第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 創業100周年に当たる2042年度での「当社のあるべき姿」を描いた長期ビジョンに加え、SDGsの考え方を取り入れたCSR-SDGsビジョンを、当社では独自に定めています。また、これらのビジョン達成に向けたマイルストーンとして、3年毎に中期経営計画を策定しており、現在は2023年度にスタートした中期経営計画「G-23」に基づき、重要課題(マテリアリティ)への対応を推進中です。さらに当社では企業価値向上によるPBR改善を図るため、資本コストや株価を意識した経営に取り組んでおります。これら施策の概要は以下のとおりです。

 

(1) 長期ビジョン

「流体の熱と圧力の制御技術を結集し、

  エネルギー・水・食の明日(あした)を、お客様と共に支える企業になる」

 

2042年度(創業100周年)経営目標

 連結売上高:1,000億円  連結営業利益:120億円

 

(2) CSR-SDGsビジョン

SDGs(持続可能な開発目標)を取り入れた企業経営により

  自らが持つ総合力で社会課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献する。

 

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(3) 新中期経営計画「G-23」(2023年度~2025年度)の概要

 ⅰ.「G-23」のポイント

・地政学リスクの高まりやエネルギー価格をはじめとした物価高の長期化等、世界経済は未だ不安定な状況であるが、長期ビジョン達成に向けた成長が必要。

・サステナブル社会の実現に向けたCO2削減やエネルギーシフト、その他環境対策、各種資源のロス削減の動き等、当社の技術や製品の存在感は高まる。

・ワークライフバランスの充実等により、活力ある社員集団を実現させるべく、生産性向上に向けた新たな取り組みが求められる。

・新事業所稼働により売上・利益の向上を図るとともに、引き続き攻めの姿勢で新製品・サービスの開発と更なる戦略投資を推進する。

 

 

 ⅱ.「G-23」中期ビジョン・スローガン

 

中期ビジョン

一人ひとりの挑戦で、

 

事業の発展と共に活力のある社員集団を実現する

 

 

スローガン

技術に想いをのせて いけ サステナブル社会の実現に向けて

 

 

 ⅲ.「G-23」基本方針

重要課題(マテリアリティ)への対応

 マテリアリティ(重要課題)として、「地球環境への貢献」「持続可能な社会の構築」「人を活かす」「経営基盤の強化」の4つの分類に7項目を特定しました。事業を通じて、そして企業活動を通じてこれらの課題に取り組みます。

マテリアリティ

取り組み項目

地球環境への貢献

①気候変動への対応

● CO2排出量削減

● 再生可能エネルギーの使用

● 廃棄物の削減、資源の保全

持続可能な

社会の構築

②安全安心で持続可能な

 商品・サービスの提供

③中長期的な労働力不足への対応

④地域社会との共存共栄

● 食の安全安心と健康増進への貢献

● 省人化を実現する商品・サービスの提供

● 地域社会とのつながり

● 強固なサプライチェーンの構築

人を活かす

⑤多様な人材の育成と活用

⑥事業の継続・

 拡大に必要な人材の確保

● 社員の成長と働きがいの向上

● 新卒・中途採用の強化と定着率向上

経営基盤の

強化

⑦コーポレートガバナンスの強化

● 持続可能な経営の推進

● コンプライアンス遵守

● リスクマネジメント

 

 ⅳ.「G-23」各事業の重点施策

 

熱交換器事業

プロセスエンジニアリング

事業

バルブ事業

事業戦略

熱ソリューションの提供

●熱に関する困りごとを

 解決する提案力の向上

●熱交換器、周辺機器の

 ラインアップ拡充

エンジニアリング事業強化

●複数の機器、前後工程等

 を組み合わせたプラント

 の設計、施工

●メンテナンス事業強化

●グループ会社再編

顧客ニーズに寄り添う製品

の拡充

●用途限定弁(バルブ)の

 ラインアップ強化

社会課題

解決

●カーボンニュートラル

 関連市場への納入

(CO2収装置、水素製造、

 設備等)

●食品ロス削減、医薬品

 安定供給、水資源保全に

 関する製品の開発、提供

●省人化ニーズへの対応

●カーボンニュートラル

 関連市場への納入

(二次電池等)

