第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における日本経済は、個人消費、輸出、生産については、概ね横ばいで推移しており、また、企業収益や雇用・所得環境の改善傾向が続く中、設備投資に持ち直しの動きが見られるなど、総じて緩やかな回復基調が続いております。世界経済は、米国の金融政策正常化に向けた動きや、中国の景気減速、原油価格の低迷、欧州、中東、アジアなどの地政学リスクなどにより、不安定な状況が続いているものの、米国では個人消費が引き続き増加しており、インド、インドネシア、タイでは、内需を中心に景気持ち直しの動きが見られ、全体としては緩やかな回復が続いております。

当社グループの事業分野であるプラント市場は、国内では、発電などエネルギー分野において設備投資の動きが続いております。海外では、原油価格低迷の影響により、産油・産ガス国において、今後の投資計画の先行きが不透明な状況が続いておりますが、イランなどの中東地域やトルクメニスタンなどの中央アジア地域においては、エネルギー開発投資や各種プラントの設備投資が計画されております。北米地域においては、シェールガス・オイルの新たな開発計画は抑制気味となったものの、ガス利用の石油化学分野等の設備投資計画は続いております。インドおよび東南アジア地域においては、景気減速の懸念はあるものの、原油価格の低下によるエネルギー・原材料等のコスト減少や、エネルギー、素材、食糧の需要拡大を背景に、石油化学、化学肥料等プラントの設備投資は底堅く推移しております。また、日本政府によるアジア地域を中心としたインフラ輸出の拡大政策の効果もあり、発電所などインフラ整備の設備投資も堅調に推移しております。

こうした状況の中、当社グループは、グループ一体となった営業活動およびプロジェクトの遂行に努めました。

その結果、受注については、米国向けエチレン製造設備、タイ向け天然ガス焚きコジェネレーション発電所、インド向け化学肥料コンプレックス、インドネシア向け合成ゴム製造設備、インドネシア向け鉄道システム一式・軌道工事、古川メガソーラープロジェクト等を受注しました。その結果、当社および国内外の連結子会社の独自受注分を含め、当連結会計年度における受注高は、4,435億円(前連結会計年度比5.7%減)となりました。

業績については、海外では、カナダ向けオイルサンド処理設備、マレーシア向けエチレンコンプレックス、トルクメニスタン向けガス化学コンプレックス、ロシア向け製油所近代化、国内では、久米南メガソーラー、瀬戸内メガソーラー、美作武蔵メガソーラー等のプロジェクトの進捗に伴い、当連結会計年度における売上高(完成工事高)は、2,998億円(前連結会計年度比3.7%減)となりました。

営業利益は、一部プロジェクトの収支改善および販売費・一般管理費の削減により、110億円(前連結会計年度は営業損失73億円)となりました。

経常利益は、営業外収益において為替差益7億円を計上した一方、営業外費用において、持分法による投資損失82億円を計上した結果、38億円(前連結会計年度は経常損失252億円)となりました。

この持分法による投資損失は、主に、ブラジルの持分法適用会社ティーエス・パーティシパソエス社(以下、TSPI社)の子会社に起因するものであります。すなわちFPSO(浮体式海洋石油生産・貯蔵・積出設備)トップサイドプロジェクトにおいて、追加的に資材費、工事費等が増加することが判明し、プロジェクト収支悪化等による損失を計上したことによるものです。加えて、ブラジルの政治・経済の混迷により、FPSOの今後の発注動向に不透明さが増したため、TSPI社の子会社が保有するFPSOモジュール組立・船上据付工事用ヤード設備について減損損失を計上し、これらの損失を他の持分法適用会社の収益と差引いたものであります。

更に、保有株式および保有不動産の売却による特別利益48億円、法人税等56億円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、30億円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失209億円)となりました。

当社単独の業績については、売上高1,815億円(前年度比5.6%減)、営業利益60億円(前年度は営業損失69億円)、経常損失66億円(前年度は経常損失43億円)、当期純損失61億円(前年度は当期純損失289億円)となりました。

 

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します)は、営業活動による資金増加463億円、投資活動による資金減少117億円、財務活動による資金増加10億円などにより、前連結会計年度末に比べ336億円増加し、1,241億円となりました。なお、これにはジョイントベンチャーでの工事遂行案件において当社がジョイントベンチャーから預かっている資金の残高56億円が含まれております。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

