第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、高い「経営品質」による「顧客感動創造活動」を通じて、世界中のお客様に感動していただける製品とサービスを提供し続けることにより、社会文化の発展に寄与していくことを基本理念としております。

 また、株主の皆様やお客様をはじめ、取引先、地域社会、社員とその家族など、全てのステークホルダーの信頼と期待に応えるとともに、共存共栄を図ることを行動指針として活動しております。

 

(2) 会社の対処すべき課題及び中期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

  印刷機械販売の需要動向は、先進国を中心に取組みが進むDX(デジタルトランスフォーメーション)により、出版印刷分野や商業印刷分野での印刷物は減少が予測されるものの、高付加価値印刷やパッケージ印刷の需要は、堅調に推移することが予測されております。一方で、材料費・物流費・人件費及びエネルギー価格の高騰は引き続き印刷産業にも影響を及ぼしており、生産性向上の取組みがより一層求められております。

 このような事業環境の中、当社グループにとって第6次中期経営計画最終年であり創業100周年でもある2024年3月期は、製造・販売・技術・サービスの組織体制の連携強化を図り、中期経営計画の重要テーマである「収益性の向上+成長事業の基盤づくり」を実行してまいります。第6次中期経営計画の骨子と目標としている経営指標は以下のとおりです。

 

① 事業役割の明確化と、目的達成に向けた施策の着実な実行
 a. コア事業(オフセット印刷機・証券印刷機)の収益性向上
 ⅰ) パッケージ市場、アジア市場及びコネクテッド・オートメーションへの集中投資
 ⅱ) 海外向け証券印刷機での差別化戦略推進と、サービス事業の強化による収益安定化推進
 ⅲ) 顧客ROI向上を軸とした製品ポジショニング見直しによる競争力向上

 ⅳ) 製品仕様の標準化とモジュール設計及びユニット生産体制の構築によるマスカスタマイゼーションの

     実現と持続的な競争優位の確立

 b. DPS(デジタル印刷システム)事業の収益化及びリカーリングインカムの確立と拡大 

 ⅰ) 小森独自のビジネスモデル(オフセット+DPS)を活用したデジタル機販売力強化
 ⅱ) KP-Connectを核とした「コネクテッド・オートメーション」の実現

 ⅲ) 40インチ枚葉ナノグラフィックプリンティングシステム「Impremia NS40」の市場投入と事業化

 ⅳ) デジタル印刷システム累計設置台数増加に伴うリカーリングインカムの拡大と事業収益の安定化

 c. PE(プリンテッドエレクトロニクス)事業の将来に向けた布石 

 ⅰ) 中国市場での製造・販売体制の強化
 ⅱ) プリント基板/電子部品市場における差別化商品の開発・投入

 ⅲ) 高精細実装技術の商品化(Flexible Hybrid ElectronicsのIoT需要の対応) 

 d. PESP事業及びリカーリングインカムの推進 

 ⅰ) 資材・機材販売、DPSのインキ/保守費等の安定収益事業の拡大

 

② 中期経営計画の実行体制

 a. 収益責任を明確にした組織運営とアメーバ経営推進による収益改善
 b. 労働生産性向上に資する働き方改革の実行 

 

③ 最適資本構成の構築
 a. 財務健全性を維持し、資金調達能力とリスク対応資金を確保
 b. 資本効率を意識した経営
 c. 安定配当を重視しつつ総還元性向80%以上(特別損益は別途考慮)

 

④ 2024年3月期の経営数値目標
 a. 売上高 :   1,100 億円
 b. 営業利益 :    77 億円
 c. 営業利益率 :  7.0%
 d. ROE:       5.3%
*前提為替レート : 1US ドル=105 円  1 ユーロ= 120 円

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは次のとおりであります。

    なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、「顧客感動企業の実現」という企業理念に基づき、事業の進め方、ESG経営の2つの側面から6つのマテリアリティを抽出いたしました。その中で、「持続可能な環境・社会の実現」、「従業員エンゲージメントの向上」、「ステークホルダーの期待に応えるコーポレート・ガバナンスの強化」をESG経営におけるマテリアリティとして認識しております。

 

 (1) ガバナンス

当社グループは、経営の健全性及び透明性の向上を目的とするガバナンスの強化は重要な経営課題であると認識し、積極的に取り組んでおります。取組みの詳細については「第4. 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

 (2) 戦略

(気候変動に関する情報開示の取組み)

当社は、2022年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、気候変動が当社の事業経営に与える影響を「シナリオ分析」を用いて評価を行いました。シナリオ分析では、「国際エネルギー機関(IEA)」や「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」等の外部機関が公表している気候関連シナリオを参考に、2030年時点の気候変動による影響を定量・定性の両面で評価をしております。

