーティングを定期的に実施しており、製造部門では、定期的に生産工程の確認と見直しを行い、標準化可能な工程に対しては、自動化、半自動化を進めております。
営業部門では、直接生産ライン部門の状況を踏まえて受注活動を展開できるよう、情報の連携を強化し、お客様への提案に活かすよう取り組んでおります。
人的資本の確保については、当社にとって有用な人材の獲得に向け、新卒採用・キャリア採用活動を展開していますが、当社が定める教育方針のもと、本人の適性に応じて当社独自で設計、研究開発及び製造等の技術者の育成に努めております。
知的財産への投資については、新規に開発した装置やノウハウについて、有用なものは特許申請等を行うとともに、開発した社員への表彰等を行い、モチベーションの維持、向上に取り組んでおります。
中核人材の登用等における多様性の確保については、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性を鑑み、職能制度、コース制度及び各コース別の等級区分の組み合わせで職制区分を行っていることから、職制に分けて経営幹部や中核人材育成のため、教育・研修計画を策定し定期的に実施しております。
研修の実施にあたっては外部講習やOJTを組み合わせて実施することや、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用、中核人材の登用等、多様性の確保に向けた人材育成も実施しております。
資格取得については、社員の自発的な職業能力の開発・向上を目的とした資格取得支援制度も設けております。
多様性の確保については、人材の多様化とそれら人材の育成が中長期的な企業価値向上に繋がるものと考え、女性・外国人・中途採用者を積極的に採用しております。
特に中途採用者についてはスキル・経験等を総合的に判断し、管理職への登用を行っている一方、女性・外国人につきましては、管理職への登用数が現状十分ではないと認識しており、今後、当社の中核人材として、その比率が高まるよう人材育成及び社内環境の整備に努めてまいります。
働きやすい環境づくりのために、年次有給休暇や産休・育児休業の取得奨励などに取組み、職場環境の整備・改善を図ることにより離職率の低下を目指しております。
(3)リスク管理
リスク管理については、ISO委員会を設置することでサステナビリティ関連の機会・リスクを識別し、評価する仕組みの整備及び管理を行っています。ISO委員会は、代表取締役社長を委員長とするCSR委員会に3カ月に1回、進捗状況の報告を行っております。取締役会に直接報告する仕組みはありませんが、全ての取締役が出席しており、ISO委員会からの報告に対して全社的な観点から検討を行っております。
機会・リスクの識別は、会議規定に定める審議等を基に事業計画に反映しております。
評価する仕組みの整備は、各部門より策定された品質目的・目標一覧表を基に顧客満足及び事業計画達成に向けた人材の育成及び環境現状調査表を基に著しい環境側面の確認、改善の有無を決定し、目標実施計画を策定しております。
管理は、危険物貯蔵取扱い、酸洗浄、廃棄物取扱い及び有機溶剤の取扱いなどがあり、研修、訓練を定期的に実施しております。また地域環境へ配慮するため、定期的に地域交流会を実施しております。
CSR委員会で審議された対策は、関連部門にフィードバックし、予防・再発防止対策の徹底を図っております。不測の事態が発生した場合の体制と対応、そして再発防止策を明確にし、健全なる企業の存続に資することを目的としています。詳細は、「
(4)指標及び目標
環境については、当社の塗工乾燥装置を稼働させることにより、客先の製造ラインから高温熱が発生し、多くのCO2が排出されます。これを解決するため削減に向けた塗工乾燥装置の開発も課題になっています。今後、当社は塗工乾燥装置から排出されるCO2の削減に向け、取り組んでまいります。
人的資本・多様性に関する取組みについては、次世代育成支援対策推進法及び女性活躍推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定しております。
次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画は以下のとおりです。
目標1:従業員のワークライフバランス支援として、時間外労働の削減、有給休暇取得促進に努め、心身の健康を保持する。
目標2:育児(介護)に関する諸制度の周知を行う。育児(介護)休業を取得した社員に対し、復職前後のサポートを行うことで不安解消やキャリア形成に繋げる。
計画期間:2024年4月1日~2027年3月31日までの3年間
女性活躍推進法に基づく行動計画は以下のとおりです。
目標:総合職・専門職の女性の採用を増やす。
計画期間:2024年4月1日~2027年3月31日までの3年間
多様性の確保に向けた社内環境整備方針については以下の通りです。
女性・外国人・中途採用者の区別をすることなく、若手・中堅社員から業務改善提案や新規事業提案等に関する募集を行い、若手・中堅社員の活躍の場の提供や、当該提案を経営施策検討素材として活用することで、若手・中堅社員の活性化に取り組むこと、ハラスメントの防止等に関する取り組み、育児・介護などに関する正しい認識の習得などを推進し、多様な人材が活躍できる職場環境の整備を進めてまいります。
