文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、高い「経営品質」による「顧客感動創造活動」を通じて、世界中のお客様に感動していただける製品とサービスを提供し続けることにより、社会文化の発展に寄与していくことを基本理念としております。
また、株主の皆様やお客様をはじめ、取引先、地域社会、社員とその家族など、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えるとともに、共存共栄を図ることを行動指針として活動しております。
(2) 会社の対処すべき課題及び中期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
印刷機械販売の需要動向は、先進国を中心に取り組みが進むDX(デジタルトランスフォーメーション)により、出版関係や商業印刷分野での印刷物は減少が予測されるものの、高付加価値印刷やパッケージ印刷の需要は、日本や欧米の先進国でも堅調に推移することが予測されております。また、昨今の資材供給難や材料費・物流費・人件費の高騰は印刷産業にも影響を及ぼしており、印刷業界では生産性向上の取り組みがより一層求められております。
このような事業環境の中、当社グループは引き続き第6次中期経営計画のテーマである「収益性の向上+成長事業の基盤づくり」を確実に実行してまいります。第6次中期経営計画の骨子と目標としている経営指標は以下のとおりです。
① 事業役割の明確化と、目的達成に向けた施策の着実な実行
a. コア事業(オフセット印刷機・証券印刷機)の収益性向上
ⅰ) パッケージ市場、アジア市場及びコネクテッド・オートメーションへの集中投資
ⅱ) 海外向け証券印刷機での差別化戦略推進と、サービス事業の強化による収益安定化推進
ⅲ) 顧客ROI向上を軸とした製品ポジショニング見直しによる競争力向上
ⅳ) 製品仕様の標準化とモジュール設計及びユニット生産体制の構築によるマスカスタマイゼーションの
実現と持続的な競争優位の確立
b. DPS(デジタル印刷システム)事業の収益化及びリカーリングインカムの確立と拡大
ⅰ) 小森独自のビジネスモデル(オフセット+DPS)を活用したデジタル機販売力強化
ⅱ) KP-Connectを核とした「コネクテッド・オートメーション」の実現
ⅲ) 40インチ枚葉ナノグラフィックプリンティングシステム「Impremia NS40」の市場投入と事業化
ⅳ) デジタル印刷システム累計設置台数増加に伴うリカーリングインカムの拡大と事業収益の安定化
c. PE(プリンテッドエレクトロニクス)事業の将来に向けた布石
ⅰ) 中国市場での製造・販売体制の強化
ⅱ) プリント基板/電子部品市場における差別化商品の開発・投入
ⅲ) 高精細実装技術の商品化(Flexible Hybrid ElectronicsのIoT需要の対応)
d. PESP事業及びリカーリングインカムの推進
ⅰ) 資材・機材販売、DPSのインキ/保守費等の安定収益事業の拡大
② 中期経営計画の実行体制
a. 収益責任を明確にした組織運営とアメーバ経営推進による収益改善
b. 労働生産性向上に資する働き方改革の実行
③ 最適資本構成の構築
a. 財務健全性を維持し、資金調達能力とリスク対応資金を確保
b. 資本効率を意識した経営
c. 安定配当を重視しつつ総還元性向80%以上(特別損益は別途考慮)
④ 2024年3月期の経営数値目標
a. 売上高 : 1,100 億円
b. 営業利益 : 77 億円
c. 営業利益率 : 7.0%
d. ROE: 5.3%
*前提為替レート : 1US ドル=105 円 1 ユーロ= 120 円
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスク
① オフセット印刷市場が縮小するリスク
当社グループは、これまで出版、商業印刷向けオフセット印刷機を主軸に事業を展開してきましたが、印刷業界は、インターネットや電子書籍の浸透によって、特に欧米・日本では書籍、商業印刷の需要が縮小しており、商業印刷向けオフセット印刷機の売上高が減少してきております。今後、インターネットの普及による電子媒体の増加が新興国を含め世界的に急速に浸透することによって書籍、商業印刷の需要がさらに縮小した場合には、出版、商業用印刷向けオフセット印刷機の需要も縮小し、当社グループのオフセット印刷事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、厚紙(加飾、医薬、中間箱)、段ボール、ラベル、軟包装等といったパッケージ市場は持続的に成長していることから、パッケージ印刷はこれからも成長が見込まれます。当社グループは、今後、オフセット印刷事業の主力分野を商業印刷からパッケージ印刷市場への対応を強化し、製品戦略としてROIを軸とした製品ポジショニングの見直しによる競争力向上と生産体制の再構築を行い、差別化商品の市場投入、ブランド認知度の向上、ソリューション提案による領域の拡大等の施策を行ってまいります。
② 欧米の海外現地法人の収益力が弱体化するリスク
現地法人では、インターネット等の普及による電子媒体の増加に伴い、販売主力機である商業印刷向けオフセット印刷機の需要が減少傾向にあり、収益力が弱体化する可能性があります。
