第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、高い「経営品質」による「顧客感動創造活動」を通じて、世界中のお客様に感動していただける製品とサービスを提供し続けることにより、社会文化の発展に寄与していくことを基本理念としております。

 また、株主の皆様やお客様をはじめ、取引先、地域社会、社員とその家族など、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えるとともに、共存共栄を図ることを行動指針として活動しております。

 

(2) 会社の対処すべき課題及び中期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

 印刷産業は、電子媒体普及の影響を受け、出版関係を中心に伸び悩んでいるものの、日本・欧米を中心に高付加価値印刷やパッケージ印刷の需要は堅調です。また、新興国では中華圏が低迷から脱しつつあり、インド・アセアン諸国などでは人口増や中間所得層拡大に伴い印刷需要は伸びております。

 このような事業環境の中、当社の経営は、オフセット印刷機事業の収益基盤をより強固にするとともに、各新規事業の拡大と営業の業態等の「変革」が必要となりました。このため2016年4月からスタートした第5次中期経営計画にて、「事業構造変革」を推進し「営業の業態変革」と「モノづくり革新」等を通して「収益構造変革」を実行しております。(第5次中期経営計画の詳細はP.14をご参照ください)

 第5次中期経営計画の当連結会計年度を含む最初の2年間で、事業構造変革での成果としては、証券印刷機事業では、米国の民間紙幣印刷会社であるCrane社を含む世界各国からの大型受注に成功したこと、DPS事業では新型デジタル印刷機「Impremia(インプレミア) IS29」の量産販売を国内外で開始したことがあげられます。また、PE事業では電子部品業界での当社のプレゼンスを高める一方で、高精細技術を基に半導体などの製造技術の商用化をめざし各種のアライアンスを組むなど着実な事業拡大を実施したこと等、事業の複合化を進めました。次に、営業の業態変革では、PESP(プリントエンジニアリングサービスプロバイダー)事業として、ポストプレス商品・消耗品などの印刷関連商品及び予防保守サービスなどを拡充するとともに、将来の印刷会社でのIoTを目指した「KP-Connect(KP-コネクト)」(KOMORIソリューションクラウド)の国内販売を開始し、お客様の生産性と収益性の向上に資する総合的なソリューション提案を可能とする体制を整えています。

 当中期経営計画の最終年となる次期連結会計年度は売上高1,010億円、営業利益31億円を予想しております。中国・インドでの需要の回復やDPS事業・PESP事業の着実な拡大を想定しており、前期比で増収となりますが、品目別売上構成の違いや、為替レートが前期比で円高を想定していることなどから若干の減益となる見込みです。一方、第5次中期経営計画で設定した目標とする経営指標(2019年3月期の売上高1,400億円、営業利益125億円)には届かない見込みです。

 中期経営計画の目標とする経営指標から乖離している主な要因は次の通りです。

 第一に、事業構造変革を推進する一方でオフセット印刷機事業の基盤強化に努めてまいりましたが、同事業が想定どおり伸びなかったことであります。特に潜在需要の大きい中国とインド向けの販売が目標を大きく下回りました。中国市場は力強い需要が戻りつつあるものの過去2年間の急速な経済の成長鈍化により印刷機需要の低迷が長期化しました。インド市場は高額紙幣の廃止や新税制導入の混乱に伴い経済が混迷し、機械販売が停滞しました。

 第二は、事業構造変革の柱であるDPS事業の収益化が遅れ、経営指標への寄与が未だ小さいことです。デジタル印刷機「Impremia IS29」と「Impremia NS40」の市場投入が遅延したこと、同機のビジネスモデルに合致した新しい市場開拓に時間を要したことなどが背景にあります。他方、本格的な当社のデジタル印刷機は、市場から大きな評価を得ることが出来ましたので、今後着実な成果が期待できます。

 この他、自律的成長に加えM&Aによる業容拡大を想定しましたが、新規事業での戦略的アライアンスや海外代理店の子会社化などを進めたものの、現時点では収益に大きなインパクトを与えるM&Aが実行されていないことも要因の一つとなっています。

 当社は、第5次中期経営計画を通して成長の基本路線は確実なものにしましたが、さらにオフセット印刷機事業の収益基盤の強化と新規事業の拡大により、収益力を早期に高めることが最重要課題と捉えております。第5次中期経営計画の最終年度の次期連結会計年度は、事業計画の遅れを改善すべく課題への取り組みを強化し「変革」を推し進めてまいります。

 オフセット印刷機事業では、自動化・省力化を追求した高付加価値機やパッケージユーザー向け新製品を拡販してまいります。また、アジアの重要市場を中心に販売・サービス体制の強化に取り組んでまいります。DPS事業・PESP事業では海外を含む一層の業容拡大とストックビジネス指向により収益性の改善と安定的収益源の確保を目指してまいります。また、ICTを利用した業務効率の改善や販売管理費の削減を進める一方、3工場体制におけるモノづくり革新活動においては、多品種変量生産に対応した効率の良い生産体制を構築し、生産リードタイム短縮と製造コスト低減を図ってまいります。これらのビジネスモデルの革新や新たな事業に備えるため、柔軟かつ適切な人員の配置や採用を行いながら、グローバル人材・マネジメント人材の育成・強化も計画的に進めてまいります。

 また、財務戦略の一環として、前連結会計年度に自己株式の買入れと消却を実行しましたが、株主への利益還元を最重要政策と位置づけながら、引き続き資産・資本効率向上を意識した財務リソースの戦略的活用を推進してまいります。

