(1) 経営の基本方針
当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。
世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。
◆グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”
世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSE(健康・安全・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。
東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。

上記の経営方針に基づき、当社グループは、5つの強み(プロジェクトマネジメント力・技術力・アライアンス構築力・総合エンジニアリング力・グローバル対応力)を発揮し、プラント事業とインフラ事業を中心に、多様化、個別化する顧客の課題に対し、最適なソリューションを提供しています。
(2) 経営環境
当連結会計年度における日本経済を含む世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、上半期は急速に、かつ大幅に悪化しましたが、下半期以降、感染状況に応じた各国の経済金融対策と企業レベルの経営努力とによって持ち直しの方向にあります。今後、変異株の拡大が懸念されますが、各国の追加経済対策とワクチン接種の普及などが、世界経済の回復を後押しすることが期待され、2021年下半期以降から新型コロナウイルス感染症拡大前の経済水準に戻るものとみられます。
当社グループの事業環境としては、プラント事業分野では、国内および海外において、アップストリーム(産油・産ガス国におけるエネルギー開発・各種関連設備)およびダウンストリーム(石油化学プラントや化学肥料プラント等)ともに、新型コロナウイルス感染症の拡大や原油価格の低迷、更にカーボンニュートラルへの政策転換により、設備投資計画の見直しや投資決定の遅延等の影響を受け、受注環境は極めて厳しい状況にあります。インフラ事業分野においては、少なからず新型コロナウイルス感染症拡大の影響は受けているものの、国内でバイオマス発電所等の再生可能エネルギーの設備投資が見込まれており、また、海外においても東南アジア、ブラジル等で電力需要増大の影響を受けた設備投資計画が見込まれます。
プラント事業分野においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、短期的に顧客の投資計画の見直しや最終投資決定が遅れる等の影響が出ておりますが、肥料、化学製品は社会活動に不可欠であり、中長期的には需要は回復することが見込まれます。一方、インフラ事業分野においては、電力需要に大きな変動はなく、今後も需要は底堅く推移するものと見込んでおります。
当社グループは、米国向けエチレン製造設備プロジェクトの大幅な収支悪化を受け、2018年度から再生計画を進めてまいりました。この再生計画では、プラントに偏重していた事業ポートフォリオを、プラント事業とインフラ事業の2本柱とする取り組みを進め、これら2事業の連結粗利益および事業本部人員比率は、2019年度末にはほぼ半々になりました。一方、組織力強化に向けたグループ全体での業務最適化を進めた結果、当社グループの各EPC拠点の業績寄与の割合が拡大してきました。事業の根幹であるリスクマネジメントを更に強化するため、受注管理および実行管理の徹底を図っており、その結果、足元のEPC案件での粗利益率は、再生計画実施以前の案件と比較し、大幅に向上しております。
前述のとおり再生計画は一定の役割を終えたと認識し、当社グループは、ポストコロナとカーボンニュートラルへの移行を見据え、今般、2021~2025年度の5年間にわたる中期経営計画を策定しました。
昨年来の原油価格の低迷と新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、従来型のプラント事業の受注面で苦戦を強いられましたが、世界的な人口増加と経済成長を考えますと、石油化学関連設備やアンモニア、肥料設備等の需要は依然として底堅く推移すると見込まれます。一方で、カーボンニュートラルの政策に対しては、当社グループとして様々な形で貢献できる部分があり、ビジネスチャンスに繋がるものと捉えております。
中期経営計画では、環境調和型社会と豊かな暮らし(経済性・利便性)の両立を目指し、「EPC強靭化」戦略と「新技術・事業開拓」戦略の二重螺旋を紡いで深化させてまいります。その取り組みによって、地球・社会ひいては当社グループのサステナビリティを実現し、結果として、安定的な収益を上げて2025年度の目標数値(KGI:Key Goal Indicator)を達成します。
◆ 「EPC強靭化」戦略
中期経営計画の戦略の一つが、「EPC強靭化」です。当社グループは、EPC案件を受注し、それを完遂することを主軸に60年間の歴史を重ねてまいりました。そういう中で、当社グループの拠点は長い歴史と経験を有し、EPC案件を遂行する上での位置づけが徐々に変わってきております。かつての設計や調達等の下請けといった限定的な関与から、プロジェクトパートナーへ、更には独自に受注したEPC案件を自律的に完遂する実行力を持つ存在へと成長してきました。現在、こうした拠点群が育ってきております。国内では医薬分野、海外ではインド、東南アジア、ブラジル等のマーケットで引き続き見込まれる需要の増加に対して、各拠点が強みとする領域を軸に、拠点独自あるいは拠点間協業を拡大して、拠点を中心にしたEPCオペレーション体制を構築してまいります。