そのため、オフセット印刷機の入れ替え需要の獲得、部品販売や保守サービスの推進、さらに資材及び機材販売の強化に乗り出しておリます。また、商業印刷向けオフセット印刷機の需要は漸次減少しつつも、一定の入れ替え需要は存在しております。しかしながら、印刷会社においてコスト競争力の強化が必須になっており、印刷工程の省力化、スキルフリー化が求められております。その対策として、当社グループが開発したKP-ConnectやDPSを活用し、印刷会社のリカーリングインカムの増大を構築すべく工程最適化ソリューションの提案による商機拡大を図ってまいります。
③ 電子部品等供給リスク
電子部品等の供給不足が引き起こす生産ラインの不安定稼働とそれに伴う納期遅延は、供給のひっ迫と需要の拡大などの複数の要因(米国と中国の経済摩擦・新型コロナウイルス感染症の拡大と収束・サプライチェーンの混乱と輸送コストの急騰・新規需要の拡大など)が複雑に絡み合った結果と捉えております。この状況が解消されずに継続した場合、当社グループの財政状態及び経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
このような状況への対策として、電子部品や一般市販部品メーカーとの連携強化を図り、先々の使用量を提示してロット発注や適正な在庫確保に努めてまいります。また、電子部品や一般市販部品の代替可能な部品を選定し、同種部品の2社以上の調達先確保を前提に、発注先メーカーの新規開拓の促進を図ってまいります。
④ 製品の品質クレームにより損害が生じるリスク
当社グループが製造・販売する製品に販売、製造、サービスに起因する製品の品質クレームが発生した場合は、補修等の損失や損害賠償による損失が発生し、さらには信用問題とともにブランドが毀損する可能性があります。
そのため、当社グループは、「顧客視点」の総合的な品質管理として知覚品質管理を実施しております。この知覚品質管理は、「ブランド管理」を軸にし、「総合製品品質管理」、「顧客対応品質管理」、「見栄え品質管理」を行っており、顧客視点での品質保証体制を整備しております。また、グローバルCRMを活用したサービスケースの迅速な対応を体制強化してまいります。
⑤ 情報セキュリティの侵害に係るリスク
情報セキュリティが侵害され、情報漏洩、データの破壊や改ざん、業務やサービスの停止等の被害が発生した場合、当社グループの業績に影響を与えるのみならず、当社グループへの信用失墜に繋がる可能性があります。
そのため当社グループは、情報セキュリティの推進に係るポリシーを「情報セキュリティ基準」や具体的な利用・運用ルールの要領として定めるとともに、推進組織としてITセキュリティ委員会を設置し、国内外グループ会社を含めセキュリティ体制の構築、維持、整備を行っております。また、定期的な脆弱性診断やリスクアセスメントを実施する事により、リスクを早期に発見し、対策を講じる体制を構築しております。
今後も脅威動向の変化を捉え、サイバーセキュリティ対策への取り組みを継続してまいります。
(2) 新規事業に関するリスク
① デジタル印刷事業の拡大が停滞するリスク
印刷業界では高性能・高生産なデジタル印刷機に対する需要は根強く、当社グループとしては引き続きプロユースのデジタル印刷機の商品化に取り組んでまいります。
コニカミノルタ社と共同開発の上で製品展開を行っておりますB2サイズのデジタル印刷機「Impremia IS29」については、初期の技術課題に関して一定の改善が図られ製品の完成度が向上しています。また、B2サイズのデジタル機については市場に登場してから約10年が経過していることより、競合他社より次世代機の開発計画が示され更には同市場への新規参入を表明するメーカーもあることから当社グループも次の製品に向けた製品改良、新規開発の必要性に基づく開発投資が発生する可能性があります。
また、B1サイズの次世代デジタル印刷機「Impremia NS40」については高い品質基準が求められており、さらなる性能向上について中期的な取り組みに着手しております。
(3) 財務に関するリスク
① 為替レート変動によるリスク
当社グループの主要な海外市場は、欧州、北米、中国を含むアジアであり、海外売上高比率は全体の60%超となっております。円以外の主要な取引通貨はドル、ユーロであり、為替変動の影響を受けやすい構造となっており、想定為替レートに対し急激な円高が発生した場合は売上高、利益の減少等収益に影響を与えます。
為替レート変動によるリスクを軽減するため、当社グループは原材料や部品の海外調達や、一部製品の海外生産を実施しております。また、円建て契約を優先するほか、先物為替予約等でヘッジすることにより短期のリスクの合理的な軽減を図っております。しかしながら、大幅な変動が生じた場合には、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② のれんの減損が顕在化するリスク
当社グループは、印刷需要が伸びている新興国市場でのシェア拡大を目的とした企業買収を行っております。この企業買収に伴い、のれんを計上しておりますが、買収後の事業が計画に対して実績が下回るなどにより、その乖離が継続して生じた場合は、のれんの減損損失の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、企業買収に当たりましては、企業価値算定、投下資金の回収見込み、買収金額の妥当性、リスク等について取締役会で十分な審議を行った上で意思決定を行っております。また買収後は出向者の派遣並びに連携の強化などを通じて、管理及び事業の推進体制を整え、リスクの軽減に努めております。
