(1) 経営の基本方針
当社グループは、変化する事業環境の中で、世界に点在する当社グループ企業の全従業員が、共通する使命感、価値観のもとでグループとしての一体感を高めていくことを目的に、Mission、Vision、Values、いわゆるMVVを制定しております。
世界水準のエンジニアリングの提供によって、多様な顧客各社の課題を総合的に解決し、顧客ニーズの充足を実現するとともに、エネルギー・素材等の供給と環境保全を調和させ、持続性のある地球社会の実現に貢献します。
◆グループ・ビジョン(目指す企業像):“Global Leading Engineering Partner”
世界第一級のエンジニアリング企業グループとして、顧客の立場に立脚し共に課題を解決することによって、品質、HSE(健康・安全・環境)、納期、価格等を含む総合的な価値を提供し、顧客にとって最も信頼できる継続的なパートナーとなります。
東洋エンジニアリンググループで働く一人ひとりの役職員は、これらの価値観を共有して行動します。

上記の経営方針に基づき、当社グループは、5つの強み(プロジェクトマネジメント力・技術力・アライアンス構築力・総合エンジニアリング力・グローバル対応力)を発揮し、プラント事業と環境・インフラ事業を中心に、多様化、個別化する顧客の課題に対し、最適なソリューションを提供しています。
(2) 経営環境
当連結会計年度における世界経済は、前半は新型コロナウイルス感染症の拡大が一旦は落ち着きを見せ、後半は再び変異株の感染が拡大したものの、景気は徐々に持ち直しの動きが見られています。
しかしながら、これまでの感染拡大によって製造業の生産力が低下し、また物流が停滞するといったサプライチェーンの混乱が半導体等の部材の供給不足を引き起こしています。一方でコロナ禍からの景気回復過程において、モノ、サービスへの需要が増大しており、またエネルギーのグリーンシフトもあり、資源価格などの一次産品の高騰が起きています。更に一部の国では景気回復に伴う労働需給の逼迫によって賃金上昇が起き、ここにロシア・ウクライナ情勢が追い打ちをかけ、原材料価格の上昇や金利の上昇、対ドルでの通貨安といった金融資本市場の変動、供給面での制約が厳しくなっており、引き続き警戒が必要な状況にあります。
このような中で当社グループの事業環境としては、プラント事業分野では、石油化学製品の価格が上がってきていることもあり、石油化学系プラントの投資計画を再開する企業が出てきており、また廃プラ等のグリーン系案件や医薬系EPC案件なども底堅い引き合いがあります。ロシア・ウクライナ情勢の影響は無視できないものの、国内、インド、中国、ブラジル、中東、アフリカ等での石油化学関連設備の引き合いが徐々に増えてきております。また環境・インフラ事業分野においては、SDGs/ESG関連投資として国内外で各種の再生可能エネルギーの設備投資が見込まれています。
当社グループは、2018年度からの再生計画を経て、昨年度から、更なる企業価値の向上を目指し、ポストコロナとカーボンニュートラルへの移行を見据えた2021~2025年度の5年間にわたる中期経営計画を推進しています。中期経営計画では、「EPC強靭化」と「新技術・事業開拓」の2つの戦略を軸に、2021~2022年度を進化期、2023~2025年度を浸透期、2026~2030年度を飛躍期、と位置づけ、段階的な取り組みを進めております。
2021年度の実施内容
1年目の2021年度は、「EPC強靭化」として、当社グループのEPC拠点(EPC:設計・調達・工事を自社で遂行できる拠点)のリスクマネジメント強化、DXoT(Digital Transformation of TOYO)による業務のデジタル化や統合システムの開発・実装に注力いたしました。もう一つの戦略である「新技術・事業開拓」としては、複数のパートナー企業との協業による再生エネルギー分野やエネルギー・バリューチェーンにおける事業機会の創出に向けた取り組みを推進し、今後の浸透期・飛躍期に繋がるカーボンニュートラルを中心とした事業機会の探索・仕込みを行ってまいりました。
今後の中期経営計画における重点課題
① 「EPC強靭化」戦略
当社グループのEPC拠点は、これまでのグループ経営を通して所在国あるいは周辺国での一定規模のEPC案件を独自に遂行できるレベルに育ってきておりますが、今後更に個社のレベルアップを図り、グループ内各社の連携を含めたグループオペレーション力を強化していく予定です。特にToyo-Indiaについては、TOYOグループ全体のEPCオペレーションの中核拠点とし、エンジニアリングセンターとして、また工事計画センターとして、その機能を拡充してまいります。
またDXoTについては、AWP(Advanced Work Packaging)の開発と実装を加速化し、EPC事業の生産性の向上を具体的に実現化するステージに来ております。
② 「新技術・事業開拓」戦略
当社では新事業領域として、CO2利活用(特にSAF-再生可能代替航空燃料やエチレン分解炉のアンモニア燃焼)、次世代エネルギー(燃料アンモニア事業の推進)、資源エネルギー(コバルトリッチクラストとレアアース泥の開発等)、循環型・低環境負荷分野(エタノール原料、廃プラ、エチレン分解炉の電化等)、Quality of Life(バイオ医薬・中分子医薬、高機能化学品等)の分野で各種の取り組みを推進しています。
2021年度は組織横断的な時限的タスクチーム(サステナビリティ事業戦略チーム)が、これらの事業機会の創出・拡大に取り組んできましたが、これらの事業開発をより積極的に推進するため、2022年4月の組織改正で、恒久的な組織として新たに「カーボンニュートラル事業推進本部」を設置いたしました。パートナー企業との協業も含め、個別案件の受注・遂行からバリューチェーンへの関与・参画(仕込み案件による事業機会の増加)を積極的に展開してまいります。
新型コロナウイルス感染症およびロシア・ウクライナ情勢影響について
