第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

①経営方針

 当社グループは、1919年創設以来「金銭の赤字は出しても信用の赤字は出すな」の社是のもと、人と自然との関わりを大切に、ポンプを含む環境共生事業を通して広く社会に貢献し、責任ある企業として高品質の製品づくりに取り組んでいます。

 

②経営戦略等

 当社は、2050年の前年となる2049年に創業130周年を迎えます。このときに当社が目指す長期ビジョンとしてのありたい姿は「社会に欠かせない企業」です。長期ビジョンを見据えた、創業110周年を迎える2029年までの中期経営計画を「Beyond 110」としました。

 その期間において、短期ベースの社会貢献事業として「既存技術のダントツ化」を進めます。その具体策として①スーパーエコポンプによる省エネ推進②気候変動対策向けポンプによる減災技術の推進③TR-COMによるデータに基づくスマートメンテナンスの提供④アンモニアを取扱うポンプの高機能化を図ります。また、同期間の中期・長期ベースの社会貢献事業として、「新技術開発の推進」を進めます。その具体策として、⑤水素・CO2を取扱うポンプの研究開発を進め、市場への実機投入を目指します。⑥風力発電事業への人・モノ・カネの投入を進め、洋上風力発電を含めたサービス事業の充実を目指します。
 これらの事業推進の土台となる基盤は「社員活力の最大化」「ESG経営」と考えております。そして、それらを進める拠点となるのが、2021年4月に本格運用が始まりました、新本社工場ビルと位置付けています。

 

③経営環境

 世界人口は80億人に迫り、水・食料・エネルギーの確保及び効率的な利用は、引き続き地球規模で大きな課題となっており、インフラへの底堅い需要が見込まれておりますが、新型コロナウイルス感染症は引き続きグローバル経済に大きな影響を与え、中国のゼロコロナ政策やウクライナ情勢の緊迫化による地政学的リスク拡大が世界的な投資計画を抑制するおそれなどがあり、予断を許さない状況となっております。

 

 現時点におきましては、従業員の感染リスク削減策を実施しながら、生産、施工、サービスの現業部門は変わらず操業し、事務部門の在宅勤務推奨と併せて、従前とほぼ変わりない企業活動を継続しております。ただし、今後の影響につきましてはウクライナ情勢の動向、コロナの収束状況、日米の金利格差等に起因する急激な円安の進行や物価の上昇が市場に与える影響を踏まえて慎重に判断していきたいと考えております。

 

④優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、次の3つを優先的に対処すべき課題と認識しております。まず第1に、当社グループは、「省エネ」、「安心・安全」及び「データ」に基づくソリューションの提供を行い、社会に欠かせない企業でありたいと考えております。ハイテク化、グローバル化、サービス化を柱に事業を展開し、人々の生活に不可欠なインフラを守り、脱炭素社会の実現に向けて、社会問題の解決を図っていく必要があると考えております。そのために、減災技術を施した豪雨対策向けの製品開発の継続と海外市場への展開、省エネ技術によるCO₂排出量を削減する製品開発の継続、液化アンモニア・水素などの二次エネルギー向け製品開発の着手、洋上風力を含めた風力発電サービス事業の充実を図っていきます。また、少子高齢化社会に対応するためにも、回転機械のモニタリングシステム「TR-COM」によるタイムベーストメンテナンスからコンディションベーストメンテナンスへの変更の提案を行い、データに基づくスマートメンテナンス事業を推進してまいります。

 第2に、外部環境の変動に左右されない強い企業体質の構築が必要であると考えております。そのために、グローバルサプライチェーンの体制強化、エンドユーザーに近い調達・生産拠点開拓の推進、安全・環境・生産性向上のための設備更新、先端技術によるモノづくりの革新、プロセスイノベーションの継続的改善を行ってまいります。

 

