第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当企業グループの経営理念は、『オイルレスベアリングの総合メーカーとして世界のリーダーとなり、技術で社会に貢献する』としており、創業者から脈々と続く「技術で社会に貢献する」という思いは当企業グループの普遍的な価値観であり、常にその体現を目指してまいりました。

当企業グループの事業ポートフォリオは、軸受機器・構造機器・建築機器の3事業で構成されています。オイルレスという特性を持つ軸受機器は環境負荷低減に貢献する製品であり、例えば、自動車業界におけるEV化の進展についても、軽量化や低摩擦によってEVの長距離走行に貢献します。また、大規模地震から建物・設備を守る構造機器(免震・制震装置)は、地震大国日本において「安心・安全」を提供するとともに、わが国インフラ整備の課題となっている橋梁の老朽化への対策としても重要な役割を果たします。加えて、ウィンドウオペレーターなどの建築機器は、火災による排煙リスクから人命を守るだけでなく、建物の換気をサポートするという点で社会に「安心・安全」や「快適さ」を提供します。

当企業グループの3つの事業は、省エネルギーを実現して環境負荷低減に貢献していることや、社会に「安心・安全」や「快適さ」を提供しているという観点から、いわば事業そのものが高い社会貢献性を持ち、「技術で社会に貢献する」という経営理念を具現していると考えております。このように当企業グループの価値創造の根源は、「すべての事業が社会課題の解決に貢献していること」にあり、持続可能な社会が実現することは、当企業グループの持続的な企業価値向上につながっています。

そして、その価値創造を支えるものが、「摩擦」「摩耗」「潤滑」にかかわるトライボロジー技術と、ダンピング(振動制御)技術の2つのコア技術のたゆまぬ探求です。市場創造企業として当企業グループにとって大切なことは、「ダントツ」の性能を持つ独自の材料開発をおこなうこと、お客さまの課題を革新的に解決し、お客さまの製品が世界一・世界初を実現するための製品を提供することにあります。そのために必要不可欠な製品を開発し続け、社会の持続的な発展に貢献するという飽くなき挑戦を続けていきます。

(2)経営戦略等

当企業グループは経営理念実現に向け次の長期ビジョンを掲げ、理想とする企業への成長を目指します。

《長期ビジョン》

・世界が求める製品と技術を通して、地球環境の保全に寄与し、「安心」「安全」「快適」を届ける企業

・トライボロジー技術(摩擦・摩耗・潤滑)とダンピング技術(振動制御)を究め、「世界に一つ」の製品を創り出す市場創造企業

・高い社会貢献性を有する事業により、社会的責任(CSR)を果たし、持続可能な社会の実現に役立つ企業

また、2021年度を起点とする中期経営計画(2021年度~2023年度)について、中期経営方針を以下のように定めスタートさせました。計画で定めた成長目標の実現に向け、グループ全体で取り組んでまいります。

《中期経営方針》

・グローバル経営を推進し、各事業が成長目標を実現する

・選択と集中により、経営資源を有効活用し、技術力の強化と生産性を向上させる

・社員の多様性を尊重し、会社とともに成長できる環境、風土をつくる

 

セグメントごとの中期経営戦略等は以下のとおりであります。

(軸受機器)

軸受機器事業は、環境変化に対応すべく「選択と集中」により強固な収益構造を構築すると共に、将来を見据えた主力製品拡販と新製品開発を推進します。一般産業機械向け製品では、半導体・精密機械・再生可能エネルギー等の「成長市場」への取り組みを一層強化し、また、アジア地域を中心とした顧客基盤の拡大を推進します。自動車向け製品では、CASE時代に必要とされる新たな主力製品開発に向けた取り組みを強化するとともに、ダンピングデバイス、サスペンション、ステアリング用途の製品を柱としてグローバルシェア拡大を推進します。

 

(構造機器)

構造機器事業は人命や建物・設備、社会インフラなどを地震から守る、まさに当社の経営理念である「技術で社会に貢献する」事業であり、品質と製品開発を競争力の源泉に高収益水準を維持します。橋梁向け製品においては、老朽化が進むインフラの耐震リニューアル・補修需要獲得へ注力し、また、大型プロジェクトの確実な取り込みと並行して、中小型橋梁の免震化を積極提案してまいります。建築向け製品においては、再開発案件や、ロジスティクスセンター向け製品の拡販を積極展開し市場シェア拡大をはかります。

(建築機器)

主力であるウィンドウオペレーターは、従来の排煙だけにとらわれず、注目の高まる換気ニーズも踏まえ、「快適・健康」「省エネ」を提供する事業であります。販売網や施工体制の強化と改善によりトップシェアを堅持するとともに、リニューアル物件の獲得に注力します。住宅向け製品については、顧客ニーズを的確に捉えた新製品開発対応と販売までのスピードを加速させるとともに、代理店網の強化や新規のOEM獲得により、売上と利益の拡大を目指します。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当企業グループは目標とすべき経営指標として(1)売上高営業利益率、(2)自己資本当期純利益率(ROE)を重視しております。(1)は本来事業により獲得する利益、(2)は資本の効率性の観点から獲得すべき利益の目標として、事業活動を推進する上での指標としております。

