第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における日本経済は、企業の生産活動や輸出の持ち直し、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調にはあるものの、力強さを欠く状況が続いております。また、世界経済も弱含みながら緩やかな回復が続いておりますが、北朝鮮情勢等地政学的リスクの高まりに加え、米国新政権下の保護主義的な経済政策や金融政策の動向、為替変動、原油価格の低迷、英国のEU離脱問題などの影響により、日本経済および世界経済とも先行きが不透明な状況が続いております。

プラント分野においては、アップストリーム(産油・産ガス国におけるエネルギー開発・各種関連設備)への設備投資は抑制された状態が続いており、また、ダウンストリーム(石油化学プラントや化学肥料プラント等)への設備投資においては、米国、ロシア、中央アジア、イラン等において底堅い需要があるものの、原油価格低迷の長期化や世界経済の先行き懸念の増大等により最終投資判断が見送られるなど厳しい状況にあります。一方、インフラ分野では、国内において、電力自由化を背景とした発電所等の設備投資が続いており、また、海外においても、東南アジア等で電力需要は増大しており、今後も安定的な設備投資が見込まれます。資源エネルギー分野では、既存油田の改修等のサービス業務など、将来の資源開発に向けたソフト業務の需要がでてきております。

こうした状況の中、当社グループは、グループ一体となった営業活動およびプロジェクトの遂行に努めました。

その結果、当連結会計年度の実績は、次のとおりとなりました。受注に関しては、インフラ分野においてタイ向け天然ガス焚きコジェネレーション発電所等を受注しましたが、プラント分野における市場冷え込みを背景に、受注高は1,167億円(前連結会計年度比73.7%減)となりました。

売上高(完成工事高)は、マレーシア向けエチレンコンプレックス、トルクメニスタン向けガス化学コンプレックス、米国向けエチレン製造設備、タイ向け天然ガス焚きコジェネレーション発電所、瀬戸内メガソーラーなどのプロジェクトの進捗により、4,319億円(前連結会計年度比44.1%増)となりました。

営業損益は、米国向けエチレン製造設備プロジェクトにおいて、工事コストの大幅な増加による収支悪化により、誠に遺憾ながら、営業損失20億円(前連結会計年度は営業利益110億円)となりました。これは、同プロジェクトにおいて、昨年春以降地盤の問題で杭工事の手直しが相当量発生し、当該対応工事を進めておりましたが、本年1月に杭工事の問題がほぼ見通せる状況となり、また、プロジェクト全体の設計が固まったことを受け、工事スケジュールと工事数量の見直しを行い、今後にかかるコストを改めて厳格に精査した結果、杭工事関連の追加コストのほか、工事数量の増加によるコスト、および工期遅延防止のためのコストの大幅な増加を認識するに至ったものです。

一方、営業外損益では、主に為替差益や貸倒引当金戻入額の計上等により、経常利益は16億円(前連結会計年度比58.6%減)となりました。

また特別利益では、退職給付信託設定益26億円および投資有価証券売却益12億円等の特別利益42億円を計上した結果、税金費用控除後の親会社株主に帰属する当期純利益は14億円(前連結会計年度比51.5%減)となり、前連結会計年度比では増収減益となりました。利益面において前連結会計年度実績および期初公表の収支目標を大きく下回る結果となり、衷心よりお詫び申し上げます。

 

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します)は、営業活動による資金増加189億円、投資活動による資金減少166億円、財務活動による資金減少15億円などにより、前連結会計年度末に比べ14億円減少し、1,227億円となりました。なお、これにはジョイントベンチャーでの工事遂行案件において当社がジョイントベンチャーから預かっている資金の残高35億円が含まれております。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

未成工事受入金の減少により資金が239億円減少した一方、税金等調整前当期純利益58億円を計上したこと、仕入債務の増加による資金の増加382億円などにより、189億円の資金増加(前連結会計年度末は463億円の資金増加)となりました。 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