グローバル

戦略

●グローバル生産体制構築

(生産平準化とBCP構築)

●海外メンテナンス事業強化

●アジア圏向け食品機器・

 染色仕上機器や中国漢方

 薬向け医薬機器等の

 販売強化

●東南アジアでの販売強化

(現地グループ会社、販売

 代理店との関係強化)

大型投資

●既存事業所「鴻池事業所」

 の再構築

●新基幹システムの導入

●新事業所「生駒事業所」

 の稼働

●既存事業所「鴻池事業所」

 の再構築

 

 

 

 ⅴ.「G-23」連結業績目標(2026年3月期)

 

当初目標

2026年3月期

業績予想

 

 

当初目標

2026年3月期

業績予想

受注高

410億円

410億円

 

親会社株主に帰属する

当期純利益

26億円

26.9億円

売上高

400億円

440億円

 

営業利益率

9.0%

6.8%

営業利益

36億円

30億円

 

ROA

(総資産経常利益率)

4.9%

4.1%

経常利益

38億円

33.5億円

 

ROE

(自己資本当期純利益率)

4.5%

4.5%

(注)2025年5月15日付けで2026年3月期業績予想を公表いたしました。

 

(4) 企業価値向上によるPBR改善に向けた取り組み

ⅰ.現状認識

 当社のPBRは過去5年間0.41~0.47倍の間で推移しております。これは、当社の株主資本コストに対しROEが低水準であることから、十分なエクイティ・スプレッドを実現できていないためであると認識しております。2025年3月期につきましては、政策保有株式の縮減や自己株式取得等の資本政策を実施したもののPBR改善は見られず、さらなる収益性の向上が必要であると認識しています。

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

PBR(倍)

0.45

0.41

0.45

0.47

0.45

ROE(%)

2.3

3.8

3.7

4.2

6.3

配当性向(%)

69.5

41.0

55.2

48.9

33.1

DOE(%)

1.6

1.6

2.0

2.0

2.1

ⅱ.成長戦略及び投資

 当社は、コア技術である流体の熱と圧力を制御する技術を活用し、カーボンニュートラルの実現や食品ロス削減、省エネ・省人化の実現等の社会課題解決に貢献することにより、持続的な成長と企業価値の向上を図ります。また、事業ポートフォリオの見直しによる利益率の向上や海外市場への展開、新規事業・新製品開発による売上拡大を図るとともに、部品・メンテナンス事業強化、生産体制強化、事業領域の拡大など収益性向上に向けた投資も積極的に行います。

 中期経営計画「G-23」(2023年4月1日~2026年3月31日)の最終年度にあたる2026年3月期の事業計画は売上高440億円、営業利益30億円としております。当初計画(売上高400億円、営業利益36億円)から資材価格や人件費高騰の影響もあり利益面では下回るものの、売上高は大きく上回る計画となります。2019年よりスタートさせた投資計画(生駒事業所開設、鴻池事業所再構築)は予定通り進捗しており、生駒事業所にて生産体制の増強を進めたプロセスエンジニアリング事業では、「省エネ」「省人化」に寄与する製品などで初めて200億円を超える売上高を計画しております。一方、全ての投資が完了し全事業が本格稼働するのは2029年を予定しており、投資が先行し資金面、収益面で厳しい状況は続きます。こうした環境下においても、一日でも早く成果を創出し持続的成長につなげるべく、投資計画の見直しや事業の本格稼働の前倒しに向けた具体策の検討を進めております。2027年3月期より始まる新中期経営計画の策定において、本検討に加え、資本政策の拡充などPBR改善に向けた方針を具体化してまいります。

ⅲ.政策保有株式の縮減

 中期経営計画「G-23」期間中に政策保有株式の保有額を連結純資産額の20%未満にするという方針に基づき、資本効率や取引の状況等より政策保有株式の保有の適否を検討し縮減を進めております。

 2024年3月期には6銘柄797百万円、2025年3月期には5銘柄2,727百万円の縮減を行い、2025年3月末時点での保有目的が純投資以外の目的である投資株式の銘柄数25、貸借対照表計上額の合計額は11,588百万円まで削減しました。連結純資産額の19.4%となり、20%未満にするという当初計画を1年前倒しで達成しております。今後も取り組みを継続し、得られた資金は成長投資や株主還元等に充当し、さらなる資本効率の向上を目指します。