 さらに、環境対策として「グリーンプロジェクト」を立ち上げ、2030年までの長期エコビジョンを定めております。これを具体化すべく、環境にやさしい「製品開発を推進するエコプロダクツ」「企業活動を推進するエココミュニケーション」「生産設備のエコファクトリー」の「3つのエコ」についてそれぞれの中長期目標を設定し活動してまいりました。その中期目標として2020年までにCO2排出量のマイナス30%(2010年比)の達成を目指しております。この活動の成果として、日本経済新聞社による環境対策と経営効率の向上の両立に取り組む企業を評価する「環境経営度調査」の企業ランキングで、2016年の145位から2017年は93位と順位を上げましたが、更なる上位に挑戦いたします。

 これらの課題に経営資源を重点的に投入し、全社一丸となって取り組むことで、持続的安定成長を実現する経営基盤を構築し、企業価値向上を図ってまいります。

 

 

(3) 株式会社の支配に関する基本方針

 

 ① 基本方針の内容 

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の経営理念をはじめ当社の財務基盤や事業内容等の企業価値のさまざまな源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保・向上させる者でなければならないと考えております。

 上場会社である当社の株式は、株主の皆様による自由な取引が原則であり、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方についても、当社株式の自由な取引により決定されることを基本としております。従いまして、当社株式の大規模な買付行為等についても一概に否定するものではなく、買付提案に応じるか否かの判断は、株主の皆様の意思に基づき行われるべきものと考えております。

 しかしながら、株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、明らかに濫用目的によるものや、株主に売却を強要するおそれのあるもの、その目的等からみて企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、対象会社の取締役や株主が買付の条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役が代替案を提案するための十分な情報や時間を提供しないもの等、不適切なものも少なくありません。

 このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に反する大規模な買付等に対し、これを抑止するための枠組みが必要不可欠と考えます。

 

② 基本方針の実現に資する特別な取組み

 当社では、多数の株主及び投資家の皆様に長期的に当社への投資を継続していただくため、企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして、以下のような施策を実施しております。これらの取組みは、上記①基本方針の実現にも資するものと考えております。

a. 当社の経営理念及び企業価値の源泉

 当社は大正12年の創業以来、90年以上に亘り印刷機械システムのメーカーとして品質と信頼を至上とするものづくりの原点にこだわり、世界各国へ高品質・高性能な印刷機械とサービスを提供することにより、印刷文化の発展に寄与してまいりました。

 当社の経営理念は、「顧客感動企業の実現」であります。「顧客感動企業」とは、高い「経営品質」の実現を目指して、絶えず「顧客感動創造活動」を推進し、世界中のお客様に満足と感動をもたらす企業になることであり、具体的には「KANDO-PROJECT」を通じて次の3つの項目を推進しております。

 ⅰ) 「KOMORI」ブランドの創造活動と維持管理を実施する

 ⅱ) 知覚品質管理活動を徹底し、顧客満足を高める

 ⅲ) ソリューションビジネスを推進し、顧客の利便性を高める

 これら顧客を起点とした事業活動のプロセスにより築き上げられた顧客との信頼関係が当社の企業価値の源泉であります。

 

b. 中期経営計画を軸とする企業価値ひいては株主共同の利益向上への取組み

 当社は、企業価値ひいては株主共同の利益向上のため「第5次中期経営計画」を平成28年4月にスタートさせました。本中期経営計画の趣旨は、「第4次中期経営計画」の基本骨子である「事業構造変革」と「業態変革」の2つの柱を基本的には踏襲するものですが、当社の中核事業であるオフセット事業をより強化するとともに、第4次中期経営計画で策定し一部実施した戦略や施策をより具体化し成果を顕在化させること、当社の持つリソースを有効に活用しその潜在価値を可能な限り発現させることにあります。

 第5次中期経営計画の主要戦略は以下の7項目です。

  ⅰ) 収益構造変革(営業業態変革・PESP [プリントエンジニアリングサービスプロバイダー] 事業の拡大)
     消耗品 (K-サプライ等)、周辺機器 (アプリシア等)、計画工事、それらを統合するソリューション
    (KP-Connect クラウド ソリューションを含む。)の提供と事業拡大

  ⅱ) モノづくりの抜本的改革(開発・製造)
     新生産方式等の導入による多品種・変量生産への対応とリードタイム・在庫水準・コストの改善

  ⅲ) DPS(デジタル印刷機)事業のビジネスモデル構築・事業化
     コニカミノルタ株式会社と共同開発のインクジェット印刷機Impremia IS29、イスラエルのランダ社開発
   のナノテクノロジーと当社の技術を融合した次世代デジタル印刷機Impremia NS40の市場投入と拡販及び
     当社独自のビジネスモデル構築

  ⅳ) 事業間のシナジー効果創出による差別化強化
     オフセット、デジタル、証券印刷、PE(プリンテッドエレクトロニクス)等の技術・ノウハウを融合した
     当社独自の付加価値の高いソリューションの開発と提供

  ⅴ) 人材育成・採用の強化、海外人材の活用
     事業の複線化・役割変更に伴いスキルの向上、グローバル人材育成、マネジメント人財開発を行い、組織
     機能の合理化とともにスリムで機敏な組織体制を構築

  ⅵ) 間接業務の効率化・SGA20(販売費及び一般管理費の削減)
     ICT(情報通信技術)、自社業務の外部委託等の活用による業務の効率化とSGA20推進による収益性の向上

  ⅶ) 財務戦略・M&Aの具体化
     財務リソースの積極的な戦略的活用による資産・資本効率向上と成長戦略の推進及び配当・株主還元等
     資本政策の見直し