未成工事支出金の増加により資金が213億円減少した一方、税金等調整前当期純利益を86億円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失219億円)計上したこと、未成工事受入金の増加により資金が702億円増加したことなどにより、463億円の資金増加(前連結会計年度は41億円の資金減少)となりました。 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の売却により、資金が49億円増加した一方、短期貸付金の増加により、資金が185億円減少したことなどにより、117億円の資金減少(前連結会計年度は95億円の資金増加)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

借入金の収支が11億円増加したことなどにより、10億円の資金増加(前連結会計年度は143億円の資金減少)となりました。

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。

 

 

平成25年3月期

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期

自己資本比率(%)

28.9

28.5

17.2

15.8

時価ベースの
自己資本比率(%)

32.6

35.3

23.0

17.5

キャッシュ・フロー対
有利子負債比率

△2.1

2.1

△7.6

0.7

インタレスト・
カバレッジ・レシオ(倍)

△17.0

20.9

△5.5

132.0

 

 

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

* 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

* 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式総数をベースに計算しております。

* キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。

* 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

 

2 【生産、受注および販売の状況】

(1) 受注実績

当連結会計年度における当社および当社の連結子会社の受注実績は次のとおりであります。

 

期別

工事別

期首繰越
工事高
(百万円)

期中受注
工事高
(百万円)


(百万円)

期中完成
工事高
(百万円)

次期繰越
工事高
(百万円)

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

海外

 

 

 

 

 

化学肥料プラント

138,578

6,108

144,686

63,664

39,514

石油化学プラント

204,225

278,906

483,131

123,491

373,482

石油精製プラント

107,393

13,534

120,928

49,281

64,078

エネルギー関連プラント

10,608

17,063

27,671

6,304

21,508

一般製造設備関連

886

5,307

6,193

4,133

2,050

IT関連

62

260

322

248

その他

55,430

3,338

58,768

23,423

34,462

小計

517,185

324,519

841,704

270,548

535,096

国内

 

 

 

 

 

石油化学プラント

6,586

4,263

10,850

7,732

3,117

石油精製プラント

1,765

1,934

3,700

2,481

1,157

エネルギー関連プラント

4,262

119,312

123,574

9,339

114,235

一般製造設備関連

201

2,925

3,126

757

2,368

IT関連

3,864

8,092

11,957

8,177

その他

4,158

9,321

13,479

10,451

3,028

小計

20,838

145,850

166,688

38,940

123,908

合計

※25,714
538,023

470,369

1,008,392

309,488

※36,930
659,005

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

海外

 

 

 

 

 

化学肥料プラント

39,514

77,409

116,923

13,049

105,091

石油化学プラント

373,482

217,240

590,723

124,896

492,204

石油精製プラント

64,078

25,239

89,318

66,451

17,525

エネルギー関連プラント

21,508

74,877

96,386

22,153

73,404

一般製造設備関連

2,050

1,251

3,301

2,950

110

その他

34,462

9,281

43,743

20,386

23,072

小計

535,096

405,299

940,395

249,887

711,409

国内

 

 

 

 

 

石油化学プラント

3,117

1,889

5,007

2,216

2,503

石油精製プラント

1,157

7

1,165

7

1,157

エネルギー関連プラント

114,235

22,897

137,133

33,123

104,010

一般製造設備関連

2,368

3,878

6,247

4,766

1,598

その他

3,028

9,563

12,592

9,810

2,387

小計

123,908

38,238

162,146

49,925

111,657

合計

※36,930
659,005

443,537

1,102,542

299,813

※△9,392
823,066

 

 

(注) 1 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。

2 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前連結会計年度29,317百万円、当連結会計年度△1,921百万円)を含んでおります。

3 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前連結会計年度△69,216百万円、当連結会計年度22,259百万円)を含んでおります。

4 前連結会計年度においては、EPC事業とIT事業の受注実績を記載しておりますが、当連結会計年度より、当社グループの報告セグメントはEPC事業のみの単一セグメントとなったことから、当連結会計年度においては、EPC事業の受注実績を記載しております。

5 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。

 

(2) 売上実績

当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

なお、主な相手先別の売上実績および総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

JAPAN CANADA OIL SANDS LIMITED

50,854

17.0

PRPC REFINERY AND CRACKER SDN.BHD.

