第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

回次

第94期

第95期

第96期

第97期

第98期

決算年月

2020年5月

2021年5月

2022年5月

2023年5月

2024年5月

売上高

(千円)

18,639,400

17,558,484

17,157,849

15,777,228

18,608,982

経常利益

(千円)

1,178,917

982,488

808,855

1,109,833

1,473,567

当期純利益

(千円)

741,784

673,745

556,523

806,408

1,020,607

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

1,150,000

1,150,000

1,150,000

1,150,000

1,150,000

発行済株式総数

(千株)

3,832

3,832

3,832

3,832

3,832

純資産額

(千円)

21,693,655

22,102,967

22,455,589

23,296,040

24,787,570

総資産額

(千円)

27,745,103

27,210,988

27,846,345

29,040,083

31,739,131

1株当たり純資産額

(円)

5,980.46

6,189.34

6,288.08

6,523.47

7,020.04

1株当たり配当額

(円)

100.00

100.00

85.00

70.00

80.00

(1株当たり中間配当額)

(50.00)

(50.00)

(50.00)

(35.00)

(40.00)

1株当たり当期純利益

(円)

204.49

188.21

155.84

225.81

288.54

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

78.19

81.23

80.64

80.22

78.10

自己資本利益率

(%)

3.45

3.08

2.50

3.53

4.25

株価収益率

(倍)

11.75

14.56

13.35

10.10

13.85

配当性向

(%)

48.90

53.13

54.54

31.00

27.73

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

717,697

1,837,610

609,817

1,633,707

811,478

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

242,052

1,018,592

194,547

876,103

1,107,561

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

37,196

502,065

357,332

313,694

507,439

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

3,792,700

4,109,652

4,556,685

5,627,983

4,824,460

従業員数

(人)

361

358

352

341

355

[外、平均臨時雇用者数]

[146]

[157]

[158]

[145]

[146]

株主総利回り

(%)

87.5

102.8

82.7

92.2

154.9

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

(106.2)

(133.3)

(135.8)

(155.4)

(207.0)

最高株価

(円)

3,000

2,950

2,782

2,549

4,675

最低株価

(円)

1,938

2,192

2,000

1,981

2,211

 

 (注)1.当社は、潜在株式がありませんので、数値を記載しておりません。

2.当社は、連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については、記載しておりません。

3.最高・最低株価は、東京証券取引所の市場区分の見直しにより、2022年4月4日以降は東京証券取引所(スタンダード市場)におけるものであります。なお、2022年4月3日以前は東京証券取引所(市場第二部)におけるものであります。

4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第96期の期首から適用しており、第96期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

2【沿革】

1930年5月

中北辨造、大阪市北区松ケ枝町において自動調節弁の製造開始

1937年5月

大阪市北区今井町に移転、株式会社中北製作所設立

1939年6月

大阪市城東区蒲生町に移転

1960年6月

工場拡張のため大東市に工場建設(第1期工事)

1970年5月

大東新工場完成、生産組織を新工場に集約する

1971年12月

株式を大阪証券取引所市場第二部に上場する

1972年12月

業務一体化のため本社組織を大東市へ移転する

1994年9月

ISO9001(国際品質保証規格)の認証を取得する

2013年7月

東京証券取引所と大阪証券取引所との現物市場の統合に伴い、東京証券取引所市場第二部に株式を上場

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所市場第二部からスタンダード市場に移行

 

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社及び子会社(非連結)2社で構成されており、協力企業とともに、主として船舶用、発電プラント用などの自動調節弁、バタフライ弁、遠隔操作装置を製造及び販売しております。

 第97期(2022年6月1日~2023年5月31日)、第98期(2023年6月1日~2024年5月31日)の販売金額により、その比率を示すと、次のとおりであります。

 なお、当社はバルブ及び遠隔操作装置製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別に代えて品種別に示しております。

品種別

主要製品

販売構成比(%)

第97期

第98期

自動調節弁

自力式調整弁

42.6

42.6

他力式調節弁

遠隔操作弁

シリンダー弁

安全弁

空気式自動制御機器

空気式弁操作アクチェータ

原子力プラント用バルブ

過熱蒸気減圧減温装置

その他各種自動制御用特殊弁及び調節機器

 

手動バタフライ弁

 

 

バタフライ弁

遠隔操作バタフライ弁

31.5

31.5

 

