第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは「豊かな創造力と誇れる品質」を経営理念とし、顧客をはじめ社会や社員に対し「信頼と満足」を普遍的に提供することを経営の基本方針としております。また事業領域を「快適環境の創造」と定義し、業務用空調機器を中核にしながら、建物に関わる各種事業へ業容拡大を目指しております。

 

(2) 経営環境

① 当社の主力事業領域

空調システムは、大きく家庭用と業務用に分けることができます。業務用は、事務所、工場、病院、ホテル、商業施設などを指し、建物の規模によって空調方式を使い分けます。

大規模な建物で採用されるセントラル空調は、建物を一体のシステムと捉える空調方式です。熱源機器を集中設置してまとめて熱を作り、建物全体に循環させて空調します。それに対し中小規模の建物で採用される個別空調は、各部屋に室外機、室内機をセットで設置して、個々で熱を作って空調します。当社は両空調方式において、居室の温度、湿度、気流、清浄度をコントロールする業務用の空調機器のメーカーです。

 


 

② 各方式の特徴と動向

空調方式は、建物の規模や運用によって最適なものが選択されます。熱源機器を大型化して効率を上げ、システムを一括で制御するセントラル空調は、建物全体の管理や省エネルギーに適しています。一方、熱源機器を集中しても効率化されない規模の建物では、個々に制御でき、システムが簡易で利便性が高いと言われる個別空調が採用されます。

 

1) セントラル空調(大規模建物)

大規模建物においては、エネルギー効率の面から古くよりセントラル空調が採用されてきました。近年、その簡易性から個別空調の採用が増加していましたが、「2050年カーボンニュートラル」に代表される地球環境の面から、セントラル空調が改めて注目されております。その大きなメリットの一つは、熱源からAHU内までの熱の搬送に地球温暖化係数の高いフロンガスを使っていないという点にあります。AHUは自然冷媒である冷温水を使用して熱交換するため、気候変動関連で規制が強化されているフロンガスの使用量を削減することができ「カーボンニュートラル」に貢献いたします。

空調分野において、熱の移動を媒介する冷媒ガス(以下、冷媒)には、古くはアンモニアや二酸化硫黄、20世紀半ば頃からは高効率かつ不燃性で毒性もないフロンが利用されておりました。ところが、フロンによるオゾン層破壊問題がクローズアップされ、1987年のモントリオール議定書によって特定フロンが規制されると、オゾン層を破壊しない代替フロンへの転換が始まりました。その後さらに、地球温暖化問題が顕在化し、1997年の京都議定書では先進国が、2015年のパリ協定では発展途上国を含む全ての国が温室効果ガスの削減に取り組むこととなり、温暖化係数の高い代替フロンに対する規制が全世界で進んでおります。

セントラル空調には、その他にも、フロンガスにはできない精緻な温度・湿度制御ができる、上質な空気質を作ることができる、熱源をまとめて大型化するためエネルギー効率の高い運転ができる、機器がまとまって設置されているため保守性がよいなど、多くのメリットがあります。

 

2) 個別空調(中小規模建物)

中小規模の建物においては、簡易性、利便性に加え、エネルギーの効率からも個別空調が採用されており、今後も続くものと思われます。

個別空調で使用される機器についても高効率化は進んでおり、省エネルギーを意識したシステムにはなっているものの、今後は地球温暖化係数の低い冷媒への転換に加えて、フロンガスの使用量を削減するようなシステム設計が進められる見込みです。

 

③ 当社製品の役割

当社の主力製品は、セントラル空調で使用されるエアハンドリングユニット(AHU)、ファンコイルユニット(FCU)です。大型のAHUはフロア全体の換気・空調を、小型のFCUは各部屋の空調を行います。セントラル空調は建物用途に合わせて個々に設計されるため、そこで採用される製品もその要求仕様に合わせて一品一様で設計・製造されますが、当社は特にAHUに強みを持っております。

また個別空調で使用されるヒートポンプ式エアハンドリングユニット(HP-AHU)も主力製品の一部です。セントラル空調と比べると簡易的なシステムが構築されるため、採用される製品も汎用品が多くなりますが、建物の換気・空調を行うHP-AHUには固有の要求仕様が多く、当社がセントラル空調分野で蓄積してきたノウハウを存分に活かすことができます。

 


 

 

④ 業界構造

一定以上の規模の業務用建物の工事において、空調機器は建築工程に合わせて納入、設置されます。発注主としてディベロッパーなどの施主、建物の設計をする設計事務所、建築工事として全体を束ねるゼネコン、設備工事を請けるサブコンを中心に多くの企業が関わり、工事が進められます。サブコンにはそれぞれの専門分野があり、熱源、空調、計装の各メーカーは、空調設備工事を担当するサブコンに対して製品を納入します。

従いまして当社の事業は、主にサブコンから発注を受け、製造した空調機器を建物の工期に合わせて建築現場に納入するという流れで進められます。

 


 

⑤ 今後の業務用空調市場

国内市場

新型コロナウイルス感染症の影響はなお続いているものの行動制限の緩和により社会経済活動は正常化に向かっております。ロシアによるウクライナ侵攻のほか各国の金融政策が今後の景気に影響する可能性が認められます。空調機市場においては、制御盤やモーター等を中心とした部品の遅延はおさまりつつありますが原材料価格の高止まりは続いており、これらに対応するための購買力強化並びに原価低減と価格転嫁対応を重要課題として取り組んでまいります。