一方、2019年度から本格的に着手したDXoT(Digital Transformation of TOYO)は、EPC遂行における大幅な効率化・高付加価値化、更にリスクの予見に重点をおいて開発が進展中であり、一部は実装を進め、複数の案件でその効果が実感されつつあります。
グループオペレーションの深化とDXoTを掛け合わせることで、顧客満足度とEPC事業の競争力の双方を高めてまいります。
◆ 「新技術・事業開拓」戦略
中期経営計画のもう一つの戦略が、「新技術・事業開拓」です。当社グループは、再生可能エネルギーの大規模メガソーラーやバイオマス発電、更に交通システム、医薬等の非石油化学系EPC事業の拡大を図っており、また、DX-PLANT®(プラント運転データの見える化・活用支援サービス)やHERO(Hybrid Energy system Re-Optimization、数理最適化技術を利用したプラント省エネサービス)といったEPC案件での経験に裏打ちされた技術サービスを提供してまいります。
それらに加え、カーボンニュートラルの様々な分野に取り組んでおりますが、その中でも特に技術的な強みである合成ガス技術やCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage、二酸化炭素回収・貯留)技術を活かした領域として、SAF(Sustainable Aviation Fuel、再生可能代替航空燃料)や燃料アンモニア(燃料用途としてのアンモニア)に注力しております。
SAFは木質バイオマス等を原料とするバイオジェット燃料で、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)事業において、日本国内での開発実証実験を行い、2030年頃の商用化実現に向けて取り組んでおります。
当社グループの得意分野であるアンモニアは、従来、肥料や化学品の原料として用いられてきましたが、それ自体を燃料として発電や船舶での利用可能性が高まっており、将来的には水素エネルギーの貯蔵・輸送媒体として利用することが期待されております。また、そのようなブルーアンモニアを活用する上で鍵となるCO2-EOR(EOR=Enhanced Oil Recovery、二酸化炭素圧入による油ガス田の増進回収技術)に関して当社グループはこの分野で長年の知見があり、50件以上の実績を有しております。
こうしたSAFや燃料アンモニアといった事業領域では、それぞれの製品を製造する設備を建設するといったEPC事業に留まらず、カーボンニュートラルの実現に向けて、顧客を含む様々なメンバーとともにマーケットやバリューチェーンを構築していくことを目指してまいります。
当社グループは「地球と社会のサステナビリティに貢献するエンジニアリング会社」というミッションと、SDGsの観点から、「環境調和型社会を目指す」「人々の暮らしを豊かにする」「多彩な人がいきいきと働く」「インテグリティのある組織を作る」という4つのマテリアリティ(重要課題)を設定しております。
「多彩な人がいきいきと働く」と「インテグリティのある組織を作る」は企業活動の礎であり、これらを着実に実現していくことで今回の中期経営計画の推進力としてまいります。その推進力をもとにした「EPC強靭化」戦略と「新技術・事業開拓」戦略の相乗効果によって、「環境調和型社会を目指す」ことと「人々の暮らしを豊かにする」ことの両立を実現し、当社グループが関わる各案件で、「TOYOに頼んで本当に良かった」と顧客に感じてもらえるような付加価値を提供することで、グループ全体のサステナビリティを向上させてまいります。
(4) 2022年3月期連結業績予想
受注高については、「(2)経営環境」および「(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載した全般的状況を踏まえて算出しました。
業績予想については、保有プロジェクトの進捗を中心に算出しました。新規受注見込案件による収支の計上は限定的にみております。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、工事の進捗等に影響が生じている一部の保有プロジェクトについては、その影響を予想に織り込みました。
[本業績見通しにおける想定為替レート]
1米ドル=108円
投資者の判断に重要な影響を与える可能性のあるリスクの内容および程度につき当社グループが認識している事項は以下のとおりであります。但し、列挙した項目は例示であり、限定的なものではありません。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
当社グループの事業遂行に当たっては、適正な仕事量を確保するために受注活動を行い、プロジェクトの損失を防止するために、見積り段階から受注プロジェクトの完了の過程に至るまで、様々な形でのリスクマネジメント体制を、コーポレートガバナンスの一環として構築、維持しておりますが、以下のような事態が発生すると、それに起因して受注額が大きく減少したり、プロジェクトの中断、中止、あるいはプロジェクト採算の著しい悪化によって、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 業務実施国、地域での、戦争、内乱、暴動、テロ、著しい治安悪化等の非常事態の発生、伝染病の蔓延、天変地異、異常気象等の不可抗力事由
② 許認可、通関、出入国管理、為替制度、通信、税務等、現地国の通商、貿易、金融政策の著しい変更
③ 為替レートの著しい変化
④ 機器・資材調達、輸送、工事等に係る価格の著しい高騰、需給ひっ迫
⑤ プロジェクトの主要発注先あるいは契約パートナーの信用不安
⑥ 当社グループの事業分野における投資活動の世界的規模での大幅な縮小、競合激化による受注機会の急激な減少
