当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。
世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。
◆グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”
世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSSE(健康・安全・セキュリティ・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。
東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。

当連結会計年度は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容」に記載のとおり、米国向けエチレン製造設備プロジェクトの収支悪化により、誠に不本意な結果となりました。当社グループは、何よりもまず米国向けエチレン製造設備プロジェクトのできる限り早期の引渡しを完了させ、EPC(Engineering, Procurement, Construction) 事業を黒字化することが最重要課題であると認識しております。このような状況の下、当社グループは信頼回復に向け昨年策定した「再生計画」をしっかりと進捗させ、強化してまいります。具体的には以下のとおりです。
◆ 米国向けエチレン製造設備プロジェクト対応
2019年度上期中の引渡しに向け、試運転等を着実に遂行していくとともに、顧客の追加変更等にも対応し、安全に十分配慮しながら可能な限り早期のP/A(Plant Acceptance)を目指してまいります。
<米国向けエチレン製造設備プロジェクトの損失発生要因総括>
当該プロジェクトは契約金額約1,500億円に対し総損失額は約800億円となる見込みであります。
損失発生の根本的要因としては、一つには、契約形態の選択の誤りがあり、顧客との契約は固定金額契約であったのに対し、下請工事会社との契約は実費精算型契約となっており、コストリスクを当社が一手に負う形となっていたことです。もう一つの要因としては、米国において、熟練工不足と低生産性により人件費が増大したことです。
一方で、失敗を繰り返さない為、当社グループが2015年度に再建計画を策定以来取り組んできた「リスク審査の徹底による選別受注」は奏功しつつあります。具体的には、得意商品・得意地域のプロジェクトに絞った受注活動を展開し、重要案件・新規性ある案件のリスク対策は取締役会によるガバナンスを強化し、見積提出前に経営トップ(社長・副社長・CFO)が共同決裁する仕組みを堅持しております。また、北米案件では、工事リスクを遮断する方針としています。このように受注プロセスを見直した2015年度以降の受注案件は順調に進捗しており、2018年度に完工した瀬戸内メガソーラー、トルクメニスタン向けガス化学コンプレックス、インド向け化学肥料プラントといった主なプロジェクトは、成功裡に完工、引渡し済となっております。
◆ 事業構造の変革
プラント事業中心の事業ポートフォリオから、プラント事業とインフラ事業の2本柱へと変革を推し進めます。受注規模については現状の3,000億円規模を継続しつつ、プラント事業では商品群、地域の選択と集中を進めるとともに、研究開発・要素技術開発を推進し、インフラ事業では当社の強みを活かし事業の拡大を図ってまいります。また、新規事業としてDigital Fertilizer、SUPERHIDICの受注活動を推し進めるとともに、EPC以外の形として再生可能エネルギーなどの事業投資やO&M(Operation & Maintenance)も検討してまいります。更には、DXoT(Digital Transformation of TOYO)による業務効率化・コスト削減を図るなど、イノベーションを推進してまいります。
◆ 組織力の強化
再建計画(2015年度策定)における品質関連損失コスト削減タスクで得た成果を徹底し、またコア技術やノウハウを継続的に強化し、品質改善に取り組んでまいります。国内リソースにおいては、上記事業ポートフォリオ変革に合わせプラント事業からインフラ事業への人員シフトを推し進めるとともに、間接部門から現業部門への人員シフトによりJOB率向上を図り受注単価の低減による競争力強化に努めています。また、各海外EPC拠点の役割の再検証および利益水準をはじめとした評価基準の明確化ならびにこれらを踏まえたグループ全体としての業務平準化により、海外EPC拠点の最適化を図ります。
◆ 財務基盤の強化
財政基盤の強化については、本年3月、インテグラル株式会社が投資助言を行う法人を無限責任組合員とする2法人への第三者割当により、150億円の増資資金を調達することができました。これを再生計画の実践に活かし、今後の成長軌道への回復の礎にしていく所存です。また、引き続き、事業の黒字化および固定費の圧縮により自己資本を積み上げ、早期に復配できるよう努めてまいります。
当社グループは、上記「再生計画」に全力で取り組み、一日も早くステークホルダーの皆様の信頼を回復できるよう一丸となって邁進してまいります。