 

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ⅳ.株主還元の強化

 当社は資本政策の基本的な方針として、「内部留保とのバランスを考慮しつつ、連結純資産及び連結業績の状況を勘案し、連結純資産配当率(DOE)2.0%以上を目途に継続的・安定的な配当に努める」という利益配分方針を定め、配当を実施しております。

 2026年3月期の配当予想につきましては、創業以来初の400億円を超える売上高を目指す年度となることもあり、投資計画も踏まえた内部留保の水準、経営環境及び株価の動向を勘案し、2025年3月期の1株当たり45円から10円増配の55円とすることを予定しております。

 

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 2025年3月期には発行済株式総数(自己株式を除く)の3.54%にあたる100万株(1,046百万円)の自己株式取得を実施しました。さらに自己株式の保有等に関する基本方針を決定しました。保有方針は、当社の取締役及び執行役員向けの株式報酬やM&A戦略の実施など機動的な事業投資資金の確保とし、株主に対する利益還元を重視し総還元性向等を総合的に勘案し適切な形で自己株式の取得を行うこととしました。合わせて自己株式の消却に関する方針も定めました。

 また、2026年3月期におきましても100万株、1,400百万円を上限とする自己株式取得の実施を決議しており、配当金と合わせた総還元性向は90%程度となる見込みです。

 今後も、必要な内部留保の水準を考慮しつつ、経営環境の変化、株価の動向及び財務状況等を勘案のうえ、自己株式取得も含めて弾力的・機動的に実施することで総還元性向を高め、株主還元の充実に努めてまいります。

 

ⅴ.IRへの取り組み

 コーポレートガバナンス報告書にて開示しておりますとおり、投資家との対話を深めるため、第2四半期決算及び期末決算の決算説明会を行っており、その説明会資料を当社ウェブサイトにて公開しております。また、2024年9月には当社グループとして初めて統合報告書を発刊しました。株主優待制度の継続に加えて、生駒事業所の開設イベントとして工場見学会の開催など株主に向けた取り組みも検討、実施してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループでは、代表取締役社長を委員長とした「サステナビリティ委員会」を2022年度より設置するとともに、関係部門との連携のもと、持続可能性に関する様々な重要事項について経営陣が議論する体制を整備しております。「サステナビリティ委員会」は年2回以上開催され、取締役会に活動結果を報告することで、取締役会が気候変動を含む持続可能性に関する様々な重要事項を適切に監督できる体制を構築しております。

 サステナビリティ推進体制は次のとおりです。

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 なお、以下のURLに「統合報告書2024」「HISAKAのサステナビリティ」を公開し、サステナビリティについての取組みを開示しております。

 https://www.hisaka.co.jp/cms/wp-content/uploads/2024/09/integrated2024.pdf

 https://www.hisaka.co.jp/csr/

 

(2)戦略

 サステナビリティ全般の戦略として、当社グループでは「サステナビリティ基本方針」を策定し、社是である「世界に定着する日阪」、「豊かな人間性の追求」を永続的な目標に掲げるとともに、社会の公器としての役割と責任を全うすべく長期的な視点で行動し、社会貢献と自社の成長の両立によって持続的な企業価値向上を目指しております。2042年度をターゲットとする「長期ビジョン」においては、社会課題に直面するお客様、業界、市場に対する価値提供を目指しています。2023~2025年度の中期経営計画「G-23」においては、新たに策定した「重要課題(マテリアリティ)」に対する対応を基本方針としております。2024年5月に発表した「存在意義」でも、社会課題解決・省エネ・省人化への貢献を規定しております。

 人的資本に関する戦略としては、持続的な企業価値を向上し続けることができる組織の実現のために社員が経営理念『HISAKA MIND』を実践し、変化を恐れず、やりがいや生きがいを感じ、社会課題の解決に貢献する活力あふれる集団を追求し続けております。また、以下のとおり「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を定め、それらにもとづき社員一人ひとりの人格・価値観・多様性を大切にし、職場の安全と心身の健康を守るとともに、人権を尊重し、差別のない職場環境づくりに取り組んでおります。