③ 棚卸資産の過多によりキャッシュ・フローが悪化するリスク
当社グループが販売予測の前提条件と実績の乖離により過剰な製品在庫を生じさせた場合は、生産調整にとどまらずキャッシュ・フローを悪化させる可能性があります。
そのため、過剰な製品在庫を生じさせない対策として、適正在庫の全社目標を設定するとともに、関係会社毎に売上水準に合わせた在庫目標を設定し、月次で乖離を管理しております。一方で、昨今の電子部品等の供給リスクに対しては、中長期的な販売予測を元に部品毎に適正在庫量を設定することで、棚卸資産の管理と安定供給生産の両立を目指してまいります。
(4) 災害等によるリスク
① 製造拠点の集中に係るリスク
当社グループの主要製造拠点であるつくばプラント及び製造子会社において、地震や竜巻等自然災害が発生した場合には、製造設備の破損、サプライチェーンの機能麻痺等が発生し、操業停止等の事態に陥り、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、サプライチェーンについては、東日本地域のサプライヤーだけでなく、西日本や海外のサプライヤーとの取引拡大などの対策を講じています。今後は、適正な部品在庫を確保するために発注方法の見直しを検討・計画し対策を講じていく予定です。
直下型地震対策については「事業継続計画(BCP)」の策定、「首都圏直下型地震発生時リスクマネジメント」(地震対策マニュアル)の社員への配布、防災訓練(コロナ禍の中においては、リモート防災訓練)などの対策を講じています。
② 新型コロナウイルス感染の拡大により事業活動が停滞するリスク
当社グループは、当社及び国内外子会社で構成され、印刷機械の製造販売を主な事業内容とし、また印刷に関連する資材・機材の供給を行っております。生産体制は一部の製品を除き一括して日本で行っておりますが、販売体制は、海外の現地法人を展開し、グローバルな体制を敷いております。そのため、国内を含め、全世界的に深刻な影響を及ぼしている今回の新型コロナウイルス感染症の大流行(パンデミック)により、当社グループの財政状態及び経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
そのため、刻々と変化する状況や錯綜する情報を集約しつつ、事態の進行状況に応じて、下記のような対策を国内外のグループ会社も含め、迅速に実行しております。
・海外赴任者対応、海外渡航時の制限・基準の設定と現地医療体制、感染状況に応じた指示の徹底
・海外渡航者に対する、ワクチンパスポート取得の推奨
・国内外の搬入前立会及び現地搬入のリモート化推進
・製造拠点間への訪問は許可制とし必要最小限に抑制
・海外渡航者、全従業員とその家族、お客様、協力企業を対象に職域接種を迅速かつ計画的に実施
・PCR、抗原検査キットを備蓄し感染懸念のある従業員に対する自主検査の実施
・業務停滞に係る影響分析(顧客に対する影響や自社収益に係る影響)
・状況に応じた販売、生産、サービス活動の調整
・代替調達先の確保等サプライチェーン対策
・リモートワーク、時差出勤業務の特定と迅速な実施
・リモートワークによる業務標準化の推進と、それに伴う資源供給とサポート強化
・従業員の労務・健康管理、会社示達「全従業員に対する行動基準の徹底」等の迅速な情報伝達 など
また、収束期に入った段階においても、想定し得るリスクをとらえ、その軽減を図りながら企業活動への悪影響を最小限にとどめる方法を検討し実施してまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対する各国の財政政策やワクチン接種の普及により景気回復が緩やかに継続しました。一方、当連結会計年度後半では経済活動再開による物流の混乱や素材の高騰に加え、需要回復に伴う半導体をはじめとする部品の供給不足などが発生し、経済活動への負の影響が見られました。また、各国の金融引き締め等に起因する為替の変動や、地政学的な不安定要素があり、世界経済は先行き不透明な状況が続いています。
印刷機械の市場動向は、日本においては枚葉印刷機を中心に需要の回復がみられ、また、PE(プリンテッドエレクトロニクス)事業でも電子部品関連市場の好調さにより、需要が増加しました。いち早く新型コロナウイルス感染症の影響から回復した中華圏では、前連結会計年度からの好調さを維持し、2021年6月に北京で開催された展示会「China Print (チャイナプリント)2021」でもパッケージ機を含む大型機への注目が高く、需要の旺盛さを確認することができました。この結果、中華圏の売上高は、過去5年で最大の金額となりました。北米においても前第4四半期連結会計期間より回復傾向を見せていた需要が好調さを維持しており、順調に売上高を増やしました。欧州では西欧諸国を中心に需要が回復しており大きな売上高の伸びを見せました。この欧州市場での売上高増には、印刷後工程の折機等を製造販売しているドイツのMBOグループについて当連結会計年度に実施した会計期間の調整の影響も含まれています。アセアンやインドを含むその他の地域では、新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、当連結会計年度前半では回復が大きく出遅れていましたが、後半では需要が回復し売上高も好転しました。
