文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、高い「経営品質」による「顧客感動創造活動」を通じて、世界中のお客様に感動していただける製品とサービスを提供し続けることにより、社会文化の発展に寄与していくことを基本理念としております。
また、株主の皆様やお客様をはじめ、取引先、地域社会、社員とその家族など、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えるとともに、共存共栄を図ることを行動指針として活動しております。
(2) 会社の対処すべき課題及び中期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
当連結会計年度において当社グループは、新型コロナウイルス感染症の急拡大に伴う世界的な経済活動の低迷への緊急対策として第6次中期経営計画の骨子を着実に推進しながらも「緊急事業体質強化策」に取り組みました。その基本方針は、「キャッシュポジションの維持」、業務の抜本的な見直しを含む「働き方改革」と、その成果としての「コストの削減」とし、全事業基盤強化を強力に推進した結果、計画を上回るコスト削減を達成いたしました。また、足元の状況は、低迷した機械販売も、地域ごとにバラつきはあるものの総じて需要は回復に向かっております。
今後の印刷産業は、各国が推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)により、出版関係や商業印刷分野での印刷物は減少が予測されるものの、高付加価値印刷やパッケージ印刷の需要は、日本や欧米の先進国でも堅調に推移することが予測され、その成長エンジンは中国を中心とするアジア地域にあります。また、持続可能な社会の実現に向けた「SDGs」の取り組みが重要視される中で、プラスチック容器から紙器への見直し気運が高まっており、パッケージ印刷拡大の後押しになるものと予測しております。
現在、当社グループの最大の課題はアフターコロナをどのように対処していくかであります。コロナ禍をきっかけに印刷会社では、主に先進国において印刷工場の再編・集約などの動きが活発になり、その中で、生産性・収益性の向上、人材不足対応、環境対応、印刷生産プロセスのデジタル化等のニーズが高まっております。急激な社会・経済環境の変化において、生産性をいかに上げ、利益を創出するかという印刷業界の課題がコロナ禍の市場環境下でより鮮明になったと言えます。これらの課題に対し当社グループは、「Connected Automation(コネクテッド・オートメーション)」コンセプトのもと世界最高クラスのROIを提供するオフセット印刷機「LITHRONE GX/G advance」シリーズを2020年8月に発表するとともに、ソリューションクラウド「KP-Connect」との組み合わせにより、印刷工場のスマート・ファクトリー化を中心とするソリューション提案への転換による製品・サービスの高付加価値化を進め収益改善を図っております。
このような市場環境において、当社グループは「収益性の向上+成長事業の基盤づくり」をテーマとした第6次中期経営計画に対して、コロナ禍で明確になった課題を考慮し、実行施策と経営数値目標を後掲のとおり見直したうえで、2023年に迎える創業100周年にまい進してまいります。
① 事業役割の明確化と、目的達成に向けた施策の着実な実行
a. コア事業(オフセット印刷機・証券印刷機)の収益性向上
ⅰ) パッケージ市場、アジア市場及びコネクテッド・オートメーションへの集中投資
ⅱ) 海外向け証券印刷機での差別化戦略推進と、サービス事業の強化による収益安定化推進
ⅲ) 顧客ROI向上を軸とした製品ポジショニング見直しによる競争力向上
ⅳ) 製品仕様の標準化とモジュール設計及びユニット生産体制の構築によるマスカスタマイゼーションの
実現と持続的な競争優位の確立
b. DPS(デジタル印刷システム)事業の収益化及びリカーリングインカムの確立と拡大
ⅰ) 小森独自のビジネスモデル(オフセット+DPS)を活用したデジタル機販売力強化
ⅱ) KP-Connectを核とした「コネクテッド・オートメーション」の実現
ⅲ) 40インチ枚葉ナノグラフィックプリンティングシステム「Impremia NS40」の市場投入
と事業化
ⅳ) デジタル機累計設置台数増加に伴うリカーリングインカムの拡大と事業収益の安定化
c. PE(プリンテッドエレクトロニクス)事業の将来に向けた布石
ⅰ) 中国市場での製造・販売体制の強化
ⅱ) プリント基板/電子部品市場における差別化商品の開発・投入
ⅲ) 高精細実装技術の商品化(Flexible Hybrid ElectronicsのIoT需要の対応)
d. PESP事業及びリカーリングインカムの推進
ⅰ) 資材・機材販売、DPSのインキ/保守費等の安定収益事業の拡大
② 中期経営計画の実行体制
a. 収益責任を明確にした組織運営とアメーバ経営推進による収益改善
b. 労働生産性向上に資する働き方改革の実行
③ 最適資本構成の構築
a. 財務健全性を維持し、資金調達能力とリスク対応資金を確保
b. 資本効率を意識した経営
c. 安定配当を重視しつつ総還元性向80%以上(特別損益は別途考慮)
④ 2024年3月期の経営数値目標
a. 売上高 : 1,100 億円