投資者の判断に重要な影響を与える可能性のあるリスクの内容および程度につき当社グループが認識している事項は以下のとおりであります。但し、列挙した項目は例示であり、限定的なものではありません。また文中における将来に対する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
当社グループの事業遂行に当たっては、適正な仕事量を確保するために受注活動を行い、プロジェクトの損失を防止するために、見積もり段階から受注プロジェクトの完了の過程に至るまで、様々な形でのリスクマネジメント体制を、コーポレートガバナンスの一環として構築、維持しておりますが、以下のような事態が発生すると、それに起因して受注額が大きく減少したり、プロジェクトの中断、中止、あるいはプロジェクト採算の著しい悪化によって、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはこのようなリスクに対して、事前の情報収集を密にして事態の把握に努めることによって可能な対応策を検討するとともに、貿易保険の付保、為替予約、顧客との契約条件の設定(契約形態の多様化、契約建値の設定、支払い条件、顧客とのリスク分担条項等)、機器・資材の調達先や工事発注先の分散化等、可能な対策を講じて、リスクの軽減に努めております。
① 業務実施国、地域での、戦争、内乱、暴動、テロ、著しい治安悪化等の非常事態の発生、伝染病の蔓延、天変地異、異常気象等の不可抗力事由
② 許認可、通関、出入国管理、為替制度、通信、税務等、現地国の通商、貿易、金融政策の著しい変更
③ 為替レートの著しい変化
④ 機器・資材調達、輸送、工事等に係る価格の著しい高騰、需給ひっ迫
⑤ プロジェクトの主要発注先あるいは契約パートナーの信用不安
⑥ 当社グループの事業分野における投資活動の世界的規模での大幅な縮小、競合激化による受注機会の急激な減少
当社ビジネスは、国内外の労働法規、個人情報保護制度、税法、輸出入管理規制、不正競争防止法等の広範な法律や規制に服しており、これらの法令の変更、予測しえない解釈等により、法令遵守対応の負担が増加する可能性があります。当社グループは、役職員行動規範、コンプライアンス・マニュアル等の周知徹底、当社グループ統一の内部通報制度の整備・運用、および、Chief Compliance Officer(CCO)を委員長とするコンプライアンス委員会を中心とした啓蒙・推進活動の実施により、法令遵守体制の強化に努めておりますが、法令に違反する行為または疑義を持たれる行為が万が一発生した場合、当社グループに追加の負担、営業の中断や信用の低下等が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
当社が出資しているグループ各社の事業運営に関しては、グループ経営管理部門がグループ会社の状況を的確に把握し管理する他、的確な協業体制を構築することによって、上述のようなリスクの軽減に努めております。なお、当社がブラジルの持分法適用会社を通じて行っている事業については、同国における政治的、経済的事業環境の変化や事業パートナーの信用状況等により、投資に見合うリターンが得られない場合や追加資金拠出が必要になる場合が生じ、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容」に記載のとおり、米国向けエチレン製造設備プロジェクトの工事コストの増加により、前期に引き続いて営業損失を計上することとなり、当連結会計年度末において、金融機関との間で締結している借入契約等に付されている財務制限条項に抵触することとなりました。継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況に有りますが、米国向けエチレン製造設備プロジェクトは、完成まであとわずかとなっており、再生計画に基づき、米国向けエチレン製造設備プロジェクト以外のプロジェクトの収支は順調に推移していること、また、第三者割当増資の完了により財務体質が強化されたこと、更に、当期の新規受注をほぼ計画通りに達成したこと、以上により今後のキャッシュ・フローは確保されております。また、有価証券報告書提出日現在、財務制限条項に抵触した借入契約等につきまして、金融機関との交渉を進めてまいりました結果、当該条項の適用免除の合意に至り、金融機関の支援体制は確保されております。そのため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」と記載します)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
① 財政状態および経営成績の状況
a. 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は2,127億円で、前連結会計年度末から86億円減少しております。受取手形・完成工事未収入金等が61億円増加した一方、現金預金が93億円、未成工事支出金が53億円それぞれ減少したことが主な原因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は269億円で、前連結会計年度末から35億円減少しております。
