当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、経営の基本方針として、「企業理念体系」を制定し、「企業理念」、「私たちの価値観」を定めております。これらを踏まえ、グループ全体の企業価値向上を実現するために、一人ひとりが個性を発揮してお客様の期待に応え、私企業としての利益を追求するとともに、社会の公器として社会に貢献してまいります。
《企業理念》
私たちは「求める心とみんなの力」を結集し、セキュア(安心・確実)な社会の発展に貢献します
「求める心」には、「顧客、社会のニーズに不屈の精神で挑戦し、不可能を可能にしていく」という思いが込められています。そして、「求める心」を共有した「みんなの力」が結束してはじめて偉大な仕事ができるという、いつの時代も変わることのないグローリーの原点を表しています。
《私たちの価値観》
「私たちの価値観」は企業理念の実現のために、当社グループが大切にする考え方であり、当社グループで働くすべての人々の行動や判断の基準となるものです。
キャッシュレス化や金融機関の店舗数減少など、当社グループを取り巻く事業環境は目まぐるしく変化しています。このような環境のなか、当社グループが持続的に成長し続けるために、2026中期経営計画の策定に合わせ、当社グループの価値観と行動の原点である、企業理念体系の見直しを実施し、新たに「私たちの価値観」を定めました。
(2) 経営環境
経営環境につきましては、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、すべてのステークホルダーの皆様との良好な関係に基づく企業価値向上を目指し、自己資本当期純利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、総資産利益率(ROA)、営業利益、売上高の向上を目標とする経営を実践してまいります。
(4) 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
長期ビジョン及び中期経営計画
当社グループは、2018年3月に創業100周年を迎え、次代を築くために10年後のありたい姿を描いた以下の『長期ビジョン2028』を定めました。
グローリーグループ長期ビジョン2028
『人と社会の「新たな信頼」を創造するリーディングカンパニーへ』
Confidence Enabled
当社グループは、長期ビジョンの実現に向けた第3ステップとして、2024年4月からの3ヶ年を計画期間とする『2026中期経営計画』に取り組んでおります。本計画では、“GLORY TRANSFORMATION 2026 ~お客様と共に未来を創造するグローリー ~”をコンセプトに、「新たな収益源の獲得」、「コア事業の収益拡大」、「経営マネジメントの強化」「リスクマネジメントの強化」の4つを基本方針とし、世界最高品質の製品群とソフトウェアプラットフォームを融合し、店舗DXをサポートする企業となることを目指して、以下の重点施策を推進しております。
方針1:新たな収益源の獲得
本方針では、当社グループの強みである顧客基盤や技術等を活かし、お客様の収益力強化に貢献するソリューションビジネスを新たな事業の柱として確立することを目指しております。
特に、リテール、金融、飲食の3市場に狙いを定め、新領域事業の収益拡大を加速すべく、以下の施策を実施しております。
リテール市場においては、店舗DXと売上拡大に貢献するソリューションの拡充や、Flooidグループが提供する小売業向けクラウドソリューションであるユニファイド・コマース・プラットフォームを活用した顧客層の拡大に注力いたします。
金融市場においては、店舗運営の効率化に貢献する遠隔接客サービスなど新たなツールの提供や、金融サービスへのアクセスポイントを提供するためのシェアードサービスを推進いたします。
飲食市場においては、人手不足と人件費高騰を背景とするDXの動きを追い風に、セルフサービスキオスクやモバイルオーダーサービスなど、次世代型飲食店舗創出プラットフォームの提供によるソリューション事業を展開してまいります。
方針2:コア事業の収益拡大
本方針では、通貨処理機事業等のコア事業において、新たな機会の獲得による事業成長及び収益拡大を図ってまいります。
リテール市場では、セルフ型つり銭機と新技術を掛け合わせ、人手不足対応や顧客サービスの向上に寄与するソリューションを提案してまいります。また、「UBIQULAR™」を始めとする各種ソリューションの販売を強化し、リカーリング売上の拡大を図ります。
金融市場では、多様化する店舗形態に対応し、アシストセルフ機等の省人化ニーズに応える製品の販売拡大に取り組むとともに、新興国におけるシェア拡大を進めてまいります。
方針3:経営マネジメントの強化
本方針では、経営管理の強化、経営資源の適正な確保・分配、サステナビリティへの取組み強化を推進してまいります。
具体的には、収益力の向上を目指したROIC経営を推進するとともに、社内におけるDX推進を加速し、タイムリーな経営判断に活用できるデータの整備及び可視化や業務の抜本的効率化を図ってまいります。また、グループ再編を含む組織改革の推進や人材育成、社員エンゲージメントの向上に取り組むとともに、カーボンニュートラル実現や人権方針に基づく活動を推進し、持続的な社会の実現と企業価値向上を目指してまいります。
方針4:リスクマネジメントの強化
本方針では、急激な外部環境変化に備えたBCP(事業継続計画)の改善やサイバーセキュリティの強化を推進してまいります。
特に、お客様への安定的な製品供給を行うため、当社グループ全体の適正な在庫水準の見直し・確保を行うとともに、地政学的リスク、自然災害の発生等各種リスクの軽減・低減及び事業の継続・早期復旧を可能とする体制の充実に努めてまいります。また、サイバーセキュリティ対策強化のため、情報システム及び人的リソースの拡充を図ってまいります。
当社グループは、「私たちは『求める心とみんなの力』を結集し、セキュア(安心・確実)な社会の発展に貢献します」という企業理念の下、これまで培ってきたコア技術と新たな価値を創造する先進的な技術で社会課題の解決に取り組むことにより、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ共通
①ガバナンス
当社グループは、取締役社長を委員長とし、常勤取締役、カンパニー長、社長直下の本部長等をメンバーとする「サステナビリティ委員会」を設置し、取締役会の定める経営方針に基づき以下の任務を行っております。また、同委員会が、その活動状況を定期的に取締役会に報告することで、取締役会が基本方針や指標の設定、取組み状況等について監督する体制を構築しております。
1. サステナビリティ経営に関する基本方針、基本計画、社内推進体制の審議
2. サステナビリティ推進活動に関する中期・年度方針の策定
3. サステナビリティ方針に基づく各種取組みの推進、進捗状況モニタリング
4. 各種活動に該当する個々の案件に関する推進可否の審議
さらに、同委員会の下部組織として、サステナビリティ重要課題に対する目標・KPIの設定や具体的な施策の検討・推進等を担う5つの部会(環境部会、人材部会、社会貢献部会、ガバナンス部会、価値創造部会)を設け、特定した重要課題への取組みを推進しております。
②戦略
当社グループは、ステークホルダーからの信頼を得て、持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けるために、「社会の持続的成長への貢献と企業価値向上を目指した取組みの推進」をサステナビリティ方針として掲げ、「環境」「社会」「ガバナンス」「新しい価値の創造」の4つの分野において、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を特定し取り組んでおります。
「2026中期経営計画」においては、グローリーグループへの影響度と、ステークホルダーにとっての重要度の2つの視点から評価した結果、「温室効果ガス排出量の削減」や「事業戦略に資する人材の確保・育成」、「人権の尊重」等の13項目を当社グループにとってのサステナビリティ重要課題として特定しました。また、それぞれの重要課題について、2026年度に向けた重点実施事項と目標を設定し、その達成に向けた取組みを推進しております。なお、サステナビリティ重要課題は、事業環境や経営環境の変化に柔軟に対応するために、定期的な見直しを実施しております。
マテリアリティマップ
③リスク管理