当社グループはこのようなリスクに対して、事前の情報収集を密にして事態の把握に努めることによって可能な対応策を検討するとともに、貿易保険の付保、為替予約、顧客との契約条件の設定(契約形態の多様化、契約建値の設定、支払い条件、顧客とのリスク分担条項等)、機器・資材の調達先や工事発注先の分散化等、可能な対策を講じて、リスクの軽減に努めております。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響につき、プラント事業において、短期的に顧客の投資計画の見直しや最終投資決定が遅れる等、当社グループの営業活動に影響が出る可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、遂行中のプロジェクトにおいて、サプライチェーンの乱れ、事業所や建設現場内における感染者の発生等により、プロジェクトが遅延または中断することで当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、協力会社を含めた従業員およびその家族、更に地域の方々の安全を最優先とし、テレワークや時差出勤の推奨、事業所および建設現場内での感染症予防の周知徹底といった感染防止対策に継続して取り組むとともに、事業活動に与える影響を最小限とすべく、事業構造の変革、新規事業機会の創出、サステナビリティの推進といった施策に取り組んでまいります。今後の想定としては、変異株の拡大が懸念されますが、各国の追加経済対策とワクチン接種の普及などが、世界経済の回復を後押しすることが期待され、2021年下半期以降から新型コロナウイルス感染症拡大前の経済水準に戻るものとみております。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載のとおりです。
当社ビジネスは、国内外の労働法規、個人情報保護制度、税法、輸出入管理規制、不正競争防止法等の広範な法律や規制に服しており、これらの法令の変更、予測しえない解釈等により、法令遵守対応の負担が増加する可能性があります。法令に違反する行為または疑義を持たれる行為が万が一発生した場合、当社グループに追加の負担、営業の中断や信用の低下等が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。当社グループはこのようなリスクに対して、役職員行動規範、コンプライアンス・マニュアル等の周知徹底、当社グループ統一の内部通報制度の整備・運用、および、Chief Compliance Officer(CCO)を委員長とするコンプライアンス委員会を中心とした啓蒙・推進活動の実施により、法令遵守体制の強化に努めております。
当社グループは、当社グループおよび当社グループと取引関係にある法人または個人の技術上および営業上その他の業務上の企業秘密情報および個人情報を保持・管理しておりますが、コンピューターウイルスの感染、外部からの不正アクセスやサイバー攻撃等によりシステム障害、情報の漏洩、破壊または改ざん等があった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。当社グループは、情報資産マネジメント規程およびHSE・品質・情報セキュリティ基本方針に従い、事業継続のために必要な情報セキュリティに関する管理計画の策定・維持、SQE統括担当部門による各部門の情報セキュリティマネジメント活動の推進、情報セキュリティマネジメントに関する啓発教育、各部門の情報セキュリティマネジメント活動の監査および監査結果のICT委員会への報告等を行い、リスクの低減に努めております。
当社が出資しているグループ各社の事業運営に関しては、グループ経営管理部門がグループ会社の状況を的確に把握し管理する他、的確な協業体制を構築することによって、上述のようなリスクの軽減に努めております。なお、当社がブラジルの持分法適用会社を通じて行っている事業については、同国における政治的、経済的事業環境の変化や事業パートナーの信用状況等により、投資に見合うリターンが得られない場合や追加資金拠出が必要になる場合が生じ、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」と記載します。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態および経営成績の状況
a. 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は1,943億円で、前連結会計年度末から65億円増加しております。受取手形・完成工事未収入金等が40億円、未収入金が29億円それぞれ減少した一方で、現金預金が156億円増加したことが主な原因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は238億円で、前連結会計年度末から29億円増加しております。退職給付に係る資産が33億円増加したことが主な原因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は1,531億円で、前連結会計年度末から24億円減少しております。支払手形・工事未払金等が85億円増加した一方で、短期借入金が63億円、未成工事受入金が30億円、為替予約が8億円それぞれ減少したことが主な原因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は249億円で、前連結会計年度末から79億円増加しております。長期借入金が64億円、繰延税金負債が19億円それぞれ増加したことが主な原因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は400億円で、前連結会計年度末から40億円増加しております。為替換算調整勘定が22億円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益を8億円計上したほか、退職給付に係る調整累計額が29億円、繰延ヘッジ損益が22億円それぞれ増加したことが主な原因であります。