東京オリンピックを境に控えられた建設投資は2021年度以降回復しており、産業空調並びに東京大阪を中心とした大型再開発などで新築物件が見込まれます。2025年度頃からは納入後20~30年が経過したAHUの更新需要を中心としたストックビジネスへの移行が予測されます。

更新物件については、高度経済成長期に建設された高層ビルの建て替えや1980~1990年代に建てられた施設の設備更新の時期が到来しております。例えば建設後50年が経過し、3度目の大規模更新を迎えた日本初の超高層ビルとして知られる霞が関ビル、1990年前後にオープンしたランドマークタワーや東京ドームなどは当社が継続的にAHU更新を行ってきた大規模建物の一例になります。また既設機器の保守サービスについて、これまでは都市圏での引合いが中心でしたが、需要は地方にも広がっております。その中には、過去に撤退した大手電機メーカー製AHUも多く含まれており、これまで以上に個々の現場に合わせた柔軟性と技術力が求められる状況になっております。

アジア市場

アジア最大の市場である中国では、ゼロコロナ政策の解除を機に経済活動が正常化し景気回復局面に入っております。米国との対立を見据えた「科学技術の自立自強」のための政策を背景にハイテク分野の投資加速が見込まれ、中長期的には製造業を中心とした内需拡大を予測しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、少子高齢化に伴う労働者不足、気候変動問題への対応を含むESG経営・SDGsに対応し、持続的に発展できる企業グループへ更なる成長を遂げるため、2021年度からはじまる4ヶ年の中期経営計画を策定いたしました。中長期的な経営戦略を次の項目として、2025年3月期に連結売上高520億円、連結営業利益75億円を目指してまいります。

 

 

① SIMAを軸にした新しい製販体制

製販体制のデジタル化がSIMAプロジェクト(SINKO Innovative Manufacturing of AHU)であり、AHU設計業務の3DCAD化、BOM化を進めることで、長年の課題でもある労働集約型の事業からの脱却を目指してまいります。将来に渡りSIMAを拡充していくことで、従来からの設計・製造指示やカスタマイズに必要な各種ノウハウがデジタル化され、上流の販売情報、設計、生産を一気通貫で融合した、革新的な空調機生産方式となるよう目指してまいります。開発された3DCADシステム、AIによる生産工数予測、図面上の部品画像を認識する検索システムなどの導入も始まっております。

また、製品組立工程に「ライン生産方式」を部分的に導入し、「セル生産方式」と併用で最適な生産体制を進めております。

製品データベース(BOM)を中心としたデジタル設計・生産体制の構築と需要予測の精度向上・インパクト営業の確立を両輪とする業務プロセスのイノベーションを通じて、個別受注対応と生産効率を両立することで、企業間競争による低価格化の進行、原材料価格・労務費の上昇によるコストの高騰等に対応し、中長期的に事業の発展性・収益性を高めてまいります。

 

② 重点取組項目

1) AHU強化と5つの重点ターゲット

需要予測の精度向上とインパクト営業の確立、情報の一気通貫による生産効率の向上などSIMAプロジェクトの効果をフル活用することで個別受注対応と生産効率を両立し、基盤事業の圧倒的な競争優位の維持・向上を目指してまいります。

当社ではAHU市場を5つの重点分野に分け、それぞれのターゲットに合った販売戦略を立てております。5つの重点分野とは、大型ビル空調、産業空調、データセンター、更新案件、個別空調をいいます。それぞれのターゲットは固有の市場特性があり求められる技術要件も異なりますが、当社が培ってまいりましたノウハウをもって5つの分野にオールラウンドでアプローチしてまいります。

例えば、データセンター市場は、ChatGPTなどの生成AIの登場によってますます投資が活発化することが見込まれます。当社はデータセンターでの実績も多く、データセンター銀座と呼ばれる千葉県印西市周辺では、国内企業を中心に約半数の建物で採用されてきました。海外企業の進出が進むなか、サーバーの高性能化による1台当たりの発熱量の増加から、大容量で性能の高い空調機器が求められており、AHUの成長分野として注力してまいります。

2) 個別空調・HP-AHU強化

感染症の拡大によって換気の重要性が再認識され、特に中小規模の建物で需要が高まっております。また冬期の加湿不足という慢性的な課題を抱えており、安定した湿度コントロールを行う大風量・大容量タイプのHP-AHUの要望は根強く存在しております。

セントラル空調分野で蓄積したノウハウを存分に活かし、パートナーとの協創を進めHP-AHUの製品ラインアップを拡充させ、市場シェアの拡大を目指してまいります。

3) 工事事業強化

工事事業については、AHUの施工、保守・整備を中心とした独自性を武器に収益の改善が進んでおります。近年はHP-AHUへ技術の幅を広げておりますが、更なる成長を見据えて、空調工事業へ拡張することを目指してまいります。また、空調機器の省エネ性や快適性の維持・向上、耐用年数の延長、故障の予防などを目的とした保守ニーズは確実に存在しており、メーカーの強みを活かした保守サービス体制の充実を図ってまいります。

4) 中国事業強化

中国市場においては、ここ数年、当社グループの強みが活かせない汎用品の安値受注競争に巻き込まれ、利益の低下を招く要因となっておりましたが、計画段階から高機能型AHUを提案することにより価格競争を回避し、採算性重視の販売戦略を徹底することで収益の改善を進めております。一方、国内で培った原価低減ノウハウを中国市場で展開することで収益性を高めてまいります。