 

c. コーポレート・ガバナンスの強化への取組み

 当社は全てのステークホルダーの期待に応え、責任を果たし、企業価値の最大化を追求していくことが、経営の最重要課題の一つであると認識しております。その実現のためにはコーポレート・ガバナンスの確立が不可欠であると考えます。

 当社では、「経営の透明性の確保」、「経営の意思決定の迅速化」、「コンプライアンスの確保」及び「経営のチェック機能の強化」を図ることを、コーポレート・ガバナンスの基本としております。この基本に従って経営の監視を含む諸問題に関して、コーポレート・ガバナンスが十分機能するよう取り組んでおります。また、取締役会の透明性を高め、監督機能の強化を目的として、当社は、取締役9名のうち社外取締役を3名選任しております。社外取締役を置くことにより、監督機能のより一層の客観性・中立性の確保が図られているものと考えております。

 今後も、コーポレート・ガバナンスの強化・充実に努め、企業価値ひいては株主共同の利益を追求してまいります。

 

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取
  組みの概要 

 当社は、平成28年4月28日開催の当社取締役会において「当社株式の大規模買付行為に関する対応策 (買収防衛策)」(以下、「本プラン」といいます。) の継続を決議し、平成28年6月21日開催の当社第70回定時株主総会(以下、「本株主総会」といいます。)において、本プランの継続につき承認を得ております。

 本プランの対象となる当社株式の買付とは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為をいいます。

 本プランにおける、大規模買付時における情報提供と検討時間の確保等に関する一定のルール(以下、「大規模買付ルール」といいます。)は①事前に大規模買付者が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、②必要情報の提供完了後、対価を現金のみとする公開買付による当社全株式の買付の場合は最長60日間、その他の大規模買付行為の場合は最長90日間を当社取締役会による評価、検討等の取締役会評価期間として設定し、取締役会評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始する、というものです。

 本プランにおいては、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置は講じません。ただし、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合、遵守しても当該大規模買付行為が、当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断する場合には、必要かつ相当な範囲で、新株予約権の無償割当等、会社法その他の法律及び当社定款が認める対抗措置を講じることがあります。

 このように対抗措置を講じる場合、その判断の合理性及び公正性を担保するために、取締役会は対抗措置の発動に先立ち、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外監査役または社外取締役や社外有識者から選任された委員で構成する独立委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、独立委員会は対抗措置の発動の是非について取締役会評価期間内に勧告を行うものといたします。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、独立委員会の勧告を最大限尊重するものといたします。ただし、独立委員会が対抗措置の発動について勧告を行い、発動の決議について株主総会の開催を要請する場合、株主の皆様に本プランによる対抗措置を発動することの可否を十分にご検討いただくための期間を設定し、株主総会を開催することがありますが、大規模買付行為は当該期間の経過後にのみ開始できるものといたします。当社取締役会は、株主総会において対抗措置の発動または不発動について決議された場合、当該株主総会の決議に従うものといたします。

 なお、本プランの有効期限は平成31年6月に開催予定の当社第73回定時株主総会の終結の時までといたします。本プランは、本株主総会において継続が承認され発効した後であっても、①当社株主総会において本プランを廃止する旨の株主の一定割合の意思表示が行われた場合、②当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議等が行われた場合には、その時点で廃止されるものといたします。

 本プランの詳細につきましては、当社ホームページ(http://www.komori.co.jp/hp/)に掲載しております。

 

 

④ 本プランが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目
  的とするものではないこと及びその理由

 当社取締役会は以下の理由から、本プランが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうものでなく、かつ当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。

 

a. 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること

 本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しています。

 また、経済産業省に設置された企業価値研究会が平成20年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の内容も踏まえたものとなっております。

b. 企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を目的としていること

 本プランは、当社株式に対する大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様がご判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させるという目的をもっているものです。

 本プランの発効は、株主の皆様のご承認を条件としており、株主の皆様のご意向により本プランの廃止も可能であることは、本プランが株主共同の利益を損なわないことを担保していると考えられます。

c. 株主意思を反映するものであること

 当社は、本株主総会において本プランに関する株主の皆様の意思を確認させていただくため、議案としてお諮りし原案どおりご承認いただきましたので、本プランは株主の皆様のご意向が反映されたものとなっております。

 また、本プラン有効期間の満了前であっても、当社株主総会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになり、株主の皆様のご意向が反映されます。

d. 独立性の高い社外者の判断の重視

 本プランにおける対抗措置の発動は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員で構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされており、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に適うように本プランの適正な運用を担保するための手続も確保されており、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

e. デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと

 本プランは、当社株主総会で選任された取締役で構成される取締役会によりいつでも廃止することができるものとされており、当社の株式を大量に買い付けようとする者が、自己の指名する取締役を当社株主総会で選任し、かかる取締役で構成される取締役会により、本プランを廃止することが可能です。従って、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策) ではありません。

 また、当社は取締役の任期を1年間としておりますので、本プランはスローハンド型買収防衛策(取締役の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する防衛策)でもありません。

 

2 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす事項は、以下のようなものがあります。

(1)為替レート変動によるリスク

当社グループの海外売上比率は全体の半分を超えており、為替変動の影響を受けやすい構造となっており
ます。主要な海外市場は、欧州、米州、中国を含むアジアでありますが、特定の地域への極端な偏重はありません。また、先物為替予約等でヘッジすることによりリスクの合理的な軽減を図っております。しかしながら、大幅な変動が生じた場合には、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2)需要環境変動によるリスク