b. 営業利益 : 77 億円
c. 営業利益率 : 7.0%
d. ROE: 5.3%
*前提為替レート : 1US ドル=105 円 1 ユーロ= 120 円
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスク
① オフセット印刷市場が縮小するリスク
当社グループは、これまで出版、商業印刷向けオフセット印刷機を主軸に事業を展開してきましたが、印刷業界は、インターネットや電子書籍の浸透によって、特に日本・欧米では書籍、商業印刷の需要が縮小しており、商業印刷向けオフセット印刷機の売上が減少してきております。今後、インターネットの普及による電子媒体の増加が新興国を含め世界的に急速に浸透することによって書籍、商業印刷の需要がさらに縮小した場合には、出版、商業印刷向けオフセット印刷機の需要も縮小し、当社グループのオフセット印刷事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、厚紙(加飾、医薬、中間箱)、段ボール、ラベル、軟包装等といったパッケージ市場は持続的に成長していることから、パッケージ印刷はこれからも成長が見込まれます。当社グループは、今後、オフセット印刷事業の主力分野を商業印刷からパッケージ印刷市場への対応を強化し、製品戦略としてROIを軸とした製品ポジショニングの見直しによる競争力向上と生産体制の再構築を行い、差別化商品の市場投入、ブランド認知度の向上、ソリューション提案による領域の拡大等の施策を行ってまいります。
② 欧米の海外現地法人の収益力が弱体化するリスク
現地法人では、インターネット等の普及による電子媒体の増加に伴い、販売主力機である商業印刷向けオフセット印刷機の需要が減少傾向にあり、収益力が弱体化する可能性があります。
そのため、オフセット印刷機の入れ替え需要の獲得、部品販売や保守サービスの推進、さらに資材及び機材販売の強化に乗り出しておリます。また、商業印刷向けオフセット印刷機の需要は漸次減少しつつも、一定の入れ替え需要は存在しております。しかしながら、印刷会社においてコスト競争力の強化が必須になっており、印刷工程の省力化、スキルフリー化が求められております。その対策として、当社グループが開発したKP-ConnectやDPSを活用し、印刷会社のリカーリングインカムの増大を構築すべく工程最適化ソリューションの提案による商機拡大を図ってまいります。
③ 製品の品質クレームにより損害が生じるリスク
当社グループが製造・販売する製品に販売、製造、サービスに起因する製品の品質クレームが発生した場合は、補修等の損失や損害賠償による損失が発生し、さらには信用問題とともにブランドが毀損する可能性があります。
そのため、当社グループは、「顧客視点」の総合的な品質管理として知覚品質管理を実施しております。この知覚品質管理は、「ブランド管理」を軸にし、「総合製品品質管理」、「顧客対応品質管理」、「見栄え品質管理」を行っており、顧客視点での品質保証体制を整備しております。また、グローバルCRMを活用したサービスケースの迅速な対応を体制強化してまいります。
④ 情報セキュリティの侵害に係るリスク
情報セキュリティが侵害され、情報漏洩、データの破壊や改ざん、業務やサービスの停止等の被害が発生した場合、当社グループの業績に影響を与えるのみならず、当社グループへの信用失墜に繋がる可能性があります。
そのため当社グループは、情報セキュリティの推進に係るポリシーを「情報セキュリティ基準」や具体的な利用・運用ルールの要領として定めるとともに、推進組織としてITセキュリティ委員会を設置し、国内外グループ会社を含めセキュリティ体制の構築、維持、整備を行っております。当連結会計年度においては、セキュリティ会社の診断サービスを利用してセキュリティの強化に加え、従業員が日々の業務に潜む情報セキュリティリスクに対して適切な対応が行えるよう継続的な啓蒙活動を実施しております。今後も、セキュリティの弱点を見出し、リスク事案が発生した場合の初動対応を含め必要な対策を講じるとともに、定期的な診断を受けることで対策に漏れを生じさせないための体制を強化してまいります。
(2) 新規事業に関するリスク
① デジタル印刷事業の拡大が停滞するリスク
印刷業界では、印刷物の多品種少量化・短納期化への移行が進んでいます。そのため、オフセット印刷機のオンデマンド印刷への対応を図る一方、多品種で極少量の印刷やバリアブル印刷を得意とするデジタル印刷機事業に参入しております。コニカミノルタ社と共同開発したB2サイズの最新鋭のデジタル印刷機を国内外に販売し、B1サイズの次世代デジタル印刷機「Impremia NS40」の販売も開始いたしました。さらに、当社グループは、デジタル印刷機の商品力の強化を狙い、ユーザーインの思想で現状の性能課題、競合優位、さらなる性能向上について中期的な取り組みに着手しております。
しかしながら、デジタル印刷機における競合の技術革新や新規参入、開発計画の遅延、印刷会社のニーズの変化が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 財務に関するリスク
① 為替レート変動によるリスク