超低温用(LNG用)バタフライ弁

 

 

遠隔操作装置

舶用荷役及びバラスト遠隔操作装置

25.9

25.9

舶用遠隔液面指示警報装置

 

4【関係会社の状況】

 該当事項はありません。

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

  当社は、バルブ及び遠隔操作装置製造・販売事業の単一セグメントであるため、従業員数についてはセグメント情報に関連付けて記載はしておりません。

 

 

 

 

2024年5月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

355

146

43.8

17.3

6,136,644

 (注)1.従業員数は就業人員であり、平均臨時雇用者数(人材会社からの派遣社員を含む)は[ ]内に外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(2)労働組合の状況

 当社には、株式会社中北製作所労働組合が組織されており、連合を構成するJAMに属しております。2024年5月31日現在の組合員数は、205名であります。

 1958年2月組合結成以来、労使関係はきわめて円満に推移し、労働組合との間に特記すべき事項はありません。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

補足説明

(注)3.

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

 (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.3.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

0.0

42.9

83.6

90.8

49.2

<賃金の差異の主な理由について>

1.正規雇用労働者

事業年度を基準に年間賃金を算出しており、勤務期間の短い新入社員や中途入社者の割合が女性社員は男性社員に比べて高いため、差が生じております。

2.パート・有期労働者

男性有期社員には高度専門職の社員や定年再雇用役職者を含むため、女性有期社員との差が生じております。

 

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.「労働者の男女の賃金の差異」については、賃金制度・体系において性別による差異はありません。男女の賃金の差異は、管理職比率及び職務区分の差及び上表の補足説明によるものであります。

 

第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は永年にわたり、舶用向けのバルブ、装置、各種プラント向けバルブの製造に携わり多くの技術、ノウハウを培い、経験を積んでまいりました。この技術と経験を基礎に「進取発展」の社是のもと、「新技術」へのたゆまぬ研鑽とより合理性を求めた「ものづくり」の途への飽くなき努力により、「バルブを中心とした流体制御の総合メーカー」として、時代の要求を先取りできる企業体質づくりに邁進いたします。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、経営環境が絶えず変化するなかで、会社の経営の基本方針に則った経営基盤の確保の為、財務の健全性・安定性、収益性の向上が必要であると理解しております。当社は生産性向上と原価低減への不断の努力を継続することで、業績目標等を確実に達成し、売上高営業利益率の向上を目指してまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社の製造は、すべてお客様の仕様による「ものづくり」ということで、基本的に多品種少量生産となります。したがいまして、当社のものづくりは、一品一葉なお客様の仕様を満足することと、生産性向上という相反することの実現が永遠の命題となります。当社は、この永遠の命題に飽くなき努力を重ね、売上高の拡大、利益率の改善に取り組んで行くことが、第一義的課題であると認識しております。

 1930年の創業以来、当社は「進取発展」の社是のもと、バルブを中心とした流体制御システムの設計・製造からメンテナンスまで、お客様のご要望をワンストップでお応えできるよう、日々努力を続けてまいりました。一方、加速化する時代の変化に対応するため、当社は“今を守りながら、新しいことにもチャレンジする”「挑戦」をテーマに加え、これまでのお客様の声をカタチにする“製品開発”に磨きをかけながら、新しい“技術開発”にも挑戦し、お客様に新しい価値や便益を提案する企業を目指してまいります。

 

(4)経営環境及び会社の対処すべき課題

 国内の景気は、緩やかな回復が続くことが期待されるものの、物価の上昇や、世界的な金融引締めに伴う海外景気の下振れが景気を下押しするリスクもあり、先行き不透明な状況にあります。当社の主要な受注先の造船業界では、新造船需要が改善しておりますが、脱炭素化、労働人口の減少等外部環境の変化に、海運会社や造船会社は環境対応船へのシフトやデジタル化等の対応を進めており、舶用機器メーカーにも環境対応船やデジタル化への対応が求められております。足元大きな影響はありませんが、対応の優劣が今後の業容の維持、拡大に影響を及ぼすものと考えております。

 このような経営環境のなか、以下の取組みにより、企業体質の強化に努めてまいります。

① M&A、協業を含む攻めの投資促進と海外展開の強化

② 顧客関係管理による提案型営業活動、国内外アフターサービス体制の強化

③ 脱炭素に寄与する製品開発と販売促進、データを活用したコト売り事業の創出

④ DX、マスカスタマイゼーション生産体制の構築による生産性向上

⑤ 多様な人材の確保および育成、技能伝承

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

  当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社は2021年11月16日開催の取締役会において「サステナビリティ方針」を定めており、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題について取締役会で議論し対応しております。当社のサステナビリティ方針は次のとおりであります。