このような市場環境において、コア事業であるオフセット事業では、世界最高クラスの「ROI(投資収益率)」を顧客に提供する目的で開発した「advance(アドバンス)」モデルの世界展開を進めました。同モデルは印刷業界においても喫緊の課題となっている人手不足への対応として、イージーオペレーションで高い生産性と印刷品質を実現し、さらに、印刷前工程や後工程と製造情報が連携されたスマートファクトリーを実現するクラウドソリューションである「KP-Connect(KP-コネクト)」との連携性を強化しており、市場での高い評価を得ております。また、顧客に様々なソリューションを提供するPESP(プリントエンジニアリングサービスプロバイダー)事業を拡充するため子会社化したMBOグループとは、連結子会社化したことによるシナジー効果を発揮するために、欧州・米国・中国の既存組織との融合を進めており、「China Print 2021」においても連携した販促活動を行うなどその成果をアピールしました。
以上の結果、当連結会計年度における受注高は97,571百万円(前連結会計年度比36.2%増加)となり、売上高は、87,623百万円(前連結会計年度比22.0%増加)となりました。費用面では、生産高の増加等により売上原価率は前連結会計年度に比べ改善しました。販売費及び一般管理費は、売上高増加に伴う販売出荷費等の増加、また、MBOグループについて前連結会計年度は8ヶ月の費用を取り込んだのに対し、当連結会計年度は15ヶ月の費用を取り込んだ影響等により前連結会計年度に比べ増加となりました。その結果、営業損益は2,267百万円の利益(前連結会計年度は2,332百万円の損失)となりました。経常損益は、為替レートの良化による為替差益が発生した影響もあり、3,408百万円の利益(前連結会計年度は1,149百万円の損失)となりました。税金等調整前当期純損益は、事業体質強化策の一環で事業所統合による効率化を推進しており、その結果発生した固定資産売却益等により、6,990百万円の利益(前連結会計年度は1,522百万円の損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、6,158百万円の利益(前連結会計年度は2,068百万円の損失)となりました。
また、海外売上高は63,635百万円(前連結会計年度比50.9%増)で、売上高に占める割合は72.6%となりました。
地域別連結売上高の概況は以下のとおりです。
日本市場では枚葉印刷機を中心に受注の回復がみられ、また、PE(プリンテッドエレクトロニクス)でも電子部品関連市場の好調さもあり、受注高が増加しました。一方、売上高は受注から売上までタイムラグがあることと、前連結会計年度は輪転印刷機の更新需要が大きかったことからその反動減もあり、前連結会計年度比19.2%減少の23,988百万円となりました。
北米市場では、アフターコロナの景気回復を背景に投資需要が活発で、受注高は各四半期で前年同期を上回る状態が継続しました。この結果、通期の売上高は前連結会計年度比47.2%増加の7,912百万円となりました。
欧州市場では、西欧諸国を中心に需要が回復しており大きな売上高の伸びを見せました。この欧州市場での売上高増には、印刷後工程の折機等を製造販売しているドイツのMBOグループについて当連結会計年度に実施した会計期間の調整の影響も含まれています。これにより売上高は前連結会計年度比60.3%増加の20,464百万円となりました。
いち早く新型コロナウイルス感染症の影響から回復した中華圏市場では、前連結会計年度からの好調さを維持し、2021年6月に開催された展示会「China Print 2021」でもパッケージ機を含む大型機への注目が高く、当連結会計年度においても需要の旺盛さを確認することができました。この結果、売上高は前連結会計年度比52.8%増加の20,776百万円となりました。
アセアンやインドを含むその他の地域では、新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、当連結会計年度前半では回復が大きく出遅れていましたが、当連結会計年度後半では需要が回復し売上高も好転しました。この結果、売上高は前連結会計年度比39.1%増加の14,481百万円となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
a. 日本
セグメントの「日本」には、日本の国内売上高と、日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上高が計上されております。同代理店地域には、香港・台湾を除くアジア(中国本土の一部、アセアン等)と中南米等が含まれております。上記記載のそれぞれの地域での業績を反映した結果、セグメントの「日本」の売上高は63,873百万円(前連結会計年度比7,883百万円の増加)となり、セグメント利益は284百万円(前連結会計年度は1,734百万円の損失)となりました。
b. 北米