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大・長期化により、当社グループの案件においても様々な影響がありましたが、当社グループ各社においては、BCP(事業継続計画)に基づいた対応を進め、各事務所・建設地での感染予防策の徹底を講ずるとともに、在宅勤務体制下でも一定の業務生産性を維持してきました。個別プロジェクトの遂行においては、一部で、資機材の供給面や輸送面での制約が発生し、また国境を越えた人的移動の制限がなされ、現地作業員の動員などで影響がありましたが、全社を挙げて様々な対応策を講じ、また客先と協議することで、工期や収支への影響を最低限にするよう努めてまいりました。新型コロナウイルス感染症の影響は、全般的にはかなり軽微になっており、当面の間は現在の状況が継続するものと考えられます。
一方で、ロシアのウクライナ軍事侵攻と、これに対するロシアへの経済制裁によって世界的な供給の制約が更に悪化し、インフレの高進による金融引き締め、それに伴っての為替レートの変動もあり、当社事業面でも特にプラント資機材の高騰等により既存案件やプロポーザル案件への影響が出ており、注視しながら対応をしてまいります。このような情勢下、当社グループは、旺盛なプラント需要のあるインド、中国、ブラジル、日本といった重点地域に経営資源を振り向け、しっかりと対応してまいります。なお、ロシア向け既存案件については、各国のロシア制裁法を順守して対応しております。
(4) 2023年3月期連結業績予想
受注高については、「(2)経営環境」および「(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載した全般的状況を踏まえて算出しました。持分法適用関連会社の当社持分相当の受注目標500億円を含めますと、受注目標は3,000億円となります。
業績予想については、保有プロジェクトの進捗を中心に算出しました。新規受注見込案件による収支の計上は限定的にみております。ロシア・ウクライナ情勢の影響により、継続性に懸念が生じている一部の保有プロジェクトについては、その影響を予想に織り込みました。
[本業績見通しにおける想定為替レート]
1米ドル=130円
投資者の判断に重要な影響を与える可能性のあるリスクの内容および程度につき当社グループが認識している事項は以下のとおりであります。但し、列挙した項目は例示であり、限定的なものではありません。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
当社グループの事業遂行に当たっては、適正な仕事量を確保するために受注活動を行い、プロジェクトの損失を防止するために、見積り段階から受注プロジェクトの完了の過程に至るまで、様々な形でのリスクマネジメント体制を、コーポレートガバナンスの一環として構築、維持しておりますが、以下のような事態が発生すると、それに起因して受注額が大きく減少したり、プロジェクトの中断、中止、あるいはプロジェクト採算の著しい悪化によって、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 業務実施国、地域での、戦争、内乱、暴動、テロ、著しい治安悪化等の非常事態の発生、伝染病の蔓延、天変地異、異常気象等の不可抗力事由
② 許認可、通関、出入国管理、為替制度、通信、税務等、現地国の通商、貿易、金融政策の著しい変更
③ 為替レートの著しい変化
④ 機器・資材調達、輸送、工事等に係る価格の著しい高騰、需給ひっ迫
⑤ プロジェクトの主要発注先あるいは契約パートナーの信用不安
⑥ 当社グループの事業分野における投資活動の世界的規模での大幅な縮小、競合激化による受注機会の急激な減少
当社グループはこのようなリスクに対して、事前の情報収集を密にして事態の把握に努めることによって可能な対応策を検討するとともに、貿易保険の付保、為替予約、顧客との契約条件の設定(契約形態の多様化、契約建値の設定、支払い条件、顧客とのリスク分担条項等)、機器・資材の調達先や工事発注先の分散化等、可能な対策を講じて、リスクの軽減に努めております。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響につき、当社グループは、協力会社を含めた従業員およびその家族、更に地域の方々の安全を最優先とし、テレワークや時差出勤の推奨、事業所および建設現場内での感染症予防の周知徹底といった感染防止対策に継続して取り組むとともに、事業活動に与える影響を最小限とすべく、事業構造の変革、新規事業機会の創出、サステナビリティの推進といった施策に取り組んでまいります。今後の想定としては、足元では中国・上海でのロックダウン(都市封鎖)解除からの回復の遅れという懸念はあるものの、影響は全般的にはかなり軽微になっており、当面の間は現在の状況が継続するものと考えられます。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載のとおりです。
現下のロシア・ウクライナ情勢、関連するロシア経済制裁の影響の広がりや収束時期を見通すことは困難な状況ですが、ロシアにおいて遂行中の複数のプロジェクトでは、期末時点においては資機材の出荷等に一部影響が生じているものの、代金回収も含めて重要な影響は生じておりません。工事原価については、個別に状況を精査し、想定される影響額を織り込んでおります。翌期以降については、関連プロジェクトの継続性に不確実性を伴い、プロジェクトの進捗に相当の影響が生ずるとの仮定に基づき、会計上の見積りを行っております。
当社グループは、当該リスクの対応策として、各国のロシア制裁法を順守するとともに、旺盛なプラント需要のあるインド、中国、ブラジル、日本といった重点地域に経営資源を振り向け、地政学要素を見極めながらの安定的な事業運営に向けて取り組んでおり、業績への悪影響を最小限に留めるよう努めております。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載のとおりです。