 人材育成方針

・当社は人材の成長可能性に想いをのせて各種施策を展開し、「育てたい/育ちたい」を組織文化にすることで、活力ある社員集団を形成します。

・社訓「誠心(まごころ)」のもと、行動指針「より高く」「より広く」「より深く」の体現である「+型人材」を、「挑戦と成長のサイクルを回すことで変化に対応し続ける人財のあり方」として定め、当社で働く社員の成長目標とします。

 

 

 社内環境整備方針

・当社は「挑戦と成長」を通じてサステナブルな事業活動を推進するため、HISAKA MINDの五原則に基づき以下のとおり社内環境を整備していきます。

1.同心協力:人材の相互協力関係に重きを置き、全ステークホルダーが「幸せ共同体」の一員となるように

2.進取果敢:現状に甘んじることなく、視座視点を高く持つことを奨励し続け、皆の行動が挑戦の源泉となるように

3.自利利他:個人と社会の利害を常に認識し、最適解を求め続けることで自身の幸せが社会の幸せとなるように

4.公明正大:社会の一員としてコンプライアンスを遵守するとともに、関係する者の人格・価値観・多様性を尊重できるように

5.安心安全:ウェルビーイングの理念に則り、心身ともに健康な状態を保ち、能力を発揮できるように

 

(3)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティ委員会の下にリスク管理委員会を設置し、リスク管理の実践を通じた事業の持続可能な発展を確保するとともに社会的責任の達成に寄与することを方針として掲げております。

 リスク管理委員会では、事業運営上の重要なリスクを抽出し、毎年多角的な影響度によって評価するとともに、対応するリスク低減状況について定期的にモニタリングしております。

 これらのリスク管理体制については、第4「提出会社の状況」-4.「コーポレート・ガバナンスの状況等」-(1)「コーポレート・ガバナンスの概要」における「コーポレート・ガバナンス体制図」を参照ください。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは気候変動への対応として、GHG(温室効果ガス)排出量を主要な指標とし、SBTが定める1.5℃目標の実現を目指しています。これに基づき、2030年までにScope1およびScope2のGHG排出量を2022年度比で29%(年率4.2%)削減することを目標としています。2024年度における当社のScope1およびScope2のGHG排出量は4,855トン-CO₂でした。また、2024年度のScope3排出量は295,959トン-CO₂となりました。

 Scope3排出量については、2025年度以降も継続的に算定を進めるとともに、Scope3の大半を占める「カテゴリ11:製品の使用」及び「カテゴリ1:購入した製品・サービス」に注力し以下のような取組みを推進してまいります。

 ・エネルギー使用(特に蒸気使用量)を抑制したモデルの製造・販売

 ・排出量削減に向けた各種施策の実施

 なお、現時点では当社単体での排出量算定にとどまっていますが、将来的にはグループ全体での実態把握を進め、排出量削減に向けた目標の設定および実行に取り組んでまいります。

 人的資本に関する指標及び目標に関しては、上記「(2) 戦略」で掲げた差別のない職場環境づくりに向け、当社100周年となる2043年3月期に向けて次の目標を設定し、この目標値に向けた各種取り組みを推進してまいります。

なお、当該目標値は当社のみの目標値となっております。現状では当社グループとしての目標値を設定できておりませんが、各グループ会社の成り立ちや特有の慣習などの実態把握を進めることで、グループ全体の目標値を設定してまいります。

指標

目標

当連結会計年度末

管理職に占める女性労働者の割合

2033年3月期まで3

2043年3月期までに10%

0

監督職に占める女性労働者の割合(※)

2033年3月期まで10

2043年3月期までに20%

5

労働者の男女の賃金の差異

2043年3月期までに差異ゼロ

73(限定社員を含む66%)

男性労働者の育児休業取得率

2033年3月期まで50

82

死亡災害発生件数

2026年3月期まで0(を継続)

0

※「監督職に占める女性労働者の割合」を目標としている理由は、当社の新卒採用における女性採用枠が2006年度から拡大したこと及び監督職への女性労働者の登用開始が2012年度であったこと等が理由となります。今後、これらの女性労働者が成長及び活躍することで、将来の「管理職に占める女性労働者の割合」増加に繋がると考えておりますが、当社では当面「監督職に占める女性労働者の割合」を指標とし、将来の女性管理職候補育成に努めることとしております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