なお、この両指標を高めることで、企業価値向上が図れるものと考え、売上高営業利益率は15%以上、自己資本当期純利益率は10%以上を目指しております。当連結会計年度における売上高営業利益率は8.0%であり、自己資本当期純利益率は6.1%でした。引き続きこれらの目標が達成されるように取り組んでまいります。

(4)経営環境と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当企業グループを取り巻く事業環境は、コロナ禍からの回復基調にはあるものの、依然として半導体不足をはじめとするサプライチェーンの混乱や、地政学リスクに起因するエネルギー価格・資源価格の高騰などが企業活動に影響を及ぼしており、当企業グループの経営においても同様に先行き不透明な状況が続いております。このような中でも、グループ一丸となって環境の変化を先取りし、柔軟かつ迅速に課題に対処してまいります。

また、企業の持続的成長には非財務資本のさらなる進化が重要であるとの認識のもと、「持続的成長に必要な重要課題(マテリアリティ)」を特定し、統合報告書にて開示しております。人的資本への取り組みとしては、人権尊重、ダイバーシティの推進、人材育成、適正な労働慣行や健康経営の推進などに積極的に取り組んでおり、こうした取り組みの結果、2023年3月には「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定を頂きました。

環境対応においては、気候変動などの地球環境問題というサステナビリティ課題についても取り組み強化を進めております。当企業グループは、2030年度までにCO2総排出量を2013年度比46%削減という目標を2021年に定め、これに続いて2023年度からは当企業グループ全体で「2050年カーボン・ニュートラル」の実現を目標とし、環境に対する取り組みを推進しております(CO2総排出量の対象はScope1及びScope2)。自社設備によるCO2排出量削減の取り組みに加えて、環境負荷低減を実現する製品や技術を社会に提供するという本業での環境対応についても、軸受機器事業部門を中心に電気自動車や、再生可能エネルギー、水素エネルギー分野などに向けた取り組みを強化しています。当社の技術や製品が地球環境に貢献できる可能性は高いと考え、技術・製品開発を進めております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当企業グループは、サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)が企業価値の向上に向けた重要な経営課題であるという認識のもと、取り組みの強化を進めております。経営理念「オイルレスベアリングの総合メーカーとして世界のリーダーとなり、技術で社会に貢献する」にのっとり、サステナビリティ推進は社会の持続可能な発展に寄与すると同時に、当企業グループの新たな企業価値の創造と発展を実現するための基盤になるという考えのもと、当企業グループは、サステナビリティ推進は企業行動の主軸であると位置付けております。

 そして、長期ビジョンや当企業グループの企業行動憲章に基づく誠実かつ公正な事業活動を通じて、1.「ガバナンスの強化」2.「消費者課題への対応」3.「環境保全」4.「人権の尊重と適正な労働慣行」5.「公平・公正な取引」6.「地域社会との共生」という6つのESG重点項目を実践することで、サステナビリティ課題に対する企業としての責任を果たしてまいります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

 当社では、代表取締役社長を議長として全取締役・全監査役が出席するCSR推進会議を年2回開催し、環境対応やダイバーシティなどのサステナビリティ課題に関する取り組み方針や対応状況について、経営層が協議を行っております。CSR推進会議の傘下には、CSR担当役員を委員長とするCSR委員会を設置しております。CSR委員会では、当企業グループのサステナビリティ重点課題の推進やPDCAサイクルの中で抽出された課題の議論を行っており、重要な事項については、CSR推進会議に報告する運営になっております。

 また、サステナビリティ課題ごとに構成した8つの推進部会をCSR委員会の傘下に置き、各課題の解決に向けて取り組んでおります。

(注)CSR推進会議及びCSR委員会は、2023年4月1日に名称をサステナビリティ推進会議及びサステナビリ

   ティ委員会に変更しております。

 

(2)戦略

 サステナビリティ課題において特に重要な気候変動対応については、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言を踏まえ、気候変動がもたらす「リスク」と「機会」を特定しております。移行リスクについては2℃シナリオ、物理的リスクについては4℃シナリオを用いて分析しております。気候変動がもたらす「リスク」と「機会」の詳細は、「オイレス工業株式会社 統合報告書2022」33~34ページ、及び「TCFD提言に基づいた情報開示」(2022年10月18日開示資料)において記載をしております。

 また、人的資本は企業価値の源泉であるという認識のもと、当社の「人事基本方針」では「人材育成」と「社内環境整備」についてそれぞれ次のとおり方針を定めております。

人事基本方針

オイレスグループは「従業員は会社の大切な財産である」と考え、すべての従業員の人権を尊重するとともに、オイレス工業の社是のもと、従業員の多様な能力や個性を充分に発揮できるよう成長を支援します。また、日々変化する社会情勢から従業員の安全と健康を守り、柔軟かつ効率的な働き方を実現できるよう、職場環境を整備します。

人材育成

社内環境整備

オイレスグループは、すべての従業員に次のことを求めるとともに、その実現に向けた成長を促します。

・人権と多様性を尊重し、グローバルに活躍すること

・高い専門性を発揮し、創造と革新に情熱を持って挑戦し続けること

・自律的に行動し付加価値を生み出し、社会に貢献すること

 