当社グループの主要な海外市場は、欧州、北米、中国を含むアジアであり、海外売上比率は全体の60%前後となっております。円以外の主要な取引通貨はドル、ユーロであり、為替変動の影響を受けやすい構造となっており、急激な円高は売上高、利益の減少等収益に影響を与えます。
為替レート変動によるリスクを軽減するため、当社グループは原材料や部品の海外調達や、一部製品の海外生産を実施しております。また、円契約を優先するほか、先物為替予約等でヘッジすることにより短期のリスクの合理的な軽減を図っております。しかしながら、大幅な変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② のれんの減損が顕在化するリスク
当社グループは、主に印刷需要が伸びている新興国市場でのシェア拡大を目的として企業買収を行っております。この企業買収に伴い、のれんを計上しておりますが、買収後の事業が計画に対して実績が下回るなどにより、その乖離が継続して生じた場合は、のれんの減損損失の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、企業買収に当たりましては、企業価値算定、投下資金の回収見込み、買収金額の妥当性、リスク等について取締役会で十分な審議を行った上で意思決定を行っております。また買収後は出向者を派遣して事業に関与するなど管理体制を整え、リスクの軽減に努めております。
③ たな卸資産の過多によりキャッシュ・フローが悪化するリスク
当社グループが販売予測の前提条件と実績の乖離により過剰な製品在庫を生じさせた場合は、生産調整にとどまらずキャッシュ・フローを悪化させる可能性があります。
そのため、過剰な製品在庫を生じさせない対策として、適正在庫の全社目標を設定するとともに、関係会社毎に売上水準に合わせた在庫目標を設定しております。さらに売上の平準化、仕掛品の削減、リードタイム短縮等に取り組んでおります。また、長期の製品在庫が生じやすい海外現地法人には製品在庫を必要としない施策について検討・推進してまいります。
(4) 災害等によるリスク
① 製造拠点の集中に係るリスク
当社グループの主要製造拠点であるつくばプラント及び製造子会社において、地震や竜巻等自然災害が発生した場合には、製造設備の破損、サプライチェーンの機能麻痺等が発生し、操業停止等の事態に陥り,当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
直下型地震対策については「事業継続計画(BCP)」の策定、「首都圏直下型地震発生時リスクマネジメント」(地震対策マニュアル)の社員への配布、防災訓練などの対策を講じています。また、サプライチェーンについては、東日本地域のサプライヤーだけでなく、西日本や海外のサプライヤーとの取引拡大などの対策を講じています。
② 新型コロナウイルス感染の拡大により事業活動が停滞するリスク
当社グループは、当社及び国内外子会社で構成され、印刷機械の製造販売を主な事業内容とし、また印刷に関連する資材・機材の供給を行っております。生産体制は日本を中心に欧州及び中華圏で行っており、販売体制は、海外の現地法人を展開し、グローバルな体制を敷いております。そのため、国内を含め、全世界的に深刻な影響を及ぼしている新型コロナウィルス感染症の大流行(パンデミック)により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、刻々と変化する状況や錯綜する情報を集約しつつ、事態の進行状況に応じて、下記のような対策を国内外のグループ会社も含め、迅速に実行しております。
・海外赴任者対応、海外渡航の制限・基準の設定と禁止指示
・国内外の搬入前立会及び現地搬入のリモート化推進
・業務停滞に係る影響分析(顧客に対する影響や自社収益に係る影響)
・状況に応じた販売、生産、サービス活動の調整
・代替調達先の確保等サプライチェーン対策
・テレワーク、時差出勤業務の特定と迅速な実施
・リモートワークによる業務標準化の推進と、それに伴う資源供給とサポート強化
・従業員の労務・健康管理、会社示達等の迅速な情報伝達 など
また、収束期に入った段階においても、想定し得るリスクをとらえ、その軽減を図りながら企業活動への悪影響を最小限にとどめる方法を検討し実施してまいります。
(1)経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響を受け、先行き不透明な状況が続きました。中華圏では感染症の抑え込みによる経済の回復が見られたものの、それ以外の地域では第2波、第3波の感染拡大が発生しています。ワクチン接種が始まり、感染の収束が期待されますが、地域ごとの進捗に差があることから時間を要するものと思われます。我が国の経済は、輸出の増加により製造業の回復が見える一方で、感染症拡大防止のための入国制限でインバウンド消費がほぼゼロとなったほか、飲食・イベント・旅行関連などの個人消費が低迷しました。
印刷機械の需要動向は、欧州においては、感染症が収束と拡大を繰り返し、設備投資が中止や延期されるなどにより落ち込みました。インドやアセアンを含むその他の地域では感染症対策による移動制限が続き、オフセット印刷機で需要が減少したほか、証券印刷機でも搬入が延期されるなどの影響を受けました。日本においても、経済活動の低迷により商業印刷物の減少を受け、オフセット印刷機の需要が落込んだ一方で、リモートワークの増加による電子デバイスや5G関連電子機器の需要増加を受け、PE(プリンテッドエレクトロニクス)事業では売上高が増加しました。また、他の地域に先駆けて経済活動が再開された中華圏は、自動化・省力化を目的とした受注が好調で、順調に回復しております。さらに、米国では大規模な経済対策が決定されたことや、ワクチン接種の浸透による期待感から受注高と売上高の回復傾向が見られました。