①経済状況について

 当社グループは日本、アジア、欧米など多くの国々で事業展開をしており、世界経済や各国の景気変動及び為替変動などにより、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

②原材料・資材価格の変動について

 当社グループの主な原材料であるステンレスやチタン材などの原材料・資材価格の下落は、製品価格の下落圧力や、当社グループ棚卸資産の評価額への影響により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また原材料・資材価格の高騰は、在庫状況如何では、製造原価が上昇することにより、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③為替相場の変動について

 当社グループの外貨建ての取引に関しては、原則として契約締結と同時に為替予約によるヘッジを行い、契約後の為替変動リスクを極力回避しておりますが、契約条件の変更などによる影響や、引き合い段階での外国企業との価格競争上で不利となる可能性があり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④退職給付債務について

 当社グループの退職給付費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出しており、割引率の低下や年金資産の時価下落は、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤減損会計の影響について

 当社グループが保有しております固定資産及び有価証券に関して、収益性や価格が著しく低下し減損処理が必要となった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥M&A及び事業提携に係るリスクについて

 当社グループは、各事業分野において、新技術や新製品の開発及び競争力強化のためM&Aを実施することがあります。当社グループでは、企業買収や事業提携を行う際、事前にリスクを把握・回避するために、対象となる企業の財務内容や事業についてデューデリジェンスを実施しております。しかしながら、買収後に予期しない債務が発覚する可能性や、事業環境及び競合状況の変化等により当社グループの事業計画に支障をきたす可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑦製造物責任について

 当社グループはその事業及びその製品のために、品質管理規定を制定し品質向上に努めておりますが、万が一予期せぬ不具合や事故が発生した場合は、製造物・品質責任の責めを負うことになる可能性があり、この費用が保険等でカバーできない場合は、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧訴訟その他の法的手続について

 当社グループは、事業を遂行する上で、取引先や第三者から訴訟等が提起される又は規制当局より法的手続がとられるリスクを有しております。これらにより、当社グループに対して巨額かつ予想困難な損害賠償の請求がなされた場合又は事業遂行上の制限が加えられた場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑨公的規制及び政治情勢について

 当社グループの事業活動は、事業を行う各国の政治や多様な規制の影響を受けております。このような規制には、投資、貿易、競争、知的財産権、税、為替、環境、リサイクル、食品衛生、労働安全、生産技術上の制約等に関する規制を含んでおり、政治情勢や規制に関する重大な変更は、当社グループの事業活動を制限する若しくはコストを増加させるなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑩環境問題

 当社グループは、環境基本法、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法等の環境法令を遵守するとともに、環境問題に配慮する姿勢を明確にするため「環境方針」「環境宣言」「行動指針」を策定しております。これらにより「顧客・市場・株主・購買先・協力社・地域社会」から「安心」「安全」「信頼」を受ける会社として成長して行きたいと考えております。当社グループでは、有害物質が社外に流出しないよう万全の対策をとっておりますが、万一流出した場合には、社会的信用の失墜、補償・対策費用の支出あるいは生産停止等の事態が発生する可能性があります。

 また、将来環境に対する規制が一層厳しくなり、現行法令の改正又は新たな立法による規制などにより、有害物質を処理するための設備投資等に多額の費用が発生することも考えられ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑪自然災害・戦争・テロ・事故等について

 当社グループの拠点において、地震・水害等の自然災害、感染症の流行、戦争、テロ等の各種災害が発生した場合は、甚大な被害を被る可能性があります。また、当社グループに直接損害がなくとも、電力・ガス等の供給網の混乱や、サプライチェーンの寸断などにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は底堅く推移したものの、地政学的リスクの継続や金利・為替の変動等が懸念される不安定な状況にありました。国内経済は堅調な企業業績を背景に緩やかな回復傾向が見られましたが、物価上昇や国際情勢の変動などにより、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 当社グループにおきましては、昨年奈良県に開設した「生駒事業所」でのプロセスエンジニアリング事業の安定稼働を図るとともに、熱交換器事業、バルブ事業の生産体制強化に向け「鴻池事業所」の再構築を進めました。また、中東や東南アジアに関係会社を設立するなど、事業拡大、生産性向上のための施策を実施しました。