これらの活動は統合報告書「KOMORI CORPORATION INTEGRATED REPORT 2022」 をご参照ください。

 

(人財の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略)

当社グループにおける、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針及び戦略は、以下のとおりであります。

 

・従業員エンゲージメントの向上

当社グループにとって全ての従業員は最も貴重な資産です。従業員が仕事や職場で体験するさまざまなことが積み重なって、当社グループの戦略や方向性に共感を持ち帰属意識や自発的な貢献意欲が刺激されるものと考えます。

当社グループが目指すのは「顧客感動企業」の実現です。常にお客様の声に耳を傾け、お客様の視点に立ったきめ細やかなサービスを心がけ、より良い解決策に沿った製品やソリューションを提供するためには、「エンゲージしている従業員」が不可欠です。さまざまな従業員の意識をしっかり理解し、従業員エンゲージメントの向上を通して企業価値の向上を実現させる取組みを続けています。

 

・小森流働き方改革の推進

「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」、「従業員の働き方へのニーズの多様化」などの課題に対応するための働き方改革は、当社においても喫緊の課題と考えており、全従業員のワークライフバランスの実現と労働生産性の向上を目指し、改革の3本柱「長時間労働の改善」、「労働意欲と能力を高める教育・人事制度」、「ダイバーシティの推進」を軸に「小森流働き方改革」に取り組んでいます。

 

《小森流働き方改革3本柱》

① 長時間労働の改善

全社的な課題である業務遂行力・組織推進力・業務効率を高める上で自律的な行動を促し、スピードある意思決定ができる会社

② 労働意欲と能力を高める教育・人事制度

「厳しくとも働きがいのある会社」を目指し、労働意欲と能力の高い社員を育成する人事制度(採用、処遇、評価、教育等)

③ ダイバーシティの推進

ダイバーシティが推進され、年齢、役職、性別、国籍を問わず多様な人財・働き方のスタイルや時間の使い方等が活用された会社

 

《働き方改革活動実績》

① 長時間労働の改善 

当社は、リモートワークなどの新たな働き方の確立に加え、時間単位年次有給休暇制度の導入、ITを活用した業務効率化を行っています。

② 労働意欲と能力を高める教育・人事制度

当社グループは、多様な人財一人ひとりが自律的に成長・活躍し続けられる組織を目指しています。そのために、社員それぞれのキャリア志向に応じた成長の場を提供するとともに、やる気を引き出すことで社員の成長と成果を高めたいと考えており、階層別教育の実施や人事制度の改定・運用の見直しに取り組んでいます。当社グループは、実力と自主性を重視し、何度でも挑戦できる仕組み・環境づくりを行っています。

③ ダイバーシティの推進

当社は、多様性の確保に向けて、「出産・育児関連支援制度の整備」、「女性従業員の活躍推進」、「シニア社員活躍による職場の活性化」を行っています。

 

これらの活動の詳細は統合報告書「KOMORI CORPORATION INTEGRATED REPORT 2022」 をご参照ください。

 

 (3) リスク管理

 当社では、「リスクマネジメント規程」に基づき、経営戦略や事業戦略に想定される様々なリスクについて、CSR委員会の下部組織である「リスクマネジメント委員会」を設置し、各本部のリスク担当者と連携して取り組んでおります。リスクの特定と評価に際しては気候関連を含む経営環境のあらゆる側面リスクを抽出した上で、リスクの発生頻度と影響度で評価を行っております。リスク管理の活動計画及び評価は各本部のリスク担当者が実行し、活動進捗についてはリスクマネジメント委員会で討議され、特に重要とされたリスクはCSR委員会及び取締役会に報告・協議されます。これらのプロセスを通して特定したリスクについては個別に担当部署を定め、対策及びその実行計画を検討しリスクの未然防止や発生時の影響緩和を図ることとしており、その活動についてはリスクマネジメント委員会により進捗及び対応状況の管理を行っております。

 

 

 (4) 指標及び目標

(人財の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標)

また、当社は、上記「(2)戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標は、次のとおりであります。

 

指標

目標

管理職に占める女性労働者の割合

2031年3月までに6%

男性労働者の育児休業取得率

2031年3月までに100%

 

(注)1.労働者の男女の賃金の差異については、上位役職者が少ないことが主な理由となっております。当社はこれを課題として認識し、引き続き、現在注力している女性の活躍を推進し、多様性の確保を図ってまいります。

2.管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境に関するリスク

 