 

1.環境への取り組み

・地球環境に配慮し、温室効果ガス排出量の削減・産業廃棄物の削減・水使用量の削減等環境負荷低減を推進し
 ます。

・事業活動を通じて環境負荷の低減に資する製品・サービスを提供することで、地球環境の保全に貢献します。

2.人権の尊重

・従業員だけでなく、事業活動に関わる全ての人の人権を尊重します。

3.地域社会と共に

・地域に根ざした企業市民の一員として、地域社会との対話を大切にし、地域社会への貢献活動を積極的に行い
 ます。

4.誠実な事業活動

・事業活動を行う国・地域のあらゆる適用法規を遵守し、社会的規範、社会的良識に基づいた企業活動を行いま
 す。

 

(2)戦略

①サステナビリティへの取組

 当社は社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題への対応が、リスクの減少のみならず収益機会にも繋がる重要な経営課題であると認識しております。収益機会としての重点的施策のひとつとして液化水素用バタフライバルブの開発を実施しており、2050年のカーボンニュートラルに寄与する技術開発を積極的に推進してまいります。

 

②人的資本への取組

 当社は競争力の源泉である人材の力を高めることで企業が持続的に成長し社会の発展へと繋がると考え、多様な人材が活躍し、自ら学び成長できる組織づくりを推進しております。当社の人材の基本的な考え方は次のとおりであります。

 

1.人材育成

 多様な人材の活用が新たな価値を創造すると考え、あらゆる人材に対し、能力開発およびキャリアアップの機会を公平に提供し、自ら学び成長する自律型人材を育成します。

 

目指すべき人材像

・(進取発展) 果敢に挑戦する人材

・(顧客起点) 愚直に実践する人材

・(SQCDの徹底向上) ブランド力を高める人材

 

2.教育研修制度

 仕事を通じて人は成長するという考えのもとOJTでの人材育成を基本にしつつ、階層別研修、目的別研修等Off-JTでの育成を行います。また、自ら学び成長できる自己啓発の機会としてe-Learning等を提供します。

 

3.安全衛生

 中北安全推進宣言の下、安全衛生に係る管理体制を確立し、従業員の安全と健康を確保し快適な職場環境を形成することで、安心して働くことのできる環境づくりに取り組みます。

 

中北安全推進宣言

・自分のため、家族のために、安全を何よりも優先する。

・安全に不可欠な投資は無制限とする。

・安全教育を推進する。

 

4.ワークライフバランス

 従業員がやりがいや充実感を感じながら活躍できる風土を醸成するとともに、家庭や地域、自己啓発等にかかる時間を充実させるため、労使一体となって仕事と生活の調和を目指します。

 

(3)リスク管理

 当社は、サステナビリティを含む様々なリスクの管理については、各部門の担当部署において、損失の危険の軽減と現実化の予防を行い、各部門を横断する損失の危険につながる事案については、当社の管理部門が全社的な観点から監理しております。各部門は、当社の事業に関する重大なリスク若しくは重大なリスクが顕在化するおそれを認識したときは、速やかにリスク管理委員会に対してその状況を報告し、リスク管理委員会は、対処方針を決定し迅速かつ的確に対処しております。

 

(4)指標及び目標

①サステナビリティ

 当社は地域社会への取組みとして清掃活動や寄付活動を通じた地域社会への参加、脱炭素社会への取組みとしてエコアクション21による環境マネジメントシステムや、環境配慮型製品の開発、供給を行っております。

 エコアクション21を通じた重点施策や目標値については当社ホームページにて「環境経営レポート」を公開しております。当事業年度の「環境経営レポート」は認証審査を経て、2024年11月に公開する予定です。

 

②人的資本

 当社は人的資本に関する取組みが持続的成長に繋がると認識しておりますが、現時点では数値目標を設定しておりません。しかしながら、人的資本を意識した経営の実現に向け、社内で協議を進めており、取締役会で十分に現状を分析・評価し、計画を策定した上で、株主の判断・評価に資する範囲で開示してまいります。

 当事業年度における人的資本に関する実績は次のとおりであります。

 