当社は、当社グループのリスク管理体制の維持・強化を目的に、取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」を設置しております。同委員会では、リスク(機会を含む)の特定、評価及び対応等を含むリスク管理プロセスに沿った活動を推進しており、気候変動リスクなど、サステナビリティに関するリスクも対象として活動しております。
なお、詳細については、「
④指標及び目標
当社グループのサステナビリティ重要課題とその指標及び目標は、下記の当社サステナビリティサイトに記載しております。
■2026中期経営計画 サステナビリティ目標
https://www.glory.co.jp/csr/glory_csr/material_issues/#anchor04
(2)気候変動への対応
当社グループは、2021年11月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、様々な取組みを推進しております。今後も、各取組みの進捗に合わせ、TCFDのフレームワークに沿った気候変動関連情報の開示の充実を図ってまいります。
①ガバナンス
当社グループは、持続可能な社会の実現に向け、「温室効果ガス排出量の削減」をサステナビリティ最重要課題の一つとして特定し、事業活動のあらゆる局面での環境負荷軽減を目指した経営を推進しております。
気候変動に関する課題は、取締役会から指名された環境マネジメント担当役員を委員長とする「環境委員会」(年2回)において議論されており、決定された重要事項及びそれらの取組み状況については、取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」(年2回)にて報告され、承認を得ております。また、これらの活動結果は、取締役会に定期的に報告することとしており、サステナビリティに係る経営の意思決定と業務執行の監督が適切になされる体制を整備しております。
②戦略
当社グループは、当社グループの事業にとって重要と考えられるリスクと機会、キードライバー(当社グループの事業に影響を与えると思われる要因)、気候変動が中長期で当社事業にもたらすインパクトを、以下のとおり想定しております。
また、IPCCやIEAのシナリオに基づき、事業や財務に及ぼす影響を分析し、その対応策を立案、推進しております。今回も昨年と同様に、パリ協定の目標に沿って気候変動対策が実施される「1.5/2℃」と、気候変動対策が実施されず、気候変動の影響が生じる「4℃」の2つのシナリオ※1を用い、TCFDが例示する典型的なリスクと機会を参考に分析を行いました。
「1.5/2℃シナリオ」(パリ協定の2℃目標が達成された世界)
炭素税の導入に伴う事業コスト増加については、中から大の財務への影響が確認された一方、エネルギー(電力、ガス、ガソリン等)価格変動の影響については、事業コスト減少による中程度の影響が確認されました。
「4℃シナリオ」(現在のペースでCO2が増え続け、地球温暖化が進む世界)
河川氾濫や高潮により、生産や物流拠点が被災し、復旧にかかる費用、事業・操業停止による利益の減少が想定されますが、これらの財務への影響はともに小さいことが確認されました。
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リスク/機会 |
キードライバー (要因) |
事業インパクト |
期間※2 |
財務インパクト※3 |
当社グループの対応 |
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分類 |
項目 |
1.5℃ シナリオ |
4℃ シナリオ |
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移行 リスク |
政策/ 法規制 |
炭素税の導入 |
炭素税の導入により事業コストが増加 |
中期 |
<中> コスト増加 |
・計画的な省エネ/再エネ設備への投資の実施 ・再生可能エネルギー比率の向上 ・排出権取引の導入 |
|
|
長期 |
<大> コスト 増加 |
<中> コスト 増加 |
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|
対象法令の拡大/複雑化 |
法令遵守対応のためのコストが増加 |
短~ 長期 |
<中> コスト増加 |
・法規制に対応する技術/製品開発への取組み ・専任スタッフによる各国法規制の動向注視/対応 |
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|
技術 |
省エネ製品/サービスへの市場ニーズの高まり |
市場競争力維持/向上のための研究開発費が増加 |
中~ 長期 |
<中> コスト増加 |
市場/業界動向を踏まえた技術/製品開発 |
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|
環境配慮型製品の開発遅れによる売上高の減少 |
<中> 売上減少 |
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市場 |
原材料コストの上昇 |
エネルギー(電力、ガス、ガソリン等)価格の変動 |
中期 |
<中> コスト 減少 |
<中> コスト 増加 |
再生可能エネルギー比率の向上 |
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|
長期 |
<中> コスト 減少 |
<中> コスト 増加 |
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評判 |
ステークホルダーからの脱炭素化に向けた要求の高まり(温室効果ガス排出量削減に向けた社会的要請の高まり) |
脱炭素に向けた取組みや情報開示を怠った場合、投資家の投資判断が悪化 |
短~ 長期 |
<大> |
顧客要請、ESG関連情報開示基準に基づく適切な情報開示 |
||
|
外部要請への対応遅れによる評価、売上に対するマイナス影響の発生 |
<大> |
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リスク/機会 |
キードライバー (要因) |
事業インパクト |
期間 |
財務インパクト |
当社グループの 対応 |
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分類 |
項目 |
2℃ シナリオ |
4℃ シナリオ |
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物理的 リスク |
急性 |
自然災害の激甚化 |
自社工場や従業員の被災(台風や洪水等)等により、操業/営業停止等の損失が発生 |
中期 |
<小> |
・生産拠点の水害リスク評価を実施するとともに、事業継続計画(BCP)を策定 ・原材料の調達先や供給体制、輸送ルート等におけるリスクの分散化 |
|
|
長期 |
<小> |
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建物/生産設備の損壊により設備復旧のコストが増加(高潮、河川氾濫、洪水) |
中期 |
<小> |
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|
長期 |
<小> |
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|
部品調達先の操業不能により部品供給が停止 |
短~ 長期 |
<小> |
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慢性 |
海面の上昇 |
海抜の低い生産/物流拠点の操業停止 |
中~ 長期 |
<小> |
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平均気温の上昇 |
空調設備の負荷上昇により運転コストが増加 |
短~ 長期 |
<小> |
省エネルギー対策、高効率な空調設備の導入 |
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機会 |
製品/サービス |
環境配慮型製品の需要拡大 |
環境配慮型製品の需要拡大による売上高の増加 |
中~ 長期 |
<大> |
環境配慮型製品の創出 |
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|
低炭素サービス・ソリューションの需要拡大 |
CO2排出量削減に資するDXビジネスの創出による売上高の増加 |
中~ 長期 |
<大> 売上増加 |
新領域事業としてDXビジネス(セルフ・遠隔接客・無人店舗ソリューション等)の創出推進 |
|||