 このような状況の中、当連結会計年度における当社グループの受注高は、プロセスエンジニアリング事業が好調に推移し前年度に比べ11.2%増加し42,269百万円となりました。

 売上高は、熱交換器事業及びプロセスエンジニアリング事業が堅調に推移したことにより、前年度に比べ12.2%増加し38,353百万円となりました。

 利益面では、原材料価格の高騰に加え、賃上げによる人件費や生駒事業所開設に伴う減価償却費の増加がありましたが、売上が増加したことや利益率の改善などにより、営業利益は前年度に比べ19.3%増加し2,930百万円となり、経常利益は前年度に比べ17.1%増加し3,391百万円となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度に引き続き政策保有株式の売却益があったほか、補助金収入を計上したことなどにより、前年度に比べ56.2%増加し3,782百万円となりました。

 セグメント別の経営成績は次のとおりです。

 

『熱交換器事業』

 熱交換器事業は様々な産業で不可欠となる、流体の加熱・冷却を行うプレート式熱交換器などを製造・販売する事業です。

 受注高は、前年度に比べ0.6%減少し16,793百万円となりました。国内及び中東地域においてメンテナンス案件が好調に推移したほか、空調向けなどが好調に推移したものの、プラントや船舶関連において前年度の大口案件の反動減がありました。

 売上高は、前年度に比べ6.5%増加し16,152百万円となりました。メンテナンス案件が伸長したほか、豊富な受注残のある船舶向けが増加、CO2回収や空調向けの大口案件も納入しました。

 セグメント利益は、売上高の増加に加え、セールスミックスの改善などがあったものの、在庫の評価減の計上などにより、前年度に比べ26.7%減少し1,342百万円となりました。

『プロセスエンジニアリング事業』

 プロセスエンジニアリング事業は、レトルト食品などの調理殺菌装置、医薬品の滅菌装置や培養装置及び繊維製品の染色仕上機器などを製造・販売する事業です。

 受注高は、前年度に比べ25.6%増加し20,165百万円となりました。医薬機器において前年度の大型案件の反動減がありましたが、食品機器において無菌包装米飯製造プラントや飲料水関連のプラント案件を受注したほか、海外向けの染色仕上機器が好調に推移しました。

 売上高は、前年度に比べ22.8%増加し17,158百万円となりました。食品や飲料水、医薬関連の大型プラント案件を納入したほか、海外向けを中心に染色仕上機器が伸長しました。

 セグメント利益は、売上高が増加したことや生駒事業所稼働による生産性向上などにより、前年度に比べ439.1%増加し1,418百万円となりました。

『バルブ事業』

 バルブ事業は、様々な流体の制御に使われるボールバルブなどを製造・販売する事業です。

 受注高は、前年度に比べ5.4%増加し5,221百万円となりました。化学向けが減少しましたが、上下水道処理設備や鉄鋼向けなどが好調に推移しました。

 売上高は、前年度に比べ横ばいの4,954百万円となりました。受注同様に化学向けが減少しましたが、上下水道処理設備や鉄鋼向けなどが好調に推移しました。

 セグメント利益は、原材料価格の上昇などにより、前年度に比べ30.8%減少し292百万円となりました。

 

『セグメント別業績』                                          (単位:百万円/(%)前年度比増減率)

 

熱交換器事業

プロセスエンジニアリング事業

バルブ事業

その他事業

受注高

16,793( △0.6%)

20,165( 25.6%)

5,221(  5.4%)

88(   1.2%)

売上高

16,152(  6.5%)

17,158( 22.8%)

4,954( △0.0%)

88(   1.2%)

セグメント利益

1,342(△26.7%)

1,418( 439.1%)

292(△30.8%)

65(  2.9%)

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、税金等調整前当期純利益の計上5,150百万円や投資有価証券の売却による収入2,256百万円等の増加要因があったものの、固定資産の取得による支出5,491百万円や棚卸資産の増加1,251百万円等の減少要因があったことにより、前連結会計年度末の13,746百万円から922百万円減少し、当連結会計年度末では12,824百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は4,720百万円(前年度は461百万円の支出)となりました。