投資有価証券が44億円減少したことが主な原因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は1,784億円で、前連結会計年度末から199億円減少しております。未成工事受入金が68億円増加した一方で、支払手形・工事未払金等が222億円、工事損失引当金が117億円それぞれ減少したことが主な原因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は248億円で、前連結会計年度末から33億円減少しております。
繰延税金負債が6億円増加した一方、長期借入金が43億円減少したことが主な原因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は363億円で、前連結会計年度末から111億円増加しております。親会社株主に帰属する当期純損失を8億円計上し、為替換算調整勘定が19億円減少した一方、第三者割当によるA種優先株式の発行に伴い資本剰余金が150億円増加したことが主な原因であります。
b. 経営成績
(完成工事高)
当連結会計年度における完成工事高は、米国向けエチレン製造設備、マレーシア向けエチレンコンプレックス、タイ向け天然ガス焚きコジェネレーション発電所等のプロジェクトの進捗により、前連結会計年度比407億円(12.1%)減の2,949億円となりました。
(完成工事総損益)
当連結会計年度における完成工事総利益は、米国向けエチレン製造設備プロジェクトを除く当社および一部の連結子会社が遂行するその他のプロジェクトの収支が改善したものの、米国向けエチレン製造設備プロジェクトにおいて工事コストが増加したことに伴い、106億円(前連結会計年度は完成工事総損失125億円)となりました。
(営業損益)
当連結会計年度における営業損益は、販管費の縮減(プロポーザル費の効率的な使用、全社的な経費削減、役員報酬の減額等)を行ったものの、前述の米国向けエチレン製造設備プロジェクトにおける工事コストの増加に伴い、56億円の損失(前連結会計年度は営業損失329億円)となりました。
(経常損益)
当連結会計年度における経常利益は、営業損失を56億円計上した一方、ブラジル持分法適用会社が遂行するプロジェクトの採算向上や過年度にコスト計上済の税金の還付等により持分法による投資利益を64億円計上したことや、過年度に完成済のインド向けプロジェクトの紛争解決等により受取利息37億円を計上したことなどにより、34億円(前連結会計年度は経常損失278億円)となりました。
(特別損益および税金等調整前当期純損益)
当連結会計年度において、特別利益(固定資産売却益)を0.8億円計上した結果、税金等調整前当期純利益は35億円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失223億円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損益は、税金等調整前当期純利益を35億円計上したものの、子会社等にかかる法人税等を42億円計上したことにより、8億円の損失(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失268億円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します)の残高は979億円で、前連結会計年度末から86億円減少しております。なお、これにはジョイントベンチャーでの工事遂行案件において当社がジョイントベンチャーから預かっている資金の残高41億円が含まれております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、258億円の資金減少となりました。税金等調整前当期純利益を35億円計上した一方、仕入債務の減少により資金が210億円、売上債権の増加により資金が71億円それぞれ減少したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、13億円の資金増加となりました。有形固定資産や投資有価証券の売却などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、167億円の資金増加となりました。A種優先株式の発行に伴う収入150億円などによるものです。
③ 生産、受注および販売の実績
a. 受注実績
当連結会計年度における当社および当社の連結子会社の受注実績は次のとおりであります。
(注) 1 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。
2 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前連結会計年度△9,970百万円、当連結会計年度△9,109百万円)を含んでおります。
3 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前連結会計年度△7,711百万円、当連結会計年度△16,206百万円)を含んでおります。