※1 使用したシナリオ
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評価内容 |
使用したシナリオ |
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炭素税、エネルギー価格 |
IEA WEO2022/NZE,APS,STEPS |
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自然災害 |
IPCC:AR6/RCP2.6,RCP4.5,RCP8.5 |
※2 期間の定義
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区分 |
期間 |
備考 |
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短期 |
~2026年度まで |
当社グループの「2026中期経営計画」期間 |
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中期 |
~2030年度まで |
2030年までの中期環境目標を設定済 |
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長期 |
~2050年度まで |
ネットゼロを想定した2050年までの長期環境目標を設定済 |
※3 財務インパクトの定義
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評価結果 |
影響金額 |
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大 |
10億円以上 |
|
中 |
1億円以上10億円未満 |
|
小 |
1億円未満 |
③リスク管理
当社グループは、取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」において、事業運営上の様々なリスク(機会を含む)への対応を行っており、気候変動リスクについても、リスク項目の一つとして特定しております。気候変動リスクの特定とその対応については、環境マネジメントシステムの仕組みを活用し、適切に管理しております。
④指標及び目標
当社グループは、気候変動に関連するリスク及び機会を管理するための指標をCO2排出量と定め、2050年度にカーボンニュートラルの実現(スコープ1・2についてCO2排出量実質ゼロ)を目指す「2050環境目標」と、そこからバックキャスティングしたマイルストーンとして「2030環境目標」を設定しております。2024年4月には、CO2排出量削減に向けた取組みをより強化していくため、SBT(Science Based Targets)イニシアチブの認定基準に基づく目標に変更しました。また、事業活動におけるCO2排出量(スコープ1・2)については、グローバルでの取組みを推進していくため、集計範囲を当社及び国内・海外の連結子会社に拡大しております。
具体的な取組みとしては、各生産拠点における高効率な設備の計画的な導入・更新や太陽光発電の導入拡大、CO2フリー電力の購入、社用車のエコカーへの切り替え等を進めてまいります。
また、スコープ3についても、2030年度に向けた削減目標を設定し、バリューチェーン全体でのカーボンニュートラルの実現を目指してまいります。
(3)人的資本・多様性に関する取組み
①ガバナンス
②戦略
当社グループは、新たな価値創造に向けた変革に取り組み、社会課題の解決を成長へのエンジンへと転換していくため、「2026中期経営計画」では、「事業戦略に資する人材の確保・育成」と「働きやすい職場環境の確保」をサステナビリティ重要課題に特定し、人材戦略目標として「競争力の源泉となる人的資本の充実」を掲げております。DX戦略を牽引していく人材の確保・育成や次世代の経営を担う人材の育成・強化など“個人と会社の成長”につながる施策とともに、健康経営の推進を始めとした“働きやすさの向上”に関する社内環境整備施策を推進することで人材戦略を着実に実行し、人的資本経営の基盤づくりに取り組んでまいります。
「個人と会社の成長」に関する取組み
1)DX人材の確保、育成
当社では、社内におけるDX推進を加速することを経営課題の一つと認識しており、以下のとおり、全体を4階層に分けた研修を2024年度より実施しております。
〈2026年度の目標値〉
2)次世代の経営を担う人材の育成、強化
a.グローバル人材の育成
近年の海外事業展開の加速により、当社グループの売上高に占める海外売上高の比率は6割程度にまで高まっており、2025年3月末現在のグループ全体の外国籍従業員比率は55.6%です。こうした状況から、グローバル事業を支える人材の育成にも注力しており、以下を始めとする諸施策を実施しております。
海外短期留学制度:海外の語学学校で、ビジネスに通用する語学力・スキル・経験等を獲得することを通じて、グローバル視点を持つ人材の育成を図っております。2014年より開始し、25名が本制度を利用しました。
海外トレーニー制度:海外グループ会社における1年間のOJTを通して、グローバルに活躍できる経験とスキルを持った人材の早期育成を目的とする制度を設けております。制度創設後、開発部門や営業部門等の従業員28名が、本制度を利用しました。
b.次世代中核人材の育成
次期経営幹部育成プログラム(GBC)
次世代の幹部人材の育成を目的に、管理職層の従業員を対象とした「GLORY Business College」を実施しております。本研修は、約7ヶ月間にわたる全7回のプログラムと社外セミナーに参加し、幹部として必要なスキルや知識の習得などを目指すものです。また、メンバー同士の意見交換や異業種交流等を通じ、社内外のネットワーク構築にもつながっております。
3)成長が実感できる良質な学びの提供
自己成長プログラム(まなVIVA)
当社では、2024年度より、従業員が自己実現に向けて必要なスキルを身につけるために、自ら考え、選択して学び、自己の価値を高める機会を自己成長プログラム(まなVIVA)として充実させております。具体的には、ビジネススキルや専門職種のスキル、IT・デジタルスキルを強化するためのオンライン学習プラットフォームや語学力強化を目的とした学習ツールの提供、視野を広げるための他社交流プログラム・越境学習など、様々な学びの場を準備し、従業員のキャリア形成をサポートしてまいります。
4)個性や能力を発揮できる環境の整備
a.社員エンゲージメントの向上
当社では、働きがいのある職場づくりを目指し、執行役員・社員・シニア社員を対象に、社員エンゲージメントや社員を活かす環境、ハラスメントやサステナビリティに関する意識の浸透度等をテーマに従業員意識調査を行っております。
調査結果は各部門の管理職層にフィードバックし、主要内容は従業員に公開しております。この調査を定期的に行い、現状把握及び過去の調査結果との比較を行うことで課題を抽出し、改善に向けた施策の立案につなげてまいります。また、施策の効果についても次回以降の調査で確認してまいります。
2023年度は、3,547名を対象に実施し、回答率は90%、そのうち肯定的な回答は42%でした。今後も、2026中期経営計画の目標である「肯定的な回答率55%以上」の達成を目指し、社員エンゲージメントの向上に取り組んでまいります。
b.キャリア面談
当社では、従業員が持つ知識やスキル、経験、キャリアに関する志向等を明確にし、従業員一人ひとりの働きがい向上と人事情報を経営資源として有効活用することを目的に、「人材データベースシステム」を導入しております。本データベースを基に、各職場において上司と部下がキャリア面談を実施することにより、従業員一人ひとりが自身のキャリアビジョンを明確にし、自律型人材として能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでおります。
c.キャリアチャレンジ制度
当社では、従業員が自律的なキャリア形成にチャレンジできるよう「キャリアチャレンジ制度」を設けております。新たな人材を求める部署が必要人材を公募する「社内公募型」に加え、自らのキャリアプランに基づき必要な資格・スキルを身につけた従業員が、自らの意思で希望する部門に応募できる「自己申告型」も開始します。従業員の主体的なキャリア形成に加え、社内活性化や従業員のモチベーション向上にもつなげております。
「働きやすさの向上」に関する取組み
1)健康経営の推進
当社は、従業員の健康を良好に保つことが、企業活動における重要な経営課題と捉え、「健康経営宣言」を制定し、従業員の健康維持に向けた様々な取組みを推進しております。なお、当社は、経済産業省及び日本健康会議が策定する「健康経営優良法人認定制度」大規模法人部門で、「健康経営優良法人」に2020年から現在まで継続して認定されております。