人権の尊重

個人の人権を尊重し、人種、皮膚の色、性別、言語、宗教、政治上その他の意見、国籍またはその有無、財産、地位等による不当な差別を一切おこないません。また、いかなる時も機会の均等を図るとともに、あらゆるハラスメントの防止に努めます。

多様性の尊重

多様な背景を持つ人材一人ひとりがそれぞれの能力・個性を十分に発揮できるよう、誰もが働きがいを感じられる企業風土づくりを進めます。

人材育成

一人ひとりの資質・個性を活かした能力開発を積極的に行い、組織的な人材育成・活用・評価・処遇により、従業員それぞれが持つ能力を最大限に引き出すよう努めます。

オイレスグループは、すべての従業員の安全と健康を守り、多様な働き方を受け入れられるよう、職場環境の整備に努めます。

 

安全で健康な職場づくり

すべての従業員の安全と健康を守るため、安心・安全・快適な職場環境の実現を目標に掲げ、労働安全衛生管理システムを活用し、全員参加による安全第一の社風づくりに取り組みます。また、すべての従業員が心身ともに健康で働き続けることができるよう産業保健体制を構築し、従業員の健康維持・向上に努めます。

ワーク・ライフ・バランス

すべての従業員が仕事とプライベートの両立を実現でき、いきいきと暮らせる環境をつくるため、出産・育児・介護をはじめとしたライフイベントに備えた両立支援制度を充実させるとともに、柔軟で効率的な働き方を実現できるよう、就業支援制度を整備します。

 

 

(3)リスク管理

 気候変動問題に関するリスクについては、CSR委員会からの報告に基づき、CSR推進会議によって評価・特定されるとともに、総合的なマネジメントの方向性が決定されます。また、気候変動関連リスクに対応する事務局的な組織として、CSR推進会議・CSR委員会の傘下に品質環境安全部長を部会長とする「環境部会」を設置しており、リスクや機会を踏まえて、CO₂排出量削減を中心とする気候変動問題への対応を進めております。さらに、気候変動関連リスクへの対応状況については、環境部会⇒CSR委員会⇒CSR推進会議というプロセスで定期的に経営陣に報告されております。加えて、気候変動が引き起こす物理的リスクである水害リスクについては、その発生可能性は低いものの、CSR推進会議・CSR委員会傘下であり総務部長を部会長とする「BCP/BCM部会」においてフォローを行っております。

 また、CSR推進会議・CSR委員会傘下には法務部長を部会長とする「リスク管理部会」があり、気候変動リスクを含む当企業グループが認識すべきサステナビリティに関するリスク事象の全体像について、経営会議(社外役員も出席)等において定期的に報告しております。

 

(4)指標及び目標

 当企業グループの従来の環境目標は、2030年度までにCO₂の総排出量を2013年度比46%削減(対象は国内生産拠点の自社排出量(Scope1及びScope2))としておりましたが、この目標に続くものとして、当企業グループ全体で「2050年カーボン・ニュートラル」(対象は自社排出量(Scope1及びScope2))を実現することを2023年度からの環境目標として設定しております。CO₂の総排出量の実績については、「オイレス工業株式会社 統合報告書2022」の35ページ、及び「TCFD提言に基づいた情報開示」(2022年10月18日開示資料)において記載をしております。

 また、人的資本に関しては、社内の多様性(ダイバーシティ)の確保に向けた目標として、女性・外国人従業員・中途採用者の管理職への登用等に関する目標設定を行っております。目標や実績の詳細は、「オイレス工業株式会社 統合報告書2022」の40~41ページ及び本有価証券報告書の「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載をしております。

(参考)女性管理職比率の目標値について

 

目標

女性管理職比率(オイレス工業)

2025年度3%程度

2030年度5%以上

女性管理職比率(連結)

2030年度10%程度

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。

(1)経済・金融市場動向に関するリスク

①景気後退による需要減少のリスク

当企業グループの製品は、自動車をはじめ各種産業機械や建築・建設物等に多く採用されております。世界や我が国の景気後退や経済成長の減速という事態が発生した場合、製品需要すなわちこれらの生産台数や着工件数が減少し、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

②原材料の価格上昇及び調達リスク

当企業グループ製品の主要材料である鋼材、銅合金、樹脂系原料等は、需給バランス、為替レート変動等に伴い市場価格が変動することがあり、また一部調達先が限定されるものもあります。昨今、世界的な原材料費高騰のリスクが顕在化しております。当企業グループは、原材料価格の市場変動及び原材料調達リスクに柔軟に対応するべくサプライチェーンを見直し、生産の合理化、高品質な原材料をタイムリーかつ必要数を入手するための調達先の分散化の検討、代替材料の選定等による原価低減施策を講じております。これに加え、競合他社の価格動向に注視しつつ販売価格へ適切に反映することにより影響の軽減を図っておりますが、予測を超えて市場価格に急激な変化が生じた場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③為替レートの変動リスク

当企業グループは外貨建取引から発生する為替変動により影響を受ける可能性があります。また、連結財務諸表作成にあたって在外子会社の外貨建財務諸表を円換算いたしますが、在外子会社の外貨項目の価値が変動しない場合でも、為替相場の変動により当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を受ける可能性があります。