女性の活躍に関する情報公開
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前事業年度実績 |
当事業年度実績 |
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12.2% |
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12.5% |
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0.0% |
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6.7% |
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12.3% |
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平均勤続年数 |
全体:18.5年 男性:19.6年 女性:10.3年 |
全体:18.3年 男性:19.3年 女性:10.4年 |
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労働者の一月当たりの平均残業時間 |
全体:18.5時間 男性:19.8時間 女性: 9.2時間 |
全体:18.3時間 男性:19.9時間 女性: 7.7時間 |
|
有給休暇取得率 |
全体:83.2% 男性:82.5% 女性:88.5% |
全体:81.5% 男性:80.2% 女性:92.5% |
詳細は、当社のホームページURL「
女性管理職比率については、総合職に占める女性の割合と同水準を目標値とし、総合職・専門職の女性の採用を増やし、キャリアを築ける仕組みを構築するように努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。
(1)事業環境と販売形態について
当社は、100%受注生産により塗工乾燥設備を販売しており、各販売先の設備投資の動向に大きく影響を受ける体質であります。よって、世界市場の景気の低迷、政治情勢、自然災害、テロ・戦争・感染症等により財政状態及び経営成績に大きく影響を与える可能性があります。
(2)競合リスク及び価格の下落
競合先には、複数の企業が存在します。製品の需要が拡大期に入ると価格よりも短納期を要求される傾向が強いですが、製品の需要が減少期に入ると、供給過剰な状態に入り、受注獲得のため厳しい価格競争に陥る可能性があります。
(3)売上債権の回収リスク
調査機関や業界からの情報収集に基づき取引先の与信管理を徹底し、債権保全に万全を期しておりますが、多額の売上債権を有する顧客の財政状態が悪化し、貸し倒れが発生すると財政状態及び経営成績に大きく影響を与える可能性があります。また、工事のトラブル発生や、技術的クレームにより、入金の遅延や、契約金額の減額のリスクがあります。取引先の経営破綻のリスクに対応するため、同業他社からの情報収集の強化を図り、経営破綻の兆候を発見するとともに、信用調査を定期的に実施し、支払条件の短縮の対策により、売掛債権の回収不能防止に取り組んでおります。新規の取引の場合や与信状況に不安のある取引先には、代金の一部を前払いしてもらいリスクヘッジを図っております。
(4)外国通貨建取引
海外取引は、為替相場の変動リスクを回避するために、円建て取引を基本に営業展開を行っております。購買も円建て取引を基本に行っておりますが、一部の部材で海外より資材の調達や外注製作を外国通貨で取引を行っております。その際は、為替予約を採用していますが、急激な政治経済の動きで為替相場が大きく変動し、長期に渡って不安定な状態が続けば財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(5)投資有価証券の保有
当社は、投資有価証券を取引関係維持等の理由により保有しております。適宜、保有の銘柄の選別を行っておりますが、急激な経済の悪化や企業収益の減少、株価の低迷により評価減が発生し、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(6)情報セキュリティ
当社は、取引先情報、個人情報、インサイダー情報、社内資料など機密性の高い情報については、外部の脅威から守るためセキュリティ対策に取組んでおり、担当部署、職務によるアクセス権限の設定、不正アクセスの監視などセキュリティ強化に努めております。しかし、想定しない不正アクセス等があった場合には、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(7)大規模な地震の影響
当社の生産拠点は、滋賀県野洲市にある滋賀事業所のみで、大規模な地震が発生すると甚大な被害を受ける可能性があります。よって老朽化している生産設備の更新や耐震化を進め、安全性の確保や情報拠点の分散などバックアップに努めております。
(8)ウイルス感染症について