当社グループは、事業環境の変化に伴い、事業構造変革を推進し収益構造の複合化を図っております。その一環として、印刷機械の供給会社から、印刷技術サービスを提供する「プリントエンジニアリングサービスプロバイダー」(PESP)に変貌すべく、変革に取り組んでおります。具体的には、当社の印刷機械に最適な印刷前後工程の機器やインキ等の消耗品を商品群として取り揃え、同時にIoT技術を駆使した生産・品質管理システムの提供により、印刷工程全般に係る課題解決のためのソリューションを提案するなど、総合的な印刷技術サービスの提供活動をしております。しかしながら、変革が過渡期にあることから、総売上高に占める印刷機械の売上高の割合は大きく、需要環境変動によるリスクがあります。印刷機械の需要は、タイムラグはあるものの基本的には景気動向に強く影響されます。即ち、景気の悪化が当社のお客様の設備の稼動状況ひいては設備投資の意思決定に大きな影響を与えます。従って、当社グループの主要市場である日本、欧州、米州、アジアにおいて景気が大幅に悪化することになれば、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(3)全世界的な電子媒体の拡大により印刷市場が縮小するリスク

印刷業界は、インターネットや電子書籍の浸透によって先進国における出版関連印刷を中心に印刷需要が長期的に縮小傾向にあります。今後、インターネット等の電子媒体が新興国を含め世界的に急速に発展することによって印刷市場が一段と縮小した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績が悪影響を受ける可能性があります。

(4)デジタル印刷機事業の拡大が停滞するリスク

印刷業界では、パーソナルマーケティングや消費者一人ひとりへの対応などのため、印刷物の多品種少量化・短納期化への移行が進んでいます。このため、当社グループは主力であるオフセット印刷機のオンデマンド印刷への対応を図る一方、多品種で極小量の印刷やバリアブル印刷を得意とするデジタル印刷機事業に参入しました。OEM供給によるA3サイズ用デジタル印刷機に続き、コニカミノルタ社と共同開発したB2サイズの最新鋭デジタル印刷機を市場投入しました。さらにB1サイズの次世代デジタル印刷機を開発中です。
  しかしながら、デジタル印刷機における競合の技術革新や新規参入、印刷会社のニーズの変化、その他デジタル印刷機事業の拡大を阻害する不測の事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績が悪影響を受ける可能性があります。

(5)債務保証履行による損失発生のリスク

印刷機械の市場では、お客様に製品を販売するにあたり、販売金融をつけることが競争上重要なファクターとなっております。そのため、当社グループは、製品を購入いただいたお客様のリース会社及び提携銀行への債務に対して必要な都度債務保証を実施しております。過去の損失発生実績率あるいは個別に検討して算出した損失見込額をベースにして引当金を計上しておりますが、景気が大幅に悪化した場合には保証先のお客様の経営破綻が起きる可能性もあり、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を与えるおそれがあります。

(6)海外事業に伴うカントリーリスク

当社グループは、欧州、米州、中華圏及びアジアに販売会社を設けており、海外売上高は全体の半分を超えております。これら海外市場において、外国企業に対する暴動、内乱、テロ、戦争、自然災害、感染症などが発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績が悪影響を受ける可能性があります。

(7)製造拠点の集中に係るリスク

当社グループの主要生産拠点であるつくばプラントにおいて地震や竜巻等自然災害が発生した場合には、生産設備の破損、サプライチェーンの機能麻痺等が発生し、操業停止等の事態に陥り、当社グループの財政状態及び経営成績が悪影響を受ける可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループの経営成績については、次の通りであります。

 当連結会計年度における世界経済は、欧米先進国では雇用情勢が総じて安定し、景気の着実な回復がみられました。中国をはじめとしたアジア新興国でも世界経済の拡大により輸出が好調に推移しました。我が国経済は、輸出の増加傾向や、企業の好業績を背景にした個人消費が堅調に推移し、緩やかな成長が継続しました。
 このような世界経済環境の中、印刷産業は、先進国ではICT(情報通信技術)の進展とメディアの多様化に伴い、出版・商業印刷における印刷需要が2000年以降漸次低迷しましたが、消費財の販売に不可欠なパッケージ印刷では、世界的に堅調な伸びを示してきました。新興国では、人口の増加や中間所得層の拡大に伴い、景気変動の影響を受けながらも印刷需要が回復基調にあります。印刷機械市場の需要動向は、欧州市場においては、英国がEU離脱問題の不透明さから引続き低迷しているものの、その他主要国では堅調に推移しました。米国では多品種小ロット印刷の流れが定着し印刷の多様化が進んでおり、オフセット印刷機の設備投資には慎重な姿勢が継続しています。中国は成熟市場への移行期にありますが、市場の構造変化による中小印刷会社の淘汰が進み、大手印刷会社を中心に自動化、省力化設備、及びパッケージ機を中心にした高付加価値機の伸びが顕著となりました。昨年5月に北京で開催された展示会が需要喚起の引き金になり、印刷機需要は回復傾向にあります。一方、中国に次ぎアジア市場で期待するインド市場は、昨年7月の新税制導入による経済的な混乱が続き、一時需要は低迷しましたが、第4四半期から受注は徐々に戻りつつあります。日本市場ではコスト削減・効率化などを目的としたオフセット印刷機の更新需要が安定的に推移し、また、スクリーン印刷機も電子部品業界の活況を受けて需要が増加しました。

 このような市場環境において、当連結会計年度は第5次中期経営計画(2016/4~2019/3)の第2年度として、事業の複合化を目指す「事業構造変革」と、ソリューションビジネスにより営業領域の拡大を目指す「営業の業態変革」という2つの「変革」に引続き取組んでまいりました。