b. 経営成績
(完成工事高)
当連結会計年度における完成工事高は、複数の国内向けバイオマス発電所、ロシア向けエチレン・ポリエチレン製造設備、インド向け化学肥料コンプレックス等のプロジェクトが進捗した一方、大型プロジェクトの期間進捗率が前年同期と比較して減少した結果、前連結会計年度比350億円(16.0%)減の1,840億円となりました。
(完成工事総利益)
当連結会計年度における完成工事総利益は、完成工事総利益率は向上した一方、完成工事高の減少により、前連結会計年度比2億円(1.1%)減の185億円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、販売費及び一般管理費は前連結会計年度とほぼ同水準となった一方、前述の完成工事総利益が減少した結果、前連結会計年度比2億円(14.6%)減の16億円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、持分法による投資利益が減少した一方、為替レートの円安傾向に伴い為替差損益が改善した結果、前連結会計年度比3億円(12.7%)増の27億円となりました。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比16億円(37.4%)減の27億円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、子会社等の税金費用を19億円計上した結果、前連結会計年度比8億円(51.0%)減の8億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します。)の残高は944億円で、前連結会計年度末から142億円増加しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、177億円の資金増加(前連結会計年度は186億円の資金減少)となりました。税金等調整前当期純利益を27億円計上したほか、仕入債務の増加により資金が85億円、売上債権の減少により資金が43億円それぞれ増加したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、27億円の資金減少(前連結会計年度は79億円の資金増加)となりました。定期預金の預入による支出13億円、無形固定資産の取得による支出8億円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、4億円の資金減少(前連結会計年度は61億円の資金減少)となりました。ファイナンス・リース債務の返済による支出4億円などによるものです。なお、借入金は短期から長期への借り換えが進み、増減に大きな変動はありません。
③ 生産、受注および販売の実績
a. 受注実績
当連結会計年度における当社および当社の連結子会社の受注実績は次のとおりであります。
(注) 1 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。
2 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前連結会計年度△5,325百万円、当連結会計年度△1,146百万円)を含んでおります。
3 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前連結会計年度229百万円、当連結会計年度△16,293百万円)を含んでおります。
4 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。
なお、当連結会計年度の受注実績は、市原バイオマス発電所、医薬品新工場建設工事等のプロジェクトを受注したものの、プラント事業分野における新型コロナウイルス感染症拡大の影響による市場の冷え込みを背景に、1,228億円(前連結会計年度比34.3%減)となりました。
なお、提出会社における受注実績は次のとおりであります。
(注) 1 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。
2 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前事業年度271百万円、当事業年度424百万円)を含んでおります。
3 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前事業年度949百万円、当事業年度14,991百万円)を控除しております。
4 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。
b. 売上実績
当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
主な相手先別の売上実績および総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注) 1 当連結会計年度のHindustan Urvarak & Rasayan Limited および Indorama Eleme Fertilizer & Chemicals Limited については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
