文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、高い「経営品質」による「顧客感動創造活動」を通じて、世界中のお客様に感動していただける製品とサービスを提供し続けることにより、社会文化の発展に寄与していくことを基本理念としております。
また、株主の皆様やお客様をはじめ、取引先、地域社会、社員とその家族など、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えるとともに、共存共栄を図ることを行動指針として活動しております。
(2) 会社の対処すべき課題及び中期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
印刷産業は、先進国では電子媒体普及の影響を受け、出版関係を中心に減少傾向にありますが、商業印刷分野は近年横ばいで推移している状況の中で、中国を中心としたアジア地域では成長が期待されております。一方、パッケージ印刷の需要は総じて高く、その成長エンジンは中国を中心とするアジア地域ですが、日本や欧米の先進国においても、環境問題によりプラスチックから紙器への見直し気運が高まっていることから、世界の印刷市場は中期的には比較的緩やかに成長して行くものと予測しております。
このような事業環境の中、当社の経営はオフセット印刷機事業の収益基盤をより強固にするとともに、各新規事業の拡大と営業の業態等の「変革」が必要となり、2016年4月からスタートした第5次中期経営計画にて、「収益構造変革」を目標に「事業構造変革」を推進し「営業の業態変革」と「モノづくり革新」等を実行いたしました。
事業構造変革での成果としては、証券印刷機事業では、英国中央銀行およびCrane社への紙幣印刷機械の一括納入の完了とアジア各国からの大型受注に成功したこと、DPS事業では新型デジタル印刷機「Impremia(インプレミア) IS29」の量産販売を国内外で開始し販売成果が出たこと等があげられます。また、PE事業では電子部品業界での当社のプレゼンスを高める一方で、高精細技術を基に半導体およびフレキシブル配線などの製造技術の商用化をめざし各種のアライアンスを組むなど着実な事業拡大を実施し事業の複合化を進めました。次に、営業の業態変革では、PESP事業として、ポストプレス商品・消耗品などの印刷関連の営業品目を拡大させ、迅速なサービス活動を目指して予防保全サービスなどを拡充し顧客の利便性を高めました。また、将来の印刷会社でのIoTを目指した「KP-Connect(KP-コネクト)」(KOMORIソリューションクラウド)の国内販売を開始し、お客様の生産性と収益性の向上に資する総合的なソリューション提案を可能とする体制を整えました。
このように第5次中期経営計画を通して今後の成長の基本路線は明確に設定されましたが、数値目標については開発計画の遅延および一部重要市場の低迷等が重なり計画は未達となりました。
数値目標未達の主な要因は次の通りと考えております。
第一に、事業構造変革を推進する一方で中核事業のオフセット印刷機事業の基盤強化に努めてまいりましたが、中国市場を含む一部市場が想定通り伸びなかったこと。
第二に、DPS事業は、「Impremia IS29」と「Impremia NS40」の開発遅延により市場投入が遅れたこと、同機のビジネスモデルに合致した新しい市場開拓に時間を要したこと等により想定した事業拡大ができなかったこと。
第三に、海外証券印刷機事業は、入札のタイミングが第5次中期経営計画の後半に販売の谷間に入り売上が減少したこと。
第四に、新規事業、特にDPS事業への開発先行投資により収益力を低下させたこと。
この他、自律的成長に加えM&Aによる業容拡大を想定しましたが、新規事業での戦略的アライアンスや海外代理店の子会社化などを進めたものの、現時点では収益に大きなインパクトを与えるM&Aが実行されていないことも要因の一つとなっています。
これらの要因に対する反省を踏まえ、当初2019年4月よりスタートを予定していた第6次中期経営計画は、半年間延期し社内で充分な議論を行った上で、2019年下期にスタートを計画しております。また、当社は、2023年に創業100周年を迎えることから、第6次中期経営計画は5ヵ年計画にする予定です。第6次中期経営計画は現在策定中でありますが、現在の当社を取り巻く事業環境は、以下の通りです。
中核事業のオフセット市場は、先進国市場は拡大しないものの、中国を含む新興国市場は大きく拡大する。特に紙器印刷は環境問題を背景に全世界的に拡大するものと予測されている。
デジタル印刷機市場は、小ロット、バリアブル印刷の需要が拡大するために小型/中型機を中心に急速に拡大するものと予測されている。
証券印刷機市場は、海外での偽造防止の為にデザインを刷新した新銀行券発行や、アジア圏の銀行券増刷等によって市場は拡大すると予測されている。
PE、特に電子部品業界への製造装置市場は、IoTの進展に沿って電子部品の増産に伴い装置需要は拡大すると予測されている。
以上を背景に対処すべき課題は、第5次中期経営計画で確立した事業基盤をより強化発展させることにより、収益性を向上させるとともに将来への布石を着実に打つことであります。
具体的には①~⑥の対応を迅速に進めてまいります。
①オフセット・証券印刷機事業の収益力強化
②DPS(デジタル印刷システム)事業の収益化
③リカーリング・インカム事業の推進
④成長事業への積極的な投資
⑤コーポレート・ガバナンス体制の強化および環境対策の積極的な推進
⑥財務健全性の維持を前提にバランスシートの効率化を意識した財務戦略の推進
なお、第6次中期経営計画については、2019年度下期に発表を計画しております。
(3) 株式会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の経営理念をはじめ当社の財務基盤や事業内容等の企業価値のさまざまな源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保・向上させる者でなければならないと考えております。
上場会社である当社の株式は、株主の皆様による自由な取引が原則であり、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方についても、当社株式の自由な取引により決定されることを基本としております。従いまして、当社株式の大規模な買付行為等についても一概に否定するものではなく、買付提案に応じるか否かの判断は、株主の皆様の意思に基づき行われるべきものと考えております。