なお、個別の外貨建取引においては、原材料の現地調達化を図ることや、通貨スワップ契約によるリスクヘッジ等により、為替レート変動の影響を抑制するように努めておりますが、予測を超える変動が生じた場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業戦略及び戦略に関わる外部環境に関するリスク

①海外事業展開に伴うリスク

当企業グループは、自動車メーカーの海外進出に合わせ現地生産体制を強化してきており、北米、欧州、アジアに製造・販売拠点を有しております。その結果、海外向けの売上高は連結売上高の36.1%を占めておりますが、当企業グループの製品を製造・販売している各国の景気後退やそれに伴う製品需要の縮小、あるいは海外各国における政治・社会・経済体制の変動により、影響を受ける可能性があります。

特に、近年のウクライナ紛争などのような地政学的リスクについてはその影響の大きさから重要なリスクとして認識しており、当企業グループは、経営企画部と在外子会社を所管する事業部が連携し、在外子会社との緊密な情報交換及び継続的モニタリング、各国の動向把握・分析によりリスクの極小化を図ります。

しかしながら、当企業グループの製品を製造・販売している各国の景気あるいは政治・社会・経済体制に予想を超える急激な変動が生じた場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

②特定業種(自動車産業向け)への高依存度リスク

当企業グループにおける自動車関連売上高は全体の46.8%を占めております。これまで、製品の優位性、新規用途での採用拡大及び、グローバル展開等により比較的安定的な業績を確保してまいりましたが、自動車産業そのものを変革するCASE(Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化))、カーメーカー以外の事業者による参入、産業構造変化に伴う構成部品の変動に加え、自動車市場の需要動向に大きな変化が起こった場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当企業グループでは、CASEをはじめとした自動車産業の将来を見据え新規開発を進めておりますが、今後はさらにその先を目指して技術領域を拡大し、開発速度を加速することで、変革に対応してまいります。

 

③価格競争リスク

当企業グループの主力販売先であります自動車業界をはじめとして、すべての業界におきましてグローバルで競争が激しく、また、原材料価格高騰の影響もあり、これまで以上に厳しい状況にあります。当企業グループは、技術的優位性のある高品質製品の開発、顧客が抱える課題を共に解決する提案型技術営業の充実による付加価値の提供、製品ラインナップの充実等により、顧客満足を獲得してまいります。

しかしながら、今後新興国メーカー等の台頭による低価格品の伸長に起因して値下げ要求が続きますと業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④知的財産権リスク

当企業グループは、持続的成長に向けた重要課題(マテリアリティ)の一つとして「社会課題の解決に資する先進的な製品・技術の開発・提供」を掲げており、「摩擦」「摩耗」「潤滑」にかかわるトライボロジー技術と、ダンピング(振動制御)技術の二つのコア技術の研究開発活動を通じ、国内外において特許権、商標権及びその他の知的財産権を出願しております。これらは事業活動を優位に運ぶための参入障壁となる一方、特許等の権利満了に伴い他社が参入してくるリスクも内在しております。当企業グループは、技術開発又は製品開発により周辺特許も含めた新たな特許等を取得し、他社の参入を排除していきますが、売上高に占める割合が高い製品について他社の参入を許した場合は、当企業グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当企業グループが第三者の知的財産権を侵害したとして第三者から訴えられた場合、係争費用のみならず、損害賠償の支払や製造販売の差し止めが発生するおそれがあり、その結果、市場そのものを失う場合には、当企業グループの事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに備え、当企業グループでは、製品開発段階から知的財産管理規程に従い第三者の知的財産権の侵害可能性、新たな発明等の権利化の可能性等について十分な調査・検討を行っております。また、ノウハウについては秘密情報管理規程に基づいた適切な保護、管理を徹底しております。

 

⑤公共投資縮減のリスク

当企業グループにおける構造機器事業の売上高は、全体の18.1%となっております。当事業に係る売上は、我が国の公共投資事業の予算額等に影響を受ける可能性があります。

当企業グループは、事業収益性の改善、事業規模に見合った人員数への見直し、コスト構造の改善等により公共投資額の影響を受けにくい体制への強化、橋梁・建築に加え、新たに柱となる市場の創出を目指し、製品開発に取り組んでおります。

 

(3)業務運営に関するリスク

①品質不適合発生によるリスク

当企業グループの製品は、高精度・省力化を必要とする多くの機械・産業分野や最終製品で使用され、自動車の他、鉄道車両、水車・水門、橋梁等の社会基盤分野や様々なビルの免震・制震装置、一般住宅にも幅広く採用されております。

当企業グループは、あらゆる顧客・市場の要求に適合する品質保証体制とするために国内外各社の事業において、国際品質マネジメント規格(ISO9001又はIATF16949)を取得しています。さらに、当企業グループの顧客が要求する固有の品質基準等に対応する管理を徹底しております。

製品開発においては、初期段階から研究開発・生産技術・製造・営業などの部署がそれぞれの視点から品質課題を抽出し、過去の社内外の品質トラブル情報なども活用して解決するという手法を取り入れており、新製品として発売するまでの段階においても、製品設計・工程設計のデザインレビューにより品質面の検証をおこないリスクの極小化を図っております。