5) 技術深耕・品質向上

長年培ってきた実績・経験・ノウハウを活用し、引き続きコア技術(送風機・熱交換器)の高効率・コンパクト化の研究開発に注力し、環境負荷低減・CO2削減・省エネルギー化のニーズに応えてまいります。また施工現場、生産現場での人手不足に対応するため、分割搬入・現地組立が可能な製品の設計やAIなどを活用した現場省力化の技術開発に努めてまいります。

 

 

③ ESG経営の推進、SDGsへの貢献

環境面において、塗装や溶接の削減など生産工程での環境負荷低減を進めるほか、現場の省力化や省エネルギーを可能にする製品開発を進めてまいります。また社会面において、ワーク・ライフ・バランスを実現する働き方改革などを進めるほか、空調機器メーカーとして抗菌・抗ウイルスや熱中症対策などの環境構築による社会貢献を目指してまいります。併せて、内部統制システムの整備やリスク管理とコンプライアンスの徹底を通じてガバナンスを強化いたします。

 

(4) 目標とする経営指標

当社グループは需要を見据えた製品開発と販売戦略及びコストダウンなどを通じた、連結営業利益を経営指標としております

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題を以下のとおり認識しております。

事業上の強み

① 需要予測に基づく受注生産力

多品種少量生産の枠組で製造されるAHUは、それぞれに異なる建物の空調ニーズに応じた能力が求められる製品です。部材手配からラインの組み換えまで、生産現場が柔軟に対応する必要があり、量産メーカーにとっては高い障壁となりますが、より困難なことは、月によって出荷のバラつきが大きく、生産量を安定させられない点にあります。

当社は、建物の計画段階から設計を手伝う業界最大の上流営業部門を構え、早期に案件情報を獲得し、共有された情報による需要予測により、新築案件、納入実績からの更新案件、短納期が多い小口案件などの生産要求を柔軟に組合せた計画により、生産量を安定させる仕組みを構築しております。

② お客様への信頼と満足の提供

セントラル空調が納まる建物は、工場や研究所、オフィスや商業施設など、いずれも収益を上げるためのインフラであり、その竣工に向けて高い水準の工期管理が求められます。定められた工期ですべての設備を納めるためには、空調機の品質はもとより、施工過程で生じる技術的要求への対応力や様々な調整力が必要とされます。当社は、過去国内の代表的な建物に製品を納めてきたなかで、お客様とともに数々の挑戦とトラブル対応を含めた経験を共有してまいりました。豊富な現場経験によって高められた製品品質と納入後のメンテナンスを含むサービスの品質に対する安心が当社の提供する付加価値であり、要求の厳しい建築現場におかれているお客様に信頼と満足を感じていただけるよう今後もその向上に努めてまいります。

 

対処すべき課題

当社グループは、事業環境の変化に耐えうる利益体質の構築と事業基盤の強化を経営課題としております。国内では、新型コロナウイルスの影響の他、人口減少や働き方改革を背景にした労働者の不足・労務費の上昇が顕著になっております。アジア市場においては、新型コロナウイルスに加えて、米中の覇権争いに伴う経済への影響は予断を許さず、厳しい事業環境が続くものと思われます。

このような背景を受け、当社グループが取り組む重要課題は以下のとおりであります。

 

① 気候変動対応としてのセントラル空調及び個別空調

気候変動問題は顧客の購買行動に大きな変化をもたらします。当社の主力製品であるAHUは、熱源からAHU内の熱の搬送に地球温暖化係数の高いフロンガスではなく、自然冷媒である冷温水を用いております。顧客要求に応えるAHUを提案し、温室効果ガスの使用量が少なく環境性の高いセントラル空調採用の建築物を増やしていくことに貢献してまいります。一方、個別空調で使用される機器は主にフロンガスが用いられますが、気候変動関連の規制強化の流れから、今後はより温暖化係数の低い冷媒への転換が進む見込みです。新冷媒対応をしっかりと進めることで今後の更新需要の取り込みに備えてまいります。

② 挑戦する幹部人財の育成

当社グループの事業運営においては、空調機器の販売・製造を基盤事業として磨きつつ、新しいマーケットに挑戦する能力とマインドを持つ幹部人財の育成が成長のカギになります。販売・製造・開発などにおいて気候変動やデジタルなどの環境変化のなかに機会を見いだし、持てる専門性を活かして挑戦を続ける幹部人財の育成に注力し、グループの組織力の強化を進めてまいります。

③ 材料費の高止まりと部品遅延への対応

近年、銅・アルミ・鋼材などの材料費が急速に高騰し、高止まりしております。高騰の要因は、需要供給バランスの変化、コロナ禍及びロシアによるウクライナ侵攻の影響によるところが大きく、今後も企業努力の範囲を超える値上がりについては製品価格への反映が必要です。足元では、一部の部品において納期遅延が続いており、購買力を引き上げることで可能な限り納期への影響を抑えてまいります。

 

④ 生産方式の進化

1) 業務のデジタル化

労働者の不足・労務費の上昇は技術・製造分野で顕著になっております。また近年の生産現場は外国人労働者が増加し、伝統的な阿吽の呼吸によるものづくりは限界を迎えております。当社が強みとする個々の現場への対応力をさらに高めるには、個人の習熟度合いに左右されない業務体制の確立が急務であり、そのためには顧客要望やそれに伴う設計・製造指示、カスタマイズに必要な各種ノウハウなどのデジタル化による業務プロセスのイノベーションが必須になります。SIMAプロジェクトを確実に推進し、需要予測の精度向上、設計工程の見直し、造り方改革、生産工程を効率化するAI開発などを通して、労働集約型工場からの脱却を進めてまいります。