当社の従業員または取引先においてウイルス感染症の感染者が拡大した場合、当社の生産体制を一時的に縮小または停止するなど、財政状態及び経営成績に大きく影響を与える可能性があります。これらのリスクを回避するため、従業員、来場者及び取引先等に対する検温、手洗い、アルコール消毒、マスク着用、いわゆる3密の回避、不要不急の会議や出張の自粛、時間差勤務及び在宅勤務などの業務体制の見直しを必要に応じて実施しております。
(9)人材の確保・育成について
当社は、今後の事業継続のために優秀な人材の確保及び育成が重要な課題であると認識しており、積極的に人材を採用するとともに人材の育成に取り組んでいく方針であります。しかしながら、当社が求める人材を適切な時期に確保、育成できなかった場合、また、社外への流出等何らかの理由により既存の人材が業務に従事出来なくなった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経済情勢及び業界の概況
当事業年度における経済環境は、海外ではロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化といった地政学リスクの高まりに加え、各国の通商政策の影響などにより、先行き不透明な状況が続きました。わが国経済においては、為替変動等による不透明感は残るものの、景気は停滞局面を脱し、緩やかな持ち直しの動きが見られました。
しかしながら、物価上昇の影響が継続する中、賃金は上昇傾向にあるものの、実質賃金はマイナスで推移しており、個人消費を取り巻く環境は依然として慎重な状況にあります。
当社の販売先である電気自動車(EV)市場においては、需要拡大の鈍化が続いております。欧州における環境規制の動向や、生産ラインの整備、工場の新設・拡張といった製造設備への投資は一部で見られるものの、市場全体の本格的な回復にはなお時間を要するものと見込まれます。
また、車載用全固体電池については、将来的な商業化が期待されているものの、EV市場の成長鈍化の影響を受け、先行きは不透明な状況にあります。
このような中、中東情勢の緊迫化を背景として、一部原材料について原材料メーカーからの値上げ要請や出荷調整、受注停止といった動きが見られました。現時点では当社製品の納期に直接的な影響は生じていないものの、代替品の調査や情報収集を行うなど、工程管理の安定維持に努めております。
当社はこうした外部環境の変化を踏まえ、従来から強みとしてきたディスプレイ部品関連機器や機能性フィルム関連塗工機器の受注拡大に取り組むとともに、将来の成長が見込まれる分野においても積極的な営業活動を展開し、安定的な受注の確保に努めてまいります。
②売上及び損益の概況
売上高は、20,737百万円(前期比3.9%減)となりました。主な最終製品別売上高は、ディスプレイ部品関連機器が10,076百万円(前期比2.4%増)、機能性フィルム関連塗工機器が5,549百万円(前期比7.5%増)、電子部品関連塗工機器が279百万円(前期比28.1%減)、エネルギー関連機器が3,957百万円(前期比23.8%減)となりました。売上高に占める輸出の割合は、54.3%(前期は52.0%)となりました。売上総利益は、5,058百万円(前期比5.0%増)、売上総利益率は、24.4%(前期は22.3%)となりました。販売費及び一般管理費は、2,087百万円(前期比60.1%増)となりました。営業利益は、2,971百万円(前期比15.4%減)、経常利益は、2,968百万円(前期比16.5%減)、当期純利益は、1,791百万円(前期比25.1%減)となりました。
③受注の概況
受注高は、20,156百万円(前期比43.8%増)、その内輸出受注高は、11,371百万円(前期比56.5%増)となりました。受注高に占める輸出の割合は、56.4%(前期は51.9%)となりました。受注残高は、23,703百万円(前期比2.4%減)、その内輸出受注残高は、13,589百万円(前期比0.8%増)となりました。受注残高に占める輸出の割合は、57.3%(前期は55.5%)となりました。
④財政状態の概況
総資産は、30,507百万円(前期末比6.5%減)となりました。これは主に契約資産の減少によるものです。負債は、9,737百万円(前期末比25.0%減)となりました。これは主に電子記録債務の減少によるものです。純資産は、20,770百万円(前期末比5.8%増)となりました。自己資本比率は68.1%(前期末は60.2%)となりました。
⑤キャッシュ・フローの概況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ3,514百万円増加し、10,410百万円(前期末は6,896百万円)となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業活動の結果得られた資金は、5,074百万円(前期は使用した資金1,532百万円)となりました。これは主に税引前当期純利益3,025百万円と売上債権及び契約資産並びに仕入債務の減少によるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動の結果使用した資金は、659百万円(前期は使用した資金815百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動の結果使用した資金は、900百万円(前期は使用した資金366百万円)となりました。これは主に配当金の支払いによるものです。