(4) コンプライアンスに関するリスク
当社ビジネスは、国内外の労働法規、個人情報保護制度、税法、輸出入管理規制、不正競争防止法等の広範な法律や規制に服しており、これらの法令の変更、予測しえない解釈等により、法令遵守対応の負担が増加する可能性があります。法令に違反する行為または疑義を持たれる行為が万が一発生した場合、当社グループに追加の負担、営業の中断や信用の低下等が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。当社グループはこのようなリスクに対して、役職員行動規範、コンプライアンス・マニュアル等の周知徹底、当社グループ統一の内部通報制度の整備・運用、および、Chief Compliance Officer(CCO)を委員長とするコンプライアンス委員会を中心とした啓蒙・推進活動の実施により、法令遵守体制の強化に努めております。
(5) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、当社グループおよび当社グループと取引関係にある法人または個人の技術上および営業上その他の業務上の企業秘密情報および個人情報を保持・管理しておりますが、コンピューターウイルスの感染、外部からの不正アクセスやサイバー攻撃等によりシステム障害、情報の漏洩、破壊または改ざん等があった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。当社グループは、情報資産マネジメント規程およびHSE・品質・情報セキュリティ基本方針に従い、事業継続のために必要な情報セキュリティに関する管理計画の策定・維持、SQE統括担当部門による各部門の情報セキュリティマネジメント活動の推進、情報セキュリティマネジメントに関する啓発教育、各部門の情報セキュリティマネジメント活動の監査および監査結果のICT委員会への報告等を行い、リスクの軽減に努めております。
当社が出資しているグループ各社の事業運営に関しては、グループ経営管理部門がグループ会社の状況を的確に把握し管理する他、的確な協業体制を構築することによって、上述のようなリスクの軽減に努めております。なお、当社がブラジルの持分法適用会社を通じて行っている事業については、同国における政治的、経済的事業環境の変化や事業パートナーの信用状況等により、投資に見合うリターンが得られない場合や追加資金拠出が必要になる場合が生じ、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」と記載します。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態および経営成績の状況
a. 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は2,068億円で、前連結会計年度末から124億円増加しております。現金預金が54億円減少した一方で、受取手形・完成工事未収入金等が186億円増加したことなどが主な原因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は340億円で、前連結会計年度末から101億円増加しております。無形固定資産が16億円、投資その他の資産が82億円それぞれ増加したことが主な原因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は1,592億円で、前連結会計年度末から60億円増加しております。短期借入金が31億円減少した一方で、その他が98億円増加したことが主な原因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は370億円で、前連結会計年度末から120億円増加しております。長期借入金が116億円増加したことが主な原因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は445億円で、前連結会計年度末から44億円増加しております。親会社株主に帰属する当期純利益を16億円計上したほか、為替換算調整勘定が18億円増加したことなどが主な原因であります。
b. 経営成績
(完成工事高)
当連結会計年度における完成工事高は、複数の国内向けバイオマス発電所、インド向け石油精製プラント、ロシア向け石油化学プラント等のプロジェクトの進捗により、前連結会計年度比189億円(10.3%)増の2,029億円となりました。
(完成工事総利益)
当連結会計年度における完成工事総利益は、完成工事高が増加したほか、完成工事総利益率の向上により、前連結会計年度比22億円(12.3%)増の208億円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、販売費及び一般管理費が増加した一方、前述の完成工事総利益が増加した結果、前連結会計年度比13億円(83.4%)増の29億円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、持分法による投資利益が減少した一方、営業利益が増加した結果、前連結会計年度比3億円(12.4%)増の31億円となりました。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比3億円(12.4%)増の31億円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、子会社等の税金費用を14億円計上した結果、前連結会計年度比8億円(98.9%)増の16億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と記載します。)の残高は898億円で、前連結会計年度末から46億円減少しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益を31億円計上したほか、売上債権の増加、預け金の増加、その他の負債の増加などにより、結果として67億円の資金減少(前連結会計年度は177億円の資金増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出、無形固定資産の取得による支出などにより、78億円の資金減少(前連結会計年度は27億円の資金減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の収支などにより、76億円の資金増加(前連結会計年度は4億円の資金減少)となりました。