2) 総合品質の向上

製品品質の更なる追求に加え、多種多様な要望に対応する個別設計・生産、建築現場の要望に沿った納期対応、納品後の保守サービスなど、グループを挙げて総合的な品質を向上させ、お客様に対しより大きな安心を提供できるよう努めてまいります。

⑤ 海外事業の安定化

アジア市場において、中国現地法人では採算性を重視した販売戦略への切り替えや原価管理の強化によって、収益の改善が進んでおります。継続的に利益を確保できる体制構築を進めるため、国内事業で蓄積してきたノウハウを現地ニーズに合致・深化させ、製品改良や現地法人の技術者の育成など、事業基盤の安定に注力してまいります。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、空気調和(AIR CONDITIONING)を提供する企業として、これからの未来に責任を持ち「CONDITIONING FUTURE」というスローガンのもと、サステナビリティを重視した経営を推進しております。

社会的課題の解決による持続可能な社会の実現への貢献とともに、変化の激しい時代に対応できるレジリエンスを備えた組織づくりに努め、企業価値の向上を実現してまいります。

 

(1) サステナビリティ全般

 ① ガバナンス

当社グループは、ESG基本方針に基づく取り組みを推進するために、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。当委員会では、サステナビリティに関する課題と目標、各種施策の立案を行うとともに、ESGマテリアリティの推進、目標や施策の進捗状況を議論し、取締役会に活動状況を報告しております。

また、取締役会においてはその監督体制として、サステナビリティ委員会で審議した気候関連等のリスク及び機会に関する指標と目標、対応について適宜報告を受け、必要に応じて審議の上、決議を行うこととしております。

 

 ② 戦略

当社グループでは、2021年度に策定したグループ中期経営計画「move.2025」において『ESG経営の推進/SDGsへの貢献』を掲げ、ESGマテリアリティ(重要課題)を特定し、具体的なアクションプランにまとめて目標達成に向けて取り組みを推し進めております。

 

重要課題

取り組み

内容

<環境>

脱炭素推進による気候変動への対応

カーボンニュートラル

CO2排出削減・カーボンニュートラルを通じて、持続可能な社会の実現を目指す

CO2フリー電力への切替

当社事業活動におけるCO2排出の多くを占める電力の使用について、CO2フリー電力への切替を進める

燃料使用量の削減

製造過程で使用する燃料の見直し

輸送に関わる環境負荷低減

輸送の効率化や積載効率を念頭に置いた製品設計等で環境負荷の低減を目指す

資源循環による

環境負荷の抑制

環境に配慮した製品の開発・拡販

使用材料を削減した製品等の開発

省エネ・高効率製品の拡販

事業活動における紙使用量の削減

SIMAをはじめとする当社デジタル革新に取り組む

廃棄物の低減

製品出荷時における梱包材の低減等

<社会>

誰もが幸せに働ける職場づくり

ダイバーシティの推進

ダイバーシティ推進委員会を設置し、“誰もが幸せに働ける職場づくり”に取り組む

労災発生率の減少

社内講習や事例の共有など、継続的な安全意識の啓発を行う

生産現場における有害物質使用の低減

生産工程において塗装や溶接を極力少なくするための見直しを行う

<ガバナンス>

適切なガバナンス・情報開示

実効性のあるコーポレート・ガバナンス

内部統制システムについて、事業環境の変化などを踏まえ、必要な見直しを行う

リスクマネジメントの強化

事業等のリスクの認識及び

管理の強化

リスクについて事案を可視化し、特に重要なリスクに対するPDCA体制を確立する

情報セキュリティの啓蒙

継続的な教育・啓蒙による情報セキュリティの強化

コンプライアンス遵守

社内コンプライアンス教育

コンプライアンスに関する通報窓口の周知徹底

コンプライアンスに関する教育受講を必須

 

 

 

③ リスク管理

当社グループのリスク管理体制は、当社代表取締役が統括し、管理本部担当役員が委員長であるリスク管理委員会を設置しております。当社グループの経営に影響が大きいリスクや危機が生じた際は、リスク管理委員会の指揮の基で対応し、都度、取締役会に状況を報告し、必要に応じて協議を行うこととしております。

なお、気候変動への対応などをはじめとするサステナビリティ関連のリスク及び機会についてはサステナビリティ委員会で特定し、識別・評価された各リスクは該当部門が管理し対応策の検討を行っております。詳細は、後述の(2)個別テーマ(脱炭素推進による気候変動への対応)<リスク管理>の欄に記載しております。

 

④ 指標及び目標

当社グループがこれまで行ってきたESG活動の各種取り組みを、ESGマテリアリティ(重要課題)、中長期目標及びアクションプランにまとめて整理することによって着実に取り組みを推進し、持続可能な社会の実現、企業価値の向上につなげてまいります。

 

当社のESGマテリアリティ(重要課題)に関する主要な指標及び目標は次のとおりであります。

重要課題

取り組み

中長期目標

実績

目標値

目標年度

<環境>

脱炭素推進による気候変動への対応

カーボンニュートラル

CO2排出量

 実質ゼロ

2050年

2019年度実績 3,611tCO2

2022年度実績 1,681tCO2

(2019年度比50%以上削減)

CO2排出量

50%削減(2019年度比)

2030年

CO2フリー電力への切替

全切替

2030年

一部拠点を除きCO2フリー電力への切替完了

資源循環による環境負荷の抑制

事業活動における紙使用量の削減

50%削減(2019年度比)

2030年

2019年度実績

約12,080千枚

2022年度実績

 約9,740千枚

(2019年度比19.3%削減)