短期貸付金の増加により、資金が162億円減少したことなどにより、166億円の資金減少(前連結会計年度は117億円の資金減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

借入金の収支が7億円減少したことや、配当金の支払い7億円などにより、15億円の資金減少(前連結会計年度は10億円の資金増加)となりました。
 

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。

 

 

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期

自己資本比率(%)

28.5

17.2

15.8

16.2

時価ベースの
自己資本比率(%)

35.3

23.0

17.5

16.9

キャッシュ・フロー対
有利子負債比率

2.1

△7.6

0.7

1.7

インタレスト・
カバレッジ・レシオ(倍)

20.9

△5.5

132.0

52.8

 

 

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

* 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

* 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式総数をベースに計算しております。

* キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。

* 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

 

2 【生産、受注および販売の状況】

(1) 受注実績

当連結会計年度における当社および当社の連結子会社の受注実績は次のとおりであります。

 

期別

工事別

期首繰越
工事高
(百万円)

期中受注
工事高
(百万円)


(百万円)

期中完成
工事高
(百万円)

次期繰越
工事高
(百万円)

前連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

海外

 

 

 

 

 

化学肥料プラント

39,514

77,409

116,923

13,049

105,091

石油化学プラント

373,482

217,240

590,723

124,896

492,204

石油精製プラント

64,078

25,239

89,318

66,451

17,525

エネルギー関連プラント

21,508

74,877

96,386

22,153

73,404

一般製造設備関連

2,050

1,251

3,301

2,950

110

その他

34,462

9,281

43,743

20,386

23,072

小計

535,096

405,299

940,395

249,887

711,409

国内

 

 

 

 

 

石油化学プラント

3,117

1,889

5,007

2,216

2,503

石油精製プラント

1,157

7

1,165

7

1,157

エネルギー関連プラント

114,235

22,897

137,133

33,123

104,010

一般製造設備関連

2,368

3,878

6,247

4,766

1,598

その他

3,028

9,563

12,592

9,810

2,387

小計

123,908

38,238

162,146

49,925

111,657

合計

※36,930
659,005

443,537

1,102,542

299,813

※△9,392
823,066

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

海外

 

 

 

 

 

化学肥料プラント

105,091

2,927

108,019

22,277

79,174

石油化学プラント

492,204

5,943

498,147

244,590

249,368

石油精製プラント

17,525

19,990

37,516

31,123

4,695

エネルギー関連プラント

73,404

60,823

134,227

55,117

78,318

一般製造設備関連

110

1,791

1,902

767

1,127

その他

23,072

3,160

26,232

7,009

18,722

小計

711,409

94,636

806,046

360,884

431,406

国内

 

 

 

 

 

石油化学プラント

2,503

809

3,312

3,248

63

石油精製プラント

1,157

6,314

7,471

6,013

1,458

エネルギー関連プラント

104,010

1,491

105,501

48,986

55,015

一般製造設備関連

1,598

1,758

3,356

3,219

136

その他

2,387

11,779

14,167

9,565

4,601

小計

111,657

22,153

133,810

71,032

61,276

合計

※△9,392
823,066

116,790

939,856

431,917

※△14,145
492,682

 

 

(注) 1 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。

2 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前連結会計年度△1,921百万円、当連結会計年度△12,187百万円)を含んでおります。

3 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前連結会計年度22,259百万円、当連結会計年度△3,068百万円)を含んでおります。

4 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。

 

(2) 売上実績

当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

なお、主な相手先別の売上実績および総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

JAPAN CANADA OIL SANDS LIMITED

50,854

17.0

PRPC REFINERY AND CRACKER SDN.BHD.