2)ダイバーシティの推進
a.女性活躍推進
当社では、性別を問わず優秀な人材の採用・育成に努めており、その能力を十分に発揮できる環境整備に取り組んでおります。女性のさらなる活躍機会の拡大に向け、働き方改革や両立支援などに注力するとともに、女性の管理職登用により一層取り組むため、キャリア意識醸成を目的とした異業種合同の通年参加型プログラムに、毎年、女性従業員を派遣しております。
2025年4月の新卒採用者における女性比率は14.3%、女性管理職比率は3.2%(2025年3月末現在)であり、2026年度の目標値(女性新卒採用比率25%以上、女性管理職比率5.0%)に向け、継続活動してまいります。
また、男性の育児休業取得のさらなる推進にも取り組んでおります。2024年度の取得率は80.8%であり、2026年度の目標値90%達成に向けて啓発活動を続けてまいります。
b.キャリア採用者の活躍
当社は、多彩な知見、専門スキル、バックグラウンド、キャリア等を有する即戦力人材を積極的に獲得しております。特に現時点においては、経営方針に合わせ、経営の中核を担う人材や、新事業分野の推進を担うIT・DXに関する知識やスキルを有する高度専門人材等の採用、管理職や専門職への登用も積極的に行っております。
なお、2025年3月末時点の管理職におけるキャリア採用者の比率は、26.0%です。
c.外国籍人材の活躍
当社では、事業のグローバル化に伴い、「国籍を問わず優秀な人材の採用及び管理職への登用を行う」ことを方針に掲げ、外国籍人材も含めたグローバル人材を積極的に採用しております。コーポレート部門、海外事業部門等において、多様なバックグラウンドを持つ外国籍の従業員が活躍しております。
日本国内では、2025年3月末時点で、中国やオーストラリアを始め24名の外国籍の従業員が活躍しており、今後も、外国籍従業員の採用を積極的に推進し、管理職への登用も進めてまいります。
また、当社グループ全体では6,300名以上(55.6%)が外国籍従業員であり、各現地法人は、経営幹部、管理職とも外国籍従業員が中心となり運営されております。
d.障がい者雇用
当社グループでは、障がい者の自立を支援し、社会で活躍する場を提供しております。1999年に特例子会社として設立したグローリーフレンドリー株式会社では、「人と人とのふれあいを大切にしながら、自分たちの持っている力を充分に発揮し、創造ゆたかな職場をつくっていく」ことをスローガンに、各人の個性や能力に合わせ、構内美化や緑化作業、社内書類・郵便物の集配、廃棄物管理等の業務を担当しております。また、職域の拡大にも注力しており、各人が強みを活かし、活き活きと働くことのできる場面を提供し続けたいと考えております。
3)人権の尊重
当社グループは、企業理念の実現のために当社グループが大切にする考え方であり、グループ全従業員の行動や判断の基準となる、「私たちの価値観」を制定しております。「私たちの価値観」では、「社会とお客様のために」、「誠実」、「挑戦」、「スピード」に加え「多様性の尊重」や「チームワーク」を掲げ、多様な価値観や文化、一人ひとりの個性を尊重するとともに、チームの力を最大化することで不可能を可能にすることを目指しております。
また、当社グループの全従業員が遵守すべき法令や倫理規範を定めた「グローリー法令遵守規範」においては、差別やハラスメントの禁止を始めとした人権保護に関する項目を掲げるとともに、国連が提唱する「人権・労働・環境・腐敗防止」についての普遍的原則である国連グローバル・コンパクトへ署名・参加するなど、人材の多様性を含む、人権を尊重した企業活動、環境づくりに取り組んでおります。
このような状況の中、昨今の企業活動と人権に関する社会的要請や期待の高まりを受け、「2026中期経営計画」において、「人権の尊重」をサステナビリティ最重要課題の一つとして位置づけるとともに、2024年4月には取組みの指針として、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った「グローリーグループ人権方針」を制定しました。今後も本方針に基づき、当社グループにおける取組みをさらに強化し、人権を尊重した経営を推進してまいります。
③リスク管理
④指標及び目標
人材育成及び社内環境整備について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、当社グループに属するすべての会社では行われていないため、当社グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する実績及び目標は、当社グループにおける主要な事業を営む当社のものを記載しております。
主な指標(実績及び目標)
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テーマ |
施策 |
2026年度KPI |
2024年度 |
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目標 |
実績 |
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個人と会社の成長 |
DX人材の確保、育成 |
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働きやすさの向上 |
健康経営の推進 |
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前年度以下 |
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電気機械器具製造業における過去5年間の平均値以下 |
平均値以下 |
度数率: (平均値:0.54) 強度率:1.132 (平均値:0.02) |
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ダイバーシティの推進 |
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障がい者雇用率 法定雇用率の厳守 |
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人権の尊重 |
①人権方針の策定・浸透 ②人権DDの実施 |
①人権方針の策定 ②人権DDのプロセス検証 |
①人権方針の策定(2024年4月) ②お取引先さま訪問によるヒアリングの実施(計4社) |
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人権に関する研修* 受講率100% *ハラスメントに関する研修含む |
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当社グループでは、2019年3月期よりグループ全体のリスクマネジメント体制を整備し、リスク管理委員会を中心に、重点領域を設定して対策強化を行うとともに、これらの情報については取締役会に報告する体制としております。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
(1)リスクマネジメント体制
当社は、社長を委員長とする「リスク管理委員会」を設置し、当社グループのリスク管理体制の維持・強化を進めております。
(2)リスク管理プロセス
リスク管理活動は、下記のPDCAを回すことでリスクの特定と評価を行っています。洗い出されたリスクを、影響度と発生可能性の二軸で評価し、重要リスクと特定した事項について、主管部門を中心に平時における予防措置を講じるとともに、危機発生時に迅速に対応できる体制の確保・向上に努めており、リスク管理委員会では、その結果に基づき、諸対策について審議しています。また、その概要については、定期的に取締役会に報告しております。
(3)事業等のリスク
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リスク分類 |
リスク項目 |
リスク内容 |
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事業環境 |
キャッシュレス化の急速な進展/現金処理機への高い依存 |