当社は2023年に迎える創業100周年を見据えた5カ年の第6次中期経営計画を2019年11月に発表しましたが、このような市場環境において、急激に落ち込んだ収益を改善するため、緊急事業体質強化策を優先して実施しました。需要の停滞で増加した在庫水準の適正化や、働き方改革による業務の効率化、並びに販売管理費の徹底的な見直し等により費用の削減を実行しました。また、顧客及び当社従業員の感染リスク低減のため、リモートによる商談や顧客サポートを推進しました。さらに、展示会の延期や、内覧会の規模縮小などの感染症対策実施により対面での販促活動が制限されましたが、動画配信サイトやホームページでの情報の発信を強化し、顧客の関心が高い「機器導入の好事例」、「印刷のトラブルシューティング」や「安定的に使うためのメンテナンス」などの情報提供に努めました。
さらに、第6次中期経営計画で表明しておりました具体的施策についても順次実施しております。コア事業であるオフセット事業では収益力強化のため、世界最高クラスの「ROI(投資収益率)」を顧客に提供する目的で開発した「advance(アドバンス)」モデルの市場投入と適用機種拡大を進めております。また、DPS事業では大型の40インチ枚葉ナノグラフィックプリンティングシステム「Impremia(インプレミア)NS40」のフィールドテストの評価と商品化を進めました。
以上の結果、当連結会計年度における受注高は71,658百万円(前期比19.1%減少)となり、売上高は、71,825百万円(前期比7.5%減少)となりました。費用面では、売上原価率は前期とほぼ同等であった一方で、販売費及び一般管理費は新型コロナウイルス感染症の影響による旅費交通費等の減少、収益改善のための緊急事業体質強化による人件費・その他経費の抑制等により前期に比べ減少しました。その結果、営業損益は2,332百万円の損失(前連結会計年度は3,404百万円の損失)となりました。経常損益は、為替レートの良化による為替差益が発生した影響もあり、1,149百万円の損失(前連結会計年度は3,480百万円の損失)となりました。税金等調整前当期純損益は、負ののれん発生益を901百万円計上した一方で、固定資産の減損損失を1,187百万円計上した影響等により、1,522百万円の損失(前連結会計年度は21,176百万円の損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、2,068百万円の損失(前連結会計年度は25,473百万円の損失)となりました。
また、海外売上高は42,151百万円(前期比13.3%減少)で、売上高に占める割合は58.7%となりました。
地域別連結売上高の概況は以下のとおりです。
日本市場では、経済活動の低迷により、商業印刷物が減少しオフセット印刷機への投資が慎重となりました。一方でリモートワークの増加による電子デバイスや5G関連電子機器の需要増加を受けPE(プリンテッドエレクトロニクス)事業では需要が増加したため、売上高は前連結会計年度比2.1%増加の29,673百万円となりました。
北米市場は、受注高で前期を上回り、売上高では第3四半期以降に増加傾向が見られましたが、第2四半期までの落ち込みが大きく、前連結会計年度比8.8%減少の5,374百万円となりました。
欧州市場では、夏場に回復が見られましたが、秋以降新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波の影響を受けております。一方で、印刷後加工機器を製造販売するMBOグループを2020年4月に子会社化し、第1四半期連結会計期間から連結の範囲に含めております。これにより、売上高は前連結会計年度比3.8%増加の12,768百万円となりました。
中華圏市場は、他の地域に先駆けて経済活動の回復により自動化・省力化を目的とした設備投資が好調で前期比で受注高が増加しております。一方で売上高も第3四半期以降に順調な伸びを見せているものの、第2四半期までの出遅れにより、売上高は前連結会計年度比14.9%減少の13,600百万円となりました。
その他地域はアセアン・インド・オセアニア・中南米を含んでおります。売上高は新型コロナウイルス感染症の影響が長引くインドを中心として各国で落ち込み、前連結会計年度比27.8%減少の10,408百万円となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
a. 日本
セグメントの「日本」には、日本の国内売上と、日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上が計上されております。同代理店地域には、香港・台湾を除くアジア(中国本土の一部、アセアン等)と中南米等が含まれております。上記記載のそれぞれの地域での業績を反映した結果、セグメントの「日本」の売上高は55,990百万円(前連結会計年度比9,521百万円の減少)となり、セグメント損失は1,734百万円(前連結会計年度は2,921百万円の損失)となりました。