 第3に、社員活力の最大化です。人材教育の継続・強化を通じて従業員の成長を図っていきます。また、社内託児所の拡充により、働きやすい環境整備に努めるとともに、2021年4月に本格稼働した新本社工場ビルにおけるミーティングや交流を促すフレキシブルな空間(ボーダレス・プレイス)により、営業・サービス・研究開発・設計部門間での円滑なコミュニケーションの促進を図り、働き場所を選ばないリキッドワークにより、従業員一人一人が働きやすい職場づくりに取り組んでおります。

 財務上の課題としては、強靭な財務体質の堅持のため、資金の流動性確保や、特に海外大規模プロジェクトなどの回収期間が長期にわたる債権管理の徹底、急激な円安に対応するための為替予約・為替マリーなどによる為替リスク最小化の継続、投資分野の選別及び優先順位の検討を行ってまいります。また、収益力向上のため、品質ロスコストの低減、デジタル化など業務見直しによってムダの削減などに取り組んでまいります。

 当社グループは、100年を超える歴史で築いてきたレジリエンスと、世界中での実績と信頼を基盤に、いかなる状況下にあっても自らの責任と役割を果たし、ピンチをチャンスに変えて進化を続けます。

 

⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益としております。

 

  現時点での2023年3月期の業績見通しは、以下のとおりであります。

  〔連結業績〕

   売上高               62,000百万円

   営業利益               5,000百万円

   経常利益               5,000百万円

   親会社株主に帰属する当期純利益    3,700百万円

      (為替レートは1ドル=125円を前提としております。)

 

※業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、当社グループは、全セグメントの売上高の合計、営業利益の合計額に占めるポンプ事業の割合がいずれも90%を超えているため、記載を省略しております。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 受注・売上の需要先別の動向と収益環境

 当社グループの事業の核となるポンプ事業は、企業間の熾烈な受注競争が厳しさを増す状況下、当社グループの今後の収益環境は予断を許さぬ情勢が続くと考えられることから、景気動向の悪化が当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 当社グループはこれらに対応するため独自性の高い製品・技術の研究・開発に注力し、水・新エネルギーなどの資源や環境問題など、時代が求める新たなニーズに適切に応える分野を強化しております。

 

(2) グローバリゼーションに伴う為替リスク、カントリーリスク及びプロジェクト・マネジメントリスク

 中近東をはじめとする大型プロジェクト案件については、見積・提案から成約を経て製造・据付・引渡しに至るまで長期に亘ることから、その間の為替変動に伴うリスクを負うほか、当該地域における政治的、経済的な社会情勢の急変や税制の変更が当社グループの事業運営に障害または遅延をきたす可能性があります。また、日本国内との慣習の違い等により人員管理や案件管理が期待する水準と異なる可能性があること等から計画どおりにプロジェクトが進捗しない場合や、債権回収期間が長期化する可能性があり、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、カントリーリスク、プロジェクト・マネジメントリスクを軽減するため、為替予約、外貨建ての資材調達の推進や現地での資材調達等をとおしてリスクヘッジを行っております。

 また、世界市場の中で高い先端性のある技術を持っている企業は競争に打ち勝ち、市場獲得のチャンスが拡大します。当社グループは、こうした競争環境の現実に対して、ハイテクとサービス、グローバルに展開するマーケティング・研究/開発・生産体制・アウトソーシング等、新たな成長機会を指向する組織体制の構築を推し進めております。

 

(3) 有価証券の保有に係るリスク

 当社グループは、有価証券の売却を進めております。

 保有有価証券は、今後の株式市場及び経済環境や企業収益の動向によっては株価下落等に伴うリスクが発生することも考えられ、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、かかる有価証券保有に伴うリスクを回避するために、今後とも保有有価証券の見直しを行っていく方針であります。

 