2 前連結会計年度のLLC Irkutsk Polymer Plantについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3 記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しており、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状況
概要は「(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況 a.財政状態」に記載したとおりです。
現金預金の増加の影響等により、総資産の残高は2,182億円となり、前連結会計年度末から95億円増加しました。総負債につきましても、支払手形・工事未払金等の増加に伴い、残高は前連結会計年度末から54億円増加の1,781億円となりました。純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益8億円の計上による株主資本の積み上げ、その他の包括利益累計額において退職給付に係る調整累計額の増加、繰延ヘッジ損益の増加に伴い、残高は前連結会計年度末から40億円増加の400億円となりました。この結果、自己資本比率は18.3%となり、前連結会計年度の17.2%から若干改善しました。
b. 経営成績
概要は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」および「(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況 b.経営成績」に記載したとおりです。
近年最大の懸案であった米国向けエチレン製造設備プロジェクトは2019年度に終了し、不採算案件を一掃しました。2019年度第4四半期から新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に拡大したものの、グループを挙げたプロジェクト成果向上努力と徹底した支出の抑制により、粗利益と営業外収益の改善を図り、当連結会計年度では8億円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上しました。
当期の期初に公表した業績見込みとの比較は以下のとおりです。
完成工事高につきましては、期初業績予想値2,100億円に対し、一部のプロジェクトの進捗が期初想定を下回ったことから、259億円減収の1,840億円となりました。
営業利益につきましては、完成工事高の減収による減益影響がある一方で、海外子会社が手掛ける複数プロジェクトにおける収支改善、販管費におけるプロポーザル費用の抑制等により、期初業績予想値5億円に対し、11億円増益の16億円となりました。
経常利益につきましては、ブラジル持分法適用関連会社が手掛けるプロジェクトの収支改善、期初に織り込んでいた為替差損の減少等により、営業外損益で11億円増益となった結果、期初業績予想値5億円に対し、22億円増益の27億円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、子会社等の税金費用を19億円計上した結果、期初業績予想値0億円から8億円増益となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載したとおりです。
当社グループは、当連結会計年度においても、2018年3月期の業績を踏まえて策定した「再生計画」における以下の具体的な施策、◆事業構造の変革、◆組織力の強化、◆財務基盤の強化に取り組んでまいりました。事業ポートフォリオをプラント事業とインフラ事業の2本柱とする取り組み、組織力強化に向けたグループ全体での業務最適化、リスクマネジメントの更なる強化に向けた受注管理および実行管理の徹底等、これら一定の成果を実現した結果、各段階利益において2期連続黒字を達成しました。
また、当社グループの経営成績における先行指標となります受注実績の概要につきましては、「(1)経営成績等の概要 ③生産、受注および販売の実績」に記載のとおりです。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載した状況を受けて、当連結会計年度の受注実績は1,228億円となり、期初の受注目標2,200億円を下回る結果となりました。
分野別では、市原バイオマス発電所プロジェクトの受注等により「発電・交通システム等」分野の受注実績が510億円(受注実績合計に対して41.6%)と最も大きく、以下、「石油化学」分野の受注実績が271億円、「石油・ガス」分野の受注実績が199億円となりました。
なお、当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関わる情報
a. キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」と記載します。)は、主に営業活動による資金の増加177億円の影響により、前連結会計年度末から142億円増加し、944億円となりました。
概要は「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりです。
営業活動による資金の増加の主な要因は、進行中の一部のプロジェクトにおいて顧客からの入金が先行し、また、顧客からの資金回収も進捗したことなどによるものです。
b. キャッシュ・フロー指標のトレンド経営成績
(注) キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
* 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
* キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