しかしながら、製品に未知の重大な欠陥が存在し、当該欠陥に起因する事故、リコール及び顧客の生産停止等の事態が発生した場合、当企業グループの社会的信用の低下等につながり、また、補償により多額の支出が生じた場合には、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、当企業グループはグローバルな製造物責任保険に加入しておりますが、損害賠償等の損失を十分にカバー出来るとは限りません。

 

 

②環境リスク

当企業グループは、持続的成長に向けた重要課題(マテリアリティ)の一つとして「環境対応」を掲げており、「オイレスグループ環境方針」を定め、地球環境保全に向けて環境負荷の低減と水環境の配慮に努めております。また、当企業グループでは、地球温暖化、水質汚濁、産業廃棄物、有害物質、土壌汚染等に関する環境法令及びその他の要求事項を遵守するため、ISO14001に沿った環境マネジメントシステムを構築し推進しております。

しかしながら、想定外の事態が発生した場合には、何らかの法的若しくは社会的責任を負う事態が生じるおそれがあります。その場合、対応費用の発生及び当企業グループの社会的信用の低下を招く可能性があります。

加えて、気候変動問題については、2020年の政府宣言にもあるとおり、「2050年カーボンニュートラル」が世界的潮流となっております。地球温暖化に起因する災害発生により当企業グループの事業に被害が生じるリスクがあることに加え、脱炭素社会の実現に向けて世界が進む中では、企業としての環境対応の取組みが不十分である場合、顧客からの信頼を失い、顧客のサプライチェーンから当企業グループが排除される可能性があります。また、ESG対応を重視する株主・投資家等からの信頼を失う可能性もあります。

かかる認識のもと、当企業グループでは、製品や技術という本業で環境負荷低減に貢献することはもちろんのこと、CO₂排出量削減など当企業グループ各社での環境対応も継続して推進してまいります。CO₂排出量削減については、2030年度までにCO₂総排出量を2013年度比46%削減するという環境目標を定めております。なお、前述の環境目標に続くものとして、当企業グループ全体で「2050年カーボン・ニュートラル」を実現することを2023年度からの環境目標として設定しております(CO₂総排出量の対象は、Scope1及びScope2)。

 

③労務・人材リスク

当企業グループは、人材への取り組みが中長期的な企業価値の向上に向けた重要な経営課題(マテリアリティ)であるという認識のもと、人権尊重、ダイバーシティの推進、人材育成、適正な労働慣行の実現など、全ての従業員の成長を支援し、働きやすい職場環境の実現を推進しています。

しかしながら、生産年齢人口の減少に加え、労働市場環境により優秀な人材が確保できない場合、人材不足により技能が適切に伝承されない場合、有能な人材が流出する場合、また人的資本投資及びその効果が十分でなかった場合には、企業成長が抑制され、当企業グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このような状況の下、当企業グループは、経営、技術開発、製造、営業その他の機能において優秀な人材の確保に努めており、人材獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しております。そして、必要な人材を採用し、長く勤めてもらうための環境を整備し、技術等の継承のため「育てて」「任せる」後継者育成・指導を計画的におこない、そのための投資も積極的に進めております。

 

④情報セキュリティリスク

当企業グループは、研究開発、生産、販売等に関する機密情報に加え、お客様や従業員の個人情報を保有しております。これらの情報管理につきましては各種情報の取扱規程による情報管理、社員教育等を実施し、また、情報セキュリティに関する国際規格ISO27001:2013を取得して情報セキュリティシステムの安定的運用に努めております。

これらの機密情報、個人情報の漏洩によるリスクのほか、サイバー攻撃などによる不正アクセス、自然災害、事故、コンピューターウイルスその他の要因により情報システムに重大な障害が発生した場合、当企業グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がありますが、これらの影響を極小化するために、当企業グループでは、ネットワークの冗長化、重要データのバックアップと複数のデータセンターによる保管等により、システムの復旧が容易になされる体制を構築しております。

 

(4)法的手続・災害等のイベント性のリスク

①法的リスク

国内、海外を問わず、独禁法、安全保障貿易管理、贈収賄等、当企業グループの事業に関連する法令・規制は多岐にわたっています。

これらの法令等へのコンプライアンスの徹底が十分でなく適用法令等の違反が発生した場合、あるいは過去に行った事業活動に対して法令違反を問われることがあった場合には、処罰、処分その他の制裁、あるいは社会的信用やイメージの毀損により当企業グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

当企業グループでは、「オイレスグループ企業行動憲章」「企業行動規範」に加え、役職員に対する各種研修等を通じ、これらの法令等へのコンプライアンスの徹底を図っております。

 

 

②災害・感染症・テロ等の事業継続に影響を及ぼす事象のリスク

当企業グループは、日本国内はもとより、米州、欧州、アジアに製造・販売拠点を有しておりますが、これらの事業拠点において、大規模地震・水害・火災等の災害、感染症の世界的蔓延(パンデミック)、企業に対するテロ攻撃、紛争による政情不安が発生した場合には、原材料調達への影響、あるいは生産設備や人的資源等の経営資源に被害が生じ、サプライチェーンが寸断され製品の供給停止が起きることで、当企業グループの事業継続に大きな障害を与えることがあります。こうしたリスク事象の発生頻度は高くはありませんが、万一事象が発生した場合には、当企業グループの経営成績と財政状態に大きな影響を及ぼすことになります。