(4) 設備工事及び機器製造における事故及び災害に係るリスク

 当社グループの生産地域は大阪府高槻市の本社工場に集中しており、予期しない事故及び災害が発生したときは、生産能力が低下し、受注案件の適時出荷に障害が発生したり、事業体制の立直しのために多額のコストを要する場合があり、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 かかる事故及び災害に備えて、当社グループでは、全社的に安全のための行動を周知徹底し、対策を実施しております。過去において大きな被害をもたらす事故及び災害は発生してはおりませんが、これらの施策が事故や災害による損害を完全に阻止できる保証はありません。

 

(5) 製品保証及び工事損失に係るリスク

 当社グループでは、顧客の要望に十分に応えるため、品質、機能、安全性、納期等に万全を期しておりますが、当社グループの製品に重大な不具合が存在するときは、予期せぬ追加工事が発生したり、リコールが発生する等により、多額の製品保証費用等が発生する可能性があり、会計上は製品保証引当金等を計上しているものの、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

(6) 法的規制等に係るリスク

当社グループは、製造物責任法、独占禁止法、建設業法等、様々な法的規制を受けております。また、当社グループは海外でも事業を展開しており、各国の法的規制を受けております。

当社グループでは法令遵守の徹底を図っておりますが、法律・規制等が強化された場合や予期し得ない法律・規制等の導入・改正等があった場合は、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(7) 訴訟等に係るリスク

当社グループでは事業に関連して国内外の訴訟等の対象となるリスクが存在することを認識しており、将来、重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。

 

(8) 新型コロナウィルス感染症に係るリスク

新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の制限は、ワクチン接種の普及により、鎮静化の兆しも見えますが、変異ウイルスの感染拡大による経済活動制限のリスクは残存しており、当社グループにおいて、今後の受注機会が減少したり、受注したプロジェクトの進捗に大きな影響を与える可能性があります。また、緊急事態に伴う出張抑制・渡航制限等による、営業活動の制限・現地でのサービス活動の制限・立会検査等の遅れなどが長期化した場合、当社グループの事業活動及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これに伴い、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して前提条件に差異が発生しております。そのため、当連結会計年度における経営成績等の状況の概要は、前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、欧米諸国を中心に、新型コロナウイルスに対するワクチンの普及や感染対策の浸透等によりWithコロナを前提に経済活動が再開され、明るい兆しが見られました。しかしながら、グローバル物流の停滞や資源価格の上昇、中国でのゼロコロナ政策による厳しい外出制限措置が取られる等、依然として新型コロナウイルスの影響下にありました。また、ウクライナ情勢の深刻化により、資源価格の上昇に拍車がかかる状況にあります。一般消費経済においては、食料品等の値上がりにより世界にインフレ圧力がかかっており、その抑制に向けた各国の金利引き上げもあり、景況感が悪化し予断を許さない状況です。

 

 わが国では、新型コロナウイルス感染者数が減少と再拡大を繰り返す状況ながら、まん延防止等重点措置が今春に全面解除されるなど経済の正常化に向けた対応がとられました。しかしながら、対ロシア経済制裁により加速された原材料等の価格上昇や円安傾向が企業収益や個人消費に影響を及ぼすことが考えられ、景気の状況は極めて不透明です。

 

 当ポンプ業界においては、世界的な人口増加に対応するための水資源を中心としたインフラ整備や、老朽化した設備の更新、異常気象に対応した集中豪雨対策など、ポンプに対する底堅い需要は今後も継続すると見込まれます。カーボンニュートラル社会の実現に向けて官民一体となり始動し、各企業がそのニーズに対応する中で、省エネに焦点を当てた製品の開発や導入意欲には引き続き勢いがあります。また環境負荷の低い液化アンモニアや液化水素等の二次エネルギーを使用した発電等を含むシステムの開発も進んでおり、この新たな分野にもポンプの需要が発生すると考えられます。

 

 このような状況下、当社グループは、エッセンシャルなインフラ企業として社会的要請に応えております。カーボンニュートラル社会に役立つ水素・アンモニアを扱うポンプ技術の研究開発・産学連携の共同開発を推進しております。また工場の生産性向上のための新型加工設備の導入に代表される「ものづくり革新」に向けた研究及び設備投資を行いました。さらに、サービス市場の拡充及び水素・アンモニアを含む新分野への参入の足掛かりとするために、オーストラリアのサービス会社を買収し、積極的な投資活動を実施しました。