③ 生産、受注および販売の実績
a. 受注実績
当連結会計年度における当社および当社の連結子会社の受注実績は次のとおりであります。
(注) 1 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前連結会計年度△1,146百万円、当連結会計年度7,523百万円)を含んでおります。
2 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前連結会計年度△16,293百万円、当連結会計年度△7,742百万円)を含んでおります。
3 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。
(参考情報) 当連結会計年度における持分法適用関連会社の当社持分相当の期中受注工事高は15,943百万円、次期繰越工事高は14,330百万円であります。
当連結会計年度の受注実績は、国内向け石油化学プラント、中国向け化学プラント、複数の国内向けバイオマス発電所、インド向け化学肥料プラント等を受注し、受注高は2,744億円(前連結会計年度比123.3%増)と、ほぼ年度目標(2,800億円)のとおりとなりました。なお、持分法適用関連会社の当社持分相当の受注高159億円を含めますと、2,904億円となりました。
なお、提出会社における受注実績は次のとおりであります。
(注) 1 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前事業年度424百万円、当事業年度1,606百万円)を含んでおります。
2 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前事業年度△14,991百万円、当事業年度△6,874百万円)を含んでおります。
3 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。
b. 売上実績
当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
主な相手先別の売上実績および総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注) 1 当連結会計年度のLLC Irkutsk Polymer Plantについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
2 当連結会計年度については、当該割合が100分の10以上を占める相手先が存在しないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状況
概要は「(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況 a.財政状態」に記載したとおりです。
受取手形・完成工事未収入金等の増加の影響等により、総資産の残高は2,408億円となり、前連結会計年度末から225億円増加しました。総負債につきましても、長期借入金等の増加に伴い、残高は前連結会計年度末から181億円増加の1,962億円となりました。純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益16億円の計上による株主資本の積み上げ、その他の包括利益累計額において為替換算調整勘定等の増加に伴い、残高は前連結会計年度末から44億円増加の445億円となりました。この結果、自己資本比率は18.4%となり、前連結会計年度の18.3%から若干改善しました。
b. 経営成績
概要は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」および「(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況 b.経営成績」に記載したとおりです。
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大・長期化の影響、またロシアのウクライナ軍事侵攻とこれに対するロシアへの経済制裁の影響により、当社グループの事業・案件においても様々な影響が生じましたが、全社・グループを挙げた対応策を講じ、顧客とも協議することで、その影響を最低限にするよう努めてまいりました。また、進行中案件の安定的遂行と成果向上努力により、粗利益と営業外収益の確保を図った結果、当連結会計年度では16億円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上しました。
当期の期初に公表した業績見込みとの比較は以下のとおりです。
持分法適用関連会社の当社持分相当の2022年3月期受注実績は159億円となりました。
完成工事高につきましては、期初業績予想値2,400億円に対し、370億円減収の2,029億円となりました。インド向けEPCプロジェクト、ロシア向け石油化学プラント等、一部のプロジェクトにおいて期初時点で想定していた進捗率を下回ったことによるものです。