 「事業構造変革」では、海外向け証券印刷機事業、DPS (デジタル印刷機) 事業、及びPE (プリンテッドエレクトロニクス) 事業を推進し、事業構造の転換を進めてまいりました。海外証券印刷機事業では各国の中央銀行や民間印刷会社からの受注活動に注力しており、昨年9月より当社製紙幣印刷機を使って印刷された英国中央銀行のポリマー製新10ポンド紙幣が流通を開始しております。また、DPS事業では29インチ枚葉デジタル印刷機「Impremia IS29」の市場投入を日本・米国・欧州・中国において推進しており、「オフセット印刷機と同等の品質」との高い評価をいただいております。また、PE事業においては、昨年12月に米国の国家機関NextFlex(ネクストフレックス)と新技術の商用化に向けた開発協力に合意し、装置会員として当社の参画が決定しております。

 「営業の業態変革」では、昨年5月に北京で開催された展示会「CHINA PRINT 2017 (北京国際印刷技術展示会)」で、最新鋭オフセット印刷機とデジタル印刷機を出展し、オフセットとデジタルを「つなぐ」ことで生まれる新たなビジネスモデルの展望と、最新のICT技術を駆使した稼働状況と工程管理の“見える化”を実現するソリューションを訴求しました。さらに昨年9月には、小森マシナリー(連結子会社・山形県東置賜郡)において経済成長著しいインド及び東南アジア諸国の顧客を対象に、内覧会「KOMORI Packaging Solutions」を開催しました。新しくラインアップされたパッケージ印刷仕様の「LITHRONE G37」によるパッケージソリューションの実演、ならびに後加工機の断裁機「Apressia(アプリシア)CT」で加工したサンプルを紹介するなど、パッケージ市場の競争力向上のための有力なソリューションを提案し、PESP事業を推進しました。

 以上の結果、当連結会計年度における受注高は88,371百万円(前連結会計年度比1.4%減少)となり、売上高は94,168百万円(前連結会計年度比8.7%増加)となりました。また、販売量の増加による利益増及び経費削減等が増益要因となり、営業利益は3,732百万円(前連結会計年度比118.0%増加)となりました。営業外損益は、前連結会計年度に為替差損516百万円を計上した一方、当連結会計年度は円安傾向であった結果、為替差益284百万円の計上があったことなどにより収支が改善し、経常利益は4,420百万円(前連結会計年度比209.1%増加)となりました。特別損益は、固定資産の減損損失として、前連結会計年度に553百万円を計上しましたが、当連結会計年度は129百万円の計上であった一方、退職給付制度変更に伴う退職給付費用170百万円の計上などがあり、税金等調整前当期純損益は、4,152百万円の利益(前連結会計年度比403.8%増加) となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損益は、当連結会計年度は米国の税制改正に伴い、繰延税金資産の取崩しによる法人税等調整額(借方)の計上433百万円があったものの、3,074百万円の利益(前連結会計年度比367.6%増加)となりました。

 

 地域別連結売上高の概況は以下の通りです。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度
(28.4.1~29.3.31)

当連結会計年度
(29.4.1~30.3.31)

増減率

売上高

86,618

94,168

8.7%

内 訳

日本

34,379

38,594

12.3%

北米

10,124

8,858

△12.5%

欧州

16,820

16,019

△4.8%

中華圏

7,233

12,929

78.7%

その他地域

18,060

17,767

△1.6%

 

 

 日本市場は好調な外需による輸出の増加や、底堅い内需を背景に緩やかな成長が継続しました。オフセット印刷機需要が堅調であったことや、電子部品業界の好調さを受けて関連するスクリーン印刷機等の売上が増加したこと、また、昨年7月に小森グラフィックテクノロジーセンターにおいて速乾印刷やデジタル印刷の導入事例を通じてパッケージ印刷や商業印刷に関するソリューションを提案する内覧会を開催し、受注活動を推進したことなどにより、売上高は前連結会計年度比12.3%増加38,594百万円となりました。

 北米市場は雇用・所得環境が良好で、また減税効果や企業収益の改善等を受け好調さが持続しました。一方でオフセット印刷機の更新需要は鈍く、投資に慎重な姿勢が続いています。 シカゴで開催された印刷機材展「Print17」ではデジタル印刷機の「Impremia IS29」を出展し販売を推進しましたが、大型のオフセット輪転機売上の落ち込みの影響が大きく、売上高は前連結会計年度比12.5%減少8,858百万円となりました。

 欧州市場は輸出の増加などにより製造業生産が好調で緩やかな景気回復基調が持続しました。対照的に英国は、EU離脱交渉が進展したものの先行きの不透明さは変わらず景気が低迷しました。売上高は英国の落ち込みの影響が大きく、前連結会計年度比4.8%減少16,019百万円となりました。

 中華圏は政府の環境規制や金融監督の強化により景気の減速が見られましたが、堅調な個人消費と世界経済の拡大による輸出の増加により景気の緩やかな成長が継続しました。昨年5月に北京で行われた国際展示会である「CHINA PRINT 2017(北京国際印刷技術展示会)」が需要喚起の引き金になり、印刷機需要は回復傾向にあります。顧客ニーズに対応した省力化・自動化を実現する高付加価値機及び菊全判両面オフセット枚葉印刷機「LITHRONE GX40RP」などを市場に投入し受注活動を推進した結果、売上高は前連結会計年度比78.7%増加12,929百万円となりました。

 その他地域は、インドでは昨年7月の新税制導入による混乱がありましたが収まりつつあり、またアセアン諸国では堅調な内需に加え輸出が好調であったため緩やかな成長が持続されました。その他地域の売上高は、概ね前年並みで、前連結会計年度比1.6%減少17,767百万円となりました。

 