36,042

12.0

 

(注) 1 前連結会計年度については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

2 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。

 

なお、提出会社におけるEPC事業の受注実績は次のとおりであります。

 

期別

工事別

期首繰越
工事高
(百万円)

期中受注
工事高
(百万円)


(百万円)

期中完成
工事高
(百万円)

次期繰越
工事高
(百万円)

前事業年度
(自 平成26年4月1日
  至 平成27年3月31日)

海外

 

 

 

 

 

化学肥料プラント

114,311

6,083

120,395

57,445

35,777

石油化学プラント

163,344

146,238

309,582

77,032

239,116

石油精製プラント

39,773

5,573

45,346

18,715

16,162

エネルギー関連プラント

9,641

17,191

26,833

5,802

20,963

一般製造設備関連

886

279

1,165

1,031

127

その他

19,647

1,284

20,932

11,729

9,000

小計

347,604

176,651

524,256

171,756

321,147

国内

 

 

 

 

 

石油化学プラント

6,586

2,552

9,138

7,681

1,457

石油精製プラント

1,765

1,934

3,700

2,481

1,157

エネルギー関連プラント

4,262

119,312

123,574

9,339

114,235

一般製造設備関連

195

2,020

2,215

450

1,765

その他

0

30

31

31

小計

12,810

125,851

138,661

19,984

118,615

合計

※13,545

360,415

302,502

662,917

 

191,741

※30,318

439,763

当事業年度
(自 平成27年4月1日
  至 平成28年3月31日)

海外

 

 

 

 

 

化学肥料プラント

35,777

25,564

61,341

11,382

50,650

石油化学プラント

239,116

50,223

289,340

92,302

198,170

石油精製プラント

16,162

3,125

19,287

16,128

3,645

エネルギー関連プラント

20,963

74,877

95,840

22,137

72,869

一般製造設備関連

127

67

194

172

19

その他

9,000

8,382

17,383

1,070

16,281

小計

321,147

162,241

483,388

143,194

341,636

国内

 

 

 

 

 

石油化学プラント

1,457

137

1,594

1,233

360

石油精製プラント

1,157

7

1,165

7

1,157

エネルギー関連プラント

114,235

22,897

137,133

33,123

104,010

一般製造設備関連

1,765

2,925

4,690

3,733

957

その他

261

261

240

21

小計

118,615

26,229

144,845

38,338

106,506

合計

※30,318

439,763

188,471

628,234

 

181,532

※8,433

448,142

 

 

(注) 1 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。

2 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前事業年度15,626百万円、当事業年度7,082百万円)を含んでおります。

3 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前事業年度47,039百万円、当事業年度5,641百万円)を控除しております。

4 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。

5 前事業年度の期中完成工事高と損益計算書上の完成工事高との差額505百万円は、不動産賃貸・管理事業の売上高であります。

 

 

3 【対処すべき課題】

再建計画初年度の当連結会計年度(平成28年3月期)は、営業外損益ではTSPI社の子会社によるプロジェクトの損失等の問題が影響を与えたものの、①受注プロセスの改善、②プロジェクト遂行の改革、③大規模プロジェクトの対応強化に取り組んだ結果、主に大規模プロジェクトが順調に進捗したこと等により、再建計画初年度の営業利益見込みを上回ることができました。

再建計画2年目(平成29年3月期)は、以下の項目に重点を置いて、リスク管理を更に徹底しプロジェクト損失の発生の防止を図るとともに、財務体質を改善させ、一日も早くステークホルダーの皆様の信頼を回復できるよう、全社一丸となって取り組んでまいります。

 

(1) ブラジルビジネスのリスク管理強化

TSPI社の子会社によるFPSOトップサイドプロジェクトは、プロジェクト遂行体制を当社が主導する体制に切り換え、リスク管理の徹底を図るとともに、追加コストの見極めを行いました。当該プロジェクトは、モジュールがほぼ完成し、プロジェクト全体としては8割弱まで進捗しており、今後は、モジュールの船体への積上・据付工事など残る工程について、スケジュールおよびコストの管理を徹底し、リスクの抑制および採算性の確保に努めながら、完工に向け引き続き鋭意取り組んでまいります。また、ブラジル経済の混迷による厳しい事業環境を受け、TSPI社は最小限の体制とし、運営費用を削減します。

 

(2) メガプロジェクトの遂行管理の徹底

当社グループは、現在、マレーシア向けエチレンコンプレックス、米国向けエチレン製造設備、トルクメニスタン向けガス化学コンプレックス、瀬戸内メガソーラーといった、複数のメガプロジェクトを遂行しております。これらメガプロジェクトは、当社グループの収益の柱であり、全社を挙げたサポート体制の下、プロジェクトの進捗に最大限の注意を払い、引き続き徹底した管理を実施してまいります。