営業利益につきましては、完成工事高の減収による減益影響がある一方で、複数のプロジェクトにおける採算の改善、販管費の抑制等により、期初業績予想値25億円に対し、4億円増益の29億円となりました。
経常利益につきましては、営業利益の増益の影響等により、期初業績予想値25億円に対し、6億円増益の31億円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、子会社等の税金費用を14億円計上した結果、期初業績予想値15億円から1億円増益の16億円となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載したとおりです。
当社グループは、2021~2025年度の5年間にわたる中期経営計画を推進しており、「EPC強靭化」と「新技術・事業開拓」の2つの戦略を軸に、段階的な取り組みを進めております。2021年度は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載した取り組みの結果として、各段階利益においては3期連続で黒字を達成しました。
また、当社グループの経営成績における先行指標となります受注実績の概要につきましては、「(1)経営成績等の概要 ③生産、受注および販売の実績」に記載のとおりです。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載した状況を受けて、当連結会計年度の受注実績は2,744億円となり、ほぼ期初の受注目標2,800億円のとおりとなりました。なお、持分法適用関連会社の当社持分相当の受注高159億円を含めますと、2,904億円となりました。
分野別では、複数の国内向けバイオマス発電所プロジェクトの受注等により「発電・交通システム等」分野の受注実績が1,172億円(受注実績合計に対して42.7%)と最も大きく、以下、「化学・肥料」分野の受注実績が628億円、「石油化学」分野の受注実績が509億円となりました。
なお、当社グループはEPC事業のみの単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関わる情報
a. キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」と記載します。)は、主に営業活動による資金の減少67億円の影響により、前連結会計年度末から46億円減少し、898億円となりました。
概要は「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりです。
営業活動による資金の減少の主な要因は、前連結会計年度における資金の増加の主な要因であった一部の進行中プロジェクトにおける資金歩留まりが、プロジェクトの進捗に伴い、減少したことなどによるものです。
b. キャッシュ・フロー指標のトレンド経営成績
(注) キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
* 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
* キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
* 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象と
しております。
c. 資本の財源および資金の流動性に関わる情報
当社グループは、現金及び現金同等物ならびに営業活動によるキャッシュ・フローを資金の源泉としております。資金需要の主なものは、進行中プロジェクトの遂行に関わる機器資材の購入や外注費等の費用、従業員給料手当等の人件費、営業費用・DX・研究開発に係る活動費といった販売費及び一般管理費、IT基盤の充実に関わる設備投資等となります。将来の成長のため、財務規律の徹底を図りつつ、DX・研究開発に係る活動費および投資支出の拡大を計画しております。
当社グループは、円滑な事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持および健全な財務状態の維持を財務方針としており、資金需要に対して必要充分な水準の手元流動性を確保すべく、自己資金のほか、銀行からの借入による資金調達を行っております。当連結会計年度末の資金残高は898億円となり、必要な流動性水準を維持しました。
なお、安定的な経常運転資金枠の確保、マーケット環境の一時的な変化等の不測の事態への対応手段確保の観点から、取引銀行10行と総額90億円の貸出コミットメント契約を締結しております。なお、これら契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
当社グループの財務上の喫緊の課題は、第一に自己資本をいち早く回復させ、企業価値向上への安定成長軌道に乗せることです。総合エンジニアリング会社として、EPC事業を行う上でのリスクに充分耐えうる財務基盤が必要です。この観点から、自己資本比率は25%超、自己資本は2013年度末頃の水準の600~750億円のレンジまで積み上げることが当面の目標です。
また、持続的な企業価値向上の観点から資本効率を重要課題と認識し、ROEについては2025年度以降、安定的に10%超とすることを目標としております。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、経営者による会計方針の選択や適用、また、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を与える見積りおよび仮定を用いております。経営者は、これらの見積りおよび仮定に基づく数値について過去の実績や状況に応じ合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性が存在する為、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、会計上の見積りを行う上でのロシア・ウクライナ情勢の影響の考え方については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。