⑥生産、受注及び販売の実績
当社は、全ての製品が一品一様の受注生産で事業部門別の組織とはならず、単一セグメントとなっています。よって、セグメントごとの記載に代えて、品目別に記載しています。
a.生産実績
|
品目別 |
当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ディスプレイ部品関連機器(千円) |
10,096,709 |
4.3 |
|
機能性フィルム関連塗工機器(千円) |
5,567,732 |
9.7 |
|
電子部品関連塗工機器(千円) |
270,076 |
△29.3 |
|
エネルギー関連機器(千円) |
3,968,048 |
△22.5 |
|
化工機器(千円) |
- |
△100.0 |
|
その他(千円) |
872,555 |
△8.7 |
|
合計(千円) |
20,775,122 |
△2.1 |
(注)上記金額は販売価格によっています。
b.受注実績
|
品目別 |
当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
ディスプレイ部品関連機器 |
7,097,839 |
7.6 |
9,115,656 |
△24.6 |
|
機能性フィルム関連塗工機器 |
10,250,319 |
206.1 |
9,979,143 |
89.1 |
|
電子部品関連塗工機器 |
745,153 |
362.0 |
1,296,596 |
56.0 |
|
エネルギー関連機器 |
1,153,894 |
△61.9 |
2,911,690 |
△49.1 |
|
化工機器 |
17,750 |
- |
17,750 |
- |
|
その他 |
891,906 |
0.9 |
382,799 |
4.9 |
|
合計 |
20,156,861 |
43.8 |
23,703,635 |
△2.4 |
(注)上記金額は販売価格によっています。
c.販売実績
|
品目別 |
当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ディスプレイ部品関連機器(千円) |
10,076,243 |
2.4 |
|
機能性フィルム関連塗工機器(千円) |
5,549,736 |
7.5 |
|
電子部品関連塗工機器(千円) |
279,934 |
△28.1 |
|
エネルギー関連機器(千円) |
3,957,191 |
△23.8 |
|
化工機器(千円) |
- |
△100.0 |
|
その他(千円) |
874,185 |
△10.5 |
|
合計(千円) |
20,737,290 |
△3.9 |
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりです。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
椿本興業株式会社 |
9,874,789 |
45.8 |
7,656,439 |
36.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当社は、受注から完成までの納期が長期間に及ぶため、契約時の前受金獲得、試運転時及び検収時に区分して効率的な売掛金の回収を進めています。営業活動で生み出された資金により借入金を減少させ、健全な財務体質を目標としております。
なお、財政状態等の分析の具体的数値については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④財政状態の概況」に記載しております。
b.経営成績の分析
車載用リチウムイオン二次電池向けの電極用やセパレータ用の受注についてはEV市場減速の影響で従来の計画より下振れたものの、液晶テレビやスマートフォン、タブレット端末用の光学フィルム、タッチパネル用塗工乾燥装置及び電子部品関連塗工乾燥装置の受注については一定の受注量を安定的に獲得できております。その結果、売上高については昨年と比較してやや減少するにとどまりました。
売上総利益については、工程の効率化、外注管理及び仕様の標準化などの施策により、利益の確保に努めました。
販売費及び一般管理費については、主に貸倒引当金繰入額及びコミッションが増加いたしました。
営業外損益及び特別損益については、受注先との契約条件に応じて、契約履行保証などを支払保証料として計上しております。また、短期借入金及び長期借入金の借入を実施したことにより支払利息が増加いたしました。
なお、経営成績等の分析の具体的数値については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②売上及び損益の概況」に記載しております。
c.経営成績に重要な影響を与える要因
個別の受注金額は、中国市場や新興国を最終需要先とした国内企業向けをはじめ、中国や韓国企業向けでも、国内外の設備メーカーとの価格競争は依然として大変厳しいものとなっております。
今後も光学フィルム関連と合わせて、ペロブスカイト太陽電池及び全個体電池などの新エネルギー関連業界に対し、受注に取り組みたいと考えております。