 

(3) 収益性改善の継続

当社グループは、売上(完成工事)総利益の増加に向けた施策を強化していくとともに、引き続き販売費・一般管理費の抑制に努め、収益性改善のための取り組みを継続してまいります。

具体的には、受注プロセスの改善として、プロポーザルの初期段階において、地政学的観点、顧客特性、パートナー評価、拠点を含む協業方針に関する議論を、案件毎の戦略方針会議で十分に行うとともに、判断の合理性、透明性および牽制機能を確保するため、最終段階における、社長、Chief Financial Officer(CFO)、経営管理担当役員、担当事業部門長による承認プロセスを厳格に運用してまいります。また、プロジェクト遂行段階においては、ベンダー等も含めた品質マネジメント体制を強化し品質管理を徹底するとともに、当社グループ拠点との一体運営の見える化を進め、問題事象を早期に把握し対応できる体制を拡充させ、スケジュール遅延や損失の発生の防止に取り組み、収益力の向上を図ってまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

投資者の判断に重要な影響を与える可能性のあるリスクの内容および程度につき当社グループが認識している事項は以下のとおりであります。ただし、列挙した項目は例示であり、限定的なものではありません。また文中における将来に対する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) エンジニアリング事業に伴うリスク

当社グループの事業遂行に当たっては、適正な仕事量を確保するために受注活動を行い、プロジェクトの損失を防止するために、見積もり段階から受注プロジェクトの完了の過程に至るまで、様々な形でのリスクマネジメント体制を、コーポレートガバナンスの一環として構築、維持しておりますが、以下のような事態が発生すると、それに起因して受注額が大きく減少したり、プロジェクトの中断、中止、あるいはプロジェクト採算の著しい悪化によって、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループはこのようなリスクに対して、事前の情報収集を密にして事態の把握に努めることによって可能な対応策を検討するとともに、貿易保険の付保、為替予約、顧客との契約条件の設定(契約形態の多様化、契約建値の設定、支払い条件、顧客とのリスク分担条項等)、機器・資材の調達先や工事発注先の分散化等、可能な対策を講じて、リスクの軽減に努めております。

① 業務実施国、地域での、戦争、内乱、暴動、テロ、著しい治安悪化等の非常事態の発生、伝染病の蔓延、天変地異、異常気象等の不可抗力事由

② 許認可、通関、出入国管理、為替制度、通信、税務等、現地国の通商、貿易、金融政策の著しい変更

③ 為替レートの著しい変化

④ 機器・資材調達、輸送、工事等に係る価格の著しい高騰、需給ひっ迫

⑤ プロジェクトの主要発注先あるいは契約パートナーの信用不安

⑥ 当社グループの事業分野における投資活動の世界的規模での大幅な縮小、競合激化による受注機会の急激な減少

 

(2) コンプライアンスに関するリスク

当社ビジネスは、国内外の労働法規、個人情報保護制度、税法、輸出入管理規制、不正競争防止法等の広範な法律や規制に服しており、これらの法令の変更、予測しえない解釈等により、法令遵守対応の負担が増加する可能性があります。当社グループは、役職員行動規範、コンプライアンス・マニュアル等の周知徹底、内部通報制度の整備・運用、および、Chief Compliance Officer(CCO)を委員長とするコンプライアンス委員会を中心とした啓蒙・推進活動の実施により、法令遵守体制の強化に努めておりますが、法令に違反する行為または疑義を持たれる行為が万が一発生した場合、当社グループに追加の負担、営業の中断や信用の低下等が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

(3) 投資等に関するリスク

当社が出資しているグループ各社の事業運営に関しては、グループ経営管理部門がグループ会社の状況を的確に把握し管理する他、的確な協業体制を構築することによって、上述のようなリスクの軽減に努めております。なお、当社がブラジルの持分法適用会社を通じて行っている事業については、同国における政治的、経済的事業環境の変化や事業パートナーの信用状況等により、投資に見合うリターンが得られない場合や追加資金拠出が必要になる場合が生じ、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

技術導入契約

現在締結している主要な技術導入契約は次のとおりであります。

 

(提出会社)

 

契約先

内容

契約期間

契約年月

ビーエーエスエフ・エスイー(独)

酸性ガス除去プロセスに関する技術

平成28年12月まで

平成15年2月

ダブリュ・アール・グレース・アンド・カンパニー・コネチカット(米)