36,042

12.0

95,216

22.0

Shintech Louisiana,LLC

62,733

14.5

 

(注) 1 当連結会計年度のJAPAN CANADA OIL SANDS LIMITEDについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

2 前連結会計年度のShintech Louisiana,LLCについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

3 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。

 

 

なお、提出会社におけるEPC事業の受注実績は次のとおりであります。

 

期別

工事別

期首繰越
工事高
(百万円)

期中受注
工事高
(百万円)


(百万円)

期中完成
工事高
(百万円)

次期繰越
工事高
(百万円)

前事業年度
(自 平成27年4月1日
  至 平成28年3月31日)

海外

 

 

 

 

 

化学肥料プラント

35,777

25,564

61,341

11,382

50,650

石油化学プラント

239,116

50,223

289,340

92,302

198,170

石油精製プラント

16,162

3,125

19,287

16,128

3,645

エネルギー関連プラント

20,963

74,877

95,840

22,137

72,869

一般製造設備関連

127

67

194

172

19

その他

9,000

8,382

17,383

1,070

16,281

小計

321,147

162,241

483,388

143,194

341,636

国内

 

 

 

 

 

石油化学プラント

1,457

137

1,594

1,233

360

石油精製プラント

1,157

7

1,165

7

1,157

エネルギー関連プラント

114,235

22,897

137,133

33,123

104,010

一般製造設備関連

1,765

2,925

4,690

3,733

957

その他

261

261

240

21

小計

118,615

26,229

144,845

38,338

106,506

合計

※30,318

439,763

188,471

628,234

 

181,532

※8,433

448,142

当事業年度
(自 平成28年4月1日
  至 平成29年3月31日)

海外

 

 

 

 

 

化学肥料プラント

50,650

1,834

52,485

14,004

32,304

石油化学プラント

198,170

1,108

199,279

129,772

71,218

石油精製プラント

3,645

6,387

10,033

5,329

4,440

エネルギー関連プラント

72,869

60,789

133,659

55,084

78,318

一般製造設備関連

19

189

208

16

189

その他

16,281

656

16,937

1,759

15,172

小計

341,636

70,966

412,602

205,967

201,644

国内

 

 

 

 

 

石油化学プラント

360

217

578

578

石油精製プラント

1,157

74

1,231

1,231

0

エネルギー関連プラント

104,010

1,491

105,501

48,986

55,015

一般製造設備関連

957

6

963

26

6

その他

21

260

282

190

92

小計

106,506

2,051

108,558

51,013

55,114

合計

※8,433

448,142

73,018

521,161

 

256,980

※2,505

256,758

 

 

(注) 1 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。

2 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前事業年度7,082百万円、当事業年度3,305百万円)を含んでおります。

3 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前事業年度5,641百万円、当事業年度10,728百万円)を控除しております。

4 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営の基本方針

当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。

 

❏グループ・ミッション(使命):“Engineering for Sustainable Growth of the Global Community”

世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。

 

❏グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”

世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSSE(健康・安全・セキュリティ・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。

 

❏グループ・バリュー(価値観・行動基準):“Integrity, Creativity, Diversity, Learning, Team”

東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。

Integrity

:誠意と責任を持って業務を遂行します。

Creativity

:知恵と創造力を発揮し、顧客とともに、もしくは自ら、新たな価値を創造します。

Diversity

:個性、人格、ならびに各国、各地域の文化、慣習を尊重します。

Learning

:進取の気性で、新たな経験、技能、知識を獲得します。

Team

:自社グループ内はもとより、顧客や協業先とのチームプレイを通じて、成果を実現しま
 す。

 

 


 

(2) 対処すべき課題

再建計画2年目の当連結会計年度(平成29年3月期)は、注力していたメガプロジェクトの1つである米国向けエチレン製造設備プロジェクトの収支悪化により、誠に不本意な結果となりました。当社グループは、この結果を真摯に受け止め、本プロジェクトの損失原因分析を行うとともに、再建施策および実行体制の強化を行いました。

 

 

(再建計画2年目の総括)

以下の再建施策の中で、まだ効果が十分出ていない施策について、重点的に強化策を講じてまいります。

 