4 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。
なお、当連結会計年度の受注実績は、前連結会計年度と比較して112億円(3.6%)減少しております。
これは、提出会社においてロシア向けエチレン・ポリエチレンプラント、国内向けバイオマス発電所等を当連結会計年度に受注した一方、インド向け化学肥料コンプレックスを前連結会計年度に受注した影響などにより、一部の連結子会社における当連結会計年度の受注額が減少したことによるものであります。
なお、提出会社における受注実績は次のとおりであります。
(注) 1 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。
2 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前事業年度931百万円、当事業年度835百万円)を含んでおります。
3 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前事業年度12,247百万円、当事業年度79百万円)を控除しております。
4 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。
b. 売上実績
当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
主な相手先別の売上実績および総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注) 1 当連結会計年度のChambal Fertilisers and Chemicals Limitedおよび瀬戸内Kirei未来創り合同会社については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
2 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。
なお、当連結会計年度の売上実績は、前連結会計年度と比較して407億円(12.1%)減少しております。
これは、マレーシア向けエチレンコンプレックスの当連結会計年度における期間進捗率が前年同期と比較して減少したことなどによる影響であります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針等に関する詳細につきましては、後掲の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載したとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a. 概況
当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善が続く中、個人消費が持ち直し、設備投資が増加するなど緩やかに回復しており企業収益は高い水準にあるものの、改善に足踏みがみられ、企業の業況判断は慎重さが見られます。また、世界経済も全体としては緩やかに回復しておりますが、通商問題の動向が世界経済に与える影響、中国経済の先行き、政策に関する不確実性による影響、金融資本市場等の影響、原油価格の動向等に対する警戒感は依然根強く、日本経済および世界経済とも先行きが不透明な状況が続いております。
プラント分野では、国内において設備更新の需要が出てきており、海外においては、アップストリーム(産油・産ガス国におけるエネルギー開発・各種関連設備)への設備投資は抑制された状態が続いているもののダウンストリーム(石油化学プラントや化学肥料プラント等)への設備投資においては、堅調な需要を背景に、アジア地域を中心に案件が具体化しています。インフラ分野では、国内において、メガソーラー発電所やバイオマス発電所等の再生可能エネルギーの設備投資が続いており、また、中長期的には大型ガス火力発電の需要が見込まれます。海外においても、東南アジア等で電力需要は増大しており、今後も設備投資が見込まれます。ソリューションビジネス分野(従来の資源エネルギー分野を拡充)では、既存油田の改修等のサービス業務など、将来の資源開発に向けたソフト業務や関連する業務の需要がでてきております。
b. 受注高
こうした状況の中、当連結会計年度の実績は、次のとおりとなりました。
受注高は、ロシア向けエチレンプラント、ロシア向けポリエチレンプラント、米子バイオマス発電所、石狩バイオマス発電所、富山バイオマス発電所、タイ向けオレフィンプラント拡張、タイ向け石油化学プラント、夢前メガソーラー、インドネシア向け石油化学プラント、国内向けエチレン製造設備増設等のプロジェクトを受注し、2,980億円(前連結会計年度比3.6%減)となり、受注目標(3,000億円)をほぼ計画どおり達成しました。
c. 経営成績
売上高(完成工事高)は、米国向けエチレン製造設備、マレーシア向けエチレンコンプレックス、タイ向け天然ガス焚きコジェネレーション発電所等のプロジェクトの進捗により、2,949億円(前連結会計年度比12.1%減)となりました。