なお、なかでも特に重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(a)完成工事高および完成工事原価
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 1 一定の期間にわたり履行義務を充足し認識する収益」に記載しております。
(b)工事損失引当金
当連結会計年度末において損失の発生が見込まれる未引渡工事に係る将来の損失に備えるため、その損失見込額を計上しています。工事施工の途中において見積りを超える原価が発生した場合、引当金の追加計上、追加損失の計上が必要となる可能性があります。
(c)貸倒引当金
営業債権、貸付金等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率に基づき、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に債権の回収可能性を検討し、回収不能見込額を引当金として計上しています。顧客の財政状況が悪化し、その支払い見通しが変動した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
(d)退職給付に係る資産または負債
退職給付債務および退職給付費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定しており、これらの前提条件には、割引率、予定昇給率、退職率、死亡率および年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。前提条件の変動により、将来の退職給付に係る資産または負債、および退職給付費用の金額に影響を与える可能性があります。
(e)繰延税金資産
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 2 繰延税金資産の評価」に記載しております。
技術導入契約
次の重要な技術導入契約は形式的には2021年11月にて契約期間が終了しておりますが、両者間にて契約の更新に向けて、交渉が継続しております。
(提出会社)
現在締結している主要な技術導入契約は次のとおりであります。
当連結会計年度において、当社グループは研究開発費
《新たなビジネス・商品開拓》
IoT分野では、デジタル基盤を介したプラント運営支援を目指し、DX-PLANT®のソリューション深化と拡販を進めております。そのためにシステム基盤を構築し、工場オーナーにとって導入しやすく、その要求に柔軟に対応できる体制を整えました。2021年度は新たに、海外の1件の肥料工場、1件の地下資源生産設備に加え、国内エチレン工場においても導入を行い、計8件の導入実績となります。また、尿素プラント向け運転監視・最適化システム(PMOS®)や、エチレン分解炉の運転状態予測・最適化支援システム(RL-Tracker®)など、当社の知見を活かした高付加価値ソリューションの運用を行っております。今後は尿素・エチレン以外の化学工場やCN関連設備など様々な産業設備へ適用のアプローチを進め、更に技術支援サービスにおけるDX技術の活用など新しい顧客支援領域を拡張し、顧客のプラント運営の収益改善に貢献してまいります。
環境・省エネ分野では、低炭素社会に貢献すべく、革新的省エネルギー蒸留システム“SUPERHIDIC®”に加え、プラントを構成するプロセス系・用役系を省エネ・GHG排出削減の観点から数学的に同時最適化するコンサルタントサービス“HERO(Hybrid Energy system Re-Optimization)”のビジネスを積極的に展開しております。“SUPERHIDIC®”ではライセンス契約を受注し基本設計図書を納入、“HERO”では国内顧客に続き、海外顧客からも受注し検討実施中です。両技術とも、これらの案件で大規模な温室効果ガス削減に繋がる提案が創出されております。
世界的に急速に加速している温室効果ガスのゼロエミッション実現に向け、エネルギーシフトも促進される現在、CCSは二酸化炭素排出削減の不可欠な技術となっております。当社は、二酸化炭素の分離回収・貯留に関する技術分野において、Baker Hughes社などの協業パートナーと連携を行い、CCUS案件の実現を図っております。当社が推し進めているアンモニアバリューチェーン事業においては、CCS/CO2-EORを組み合わせることにより、CO2排出ゼロのアンモニア燃料の実現を目指しております。2022年度より東証市場再編後のプライム市場上場会社に気候変動によるリスク情報の開示(TCFD提言)が実質的に義務付され、今後益々、企業のCO2削減努力が求められていきます。そのような顧客を支援すべく、CCUSの分野では後述するようにCO2利活用の分野にも取り組んでおります。また、日本CCS調査株式会社への出資・派遣などの対外的な活動も引き続き実施しております。
次世代環境技術分野では、バイオマス燃料製造において、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託を受け、三菱パワー株式会社、株式会社JERA、およびJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と共同で、木質系バイオマス等を原料としたバイオジェット燃料を合成する一貫製造実証プロジェクトに参画しております。バイオジェット燃料合成装置では、パートナー企業との共同開発による小型FT(Fischer-Tropsch)合成技術(一酸化炭素と水素から触媒反応を用いて液体炭化水素を合成する)を採用しております。2021年度は、JERAの新名古屋火力発電所構内に設置の実証プラントで、木くずから一貫製造した持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)を、世界で初めて商業フライトに供給、成功裏にプロジェクトを終了いたしました。本プロジェクトに引き続き、NEDOの助成を受け、株式会社JERA、三菱重工業株式会社、伊藤忠商事株式会社と共同で、国内における将来のSAF供給の一端を担うべく、商業規模での製造技術確立とサプライチェーン構築検討を進めております。