* 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象と
しております。
c. 資本の財源および資金の流動性に関わる情報
当社グループは、現金及び現金同等物ならびに営業活動によるキャッシュ・フローを資金の源泉としております。資金需要の主なものは、進行中プロジェクトの遂行に関わる機器資材の購入や外注費等の費用、従業員給与手当等の人件費、営業費用・DX・研究開発に係る活動費といった販売費及び一般管理費、IT基盤の充実に関わる設備投資等となります。将来の成長のため、財務規律の徹底を図りつつ、DX・研究開発に係る活動費および投資支出の拡大を計画しております。
当社グループは、円滑な事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持および健全な財務状態の維持を財務方針としており、資金需要に対して必要充分な水準の手元流動性を確保すべく、自己資金のほか、銀行からの借入による資金調達を行っております。当連結会計年度においては営業活動による資金の積み上げにより、当連結会計年度末の資金残高は944億円となり、必要な流動性水準を維持しました。
なお、安定的な経常運転資金枠の確保、マーケット環境の一時的な変化等の不測の事態への対応手段確保の観点から、取引銀行10行と総額90億円の貸出コミットメント契約を締結しております。なお、これら契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
当社グループの財務上の喫緊の課題は、第一に自己資本をいち早く回復させ、企業価値向上への安定成長軌道に乗せることです。総合エンジニアリング会社として、EPC事業を行う上でのリスクに充分耐えうる財務基盤が必要です。この観点から、自己資本比率は25%超、自己資本は2013年度末頃の水準の600~750億円のレンジまで積み上げることが当面の目標です。
また、持続的な企業価値向上の観点から資本効率を重要課題と認識し、ROEについては2025年度以降、安定的に10%超とすることを目標としております。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、経営者による会計方針の選択や適用、また、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を与える見積りおよび仮定を用いております。経営者は、これらの見積りおよび仮定に基づく数値について過去の実績や状況に応じ合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性が存在する為、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。
なお、なかでも特に重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(a)完成工事高および完成工事原価
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 1 工事進行基準による収益の認識」に記載しております。
(b)工事損失引当金
当連結会計年度末において損失の発生が見込まれる未引渡工事に係る将来の損失に備えるため、その損失見込額を計上しています。工事施工の途中において見積りを超える原価が発生した場合、引当金の追加計上、追加損失の計上が必要となる可能性があります。
(c)貸倒引当金
営業債権、貸付金等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率に基づき、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に債権の回収可能性を検討し、回収不能見込額を引当金として計上しています。顧客の財政状況が悪化し、その支払い見通しが変動した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
(d)退職給付に係る資産または負債
退職給付債務および退職給付費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定しており、これらの前提条件には、割引率、予定昇給率、退職率、死亡率および年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。前提条件の変動により、将来の退職給付に係る資産または負債、および退職給付費用の金額に影響を与える可能性があります。
(e)繰延税金資産
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 2 繰延税金資産の評価」に記載しております。
技術導入契約
現在締結している主要な技術導入契約は次のとおりであります。
当連結会計年度において、当社グループは研究開発費
《新たなビジネス・商品開拓》
IoT分野では、デジタル基盤を介したプラント運営支援を目指し、DX-PLANT®のソリューション深化と拡販を進めています。そのためにシステム基盤を構築し、工場オーナーにとって導入しやすくその要求に柔軟に対応できる体制を整え、海外の5件の肥料工場と接続し運用中です。また、尿素プラント向け運転監視・最適化システム(PMOS®)や、エチレン分解炉の運転状態予測・最適化支援システム(RL-Tracker®)など、当社の知見を活かした高付加価値ソリューションの開発・実装を行いました。肥料のほかに石油化学プラントなど様々な産業設備へ適用のアプローチも進めており、更に技術支援サービスにおけるDX技術の活用など新しい顧客支援領域を拡張し、顧客のプラント運営の収益改善に貢献していきます。