当社グループは、ソフトウェアプラットフォームやDMP事業などのDX分野を含む新領域事業の拡大に取り組んでおりますが、新領域事業が成長するまでの間に、デジタル通貨の発行など急激なキャッシュレス化がグローバルに、また短期間に進展した場合には、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、2026中期経営計画において、リテール・金融及び飲食市場を注力市場とし、ソフトウェアプラットフォームの提供によりお客様の店舗DXのサポートを行うことで、新領域事業の拡大を加速させてまいります。 |
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海外事業展開 |
当社グループは、海外市場への事業展開を積極的に行っておりますが、戦争や紛争の発生、高率の追加関税など国際情勢の変化による事業活動への影響を含む地政学的リスクに加えて、予想の範囲を超える為替相場や金利の変動、知的財産の侵害等が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、世界各地で高まる地政学的リスクの影響を低減する中長期的な事業戦略と生産戦略の立案と推進、また為替相場の変動に備えた為替ヘッジ施策、未来創造と事業収益に直結した知的財産活動により、事業展開を進めてまいります。 |
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各国の法令・各種規制 |
当社グループは、事業活動を行っている国及び地域において、事業の許認可や輸出入規制のほか、環境関連及びデジタル規制を含む技術に関する法令等の適用を受けております。これらの法令の改廃や新設等がなされ、対応が遅れた場合、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、各国法規制の動向を調査のうえ、かかる規制等の適用を受ける業務の特定、リスク評価と対応策の実施ならびに社員教育を進めてまいります。 |
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戦略投資 |
当社グループは、中長期にわたる持続的な企業価値向上を目的として、コア事業の拡大及び新領域事業創出に向けて積極的に経営資源を投入しております。2025年3月期末現在、企業買収に伴い発生した「のれん」及び「顧客関係資産」の金額は、それぞれ連結総資産の15.0%(66,031百万円)及び7.4%(32,877百万円)を占めており、事業環境の変化等により期待した成果が得られない場合には減損損失が発生し、業績に影響を与える可能性があります。また、持分法適用会社となった投資先が事業計画を達成できない場合には、持分法による投資損失が発生し、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、戦略投資委員会規程に基づき、投資先の事業を取り巻く環境の評価を定期的に実施し、取締役会等において報告を行うことで、投資後の管理を確実に行い、投資時のシナリオに沿った成長戦略の推進を行っております。 |
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サプライチェーン |
当社グループは、天災や事故等によりサプライヤーの生産活動が停止した場合や、特定の部品や原材料等、世界的な需給バランスの崩れにより、納期遅延が発生した場合は、生産に影響が生じ、業績に影響を与える可能性があります。 また、インフレーション等により部品・原材料の価格が高騰した場合には、原価 が上昇し、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、入手性の高い部品・原材料への切替えや、緊急時の事業継続を目的とした適正在庫の確保など、安定的な生産が可能な方策を進めております。 |
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事業環境 |
人材の確保 |
当社グループは、グローバルに事業活動を展開しており、多様な国籍、価値観、専門性等を持つ従業員が働いております。当社グループの中長期的な成長は、これらの人材に大きく依存していることから、優秀な人材、特に新領域事業拡大に必要なDX人材等の確保・育成が中長期的に計画どおり進まなかった場合、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、競争力の源泉となる人的資本の充実を人材戦略の目標に掲げ、社員エンゲージメントの向上策として、個人と会社の成長が実感できる人材育成と健康経営を中心とした働きやすさの向上や、ダイバーシティの推進、人権の尊重に取り組むことにより、DX人材を中心とした人材の確保・育成に注力してまいります。 |
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事業運営 |
知的財産権 |
当社グループは、当社グループ製品による第三者の重要な知的財産権の侵害を防止するとともに、第三者により当社の知的財産権を侵害されないよう他社製品の継続的な調査を行っておりますが、当社グループのような研究開発型企業においては、他社との知的財産紛争が生じる可能性があります。このような事態が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、知的財産部門と事業部門が連携し、知的財産における当社の市場ポジションを示す“IPランドスケープ”を実施することにより、第三者の知的財産権の調査を通して、知的財産紛争発生のリスク低減を図っております。 |
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情報セキュリティ |
当社グループは、顧客等の個人情報や機密情報の漏洩等の防止は、必要不可欠の事項と捉え、規程の制定、社内教育の徹底、情報セキュリティシステム構築等の措置を講じていますが、情報漏洩等の事態が発生した場合、当社グループの信用低下につながるだけでなく、顧客等に対する損害賠償責任が発生するおそれがあります。また、当社グループの事業活動において、情報システムの重要性が高まっており、不正アクセスによる事業活動の停止リスクも増大しております。
<対応策> 当社グループは、グループCISOを中心に情報セキュリティガバナンスの統制を行い、社員教育の徹底、システムの刷新や運用状況のモニタリング等の対策を継続・強化しております。 |
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ソリューションの品質 |
当社グループは、金融機関や流通店舗、飲食店舗での現金の取扱い等、安定的な運用が強く求められていることから、信頼性の高いソリューションを提供することに注力しております。しかしながら、デジタル技術やネットワーク技術の活用、ソリューションの高度化に伴う不確実要因など、想定外の品質問題の発生もあり得るため、これらが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
<対応策> 当社グループは、品質管理システムに基づき、品質及び安全性の設計・検証を徹底しております。また、保守サービスにおいても、遠隔監視や定期点検により問題発生の未然防止に努めております。品質問題が発生した場合や法規に抵触する可能性のある不具合が発生した場合は、迅速に品質マネジメント担当役員に情報が届くシステムを設定し、対応に遅れが出ないようにしております。 |
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資金調達 |
当社グループは、事業活動の資金を内部資金及び金融機関からの借入れや社債の発行等により調達しています。主に日本、米州、欧州において政策金利の引上げや、格付機関による当社信用格付けの引下げ等が生じた場合には、資金調達コストが増加し、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、資金繰り計画を適時に更新するとともに、銀行借入れや社債発行など資金調達の多様化を進めることにより、流動性リスクの低減を図っております。 |
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環境 |
気候変動 |