● メガプロジェクト遂行管理の徹底について

・米国向けエチレン製造設備プロジェクトにおいて、地盤・杭問題に関わるコスト拡大を阻止できず大きな損失が発生しました。これに対して、当社要員を増員し品質管理や工事作業効率の管理体制を強化する対策を実施しました。この結果、本年3月末時点の工事状況は、全体として修正計画どおりに推移しており、今夏の工事本格化に向けてこれら対策を更に強化・徹底してまいります。
なお、他のメガプロジェクトは順調に推移しております。

 

● ブラジルビジネスにおけるリスク管理強化について

・ブラジルの持分法適用会社におけるFPSO(浮体式海洋石油生産・貯蔵・積出設備)トップサイドプロジェクトは、プロジェクト遂行体制を強化し適切な管理の下、新たな損失の発生もなく進捗しております。

・但し、ブラジルの持分法適用会社が保有するFPSOモジュール組立・船上据付工事用ヤード設備については、その収益性を保守的に精査し、追加減損損失処理を実施いたしました。

 

● 収益性改善の継続および受注について

・プロジェクト遂行面において米国向けエチレン製造設備プロジェクトの損失が発生しましたが、一方で、受注プロセス厳守による受注時売上総利益の確保、および、年間を通じたコスト削減による販管費の抑制に努め、これらは収益性改善に相応の効果がありました。

・受注については、市場の低迷もあり当連結会計年度の受注目標2,500億円に対して大幅未達となりました。引き続き、案件の計画段階からの参画など受注活動に努めてまいります。

 

(再建計画の強化)

上記総括を踏まえ、以下の4つの施策に注力してまいります。

 

① プロジェクト収益の確保

・メガプロジェクトを集中管理するため、特定プロジェクト事業本部を新設しました。

・損失が発生したプロジェクトからのフィードバックを活かし、リスクに対する感度を高めるとともに、品質  管理および生産性管理の徹底によりコスト増の防止に努めます。

 

② 受注の確保

・プラント事業に関わる営業とプロジェクトを一体化し、1つの事業本部とすることで、これまで築いてきた顧客との関係を活かしつつ、それぞれのニーズにフィットした提案力を強化します。

・差別化できる技術力を高め、戦略的なパートナリング、徹底したコストダウンを追求して、受注競争力の強化に努めます。

 

③ 企業基盤の強化

・経営資源の戦略的配分により、組織改編、インフラビジネスの強化、拠点の見直し、グループ全体の要員適正化など、強固な企業基盤の形成を図ります。

・企業価値を高める人材育成、および、企業文化の変革に関する活動を引き続き推進してまいります。

 

④ イノベーション推進

新商品、新規ビジネスの開拓を再建の柱の1つとするため、事業開発本部を新設し、以下の取り組みを展開してまいります。

・既存ビジネス分野において、IoT関連、独自蒸留技術等の適用拡大など付加価値向上による収益性改善を図ります。

・既存ビジネス分野を離れた領域においても、当社の強みを活かせる新事業の開発に取り組んでまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

投資者の判断に重要な影響を与える可能性のあるリスクの内容および程度につき当社グループが認識している事項は以下のとおりであります。但し、列挙した項目は例示であり、限定的なものではありません。また文中における将来に対する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) エンジニアリング事業に伴うリスク

当社グループの事業遂行に当たっては、適正な仕事量を確保するために受注活動を行い、プロジェクトの損失を防止するために、見積もり段階から受注プロジェクトの完了の過程に至るまで、様々な形でのリスクマネジメント体制を、コーポレートガバナンスの一環として構築、維持しておりますが、以下のような事態が発生すると、それに起因して受注額が大きく減少したり、プロジェクトの中断、中止、あるいはプロジェクト採算の著しい悪化によって、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループはこのようなリスクに対して、事前の情報収集を密にして事態の把握に努めることによって可能な対応策を検討するとともに、貿易保険の付保、為替予約、顧客との契約条件の設定(契約形態の多様化、契約建値の設定、支払い条件、顧客とのリスク分担条項等)、機器・資材の調達先や工事発注先の分散化等、可能な対策を講じて、リスクの軽減に努めております。