<社会>

誰もが幸せに働ける職場づくり

労災発生率の減少

労働災害度数率

製造業平均(1.2)以下

毎年度

2022年度労災度数率実績 1.1

<ガバナンス>

リスクマネジメントの強化

情報セキュリティの啓蒙

標的型メール訓練

開封率0%

情報セキュリティチェックシート

回収率100%

毎年度

標的型メール訓練実績

開封率0%(2023年3月)

情報セキュリティチェックシート

回収率100%

 

(注)1  CO2排出量の算定対象は、Scope1及びScope2としております。

2  目標値は、主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

(2) 個別テーマ

(脱炭素推進による気候変動への対応)

<ガバナンス>

気候変動に関するガバナンスは、(1) サステナビリティ全般 ① ガバナンスに記載のとおりであります。

 

<戦略>

当社は、台風・豪雨の激甚化等の気候災害の拡大、及び脱炭素化等の気候変動緩和に向けた全世界的な取り組みが当社の経営とビジネス全体に重大な影響を与える重要な課題であると認識しております。シナリオ分析を通じて気候関連リスクの影響を認識し対応策を検討することにより、当社の事業上のリスクの低減と価値創出の機会を実現し、持続可能かつ安定的な収益を長期的に確保することを目指します。

シナリオ分析に当たっては、脱炭素社会への移行を想定する1.5℃/2℃シナリオ及び経済活動を優先する4℃シナリオを採用し、2つのシナリオにおける重要なリスク及び機会を特定した上で、財務影響を定量的・定性的に分析し、それぞれの対応策を策定しました。下記に当社が特定した重要なリスクと機会及びシナリオ分析の主な結果について記載しております。

 

 

1.5℃/2℃シナリオ

リスク/機会のタイプ

重要なリスク/機会

シナリオ分析の結果に基づく事業への影響

(重要なリスク/機会の説明)

時期

営業利益への

インパクト

対応策

移行リスク

(市場)

原材料コストの上昇

炭素税導入等により原材料の調達コストが増加した際、コスト増につながる

中長期

7.5億円減少

・製造の省エネ化・効率化

・調達価格を安定化させるための代替的手段の検討

機会

(製品/

 サービス)

顧客のGHG削減・省エネに寄与する製品の需要増(水冷媒)

GHG排出規制/フロン利用に関する規制が強化され、「水」冷媒製品の需要増が見込まれる

中長期

21億円増加

・空調設備の省エネ性能強化/技術開発

 

 

4℃シナリオ

リスク/機会のタイプ

重要なリスク/機会

シナリオ分析の結果に基づく事業への影響

(重要なリスク/機会の説明)

時期

営業利益への

インパクト

対応策

物理リスク

(急性)

風水害の激甚化による事業停止リスク

気候変動により台風や洪水等の風水害リスクが上昇し、販売拠点が被災すると、営業活動が困難になりビジネス機会を逃す

中長期

・調達・製造のBCP強化

 

 

<リスク管理>

当社は、気候変動に伴うさまざまな外部環境の変化について、サステナビリティ委員会においてその要因を「移行リスク」と「物理的リスク」に分類のうえ、財務的影響を大・中・小の3段階で評価し、重要なリスクと機会を特定しております。

識別・評価された各リスクは、該当部門が管理し、製造の省エネ化・効率化、省エネや気候変動に即した空調の普及活動等を通じ、CO2排出量の削減の対応策を検討しております。またそれらのリスクへの対応案は、サステナビリティ委員会において集約・管理され、定期的に取締役会に報告することとしております。

 

<指標及び目標>

指標:当社は、気候関連のリスク及び機会を評価・管理するに当たり、Scope1及びScope2のCO2排出量を指標としております。

目標:2030年末までに2019年度の実績比で50%のCO2排出量の削減を目標とし、2050年末までにCO2排出量を実質ゼロとします。

 

達成状況:

 

 

 

(単位:tCO2)

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

 

3,611

3,628

3,917

1,681

 

 

2022年度は、製造過程において灯油を使用し加熱する設備を電気式へ切り替え、また、CO2フリー電力への切り替えを順次進める等、当社事業活動におけるCO2排出量の削減に取り組んだ結果、前年度比約57%減の1,681tCO2となりました。今後も、ESGマテリアリティのひとつである『2050年までにCO2排出量実質ゼロ』の実現に向け、CO2排出量削減に取り組んでまいります。

なお、当該指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループ全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、当該指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

(人的資本、人財の多様性確保に関する取り組み)

当社グループは、競争力のあるビジネスを展開するために、人的資本を重要な資産と位置付けており、人財への投資を事業の成長につなげる視点をもって各種取り組みを進めております。人財育成テーマ及び働く環境の整備方針は、リスク及び機会の評価から識別された経営戦略や事業課題から落とし込んで策定しております。特に、従業員エンゲージメントの向上と事業に変革をもたらす挑戦にねばり腰で取り組む人財の育成を最重要方針と位置付け各種施策に取り組んでおります。

 

 

<戦略>

人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

事業の継続を踏まえ、経営理念「豊かな創造力と誇れる品質」に基づき、会社の品質と社員の品格を維持することを目的に、人生100年時代を生き抜く若手や中堅社員、シニア社員それぞれが成長し続け、安全で幸せに生き活きと働ける職場環境を構築し、個人の挑戦を促す企業文化を定着させるため、「人財創造の環境」を整備します。企業と従業員は様々なチャレンジの中で互いに選び・選ばれる関係で成長を目指し、専門性を基盤とした多様でオープンなチーム作りを目指していきます。