1.教育研修(外部)

教育研修(外部)受講者数

教育研修(外部)受講時間

135

1,400.25時間

 

2.育児休業

 

育児休業(出生時育児休業を含む)

復職率

対象者数

取得者数

男性

7名

3名 (42.9%)

100.0%

女性

0名

0名 ( 0.0%)

0.0%

 

3.採用

 

新卒採用者数

経験者採用者数

合計

男性

1名

26名

27名

女性

1名

5名

6名

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)受注先業界の動向

 当社の製品は、すべて受注生産であり、主要受注先は造船業界及び電力業界をはじめとするプラント業界であります。日頃から情報収集に努め受注活動を行っておりますが、受注先業界の動向により、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)品質保証

 当社は、1994年に品質保証規格ISO9001の認証を取得しており、これに基づく品質マネジメントシステムを構築し、適切な運用と有効性の継続的改善を図り、お客様要求事項及び法令・規則要求事項を満たし、お客様に信頼される万全の品質保証体制を築いて、各種バルブ及び遠隔操作装置の製造・販売事業を行っております。しかしながら、万一当社製品の欠陥にもとづくクレーム事故が発生した場合には、当社の業績及び社会的評価等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)保有株式の時価及び実質価額の下落又は低下

 当社は、保有する株式の時価及び実質価額が簿価から著しく下落又は低下し、回復の見込みのない場合は、評価損を計上する場合があります。多額の評価損の計上により、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、保有する株式については、年に1回取締役会において個別銘柄毎に、経済合理性、取引関係の状況及び将来の見通し等の観点から保有の意義について検証しております。検証の結果、妥当性が認められない場合には縮減することとしております。

 

(4)大規模な自然災害

 当社の生産拠点はすべて本社のある大阪府に集中しており、職場環境の整備・改善並びに従業員の安否確認システムの導入及び防災訓練の実施、データバックアップ体制の構築等、リスクの低減に努めておりますが、大規模な地震や風水害等の自然災害が発生した場合には、操業停止や操業度低下に伴い、生産能力が低下し、当社の業績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)情報セキュリティ

 当社は、取引先の情報や、当社のノウハウを蓄積した開発情報等の内部機密、更には業務に従事している従業員の個人情報等、当社の事業を支える重要な情報を保持しております。

 これらの情報資産を保護するため、各種委員会を設け、各種規程を定め、情報セキュリティ管理体制の構築・整備や社内教育等を行っております。

 しかしながら、天変地異や、コンピュータ・サーバー・ネットワーク機器の故障に起因するシステム障害からの情報の消失、コンピュータウイルスや不正アクセス等による情報漏洩があれば取引先に大きな損失を与えることはもちろんのこと、当社の業績、事業の継続に大きな影響を与える可能性があります。

 

(6)安全衛生

 当社の製造部門における工場での作業や、サービス部門における船舶や発電所等のプラント内での作業において、万一重大な労災事故が発生した場合は、社会的信用が失墜し、当社の業績、事業の継続に影響を与える可能性があります。

 また、新型コロナウイルスをはじめとした感染症が拡大した場合には、当社の操業に制限が発生し大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)人材確保、育成

 当社の操業には、各種資格や技能を有する人材の確保が必要ですが、少子高齢化による労働人口の減少により、人員体制の確保ができない場合は当社の業績や事業の継続に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境、企業収益が改善しているなかで、設備投資にも持ち直しの動きがみられ、景気は緩やかに回復しております。しかしながら、物価の上昇に加え、世界的な金融引締めに伴う海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクもあり、景気の先行きは不透明な状況が続きました。

 当社の主要な受注先の造船業界では、新造船需要が改善しております。当社は需要が拡大する舶用関連に加え、発電プラント等陸用関連においても、国内外で積極的な営業活動を行い、顧客ニーズの掘り起こしに努める提案型営業活動を展開し、受注獲得に努め、修理やメンテナンス関連の部品注文獲得にも注力しました。

 当事業年度における受注高は、22,637百万円(対前事業年度比20.5%増)となり、3,855百万円前事業年度を上回りました。品種別にみますと、自動調節弁8,177百万円、バタフライ弁8,985百万円、遠隔操作装置5,475百万円となり、対前事業年度比では、自動調節弁は190百万円、バタフライ弁は2,950百万円、遠隔操作装置は714百万円の増加となりました。