セグメントの「北米」には、米国の販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました北米の状況の結果、セグメントの「北米」の売上高は7,929百万円(前連結会計年度比2,537百万円の増加)となり、セグメント利益は1,141百万円(前連結会計年度は506百万円の損失)となりました。
c. 欧州
セグメントの「欧州」には、欧州の販売子会社、欧州の紙器印刷機械製造販売子会社及び印刷後加工機器製造販売子会社の企業集団の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました欧州の状況の結果、セグメントの「欧州」の売上高は21,216百万円(前連結会計年度比7,918百万円の増加)となり、セグメント利益は703百万円(前連結会計年度は466百万円の損失)となりました。
d. 中華圏
セグメントの「中華圏」には、香港、深圳市、台湾の販売子会社及び中国南通市の印刷機械装置製造販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました中華圏の状況の結果、セグメントの「中華圏」の売上高は14,992百万円(前連結会計年度比4,517百万円の増加)となり、セグメント利益は216百万円(前連結会計年度は395百万円の損失)となりました。
e. その他
「その他」には、インド、シンガポール及びマレーシアの販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べましたその他地域の状況の結果、売上高は2,223百万円(前連結会計年度比818百万円の増加)となり、セグメント利益は96百万円(前連結会計年度は23百万円の損失)となりました。
当社グループの財政状態については、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ12,637百万円増加して157,081百万円(前連結会計年度比8.7%増加)となりました。資産の主な増加要因は、有価証券の増加7,110百万円、現金及び預金の増加1,421百万円等であります。主な減少要因は繰延税金資産の減少343百万円、土地の減少325百万円等であります。
(負債及び純資産)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6,991百万円増加して53,698百万円(前連結会計年度比15.0%増加)となりました。負債の主な増加要因は、契約負債と前受金の合計(前連結会計年度末は前受金)の増加3,296百万円等であります。主な減少要因は、繰延税金負債の減少216百万円等であります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,646百万円増加して103,382百万円(前連結会計年度比5.8%増加)となりました。純資産の主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益及び配当金支払い等の利益剰余金の増加4,681百万円等であります。主な減少要因は、自己株式の増加998百万円等であります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の67.6%から65.8%(前連結会計年度比1.8%減少)となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の1,746.55円から1,894.34円(前連結会計年度比147.79円の増加)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ5,999百万円増加し、60,321百万円(前連結会計年度比11.0%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が8,174百万円の資金増加であったのに対し、当連結会計年度は前連結会計年度に比べ1,107百万円増加し、9,281百万円の資金増加となりました。資金増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益6,990百万円、仕入債務の増加額2,950百万円、売上債権の減少額1,616百万円、減価償却費の戻入額1,877百万円等であり、資金減少の主な内訳は、固定資産売却損益3,686百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が2,220百万円の資金減少であったのに対し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ840百万円減少幅が縮小し、1,379百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、有価証券の純増減2,484百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出1,922百万円、保険積立金の積立による支出1,120百万円等であり、資金増加の主な内訳は、有形及び無形固定資産の売却による収入4,111百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が9,288百万円の資金増加であったのに対し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ12,228百万円減少し、2,940百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、配当金の支払額1,402百万円、自己株式の取得による支出998百万円等であり、資金増加の主な内訳は、長期借入による収入104百万円であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 