また、当社の経営成績等に影響を及ぼすリスクにつきましては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ3,514百万円増加し、10,410百万円(前期末は6,896百万円)となりました。
なお、各キャッシュ・フローの状況と分析の具体的数値については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ⑤キャッシュ・フローの概況」に記載しております。
b.資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社は、営業活動においてキャッシュ・フローを獲得し、中期的に安定して資金を獲得することが重要と考えております。また、財務活動においても取引銀行と当座貸越契約の枠を十分に設定して不測の事態に備えております。
また、2019年に新株予約権の発行及び行使による資金調達を行い、生産能力増強のため滋賀事業所の耐震工事及び増築工事に取組んでまいりましたが、2021年6月末に完成いたしました。また新実験棟の工事も完了し、新実験機が2025年3月に稼働を開始いたしました。顧客からの先端技術の実験要望に応え得る体制づくりと生産効率の向上を図り、更なる受注及び販売の増加を目指してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成において、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標
第3次中期経営計画(2023 年度~2025 年度)の各数値目標は、以下のとおりです。
(単位:千円)
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2023年度 (計画) |
2023年度 (実績) |
2024年度 (計画) |
2024年度 (実績) |
2025年度 (計画) |
2025年度 (実績) |
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売上高 |
20,000,000 |
19,242,406 |
21,000,000 |
21,578,662 |
22,000,000 |
20,737,290 |
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営業利益 |
2,200,000 |
2,588,248 |
2,500,000 |
3,512,488 |
2,600,000 |
2,971,160 |
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ROE(自己資本利益率) |
8%以上 |
9.4% |
8.5%以上 |
12.2% |
9%以上 |
8.9% |
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DOE(純資産配当率) |
5%以上 |
5.1% |
5%以上 |
5.2% |
5%以上 |
5.1% (予定) |
当事業年度におけるROEは8.9%(前期比3.3ポイント悪化)となり、DOEは5.1%(前期比0.1ポイント悪化)となる予定です。引き続き当該指標の改善に努めていきたいと考えております。
第4次中期経営計画(2026 年度~2028 年度)の各数値目標は、以下のとおりです。
(単位:千円)
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2026年度 (計画) |
2027年度 (計画) |
2028年度 (計画) |
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売上高 |
19,000,000 |
20,000,000 |
20,000,000 |
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営業利益 |
2,000,000 |
2,200,000 |
2,400,000 |
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ROE(自己資本利益率) |
6~9% |
6~9% |
6~9% |
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DOE(純資産配当率) |
5.0%以上 |
5.0%以上 |
5.0%以上 |
該当事項はありません。
2025年3月に新実験棟及び新実験機が完成し、稼働を開始しております。3台のテスト機を活用することで顧客テストへの対応力が向上し、テスト日程の確保や顧客要望への迅速な対応が可能となりました。これらにより、新製品及び新技術開発に向けた検証体制が強化され、研究開発活動の円滑な推進が可能となっております。
当社では、ディスプレイ部品や機能性フィルム、電子部品用途に対応した各種塗工装置の開発に加え、生産効率向上を目的とした高速塗工装置や自動制御技術の開発に取り組んでおります。これらの研究開発活動により得られた知見は、顧客との共同検証や装置改良に活かされており、顧客ニーズへの対応力を高め、中長期的な受注機会の創出につなげてまいります。
なお、当期の研究開発活動に要した費用は、総額