b. 北米
セグメントの「北米」には、米国の販売子会社の売上が計上されております。地域別売上の概況で述べました北米の状況の結果、セグメントの「北米」の売上高は5,392百万円(前連結会計年度比553百万円の減少)となり、セグメント損失は506百万円(前連結会計年度は547百万円の損失)となりました。
c. 欧州
セグメントの「欧州」には、欧州の販売子会社、欧州の紙器印刷機械製造販売子会社及び印刷後加工機器製造販売子会社の企業集団の売上が計上されております。地域別売上の概況で述べました欧州の状況の結果、セグメントの「欧州」の売上高は13,297百万円(前連結会計年度比668百万円の増加)となり、セグメント損失は466百万円(前連結会計年度は143百万円の利益)となりました。
d. 中華圏
セグメントの「中華圏」には、香港、中国深圳市、台湾の販売子会社及び中国南通市の印刷機械装置製造販売子会社の売上が計上されております。地域別売上の概況で述べました中華圏の状況の結果、セグメントの「中華圏」の売上高は10,474百万円(前連結会計年度比1,192百万円の減少)となり、セグメント損失は395百万円(前連結会計年度は91百万円の損失)となりました。
e. その他
「その他」には、インド、シンガポール及びマレーシアの販売子会社の売上が計上されております。地域別売上の概況で述べましたその他地域の状況の結果、売上高は1,404百万円(前連結会計年度比1,158百万円の減少)となり、セグメント損失は23百万円(前連結会計年度は2百万円の利益)となりました。
当社グループの財政状態については、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,746百万円増加して144,443百万円(前連結会計年度比6.4%増加)となりました。資産の主な増加要因は、現金及び預金の増加19,471百万円、投資有価証券の増加1,723百万円等であります。主な減少要因はたな卸資産の減少4,588百万円、有価証券の減少4,310百万円等であります。
(負債及び純資産)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ8,989百万円増加して46,707百万円(前連結会計年度比23.8%増加)となりました。負債の主な増加要因は、社債の増加10,000百万円等であります。主な減少要因は、電子記録債務の減少3,800百万円等であります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ243百万円減少して97,736百万円(前連結会計年度比0.2%減少)となりました。純資産の主な減少要因は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上及び配当金の支払等による利益剰余金の減少3,305百万円等であります。主な増加要因は、その他有価証券評価差額金の増加1,331百万円等であります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の72.2%から67.6%(前連結会計年度比4.6%減少)となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の1,750.80円から1,746.55円(前連結会計年度比4.25円の減少)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ15,734百万円増加し、54,321百万円(前連結会計年度比40.8%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が1,807百万円の資金増加であったのに対し、当連結会計年度は前連結会計年度に比べ6,367百万円増加し、8,174百万円の資金増加となりました。資金増加の主な内訳は、たな卸資産の減少額7,575百万円、売上債権の減少額3,425百万円、減価償却費の戻入額1,604百万円等であり、資金減少の主な内訳は、仕入債務の減少額4,300百万円、税金等調整前当期純損失1,522百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が3,569百万円の資金減少であったのに対し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ1,348百万円減少幅が縮小し、2,220百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,067百万円、有形及び無形固定資産の純増額1,132百万円等であり、資金増加の主な内訳は、有価証券の純減額599百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が5,057百万円の資金減少であったのに対し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ14,345百万円増加し、9,288百万円の資金増加となりました。