 

 当連結会計年度の当社グループの受注高は67,887百万円(前連結会計年度49,055百万円、前連結会計年度比138.4%)となりました。

 

 これを需要先別に見ますと、官公需は18,715百万円(前連結会計年度20,504百万円、前連結会計年度比91.3%

)、民需は11,334百万円(前連結会計年度9,623百万円、前連結会計年度比117.8%)、外需は37,837百万円(前連結会計年度18,928百万円、前連結会計年度比199.9%)となりました。

 

 当連結会計年度の売上高は52,240百万円(前連結会計年度50,787百万円)を計上し、当連結会計年度末の受注残高としては63,916百万円(前連結会計年度48,908百万円)を来期以降に繰り越すことになりました。

 

 当連結会計年度の営業利益は、海外向け売上が増加したことにより、4,445百万円(前連結会計年度は営業利益3,591百万円)となりました。

 

 経常利益は、営業外収益として為替差益193百万円などが発生したことなどにより5,163百万円(前連結会計年度は経常利益4,612百万円)となりました。

 

 

 親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益として投資有価証券売却益60百万円、特別損失として固定資産処分損168百万円などが発生したことにより、3,626百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益3,353百万円)となりました。

 

 当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末に比べ829百万円増加し80,015百万円となりました。これは主に、受注高増加に伴う仕掛品及び未着品の増加(前連結会計年度比571百万円増加)に加え、機械装置及び運搬具の増加(前連結会計年度比989百万円増加)及び保有有価証券の株価上昇等に伴い投資有価証券が増加(前連結会計年度比1,320百万円増加)したことなどによるものです。

 

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べ2,832百万円減少し38,742百万円となりました。これは主に、前連結会計年度末に新工場本社ビルの完成に伴い計上していた未払金を含む流動負債のその他が減少(前連結会計年度比914百万円減少)したことなどによるものです。

 

 純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3,662百万円増加し41,272百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,249百万円減少し、13,496百万円となりました。なお、連結貸借対照表における「現金及び預金」には3ヶ月超の定期預金を前連結会計年度末には53百万円、当連結会計年度には31百万円を含んでいます。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は3,130百万円(前連結会計年度は4,366百万円の増加)となりました。これは、仕入債務の減少1,013百万円(前連結会計年度は405百万円の減少)などの資金の減少があったものの、売上債権の減少1,115百万円(前連結会計年度は659百万円の増加)及び税金等調整前当期純利益が5,068百万円(前連結会計年度は4,551百万円)などの資金の増加があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は4,849百万円(前連結会計年度は1,645百万円の減少)となりました。これは、投資有価証券の取得による支出1,151百万円(前連結会計年度は88百万円の支出)及び有形固定資産の取得による支出3,322百万円(前連結会計年度は2,342百万円の支出)などの資金の減少があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は2,125百万円(前連結会計年度は2,070百万円の減少)となりました。これは、長期借入れによる収入1,500百万円(前連結会計年度は1,650百万円の収入)などの資金の増加があったものの、長期借入金の返済による支出2,560百万円(前連結会計年度は2,037百万円の支出)及び配当金の支払額746百万円(前連結会計年度は487百万円の支出)などの資金の減少があったことによるものです。

 

 

 

③生産、受注及び販売の実績

イ 生産実績

 当連結会計年度における生産実績を事業の内容ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の内容

金額(百万円)

前年同期比(%)

ポンプ事業

50,787

101.3

その他

1,091

118.1

合計

51,878

101.6

 

ロ 受注状況

 当連結会計年度における受注高及び受注残高を事業の内容ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の内容