このような方針のもと、当社では、民族、国籍、性別、障がいなどによる差別を排除し、多様性のある人財の採用と人事制度の運用に努めるとともに、新入社員からベテラン社員まで、様々な従業員が職務に必要なスキルと知識を習得するため、幅広い教育研修や仕事を通じた成長の機会を提供しております。

この方針を実現するために、以下の3点を重要項目として位置付け、各種取り組みを行っております。

 

[1]挑戦を促す企業文化の定着を目指した人財育成

自らのキャリアを描き、それぞれの分野でそれぞれの能力や個性を発揮しながら、さらに上を目指してねばり腰でやり抜くことをサポートできる仕組みづくりを行う。

① 経営方針の浸透

「若手を対象とした経営幹部との座談会」、「トップメッセージ動画配信」

② デジタル人財の育成

「DXリテラシー向上研修の実施」、「新入社員向けAI入門研修」

③ リスキリング

「教育計画に基づいた資格取得への挑戦」、「Eラーニング受講による知識向上」

 

[2]多様性を活かす

多様なバックグランドを持つ人財が活躍しております。社員一人一人がお互いを認め合い、新たな価値創造を目指すダイバーシティ経営を推進しており、当社においては、大阪市女性活躍リーディングカンパニーで最も高い基準の三つ星認証を2023年3月31日に取得しました。

① 専門性の高い多様な人財の登用

「外国人留学生の積極採用」、「女性総合職の積極採用」、「中途採用者の管理職登用」、

「障がい者雇用」

② ダイバーシティ経営の推進

「ダイバーシティ推進委員会」、「女性リーダーシップ研修(女性管理職との座談会等)」、

「異文化コミュニケーション研修」、「外国人の日本語教育」、「アンコンシャスバイアス研修」

③ シニア社員の活躍

「セカンドキャリア研修」

 

[3] 安全で生き活きとした職場づくり

社員の安全、安心、健康な働き方実現に向けて、制度づくりと風土づくりの観点から様々な取り組みを推進しております。従業員が成長を実感しながら個人の成長が会社の成長につながるよう対話を重視した人事制度の運用をはじめ、ワーク・ライフ・バランスを重視しつつ生産性向上をはかり、中期経営計画の達成に向けた職場づくりを推進しております。

① ワーク・ライフ・バランスへの取り組み

有給休暇取得の奨励:「計画年休」、「有給休暇の年間取得計画」

時間外労働の削減:「テレワークの促進」、「PC利用時間制限」、「ノー残業デー」

育児や介護と仕事の両立支援:「男性社員への育休制度周知」、小学6年生までの子を持つ親に対し学校行事等にも休暇を与える「子の看護・サポート休暇」

職場環境の改善と労災ゼロへの取り組み

「衛生環境の改善・充実」、「安全衛生委員会」、「安全教育の実施」

③ 健康経営

「ストレスチェック組織診断」、「保健指導」、「産業医面談」

 

 

<指標及び目標>

人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、次の指標を用いております。当該指標の目標及び実績は次のとおりであります。なお、当該指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループ全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

2025年度目標

2022年度実績

教育研修実施回数

350回

319回

特許権・商標権・意匠権・実用新案権の保有件数

230件

208件

従業員の資格取得件数

200件

125件

中核人財の登用等における多様性確保

女性管理職 4名

外国人管理職 1名

中途採用者管理職 25名

女性管理職 1名

外国人管理職 -名

中途採用者管理職 21名

有給休暇の取得率

80.0%以上

77.3%

ストレスチェック組織診断結果(総合健康リスク)

106

111

 

(注)  管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 特に重要なリスク

① 経済・景気に係るリスク

当社グループの営業収入は、大規模の事務所、工場、病院、ホテル、商業施設等の建築設備投資に依存しており、国内の経済情勢、特に民間企業及び公的機関による建設投資需要の影響を受けます。海外事業としては中国における収益が主な割合を占めており、同国の経済情勢等の影響を受けます。

当社グループでは、各国の経済動向を注視し、直接的に景気の影響を受けやすい民間の新築物件に依存せず、官民の更新比率を高めるほか、中小規模の建物向けの市場展開を進めることでリスク対策を講じておりますが、景気後退及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 経営戦略に係るリスク

市場競争の激化

当社グループは、国内事業が売上の約85%を占めております。主要市場であるAHU市場は、大手を含め複数の企業が競合しております。また海外企業が参入してくる可能性もあり、今後とも激しい競争が予想されます。

当リスクは随時発生する可能性があるため、当社グループは、個々の現場ごとへの対応力という市場要求に応える最適な組織運営を行うほか、SIMAプロジェクトを推進し、個別設計・生産の対応力を更に強化することで圧倒的な競争力の確保を目指しておりますが、これらの取り組みが予測通りの成果をあげられない可能性や、価格競争の激化等で当社グループの売上高の成長が鈍化する可能性があり、これらが当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

製品需要の変化

市場において競争優位を保持するためには、社会の需要に即した製品開発が不可欠です。当社グループは、事務所、工場等の空調機器を製造・販売する事業を行っているため、例えば省エネルギー関連法令等の改正など大規模建物に係る環境規制による市場要求等の変化に大きな影響を受けます。

当リスクは随時発生する可能性があるため、当社グループは、定期的に部門横断的な委員会を開催し、将来の社会需要及び動向を予測して研究開発を進めるほか、パートナーとの共同開発によって、外部の技術も活用することで製品開発を加速させておりますが、予測を超える需要の変化があった場合は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