資金増加の主な内訳は社債の発行による収入10,000百万円等であり、資金減少の主な内訳は、配当金の支払額1,120百万円、リース債務の返済による支出364百万円等であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は平均販売価格で表示しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 受注残高には、見込み受注分は含まれておりません。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等は、次のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ5,821百万円減少し71,825百万円(前連結会計年度比7.5%減少)となりました。地域別売上高及びセグメント別の売上高に関する認識、分析及び検討内容につきましては、「(1)経営成績等の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
(営業費用、営業損益)
売上原価率は前期とほぼ同等であった一方で、販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症の影響による収益悪化に対応するため、緊急事業体質強化策を実施し、人件費・その他経費を抑制しました。また、感染症対策で移動の制限が実施されたことなどにより、搬入の延期や出張の減少、展示会の中止などの影響が発生し、販売費及び一般管理費が2,970百万円減少した結果、営業損益は2,332百万円の損失(前連結会計年度は3,404百万円の損失)となりました。
(営業外損益、経常損益)
経常損益は、営業利益段階での良化に加え、当連結会計年度は為替レートが好転したことにより為替差益が発生して営業外損益が良化したため、1,149百万円の損失(前連結会計年度は3,480百万円の損失)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益)
特別損益は、当連結会計年度においてMBOグループを連結の範囲に含めたことによる負ののれん発生益を901百万円計上した一方で、小型枚葉印刷機の販売不振により関連する固定資産の減損損失を1,187百万円計上しております。この結果、税金等調整前当期純損益は1,522百万円の損失(前連結会計年度は21,176百万円の損失)となり、親会社株主に帰属する当期純損益は、2,068百万円の損失(前連結会計年度は25,473百万円の損失)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「2 事業等のリスク」に記載した項目が挙げられますが、特に影響が大きい要因は次のとおりであります。
当社グループの総売上高に占めるオフセット印刷機事業の割合は大きく、景気動向や法律・規制の施行、税制等の変更などに起因するオフセット印刷機の需要環境変動が、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当連結会計年度のオフセット印刷機の需要環境は、新型コロナウイルス感染症の影響でその他の地域で大きく減少し、日本、欧州でも減少しました。世界最大の印刷機市場である中華圏は、前期に比べオフセット印刷機の売上高が減少しているものの新型コロナウイルス感染症の影響からいち早く回復し、上昇する人件費の抑制を目的とした省力化・高付加価値化を図る設備投資計画などにより受注は増加に転じています。DPS事業やPESP事業などの新規事業や、当連結会計年度より連結の範囲に含めたMBOグループの印刷後加工機器の事業を着実に拡大させて収益源の多様化・安定化を進展させることにより、オフセット印刷機事業の需要環境変動による経営成績への影響度低減を図ってまいります。
次に、当社グループの海外売上比率は全体の半分を超えており、かつ製造拠点が日本に集中していることから、為替変動の影響を受けやすい構造となっております。当社グループはこの為替変動リスクに対応すべく、先物為替予約で短期の変動リスクをヘッジする一方、部材などの海外調達比率を高め、また、一部製品の製造を海外生産子会社へ移管するなどにより為替エクスポージャーを低減する努力を続けております。
足元では、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展にともない、事業活動の正常化が進むと考えております。一方で、今後ともパンデミックを含む災害等による事業停滞リスクを低減させるべく、「2 事業等のリスク (4) 災害等によるリスク ② 新型コロナウイルス感染拡大により事業活動が停滞するリスク」に記載した対策を国内外のグループ会社も含め継続して実行してまいります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループは、経済・金融環境の変化に伴う需要変動リスクに備えて十分な手許流動性を確保することにより、安定した財務基盤の維持に努めております。運転資金及び事業投資資金については主として内部資金により調達しておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大に対応して財務運営の安定性を増すため、2020年10月に普通社債100億円を発行しております。今後の運転資金及び事業投資資金の需要については内部資金の範囲内と認識しておりますが、内部資金を超過する大型戦略投資資金が必要となる際には、借入金や社債により調達する可能性があります。なお、当社は格付け機関である格付投資情報センター(R&I)より長期格付けA-を取得しております。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