営業損益は、主に米国エチレン製造設備プロジェクトにおいて工事コストが増加したことにより収支が悪化し、他のプロジェクトや一部子会社の収支改善や、販管費の縮減(プロポーザル費の効率的な使用、全社的な経費削減、役員報酬の減額等)を行ったものの、営業損失56億円(前連結会計年度は営業損失329億円)となりました。米国向けエチレン製造設備プロジェクトについては、当第4四半期において、プラントの試運転準備の段階で、機器不具合や工事品質等に起因する手直し工事が発生したことおよび顧客要請に応じて工程を見直したことにより、工事費用と当社管理費の増加が生じました。現在では工事は完了し、試運転も開始しており、2019年度上期中の完成・引き渡しを予定しております。
経常利益は、ブラジル持分法適用会社が遂行するプロジェクトの採算向上や過年度にコスト計上済の税金の還付等によって大幅に収支が改善し、持分法による投資利益64億円、および、過年度に完成済のインド向けプロジェクトの紛争解決等により受取利息37億円を計上したことにより、34億円(前連結会計年度は経常損失278億円)となりました。
特別利益は、固定資産売却益0.8億円、法人税等は子会社等にかかる税金等による42億円を計上し、税金費用控除後の親会社株主に帰属する当期純損失は、8億円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失268億円)となりました。
期初に公表しました業績予想を下回る結果となり、また2期連続の最終赤字となりましたことを、深くお詫び申し上げます。
今回の大幅な収支悪化およびこれに伴う自己資本の毀損を受け、当社の経営者は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)対処すべき課題」に示したとおり、当該プロジェクトを現行計画どおり完工し、EPC事業を黒字化することが最重要であると認識しており、再生計画の下、その取り組みを強化してまいります。
d. 資金の状況
当社グループの資本の財源および資金の流動性について、当社の経営者は、円滑な事業活動に必要な水準の流動性を確保すべく、自己資金のほか、銀行からの借入による資金調達を行っております。運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行とコミットメント契約を締結しているほか、支払金利の変動リスクを回避するための金利スワップ取引をヘッジ手段として利用しております。詳細につきましては、後掲の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に記載したとおりであります。
また、当連結会計年度においては、2018年11月28日開催の当社取締役会において第三者割当によるA種優先株式の発行等を決議し、2019年2月12日開催の当社臨時株主総会の承認等の必要な手続を経て、当連結会計年度末までにA種優先株式の発行および払込が完了しております。
本第三者割当による資本調達の実施により、前連結会計年度における米国向けエチレン製造設備プロジェクトの収支悪化に伴い毀損した自己資本を回復させるとともに、①事業ポートフォリオ拡充のための事業開発・投資、②IoT活用によるプラントの運転・保全支援サービスの推進、③研究開発・要素技術開発の推進、④EPC遂行業務のDigital Transformationの推進、⑤管理業務改善・企業基盤強化に資金を充当することにより、事業基盤の強化および安定的な成長を目指してまいります。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、米国向けエチレン製造設備プロジェクトにおける工事コストの増加等に伴い258億円の資金減少(前連結会計年度は228億円の資金減少)となりました。また、当該工事コストの増加により、前期に引き続いて営業損失を計上することとなり、当連結会計年度末において、金融機関との間で締結している借入契約等に付されている財務制限条項に抵触することとなりました。継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況に有りますが、前述および「2 事業等のリスク(4)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、第三者割当増資の完了に伴い財務体質が強化されたほか、米国向けエチレン製造設備プロジェクトは、完成まであとわずかとなっており、再生計画に基づき、米国向けエチレン製造設備プロジェクト以外のプロジェクト収支は順調に推移していること、更に、当期の新規受注をほぼ計画どおりに達成したことにより今後のキャッシュ・フローは確保されております。また、有価証券報告書提出日現在、財務制限条項に抵触した借入契約等につきまして、金融機関との交渉を進めてまいりました結果、当該条項の適用免除の合意に至り、金融機関の支援体制は確保されております。
第三者割当増資の完了等に伴い財務活動によるキャッシュ・フローが167億円の資金増加となったことにより、当連結会計年度末の資金残高は979億円(前連結会計年度末から86億円減少)となり、引き続き、円滑な事業活動に必要な水準の流動性を確保しております。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