しかしながら、株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、明らかに濫用目的によるものや、株主に売却を強要するおそれのあるもの、その目的等からみて企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、対象会社の取締役や株主が買付の条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役が代替案を提案するための十分な情報や時間を提供しないもの等、不適切なものも少なくありません。
このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に反する大規模な買付等に対し、これを抑止するための枠組みが必要不可欠と考えます。
② 基本方針の実現に資する特別な取組み
当社では、多数の株主及び投資家の皆様に長期的に当社への投資を継続していただくため、企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして、以下のような施策を実施しております。これらの取組みは、上記①基本方針の実現にも資するものと考えております。
a. 当社の経営理念及び企業価値の源泉
当社は1923年の創業以来、90年以上に亘り印刷機械システムのメーカーとして品質と信頼を至上とするものづくりの原点にこだわり、世界各国へ高品質・高性能な印刷機械とサービスを提供することにより、印刷文化の発展に寄与してまいりました。
当社の経営理念は、「顧客感動企業の実現」であります。「顧客感動企業」とは、高い「経営品質」の実現を目指して、絶えず「顧客感動創造活動」を推進し、世界中のお客様に満足と感動をもたらす企業になることであり、具体的には「KANDO-PROJECT」を通じて次の3つの項目を推進しております。
ⅰ) 「KOMORI」ブランドの創造活動と維持管理を実施する
ⅱ) 知覚品質管理活動を徹底し、顧客満足を高める
ⅲ) ソリューションビジネスを推進し、顧客の利便性を高める
これら顧客を起点とした事業活動のプロセスにより築き上げられた顧客との信頼関係が当社の企業価値の源泉であります。
b. 中期経営計画を軸とする企業価値ひいては株主共同の利益向上への取組み
当社の企業価値の源泉は顧客を起点とした事業活動のプロセスにより築きあげられた顧客との信頼関係にありますが、事業活動のプロセスにおける当社の強みは、開発、製造(モノづくり)、印刷技術の3つの分野で蓄積された知見・ノウハウであります。当社は、印刷業界の構造変化に対応すべく、この強みを最大限に活かしながら、コア事業の基盤強化を図るとともに、新しい事業領域への参入と客層の拡大を図ってまいりました。第5次中期経営計画(2016年4月~2019年3月の3ヵ年計画)では、既存事業においてモノづくり革新による開発力強化・コスト低減を推し進める一方、新規事業の推進による事業の複合化と営業の業態変革による販売領域の拡大によって、事業構造と収益構造の変革を進めました。具体的には下記の通りです。
ⅰ) 事業構造変革として、新規事業を推進し事業を複合化
・証券印刷機事業では海外市場で当社への信頼性を高め、顧客層を拡大
・DPS(デジタル印刷システム)事業ではB2サイズ新型デジタル印刷機「Impremia IS29」の量産販売を国内外で開始し、同時にデジタル印刷機特有のビジネスモデル(納入後のインキ・消耗品・保守などの安定的収益を創出)を構築
・さらに、ナノテクノロジーと当社の技術を融合した大型(B1サイズ)次世代デジタル印刷機「Impremia NS40」を2019年中のフィールドテストに向けて開発加速・PE(プリンテッドエレクトロニクス)事業では電子部品業界での顧客層を拡大する一方で外部企業・組織とアライアンスを組み、高精細技術を基に半導体およびフレキシブル配線などの製造技術の商用化プロジェクトに参画
ⅱ) 営業の業態変革としてPESP事業を拡充(顧客の生産性と収益性に資する総合的なソリューション提案を可能とする体制を構築)
・当社製印刷機にベストマッチするポストプレス機器や印刷資材(インキ等)などの営業品目を拡充
・印刷会社でのIoTを目指した「KP-Connect」(KOMORIソリューションクラウド)の展開
第6次中期経営計画は、第5次中期経営計画で確立した事業基盤を強化発展させることにより、「収益性の向上とともに将来への布石を着実に打つこと」をテーマとしており、骨子は下記の通りです。
1. オフセット・証券印刷機事業の収益力強化
2. DPS(デジタル印刷システム)事業の収益化
3.リカーリング・インカム事業の推進
4.成長事業への積極的な投資
5.コーポレート・ガバナンス体制の強化および環境対策の積極的な推進
6.財務健全性の維持を前提にバランスシートの効率化を意識した財務戦略の推進
着実に成長しつつある新規事業の収益化の実現とともに既存事業の収益性の向上を図り、企業価値を高めてまいります。
なお、第6次中期経営計画は、2023年に迎える創業100周年を見据え、実効性ある5ヵ年計画とすべく全社を挙げて取り組んでおり、2019年度下期に公表予定です。
具体的には、第5次中期経営計画の反省を踏まえ、各事業毎の明確なマイルストーンを設定した上で、先行管理により市場の変化等に迅速に対応する仕組みを構築中です。また、計画策定段階から全社展開を行い、現場の実情を反映した計画を組織全体に浸透させることにより全社員が主体的に取り組めるようにしております。
c. コーポレート・ガバナンスの強化への取組み
当社は全てのステークホルダーの期待に応え、責任を果たし、企業価値の最大化を追求していくことが、経営の最重要課題の一つであると認識しております。そのために経営の透明性を高め、監督機能の強化と経営の意思決定の迅速化を図り、コンプライアンスを確保するコーポレート・ガバナンスの確立が不可欠であると考えます。