原材料の価格変動

製品を構成する主要原材料は、国際的な経済情勢等の影響を受けるため、当社製品に使用される銅、アルミニウムは常に価格変動リスクを抱えております。

当社グループは、主要な原材料について先物取引を分散して行うことで、急激な価格変動など不確実性の低減に努めておりますが、恒久的な価格高騰や当該コストの製品価格への適切な反映など有効な対応ができない場合は、当社グループの収益性を圧迫し、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

部品の納期遅延

世界的な半導体不足を背景に当社製品に組み込む制御機器やモーター等の納期が長期化しております。サプライヤーとの情報連携を密にして在庫の確保に努めるほか、一部製品はモジュール化を進めることで調達部品点数を減らし部品調達難への対応を進めております。この他、顧客における部品調達難が工期に影響する可能性があり現場の情報収集と納期調整に努めております。しかしながらこれら対応が有効でない場合は、売上計上時期のずれ込みや仕掛の増加に伴う生産効率の低下が想定され、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

気候変動に係るリスク

当社グループは、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言へ賛同を表明しております。1.5℃/2℃シナリオと4℃シナリオに分けて気候変動によるリスクと機会を分析し、その対応とともに当社ホームページにてTCFD提言に基づく気候関連の情報開示を行っております。気候変動がもたらす機会への対応としては、主に温室効果ガス使用量の少ないセントラル空調方式やエネルギー効率の高いヒートポンプ空調方式の拡販を推進し、リスクへの対応としては、主に炭素税導入等による原材料価格上昇に対し各種生産性向上策を進めております。これらの対応が不十分な場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

労働力不足

国内の生産年齢人口は減少を続けており、労働者の不足・労務費の上昇は技術・製造分野で顕著になっております。またそうした背景を受け、近年の生産現場は外国人労働者が増加し、伝統的な阿吽の呼吸によるものづくりが転換期を迎えるなど、人手不足による各種影響の長期化が見込まれます。

当社グループは、SIMAプロジェクトを核にした業務プロセスのイノベーションを通じて、生産性向上と各工程の省力化を進めるなど対策に努めておりますが、人手不足による人件費の上昇または当該コストの製品価格への適切な反映など有効な対応ができない場合は、当社グループの収益性を圧迫し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

品質クレーム

当社グループは、品質管理体制を整え、厳格な品質基準に基づいて製品を製造しておりますが、当リスクは随時発生する可能性があり、全ての製品について欠陥がなく、クレームによる費用が発生しないという保証はありません。

当社グループは、製販の連携を深め品質管理体制を強固にすることに加え、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、大規模なクレームが発生した場合には、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

国際情勢等

当社グループの海外事業は中国を中心にアジア地域で営業展開し、売上の約15%を占めております。今後、アジア地域で国際紛争、テロ事件、政情不安や大規模デモ、感染症などが発生した場合や、それらの影響による社会的混乱の拡大から従業員の活動が制限され、現地の生産もしくは工事が大幅に遅れるなど経済活動に波及する場合は、当社グループの戦略遂行に影響を与え、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ コンプライアンスに係るリスク

当社グループは企業倫理の確立による健全な事業活動を遂行するため、内部統制システムを整備するとともにコンプライアンス室を設置し、コンプライアンス体制の構築・維持に努めております。また法令・定款及び社会規範に違反する行為の発生または発生する恐れを発見した際の相談窓口を設置し、役員・従業員への啓発活動を実施するなど、企業倫理の向上及び法令順守の強化に努めております。

しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、その対応費用を含め当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 情報セキュリティに係るリスク

当社グループは、事業活動を通して、顧客や取引先の営業上・技術上の機密情報を有しています。当社グループでは、情報セキュリティ管理室を設置し、これら情報の取り扱いに関する規程類の整備や従業員への周知徹底を図るなど、情報セキュリティを強化しております。

しかしながら、情報セキュリティ上のリスクを完全には回避できるものではなく、コンピュータウィルスの感染や不正アクセス、その他不測の事態により、これら情報が流失した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止などが生じた場合には、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、その対応費用を含め当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 大規模災害や重大な伝染病等に係るリスク

当社グループは、セントラル空調機器メーカーとして国内で唯一、AHUの製造拠点を2拠点保有するなど、大規模な自然災害に際し復旧が可能となる業務体制としております。また、伝染病等への対策については、部門をチームに分け勤務エリアを分散する、出社が困難な時には遠隔操作ツールを活用して在宅勤務をするなど、事業継続計画を策定しております。

しかしながら、当リスクの発生可能性を合理的に見積もることは困難であり、想定を超える規模の災害や重大な伝染病等が発生した場合、出社が制限される可能性があるほか、サプライチェーンが途絶し外部から調達している原材料などの入手ができず生産が停滞する、建築現場が閉所され製品の出荷が滞るなど製品供給に重大な影響を与え、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)重要なリスク

① 為替変動に係るリスク

当社グループの事業には、中国等アジア地域における製品の販売が含まれております。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。これらの項目は、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 固定資産評価に係るリスク

当社グループの保有する資産又は資産グループについて、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損損失を認識すべきであると判定した場合にはそれぞれの固定資産について回収可能性を測定し、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合その差額は減損損失として当該期の損失とすることとなり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 有価証券の時価変動に係るリスク

当社グループは、主に営業上、財務上の取引関係等の円滑化や提携関係の維持による事業基盤の強化のため、有価証券を保有しております。

株式市況の急激な悪化や取引先の経営破綻等が発生した場合、当該期の損失とすることとなり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 企業買収に係るリスク