かかるリスク事象に対して、当企業グループは、大規模地震等の不測の事態が発生した場合の対策として事業継続計画(BCP)を策定して、有事の際の行動計画にしたがって災害から早期に復旧し製品を安定して供給するべく、減災あるいは調達先の分散化の検討、代替材料の選定など事前対策等を進めております。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、今後徐々に収束に向かうものと予想しておりますが、感染再拡大による事業継続への影響を考慮し、感染防止等に向けた対策を継続いたします。

なお、自然災害等に依る被害については、保険により補償される部分もありますが、その全てが補償される訳ではありません。テロ対策も含めて重要な経営課題として対応には万全を期してまいりますが、リスクを完全に回避することは困難であります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当企業グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の制限緩和を背景に4月以降は景気が持ち直しつつありましたが、7月以降の第7波・第8波による感染再拡大をはじめ、ロシア・ウクライナ情勢に起因した原材料費、エネルギー価格の高騰、さらには為替相場の急激な変動などもあり先行き不透明な状況が続いております。このような環境にあって、当企業グループは2021年度を起点とする中期経営計画(2021年度~2023年度)の2年目にあり、選択と集中による経営資源の有効活用と成長市場への取り組みを一層強化し、計画で定めた目標実現に向けグループ全体で取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

(a)財政状態

当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ1,460百万円増加し、86,991百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べ1,538百万円減少し、17,401百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べ2,998百万円増加し、69,589百万円となりました。

(b)経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高は62,882百万円(前期比5.1%増)、営業利益は5,056百万円(前期比13.7%減)、経常利益は5,730百万円(前期比12.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,132百万円(前期比4.5%減)となりました。

セグメントの実績は次のとおりであります。

軸受機器セグメントの売上高は43,881百万円(前期比9.0%増)、セグメント利益は3,008百万円(前期比1.1%増)となりました。

構造機器セグメントの売上高は11,375百万円(前期比7.6%減)、セグメント利益は1,512百万円(前期比40.0%減)となりました。

建築機器セグメントの売上高は6,132百万円(前期比5.9%増)、セグメント利益は487百万円(前期比42.2%増)となりました。

なお、地域に関する情報のうち顧客の所在地を基礎とした売上高は、日本向けが40,199百万円(連結売上高に占める割合は63.9%)、北米向けが4,032百万円(同6.4%)、欧州向けが3,060百万円(同4.9%)、アジア向けが14,183百万円(同22.6%)、その他の地域向けが1,405百万円(同2.2%)となり、海外向けの合計は前期の19,498百万円(同32.6%)より16.3%増加し、22,682百万円(同36.1%)となりました。

②キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

5,850

7,987

2,137

投資活動によるキャッシュ・フロー

△3,142

△2,200

941

財務活動によるキャッシュ・フロー

△3,363

△4,071

△708

現金及び現金同等物の期末残高

20,337

22,597

2,259

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,259百万円増加し、22,597百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ2,137百万円増加し7,987百万円となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益5,929百万円、減価償却費3,276百万円、売上債権の減少額2,321百万円、棚卸資産の増加額750百万円、法人税等の支払額2,395百万円などであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ941百万円減少し2,200百万円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出2,593百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ708百万円増加し4,071百万円となりました。これは配当金の支払額1,812百万円、長期借入金の返済による支出1,369百万円、自己株式の取得による支出1,001百万円などであります。

③生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高

(百万円)

前年同期比(%)

軸受機器

44,674

107.6%

構造機器

11,252

96.0%

建築機器

6,188

107.0%

報告セグメント計

62,115

105.2%

その他

1,614

107.0%

合計

63,730

105.3%

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

(b)受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

軸受機器

43,634

107.1

3,060

92.5

構造機器

15,099

120.1

12,648

141.7

建築機器

6,187

105.1

900

106.5

報告セグメント計

64,921

109.6

16,608

127.0

その他

2,421

148.1

1,372

310.3

合計

67,343

110.7

17,981

133.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額は販売価格によっております。

(c)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高

(百万円)

前年同期比(%)

軸受機器

43,881

109.0

構造機器

11,375

92.4

建築機器

6,132

105.9

報告セグメント計

61,390

105.2

その他

1,491

100.0

合計

62,882

105.1

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ1,460百万円増加し、86,991百万円となりました。その主な要因は次のとおりであります。

流動資産は、現金及び預金2,282百万円の増加、受取手形及び売掛金1,978百万円の減少、商品及び製品596百万円の増加、仕掛品529百万円の増加などにより、合計で1,609百万円の増加となりました。

固定資産は、有形固定資産107百万円の減少、投資有価証券74百万円の減少などにより、合計で149百万円の減少となりました。

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べ1,538百万円減少し、17,401百万円となりました。その主な要因は次のとおりであります。

流動負債は、支払手形及び買掛金856百万円の増加、未払法人税等873百万円の減少、未払消費税等246百万円の減少などにより、合計で504百万円の減少となりました。

固定負債は、長期借入金1,369百万円の減少、繰延税金負債211百万円の増加などにより、合計で1,033百万円の減少となりました。

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べ2,998百万円増加し、69,589百万円となりました。これは利益剰余金2,319百万円の増加、為替換算調整勘定1,367百万円の増加などによるものであります。