① オフセット印刷市場が縮小するリスク 

 当社グループは、これまで出版、商業印刷向けオフセット印刷機を主軸に事業を展開してきましたが、印刷業界は、インターネットや電子書籍の浸透によって、特に欧米・日本では書籍、商業印刷の需要が縮小しており、商業印刷向けオフセット印刷機の売上高が減少してきております。今後、電子媒体の増加が新興国を含め世界的に急速に浸透することによって書籍、商業印刷の需要がさらに縮小した場合には、出版、商業用印刷向けオフセット印刷機の需要も縮小し、当社グループのオフセット印刷事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
 一方、厚紙(加飾、医薬、中間箱)、段ボール、ラベル、軟包装等といったパッケージ市場は持続的に成長していることから、パッケージ印刷はこれからも成長が見込まれます。当社グループは、今後、オフセット印刷事業の主力分野を商業印刷からパッケージ印刷市場への対応を強化し、製品戦略としてROIを軸とした製品ポジショニングの見直しによる競争力向上と生産体制の再構築を行い、差別化商品の市場投入、ブランド認知度の向上、ソリューション提案による領域の拡大等の施策を行ってまいります。

 

② 欧米の海外現地法人の収益力が弱体化するリスク

 現地法人では、電子媒体の増加に伴い、販売主力機である商業印刷向けオフセット印刷機の需要が減少傾向にあり、収益力が弱体化する可能性があります。
 そのため、オフセット印刷機の入れ替え需要の獲得、部品販売や保守サービスの推進、さらに資材及び機材販売の強化に乗り出しておリます。また、商業印刷向けオフセット印刷機の需要は漸次減少しつつも、一定の入れ替え需要は存在しております。しかしながら、印刷会社においてコスト競争力の強化が必須になっており、印刷工程の省力化、スキルフリー化が求められております。その対策として、当社グループが開発したKP-ConnectやDPSを活用し、リカーリングインカムの増大を構築すべく工程最適化ソリューションの提案による商機拡大を図ってまいります。

 

③ 電子部品等供給リスク

 電子部品等の供給不足が引き起こす生産ラインの不安定稼働とそれに伴う納期遅延は、供給のひっ迫と需要の拡大などの複数の要因(米国と中国の経済摩擦・新型コロナウイルス感染症の拡大と収束・サプライチェーンの混乱と輸送コストの急騰・新規需要の拡大など)が複雑に絡み合った結果と捉えております。この状況が解消されずに継続した場合、当社グループの財政状態及び経営成績が悪影響を受ける可能性があります。

 このような状況への対策として、電子部品や一般市販部品メーカーとの連携強化を図り、先々の使用量を提示してロット発注や適正な在庫確保に努めてまいります。また、電子部品や一般市販部品の代替可能な部品を選定し、同種部品の2社以上の調達先確保を前提に、発注先メーカーの新規開拓の促進を図ってまいります。

 

④ 製品の品質クレームにより損害が生じるリスク

 当社グループが製造・販売する製品に販売、製造、サービスに起因する製品の品質クレームが発生した場合は、補修等の損失や損害賠償による損失が発生し、さらには信用問題とともにブランドが毀損する可能性があります。
 そのため、当社グループは、「顧客視点」の総合的な品質管理として知覚品質管理を実施しております。この知覚品質管理は、「ブランド管理」を軸にし、「総合製品品質管理」、「顧客対応品質管理」、「見栄え品質管理」を行っており、顧客視点での品質保証体制を整備しております。また、グローバルCRMを活用したサービスケースの迅速な対応を体制強化してまいります。

 

 

⑤ 情報セキュリティの侵害に係るリスク

 情報セキュリティが侵害され、情報漏洩、データの破壊や改ざん、業務やサービスの停止等の被害が発生した場合、当社グループの業績に影響を与えるのみならず、当社グループへの信用失墜に繋がる可能性があります。
 そのため当社グループは、情報セキュリティの推進に係るポリシーを「情報セキュリティ基準」や具体的な利用・運用ルールの要領として定めるとともに、推進組織として情報セキュリティ委員会を設置し、国内外グループ会社を含めセキュリティ体制の構築、維持、整備を行っております。また、定期的な脆弱性診断やリスクアセスメントを実施することにより、リスクを早期に発見し、対策を講じる体制を構築しております。
 今後も脅威動向の変化を捉え、サイバーセキュリティ対策への取組みを継続してまいります。

 

 (2) 新規事業に関するリスク

 