 セグメントごとの業績ごとの実績は次の通りであります。

 a. 日本

 セグメントの「日本」には、日本の国内売上と、日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上が計上されております。同代理店地域には、香港・台湾を除くアジア(中国本土、アセアン、インド等)と中南米等が含まれております。上記記載のそれぞれの地域での業績を反映した結果、セグメントの「日本」の売上高は78,873百万円前連結会計年度比7,166百万円の増加)となり、セグメント利益は2,962百万円前連結会計年度は437百万円の利益)となりました。

 b. 北米

 セグメントの「北米」には、米国の販売子会社の売上が計上されております。地域別売上高の概況で述べました北米の状況の結果、セグメントの「北米」の売上高は8,879百万円前連結会計年度比1,306百万円の減少)となり、セグメント損失は212百万円前連結会計年度は75百万円の利益)となりました。

 c. 欧州

 セグメントの「欧州」には、欧州の販売子会社及び欧州の紙器印刷機械製造販売子会社の売上が計上されております。地域別売上高の概況で述べました欧州の状況の結果、セグメントの「欧州」の売上高は16,583百万円前連結会計年度比1,067百万円の減少)となり、セグメント利益は520百万円前連結会計年度は672百万円の利益)となりました。

 d. その他

 「その他」には、香港、台湾、シンガポール、マレーシアの販売子会社及び中国南通市の印刷機械装置製造子会社の売上が計上されております。地域別売上高の概況で述べましたアジアの状況の結果、売上高は6,265百万円前連結会計年度比1,199百万円の増加)となり、セグメント利益は182百万円前連結会計年度は158百万円の損失)となりました。

 

 当社グループの財政状態については、次の通りであります。

 (資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,377百万円増加して182,477百万円前連結会計年度比1.3%増加)となりました。資産の主な増加要因は、第4四半期の売上高の伸長に伴う受取手形及び売掛金の増加4,216百万円、現金及び預金の増加2,427百万円、有価証券の増加2,001百万円等であります。主な減少要因は、棚卸資産の減少3,841百万円、投資その他の資産の減少947百万円、有形固定資産の減少991百万円、無形固定資産の減少381百万円等であります。

 (負債及び純資産)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,311百万円増加して50,025百万円前連結会計年度比2.7%増加)となりました。負債の主な増加要因は、未払法人税等の増加745百万円、電子記録債務の増加582百万円、支払手形及び買掛金の増加628百万円、主な減少要因は、流動負債その他の減少633百万円等であります。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,065百万円増加して132,451百万円前連結会計年度比0.8%増加)となりました。純資産の主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加3,074百万円、退職給付に係る調整累計額の増加265百万円、その他有価証券評価差額金の増加154百万円であります。主な減少要因は、配当金による利益剰余金の減少2,329百万円等であります。

 この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の73.0%から72.6%(前連結会計年度比0.4%減少)となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の2,256.47円から2,274.80円(前連結会計年度比18.33円の増加)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ4,173百万円増加し、58,826百万円前連結会計年度比7.6%増)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が793百万円の資金減少であったのに比較し、当連結会計年度は前連結会計年度に比べ6,885百万円増加し、6,091百万円の資金増加となりました。資金増加の主な内訳はたな卸資産の減少額4,158百万円税金等調整前当期純利益4,152百万円減価償却費の戻入額1,888百万円等であり、資金減少の主な内訳は、売上債権の増加額6,173百万円前払費用の増加額331百万円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が4,261百万円の資金増加であったのに比較し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ3,965百万円減少し、295百万円の資金増加となりました。資金減少の主な内訳は、有形及び無形固定資産の純増額949百万円、投資有価証券の取得による支出612百万円等であり、資金増加の主な内訳は、有価証券の純減額1,835百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が7,669百万円の資金減少であったものが、前連結会計年度に比べ5,329百万円増加し、2,340百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、配当金の支払額2,329百万円等であります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

71,476

+8.9

欧州

2,069

+18.5

その他

1,296

+72.2

合計

74,842

+9.9

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2 金額は平均販売価格で表示しております。

   3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

56,553

△3.3

24,020

△23.6

北米

8,538

△13.4

1,036

△27.0

欧州

18,295

+12.2

5,926

+77.5

その他

4,983

+0.4

1,716

△19.5

合計

88,371

△1.4

32,699

△14.6

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2 受注残高には、見込み受注分は含まれておりません。

   3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.  販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

64,438

+16.1

北米

8,858

△12.5

欧州

16,019

△4.8

その他

4,852

+16.5

合計

94,168

+8.7

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の計上、当連結会計年度における収益、費用の計上につきましては、過去の実績に基いた合理的な基準による見積りが含まれております。

 なお、連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針等は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載の通りであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営成績等は、次の通りであります。

 (売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ7,550百万円増加94,168百万円前連結会計年度比8.7%増加)となりました。地域別売上高及びセグメント別の売上高につきましては、(1)経営成績等の概要に記載の通りです。

 (営業費用、営業損益)

 営業損益は、3,732百万円の利益前連結会計年度比118.0%増加)となりました。

 (営業外損益、経常損益)

 営業外損益は、前連結会計年度に為替差損516百万円を計上した一方、当連結会計年度は円安傾向であった結果、為替差益284百万円の計上があったことなどにより収支が改善し、経常利益は4,420百万円(前連結会計年度比209.1%増加)となりました。

 (特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益)

 特別損益は、固定資産の減損損失として、前連結会計年度に553百万円を計上しましたが、当連結会計年度は129百万円の計上であった一方、退職給付制度変更に伴う退職給付費用170百万円の計上などがあり、税金等調整前当期純損益は、4,152百万円の利益(前連結会計年度比403.8%増加) となりました。