ポリプロピレン製造プロセスに関する技術

規定なし
(双方の合意で終了)

平成17年8月

ユニベーション・テクノロジーズ・エルエルシー(米)

ポリエチレン製造プロセスに関する技術

規定なし
(双方の合意で終了)

平成17年9月

サイエンティフィック・デザイン・カンパニー・インコーポレーテッド(米)

エチレンオキシドおよびエチレングリコール製造プロセスに関する技術

規定なし
(双方の合意で終了)

平成18年6月

ビーエーエスエフ・エスイー(独)

合成ガス脱硫プロセスに関する技術

10年間

平成18年12月

チャート・エナジー・アンド・ケミカルズ・インコーポレーテッド(米)

天然ガス液化技術

平成29年6月まで

平成21年7月

ルーマス・テクノロジー・インコーポレーテッド(米)

オレフィン製造プロセスおよびガソリン水添プロセスに関する技術

10年間

平成23年11月

ケロッグ・ブラウン・アンド・ルート・エルエルシー(米)

アンモニア製造プロセスに関する技術

5年間、以後は
1年毎に最長5年延長可

平成24年11月

インベンシス プロセス システムス株式会社

物質収支・熱収支計算に関する汎用プロセスシミュレーションソフトウェア

6年間

平成25年3月

JX日鉱日石エネルギー株式会社

廃苛性ソーダ湿式酸化処理に関する技術

平成31年9月まで

平成26年7月

シービー・アンド・アイ・ストーン・アンド・ウェブスター・インターナショナル・インコーポレーテッド(米)

発電所および関連施設の総合計画、設計、建設に関する技術

平成32年5月まで

平成27年5月

 

 

 

6 【研究開発活動】

(EPC事業)

当連結会計年度において、当社グループは研究開発費449百万円を投入し、技術力強化方針として「新規分野の開拓・展開」、「保有技術、準保有技術の商品力強化」、「One TOYO体制下での業務を効率化するIT基盤整備」の三点に重点をおき、以下の研究開発活動を自社内および産官学連携により実施いたしました。

《新規分野の開拓・展開》

未利用天然ガス資源の有効利用を目的として、三井海洋開発株式会社(MODEC)、米国ベロシス社と共同で取り組んでいたマイクロGTL(ガス・ツー・リキッド)プロセス開発は、ブラジル国営石油会社傘下の石油精製設備内での実証運転を終了し、開発が一区切りしました。石油価格低迷下ではありますが、陸上設備での商業実績を得るべく、営業活動を進めています。

海底資源開発の分野では、同分野をリードする米国ベーカー・ヒューズ社、ノルウェーのアーカーソリューション社と協力関係を構築し海洋資源開発への体制構築を完了しました。この協力関係の下、最初の協業案件としてメタンハイドレート開発に取り組み、当社の資源開発計画力にベーカー・ヒューズ社、アーカーソリューション社の技術を加えた新しいモデルを構築しました。

医薬品分野では、高薬理医薬品生産、バイオ医薬品生産、無菌医薬品生産などの多様なニーズに的確に対応するため、関連技術に関する研究開発を継続しています。高薬理医薬品分野では模擬粉体による飛散性測定技術、3Dプリンタを活用したフレキシブルエンクロージャ関連器具の開発などを行っています。バイオ医薬品分野ではシングルユースの自動化装置を中心に精製工程自動化関連装置の開発を進めています。更に、無菌医薬品では無菌かつ高薬理活性を取扱う分野で運用技術開発に取り組んでいます。

環境・省エネ分野では、低エネルギー負荷社会の実現に向け、革新的な省エネルギー型蒸留システム“SUPERHIDIC®”を開発、平成26年度に丸善石油化学株式会社から初号機を受注し実用化段階に入りました。平成28年度の稼動に向けて建設工事が順調に進んでいます。同技術は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「地球温暖化対策技術普及等推進事業」にも採択され、現在タイの大手石油化学会社向けに、同技術の適用による温室効果ガス排出量削減および省エネルギー化の検討を実施中です。

他にも当社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業」スキームにて、平成26年度末に採択された「インドネシアにおける省エネ・環境対応型油田インフラシステム実証プロジェクト」の実証前調査(FS)を平成27年度に実施し、今後のインドネシアの油田開発におけるガス分離事業に寄与する成果を上げました。