① デジタル印刷事業の拡大が停滞するリスク

 印刷業界では印刷品質と生産性の両面において、デジタル印刷機に対する需要は根強く、当社グループとしては引き続きプロユースのデジタル印刷機の商品化に取り組んでまいります。
 コニカミノルタ社と共同開発の上で製品展開を行っておりますB2サイズのデジタル印刷機「Impremia IS29」については、初期の技術課題に関して一定の改善が図られ製品の完成度が向上しています。また、B2サイズのデジタル機については市場に登場してから約10年が経過していることより、競合他社より次世代機の開発計画が示され更には同市場への新規参入を表明するメーカーもあることから当社グループも次の製品に向けた製品改良、新規開発の必要性に基づく開発投資が発生する可能性があります。
 また、B1サイズの次世代デジタル印刷機「Impremia NS40」については高い品質基準が求められており、さらなる性能向上について中期的な取組みに着手しております。

 

 (3) 財務に関するリスク

 

① 為替レート変動によるリスク

 当社グループの主要な海外市場は、欧州、北米、中国を含むアジアであり、海外売上高比率は全体の60%超となっております。円以外の主要な取引通貨はドル、ユーロであり、為替変動の影響を受けやすい構造となっており、想定為替レートに対し急激な円高が発生した場合は売上高、利益の減少等収益に影響を与えます。
 為替レート変動によるリスクを軽減するため、当社グループは原材料や部品の海外調達や、一部製品の海外生産を実施しております。また、円建て契約を優先するほか、先物為替予約等でヘッジすることにより短期のリスクの合理的な軽減を図っております。しかしながら、大幅な変動が生じた場合には、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② のれんの減損が顕在化するリスク

 当社グループは、印刷需要が伸びている新興国市場でのシェア拡大を目的とした企業買収を行っております。この企業買収に伴い、のれんを計上しておりますが、買収後の事業が計画に対して実績が下回るなどにより、その乖離が継続して生じた場合は、のれんの減損損失の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループは、企業買収に当たりましては、企業価値算定、投下資金の回収見込み、買収金額の妥当性、リスク等について取締役会で十分な審議を行った上で意思決定を行っております。また買収後は出向者の派遣並びに連携の強化などを通じて、管理及び事業の推進体制を整え、リスクの軽減に努めております。 

 

 

③ 棚卸資産の過多によりキャッシュ・フローが悪化するリスク

 当社グループが販売予測の前提条件と実績の乖離により過剰な製品在庫を生じさせた場合は、生産調整にとどまらずキャッシュ・フローを悪化させる可能性があります。
 そのため、過剰な製品在庫を生じさせない対策として、適正在庫の全社目標を設定するとともに、関係会社毎に売上水準に合わせた在庫目標を設定し、月次で乖離を管理しております。一方で、昨今の電子部品等の供給リスクに対しては、中長期的な販売予測を元に部品毎に適正在庫量を設定することで、棚卸資産の管理と安定供給生産の両立を目指してまいります。

 

(4) 災害等によるリスク

 

  製造拠点の集中に係るリスク

 当社グループの主要製造拠点であるつくばプラント及び製造子会社において、地震や竜巻等自然災害が発生した場合には、製造設備の破損、サプライチェーンの機能麻痺等が発生し、操業停止等の事態に陥り、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、サプライチェーンについては、東日本地域のサプライヤーだけでなく、西日本や海外のサプライヤーとの取引拡大などの対策を講じています。今後は、適正な部品在庫を確保するために発注方法の見直しを検討・計画し対策を講じていく予定です。
 直下型地震対策については「事業継続計画(BCP)」の策定、「首都圏直下型地震発生時リスクマネジメント」(地震対策マニュアル)の社員への配布、防災訓練(コロナ禍の中においては、リモート防災訓練)などの対策を講じています。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症との共存による経済活動の正常化が進み景気回復が継続しました。一方、地政学リスクの長期化によるエネルギーコストの高止まりや需要回復に伴う半導体をはじめとする部品の供給不足に加え、各国の金融引き締めに起因する為替の変動などもあり、依然として先行き不透明な状況となっております。

 印刷機械の市場動向は、日本においてはエネルギーや印刷資材の価格上昇に加え、人手不足の影響を受け、生産性向上や効率化などの合理化投資を進める動きが続いております。ROI(投資収益率)提案を軸とした「advance(アドバンス)」モデルの販売促進効果により枚葉印刷機を中心に受注が好調で売上高の増加につながりました。また、PE(プリンテッドエレクトロニクス)事業でも半導体製造装置関連が好調で、売上高が増加しました。北米においては昨年来の回復傾向が続き、金利や物価の上昇があるものの需要が好調さを維持し前期並みの売上高となりました。欧州では地政学リスクやエネルギー価格高騰の影響を受けましたが、売上高はアフターコロナでの経済回復により西欧諸国を中心に伸びをみせました。中華圏では、期初から新型コロナウイルス感染症の再拡大とそれに伴うゼロコロナ政策から景気停滞の影響を色濃く受け、売上高は前期比で減少しました。一方で12月にはゼロコロナ政策の解除がなされ一時的な混乱が生じましたが、その後は回復傾向に転じています。前連結会計年度で回復の遅れたアセアンやインドを含むその他の地域でも、当連結会計年度では一転して需要が大きく回復し、インドを中心として売上高が拡大しました。