水素燃料キャリアとしてのアンモニア利用技術開発の一環として、CFAA(一般社団法人クリーン燃料アンモニア協会)に理事会員として参画しており、CO2フリーアンモニアサプライチェーン実証を目的として、石炭火力発電所等でのNH3混焼によるCO2排出低減や海外でのアンモニアバリューチェーンの事業化について検討を継続しております。
アンモニア利用による化石燃料代替技術として、三井化学株式会社、丸善石油化学株式会社、双日マシナリー株式会社と共同で、エチレン分解炉におけるアンモニア燃料実用化研究開発に取り組み始めております。本開発は、燃料アンモニア利用を促進するとともに、エチレン分解炉のCN化によって石化セクタのCO2排出量の大幅削減を目指すものであり、グリーンイノベーション基金によるNEDO実証事業として採択されました。また、もう一つのエチレン分解炉のCO2排出技術として、当社独自の分解炉の電化技術(e-FurnaceTM)の研究開発も進めております。こちらもNEDOの国際実証事業の第一段階調査事業として採択されました。いずれも社会実装実現に向けて開発を進めてまいります。
2020年度からは、早期水素社会を構築することを目的とした水素バリューチェーン推進協議会に参画し、水素利用の社会実装に向けてプロジェクトの提案、需要創出、規制整備等の政策提言などについて検討しております。また、NEDOの委託を受けて、海外の水素製造技術の調査を行い、2021年度は中間調査報告書を提出いたしました。2022年度は海外水素ベンチャーの水素製造装置を用いた実証試験を実施の上報告いたします。更に、人工光合成水素を活用するプロセス開発においても、光触媒技術を有する富山大学と当社の分離技術を組み合わせる共同研究契約を締結し、早期の社会実装に向けて開発を進めております。
回収CO2の有効利用については、CO2とH2を原料とする新型メタノール合成やメタネーションを中心としたCO2固定化の検討を続けております。例えば、CO2とH2を原料とするメタノール関連では、g-Methanol®として国内外での具体的な案件創出を目指しております。また、東芝エネルギーシステムズ株式会社、株式会社東芝、出光興産株式会社、全日本空輸株式会社、日本CCS調査株式会社と共同でCO2電解技術とFT合成技術を組み合わせてSAFを製造する炭素循環ビジネスモデルを検討しております。本取り組みは、環境省の2021年度委託事業として採択されており、同事業の後押しを受けて、脱炭素化の促進と地域振興を両立させる検討を進めております。
廃プラスチックリサイクルについては、廃プラのガス化および油化のケミカルリサイクルを中心に検討を進めております。その一環として、タイのSCGケミカルズが60%出資しているCircular Plas Company Limited (CirPlas)と同社が保有する混合廃プラスチックの油化技術の商業化に向けた共同検討に関する基本合意書を締結いたしました。現在、当社はSCGケミカルズ、CirPlasとともに早期の商業化に向けたスケールアップの検討を実施しております。
原子力分野では、廃炉先進国ドイツで使用済燃料や廃棄物の貯蔵技術、同施設運営の実績を有するGNS(ゲゼルシャフト原子力サービス)社との協力関係を継続強化するとともに、新たに英国で同じく廃炉関連実績を有するJacobs社との協力関係を進め、国内の廃炉分野で主にプロジェクト・マネージメント、エンジニアリングサービスに関する共同提案を行うなどの取り組みを継続実施しております。また、廃止措置業務支援の一環として、業務の効率化、廃棄物管理の最適化のための管理システムツールの構築支援も視野に入れて、社内DX(Digital Transformation)技術の活用や社外最新技術情報を入手し、廃止措置の計画、実行管理に有用となるシステム検討を行っております。具体的な事例としては、放射線量が高く人のアクセスが限定される場所(格納容器等)での解体と放射性廃棄物の管理の生産性および品質向上を目指した現場スキャンによる3D-CAD化(見える化)と管理システムへの統合、廃止措置工程管理システムの構築等に注力しております。
《基幹ビジネスの基盤強化》
ICT分野では、当社の基幹ビジネスであるEPC遂行力強化や競争力強化を加速するため、2019年7月にDXoT(Digital Transformation of Toyo)推進部を立上げ、2025年に向けたビジョンとロードマップ、それを実現させるためのICT中期戦略を策定いたしました。本ロードマップに基づき、Engineering, Procurement, Construction, Projectのそれぞれの分野において、デジタル技術を活用したデジタルツインを構築することによるマネジメント強化、設計品質の向上、納期遵守、工期短縮を図っております。デジタル技術を活用したデータセントリックなプロジェクト実行手法が海外拠点展開を含め徐々に定着してきており、引き続き、プロジェクトへのAWP(Advanced Work Packaging)実装を深化させ、プロジェクト遂行における一気通貫のデジタリゼーションを目指します。また、開発・検証が完了した工事性に関する異常予兆検知支援AIを活用したリスクマネジメント強化と合わせることで更に生産性と業務スピードの向上を目指します。また、全社的ICT化推進活動を通じて、高い変化への対応力、イノベーションを生み出せる文化の醸成を図ってまいります。