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

ポンプ事業

66,800

138.3

63,739

130.4

その他

1,087

146.6

177

542.6

合計

67,887

138.4

63,916

130.7

 

 当連結会計年度における需要先別の受注高及び受注残高の構成比

需要先別

受注高

(%)

前年同期構成比

(%)

受注残高

(%)

前年同期構成比

(%)

国内

官公需

27.6

41.8

23.9

32.3

民需

16.7

19.6

12.8

13.8

外需

55.7

38.6

63.3

53.9

合計

100.0

100.0

100.0

100.0

 

ハ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績を事業の内容ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の内容

金額(百万円)

前年同期比(%)

ポンプ事業

51,298

102.7

その他

942

115.1

合計

52,240

102.9

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、前連結会計年度及び当連結会計年度に、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。

 

 当連結会計年度における需要先別販売実績の構成比

需要先別

販売実績(%)

前年同期構成比(%)

国内

官公需

35.6

38.8

民需

18.9

18.3

外需

45.5

42.9

合計

100.0

100.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討等

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度は、エッセンシャルなインフラ企業として社会的要請に応えながら、カーボンニュートラル社会に役立つ水素・アンモニアを扱うポンプ技術の研究開発・産学連携の共同開発を推進しました。また工場の生産性向上のための新型加工設備の導入に代表される「ものづくり革新」に向けた研究及び設備投資を行いました。さらに、サービス市場の拡充及び水素・アンモニアを含む新分野への参入の足掛かりとするために、オーストラリアのサービス会社を買収し、積極的な投資活動を実施しました。

 

 当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末から829百万円増加し80,015百万円となりました。

 これは主に、新本社工場ビル用資金としてプールしていた現金及び預金が完成に伴う支払等により減少(前連結会計年度末比3,271百万円減少)したものの、積極的な設備投資により機械装置及び運搬具が増加(前連結会計年度末比989百万円増加)したこと、投資有価証券が増加(前連結会計年度末比1,320百万円増加)したこと及び受注高の増加に伴い仕掛品が増加(前連結会計年度末比571百万円増加)したことなどによります。

 

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末から2,832百万円減少し38,742百万円となりました。

 これは主に、期末にかけての急激な円安進行に伴う繰延ヘッジの増加もありましたが、新本社工場ビルの完成に伴い、流動負債その他の中に含まれていた未払金が減少(前連結会計年度末比914百万円減少)したこと及び短期借入金・長期借入金の合計が減少(前連結会計年度末比1,064百万円減少)したことなどによります。

 

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末から3,662百万円増加し41,272百万円となりました。

 これは主に、配当金支払額が前連結会計年度よりも増加(前連結会計年度末比263百万円増加)したものの、親会社株主に帰属する当期純利益が増加(前連結会計年度末比273百万円増加)したこと及び為替換算調整勘定が増加(前連結会計年度末比890百万円増加)したことなどによります。

 

 当連結会計年度の売上高は52,240百万円(前連結会計年度50,787百万円)を計上することになりました。これは前連結会計年度比1,452百万円の増収となります。

 売上高増加の要因としましては、前連結会計年度は異常気象による集中豪雨対策・復旧等、インフラ整備に関して大きく受注が増加していた官需が、その反動により当連結会計年度は減少した反面、前連結会計年度は、新型コロナ対策によるロックダウン等による受注活動に制限のあった外需が、当連結会計年度は好調に推移し、前連結会計年度に続き増加となりました。

 

 当連結会計年度の営業利益は4,445百万円(前連結会計年度3,591百万円)を計上することになりました。これは前連結会計年度比854百万円の増益となります。

 営業利益増加の要因としましては、原材料及び輸送コストの高騰やコロナ禍での自粛から徐々に経済活動が回復したことによる固定費の増加等があったものの、前連結会計年度と比較して売上高が大きく増加したことや、プロジェクト案件に関する工事損失引当金及び貸倒引当金の取崩が発生した反面、新規で計上すべき引当金が比較的少なかったことなどによります。