金額は平均販売価格で表示しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 受注残高には、見込み受注分は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等は、次のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ15,798百万円増加し87,623百万円(前連結会計年度比22.0%増加)となりました。地域別売上高及びセグメント別の売上高に関する認識、分析及び検討内容につきましては、「(1)経営成績等の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
(営業費用、営業損益)
売上原価率は生産高の増加等により前連結会計年度に比べ改善し、販売費及び一般管理費は、売上高増加に伴う販売出荷費の増加、またMBOグループについて前連結会計年度は8ヶ月の費用を取り込んだのに対し、当連結会計年度は15ヶ月の費用を取り込んだ影響等により前連結会計年度に比べ増加となりました。その結果、営業損益は2,267百万円の利益(前連結会計年度は2,332百万円の損失)となりました。
(営業外損益、経常損益)
経常損益は、為替レートの良化による為替差益が発生した影響等もあり、3,408百万円の利益(前連結会計年度は1,149百万円の損失)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益)
特別利益は、事業体質強化策の一環で事業所統合による効率化を推進した結果、税金等調整前当期純損益は6,990百万円の利益(前連結会計年度は1,522百万円の損失)となり、親会社株主に帰属する当期純損益は、6,158百万円の利益(前連結会計年度は2,068百万円の損失)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「2 事業等のリスク」に記載した項目が挙げられますが、特に影響が大きい要因は次のとおりであります。
当社グループの総売上高に占めるオフセット印刷機事業の割合は大きく、景気動向や法律・規制の施行、税制等の変更などに起因するオフセット印刷機の需要環境変動が、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当連結会計年度のオフセット印刷機の需要環境は、新型コロナウイルス感染症に対する各国での財政政策やワクチン接種の普及により緩やかに景気が回復したことを受け改善しました。また、ROIを軸とした製品ポジショニングを見直した効果が徐々に浸透しており、受注の増加につながっています。一方で、今後インターネットの普及による電子媒体の増加が新興国を含め世界的に急速に浸透することによって書籍、商業印刷の需要がさらに縮小した場合には、出版、商業用印刷向けオフセット印刷機の需要も縮小し、当社グループのオフセット印刷事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。製品戦略としてROIを軸とした製品ポジショニングの見直しによる競争力向上と差別化商品の市場投入を実施するとともに、DPS事業やPESP事業などの新規事業や、前連結会計年度より連結の範囲に含めたMBOグループの印刷後加工機器の事業とのシナジー効果を拡大し収益源の多様化・安定化を進展させることにより、オフセット印刷機事業の需要環境変動による経営成績への影響度低減を図ってまいります。
次に、当社グループの海外売上高比率は全体の60%を超えており、かつ製造拠点が日本に集中していることから、為替変動の影響を受けやすい構造となっております。当社グループはこの為替変動リスクに対応すべく、先物為替予約で短期の変動リスクをヘッジする一方、部材などの海外調達比率を高め、また、一部製品の製造を海外生産子会社へ移管するなどにより為替エクスポージャーを低減する努力を続けております。
足元では、経済の回復に伴う物流の混乱や、需要の急拡大による影響で、半導体不足をはじめとした電子部品供給のリスクが顕在化しています。電子部品や一般市販部品のメーカーとの連携強化を図り適正な在庫確保を図るとともに代替可能部品の選定など対策を進めてまいります。一方で、今後ともパンデミックを含む災害等による事業停滞リスクに備え、「2 事業等のリスク(4)災害等によるリスク ② 新型コロナウイルス感染の拡大により事業活動が停滞するリスク」に記載した対策を国内外のグループ会社も含めて継続して実行してまいります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループは、経済・金融環境の変化に伴う需要変動リスクに備えて十分な手許流動性を確保することにより、安定した財務基盤の維持に努めております。運転資金及び事業投資資金については主として内部資金により調達しておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大に対応して財務運営の安定性を増すため、2020年10月に普通社債100億円を発行しております。今後の運転資金及び事業投資資金の需要については内部資金の範囲内と認識しておりますが、内部資金を超過する大型戦略投資資金が必要となる際には、借入金や社債により調達する可能性があります。なお、当社は格付け機関である格付投資情報センター(R&I)より長期格付けA-を取得しております。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