環境・省エネ分野では、低炭素社会に貢献すべく、革新的省エネルギー蒸留システム“SUPERHIDIC®”の販売促進を国内外で本格化させています。また、2019年度に開発した、プラントを構成するプロセス系・用役系を、省エネ・GHG排出削減の観点から数学的に同時最適化する手法“HERO(Hybrid Energy system Re-Optimization)”についても商業化し、既に国内で数件受注しています。これにより、ヒトの発想だけでは困難な革新的な省エネ案を創出し、当社保有技術のSUPERHIDIC®と合わせて提案することにより、お客様の期待以上の価値を提供できるようになりつつあります。
電力分野では、当社敷地内に設置した産業用蓄電池を用いて、平成31年度に引き続き経済産業省の令和2年度需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業にリソースアグリゲーターとして参画し、各種の知見を得ることができました。
世界的に急速に加速している温室効果ガスのゼロエミッション実現に向け、エネルギーシフトも加速する今、CCSは二酸化炭素削減の不可欠な技術となっています。当社は、二酸化炭素の分離回収・貯留に関する技術分野において、日鉄エンジニアリング株式会社などの協業パートナーと連携を行い、CCUS案件の実現を図っています。当社が推し進めているアンモニアバリューチェーン事業においては、CCS/CO2-EORを組み合わせることにより、CO2排出ゼロのアンモニア燃料の実現を目指しております。CCUSの分野では、カーボンリサイクルを目指し、後述するようにCO2利活用の分野にも取り組んでおります。加えて、日本CCS調査株式会社への出資・派遣などの対外的な活動も引き続き実施しております。
次世代環境技術分野では、バイオマス燃料製造において、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託を受け、三菱パワー株式会社、株式会社JERA、およびJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と共同で、木質系バイオマス等を原料としたバイオジェット燃料を合成する一貫製造実証プロジェクトに参画しております。バイオジェット燃料合成装置では、パートナー企業との共同開発による小型FT(Fischer-Tropsch)合成技術(一酸化炭素と水素から触媒反応を用いて液体炭化水素を合成する)を採用しております。2020年度は、JERAの新名古屋火力発電所構内で、世界でも注目されている木質バイオマスからバイオジェット燃料留分までの一貫製造を実証しました。また、ここで得られた全てのバイオジェット燃料は、標準規格である米国ASTM D7566を満たすことを確認しました。今後は社会実装に向けて更なる開発を進めてまいります。
水素燃料キャリアとしてのアンモニア利用技術開発の一環として、CFAA(一般社団法人クリーン燃料アンモニア協会)に理事会員として参画しており、CO2フリーアンモニアサプライチェーン実証を目的として、石炭火力発電所等でのNH3混焼によるCO2排出低減について検討を継続して実施しております。当社独自案件としては、東シベリア-日本間のブルーアンモニアバリューチェーン事業化調査をイルクーツク石油会社(IOC)、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (JOGMEC)、伊藤忠商事株式会社の3者と共同で実施しております。
2020年度よりは、早期水素社会を構築することを目的とした水素バリューチェーン推進協議会に参画し、水素の社会実装に向けてプロジェクトの提案、需要創出、規制緩和等の政策提言などについて検討しています。
回収CO2の有効利用については、CO2とH2を原料とする新型メタノール合成やメタネーションを中心としたCO2固定化の検討を続けています。CO2とH2を原料とするメタノールは、g-MethanolTMとして国内外での具体的な案件創出を目指しています。SAF (Sustainable Aviation Fuel:原材料の生産から燃焼までの過程でCO2の排出量が少ない持続可能な供給源から製造されるジェット燃料)を供給するサプライチェーンにおける課題抽出や将来のビジネスモデルの検討を東芝エネルギーシステムズ株式会社、株式会社東芝、出光興産株式会社、全日本空輸株式会社、日本CCS調査株式会社と共同で実施しています。
低炭素化に向けた選択肢の1つとしての天然ガス利用に関して、技術的難易度が高いことから活用されていなかった酸性ガスについて低コスト処理可能で、分離CO2の貯留・利用への活用優位性のあるタート(TarT)プロセスに関しての包括協定書を米国8 RIVERS社と締結しました。
廃プラスチックリサイクルについては、廃プラのガス化および油化のケミカルリサイクルを中心に継続して検討を進めています。現在、数多くのガス化および油化プロセスが各社により開発、実証、導入が進められていますが、当社は当該プロセスについてテクノロジーホルダーとともに社会実装化を目指した検討を行っています。
原子力分野では廃炉先進国ドイツで使用済燃料や廃棄物の貯蔵技術、同施設運営の実績を有するGNS(ゲセルシャフト原子力サービス)社との協力関係を継続強化するとともに、新たに英国で同じく廃炉関連実績を有するJacobs社との協力関係を進め国内の廃炉分野で主にプロジェクト・マネージメント、エンジニアリングサービスに関する共同提案を行うなどの取組みを継続実施しています。
《基幹ビジネスの基盤強化》