当社は、コーポレート・ガバナンス体制の強化を図るため2018年6月に社外取締役を1名増員しております。これにより取締役9名のうち社外取締役を3名とした取締役会を構成しております。経営の監督と執行の分離を目的に執行役員制を導入しており、取締役会は 「経営の意思決定および監督機能」を担い、執行役員会は「業務執行機能」を担っております。当社は監査役会を設置し、常勤監査役2名 (うち社外監査役1名) 、社外監査役2名 (うち女性1名) で構成しています。監査役は、取締役の職務執行を監査するとともに、取締役会その他重要な会議に出席し必要な意見を述べるとともに、会計監査人および内部監査人とコミュニケーションを深め、連携を強化することで、監査の有効性・効率性を高めております。取締役の選解任および報酬等の決定の手続きについては、より客観性・透明性・公正性を図るため、2018年12月に取締役会の諮問機関として、社内取締役1名および社外取締役2名で構成する「指名諮問委員会」「報酬諮問委員会」を設置しております。今後も、コーポレート・ガバナンスの強化・充実に努め、企業価値ひいては株主共同の利益を追求してまいります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取
組みの概要
当社は、2019年5月13日開催の当社取締役会において「当社株式の大規模買付行為に関する対応策 (買収防衛策)」(以下、「本プラン」といいます。) の継続を決議し、2019年6月19日開催の当社第73回定時株主総会(以下、「本株主総会」といいます。)において、本プランの継続につき承認を得ております。
本プランの対象となる当社株式の買付とは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為をいいます。
本プランにおける、大規模買付時における情報提供と検討時間の確保等に関する一定のルール(以下、「大規模買付ルール」といいます。)は①事前に大規模買付者が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、②必要情報の提供完了後、対価を現金のみとする公開買付による当社全株式の買付の場合は最長60日間、その他の大規模買付行為の場合は最長90日間を当社取締役会による評価、検討等の取締役会評価期間として設定し、取締役会評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始する、というものです。
本プランにおいては、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置は講じません。ただし、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合、遵守しても当該大規模買付行為が、当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断する場合には、必要かつ相当な範囲で、新株予約権の無償割当等、会社法その他の法律及び当社定款が認める対抗措置を講じることがあります。
このように対抗措置を講じる場合、その判断の合理性及び公正性を担保するために、取締役会は対抗措置の発動に先立ち、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外監査役または社外取締役や社外有識者から選任された委員で構成する独立委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、独立委員会は対抗措置の発動の是非について取締役会評価期間内に勧告を行うものといたします。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、独立委員会の勧告を最大限尊重するものといたします。ただし、独立委員会が対抗措置の発動について勧告を行い、発動の決議について株主総会の開催を要請する場合、株主の皆様に本プランによる対抗措置を発動することの可否を十分にご検討いただくための期間を設定し、株主総会を開催することがありますが、大規模買付行為は当該期間の経過後にのみ開始できるものといたします。当社取締役会は、株主総会において対抗措置の発動または不発動について決議された場合、当該株主総会の決議に従うものといたします。
なお、本プランの有効期限は2022年6月に開催予定の当社第76回定時株主総会の終結の時までといたします。本プランは、本株主総会において継続が承認され発効した後であっても、①当社株主総会において本プランを廃止する旨の株主の一定割合の意思表示が行われた場合、②当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議等が行われた場合には、その時点で廃止されるものといたします。
④ 本プランが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目
的とするものではないこと及びその理由
当社取締役会は以下の理由から、本プランが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうものでなく、かつ当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
a. 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本プランは、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しています。
また、経済産業省に設置された企業価値研究会が2008年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の内容も踏まえたものとなっております。
b. 企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を目的としていること
本プランは、当社株式に対する大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様がご判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させるという目的をもっているものです。
本プランの発効は、株主の皆様のご承認を条件としており、株主の皆様のご意向により本プランの廃止も可能であることは、本プランが株主共同の利益を損なわないことを担保していると考えられます。
c. 株主意思を反映するものであること
当社は、本株主総会において本プランに関する株主の皆様の意思を確認させていただくため、議案としてお諮りし原案どおりご承認いただきましたので、本プランは株主の皆様のご意向が反映されたものとなっております。
また、本プラン有効期間の満了前であっても、当社株主総会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになり、株主の皆様のご意向が反映されます。