工事技術分野では、上記のAWPや4D(3次元および時間軸)計画情報を使った施工性検討の実用化推進の他、AIを活用する事によって、地下構造物の危険検知、設計変更による対応、工事シーケンスの見直し等の工事リスクの早期対策を図っております。また、現場業務のDX(Digital Transformation)化の一環として、溶接管理システム、および品質管理システムを深化させて、高圧ガス配管関連の検査図書整備の効率化を進めております。更に、工程管理システムを深化させることで、各種工事の進捗に関するKPI(Key Performance Indicator)を自動更新できるようにいたしました。この機能を活用することで問題点の分析作業性の向上や見える化を進化させ、現場管理業務の生産性を向上させることに取り組んでおります。なお、建設ICTの具体的な手段としては、3次元レーザー測量技術を中心とした新技術の調査と実用化を進めております。
調達分野では、品質管理業務の確実性の向上とそれに伴う損失コスト極小化を目的に、各種の新規技術を検証実施中および活用中です。例えば、レーザー測定技術活用に関しては塔槽類内部品の測定精度向上の検証を行っており、スマートグラス利用に関しては実用化に移行することで遠隔検査技術の利便性向上に寄与しております。
《各事業部のビジネス戦略強化》
尿素プロセス“ACES21®”は、当社が開発した保有プロセスであり、大型化と省エネを図るためのプロセス改良に日々取り組んでおります。またカーボンニュートラルに向けた尿素プロセスの開発も進めております。世界最大生産量となるナイジェリア向け尿素製造設備(4,000 t/日)の2号機は無事引渡しを完了し商業運転を開始いたしました。試運転では原料の初投入から尿素の安定生産までを短期間で到達し、円滑な設備立上げを達成いたしました。当社の技術力とリーダーシップに対しお客様から高い評価をいただいております。また、インド向け尿素製造設備(3,850 t/日)は2022年3月に引き渡しに向けた試運転を開始いたしました。今後も一層のプロセス改良に取り組み、IoT技術との連携を推進することにより設備の運転および保全の最適化にも貢献してまいります。
鉄道分野では、鉄道システムインテグレーター(鉄道SI)を目指して約15年前から本格的に取り組みを開始し、当社初の鉄道EPCプロジェクトであるジャカルタMRTが2019年に完工しました。本プロジェクトの経験を活かし、現在もSIとしての構成要素技術のレベル向上に取り組んでおります。今後も当社として差別化できる案件を選別の上、海外鉄道プロジェクトのEPCに一括で対応する鉄道SIビジネスに注力してまいります。
バイオマス発電分野では、完工済みもしくは現在進行中の複数の50MW/75MW案件の知見・ノウハウを生かし、50MW/75MW案件と同じCFBボイラ(Circulating Fluidized Bed:Andritz社製)とSTG(Steam Turbine Generator:Siemens社製)の組み合わせで112MW案件へのスケールアップへの取り組みを開始しております。また、EPC請負のみならず、発電事業参画やアフターサービス事業、更には燃料供給等への展開も検討し、バイオマスバリューチェーン構築に取り組んでまいります。更に、国内での実績・知見を活かし、当社の海外EPC拠点やローカルパートナーとも連携して、海外でのバイオマス発電案件にも積極的に取り組んでまいります。
海洋資源開発の分野では、近年急速に需要が高まるデジタル機器、再生可能エネルギー設備、ハイブリッド車や電気自動車等の電池材料、磁気材料等に欠かせないレアメタル・レアアース等の鉱物資源を深海から回収する国策技術開発の支援を行ってまいりました。内閣府SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)のもと、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が率いる日本勢は、大水深6,000mからレアアースを回収するプログラムを進めております。当社がこれまで培ってきた資源開発技術やサブシー技術を活用してレアアース泥回収システムの技術開発に携わっております。具体的には、2019年度の概念設計、2020年の基本設計に引き続き、2021年度には「レアアース泥回収用解泥・揚泥機の製作」業務をJAMSTECから受託し、2022年度に予定されている実証試験に向けたシステムの実現に取り組んでおります。更に、2021年度から新たに「海洋鉱物資源調査に係るコバルトリッチクラスト用採鉱試験機の設計に向けた技術開発等調査」をJOGMECから受託し、深海でのレアメタル採取技術についても取り組みを開始いたしました。従来のメタンハイドレート開発への取り組みも継続するとともに、統合的な海洋資源開発に向けたビジネス強化を進めております。
医薬品分野では、テックプロジェクトサービス株式会社(100%出資子会社)が、医薬品製造企業の多様なニーズに応えるエンジニアリングサービスを提供すべく、将来を見据えた革新的な技術開発を行っております。低分子医薬品向けの原薬連続生産技術開発では、省エネ・省人型革新的連続生産システムとして関係各社と取り組んでいるiFactoryが2022年1月に第4回日本オープンイノベーション大賞「経済産業大臣賞」を受賞いたしました。中分子・バイオ医薬品向けには、シングルユース技術を活用した自動化装置開発を行っており、2020年度の精製工程連続化の運転設備納入に続き、不活化システム、清澄化システム、無菌ろ過システムの省力化システムを2021年度に納入いたしました。また、2020年12月に実施した大成建設株式会社との先端医薬・ファイケミカル分野のエンジニアリング事業での業務提携により、2021年度にバイオ医薬系プラントを受注し、プロジェクトを遂行しております。