 

 当連結会計年度の経常利益は5,163百万円(前連結会計年度4,612百万円)を計上することになりました。これは前連結会計年度比551百万円の増益となります。

 

 経常利益増加の要因としましては、営業利益の増加要因に加え、受取配当金や持分法による投資利益が発生したこと等によりますが、前連結会計年度と比較すると保険金や助成金等の収入が当連結会計年度と比較して大きく減少したこともあり、営業利益からの増加幅717百万円は前連結会計年度1,020百万円と比較すると減少しました。

 

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は3,626百万円(前連結会計年度3,353百万円)を計上することになりました。これは前連結会計年度比273百万円の増益となります。

 親会社株主に帰属する当期純利益増加の要因としましては、旧本社ビル解体に伴う固定資産処分損168百万円等が発生したものの、経常利益までの増加と、資産圧縮方針により投資有価証券を売却したことなどによる投資有価証券売却益60百万円等を計上したことによります。

 

 当社グループに重要な影響を与える要因として、需要先の動向と収益環境の変化、グローバリゼーションに伴う為替動向、世界動向、保有有価証券の株価動向、事故及び災害、製品に対する重要な不具合、法的規制、訴訟及び感染症拡大などによる事業への影響が考えられます。

 

 需要先の動向と収益環境の変化に対応するためには、研究・開発に注力し、水・新エネルギーなどの資源や環境問題など時代が求める新たなニーズに適切に応える分野を強化するとともに、採算面の改善を図っております。

 

 グローバリゼーションに伴う為替・世界動向に対応するためには、為替予約、外貨建ての資材調達の推進や現地での資材調達を行っております。

 

 保有有価証券に対する株価動向に対応するためには、資産圧縮方針のもと保有有価証券の見直し、売却を行っております。

 

 事故及び災害に対応するためには、グループ全体に安全のための行動と対策を周知徹底しております。

 

 製品に対する重大な不具合に対応するためには、会計上適切な引当金を計上することに加え、品質マネジメント部門を強化し、品質、機能、安全性、納期等に万全を期しております。

 

 法的規制に対応するためには、本社内に法務部門を設置し様々な法的規制の検証を行うとともに、法令遵守の徹底を含めた教育を行っております。

 

 訴訟等に対応するためには、契約留意事項の確認や、片務的契約の排除等、契約内容の事前検証を行っております。

 

 今回の新型コロナウイルス感染症に対応するためには、本社・工場内におけるマスク着用、来訪者に対する検温の実施、手洗い・うがいの徹底などの対策をとるとともに、可能な限りの時差出勤・時短勤務の実施及び事務職員の在宅勤務実施などを行いました。今後、新型コロナウイルス感染症に関わらず、必要とされる事象が発生した場合は、これらの対応を即時に実施します。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

キャッシュ・フローの状況と分析

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 

 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要は、営業活動につきましては、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び労務費等)、受注獲得のための販売手数料及び研究開発費が主な内容であります。投資活動につきましては、生産活動のための固定資産の更新や生産・サービス能力の増強及び生産性向上のための設備投資が主な内容でありますが、財源としては、自己資本及び銀行からの借入金を主体とした負債となっております。

 

 手元流動性としては、当連結会計年度末は、現金及び流動性預金として13,496百万円を確保しており、手元流動性比率としては3.10となっておりますが、当社グループは年度末に売上及び検収による支払が集中することが多く、年度末に資金不足とならないようにしております。また、設備投資を積極的に進める方針であり、手元流動性には若干の余裕を持たせることとしております。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。

(ア)棚卸資産の評価

当社グループは、棚卸資産について、期末における収益性の低下の有無を判断し、収益性が低下していると判断されたものについては、帳簿価額を正味売却価額または処分見込価額まで切り下げております。