(b)経営成績

市況回復などにより売上高は前連結会計年度に比べ5.1%増加し62,882百万円となったものの、原材料費高騰などが影響し営業利益は前連結会計年度に比べ13.7%減少し5,056百万円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、上記のほか、法人税等合計の1,728百万円などにより4,132百万円となりました。

セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

(軸受機器)

一般産業向け製品は、国内製造業の生産持ち直しから工作機械向けを中心に堅調な売上となりました。自動車向け製品は、上期における中国上海市のロックダウンや、半導体不足に伴う欧米、日本国内の自動車減産の影響を受けましたが、インド・アセアン地域向けの需要が回復したことに加え、円安の影響を受けたことにより前年同期を上回る売上となりました。利益については、原材料費やエネルギー価格の高騰が利益を圧迫したものの、販売価格への転嫁と固定費の抑制を進めたことなどにより、軸受機器セグメント全体の利益は前年同期を上回ることができました。

この結果、軸受機器セグメントの売上高は43,881百万円(前期比9.0%増)、セグメント利益は3,008百万円(前期比1.1%増)となりました。

今後については、一般産業向けでは成長市場である半導体製造装置や再生可能エネルギー分野に向けた製品開発、営業活動を一層強化し事業の拡大に努めてまいります。自動車向けでは自動車生産台数は一定の回復が期待でき、国内、海外向けともに堅調な需要の推移を見込んでおります。加えて、電気自動車、自動運転など新たな分野への製品、技術提案を一層強化してまいります。また、2023年4月1日より組織再編をおこない、軸受事業部を一般軸受事業部と自動車軸受事業部に分離しました。迅速な意思決定と事業責任を明確にするとともに、両事業のさらなる拡大を目指します。

(構造機器)

建築向け製品は都市再開発物件やロジスティクスセンター向けなどが前年に引き続き堅調に推移しました。橋梁向け製品は計画していた海外物件が完工するなどして売上、利益に貢献しました。しかしながら、前年同期と比較すると大型物件の減少が影響し、高利益率を確保したものの構造機器セグメント全体では前年同期を下回る売上、利益となりました。

この結果、構造機器セグメントの売上高は11,375百万円(前期比7.6%減)、セグメント利益は1,512百万円(前期比40.0%減)となりました。

今後については、橋梁向けでは耐震補強関連の増加を見込んでおり、建築向けでは引き続きロジスティクスセンター向けの需要が堅調に推移すると見込んでおります。引き続き顧客ニーズの変化をすばやく察知し、独自の技術力を活かした製品で他社との差別化をはかり、積極的な営業活動を推進していくとともに、技術開発機能の強化のため試験設備の増強や高度化に積極的に投資してまいります。

(建築機器)

住宅用製品は新設住宅戸数の減少の影響を受け、売上、利益ともに前年同期を下回りましたが、ビル用製品では、主力製品である排煙・換気装置ウィンドウオペレーターの新築向けが好調に推移し、前年同期を上回る売上、利益となりました。

この結果、建築機器セグメントの売上高は6,132百万円(前期比5.9%増)、セグメント利益は487百万円(前期比42.2%増)となりました。

今後については、引き続き新築建物向け製品は底堅く推移すると見込んでおります。今後も新築建物市場におけるシェア堅持とともに、設置済製品のリニューアルにもきめ細かく対応し、大規模改修案件の捕捉やビル管理会社・ゼネコンファシリティマネジメント部門への営業強化に努め、さらなる収益性の向上に取り組みます。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要、②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当企業グループは現在、運転資金、投資資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した内部資金の活用を基本としております。事業計画に基づく資金需要に対し内部資金が不足することとなった場合は、金利動向等の調達環境を考慮のうえ、調達手段を適宜判断して実施していくこととしております。

当企業グループの資金需要は、営業活動については、生産活動のための製造費(主に製品を生産するための材料仕入等)、受注・販売活動のための販売費、新たな製品の開発や既存製品の改良開発等をおこなうための研究開発費が主な内容となっております。投資活動については、事業伸長・生産性向上を目的とした生産設備等固定資産の取得が主な内容となっております。

今後の資本的支出の予定につきましては、急成長を続けるグローバルな市場ニーズに迅速かつ柔軟に対応できる体制を整え、成長戦略を加速するため、必要な設備投資や研究開発投資を継続しておこなってまいります。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、会計方針の選択、適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としています。見積りにつきましては、過去の実績や状況を踏まえた合理的な判断を基礎としておこなっていますが、この見積りは不確実性が伴うため実際の結果と異なる場合があり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。当企業グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「重要な会計方針」に記載しています。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)提出会社がおこなっている業務提携契約

契約会社名

契約の内容

契約期間

株式会社川金コアテック

(川口市)

オイレス支承の販売、商標の使用並びに部材の供給

自 1972年1月1日

至 1975年12月31日

(自動延長につき契約継続中)

 

(2)提出会社が技術援助等を与えている契約

契約会社名

契約内容

対価

契約期間

Johnson Metall AB

(スウェーデン)

固体潤滑剤充填金属軸受の

製造販売

ランニング

ロイヤリティ

2019年5月16日から5年間

 