「日本」は、日本の国内売上高と日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上高が計上されております。同代理店地域には、香港・台湾を除くアジア(中国本土の一部、アセアン等)と中南米等が含まれております。上記記載のそれぞれの地域での業績を反映した結果、セグメントの「日本」の売上高は63,873百万円(前連結会計年度比7,883百万円の増加)となり、また、セグメント利益は284百万円(前連結会計年度は1,734百万円の損失)となりました。
「北米」は前4四半期連結会計期間より回復傾向を見せていた需要が好調さを維持しており、売上高は7,929百万円(前連結会計年度比2,537百万円の増加)となり、セグメント利益は1,141百万円(前連結会計年度は506百万円の損失)となりました。
「欧州」は西欧諸国を中心に需要が回復しており、売上高は21,216百万円(前連結会計年度比7,918百万円の増加)となり、セグメント利益は703百万円(前連結会計年度は466百万円の損失)となりました。
「中華圏」には、香港、中国深圳市、台湾、及び中国南通市の印刷機械製造販売子会社の売上高が計上されています。前連結会計年度からの好調さを維持し、2021年6月に北京で開催された展示会「China Print 2021」でもパッケージ機を含む大型機への注目が高く、売上高は14,992百万円(前連結会計年度比4,517百万円の増加)となりました。また、セグメント利益は216百万円(前連結会計年度は395百万円の損失)となりました。
「その他」は、主にインド、シンガポール、及びマレーシアの販売子会社売上高が計上されています。新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、当連結会計年度前半では回復が大きく出遅れていましたが、後半では需要が回復し、売上高は2,223百万円(前連結会計年度比818百万円の増加)となり、セグメント利益は96百万円(前連結会計年度は23百万円の損失)となりました。
当社グループは、第6次中期経営計画において、第5次中期経営計画で確立した事業基盤を強化発展させることを狙いとしており、安定的に収益を確保するコア事業(オフセット印刷機械事業・証券印刷機械事業)の一層の強化を図るとともに、収益化を目指して投資する重点事業(DPS事業)、中長期的に育てていく新規(育成)事業(PE事業)の拡大に注力しております。また、業種・地域別の販売戦略を立案、実行するため、今回新たに欧州・米州・中華圏に新たに地域統括部門を設置し、お客様のニーズに沿った開発を推進してまいります。さらに営業の業態変革を推進し、お客様の稼働データからROI(投資利益率)を分析し提案する営業活動の展開をすすめ、これまで国内で進めてまいりました「KP-Connect」による稼働データの見える化と工程管理のDXソリューションを含むPESP(プリントエンジニアリングサービスプロバイダー)事業を海外市場に広げ、証印事業においても予防保全を提案するPESPへの取り組みを強化してまいります。一方、DPS(デジタル印刷システム)事業については大型の40インチ枚葉ナノグラフィックプリンティングシステム「Impremia(インプレミア)NS40」の市場投入と事業化に遅延が発生しておりますが、事業計画の見直しを行ってまいります。PE事業については電子部品市場の活況に伴い、パッケージ基板印刷向けに需要が増えておりますが、今後は競合商品との差異化に向けた全自動ラインを実現するシステム販売を推進してまいります。
中長期の経営計画の骨子については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標」に第6次中期経営計画について記載しており、持続的な企業価値向上を目指しています。2022年3月期については、新型コロナウイルス感染症の影響が残るものの売上高87,623百万円、営業利益2,267百万円、営業利益率2.6%まで回復し、また、事業所集約による効率化をすすめる過程で発生した、事業用土地の売却益の効果もありROEについては6.1%の実績となりました。今後とも、第6次中期経営計画の施策を推進し、最終年度である24年3月期に達成すべき経営指標として掲げている売上高110,000百万円、営業利益7,700百万円、営業利益率7.0%及びROE5.3%が達成されるよう努力してまいります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
研究開発は、当社グループの事業戦略において重要度の高い活動です。
当社グループは、事業戦略上重要な活動として次の研究開発活動に取り組み、それぞれにおいて高い成果を上げております。