 親会社株主に帰属する当期純損益は、当連結会計年度は米国の税制改正に伴い、繰延税金資産の取崩しによる法人税等調整額(借方)の計上433百万円があったものの、3,074百万円の利益(前連結会計年度比367.6%増加)となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、2[事業等のリスク]に記載した項目が挙げられますが、特に影響が大きい要因は次の通りであります。

 当社グループの総売上高に占めるオフセット印刷機事業の割合は大きく、景気動向や法律・規制の施行、租税制度の変更などに起因するオフセット印刷機の需要環境変動が、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当連結会計年度のオフセット印刷機の需要環境は、日本、北米、欧州に大きな変化はみられませんでしたが、中華圏が急回復する一方、インドは高額紙幣廃止やGST導入による混乱で低迷しました。DPS事業やPESP事業などの新規事業を着実に拡大させて収益源の多様化を進展させることにより、オフセット印刷機事業の需要環境変動による経営成績への影響度低減を図ってまいります。
 次に、当社グループの海外売上比率は全体の半分を超えており、かつ製造拠点が日本に集中していることから、為替変動の影響を受けやすい構造となっております。当社グループはこの為替変動リスクに対応すべく、先物為替予約等でヘッジする一方、部材などの海外調達比率を高め、為替エクスポージャーを低減する努力を続けております。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次の通りであります。

 当社グループは、経済・金融環境の変化に備えて十分な手許流動性を確保することにより、安定した財務基盤の維持に努めております。運転資金については主として内部資金により調達しており、事業投資資金については内部資金及び社債により調達しております。今後の事業投資資金については内部資金により調達する予定ですが、大型の戦略投資の際には借入金や社債により調達する予定です。なお、当社は格付け機関である格付投資情報センター(R&I)より長期格付けA-を取得しております。

 

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次の通りであります。

 「日本」は、長期的に低迷していた中華圏向け売上が大幅に回復し、さらにセリアコーポレーションによるスクリーン印刷機等の売上が好調だったことなどから、売上高は78,873百万円(前連結会計年度比7,166百万円の増加)となり、また、セグメント利益は、売上増に加え、為替の円安及び製造コストダウン効果も加わり、2,962百万円(前連結会計年度は437百万円の利益)となりました。
 一方、「北米」はオフセット印刷機への設備投資への消極的な姿勢が継続し、売上高は8,879百万円(前連結会計年度比1,306百万円の減少)となり、セグメント損失は212百万円(前連結会計年度は75百万円の利益)となりました。
「欧州」は英国のEU離脱交渉の不透明感による需要不振が響き、売上高は16,583百万円(前連結会計年度比1,067百万円の減少)となり、セグメント利益は520百万円(前連結会計年度は672百万円の利益)となりました。
 「その他」は、主に香港の販売子会社による中国本土向け売上が増加し、売上高は6,265百万円(前連結会計年度比1,199百万円の増加)となり、セグメント利益は182百万円(前連結会計年度は158百万円の損失)となりました。
 当社は、第5次中期経営計画において、事業構造変革による事業の複合化と営業の業態変革を目指しており、コアであるオフセット印刷機械事業の一層の強化を図るとともに、新規事業として証券印刷機事業、DPS事業、PESP事業、PE事業の拡大に注力しております。これらの新規事業の売上及び利益は「日本」が中心となっておりますが、今後は「北米」、「欧州」での売上、収益への貢献度を徐々に高めてまいります。
 なお、当社の現中期経営計画の数値目標と進捗状況については 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]をご参照ください。

 

4 【経営上の重要な契約等】

 

(1)技術提携契約

 

契約会社名

相手先の名称

相手先の
所在地

契約
締結日

契約内容

契約期間

株式会社小森コーポレーション(当社)

デ・ラ・ルー社(DE LA RUE
INTERNATIONAL LIMITED)

英国

平成29年
2月6日

証券印刷機械システムの包括技術協力契約

契約締結日から
平成34年2月5日
まで有効

株式会社小森コーポレーション(当社)

ランダ社(LANDA
CORPORATION LIMITED)

イスラエル

平成24年
4月27日

デジタル印刷技術のライセンス及び供給契約

契約締結日から
契約終了まで有効

 

 

(2) 販売提携契約

 

契約会社名

相手先
の名称

相手先の
所在地

契約
締結日

契約内容

契約期間

株式会社小森コーポレーション(当社)

コニカミノルタ株式会社

日本

平成23年
12月2日

デジタル印刷機の販売提携

契約締結日から
契約解除まで有効

 

 

 

5 【研究開発活動】

 研究開発活動は、当社グループの事業戦略に基づき重要度及び緊急度の高い課題に重点的に取組んでおります。

 当連結会計年度における当社の重要な研究開発成果は次の通りであります。

 

 昨年5月に中国の北京で開催された「CHINA PRINT 2017(北京国際印刷技術展示会)」に、全色同時刷版交換装置「A-APC」及び乾燥システム「H-UVシステム」を搭載した菊全判両面オフセット枚葉印刷機「LITHRONE GX40RP」、乾燥システム「H-UVシステム」を搭載したA全判オフセット枚葉印刷機「LITHRONE G37」、オフセット印刷機と同じ爪-爪方式の紙搬送装置を搭載し、UVによる速乾と両面ワンパス印刷が可能な29インチ枚葉UVインクジェットデジタルプリンティングシステム「Impremia IS29」を出展しました。
  また、「KOMORI ICT Solutions(コモリ ICT ソリューションズ)」として、安全なクラウド環境で“印刷会社”と“KOMORI”が印刷機の詳細な稼働情報を共有し、MIS連携機能やスケジューラの機能により工程管理をデジタル化・合理化するサービス「KP-Connect」、各種プリンター(EPSON インクジェットプルーファー、「Impremia Cシリーズ」、「Impremia IS29」)で「オフセット印刷/ISO Color」を再現するKOMORIカラーマネジメントの中核システム「K-Color Simulator(K-カラーシミュレーター)2」を展示しました。