(注) キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
* 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
* キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
* 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象と
しております。
(1) 引受契約の締結
当社は、2018年11月28日開催の当社取締役会において、2019年2月12日開催の当社臨時株主総会において議案の承認等を得られることを条件として、インテグラルTeam投資事業有限責任組合およびInnovation Alpha Team L.P.(以下、2社をあわせて「割当先」という。)に対して第三者割当によりA種優先株式を発行することおよび割当先がA種優先株式を引き受けることに関する引受契約書を締結することを決議し、同日付で割当先と引受契約を締結いたしました。本第三者割当に関する払込みは、当該臨時株主総会の承認後、2019年3月6日に行われました。
なお、A種優先株式発行の要項は以下のとおりです。
① 株式の名称
東洋エンジニアリング株式会社A種優先株式(以下、「A種優先株式」という。)
② 募集株式の数
20,270,300株
③ 募集株式の払込金額
1株につき740円
④ 増加する資本金および資本準備金
資本金 7,500,011,000円(1株につき、370円)
資本準備金 7,500,011,000円(1株につき、370円)
⑤ 払込金額の総額
15,000,022,000円
⑥ 払込期間
2019年2月13日から2019年3月29日
⑦ 発行方法
第三者割当の方法により、インテグラルTeam投資事業有限責任組合に17,576,600株、Innovation Alpha Team L.P.に2,693,700株を割り当てる。
⑧ 剰余金の配当
当社は、普通株式を有する株主(以下、「普通株主」という。)および普通株式の登録株式質権者(以下、「普通登録株式質権者」という。)に対して剰余金の配当を行うときは、当該剰余金の配当に係る基準日の最終の株主名簿に記載または記録されたA種優先株式を有する株主(以下、「A種優先株主」という。)またはA種優先株式の登録株式質権者(以下、「A種優先登録株式質権者」という。)に対し、A種優先株式1株につき、普通株式1株当たりの配当額と同額の剰余金の配当を普通株主および普通登録株式質権者に対する剰余金の配当と同順位にて行う。
⑨ 残余財産の分配
[1] 優先分配金
当社は、残余財産の分配をするときは、A種優先株主またはA種優先登録株式質権者に対し、普通株主または普通登録株式質権者に先立ち、A種優先株式1株当たり、740円(ただし、A種優先株式につき、株式の併合もしくは分割、株式無償割当てまたはこれに類する事由があった場合には、適切に調整される。)を支払う。
[2] 非参加条項
A種優先株主またはA種優先登録株式質権者に対しては、上記のほか残余財産の分配を行わない。
⑩ 議決権
A種優先株主は、株主総会において議決権を有しない。
⑪ 株式の併合または分割および株式無償割当て
[1] 分割または併合
当社は、株式の分割または併合を行うときは、普通株式およびA種優先株式の種類ごとに、同時に同一の割合で行う。
[2] 株式無償割当て
当社は、株式無償割当てを行うときは、普通株式およびA種優先株式の種類ごとに、当該種類の株式の無償割当てを、同時に同一の割合で行う。
⑫ 普通株式を対価とする取得請求権
A種優先株主は、いつでも、法令の定める範囲内において、当社に対し、普通株式の交付と引換えに、その有するA種優先株式の全部または一部を取得することを請求することができるものとし、当社は、当該請求に係るA種優先株式1株を取得するのと引換えに、当該A種優先株主に対して普通株式1株を交付する。
(2) 技術導入契約
現在締結している主要な技術導入契約は次のとおりであります。
当連結会計年度において、当社グループは研究開発費
《新たなビジネス・商品開拓》
IoT分野では、デジタル基盤を介したプラント運営支援を目指し、DX-PLANT™のソリューション深化と拡販を昨年度に発足した“IoT推進部”および“DXエンジニアリング部”を中心に進めています。日鉄エンジニアリング株式会社との連携を基に、システム基盤の構築、運用も完了し、工場オーナーにとって導入しやすく、その要求に柔軟に対応できる体制を整えました。肥料のほかに石化工場への適用アプローチを開始しており、さらに新しい顧客支援領域を拡張し、工場オーナーの収益改善に貢献していきます。
環境・省エネ分野では、低炭素社会に貢献すべく、革新的省エネルギー蒸留システム“SUPERHIDIC”の研究開発への継続的取り組みとともに国内外での販売促進を本格化させています。また、個別の蒸留塔に対する省エネ化だけでなく、プロセス系・用役系全体を対象としたエネルギーアセスメントについても、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの助成をいただき取り組んでいます。これにより、包括的な観点からSUPERHIDICを提案できるようになるだけでなく、これまでにない革新的なアイデアを創出できると期待しています。