d. 独立性の高い社外者の判断の重視
本プランにおける対抗措置の発動は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員で構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされており、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に適うように本プランの適正な運用を担保するための手続も確保されており、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
e. デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと
本プランは、当社株主総会で選任された取締役で構成される取締役会によりいつでも廃止することができるものとされており、当社の株式を大量に買い付けようとする者が、自己の指名する取締役を当社株主総会で選任し、かかる取締役で構成される取締役会により、本プランを廃止することが可能です。従って、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策) ではありません。
また、当社は取締役の任期を1年間としておりますので、本プランはスローハンド型買収防衛策(取締役の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する防衛策)でもありません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす事項は、以下のようなものがあります。
(1)為替レート変動によるリスク
当社グループの海外売上比率は全体の半分を超えており、為替変動の影響を受けやすい構造となっており
ます。主要な海外市場は、欧州、米州、中国を含むアジアでありますが、特定の地域への極端な偏重はありません。また、先物為替予約等でヘッジすることにより短期のリスクの合理的な軽減を図っております。しかしながら、大幅な変動が生じた場合には、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2)需要環境変動によるリスク
当社グループは、事業環境の変化に伴い、事業構造変革を推進し収益構造の複合化を図っております。その一環として、印刷機械の供給会社から、印刷技術サービスを提供する「プリントエンジニアリングサービスプロバイダー」(PESP)に変貌すべく、変革に取り組んでおります。具体的には、当社の印刷機械に最適な印刷前後工程の機器やインキ等の消耗品を商品群として取り揃え、同時にIoT技術を駆使した生産・品質管理システムの提供により、印刷工程全般に係る課題解決のためのソリューションを提案するなど、総合的な印刷技術サービスの提供活動をしております。しかしながら、変革が過渡期にあることから、総売上高に占める印刷機械の売上高の割合はいまだ大きく、需要環境変動によるリスクがあります。印刷機械の需要は、タイムラグはあるものの基本的には景気動向に強く影響されます。即ち、景気の悪化が当社のお客様の設備の稼動状況ひいては設備投資の意思決定に大きな影響を与えます。従って、当社グループの主要市場である日本、欧州、米州、アジアにおいて景気が大幅に悪化することになれば、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3)全世界的な電子媒体の拡大により印刷市場が縮小するリスク
印刷業界は、インターネットや電子書籍の浸透によって先進国における出版関連印刷を中心に印刷需要が長期的に縮小傾向にあります。今後、インターネット等の電子媒体が新興国を含め世界的に急速に発展することによって印刷市場が一段と縮小した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
(4)デジタル印刷機事業の拡大が停滞するリスク
印刷業界では、パーソナルマーケティングや消費者一人ひとりへの対応などのため、印刷物の多品種少量化・短納期化への移行が進んでいます。このため、当社グループは主力であるオフセット印刷機のオンデマンド印刷への対応を図る一方、多品種で極小量の印刷やバリアブル印刷を得意とするデジタル印刷機事業に参入しました。OEM供給によるA3サイズ用デジタル印刷機に続き、コニカミノルタ社と共同開発したB2サイズの最新鋭デジタル印刷機を市場投入しました。さらにB1サイズの次世代デジタル印刷機を開発中です。しかしながら、デジタル印刷機における競合の技術革新や新規参入、B1サイズの次世代デジタル印刷機開発競争における当社の開発進捗遅れ、印刷会社のニーズの変化、デジタル印刷機事業の拡大を阻害する不測の事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
(5)海外事業に伴うカントリーリスク
当社グループは、欧州、米州、中華圏及びアジアに販売会社を設けており、海外売上高は全体の半分を超えております。これら海外市場において、外国企業に対する暴動、内乱、テロ、戦争、自然災害、感染症などが発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
(6)製造拠点の集中に係るリスク
当社グループの主要生産拠点であるつくばプラントにおいて地震や竜巻等自然災害が発生した場合には、生産設備の破損、サプライチェーンの機能麻痺等が発生し、操業停止等の事態に陥り、当社グループの財政状態及び経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
(7)債務保証履行による損失発生のリスク
印刷機械の市場では、お客様に製品を販売するにあたり、販売金融をつけることがあります。そのため、当社グループは、製品を購入いただいたお客様のリース会社及び提携銀行への債務に対して必要に応じて債務保証を実施しております。過去の損失発生実績率あるいは個別に検討して算出した損失見込額をベースにして引当金を計上しておりますが、景気が大幅に悪化した場合には保証先のお客様の経営破綻が起きる可能性もあり、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を与えるおそれがあります。
(1)経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループの経営成績については、次の通りであります。