当社グループは、気候変動問題を喫緊の課題と捉え、事業活動における温室効果ガス排出量の削減や環境配慮型製品の開発等に取り組んでおります。しかし、各国における法規制や要求が予測を超えることにより「移行リスク」が高まった場合、省エネ/再エネ設備への投資や炭素税・排出権取引の導入等によるエネルギー調達コストの増加、さらには販売機会損失や企業ブランド棄損による企業価値低下が発生するなど、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、気候変動により台風・豪雨等の自然災害が激甚化することにより、「物理的リスク」が高まった場合、自社工場及び従業員の被災や部品調達先の操業停止等の影響を受け、当社グループの事業活動が制限され、業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、「温室効果ガス排出量の削減」をサステナビリティの最重要課題として特定し、国際基準(SBT)に基づくグローバル規模での温室効果ガス排出量の削減目標を掲げ、2050年度の「CO2排出量実質ゼロ(スコープ1・2)」に向けた取組みを推進しております。さらに、バリューチェーンにおける環境負荷(スコープ3)についても、削減目標を設定し取り組んでおります。また、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しており、今後も引き続き提言に沿った情報開示の充実を図ってまいります。 |
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内部統制 |
内部統制 |
当社グループは、財務報告等の正確性を確保するため、業務プロセスの文書化や厳密な内部監査の実施等により内部統制システムの強化に努めておりますが、その内部統制システムが有効なものであっても、従業員等の作業ミスや不正等によって機能しなくなる場合があります。このような事態が生じた場合には、財務情報を修正する必要が生じ、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
<対応策> 当社グループは、2022年2月に発覚した国内子会社における金銭横領事件を受け、経理・財務関連規程や現預金管理の厳正化等の再発防止策の取り組みを通して、グループ全体における内部統制と子会社ガバナンス体制を強化するとともに、コンプライアンス意識の浸透・徹底を図っております。 |
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国の通商政策の不透明感や欧米を中心とした高い金利水準の継続による影響が懸念されましたが、景気は回復基調となりました。日本経済においては、為替が大きく変動し、物価上昇が続きましたが、企業収益や雇用情勢の改善を背景に、設備投資及び個人消費に持直しの動きが見られました。
当社グループを取り巻く事業環境は、国内外での人件費高騰や人手不足に伴う省人化及び業務効率化のニーズが継続し、セルフ型製品への需要が堅調に推移いたしました。
こうした状況のなか、当社グループは、2024年4月からの3ヶ年を計画期間とする『2026中期経営計画』をスタートし、「GLORY TRANSFORMATION 2026 お客様と共に未来を創造するグローリー」をコンセプトに、世界最高水準の製品群とソフトウェアプラットフォームを融合し、お客様の店舗DXをサポートする企業を目指し事業活動に取り組んでまいりました。
海外市場につきましては、金融市場では、主要製品の販売は米州を中心に減少いたしましたが、欧州では、製品・サービスへの堅調な需要を背景に販売が増加いたしました。また、保守売上高は市場全体で増加いたしました。リテール市場では、大手グローバルリテーラーとの間で大口案件が増加するなど、省人化や業務効率化ニーズに対応した製品・サービスへの需要が堅調で、販売が増加いたしました。2024年1月に買収したFlooidグループの売上高も堅調に推移いたしました。また、米州では、連結子会社間の合併に伴う事業統合作業や保守事業の内製化の進展等により、収益性が改善傾向にあります。飲食市場においても、セルフサービスキオスクをはじめとしたAcrelecグループの販売が順調でした。
国内市場につきましては、金融市場では、新紙幣発行に伴う製品の更新や改造作業が増加した前期からの反動により、販売は減少いたしました。また、流通・交通市場でも、新紙幣対応に伴う需要の収束により販売が減少しましたが、金融市場及び流通・交通市場ともに、新紙幣発行前である2023年3月期の売上高を上回る結果となりました。遊技市場では、遊技機向けカードシステムの売上高は高水準を維持し、周辺機器の販売も好調に推移いたしました。また、飲食市場向けソリューションの拡大を目的に、次世代店舗創出プラットフォーム「O:der Platform」を提供するShowcase Gig社に追加出資し、2024年10月に子会社化いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、369,017百万円(前期比 0.9%減)となりました。このうち、製品及び商品売上高は、236,322百万円(前期比 1.9%増)、保守売上高は、132,695百万円(前期比 5.6%減)でありました。利益につきましては、営業利益は、35,173百万円(前期比 31.2%減)、経常利益は、28,414百万円(前期比 41.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、16,053百万円(前期比 45.7%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(金融市場)
主要製品である「オープン出納システム」及び窓口用「紙幣硬貨入出金機」の販売は、新紙幣対応に伴う需要が急増した前期と比較すると減少したものの、大口受注による販売が増加したため、売上高は高水準を維持いたしました。また、新紙幣発行に伴う改造作業の一巡により、保守売上高は減少いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は、54,432百万円(前期比 30.6%減)、営業利益は、8,664百万円(前期比 64.2%減)となりました。
(流通・交通市場)
主要製品である「レジつり銭機」の販売は、新紙幣対応に伴う需要の収束により減少したものの、売上高は高水準を維持いたしました。一方、「券売機」の販売は好調でありました。また、新紙幣発行に伴う改造作業により保守売上高は前期並みでありました。
この結果、当セグメントの売上高は、69,791百万円(前期比 6.7%減)、営業利益は、9,808百万円(前期比 7.4%減)となりました。
(遊技市場)
主要製品である「カードシステム」の販売は、スマート遊技機の導入が本格化した前期と比較すると減少したものの、売上高は高水準を維持いたしました。一方、周辺機器である「両替機」の販売は好調でありました。また、新紙幣発行に伴う改造作業の一巡により、保守売上高は減少いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は、27,737百万円(前期比 1.6%減)、営業利益は、8,503百万円(前期比 15.2%減)となりました。
(海外市場)
米州では、主要製品である金融市場向け「紙幣入出金機<GLRシリーズ>」の販売は低調でしたが、リテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI-Xシリーズ>」の販売は好調であり、売上高は、100,874百万円(前期比 12.8%増)となりました。
欧州では、主要製品である金融市場向け「紙幣入出金機<GLRシリーズ>」及びリテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI-Xシリーズ>」の販売は好調であり、売上高は、90,013百万円(前期比 13.2%増)となりました。
アジアでは、リテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI-Xシリーズ>」の販売は堅調であり、売上高は、19,163百万円(前期比 17.3%増)となりました。
また、Acrelecグループの売上高は、33,208百万円(前期比 11.0%増)でありました。Flooidグループの売上高は、12,120百万円でありました。
この結果、当セグメントの売上高は、210,051百万円(前期比 13.4%増)、営業利益は、8,486百万円(前期比 31.0%増)となりました。
その他の事業セグメントにつきましては、売上高は、7,004百万円(前期比 19.9%増)、営業損益は、288百万円の損失(前期は 173百万円の損失)となりました。
また、当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。
総資産は、前連結会計年度末に比べ27,577百万円減少し、441,655百万円となりました。主な要因は、現金及び預金16,355百万円の増加、及び、受取手形、売掛金及び契約資産19,713百万円、棚卸資産15,427百万円、のれん5,505百万円の減少であります。