 

 また、昨年6月2日に、KOMORIの新製品「LITHRONE GX44RP」の内覧会を開催しました。
「LITHRONE GX44RP」は、リスロンGシリーズの性能を継承した全く新しい機種として誕生したオフセットオンデマンド対応の四六全判両面オフセット枚葉印刷機で、用紙反転のない両面ワンパスの機械構成により、反転機では構造上避けられなかった紙尻余白を不要にし、用紙サイズを最小限に抑えて用紙コストの削減を実現するとともに、薄紙から厚紙まで高品質で安定した紙搬送を実現します。

 

 当社の米国現地法人であるコモリ・アメリカ・コーポレーション(イリノイ州ローリングメドウズ)は、「Impremia IS29」にて、1,200dpiの高品質印刷、片面/両面印刷、速乾UV、通常の用紙(プリコート・専用紙不要)の使用可能について評価を頂き、米国印刷工業会(PIA)のインターテック技術賞2017(2017 InterTechTM Technology Awards)を受賞しました。インターテック技術賞は、グラフィックアーツや関連産業に大きな影響を及ぼすと予測される技術開発に対して贈られる名誉ある賞で、全自動刷版交換装置「APC」、菊全判オフセット枚葉印刷機「LITHRONE S40」、「H-UVシステム」に続く4回目の受賞となります。

 

 パッケージ市場戦略として、A全判オフセット枚葉印刷機「LITHRONE G37」の仕様の拡充及び性能向上に取り組みました。「LITHRONE G37」は市場の強い要望に応え、0.8mmまでの紙厚に対応し、6色・7色・インラインコーターなどの構成で、パッケージ印刷に求められる高付加価値印刷を実現しました。また、速乾システム「H-UVシステム」や印刷品質検査装置「PQA-S」、「PDF照合装置」、色調管理装置「PDCシリーズ」などが搭載可能で、最高印刷速度15,000回転/時間(7色機は13,000回転/時間)の安定稼働とこれらのシステム群を組み合わせることで、品質の安定、欠点の抽出を可能にする高度なパッケージ印刷システムが構築できます。

 

 ポストプレスブランドである「Apressia シリーズ」に、ブランキングシステムの「Apressia MBシリーズ」を追加しました。「Apressia MBシリーズ」は、打抜き後のシートを製品部と非製品部に仕分ける機械で、手作業で行われることの多いむしり(ブランキング)工程を機械化し、1ジョブで最大約200シートを一度にブランキングします。これにより、繰り返し作業ながら熟練度を必要とするむしりの工程を省力化し、生産の安定をもたらすことで生産計画を立てやすくします。「Apressia MBシリーズ」の開発にあたり、KOMORIは株式会社レザック(大阪府八尾市、代表取締役 柳本剛志)と、ブランキングシステムにおける戦略的パートナーシップを構築し、OEM契約を締結しました。本年初頭より「Apressia MB110E」の販売を開始いたしました。
 さらに、「Apressiaシリーズ」の新製品であるKOMORIのハイエンド断裁システム「Apressia CTXシリーズ」の販売を開始しました。「Apressia CTXシリーズ」は、断裁幅1,150mm菊全ワイドサイズの「CTX115」のほか、断裁幅920mmの「CTX92」など幅広いサイズを取り揃えました。また、断裁で発生するカスを自動除去する「AWR(自動切クズ処理装置)」などの自動化機能のほか、全自動紙揃えシステム「FAJS(フルオートジョギングシステム)」、リフター、アンローダーなどの周辺機器を取り揃えるだけでなく、「KP-Connect」と連携してCIP3/CIP4のデータを受け渡すことにより、生産工程管理だけでなく断裁工程全体の自動化を実現します。

 

 フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス(FHE)技術の革新・商用化を担う米国の国家機関であるNextFlex(ネクストフレックス)に、ファイン配線用グラビアオフセット印刷機「PEPIO(ペピオ) F6」を貸与し、FHE 技術の商用化に向け、NextFlexに装置会員として参画、開発協力をしていくことで合意しました。今後、KOMORI が持つ超精密なグラビアオフセット技術を基盤としたプリンテッド・エレクトロニクス(PE)ソリューションを同機関に提供していく予定です。
  PEPIOシリーズはL/S=20/20(μm)以下でのファイン配線や5(μm)以下でのメタルメッシュ配線を実現できる高精度グラビアオフセット印刷機であり、KOMORIグループのセリアコーポレーションを通じて販売しています。

 

 本年1月に名古屋市中小企業振興会館で開催された展示会「Print Doors 2018」にH-UV搭載菊半歳裁4色オフセット枚葉印刷機「LITHRONE G26」、「Apressia CT137」、「KP-Connect」を出展しました。実演では、A4×4ページ写真集の絵柄200枚を「LITHRONE G26」で本刷り後すぐにドン天印刷し、「Apressia CT137」で断裁。「LITHRONE G26」の最高速度16,500回転/時間での安定稼動や「H-UV」の速乾性能、「Apressia CT137」の使いやすさなどを評価していただきました。

 

 なお、当連結会計年度の研究開発費は、4,784百万円(売上高比5.1%)であります。