 この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

 a.財政状態

  当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比べ2,699百万円増加し、31,739百万円となりました。

  当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比べ1,207百万円増加し、6,951百万円となりました。

  当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比べ1,491百万円増加し、24,787百万円となりました。

 

 b.経営成績

  当事業年度の売上高は18,608百万円(対前事業年度比17.9%増)、営業利益は1,203百万円(対前事業年度比47.3%増)、経常利益は1,473百万円(対前事業年度比32.8%増)、当期純利益は1,020百万円(対前事業年度比26.6%増)といずれも前事業年度を上回りました。

 なお、当社はバルブ及び遠隔操作装置製造・販売事業の単一セグメントであるため、上記経営成績についてはセグメント情報に関連付けて記載はしておりません。

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて803百万円減少し、当事業年度末の資金残高は4,824百万円(対前事業年度比14.3%減)となりました。

 また、当事業年度中における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は811百万円(対前事業年度比50.3%減)となりました。

 これは主として、税引前当期純利益が1,477百万円(対前事業年度比31.4%増)であり、減価償却費197百万円(対前事業年度比15.0%減)、仕入債務の増加による収入515百万円(前事業年度は仕入債務の減少による支出404百万円)があった一方、売上債権の増加による支出911百万円(前事業年度は売上債権の減少による収入1,160百万円)、棚卸資産の増加による支出247百万円(対前事業年度比77.5%増)、法人税等の支払額327百万円(対前事業年度比50.3%増)があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動の結果使用した資金は1,107百万円(対前事業年度比26.4%増)となりました。

 これは主として、有価証券の償還による収入2,200百万円(対前事業年度比40.5%減)、投資有価証券の償還による収入2,106百万円(対前事業年度比24.8%減)があった一方、有価証券の取得による支出2,602百万円(対前事業年度比21.2%減)、投資有価証券の取得による支出2,206百万円(対前事業年度比12.0%減)、有形及び無形固定資産の取得による支出309百万円(対前事業年度比91.4%減)、長期貸付けによる支出313百万円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動の結果使用した資金は507百万円(前事業年度は313百万円の収入)となりました。

 これは主として、長期借入金の返済による支出142百万円(対前事業年度比67.2%減)、配当金の支払額266百万円(対前事業年度比6.2%増)、自己株式の取得による支出98百万円(前事業年度は0.05百万円の支出)があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社は、バルブ及び遠隔操作装置製造・販売事業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績についてはセグメント別に代えて品種別に示しております。

 

a.生産実績

 当事業年度の生産実績を品種別に示すと下表のとおりであります。

品種別

第98期(2023.6~2024.5)(千円)

前年同期比(%)

自動調節弁

7,983,025

119.3

バタフライ弁

5,801,966

118.3

遠隔操作装置

4,751,982

117.5

18,536,973

118.5

 (注)1.金額は販売価額で表示しております。

2.上記の生産実績には、協力工場よりの製品の仕入高が以下のとおり含まれております。

第98期(2023.6~2024.5)(千円)

前年同期比(%)

5,516,734

120.1

 

b.受注実績

 当事業年度における品種別の受注実績は次のとおりであります。

品種別

第98期

(2023.6~2024.5)

受注高(千円)

前年同期比(%)

第98期末

(2024.5.31現在)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

自動調節弁

8,177,186

102.4

5,414,218

105.0

バタフライ弁

8,985,526

148.9

7,102,335

178.0

遠隔操作装置

5,475,069

115.0

3,617,403

122.3

22,637,781

120.5

16,133,956

133.3

 (注)金額は販売価額で表示しております。

c.販売実績

 当事業年度の販売実績を品種別に示すと、次のとおりであります。

 当社の製品は直接販売(メーカーへの直納)が主でありますが、一部は商社を通しても販売しております。

品種別

第98期

(2023.6~2024.5)

販売高(千円)

前年同期比(%)

販売構成比(%)

自動調節弁

7,920,841

117.9

42.6

バタフライ弁

5,873,757

118.1

31.5

遠隔操作装置

4,814,384

117.9

25.9

18,608,982

117.9

100.0

 (注)1.金額は販売価額で表示しております。

2.最近2事業年度の主要な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する比率

相手先

第97期(2022.6~2023.5)

第98期(2023.6~2024.5)

金額(千円)

比率(%)

金額(千円)

比率(%)