負債は、前連結会計年度末に比べ34,984百万円減少し、205,588百万円となりました。主な要因は、社債14,200百万円の増加、及び、短期借入金23,168百万円、未払法人税等10,042百万円、賞与引当金3,650百万円の減少であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ7,406百万円増加し、236,067百万円となりました。主な要因は、利益剰余金8,278百万円の増加であります。
この結果、自己資本比率は53.3%(前連結会計年度末は48.5%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ16,295百万円増加し、51,468百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、45,752百万円の収入となりました(前期は41,854百万円の収入)。これは、主に法人税等の支払18,978百万円等による資金の減少があった一方、売上債権の減少20,458百万円、減価償却費15,339百万円、のれん償却費8,694百万円、棚卸資産の減少15,497百万円等の資金の増加があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,911百万円の支出となりました(前期は33,577百万円の支出)。これは、投資事業組合からの分配金1,756百万円の収入があった一方、製品の製造に係る金型・治工具類にかかる有形固定資産の取得による5,093百万円の支出、ソフトウェア等の無形固定資産の取得による2,537百万円の支出、Showcase Gig社の株式取得による2,655百万円の支出があったためであります。
以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは37,841百万円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、21,275百万円の支出となりました(前期は13,957百万円の支出)。これは、主に社債発行による14,125百万円等の収入があった一方、借入金の純増減額による25,931百万円の支出、配当金の支払い7,017百万円等の支出があったためであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、当社グループ(当社及び連結子会社)の生産実績のうち、当社及び主な海外連結子会社の金額を記載しております。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
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金融市場(百万円) |
20,456 |
77.7 |
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流通・交通市場(百万円) |
27,272 |
92.5 |
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遊技市場(百万円) |
5,224 |
45.5 |
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海外市場(百万円) |
38,956 |
78.4 |
|
報告セグメント計(百万円) |
91,910 |
78.6 |
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その他(百万円) |
1,122 |
162.4 |
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合計(百万円) |
93,033 |
79.1 |
(注)金額は当社及び主な海外連結子会社の製造原価によっております。
b.受注実績
当社グループの製品は、大部分が見込生産であるため、受注高及び受注残高の記載は省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
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金融市場(百万円) |
54,432 |
69.4 |
|
流通・交通市場(百万円) |
69,791 |
93.3 |
|
遊技市場(百万円) |
27,737 |
98.4 |
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海外市場(百万円) |
210,051 |
113.4 |
|
報告セグメント計(百万円) |
362,013 |
98.7 |
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その他(百万円) |
7,004 |
119.9 |
|
合計(百万円) |
369,017 |
99.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績等の概要)

■売上高 : 3,690億円(前期比 34億円減)
国内市場におきましては、上半期まで新紙幣発行に伴う製品の更新及び改造作業が増加いたしました。また、海外市場におきましては、リテール市場向けソリューションの販売が堅調に推移いたしました。これらの結果、全社の売上高は概ね前期並みの水準となりました。
■営業利益 : 351億円(前期比 159億円減)
経常利益 : 284億円(前期比 198億円減)
親会社株主に帰属する当期純利益 : 160億円(前期比 135億円減)
営業利益につきましては、金融市場における新紙幣発行に伴う製品の更新及び改造作業の反動減の影響を受け減益となりました。主な減益要因といたしましては、売上高の減少による影響が15億円、販売費及び一般管理費の増加の影響が95億円でありました。なお、販売費及び一般管理費の主な増加要因といたしましては、円安に伴う海外のコスト増加及び新紙幣発行への対応に伴う物流コストの増加が挙げられます。
当社グループは、2026中期経営計画期間(2025年3月期から2027年3月期)において、目標とする経営指標を、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、総資産利益率(ROA)、営業利益、売上高、新領域事業売上高としております。中期経営計画の初年度にあたる当期におきましては、上記の図に示すとおり、すべての指標において目標を達成いたしました。
*売上高、新領域事業売上高を除く各指標につきましては、いずれも「のれん償却前」の数値を目標値として
設定しております。
(企業価値向上への取り組み)

当社の株価純資産倍率(PBR)は、2017年度頃までは海外事業の成長に対する市場の期待を背景に、概ね1.2倍の水準で推移しておりました。しかしながら、2018年度以降は、PBR 1倍を下回る水準で推移しております。これは、2018年4月に日本国政府(経済産業省)より発表された「キャッシュレス・ビジョン」等を契機として、国内外においてキャッシュレス決済の拡大が見込まれる中、当社の将来性に対する懸念が市場に広がり、結果として株価の下落したことが一因であると推測しております。
企業価値の向上は、当社グループにとって最も重要な経営課題の一つであると認識しており、その実現に向けて継続的に取り組んでまいります。具体的には、成長エンジンとして位置付ける海外事業及び新領域事業の成長促進、株主還元の強化、ならびに中期経営計画における財務目標である自己資本利益率(ROE)、及び投下資本利益率(ROIC)の改善等に注力してまいります。
当社グループは、海外事業を中長期的な成長エンジンと位置付けておりますが、上記の図の示すとおり、近年著しい成長を遂げております。売上高は、2013年度から2020年度にかけて約1,000億円で横ばいに推移しておりましたが、直近5年間で倍増し、2,000億円を超える水準に成長いたしました。
営業利益率につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、半導体の供給不足、部品価格の高騰、ならびに海外子会社におけるセキュリティインシデント等により一時的に低下いたしましたが、現在は回復基調にあります。また、先行投資を行ってまいりましたAcrelec社及びFlooid社においても、売上高、営業利益ともに順調に拡大しており、2025年度の海外事業全体では、売上高2,160億円、のれん償却前営業利益240億円(営業利益率 11.1%)を見込んでおります。