 

(3)提出会社が技術援助を受けている契約

契約会社名

契約内容

対価

契約期間

西日本プラント工業株式会社

(福岡市)

防錆技術の実施許諾

ランニング

ロイヤリティ

2007年6月1日から3年間

(注)1

(注)1.提出日現在においては、覚書により契約継続中であります。

6【研究開発活動】

当企業グループは長年の研究開発で培ってきた摩擦・摩耗・潤滑に関わるトライボロジー技術と、免震・制震をはじめとしたダンピング(振動制御)技術の2つをコア技術とする強みを活かし、軸受機器、構造機器、建築機器の分野を中心に、お客様とともに製品が「世界一・世界初」を実現するための新製品開発や既存製品の改良開発をスピーディに取り組んでおります。

軸受機器においては、成長分野、環境分野への参入に向けた開発力を強化し、次世代重点部品となる新製品開発に取り組んでおります。「2050年カーボンニュートラル」達成に向け、地球環境に配慮した植物性由来の「バイオマスプラスチック軸受」を開発し、2019年6月より業界に先駆けて高性能で高バイオマス度の軸受を販売しております。一般産業向け製品では、トライボロジー技術を追求し、グローバル展開を前提とした新材料の開発を進め、グローバルでのさらなるシェア拡大に努めております。自動車向け製品では、CASEに象徴される自動車業界のパラダイムシフトに対応した製品開発を推進するとともに、コア技術を応用した付加価値製品の創出に力を入れています。

構造機器においては、更なる高性能、高品質の免制震装置の開発を継続的に推進するとともに、長周期長時間地震動対応、構造物の振動低減や長寿命化対策など市場ニーズに対応した製品の開発・改良を進め、市場の拡大と顧客満足度向上に努めております。また工場設備、インフラ設備などBCP関連分野に対する免震、制震装置の開発にも努めております。

建築機器においては、お客様の視点に立って、独創的かつ魅力的な商品やサービスを社会に提供できるよう新製品の開発を進めております。外付けブラインドは、日射遮蔽・断熱採光機能と通風・プライバシーの保護機能を併せ持ち、建物の快適空間創造と省エネ効果に貢献するよう研究開発に努め、ウィンドウ オペレーターは引き続きリニューアル・メンテナンスを強く推奨しつつ、高まる通風換気の需要に対して高次元に再生させ、省資源・循環型社会の形成に寄与できるよう開発に努めてまいります。

現在の研究開発担当者の人員は190名となっております。また、当連結会計年度の研究開発費は2,527百万円(売上高比4.0%)、前連結会計年度は2,445百万円(売上高比4.1%)です。

なお、当連結会計年度末において当企業グループが保有する産業財産権は次のとおりです。

日本国内産業財産権1,201件(この他出願中のもの72件)

外国産業財産権1,179件(この他出願中のもの108件)

各セグメント別の製品開発状況と研究開発費は次のとおりです。

(1)軸受機器

国内外拠点への設備投資を積極的におこない、生産体制の整備を継続して進めています。また、市場の技術進歩に対応する為、藤沢事業場を研究開発拠点として拡充し、評価設備等の開発投資を進めています。最先端技術をいち早く展開することでシステム提案、付加価値提案をさらに強化し、常に市場に新しい価値を提供してまいります。

①一般産業向けでは、再生可能エネルギー分野での市場創造と成長分野である半導体製造装置への拡販を進めています。コア技術であるトライボロジー技術を駆使し、摩擦性能の向上を目標とした材料開発を進めるとともに、環境法規適合材料等の付加価値製品の創出に向けた取り組みをしています。

②自動車向けでは、CASEに対応した新製品開発に向け、先行開発部門を強化し、次世代自動車のニーズを想定した付加価値提案を推し進め、高付加価値製品の創出に向けた取り組みやCAE解析による予測技術を強化することで開発リードタイムの短縮をはかり、新製品開発を加速していきます。

軸受機器に係る研究開発費は1,871百万円であります。

(2)構造機器

①建築向けでは、低層~超高層ビル、官庁、病院、集合住宅、倉庫など幅広いニーズに対応した免震装置(鉛プラグ入り積層ゴム支承・すべり支承)、制震装置(粘性型制震壁・摩擦型制震壁)によって安全・安心を提供できるよう高性能化、高耐久性を実現する研究開発に取り組んでおります。

②橋梁向けでは、補修・耐震改修用すべり支承やダンパー等の耐震・減衰装置の開発により、橋梁リニューアル工事等に向けた市場ニーズに応える新製品を提供してまいります。

構造機器に係る研究開発費は521百万円であります。

(3)建築機器

①ビル用機器では、ウィンドウ オペレーターは使用者の利便性向上や高まる「健康空調・通風換気」使用のための耐久性を考慮した製品、自然換気装置では引き続き高層ビル向けBCP対応機能を強化した製品の開発に取り組んでまいりました。

②住宅用機器では、外付けブラインド「ブリイユ」をより多くの方にご採用いただくためテレビCMやWEB広告など宣伝活動にも力を注いでおり、お客様の要望をもとに製品の改良開発に取り組んでまいりました。

建築機器に係る研究開発費は134百万円であります。