三菱重工業㈱

2,198,817

13.9

2,025,990

10.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比べ2,699百万円増加の31,739百万円となりました。これは主として、売上債権が911百万円、有価証券が399百万円、棚卸資産が247百万円、構築物(純額)が111百万円、建設仮勘定が67百万円、投資有価証券が1,307百万円、長期貸付金が311百万円それぞれ増加したものの、現金及び預金が803百万円減少したこと等によるものであります。

 負債合計は、前事業年度末と比べ1,207百万円増加の6,951百万円となりました。これは主として、仕入債務が515百万円、未払金が101百万円、賞与引当金が43百万円、製品保証引当金が68百万円、未払法人税等が254百万円、繰延税金負債が253百万円、資産除去債務が81百万円それぞれ増加したものの、長期借入金が142百万円減少したこと等によるものであります。

 純資産合計は、前事業年度末と比べ1,491百万円増加の24,787百万円となりました。これは主として、当期純利益が1,020百万円、配当金の支払266百万円により、利益剰余金が21,171百万円(前事業年度末と比べ754百万円の増加)となったこと、自己株式の取得98百万円があったこと、また、その他有価証券評価差額金が1,802百万円(前事業年度末と比べ835百万円の増加)となったこと等によるものであります。

 売上高では、18,608百万円(対前事業年度比17.9%増)となり、2,831百万円前事業年度を上回りました。品種別では、自動調節弁7,920百万円、バタフライ弁5,873百万円、遠隔操作装置4,814百万円となり、対前事業年度比では、自動調節弁は1,201百万円、バタフライ弁は899百万円、遠隔操作装置は730百万円の増加となりました。輸出関連の売上高は、2,648百万円となり、前事業年度を543百万円上回りました。当事業年度末の受注残高は期首に比べて4,028百万円増の16,133百万円となりました。

 利益面では、営業利益は1,203百万円(対前事業年度比47.3%増)、経常利益は1,473百万円(対前事業年度比32.8%増)、当期純利益は1,020百万円(対前事業年度比26.6%増)といずれも前事業年度を上回りました。

 なお、当社はバルブ及び遠隔操作装置製造・販売事業の単一セグメントであるため、上記経営成績についてはセグメント別に代えて品種別に示しております。

 当社の業績に重要な影響を与える要因については、「第2事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 なお、当事業年度の売上高17,500百万円、営業利益900百万円、経常利益1,110百万円、当期純利益770百万円の業績目標に対して、売上高18,608百万円、営業利益1,203百万円、経常利益1,473百万円、当期純利益1,020百万円の結果となり、業績目標は上回りました。(2024年1月9日発表の修正業績目標は、売上高18,000百万円、営業利益1,320百万円、経常利益1,600百万円、当期純利益1,110百万円)

 その結果、当事業年度の売上高営業利益率は、6.46%となりました。

 注)売上高営業利益率=営業利益/売上高×100

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社の当事業年度のキャッシュ・フローの状況の分析は、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要のうち主なものは、材料の購入費用のほか、製造費(製造に係る労務費・経費)、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資によるものであります。当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、設備投資や運転資金の調達については、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。なお、当事業年度末における借入金の残高は1,621百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は4,824百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものは、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のほか、以下のとおりであります。

 

a.固定資産の減損

 固定資産については、製造事業関連資産と賃貸関連資産とにグルーピングし、各関連資産ごとに将来キャッシュ・フローを見積り、これをもとにして減損の兆候を判定しております。減損の兆候がみられる場合には、減損損失の認識を行うかどうかを判定し、減損損失計上の検討を行います。

 

b.繰延税金資産

 繰延税金資産については、将来の課税所得を十分に確保できることを検討した上で、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、繰延税金資産が減少した場合、税金費用が計上される可能性があります。

 

c.棚卸資産の評価

 当社の棚卸資産は、商品及び製品、仕掛品については期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合は、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。原材料及び貯蔵品については期末における再調達原価が取得原価よりも下落している場合は、当該再調達原価をもって貸借対照表価額としております。

 正味売却価額は、受注先との契約に基づく販売価額、または、期末において見込まれる将来販売時点の販売価額に基づいて見積もっております。

 なお、当社の棚卸資産は、今後の市況や需要動向等によっては、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社が技術援助等を受けている契約として、2005年7月29日、株式会社ササクラとの間で「業務提携基本合意書」を取り交わした、LNG船用超低温バタフライ弁の製造販売に関する業務提携契約があります。