当連結会計年度における世界経済は、欧米先進国では雇用情勢が総じて安定したものの、成長スピードは徐々に陰りが見られました。米中貿易摩擦により中国経済は減速傾向にありますが、アジア新興国はまだら模様となりました。我が国経済は、輸出が低迷しましたが、底堅い内需に支えられ緩やかな成長が継続しました。
このような世界経済環境の中、印刷産業は、先進国ではICT(情報通信技術)の進展とメディアの多様化に伴い、出版・商業印刷は印刷需要の低迷が続く一方で、消費財の流通に不可欠なパッケージ印刷は堅調に伸びています。新興国では、人口の増加や中間所得層の拡大に伴い、景気変動の影響を受けながらも印刷需要が回復基調にあります。
印刷機械の需要動向は、欧州市場においては、英国がEU離脱問題の不透明さから引続き低迷し、フランスでも設備投資促進の税制優遇措置終了による反動減が見られました。米国ではオフセット印刷機への設備投資が押さえられる一方で、多品種小ロットに対応したデジタル印刷機への投資が進展しています。中国では、より高い生産性を目指す大手印刷会社を中心とした自動化・省力化の進んだ印刷機械や、パッケージ機を中心とした高付加価値機への投資、ならびにWEBプリンター向け印刷機械の需要増が継続しました。アジア市場では、一部に中国経済の減速の影響が見られましたが、総じて需要は安定的に推移しました。日本市場ではコスト削減・効率化などを目的としたオフセット印刷機の更新需要が続いています。
このような市場環境において、当連結会計年度は第5次中期経営計画(2016年4月~2019年3月)の最終年度として、2つの「変革」に引続き取組んでまいりました。
第一の変革として、事業の複合化を目指す「事業構造変革」では、海外向け証券印刷機事業、DPS (デジタル印刷機) 事業、及びPE (プリンテッドエレクトロニクス) 事業を推進し、事業構造の転換を進めてまいりました。海外向け証券印刷機事業では昨年5月に米国で開催された銀行券業界最大のカンファレンスである「Banknote(バンクノート) 2018」において、当社の銀行券印刷用コンビネーションマルチプロセス番号コーター印刷機 「CURRENCY(カレンシー)NV32」が国際通貨協会(IACA)の最優秀技術賞を受賞いたしました。各国の中央銀行や民間証券印刷会社からの受注活動に注力し、総額110億円の大型受注に成功しました。DPS事業においては29インチ枚葉デジタル印刷機「Impremia IS29」の拡販を図り、さらに大型の40インチ枚葉ナノグラフィックプリンティングシステム「Impremia NS40」のフィールドテストに向けた開発を進めています。PE事業では昨年12月に中国の深圳で開催された展示会、「2018 International Printed Circuit & APEX South China Fair (HKPCA 2018)」に参加し、アジア・中国市場へも販路を広げる活動を進めています。
第二の変革として、「営業の業態変革」では、PESP(プリントエンジニアリングサービスプロバイダー)として様々なソリューションを提供し、営業領域の拡大を推進しています。その一環として、当社は、印刷工程全体をIoTクラウドである「KP-Connect」でつなぐことにより、労働生産性の高い生産環境の構築を提唱しています。「KP-Connect」は既に300台以上の機械が接続され、生産現場の効率化に貢献しています。また、昨年7月に開催された国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展「IGAS2018」では、「Innovate to Create」のテーマのもと自動化・省人化・スキルレス化を推進することで、「どうやってつくるか」から「なにをつくるか」に発想の切り替えを促す展示・実演を行い、課題解決への提案を行いました。
以上の結果、当連結会計年度における受注高は93,451百万円(前期比5.7%増加)となり、売上高は、90,242百万円(前期比4.2%減少)となりました。費用面では、品目別売上構成の違い等により、売上原価率が前期に比べ若干低下したものの、販売費及び一般管理費率は、人件費や広告宣伝費の増加及び売上高の減少により、前期に比べ上昇しました。その結果、営業利益は2,706百万円の利益(前期比27.5%減少)となりました。経常損益は、前期が284百万円の為替差益であったのに対し、当期は214百万円の為替差損であった影響もあり、2,502百万円の利益(前期比43.4%減少)となりました。税金等調整前当期純損益は、当期は2,458百万円の利益(前期比40.8%減少)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、1,427百万円の利益(前期比53.6%減少)となりました。
地域別連結売上高の概況は以下の通りです。
日本市場は輸出の増加が鈍化したものの良好な雇用情勢を背景に、景気回復基調が継続しました。オフセット印刷機の需要が好調でしたが、証券印刷機では減少し、売上高は前連結会計年度比3.0%減少の37,444百万円となりました。一方で、昨年7月に開催された国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展「IGAS2018」の効果もあり、受注は前連結会計年度を上回りました。
北米市場は雇用情勢の改善が続き、また企業業績も底堅さを保ち堅調な景気拡大が継続しました。売上高は、引き続き消耗品・サービス売上で前年実績を上回る伸びを見せましたが、オフセット印刷機への投資は、デジタルへの投資の流れが継続していることから依然慎重で、前連結会計年度比8.8%減少の8,077百万円となりました。
欧州市場は内需が景気を下支えして堅調さを持続しました。一方で印刷機需要は、フランスで前年第2四半期に実施された設備投資促進の税制優遇措置の反動減の影響や、また英国のEU離脱協議の先行きが不透明である事などから需要低迷が続き、売上高は前連結会計年度比5.2%減少の15,188百万円となりました。
中華圏の経済は減税措置による消費拡大が下支えをしているものの米中貿易摩擦の影響により減速傾向にあります。一方で、オフセット印刷機では環境規制に対応した工場移転に伴う更新需要や、上昇する人件費の抑制を目的とした省力化・高付加価値化を図る更新需要が続き、売上高は前連結会計年度比41.0%増加の18,226百万円となりました。