ICT分野では、当社の基幹ビジネスであるEPC遂行力強化や競争力強化を加速するため、2019年7月にDXoT(Digital Transformation of Toyo)推進部を立上げ、2025年に向けたビジョンとロードマップ、それを実現させるためのICT中期戦略を策定しました。本ロードマップに基づき、Engineering, Procurement, Construction, Projectのそれぞれの分野において、デジタル技術を活用したデジタルツインを構築することによるマネジメント強化、設計品質の向上、納期遵守、工期短縮を図っています。具体的には、プロジェクトステータスのリアルタイムモニタリングを10プロジェクト(海外7 (内3つは海外拠点独自案件), 国内3)に適用、多大な工数をかけて人力で実施していた3D設計の品質チェックをシステム化、設計業務の自動化、建設現場のデジタル化、また工事/試運転からバックキャスティングしたエンジニアリングを実現する新たなEPCワークプロセスであるAWP(Advanced Work Package)を実プロジェクトに適用する体制が整備され、AWP実現に欠かせない材料の発注から現場での払出までの集中管理するサプライチェーンマネジメント導入も進めています。引き続き、パートナー企業、大学等と協力し、AIを利用した業務システムの構築や先端デジタル技術の業務への利用の検証を行い、海外拠点を含めた当社グループ全体のEPC業務・本社部門業務へ適用することで更に生産性と業務スピードの向上を目指します。また、全社的ICT化推進活動を通じて、高い変化への対応力、イノベーションを生み出せる文化の醸成を図っていきます。
工事技術分野では、上記のAWPや4D(3次元および時間軸)計画情報を使った施工性検討の実用化推進、工事材料管理手法の強化、半自動溶接の手法の実証検証、現場業務のDX(Digital Transformation)化、3次元レーザー測量技術を中心とした新技術の調査と実用化を進めています。
調達分野の技術では、品質管理機能において、検査業務の効率化ならびに高度化の観点から、最新検査技術の実用化研究を行っています。具体的には、レーザー測定技術を活用した塔槽類内部品の測定精度向上やスマートグラスを活用した遠隔検査技術の利便性向上などで進捗がありました。
《各事業部のビジネス戦略強化》
尿素プロセス“ACES21®”は、当社が開発した保有プロセスであり、大型化と省エネを図るためのプロセス改良に日々取り組んでいます。世界最大生産量となるナイジェリア向け尿素製造設備(4,000 t/日)の2号機は、2021年4月に引渡しに向けた試運転を開始しました。また、インド向け尿素製造設備(3,850 t/日)も2021年度内に稼働開始すべく工事が進んでいます。今後も一層のプロセス改良に取り組み、IoT技術との連携を推進することで設備の運転および保全の最適化にも貢献していきます。
鉄道分野では、鉄道システムインテグレーター(鉄道SI)としての技術・知見の獲得および市場調査を目的としたタスクチームを約10年前に立ち上げ、交通ビジネスへの取組みを本格的に開始しました。その成果として、当社初の鉄道EPCプロジェクトであるジャカルタMRTが2019年に完工し、同鉄道の延伸計画に係るプロポーザルにも引き続き取り組んでおります。更にはその他国内外の案件への取組みも開始し、着実に鉄道分野での取組みを拡大しています。今後も本プロジェクトの経験を活かし、海外鉄道プロジェクトのEPCに一括で対応できる鉄道SIビジネスに注力します。
バイオマス発電分野では、現在進行中の複数の50MW/75MW案件の知見・ノウハウを生かし、50MW/75MW案件と同じCFB(Circulating Fluidized Bed:Andritz社製)ボイラーとSTG(Steam Turbine Generator:Siemens社製)の組み合わせで112MW案件へのスケールアップへの取組みを開始しました。50MW/75MW同様に、まずはCFBボイラーの基本計画有償業務を実施し、その結果をもとにSTGおよびBOP(Balance of Plant:付帯設備)のスケールアップ検討を経て、112MWクラスバイオマス発電所の技術仕様として取り纏めていく予定であります。
海洋資源開発の分野では、近年急速に需要が高まるデジタル機器、再生可能エネルギー設備、ハイブリッドカーや電気自動車等の電池材料、磁気材料等に欠かせない、レアメタル、レアアース等の鉱物資源を、深海から回収しようとする国策技術開発の支援を行ってまいりました。内閣府SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)のもと、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)率いる日本勢は、大水深6,000mからレアアースを回収するというプログラムを進めています。当社は、これまで培ってきた、資源開発技術、サブシー技術、および協業パートナー(日鉄エンジニアリング株式会社・米国のベーカーヒューズ社・ノルウェーのアーカーソリューションズ社など)と取り組んできた海洋資源開発手法を活用してレアアース泥回収システムの技術開発に携わっています。具体的には、2019年度に引き続き、「レアアース泥回収システムの基本設計」業務をJAMSTECから受託し、2022年度に予定されている実証試験に向けたシステムの実現に取り組んでいます。加えて、従来のメタンハイドレート開発への取組みも継続すると共に、海洋資源開発に向けたビジネス強化を進めています。
医薬品分野では、テックプロジェクトサービス株式会社(100%出資子会社)が、医薬品製造企業の多様なニーズに応えるエンジニアリングサービスを提供すべく、将来を見据えた革新的な技術開発を行っています。低分子医薬品向けの原薬連続生産技術開発の進展に伴い、モジュール化装置および高薬理活性物質用移動式集塵装置を開発し、2020年度の実機納入に至りました。中分子・バイオ医薬品向けにシングルユース技術を活用した自動化装置開発を行い、精製工程連続化の運転設備を2020年度納入しました。