 その主な内容は、以下のとおりであります。

(1)株式会社ササクラの設計による超低温バタフライ弁で、原則として、日本、韓国、中国で建造されるLNG運

 搬船に搭載されるものを対象とする。

(2)当社は、当社が製造販売した超低温弁の正味販売価格の5%を技術料として、株式会社ササクラに支払う。

(3)契約期間は、契約日から5年間とする。ただし、両社のいずれかより期間満了日の3ヵ月以上前に終結の申し

 入れがない場合は、満了日から1年間自動更新されるものとし、以後これを繰り返すものとする。また、両社の

 間で合弁会社を設立したときは、その設立の日までとする。

 

6【研究開発活動】

 当社の研究開発は、開発専属担当者が中心となり必要に応じて設計部門・現場部門の要員を加えた研究体制で数件の主要なテーマをもって研究開発を行っております。

 当事業年度におきましては、海事DXの一端を担う新サービス・新製品の開発、昨年度から引き続き、顧客への提供価値を高めるために、AI・機械学習技術を利用した新製品・新技術の開発と、来るべき水素社会に向けた液体水素用大口径バタフライバルブの技術開発に加え、これら開発プロセスで得られた知見を基にグローブバルブの技術開発も注力して進めております。

 なお、当社が支出した研究開発費の総額は209,572千円であります。

 また、当社は、バルブ及び遠隔操作装置製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けて記載はしておりません。

 

第3【設備の状況】

1【設備投資等の概要】

 当社では、生産性向上と原価低減、さらに事業環境の変化に積極的に対応し更なる事業の発展を目指すための設備投資を進めております。当事業年度における重要な設備の新設及び改修につきましては、耐圧検査装置及びオートグラフ(精密万能試験機)の新設を行いました。

 なお、当事業年度において重要な設備の除却、売却等はありません。

 

2【主要な設備の状況】

 2024年5月31日現在の各事業所別の主要な設備配置の状況は次のとおりです。

 なお、当社は、バルブ及び遠隔操作装置製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けて記載はしておりません。

事業所名

(所在地)

設備の内容

帳簿価額

従業員数(人)

 

土地

(千円)

(面積㎡)

建物

(千円)

構築物

(千円)

機械及び装置

(千円)

その他設備

(千円)

合計

(千円)

本社及び工場

(大阪府大東市)

自動調節弁・遠隔操作装置生産設備、販売設備及び統括業務

335,194

(26,627.74)

345,868

170,476

338,386

51,258

1,241,184

321

東京営業所

(東京都港区)

販売設備

(-)

6,023

1,443

7,466

17

北九州営業所

(北九州市小倉北区)

販売設備

(-)

21

1,252

1,274

17

協力工場

(大阪府大東市他)

貸工場

1,368,337

(18,037.49)

118,700

1,092

100

5,772

1,494,002

白浜保養所

(和歌山県田辺市)

従業員厚生設備

980

(46.29)

1,624

2,604

工場等予定地

(大阪府交野市)

土地

4,279,812

(40,070.31)

4,279,812

合計

5,984,325

(84,781.83)

472,237

171,568

338,487

59,727

7,026,345

355

 (注)1.白浜保養所土地面積(46.29㎡)は共有持分按分面積及び区分所有面積であります。

2.その他設備は、車両運搬具・工具、器具及び備品であり、建設仮勘定は含んでおりません。

3.主なリース契約設備は、次のとおりであります。

設置事業所

設備内容

数量

リース期間(年)

リース料(年間)(千円)

本社及び工場等

事務機器等

1式

1~5

13,586

車両運搬具

29台

1~5

14,568

28,154

 

3【設備の新設、除却等の計画】

 当社の設備投資については、景気予測、業界動向、投資効率、資金負担等を総合的に勘案し計画しております。

 当事業年度末における重要な設備の新設及び改修の計画は次のとおりであります。

 なお、当社は、バルブ及び遠隔操作装置製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けて記載はしておりません。

事業所名

(所在地)

設備の内容

投資予定金額

資金調達方法

着手及び完了予定年月

完成後の増加能力等

総額

(百万円)

既支払額

(百万円)

着手

完了

本社・工場

(大阪府大東市)

生産設備

更新・改修工事

481

自己資金

2024. 6

2025. 5

生産効率向上