 以上の結果、当連結会計年度における受注高は97,361百万円前連結会計年度比0.2%減少)となり、売上高は、97,914百万円前連結会計年度比11.7%増加)となりました。売上原価率は、為替レートの変動等により、前期に比べ改善しました。販売費及び一般管理費は、前期に比べ、売上高増加に伴う販売出荷費等が増加したことや、11月に国際展示会が開催され広告宣伝費等が発生したことなどにより増加しました。その結果、営業利益は5,719百万円前連結会計年度は2,267百万円)となりました。経常利益は、6,611百万円前連結会計年度は3,408百万円)となりました。税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度が固定資産売却益等により、6,990百万円であったのに対し、6,604百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、5,716百万円前連結会計年度は6,158百万円)となりました。

 また、海外売上高は65,638百万円(前連結会計年度比3.1%増)で、売上高に占める割合は67.0%となりました。

 

 

 地域別連結売上高の概況は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度
(2021.4.1~2022.3.31)

当連結会計年度
(2022.4.1~2023.3.31)

増減率

(%)

売上高

87,623

97,914

+11.7

内 訳

日本

23,988

32,275

+34.5

北米

7,912

8,087

+2.2

欧州

20,464

22,549

+10.2

中華圏

20,776

17,637

△15.1

その他地域

14,481

17,362

+19.9

 

 

 日本市場では、枚葉印刷機を中心に合理化投資の動きが見られ、補助金による投資促進効果もあり第1四半期連結会計期間を中心に受注が回復しました。PE(プリンテッドエレクトロニクス)でも電子部品関連市場が好調で受注高が増加しました。売上高は、前連結会計年度の受注増と第1四半期連結会計期間の受注増が反映され、前連結会計年度比34.5%増加32,275百万円となりました。

 北米市場では、引き続きアフターコロナの景気回復を背景に投資需要が活発で、受注は前期を上回る状態が継続しました。受注が連結会計年度後半に集中したため、売上高は前連結会計年度比2.2%増加8,087百万円となりました。

 欧州市場では、印刷後加工機を製造販売しているドイツのMBO社については前連結会計年度に実施した会計期間の調整の影響で減少しましたが、全体では西欧諸国を中心に需要が回復しており引き続き売上高は伸びを見せました。これにより売上高は前連結会計年度比10.2%増加22,549百万円となりました。

 中華圏市場では前連結会計年度に新型コロナウイルス感染症の影響を脱して強い回復を見せましたが、当連結会計年度では一転して、新型コロナウイルス感染症の再拡大による停滞が見られました。売上高は第4四半期連結会計期間で回復を見せたものの、通期では前連結会計年度比15.1%減少17,637百万円となりました。

 アセアンやインドを含むその他の地域では、前連結会計年度では新型コロナウイルス感染症の影響が長引きましたが、当連結会計年度では枚葉印刷機の売上高が大きく回復しました。一方で証券印刷機の入札が延期になった影響を受け、その他の地域全体では受注の回復は緩やかになりました。この結果、売上高は前連結会計年度比19.9%増加17,362百万円となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 a. 日本

 セグメントの「日本」には、日本の国内売上高と、日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上高が計上されております。同代理店地域には、中華圏の一部を除くアジアと中南米等が含まれております。上記記載のそれぞれの地域での業績を反映した結果、セグメントの「日本」の売上高は76,010百万円前連結会計年度比12,137百万円の増加)となり、セグメント利益は5,251百万円前連結会計年度は284百万円)となりました。

 b. 北米

 セグメントの「北米」には、米国の販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました北米の状況の結果、セグメントの「北米」の売上高は8,049百万円前連結会計年度比119百万円の増加)となり、セグメント利益は230百万円前連結会計年度は1,141百万円)となりました。

 c. 欧州

 セグメントの「欧州」には、欧州の販売子会社、欧州の紙器印刷機械製造販売子会社及び印刷後加工機製造販売子会社の企業集団の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました欧州の状況の結果、セグメントの「欧州」の売上高は23,274百万円前連結会計年度比2,058百万円の増加)となり、セグメント利益は370百万円前連結会計年度は703百万円)となりました。