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題と位置付け、「将来への事業成長への投資、財務体質の維持・強化を図りつつ、安定した配当を継続すること」を基本方針としております。
この基本方針のもと、「2026中期経営計画」期間(2025年3月期から2027年3月期)における目標として
① 2024年3月期の配当金額(1株につき年間106円)を基準とした累進配当
② 株主資本配当率(DOE)3%以上
を掲げてまいりましたが、成長エンジンと位置付ける海外事業、及び飲食店向けソリューションや流通店舗向けプラットフォーム等の新領域事業が成長し、収益性も改善していることから、株主還元の一層の強化を図るべく、2026年3月期及び2027年3月期の両会計年度におきましては、上記目標に加え
③ 総還元性向 100%以上
を新たな目標として追加いたしました。
加えて、「利益配分に関する基本方針」の変更に伴い、「2026中期経営計画」のキャッシュ・アロケーションにつきましても上記の図に示すとおり見直しを行いました。これにより、借入金の返済額を当初計画より200億円減額する一方で、株主還元額を300億円増額しております。
また、連結財務諸表「注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、自己株式の取得(取得価額の上限:150億円/取得株式の上限:600万株)につき、2025年5月13日開催の取締役会において決議いたしました。本決議に基づき取得した自己株式につきましては、取得終了後、その全数を消却する予定です。
当社は、財務目標である自己資本利益率(ROE)の達成に向け、以下の取り組みを着実に推進してまいります。
まず、ROEの分子にあたる「親会社株主に帰属する当期純利益」(IFRS会計基準においては「当期利益」)の向上につきましては、Acrelec社、Flooid社、Showcase Gig社とのシナジーを最大限に活用し、収益拡大の早期実現を図るとともに、成長エンジンと位置づける米州事業の高収益化に注力してまいります。
一方、分母にあたる自己資本につきましては、株主還元の強化に加え、最適な資本構成を踏まえた負債水準の見直しを進めることで、資本の適正化に取り組んでまいります。
また、投下資本利益率(ROIC)につきましては、以下の取り組みを推進することにより、目標の達成を目指してまいります。
まず、ROICの分子にあたる税引後営業利益の増大については、前述の「親会社株主に帰属する当期純利益」の向上施策と同様の取り組みにより、収益力の強化を図ってまいります。
一方、分母にあたる投下資本(有利子負債及び純資産)につきましては、不採算事業の改善・撤退や高収益事業への戦略的投資を通じた事業ポートフォリオの最適化を進めるとともに、棚卸資産や売掛債権などの運転資金の圧縮による資本効率の向上を推進してまいります。加えて、株主還元の強化を通じて、投下資本の適正化にも取り組んでまいります。
②経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
1)財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、財務の安全性を維持しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。
財務の安全性の維持に関しては、信用格付(R&I)「A」以上の取得・維持を目指し、リスク耐性の強化を図ります。
同時に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで負債の活用を進めることにより、資本コストの低減及び資本効率向上にも努めてまいります。
設備投資及び事業投資に関しては、企業価値の向上に資する成長のための投資を積極的に推進してまいります。これらの方針のもと、2024年4月より新たにスタートした2026中期経営計画の3年間累計では総額500億円の投資を計画しており、その内200億円を新領域事業への機動的な戦略投資(M&A等)とDX基盤整備やコア事業の生産性向上に向けた投資に充当する計画であります。
その初年度である2024年度においては長期ビジョン2028達成に向けた戦略的投資が41億円、DX基盤整備やコア事業の生産性向上を目的とした設備投資が119億円、総額160億円を実施しました。
なお、各年度の設備投資は減価償却費の範囲内とすることを原則とし、財務の安全性を維持し、妥当な水準の手元流動性を確保してまいります。
2)経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、適正な手元現預金の水準について検証を実施しております。2026中期経営計画期間、イベントリスク耐性を十分に備えるべく、売上高の約2ヵ月分を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、企業価値向上に資する戦略投資及び株主還元に配分するように考えております。
3)資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、コア事業に係る資金支出では、部品・原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費(賃借料、手数料、人件費など)などがあります。
また、長期ビジョン2028に掲げる事業ドメインの拡大に向けた戦略投資に係る資金支出は、新領域事業の創出・拡大に向けた業務提携及びM&Aなどがあります。
4)資金調達
当社グループの事業活動維持及び拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部留保資金及び外部調達を有効に活用しております。
コア事業の基盤強化を目的とした設備投資には、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を活用することを基本とし、戦略投資については、設備投資に配分後の営業キャッシュ・フローを充当することを基本とした上で、資金調達手段の多様化、資本コストの低減、資本効率向上を企図し、金融機関からの借入れや社債発行等有利子負債も積極的に活用しております。
また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要経営課題と認識しており、当社グループの本報告書提出時点におけるR&Iの格付は「A(安定的)」となっております。また、主要な取引先金融機関とは良好な関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実現可能と認識しております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは、紙幣・硬貨の計数、搬送、集積等で培われた媒体処理技術(メカトロ技術)、さらには認識・識別技術を当社のコア技術と捉え、それら技術を徹底的に追求していくことを研究開発の基本方針としております。また、認識・識別技術等のコア技術をベースに、顔認証技術等のバイオメトリクス関連の研究にも積極的に取り組んでおります。
現在、当社を中心に研究開発スタッフ1,563名(グループ従業員の約14%)を擁し、基礎研究分野から製品の開発、設計までを手がけており、当連結会計年度の研究開発費の総額は、
当連結会計年度におけるセグメントごとの研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
(1)金融市場
金融機関の店舗レイアウトの多様化に対応するため、オートキャッシャーのラインナップとして「紙幣硬貨入出金機<RBS-70H5S>」セミセルフ仕様を開発いたしました
研究開発費は、
(2)流通・交通市場
コンパクトな装置サイズと分かりやすい操作性でセルフレジ導入の課題を解決するつり銭機<S1000シリーズ>を開発いたしました。
研究開発費は、
(3)遊技市場
セルフ賞品交換コーナーをコンパクトなレイアウトにする「賞品保管機<JK-C500>」を開発いたしました。
研究開発費は、
(4)海外市場
金融機関のロビーエリアに設置し現金取引の自動化を目的とした「セルフサービス端末<GTR-100>」を開発いたしました。
また、流通店舗のバックヤードで使用する「紙幣硬貨入出金機<CI-100X>」に現金回収の取り扱いが簡便になるパウチ方式を採用したモデルを追加開発いたしました。
研究開発費は、
その他の事業では、日本アイ・ビー・エム株式会社及び順天堂大学とともに脳の健康度に基づいた「金融商品適合性チェック支援AIアプリ」を開発いたしました。
その他の事業セグメントにおける研究開発費は、539百万円であります。