「日本」は、日本の国内売上と日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上が計上されております。同代理店地域には、香港・台湾を除くアジア(中国本土の一部、アセアン等)と中南米等が含まれております。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、売上高は55,990百万円(前連結会計年度比9,521百万円の減少)となり、また、セグメント損失は,1,734百万円(前連結会計年度は2,921百万円の損失)となりました。
「北米」は受注高で前連結会計年度を上回り、第3四半期より増加傾向が見られましたが、第2四半期までの落ち込みが大きく売上高は5,392百万円(前連結会計年度比553百万円の減少)となり、セグメント損失は506百万円(前連結会計年度は547百万円の損失)となりました。
「欧州」は夏場に回復傾向が見られたものの、秋以降新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波の影響を受けました。一方で、印刷後加工機器を製造販売するMBOグループを、2020年4月に子会社化し、第1四半期より連結の範囲に含めております。この結果、売上高は13,297百万円(前連結会計年度比668百万円の増加)となり、セグメント損失は466百万円(前連結会計年度は143百万円の利益)となりました。
「中華圏」には、香港、中国深圳市、台湾、及び中国南通市の印刷機械製造販売子会社の売上が計上されています。他のセグメントに先駆けて経済活動の回復が始まり、合理化を目的とした設備投資が好調で受注高が増加しております。一方で売上高も第3四半期以降に順調な伸びを見せているものの、第2四半期までの出遅れにより、売上高は10,474百万円(前連結会計年度比1,192百万円の減少)となりました。また、セグメント損失は395百万円(前連結会計年度は91百万円の損失)となりました。
「その他」は、主にインド、シンガポール、及びマレーシアの販売子会社売上が計上されています。各セグメントの中で新型コロナウイルス感染症の影響が一番大きく、売上高は1,404百万円(前連結会計年度比1,158百万円の減少)となり、セグメント損失は23百万円(前連結会計年度は2百万円の利益)となりました。
当社グループは、第6次中期経営計画において、第5次中期経営計画で確立した事業基盤を強化発展させることを狙いとしており、安定的に収益を確保するコア事業(オフセット印刷機械事業・証券印刷機械事業)の一層の強化を図るとともに、収益化を目指して投資する重点事業(DPS事業)、中長期的に育てていく新規(育成)事業(PE事業)の拡大に注力しております。また、2018年4月に子会社化したインドの販売会社や、2019年4月に子会社化した中国の販売会社によりアジア・中華圏において市場シェアを伸ばしていくとともに、2020年4月に子会社化したドイツの印刷後加工機器製造・販売会社であるMBOグループの事業とのシナジーにより、収益拡大効果がさらに高まるよう経営してまいります。
一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により、2019年11月に公表しておりました第6次中期経営計画に遅れが生じることが明らかになりましたので、2021年5月に経営目標数値を修正発表しております。今回の見直しで、骨子、実行計画の根本的な変更はありません。見直し後の中期経営計画については、「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標」に記載のとおりであり、経営上の目標達成を客観的に判断するため、最終年度である2024年3月期に達成すべき指標として売上高110,000百万円、営業利益7,700百万円、営業利益率7.0%及びROE5.3%を掲げており、持続的な企業価値向上を目指しています。2021年3月期については、新型コロナウイルス感染症の甚大な影響を受けて売上高71,825百万円、営業損失2,332百万円、営業利益率△3.2%及びROE△2.1%の実績でありますが、今後、第6次中期経営計画で計画している施策の実行と、経済環境が新型コロナウイルス感染症の影響から脱し正常化に転じることにより、最終年度において経営目標数値が達成されるものと考えております。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社は、2021年6月11日開催の取締役会において、当社が保有する関宿事業所の土地を売却することを決議するとともに、同日付で土地譲渡契約を締結しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。
研究開発は、当社グループの事業戦略において重要度の高い活動です。
・オフセット印刷の給排紙性能の大幅向上及び高い生産性と作業性の確保