収益性の低下の有無に係る判定は、原則として個別品目ごとに、その特性や市況等を総合的に考慮して実施しております。

 また、受注工事に係る棚卸資産については、工事損失引当金により収益性の低下を反映させております。

(イ)有価証券の評価

当社グループは、その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外の有価証券について時価評価を行い、評価差額については税効果会計適用後の純額を、その他有価証券評価差額金として純資産の部に含めて表示しております。

減損処理にあたっては、時価が取得価額の50%以上下落した場合のほか、時価回復の可能性をもとに判断しております。

(ウ)債権の回収可能性

当社グループは、金銭債権の回収可能性を評価して貸倒見積高を算定し、貸倒引当金を計上しております。

貸倒見積高算定の対象となる債権は、日常の債権管理活動の中で、債権の計上月や弁済期限からの経過期間に債務者の信用度合等を加味して区分把握しております。

貸倒見積高の算定に際しては、一般債権については貸倒実績率を適用し、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については個別に相手先の財務状況等を考慮して、回収可能性を吟味しております。

(エ)退職給付費用及び債務

当社グループの退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しており、その主要な前提条件は退職給付債務の割引率及び年金資産の期待運用収益率であります。

割引率は、従業員の退職給付の見込み支払日までの平均期間に対応する期間の日本の国債利回りを基礎に設定しております。

また、年金資産の長期期待運用収益率は、保有している年金資産のポートフォリオ及び過去の運用実績、収益の将来見通しを総合的に判断して設定しております。

(オ)繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかの回収可能性を検討し、回収が不確実であると考えられる部分に対して評価性引当額を計上して繰延税金資産を減額しております。

回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得の見積額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。

 

 

(カ)重要な収益及び費用の計上基準

 当社グループでは以下の5ステップアプローチに基づき、顧客への財やサービスの移転との交換により、その権利を得ると見込む対価を反映した金額で収益を認識しております。

  ステップ1:顧客との契約を識別する。

  ステップ2:契約における履行義務を識別する。

  ステップ3:取引価格を算定する。

  ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務へ配分する。

  ステップ5:履行義務を充足した時点で(又は充足するにつれて)収益を認識する。

 

 製品販売については、製品に対する物理的占有、所有に伴う重大なリスク及び経済価値の顧客への移転状況といった支配の移転に関する指標を勘案した結果、製品に対する支配を顧客に移転して履行義務を充足するのは製品の引渡時点であると当社は判断し、当該時点で売上高を認識しております。

 また、当社は工事請負契約を顧客と締結しております。当該契約については、当社の履行により他に転用できる資産を創出せず、かつ、現在までに完了した履行に対する支払を受ける強制可能な権利を当社が有していることから、資産の支配を一定の期間にわたって顧客に移転していると考えております。

 このため、報告期間の末日において測定した履行義務の充足に係る進捗度に基づき、工事期間にわたって売上高を認識しております。なお、当社は、総工事原価の妥当な積算を行うこと、及びこれらの契約に係る進捗度を合理的に見積ることが可能であることから、進捗度の測定についてはインプット法の使用が適切であると考えており、契約ごとの工事原価総額に対する発生工事原価の割合を用いております。

(キ)製品保証引当金

 当社グループは、将来発生すると予想される無償保証工事費用に備えるため、製品保証引当金を過去の実績に基づいて算定し、計上しています。

 

(新型コロナウィルス感染症拡大の影響に関する会計上の見積り)

 当社グループでは、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りについて、財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。新型コロナウィルス感染症による当社グループ事業への影響としましては、インフラを担う企業として、従業員の感染リスク削減策を実施しながら、生産・施工・サービスの現業部門は変わらず操業をしており、受注残高のある中、短期的には大きな影響はないと判断しております。しかしながら、今後の景気動向により、世界的に投資計画が抑制された場合、受注環境が変化する可能性もあり、適宜、見積りの見直しを実施することとしております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(技術供与)