 

d. 中華圏

 セグメントの「中華圏」には、香港、中国深圳市、台湾の販売子会社及び中国南通市の印刷機械装置製造販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました中華圏の状況の結果、セグメントの「中華圏」の売上高は15,205百万円前連結会計年度比213百万円の増加)となり、セグメント損失は32百万円前連結会計年度は216百万円の利益)となりました。

 e. その他

 「その他」には、インド、シンガポール及びマレーシアの販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べましたその他地域の状況の結果、売上高は3,574百万円前連結会計年度比1,351百万円の増加)となり、セグメント利益は302百万円前連結会計年度は96百万円)となりました。

 

 当社グループの財政状態については、次のとおりであります。

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,441百万円増加して165,523百万円前連結会計年度比5.4%増加)となりました。資産の主な増加要因は、棚卸資産の増加5,021百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加2,133百万円等であります。主な減少要因は現金及び預金の減少653百万円等であります。

(負債及び純資産)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,691百万円増加して58,389百万円前連結会計年度比8.7%増加)となりました。負債の主な増加要因は、電子記録債務の増加3,307百万円支払手形及び買掛金の増加1,721百万円等であります。主な減少要因は短期借入金の減少473百万円繰延税金負債の減少459百万円等であります。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,750百万円増加して107,133百万円前連結会計年度比3.6%増加)となりました。純資産の主な増加要因は、自己株式の減少1,370百万円利益剰余金の増加1,276百万円為替換算調整勘定の増加1,024百万円等であります。主な減少要因は退職給付に係る調整累計額の減少661百万円であります。

 この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の65.8%から64.6%(前連結会計年度比1.2ポイント減少)となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の1,894.34円から1,961.88円(前連結会計年度比67.54円の増加)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ623百万円増加し、60,945百万円前連結会計年度比1.0%増)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が9,281百万円の資金増加であったのに比較し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ4,805百万円増加幅が縮小し、4,475百万円の資金増加となりました。資金増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益6,604百万円仕入債務の増加額4,713百万円減価償却費の戻入額1,895百万円等であり、資金減少の主な内訳は、棚卸資産の増加額4,169百万円売上債権の増加額3,153百万円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が1,379百万円の資金減少であったのに比較し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ853百万円減少幅が縮小し、526百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出1,713百万円等であり、資金増加の主な内訳は、有価証券の純増減850百万円、定期預金の払戻による収入533百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が2,940百万円の資金減少であったのに比較し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ1,137百万円減少幅が拡大し、4,077百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、配当金の支払額3,064百万円短期借入金の純減額513百万円リース債務の返済による支出358百万円等であります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.  生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

日本

71,138

+12.6

欧州

9,314

△9.5

中華圏

2,136

△8.1

合計

82,590

+9.0

 

(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2. 金額は平均販売価格で表示しております。

 

b.  受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

日本

46,431

△5.7

32,611

△9.3

北米

10,837

+32.9

4,896

+145.5

欧州

21,573

△6.2

9,820

△3.5

中華圏

12,100

△16.9

8,594

△4.8

その他

6,419

+146.0

3,670

+143.9

合計

97,361

△0.2

59,592

+1.6

 

(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2. 受注残高には、見込み受注分は含まれておりません。

 

c.  販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

日本

50,552

+15.8

北米

8,015

+1.3

欧州

22,549

+10.2

中華圏

13,478

△0.3

その他

3,318

+59.9

合計

97,914

+11.7

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営成績等は、次のとおりであります。

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ10,290百万円増加97,914百万円前連結会計年度比11.7%増加)となりました。地域別売上高及びセグメント別の売上高に関する認識、分析及び検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

(営業費用、営業利益)

 売上原価率は、為替レートの変動等により、前期に比べ改善しました。販売費及び一般管理費は、前期に比べ、売上高増加に伴う販売出荷費等が増加したことや、11月に国際展示会が開催され広告宣伝費等が発生したことなどにより増加しました。その結果、営業利益は5,719百万円前連結会計年度は2,267百万円)となりました。

(営業外損益、経常利益)

 経常利益は、上記営業利益と為替差益の影響により、6,611百万円前連結会計年度は3,408百万円)となりました。

(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度が固定資産売却益等により6,158百万円であったのに対し、5,716百万円となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「3 事業等のリスク」に記載した項目が挙げられますが、特に影響が大きい要因は次のとおりであります。