その他地域は、インドでは一昨年7月の新税導入による混乱が収まり景気の持ち直しが見られました。また、アセアン諸国の一部では米中貿易摩擦の影響が見られました。その他地域の売上高は、証券印刷機の前連結会計年度で入札案件が少なかったことが影響し、前連結会計年度比36.4%減少の11,305百万円となりました。
セグメントごとの業績は次の通りであります。
a. 日本
セグメントの「日本」には、日本の国内売上と、日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上が計上されております。同代理店地域には、香港・台湾を除くアジア(中国本土、アセアン等)と中南米等が含まれております。上記記載のそれぞれの地域での業績を反映した結果、セグメントの「日本」の売上高は76,105百万円(前連結会計年度比2,767百万円の減少)となり、セグメント利益は1,806百万円(前連結会計年度は2,962百万円の利益)となりました。
b. 北米
セグメントの「北米」には、米国の販売子会社の売上が計上されております。地域別売上の概況で述べました北米の状況の結果、セグメントの「北米」の売上高は8,101百万円(前連結会計年度比778百万円の減少)となったものの、移転価格調整による売上原価の減少等の影響もあり、セグメント利益は712百万円(前連結会計年度は212百万円の損失)となりました。
c. 欧州
セグメントの「欧州」には、欧州の販売子会社及び欧州の紙器印刷機械製造販売子会社の売上が計上されております。地域別売上の概況で述べました欧州の状況の結果、セグメントの「欧州」の売上高は15,934百万円(前連結会計年度比648百万円の減少)となり、セグメント利益は429百万円(前連結会計年度は520百万円の利益)となりました。
d. その他
「その他」には、香港、台湾、シンガポール、マレーシア、インドの販売子会社及び中国南通市の印刷機械装置製造販売子会社の売上が計上されております。地域別売上の概況で述べました中華圏及びその他地域の状況の結果、売上高は9,657百万円(前連結会計年度比3,391百万円の増加)となり、セグメント利益は145百万円(前連結会計年度は182百万円の利益)となりました。
当社グループの財政状態については、次の通りであります。
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ13,829百万円減少して167,370百万円(前連結会計年度比7.6%減少)となりました。資産の主な減少要因は、社債の償還等に伴う現金及び預金の減少9,152百万円、有価証券の減少5,503百万円、投資有価証券の減少3,052百万円、有形固定資産の減少870百万円、受取手形及び売掛金の減少533百万円等であります。主な増加要因は、棚卸資産の増加4,426百万円、無形固定資産の増加171百万円等であります。
(負債及び純資産)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ11,562百万円減少して37,185百万円(前連結会計年度比23.7%減少)となりました。負債の主な減少要因は、1年内償還予定の社債の減少10,000百万円、流動負債その他の減少1,425百万円、未払法人税等の減少815百万円等であります。主な増加要因は、電子記録債務の増加1,215百万円、支払手形及び買掛金の増加323百万円等であります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,266百万円減少して130,184百万円(前連結会計年度比1.7%減少)となりました。純資産の主な減少要因は、配当金による利益剰余金の減少2,329百万円、その他有価証券評価差額金の減少1,752百万円等であります。主な増加要因は、会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加1,427百万円、退職給付に係る調整累計額の増加220百万円、為替換算調整勘定の増加124百万円等であります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の73.1%から77.7%(前連結会計年度比4.6%増加)となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の2,274.80円から2,234.61円(前連結会計年度比40.19円の減少)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ13,152百万円減少し、45,673百万円(前連結会計年度比22.4%減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が6,091百万円の資金増加であったのに比較し、当連結会計年度は前連結会計年度に比べ5,979百万円減少し、112百万円の資金増加となりました。資金増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益2,458百万円、減価償却費の戻入額1,964百万円等であり、資金減少の主な内訳は、たな卸資産の増加額3,987百万円、売上債権の増加額828百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が295百万円の資金増加であったのに比較し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ745百万円減少し、449百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、有形及び無形固定資産の純増額997百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出544百万円等であり、資金増加の主な内訳は、有価証券の純減額1,099百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が2,340百万円の資金減少であったものが、前連結会計年度に比べ10,448百万円減少し、12,789百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、社債の償還による支出10,000百万円、配当金の支払額2,329百万円等であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は平均販売価格で表示しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 受注残高には、見込み受注分は含まれておりません。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の計上、当連結会計年度における収益、費用の計上につきましては、過去の実績に基いた合理的な基準による見積りが含まれております。