 これは、棚卸資産の増加があったものの、税金等調整前当期純利益の計上や契約負債の増加が上回ったためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、支出した資金は3,299百万円(前年度は3,822百万円の支出)となりました。

 これは、投資有価証券の売却による収入があったものの、固定資産の取得による支出が上回ったためであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、支出した資金は2,396百万円(前年度は3,828百万円の収入)となりました。

 これは主に、配当金の支払や自己株式の取得による支出によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年比(%)

熱交換器事業

12,295

111.8

プロセスエンジニアリング事業

15,306

129.4

バルブ事業

3,832

99.6

 報告セグメント計

31,435

117.9

その他

23

96.6

合計

31,458

117.8

 (注)上記金額は、総製造費用に基づいております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年比(%)

受注残高(百万円)

前年比(%)

熱交換器事業

16,793

99.4

7,594

109.2

プロセスエンジニアリング事業

20,165

125.6

18,147

119.9

バルブ事業

5,221

105.4

1,593

120.2

 報告セグメント計

42,180

111.3

27,335

116.7

その他

88

101.2

合計

42,269

111.2

27,335

116.7

 (注)上記金額は、販売価額で表示しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年比(%)

熱交換器事業

16,152

106.5

プロセスエンジニアリング事業

17,158

122.8

バルブ事業

4,954

100.0

 報告セグメント計

38,264

112.2

その他

88

101.2

合計

38,353

112.2

 (注)1.上記金額は、販売価額で表示しております。

2.総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。

 

(2)経営者の視点による財政状態、経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日現在)において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(資産)

 当連結会計年度末の資産は82,697百万円となり、前連結会計年度末82,017百万円から679百万円の増加となりました。

 流動資産は38,651百万円となり、前連結会計年度末38,636百万円から14百万円の増加となりました。主な内訳は、現金及び預金12,914百万円、売上債権11,812百万円及び棚卸資産13,388百万円であります。主な増加要因は、棚卸資産1,331百万円であります。

 固定資産は44,045百万円となり、前連結会計年度末43,380百万円から664百万円の増加となりました。主な内訳は、建物及び構築物13,041百万円、土地7,385百万円及び投資有価証券12,387百万円であります。主な増加要因は、建設仮勘定3,320百万円であります。

(負債)

 当連結会計年度末の負債は22,677百万円となり、前連結会計年度末21,715百万円から961百万円の増加となりました。

 流動負債は14,779百万円となり、前連結会計年度末12,884百万円から1,894百万円の増加となりました。主な内訳は、仕入債務4,782百万円及び契約負債5,841百万円であります。主な増加要因は、契約負債2,053百万円であります。

 固定負債は7,898百万円となり、前連結会計年度末8,831百万円から932百万円の減少となりました。主な内訳は、社債4,000百万円及び繰延税金負債2,626百万円であります。主な減少要因は、繰延税金負債908百万円であります。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は60,019百万円となり、前連結会計年度末60,301百万円から282百万円の減少となりました。主な内訳は、資本金4,150百万円、資本剰余金5,438百万円、利益剰余金44,369百万円及びその他有価証券評価差額金5,824百万円であります。主な減少要因は、資本剰余金3,382百万円及びその他有価証券評価差額金2,319百万円であります。

(受注高)

当連結会計年度における受注高は、前年度から11.2%増加の42,269百万円となりました。

当年度は、プロセスエンジニアリング事業が好調に推移したことから、前年度を上回る結果となりました。

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前年度から12.2%増加の38,353百万円となりました。

当年度は、熱交換器事業及びプロセスエンジニアリング事業が堅調に推移したことから、前年度を上回る結果となりました。

(利益)

 当連結会計年度における営業利益は、原材料価格の高騰に加え、賃上げによる人件費や生駒事業所開設に伴う減価償却費の増加がありましたが、売上が増加したことや利益率の改善などにより、営業利益は前年度に比べ19.3%増加し2,930百万円となり、経常利益は前年度に比べ17.1%増加し3,391百万円となりました。また、前年度に引き続き政策保有株式の売却益があったほか、補助金収入を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度に比べ56.2%増加し3,782百万円となりました。

(経営成績に重要な影響を与える要因)