 当社グループの総売上高に占めるオフセット印刷機事業の割合は大きく、景気動向や法律・規制の施行、税制等の変更などに起因するオフセット印刷機の需要環境変動が、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当連結会計年度のオフセット印刷機の需要環境は、アフターコロナの経済活動活発化に伴い、地域によりばらつきはあるものの引き続き改善を見せました。一方で、電子媒体の増加が新興国を含め世界的に急速に浸透していますが、今後において人々の行動が変化して書籍、商業印刷の需要がさらに縮小した場合には、出版、商業用印刷向けオフセット印刷機の需要も縮小し、当社グループのオフセット印刷事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対応した製品戦略として、製品ポジショニングの見直しによる競争力向上と差別化商品の市場投入を実施するとともに、DPS事業やPESP事業などの新規事業や、MBOグループの印刷後加工機の事業とのシナジー効果を拡大し収益源の多様化・安定化を進めております。このように、オフセット印刷機事業以外の事業についても拡大を図ることにより、個別事業の需要環境変動が発生したとしても経営成績への影響度を低減できるように図ってまいります。

 次に、当社グループの海外売上高比率は全体の60%を超えており、かつ製造拠点が日本に集中していることから、為替変動の影響を受けやすい構造となっております。当社グループはこの為替変動リスクに対応すべく、円建て契約を優先するほか、先物為替予約で短期の変動リスクをヘッジする一方、部材などの海外調達比率を高め、また、一部製品の製造を海外生産子会社へ移管するなどにより為替エクスポージャーを低減する努力を続けております。

 足元では、経済の回復に伴う物流の混乱や、需要の急拡大による影響で、半導体不足をはじめとした電子部品供給のリスクが顕在化しています。電子部品や一般市販部品のメーカーとの連携強化を図り適正な在庫確保を図るとともに代替可能部品の選定など対策を進めてまいります。今後とも、「3 事業等のリスク(4)災害等によるリスク」に記載した適正な部品在庫を確保するための対策を講じて安定稼働に努めてまいります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループは、経済・金融環境の変化に伴う需要変動リスクに備えて十分な手許流動性を確保することにより、安定した財務基盤の維持に努めております。運転資金及び事業投資資金については主として内部資金により調達しておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大に対応して財務運営の安定性を増すため、2020年10月に普通社債100億円を発行しております。今後の運転資金及び事業投資資金の需要については内部資金の範囲内と認識しておりますが、内部資金を超過する大型戦略投資資金が必要となる際には、借入金や社債により調達する可能性があります。なお、当社は格付け機関である格付投資情報センター(R&I)より長期格付けA-を取得しております。

 

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 「日本」は、日本の国内売上高と日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上高が計上されております。同代理店地域には、香港・台湾を除くアジア(中国本土の一部、アセアン等)と中南米等が含まれております。上記記載のそれぞれの地域での業績を反映した結果、セグメントの「日本」の売上高は76,010百万円前連結会計年度比12,137百万円の増加)となり、セグメント利益は5,251百万円前連結会計年度は284百万円)となりました。

 「北米」は引き続きアフターコロナの景気回復を背景に投資需要が活発であり、売上高は8,049百万円前連結会計年度比119百万円の増加)となり、セグメント利益は230百万円前連結会計年度は1,141百万円)となりました。

 「欧州」は西欧諸国を中心に需要が回復しており、売上高は23,274百万円前連結会計年度比2,058百万円の増加)となり、セグメント利益は370百万円前連結会計年度は703百万円)となりました。

 「中華圏」には、香港、中国深圳市、台湾、及び中国南通市の印刷機械製造販売子会社の売上高が計上されています。新型コロナウイルス感染症の再拡大による停滞が見られ、売上高は第4四半期連結会計期間で回復を見せたものの通期の売上高は15,205百万円前連結会計年度比213百万円の増加)となり、セグメント損失は32百万円前連結会計年度は216百万円の利益)となりました。

 「その他」は、主にインド、シンガポール、及びマレーシアの販売子会社売上高が計上されています。前連結会計年度では新型コロナウイルス感染症の影響が長引きましたが、当連結会計年度では枚葉印刷機の売上高が大きく回復し、売上高は3,574百万円前連結会計年度比1,351百万円の増加)となり、セグメント利益は302百万円前連結会計年度は96百万円)となりました。

 当社グループは、製造・販売・技術・サービスの組織体制の連携強化を図り、第6次中期経営計画の重要テーマである「収益性の向上+成長事業の基盤づくり」を進めております。安定的に収益を確保するコア事業であるオフセット印刷事業・証券印刷事業では、機械販売とサービスの連携を強化し、スマートファクトリー構築による生産性の極大化や印刷コンサルタント保守契約などの提案を通じてソリューション販売の拡大に取り組んでまいります。重点事業であるDPS(デジタル印刷システム)事業では、高解像度の大型写真印刷や需要の高まるパッケージ印刷への取組みを強化しデジタル印刷での新たなアプリケーション開拓を進めてまいります。中長期的に育てていくPE(プリンテッドエレクトロニクス)事業では、要素技術開発から製造、販売まで一体となったマネジメント体制を強化し、事業の拡大に注力してまいります。