① 業務実施国、地域での、戦争、内乱、暴動、テロ、著しい治安悪化等の非常事態の発生、伝染病の蔓延、天変地異、異常気象等の不可抗力事由

② 許認可、通関、出入国管理、為替制度、通信、税務等、現地国の通商、貿易、金融政策の著しい変更

③ 為替レートの著しい変化

④ 機器・資材調達、輸送、工事等に係る価格の著しい高騰、需給ひっ迫

⑤ プロジェクトの主要発注先あるいは契約パートナーの信用不安

⑥ 当社グループの事業分野における投資活動の世界的規模での大幅な縮小、競合激化による受注機会の急激な減少

 

(2) コンプライアンスに関するリスク

当社ビジネスは、国内外の労働法規、個人情報保護制度、税法、輸出入管理規制、不正競争防止法等の広範な法律や規制に服しており、これらの法令の変更、予測しえない解釈等により、法令遵守対応の負担が増加する可能性があります。当社グループは、役職員行動規範、コンプライアンス・マニュアル等の周知徹底、当社グループ統一の内部通報制度の整備・運用、および、Chief Compliance Officer(CCO)を委員長とするコンプライアンス委員会を中心とした啓蒙・推進活動の実施により、法令遵守体制の強化に努めておりますが、法令に違反する行為または疑義を持たれる行為が万が一発生した場合、当社グループに追加の負担、営業の中断や信用の低下等が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

(3) 投資等に関するリスク

当社が出資しているグループ各社の事業運営に関しては、グループ経営管理部門がグループ会社の状況を的確に把握し管理する他、的確な協業体制を構築することによって、上述のようなリスクの軽減に努めております。なお、当社がブラジルの持分法適用会社を通じて行っている事業については、同国における政治的、経済的事業環境の変化や事業パートナーの信用状況等により、投資に見合うリターンが得られない場合や追加資金拠出が必要になる場合が生じ、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

技術導入契約

現在締結している主要な技術導入契約は次のとおりであります。

 

(提出会社)

 

契約先

内容

契約期間

契約年月

ビーエーエスエフ・エスイー(独)

酸性ガス除去プロセスに関する技術

平成29年12月まで

平成15年2月

ダブリュ・アール・グレース・アンド・カンパニー・コネチカット(米)

ポリプロピレン製造プロセスに関する技術

規定なし
(双方の合意で終了)

平成17年8月

サイエンティフィック・デザイン・カンパニー・インコーポレーテッド(米)

エチレンオキシドおよびエチレングリコール製造プロセスに関する技術

規定なし
(双方の合意で終了)

平成18年6月

チャート・エナジー・アンド・ケミカルズ・インコーポレーテッド(米)

天然ガス液化技術

平成29年6月まで

平成21年7月

ルーマス・テクノロジー・インコーポレーテッド(米)

オレフィン製造プロセスおよびガソリン水添プロセスに関する技術

10年間

平成23年11月

ケロッグ・ブラウン・アンド・ルート・エルエルシー(米)

アンモニア製造プロセスに関する技術

5年間、以後は
1年毎に最長5年延長可

平成24年11月

インベンシス プロセス システムス株式会社

物質収支・熱収支計算に関する汎用プロセスシミュレーションソフトウェア

6年間

平成25年3月

JXエネルギー株式会社(注)

廃苛性ソーダ湿式酸化処理に関する技術

平成31年9月まで

平成26年7月

ユニベーション・テクノロジーズ・エルエルシー(米)

ポリエチレン製造プロセスに関する技術

規定なし
(双方の合意で終了)