 この先の経済情勢は、地政学的リスクの継続や金利・為替の変動、関税措置を巡る国際的な緊張など、依然として先行き不透明な状況が予想され、経済活動の慎重姿勢とともに成長ペースの鈍化が懸念されます。

 足元の国内経済は緩やかな改善基調で推移することが期待される一方で、原材料費、労務費、物流費等の上昇が、企業業績に影響を与えるものと思われます。

 当社グループにおきましては、引き続きコスト管理の徹底と生産性の向上に努めるとともに、中期経営計画「G-23」の最終年度として、省エネ、省人化などの社会課題の解決に向け、グループ一丸となり新製品開発やサービス事業の拡充、生産体制の強化など諸施策を進めてまいります。

 

(経営戦略の現状と見通し)

 当社グループが推進する経営戦略は、第2「事業の状況」の1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 また、経営戦略に掲げる中期経営計画「G-23」における最終年度(2026年3月期)の連結業績目標に対する現状と今後の見通しは次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

「G-20」

2023年

3月期

実績

「G-23」

増減率

 

B-A

2024年

3月期

実績

2025年

3月期

実績

2026年

3月期

目標

受注高

34,621

37,999

42,269

41,000

18.4%

売上高

34,074

34,180

38,353

44,000

29.1%

営業利益

1,912

2,457

2,930

3,000

56.9%

営業利益率

5.6%

7.2%

7.6%

6.8%

+1.2pt

経常利益

2,392

2,896

3,391

3,350

40.1%

親会社株主に帰属する当期純利益

2,040

2,420

3,782

2,690

31.9%

ROE

3.7%

4.2%

6.3%

4.5%

+0.8pt

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性についての分析の内、キャッシュ・フローの状況に関しましては、4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 今後の資本の財源及び資金の流動性に関しましては、製造業である当社グループにとって重要な設備投資、研究開発投資には多額の資金が必要となり、その資本の財源は、当社グループの自己資金で賄うことを基本としつつ、金融機関からの借入等による調達も実施しております。現在保有する資金に関しては、設備の刷新、事業の拡大、海外進出、M&A等の課題に対し、適宜検討して資金の適切な運用を図っていきます。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況」の「1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。

 連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は「第5 経理の状況」の「1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

 技術援助契約の主なものは、次のとおりであります。

提携先

国名

内容

契約発効日

期限

対価

DUPLEIX LIQUID

METERS LTD.

南アフリカ

ボールバルブに関する技術供与、情報の相互交換と製造販売

1987年

10月22日

2025年

10月12日

(自動更新)

先方販売高に一定比率を乗じた額

NOSEDA S.R.L.

イタリア

染色機の情報の相互交換と製造販売

1999年

12月16日

2025年

12月15日

(自動更新)

先方販売高に一定比率を乗じた額

株式会社進和及び

煙台進和接合技術有限公司

日本

中国

ブレージングプレート式熱交換器の製造技術の供与

2012年

3月12日

2026年

3月12日

(自動更新)

先方販売高に一定比率を乗じた額

ARSOPI-THERMAL,

Equipamentos

Termicos, S.A.

ポルトガル

プレート式熱交換器の情報提供と製造販売

2022年

1月1日

2031年

12月31日

先方販売高に一定比率を乗じた額

KAPP SAS

フランス

全溶接型プレート式熱交換器の販売と技術提携

2022年

1月1日

2031年

12月31日

当社販売高に一定比率を乗じた額

 

6【研究開発活動】

 当社グループでは経営理念『HISAKA MIND』を実践し、「熱、エネルギー、染色仕上、食品、バルブ、医薬、環境」の開拓者として、社会課題の解決に資する研究開発活動を推進するとともに、持続可能な社会の実現に貢献が期待できる新事業の創出活動については専任部署を設けて取り組んでおります。

 鴻池事業所には、熱交換器事業、プロセスエンジニアリング事業、バルブ事業それぞれに研究開発部門を設け、ユーザー・大学・公共研究機関などと技術交流を行い、研究開発の成果を上げております。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は126百万円であり、持続可能な社会の実現に貢献が期待できる新事業の創出活動を目的とする新規事業推進部で生じた費用を研究開発費としております。

 なお、セグメント情報においては、全社費用として計上しております。