 中長期の経営計画の骨子については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標」に第6次中期経営計画について記載しており、持続的な企業価値向上を目指しています。2023年3月期については、アフターコロナでの設備投資回復と円安進行の好影響もあり売上高97,914百万円、営業利益5,719百万円、営業利益率5.8%で、ROEについては5.4%となり、2年連続で中期経営計画のROE目標を達成しました。一方で、最終年度である2024年3月期の業績見通しでは、エネルギー・原材料・人件費の高騰や想定為替レートの影響などにより、達成すべき経営指標として掲げている売上高110,000百万円、営業利益率7.0%及びROE5.3%には届かないと見込んでおります。引き続き第6次中期経営計画の各施策を実施することにより企業価値の向上を図ってまいります。

 

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

(1) 技術提携契約

 

契約会社名

相手先の名称

相手先の
所在地

契約
締結日

契約内容

契約期間

株式会社小森コーポレーション(当社)

ランダ社(LANDA
CORPORATION LIMITED)

イスラエル

2012年
4月27日

デジタル印刷技術のライセンス及び供給契約

契約締結日から
契約終了まで有効

 

 

(2) 販売提携契約

 

契約会社名

相手先
の名称

相手先の
所在地

契約
締結日

契約内容

契約期間

株式会社小森コーポレーション(当社)

コニカミノルタ株式会社

日本

2011年
12月2日

デジタル印刷機の販売提携

契約締結日から
契約解除まで有効

 

 

6 【研究開発活動】

 

 研究開発は、当社グループの事業戦略において重要度の高い活動です。

当社グループは、事業戦略上重要な活動として次の研究開発活動に取り組み、それぞれにおいて高い成果を上げております。

1.オフセット印刷の品質・生産性向上技術

2.紙幣印刷用番号機の関連技術開発

3.高い生産効率と収益性を持つナノグラフィックプリンティングシステムを用いたデジタル印刷機の開発

4.革新的なPE(プリンテッドエレクトロニクス)技術の開発

5.環境対応の要素技術開発

 

当連結会計年度における当社グループの重要な研究開発成果は次のとおりであります。

 

1.オフセット印刷の品質・生産性向上技術

印刷jobの自動化機能「オートパイロット」のオプションとして「インラインPDF照合」機能を開発しました。この機能は、刷版PDFデータと印刷物そのものの絵柄を照合することができ、オペレーターを絵柄照合作業から解放します。

反転機構付き高速両面オフセット印刷機「GLX-40P-advance(アドバンス)」を開発しました。従来機に比べ、最大紙サイズを拡大し、最高印刷速度と両面印刷時の表/裏見当精度を向上させることで、生産性と品質の向上を同時に達成しました。

 

2.紙幣印刷機の関連技術

商業印刷機で使われる最新技術を取り入れた新しい紙幣印刷機の開発を進めました。この印刷機は、印刷速度を向上させ生産性を高めると同時に、省エネモータ採用や各部給油レス化技術の採用により環境性能も高めました。また、凹版印刷工程用の検査装置では新たな検査アルゴリズムの開発に成功し、検査精度を大幅に向上させることができました。

 

3.ナノグラフィックプリンティングシステムを用いたデジタル印刷機

高い生産効率と収益性を持つ新しいデジタル印刷機の開発を進めております。特殊な画像転写ブランケットと水性ナノインクを採用することで、B1サイズ×6,500sphの印刷速度を実現しました。また、印刷品質の自動補正技術の確立に向け、デジタル印刷機向けインライン品質管理装置の開発も進めています。

 

4.革新的なPE(プリンテッドエレクトロニクス)技術

当社グループのPE(プリンテッドエレクトロニクス)・精密機器事業を担う株式会社セリアコーポレーションは、高精度グラビアオフセット印刷装置 PEPIOF12-SEの拡販に向け、連続運転向けユニット開発・ペースト・製版など実生産に向けた要素技術開発を進めております。

 

5.環境対応の要素技術

気候変動対策を主軸とした研究開発に積極的に取り組んでいます。

印刷機の紙搬送エア制御を最適化して省エネ化する技術や、紙搬送エアやモータからの廃熱量を低減して工場内の空調負荷を抑制する技術、静電気対策によって給排紙性能や印刷適性を向上させる技術等の要素技術開発を進めております。

 

なお、当連結会計年度の研究開発費は、3,653百万円であります。