・高い生産効率と収益性を持つナノグラフィックプリンティングシステムを用いたデジタル印刷機の開発
・革新的なPE(プリンテッドエレクトロニクス)技術の開発
上述に対して重点的に取り組み、それぞれにおいて高い成果を上げております。
当連結会計年度における当社グループの重要な研究開発成果は次のとおりであります。
1.「LITHRONE GX40RP/G40 advance」及び他advanceモデルのラインアップ
①用紙コントロールのエア制御技術の最適化②独自技術である給水コモリマチック装置の改良③新制御システムの採用やKP-Connectとの連携による自動ジョブ切替え等により『給排紙性能の大幅向上』『高生産性と安定性の両立』『イージーオペレーションと経験依存作業の極小化』を達成いたしました。
これらは、世界最高水準の「ROI(投資収益率)」を顧客に提供する目的で開発されたもので、「advance(アドバンス)」モデルとして商品化に成功いたしました。
これらの開発技術によって、「LITHRONE G44 advance」は、大判パッケージで非常に優れた生産効率を実現しているほか、マシンハンドリングに手がかからず多面付け生産品目の優位性が高いため、日本や中国、アジアを中心としたパッケージ印刷市場で再注目されており、今回advance機としてブラッシュアップされたことで、パッケージ印刷におけるKOMORI主力商品の一翼を担うモデルとなりました。
更に「LITHRONE GX44RP advance」では安定した紙搬送によるワンパス両面印刷を武器に、薄紙印刷から厚紙印刷まで高い生産性を発揮する技術性能を確立いたしました。
上記に加えオートパイロット機能や疑似特色再現技術スマートカラーといった最新技術も2020年10月の特別内覧会で披露しております。これらの最新技術と当社独自の印刷工程管理ソフトウエア、KP-Connect PROが連携することで、特色の色替え時間や資源及び作業性の大幅な改善が可能となっており、内覧会に参加頂いた印刷会社の皆様からも、その研究成果を高く評価頂くことができました。
2.40インチ枚葉ナノグラフィックプリンティングシステム「Impremia(インプレミア)NS40」及びその関連技術
これまで培ってきたKOMORIのデジタル印刷技術をベースに、画像転写ブランケットを用いる極めてユニークな構成により、プリントヘッドより射出された水性ナノインクが原反に染み込まず、高速でも乾燥が可能な上に、B1サイズ×6,500sphの印刷速度を実現した製品技術の開発に成功しております。
版替えや色替えが不要かつ1枚目から正紙が印刷できるため、多品種・小中ロットのジョブでも校正から本印刷、立ち会い時間を大幅に削減できるほか、6,500sphの印刷速度は、極めて広範囲かつ特色を多用する短納期ジョブにも対応が可能です。それに加えオフラインでの水性プレスコーティング、PP ラミネーション、合紙、打ち抜きや折りなどオフセット印刷と同じ後加工を行うことができるため、オフセット印刷機が苦戦する小中ロットのジョブでも、高い生産性と収益性を発揮いたします。
また、高生産性維持のため、見当調整やノズル欠補正の効率化を目指しインライン品質管理装置のデジタル機ver.『PQA-D』をリリースし、ナノグラフィックプリンティングシステムを用いたデジタル印刷機の世界においても印刷品質の自動補正技術の確立に向け、開発を進めております。
3.直径30µm(ピッチ60µm)のマイクロはんだボール搭載技術
当社グループのPE(プリンテッドエレクトロニクス)・精密機器事業を担う株式会社セリアコーポレーションは、グラビアオフセット法を用い直径30µm(ピッチ60µm)のマイクロはんだボール搭載技術を世界で初めて確立いたしました。
従来は、はんだボールを搭載する電極上にフラックスペーストに利用していたスクリーン印刷の印刷位置精度に課題があり、直径45μm(ピッチ90μm)が技術的限界でした。そこでこの問題を解決するために、グラビアオフセット法を採用することで本技術の開発に成功しております。
この開発はシェア1位のボール搭載機メーカーであるアスリートFA株式会社と共同で行ったものであり、株式会社セリアコーポレーションは狭ピッチを可能にするフラックスペーストの微細印刷工程を担当し、ボール搭載から検査/リペア工程をアスリートFA株式会社が担当いたしました。
ボール搭載の実証実験は顧客(半導体ファウンドリ)の実生産サイズである直径12inch(約300mm)のシリコンウェハーで行っております。シリコンウェハー上には500万から1,000万個の電極が正確に配置されており、この電極上に±5μm以下の高精度で印刷することを実現いたしました。現在の研究室テスト装置による歩留まりは、約30ppm(1,000万個のうち不良300個)程度に収まっており、今後、高精度の正規製品を用いて生産技術を追い込むことにより、更に良化が出来ると見込んおります。
この開発成果は、『日経ものづくり』『電子デバイス産業新聞』にて単独の記事が掲載されるなど、対外的にも画期的であると高く評価されている技術であり、株式会社セリアコーポレーションでは、サンプルやテストなどの依頼を随時受け付けているほか、対応するグラビアオフセット機の受注も開始いたしました。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、