なお、連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針等は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載の通りであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等は、次の通りであります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3,925百万円減少し90,242百万円(前連結会計年度比4.2%減少)となりました。地域別売上高及びセグメント別の売上高につきましては、(1)経営成績等の概要に記載の通りです。
(営業費用、営業損益)
営業損益は、売上高減少により売上総利益が1,009百万円減少し、販売出荷費などが同様に減少したものの、人件費や広告宣伝費の増加などにより販売費及び一般管理費が17百万円増加した結果、2,706百万円の利益(前連結会計年度比27.5%減少)となりました。
(営業外損益、経常損益)
営業外損益は、前連結会計年度に為替差益284百万円を計上した一方、当連結会計年度は円高傾向であった結果、為替差損214百万円の計上があったことなどにより収支が悪化し、経常利益は2,502百万円(前連結会計年度比43.4%減少)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益)
特別損益は、前連結会計年度に固定資産の減損損失として129百万円を計上し、また、退職給付制度変更に伴う退職給付費用170百万円の計上などがあった一方で、当連結会計年度では大きな特別損益が発生せず、税金等調整前当期純損益は、2,458百万円の利益(前連結会計年度比40.8%減少) となりました。
当連結会計年度は税金等調整前当期純利益が減少したことにより、法人税・住民税及び事業税が509百万円減少したものの、税効果会計による繰延税金資産の取崩しで法人税等調整額(借方)の計上が476百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純損益は、1,427百万円の利益(前連結会計年度比53.6%減少)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、2[事業等のリスク]に記載した項目が挙げられますが、特に影響が大きい要因は次の通りであります。
当社グループの総売上高に占めるオフセット印刷機事業の割合は大きく、景気動向や法律・規制の施行、租税制度の変更などに起因するオフセット印刷機の需要環境変動が、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当連結会計年度のオフセット印刷機の需要環境は、日本、その他の地域では安定的に推移しましたが、北米、欧州で減少しました。中華圏は昨年に続き環境規制に対応した工場移転に伴う更新需要や、上昇する人件費の抑制を目的とした省力化・高付加価値化を図る更新需要により回復基調が続きました。DPS事業やPESP事業などの新規事業を着実に拡大させて収益源の多様化を進展させることにより、オフセット印刷機事業の需要環境変動による経営成績への影響度低減を図ってまいります。
次に、当社グループの海外売上比率は全体の半分を超えており、かつ製造拠点が日本に集中していることから、為替変動の影響を受けやすい構造となっております。当社グループはこの為替変動リスクに対応すべく、先物為替予約等で短期の変動リスクをヘッジする一方、部材などの海外調達比率を高め、為替エクスポージャーを低減する努力を続けております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次の通りであります。
当社グループは、経済・金融環境の変化に伴う需要変動リスクに備えて十分な手許流動性を確保することにより、安定した財務基盤の維持に努めております。運転資金及び事業投資資金については主として内部資金により調達しております。今後も事業投資資金については内部資金により調達する予定ですが、大型の戦略投資の際には借入金や社債により調達する予定です。なお、当社は格付け機関である格付投資情報センター(R&I)より長期格付けA-を取得しております。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次の通りであります。
「日本」は、日本の国内売上と日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上が計上されております。更新タイミングの影響で証券印刷機の売上が減少したことや、電子部品向けスクリーン印刷機の需要減少の影響を受け売上高は76,105百万円(前連結会計年度比2,767百万円の減少)となり、また、セグメント利益は1,806百万円(前連結会計年度は2,962百万円の利益)となりました。
一方、「北米」はデジタル印刷機への投資が進展する一方でオフセット印刷機への設備投資を押さえる姿勢が継続し、売上高は8,101百万円(前連結会計年度比778百万円の減少)となったものの、移転価格調整による売上原価減少等の影響も有りセグメント利益は712百万円(前連結会計年度は212百万円の損失)となりました。
「欧州」は英国のEU離脱交渉の不透明感や、フランスの税制優遇措置終了による反動減が響き、売上高は15,934百万円(前連結会計年度比648百万円の減少)となり、セグメント利益は429百万円(前連結会計年度は520百万円の利益)となりました。
「その他」は、主に香港、台湾、シンガポール、マレーシア、インドの販売子会社及び中国南通市の印刷機械製造販売子会社の売上が計上されています。当連結会計年度よりインドの販売子会社が加わったこともあり売上高は9,657百万円(前連結会計年度比3,391百万円の増加)となりましたが、セグメント利益は減少し145百万円(前連結会計年度は182百万円の利益)となりました。