平成28年8月

ストーン・アンド・ウェブスター・インターナショナル・インコーポレーテッド(米)

発電所および関連施設の総合計画、設計、建設に関する技術

平成34年3月まで

平成29年3月

 

(注) JXエネルギー株式会社は、平成29年4月1日付でJXTGエネルギー株式会社に商号を変更しております。

 

 

6 【研究開発活動】

(EPC事業)

当連結会計年度において、当社グループは研究開発費493百万円を投入し、技術力強化方針として「新規分野の開拓・展開」、「保有技術、準保有技術の商品力強化」、「グローバル体制下での業務効率化に寄与するIT基盤整備」につき、以下の研究開発活動を自社グループ内および産官学連携により実施いたしました。

 

《新規分野の開拓・展開》

IoT(インターネット・オブ・シングス)の分野では、肥料、石油化学業界向けに計画段階から運転保全までを対象とした設備性能最適化システムの開発を、産業向けクラウドベースのプラットフォームである「プレディックス(Predix)」を保有する米国ゼネラル・エレクトリック(GE)社と共同で進めます。また、当社はIoTを含む新規事業分野の開拓のための新組織を発足させます。

海底資源開発の分野では、同分野の協業パートナーである米国ベーカー・ヒューズ社、ノルウェーのアーカーソリューションズ社の協力により、現在の油価状況における今後の海洋資源開発ニーズに関し調査を行い、具体的なアクションにつなげるべく活動中です。また、これら会社との協業案件としてメタンハイドレート開発への取り組みも継続していきます。

医薬品分野では、高薬理医薬品生産、バイオ医薬品生産、無菌医薬品生産などの多様なニーズに的確に対応するため、関連技術に関する研究開発を継続しています。高薬理医薬品分野では、近年の化学物質のリスクアセスメント義務化を受け、ばく露対策用の集塵装置の開発に取り組んでいます。バイオ医薬品分野ではシングルユースの自動化装置を中心に精製工程における連続生産装置の開発を進めています。更に、無菌医薬品では無菌かつ高薬理活性を取扱う分野で運用技術開発に取り組んでいます。また、多品目に対応する合成原薬連続生産技術の開発にも取り組み始めました。

環境・省エネ分野では、低エネルギー負荷社会の実現に向けて、革新的な省エネルギー型蒸留システム"SUPERHIDIC®"を開発してきました。その商業運転目的の初号機として納入した丸善石油化学株式会社向け設備が平成28年度に稼動し、安定生産のもと従来の蒸留操作に対して50%を超える消費エネルギー量削減を達成しました。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「地球温暖化対策技術普及等推進事業」にも採択され、同技術による温室効果ガス排出量削減および省エネルギー化を目的とした実現可能性調査を、タイ大手石油化学会社向けに実施・完了しました。現在、案件成立に向けた営業活動を進めています。

有力な地球温暖化対策の一つとして、CCS(二酸化炭素回収・貯留)の重要性に早くから着目し、CCSの早期実現に向けた取り組みを進めており、平成28年度は経済産業省による「平成28年度二国間クレジット取得等インフラ整備調査事業(JCM実現可能性調査)」を受託し、CCS事業の実現に向けた技術検討をメキシコのPEMEX(Petroleos Mexicanos)社向けに実施しました。日本CCS調査株式会社への出資・派遣などの対外的な活動も引き続き実施しています。

原子力分野では、廃炉先進国ドイツで使用済燃料や廃棄物の貯蔵技術、同施設運営の実績を有するゲセルシャフト原子サービス(GNS)社と協力関係を構築し、今後国内で進む廃炉分野等に取り組んで行きます。

 

《保有技術、準保有技術の商品力強化》

当社が開発した代表的自社保有プロセスである尿素プロセス"ACES21®" および大粒尿素プロセスは、世界最大生産量(平成29年3月末現在)を誇るナイジェリア向け尿素製造設備(4,000 t/日)において採用されており、平成28年6月から商業運転を開始しました。更なる大型プラント(6,000 t/日)のプロセス開発も既に完了しており、一層の省エネを図るためのプロセス改良にも取り組みつつ、その成果を今後の新規案件に反映させていきます。