1.オフセット印刷の生産性向上技術開発
2.紙幣印刷用番号機の関連技術開発
3.高い生産効率と収益性を持つナノグラフィックプリンティングシステムを用いたデジタル印刷機の開発
4.革新的なPE(プリンテッドエレクトロニクス)技術の開発
5.環境対応の要素技術開発
当連結会計年度における当社グループの重要な研究開発成果は次のとおりであります。
1.オフセット印刷の生産性向上技術
①湿し水装置の印刷適性を向上するため、独自技術である給水コモリマチック装置の改良をおこないました。②給排紙性能向上のため、用紙コントロールのエア制御技術の最適化を行いました。③高生産性と安定性の両立及びイージーオペレーションと経験依存作業の極小化のため、新制御システムの採用及び「KP-Connect(KP-コネクト)」との連携による自動ジョブ切替システムを開発しました。これらの成果は、世界最高水準の「ROI(投資収益率)」を顧客に提供する「advance(アドバンス)」モデルの量産販売の達成に実を結び、良好な市場評価を得ています。
高い品質と生産性が求められているパッケージ印刷業界において、頻度の多いニスコーティングプレート交換をスキルレスで迅速に実施できるインラインニスコーティング装置を実現するため、自動化と交換効率を追求した新たなニスコーティングプレート交換システムを開発しました。 また、パッケージ印刷の特色色合わせでは、試刷り前に適切なインキ被膜を形成する技術と、試刷り後に自動フィードバックで微調整を行う技術を開発し、試刷り回数や損紙増加を改善して生産性の向上を実現しました。
さらに、スマートカラーと名付けた疑似特色再現技術を開発し、2022年3月の特別内覧会で披露しました。この最新技術と当社グループ独自の印刷工程管理ソフトウエア、「KP-Connect PRO(プロ)」が連携することで、特色の色替え作業効率の大幅な改善が可能となり、内覧会に参加頂いた印刷会社の皆様からも、その研究開発成果を高く評価していただきました。
2.紙幣印刷用番号機の関連技術
商業印刷機で培ってきた最新の給排紙技術と、番号印刷前の印刷品質検査装置の性能向上や新たに採用した番号転換技術により印刷速度の向上を達成し、将来の新券仕様を見据えた番号印刷機の開発を進めています。
従来の番号印刷機では番号部字輪のみを自動転換していましたが、新モデルは記号部分を含めた全桁の自動転換機能を持ちます。これにより、従来以上に迅速かつ特殊な番号割付が可能となりました。また、印章印刷検査装置や番号印刷検査装置等のインライン品質管理やUVドライヤが搭載可能な高い拡張性があります。環境対応としては、従来の油圧駆動から空圧駆動化や、最新の省エネモータを採用しました。オペレーション面でも大型ディスプレイの採用による稼働モニタリングの視認性向上や、タッチパネルの採用による操作性向上を図りました。
3.高い生産効率と収益性を持つナノグラフィックプリンティングシステムを用いたデジタル印刷機
これまで培ってきたKOMORIのデジタル印刷技術をベースに、画像転写ブランケットを用いる極めてユニークな構成により、プリントヘッドより射出された水性ナノインクが原反に染み込まず、高速でも乾燥が可能な上に、B1サイズ×6,500sphの印刷速度を実現した製品技術の開発に成功しております。
当連結会計年度では、本刷り中のインクジェットヘッドにおけるインク吐出安定性技術を進化させることで、連続印刷性能を向上させました。
また、高生産性維持のために見当調整やインク吐出欠補正の効率化を目指しリリースしたインライン品質管理装置のデジタル機バージョンである『PQA-D』には、新たに本刷り中のインク吐出欠全数検知を追加するなど、ナノグラフィックプリンティングシステムを用いたデジタル印刷機の世界においても印刷品質の自動補正技術の確立に向け、開発を進めております。
4.革新的なPE(プリンテッドエレクトロニクス)技術
当社グループのPE(プリンテッドエレクトロニクス)・精密機器事業を担う株式会社セリアコーポレーションは、グラビアオフセット法を用いたBGA (Ball Grid Array) 向けマイクロはんだボール(直径30µm/ピッチ60µm)の搭載技術を世界で初めて確立しました。この技術を用いた半導体用途向け高精度グラビアオフセット印刷装置 PEPIOF12-SEの製品化を進めています。
マイクロLED用途に、はんだペーストのφ6μm/ピッチ30μm微細印刷技術の開発に成功しました。マーケットの反応調査のために、台湾ディスプレイ展示会2022 Tough Taiwan(4/27-4/29)にて技術公開しました。
また、フィルム基板用導電性ペースト乾燥工程向けに近赤外(NIR)光焼成技術を確立しました。従来はバッチオーブンで30分程度必要な焼成時間が3分以下に短縮でき、4~10層の印刷-乾燥に必要なデバイス製作タクトの大幅改善を可能にしました。
5.環境対応の要素技術
気候変動対策を主軸とした研究開発に積極的に取り組んでいます。
印刷機の紙搬送エア制御を最適化して省エネ化する技術や、紙搬送エアやモータからの廃熱量を低減して工場内の空調負荷を抑制する技術、静電気対策によって給排紙性能や印刷適性を向上させる技術等の要素技術開発を進めております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、