CCS分野では、地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」に基づいた温室効果ガス排出量削減目標達成に向けて、当年度は二酸化炭素の分離回収・貯留に関する技術分野で日鉄エンジニアリング株式会社などの協業パートナーと連携を行い、CCSを視野に入れたCO2-EOR案件での具体化を図ってきました。また、日本CCS調査株式会社への出資・派遣などの対外的な活動も引き続き実施しています。
バイオマス燃料分野では、NEDOの委託を受け、三菱日立パワーシステムズ株式会社、中部電力株式会社、およびJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と共同で、木質系バイオマスを原料としたバイオジェット燃料を合成する一貫製造実証プロジェクトに参画しています。
原子力分野では廃炉先進国ドイツで使用済燃料や廃棄物の貯蔵技術、同施設運営の実績を有するドイツGNS(Gesellschaft für Nuklear-Service mbH)社と協力関係を進め国内の廃炉分野で共同提案を行うなど取り組みを推進しています。
《基幹ビジネスの基盤強化》
急速な進歩を遂げているデジタル化の波を当社の基幹ビジネスであるEPC遂行力強化に迅速に取り込むためDXoT(Digital Transformation of TOYO)に取り組んでいます。当年度は、Hexagon社のSmart Plant Constructionを導入しAWP(Advanced Work Packaging)による工事管理を開始するとともに、経験に頼っていた3D設計の品質チェックをシステム化することで設計品質の向上ならびにチェック作業の効率化を図りました。また、RPA(Robotic Process Automation)、BI(Business Intelligence)、AI等のデジタル技術を検証し、順次業務へ適用することで生産性と業務スピードの向上を目指します。さらに、TOYO Digital Daysと呼ぶ社内啓蒙イベントを開催し、デジタル変革文化の醸成を図っています。
工事技術分野ではAWPやConstructability Studyの実用化推進、工事施工期間中に有効な資材養生技術の研究、ドローンを活用した測量技術の評価などを行い、基礎技術力強化、新技術の調査と実用化を進めています。
《各事業部のビジネス戦略強化》
尿素プロセス“ACES21®”は当社が開発した代表的保有プロセスであり、大型化と省エネを図るためのプロセス改良に日々取り組んでいます。2018年7月にはインドネシア向け尿素製造設備(1,725 t/日)を、2019年2月にはインド向け肥料製造設備(2,000 t/日 x 2系列)のプラントをお客様に引き渡しました。また、プロセスの優位性が評価され、2017年3月に引き渡しとなった世界最大生産量のナイジェリア向け尿素製造設備(4,000 t/日)は、引き続き2号機を受注しました。今後も継続して一層のプロセス改良に取り組みつつ、またIoT技術との連携を推進することで設備の運転および保全の最適化に貢献していきます。
医薬品分野では、当社の連結子会社であるテックプロジェクトサービス株式会社(100%出資子会社)が、医薬品製造企業の多様なニーズに応えるエンジニアリングサービスを提供すべく、主力の低分子医薬品向けに原薬連続生産技術開発および高薬理活性物質用移動式集塵装置、バイオ医薬品向けにシングルユース技術の新規装置開発および精製工程連続化技術開発等、将来を見据えた革新的な技術開発を行っています。また、今後の成長が期待される中分子医薬品向け製造技術開発も開始しました。
鉄道システムインテグレーター(鉄道SI)としての技術・知見の獲得および市場調査を目的としたタスクチームを約10年前に立ち上げ、交通ビジネスへの取り組みを本格的に開始しました。その成果として2015年に当社初の鉄道EPCプロジェクトであるジャカルタMRTを受注し、2019年3月には完工して客先への引き渡しを終えました。本プロジェクトの経験を活かして、当社は日本では数少ない海外鉄道プロジェクトのEPCに一括で対応できる鉄道SIとなることを目指していきます。
海洋資源開発の分野では、協業パートナーである日鉄エンジニアリング株式会社、米国Baker Hughes社, GE社、ノルウェーAker Solutions社、などの協力により、現在の油価状況における最適な海洋資源開発手法の検討を継続的に行っています。当年度は、JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)より「東南アジア海域等でのサワーガス田開発に関するサブシー生産システムに係る事前検討スタディ」業務、および「洋上生産施設の省人化を目的としたプラント設計方法調査」業務を受託し、産油国向けに本邦シーズ技術を用いた海洋システムに関する事前スタディを実施しました。これらを基に具体的なプロジェクトへの移行に向け引き続き活動中です。また、メタンハイドレート開発への取り組みも継続するとともに、新たに海底鉱物資源開発への取り組みも開始しています。