当社は、事業構造変革による事業の複合化と営業の業態変革を目指しており、コアであるオフセット印刷機械事業の一層の強化を図るとともに、新規事業として証券印刷機事業、DPS事業、PESP事業、PE事業の拡大に注力しております。また、当連結会計年度より加わったインドの販売子会社や、後発事象として開示している中国の販売代理店の子会社化により「その他」での収益拡大効果が高まるよう経営してまいります。
当社は、2019年3月25日開催の取締役会において、当社の子会社である小森香港有限公司を通じて、深圳兆迪技術有限公司(インフォテック社)の全株式を取得することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)2 をご参照ください。
研究開発活動は、当社グループの事業戦略に基づき重要度及び緊急度の高い課題に重点的に取組んでおります。
当連結会計年度における当社の重要な研究開発成果は次の通りであります。
A全判オフセット枚葉印刷機に、新たに反転機構を備え、両面ワンパス印刷を可能にした「LITHRONE G37P」の8色機モデルを開発しました。
「LITHRONE G37P」は、新しい反転機構を採用することにより高品質な両面印刷を行うことができます。さらにこの新反転機構は、構造もシンプルで、耐久性やメンテナンス性を格段に向上させています。
銀行券印刷用コンビネーションマルチプロセス番号コーター印刷機「CURRENCY NV32」が国際通貨協会(IACA)の「最優秀技術賞2018」を受賞しました。
「CURRENCY NV32」は、最高印刷速度12,000回転/時間、番号印刷品質評価システム「PQA-N」を有し、銀行券印刷の最終プロセスである番号印刷を高速で安定した品質で行います。各印刷ユニットは、単独駆動モーターとクラッチを有することで、同時並行でジョブ替えを進めることができます。これにより当社の従来方式に比べ準備時間を50%以上短縮することに成功しました。
また、2018年12月3日から3日間、ベトナムのハノイで開催された「アジアハイセキュリティー印刷会議(High Security Printing Asia) 2018」では、銀行券印刷品質検査技術を紹介しました。オンライン検査では印刷品質評価システム「PQA-C」を、オフライン検査では検査専用機「CURRENCY QA」を紹介し、技術の優位性をアピールしています。
2018年7月26日から31日までの6日間、東京ビッグサイトにおいて開催された国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展「IGAS2018」にて、新製品4機種(「H-UV L (LED)」搭載A全判反転機構付8色オフセット枚葉印刷機「LITHRONE G37P」、「H-UV」搭載A全判4色オフセット枚葉印刷機「LITHRONE G37」、プログラム油圧クランプ大型断裁システム「Apressia(アプリシア) CTX132」、ハイパフォーマンス ブランキング システム「Apressia MB110」)を含む10台の機器を展示しました。これらすべての機器をソリューションクラウド「KP-Connect」でつなぐことによって、ブース全体を印刷工場に見立てたスマートファクトリーを再現し、工場全体の動きが一元管理される優位性を来場者にご覧いただきました。
また、2018年10月12日には、当社つくばプラント・KGC(小森グラフィックテクノロジーセンター)において、「Autumn Fair 2018」を開催しました。この内覧会では「H-UV L (LED)」搭載菊全判両面8色オフセット枚葉印刷機「LITHRONE GX40RP」を用いて、複数のジョブをワンマン操作でノンストップ生産する「オートパイロット」の実演を行いました。ジョブ切り替えでは、切り替え制御システム「パラレルメイクレディ」により①全色同時刷版交換装置「A-APC」の版交換、②ブランケット洗浄、③インキ設定の3つの作業を同時に処理し、作業時間の大幅削減をご確認いただきました。
2018年8月のニュースリリースでご案内の通り、40インチ枚葉ナノグラフィックプリンティングシステム「Impremia NS40」は2019年中のフィールドテストの実施に向けて開発が進んでいます。「Impremia NS40」は、最大紙サイズ750×1,050mmでありながら最高印刷速度6,500回転/時間という、優れた生産性を実現するデジタル印刷システムです。drupa2016に技術展示として発表してから3年が経過した現在、当社はLanda社とのライセンス契約に基づき、Nanography®技術をコアとして採用しつつ、信頼性の高い、安定した使いやすいシステムにすべく、当社独自の制御技術を盛り込んだ開発を進めています。
KOMORIグループのPE(プリンテッドエレクトロニクス)・精密機器事業を担うセリアコーポレーションは、2018年11月21日、22日の2日間、内覧会「2018 EXPO SERIA」をセリアエンジニアリング各務原工場にて開催し、モデルチェンジした新製品のプリント基板(PCB)向けCCD カメラ付き全自動印刷機「SFA-PC610CTN」のほか、真空コーター「SVM-6151IP」、縦型両面スクリーン印刷機「SSA-DSV650」を展示しました。また、各種消耗資材・機材及び製版では、電子部品、プリント基板製造等多岐にわたる製造プロセスでの連動、マッチングをテーマとした展示に加え、お客様の基幹システムと連携し、生産機械の稼働状況を「見える化」する生産管理システムもご提案しました。
KOMORIの提供する革新的乾燥システム「H-UV」シリーズが、2009年の発売以来、2019年1月で1,000台の受注を突破しました。優れた速乾性能により高付加価値印刷・パッケージ印刷にも威力を発揮するH-UVシステムは、小ロット・多品種・短納期化が進む昨今の印刷業界の急激な変化の中で、導入された多くのお客様から高い評価を得ています。近年ではLEDタイプであるH-UV L (LED) を開発し、さらなる省電力化、印刷効率の向上、メンテナンスの負担軽減などの要求に応えています。
KOMORIは、当社標準のインキ「K-サプライインキ」など、H-UVシステムに最適な消耗資材を「K-サプライ」として一括して提供することで、品質維持、トラブル解決、コスト低減までをサポートする体制を整えています。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、