また、IoTの分野においては、GE社との協業により、尿素プロセス等をはじめとして、既存設備の運転および保全の最適化や、今後の新設プラントへのIoT導入を推進していきます。

 

《グローバル体制下での業務効率化に寄与するIT基盤整備》

当社は、グローバルに展開している拠点やパートナーとの円滑なコミュニケーション実現のために、情報およびワークフローの共有を推進する新情報基盤の利用を推進しており、当年度は、エンジニアリングワークフロー管理システムの導入評価、ドキュメント管理システムの機能強化、3Dシステムのクラウド化検証等を実施しました。

また、リインバース型工事計画業務のIT化に向けた調査、配管材料積算システム再構築など、継続的にEPC業務の高度化に取り組んでいます。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。

 

(1) 財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は2,817億円で、前連結会計年度末から18億円増加しております。未収入金が58億円減少した一方で、受取手形・完成工事未収入金等が101億円増加したことが主な原因であります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は353億円で、前連結会計年度末から66億円減少しております。投資有価証券が53億円減少したことが主な原因であります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は2,371億円で、前連結会計年度末から32億円増加しております。未成工事受入金が258億円、短期借入金が53億円それぞれ減少した一方、支払手形・工事未払金等が377億円増加したことが主な原因であります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は286億円で、前連結会計年度末から82億円減少しております。長期借入金が46億円増加した一方、退職給付に係る負債が39億円、持分法適用に伴う負債が92億円それぞれ減少したことが主な原因であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は513億円で、前連結会計年度末から2億円増加しております。配当金の支払7億円や、その他の包括利益累計額が4億円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益を14億円計上したことが主な原因であります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します)の残高は1,227億円で、前連結会計年度末から14億円減少しております。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、189億円の資金の増加となりました。未成工事受入金の減少により資金が239億円減少した一方、税金等調整前当期純利益58億円を計上したこと、仕入債務の増加による資金の増加382億円などによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、166億円の資金の減少となりました。短期貸付の実行により資金が162億円減少したことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、15億円の資金の減少となりました。借入金の収支が7億円減少したことや、配当金の支払い7億円などによるものです。

 

 

(3) 経営成績の分析

(受注高)

当連結会計年度の受注高は、前連結会計年度比73.7%減となる1,167億円となりました。その結果、当連結会計年度末における受注残高は、前連結会計年度末から3,303億円減少して4,926億円となりました。経営としての対応の方針と方法は、3「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2)対処すべき課題に示したとおりであります。

 

(完成工事高)

当連結会計年度における完成工事高は、保有プロジェクトの進捗などにより、前連結会計年度比1,321億円(44.1%)増の4,319億円となりました。

 

(完成工事総利益)

当連結会計年度における完成工事総利益は、完成工事高が増加した一方で、米国向けエチレン製造設備における工事コストの大幅な増加に伴う収支悪化などにより、前連結会計年度比145億円(47.7%)減の159億円となりました。

 

(営業損益)

当連結会計年度における営業損失は、販売費及び一般管理費が前連結会計年度比で14億円減少した一方、完成工事総利益が145億円悪化したことにより、20億円(前連結会計年度は営業利益110億円)となりました。

 

(経常損益)

当連結会計年度における経常利益は、営業損失を20億円計上した一方、貸倒引当金戻入額6億円や為替差益13億円を計上したことなどにより、前連結会計年度比22億円(58.6%)減の16億円となりました。

 

(特別損益)

当連結会計年度において、退職給付信託設定益26億円および投資有価証券売却益12億円などの特別利益を42億円計上しました。その結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比28億円(33.0%)減の58億円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比15億円(51.5%)減の14億円となりました。