契約会社名

契約先

契約の内容

対価の受取

契約期間

国名

名称

㈱酉島製作所

インドネシア

PT.TORISHIMA GUNA INDONESIA

1 ポンプのライセンス生産並びに生産ノウハウの供与

2 部品の製造及び製品の組立に関する技術的援助

一定率の

ロイヤリティ

1998年1月から

2023年1月まで

(契約期限到来後は

1年ごとに自動更新)

㈱酉島製作所

中国

酉島ポンプ(天津)

有限公司

1 ポンプのライセンス生産並びに生産ノウハウの供与

2 部品の製造及び製品の組立に関する技術的援助

一定率の

ロイヤリティ

2010年12月締結

2021年8月更新

2031年7月まで

(契約期限到来後は

1年ごとに自動更新)

3 商標使用の許諾

2010年12月締結

2021年8月更新

合弁契約の終了まで

 

5【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発活動は、研究開発部ほか技術部門が中心となり、ポンプ事業、新エネルギー・環境事業に係る市場ニーズに応えるため、当連結会計年度の研究開発関連費用としては総額357百万円を投入しております。

 

省エネルギーをさらに加速させる効率改善型エコポンプの新規開発を開始致しました。省エネルギー効果が特に見込まれる仕様範囲の開発を完了し、市場投入致しました。今後も開発を継続し、幅広い仕様範囲に対して、世界最高水準の高効率ポンプを市場に導入してまいります。

 

カーボンニュートラル社会実現に貢献すべく、エネルギーキャリアとして注目される液体アンモニアおよび液体水素を大量に輸送・昇圧するポンプの開発をスタートさせました。

液体アンモニア用ポンプに関しては、日本初のアンモニア20%混焼発電実証事業への参画を足掛かりとし、今後もよりニーズにマッチした製品開発を継続してまいります。

液体水素を取り扱うポンプについては、製品化実現においてキーとなる技術に関し、学術機関および先端技術企業との協業を開始致しました。今後、具体的な開発を進め、検証試験を経て製品化に進んでまいります。

 

気候変動対策向けポンプによる減災技術の推進という点では、官公需向けに浸水してもポンプ運転が可能な「耐水モータ一体型ポンプ」について、従来型に対して維持管理の簡素化を図った改良型を市場投入しました。現在は、防災・減災に寄与する当社技術のひとつである「二重ラッパカン及び渦対策リング」とともに、海外市場への展開を見越して、改良型耐水モータ一体型構造の適用範囲拡大を進めております。

 

海水淡水化分野については、RO法海水淡水化プラント向け高圧ポンプのラインアップ強化の一環として、大容量型両吸込ポンプの新規開発を行い、世界最高水準のポンプ効率を達成すると同時に、構造的にも非常に信頼性の高い製品をリリースしました。今後も同市場における高圧ポンプニーズは続くものと予想されるため、継続的に製品の改善および機能向上を図ってまいります。

 

エネルギー分野では、国内向けにおいて、高負荷変動対応型ボイラ給水ポンプをバイオマス発電所およびGTCC(ガスタービン・コンバインドサイクル)発電向けに複数台受注致しました。CO2排出量低減という観点からも、今後、これらの分野におけるボイラ給水ポンプの受注増が期待されます。

 

省エネルギー需要の高まりから、ポンプの高性能・高速化をより早く実現することが社会ニーズとなっています。そこに対応していくため、人工知能(AI)技術を取り入れた新たな水力開発システム構築を進めております。本システムと3Dプリンティング技術を組み合わせ、設計開発から製品化までのシームレス化実現を目指します。

ポンプの高速化時に課題となるキャビテーション壊食速度予測技術については、検証用試験ループを活用して物理データを収集し、高精度化を図ることで新製品の品質向上に継続的に努めております。また、ロータダイナミクス、構造および材料関連の各ポンプ要素に関連する技術については、大学やコンサルタント等の外部機関を積極的に活用することで、基礎的研究を共同で実施中であります。

 

今後も多様な社会ニーズに応えるべく、新技術および新製品の開発に努めてまいります。