更に、再生可能エネルギー分野では、「集光式太陽熱」の利用技術として、当社は、東京工業大学で開発された集光技術(CL法)をもとにインドでの研究開発を進めており、現地の大学および企業と協力して実証化に取り組んでいます。現在は実証設備の建設がほぼ完成し、運転準備段階です。また、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「エネルギーキャリア」の中の研究題目である「高温集光集熱システムの開発」にも参加しています。

また、有力な地球温暖化対策の一つとして、CCS(二酸化炭素回収・貯留)の重要性に早くから着目し、CCSの早期実現に向けた取り組みを進めており、日本CCS調査株式会社への出資・派遣などの対外的な活動も引き続き実施してまいります。

《保有技術、準保有技術の商品力強化》

当社が開発した代表的自社保有プロセスである尿素プロセス“ACES21®”は、世界最大生産量となるナイジェリア向け尿素製造設備(4,000 t/日)において採用されており、平成28年5月には、引き渡しに向けた試運転が開始しています。このプロジェクトでは、同じく当社が開発した大粒尿素プロセスが製品化工程に採用されています。更なる大型プラント(6,000 t/日)の開発も既に完了しており、上記尿素製造設備の稼働開始は、その実現に大きく貢献すると考えております。また、一層の省エネを図るためのプロセス改良にも取り組んでおり、その成果を今後の新規案件に取り込んでいきます。

《One TOYO体制下での業務を効率化するIT基盤整備》

当社は、グローバルに展開している業務を効率化するIT基盤整備として、拠点やパートナーとの円滑なコミュニケーションと情報共有やワークフロー共有のための新情報基盤の利用を推進するとともに、継続的にプロジェクト管理や現場工事管理の高度化や情報の可視化に取り組み、遠隔地、マルチオフィスでのプロジェクト実施体制に向けた環境整備に注力しています。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。

 

(1) 財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は2,798億円で、前連結会計年度末から653億円増加しております。現金預金が360億円、未成工事支出金が206億円増加したことが主な原因であります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は419億円で、前連結会計年度末から51億円減少しております。繰延税金資産が43億円減少したことが主な原因であります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は2,339億円で、前連結会計年度末から634億円増加しております。未成工事受入金が687億円増加したことが主な原因であります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は368億円で、前連結会計年度末から92億円減少しております。長期借入金が48億円、持分法適用に伴う負債が61億円それぞれ減少したことが主な原因であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は510億円で、前連結会計年度末から60億円増加しております。親会社株主に帰属する当期純利益を30億円計上したことや、繰延ヘッジ損失が49億円減少したことが主な原因であります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します)の残高は1,241億円で、前連結会計年度末から336億円増加しております。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、463億円の資金の増加となりました。未成工事支出金の増加により資金が213億円減少した一方、税金等調整前当期純利益86億円を計上したこと、未成工事受入金の増加により資金が702億円増加したことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、117億円の資金の減少となりました。有形固定資産の売却により資金が49億円増加した一方、短期貸付金の実行により資金が185億円減少したことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、10億円の資金の増加となりました。借入金の収支が11億円の資金増加となったことなどによるものです。

 

 

(3) 経営成績の分析

(受注高)

当連結会計年度の受注高は、前連結会計年度比5.7%減となる4,435億円となりました。その結果、当連結会計年度末における受注残高は、前連結会計年度末から1,640億円増加して8,230億円となりました。経営としての対応の方針と方法は、3「対処すべき課題」に示したとおりであります。

 

(完成工事高)

当連結会計年度における完成工事高は、新規受注案件が進捗した一方、前連結会計年度までの主要プロジェクトが終盤を迎えたことなどにより、前連結会計年度比116億円(3.7%)減の2,998億円となりました。

 

(完成工事総利益)

当連結会計年度における完成工事総利益は、完成工事高が減少した一方で、一部プロジェクトの収支改善や新規受注案件の進捗などにより、前連結会計年度比132億円(77.3%)増の305億円となりました。

 

(営業損益)

当連結会計年度における営業利益は、前述の完成工事総利益の増加、販売費及び一般管理費の削減により、110億円(前連結会計年度は営業損失73億円)となりました。

 

(経常損益)

当連結会計年度における経常利益は、営業利益を110億円計上した一方、持分法による投資損失82億円を計上したことなどにより、38億円(前連結会計年度は経常損失252億円)となりました。

 

(特別損益)

当連結会計年度において、固定資産売却益25億円など特別利益を48億円計上しました。その結果、税金等調整前当期純利益は86億円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失219億円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、30億円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失209億円)となりました。