当社グループは、事業基盤の強化及び成長維持のために、企業買収を実施しております。企業買収においては、法令の変更、業界動向の不確実性、商慣習の違いなど、買収後の事業統合リスクに直面する可能性があり、その結果、当初想定した買収効果や利益が実現されない場合は、のれんの減損などの発生によって、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 環境規制に係るリスク

当社グループは、研究開発及び製造過程で発生する有害物質、廃棄物等について、さまざまな環境保護に係る法的規制を受けております。当社グループは、主に国内製造拠点及び研究開発拠点においてISO14001認証を取得し、製造過程等における環境負荷の低減と環境汚染の予防に努めております。

しかしながら、環境規制は一般的に強化傾向にあり、今後環境等に関する新たな国内外の法的規制が制定される可能性があります。そのような場合は、当社グループにおいて費用負担や事業活動の制限等が発生することとなり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ その他の公的規制に係るリスク

当社グループの事業は、日本をはじめとし事業展開する各国において、事業・投資の許可または輸出入に関する規制のほか、独占禁止、特許、租税、社会保険、為替管制など様々な規制の適用を受けており、それらの法令順守に努めております。法令・規制を順守できなかった場合は、当社グループの活動が制限される可能性があり、また費用の増加につながる可能性があります。したがいまして、これらの規制は当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 新型コロナウイルス感染症に係るリスク

① 景気減退による需要縮小

当社製品が設置される主な建物は、大規模の事務所、工場、病院、ホテル、商業施設などになります。新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う休業や外出自粛などの長期化から、建物のオーナーやテナント企業の財政状態が悪化し、新築、更新の延期及び設備投資などが縮小された場合、今後の業績が下振れする可能性があります。

 

 

② 建築現場閉所による納品停滞

当社製品は、建物の工期に合わせて建築現場に納入されます。従いまして、新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けて、ゼネコン等によって建築現場が閉所される場合、当社製品の納期が延期となるなどの影響が出る可能性があります。当社としましては、自社内での防疫措置等の対策を徹底して製品供給体制を維持し、得意先の要望に応え、市場縮小の局面においても機会損失がないよう引き続き事業体制を整えてまいります。

 

③ サプライチェーン途絶による部品供給

当社は、製品生産に必要な原料の他、空調機器に組み込む一部の部品を購入しております。部品調達先は国内が主となり、大きな問題として顕在化する可能性は低いと見込んでおりますが、一部は中国など海外より調達を行っているため、現地の生産及び物流などサプライチェーンが途絶した場合、空調機器に組み込む部品が入手できず、製品の供給に影響する可能性があります。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、行動制限の緩和等により社会経済活動が正常化に向かう動きは見受けられたものの、感染再拡大の懸念や、ウクライナ情勢等に起因する世界的な資源・原材料価格の高騰の影響など、依然として先行き不透明な状況が続きました。

当業界におきましては、首都圏や地方都市圏における大型再開発案件が続いているほか産業空調の需要も堅調な動きをみせるなど、建設需要の回復が続いていることを背景に、空調機の全国出荷台数は前年同期に比べ約7%増加しました。一方、原材料価格の高止まり並びに一部部材の納期が長期化するなど予断を許さない事業環境が続きました。

こうした情勢のもと、当社は販売価格の改定及び納期管理強化などを最重要課題として対策を講じたほか、中期経営計画「move.2025」に基づき、業務のデジタル化を進める「SIMA(SINKO Innovative Manufacturing of AHU)」プロジェクトの推進、5つの重点ターゲットである大型ビル向けや産業向け案件等に対する製品販売戦略の遂行、需要が活発な空調工事分野における収益力の向上、中国事業における利益率の改善などを進めてまいりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

<日  本>

部材調達難による納期延期に対応しつつ、業界全体の需要の取り込みに努めた結果、売上高は38,635百万円(前連結会計年度比8.0%増)となりました。利益面におきましては、原材料価格高騰が長期化したものの販売価格の改定を進め、セグメント利益(営業利益)は6,018百万円(前連結会計年度比7.7%増)となりました。

 

<アジア>

中国では、新型コロナウイルス感染症による上海地域でのロックダウンの影響を受けたものの、その後の需要取り込みに努めた結果、売上高は6,217百万円(前連結会計年度比0.2%増)となりました。利益面では、原材料価格の高騰並びに価格競争の影響により利益が押し下げられ、セグメント損失(営業損失)は68百万円(前連結会計年度はセグメント利益78百万円)となりました。

 

この結果、当社グループの売上高は44,805百万円(前連結会計年度比6.8%増)となりました。利益面におきましては、営業利益は5,998百万円(前連結会計年度比5.0%増)、経常利益は6,540百万円(前連結会計年度比8.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,514百万円(前連結会計年度比10.2%増)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は77,526百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,479百万円増加となりました。これは主に、売上債権の増加2,652百万円、棚卸資産の増加614百万円及び投資有価証券の増加1,029百万円等によるものであります。

負債は19,843百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,779百万円増加となりました。これは主に、仕入債務の増加778百万円、有利子負債の減少460百万円及び未払法人税等の増加628百万円等によるものであります。

純資産は57,683百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,700百万円増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上4,514百万円及び剰余金の配当1,280百万円等によるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ206百万円増加し、当連結会計年度末には14,332百万円(前連結会計年度比1.5%増)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は4,090百万円(前連結会計年度比452百万円収入の増加)となりました。増加の主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は1,653百万円(前連結会計年度比436百万円支出の増加)となりました。減少の主な要因は、固定資産の取得によるものであります。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は2,293百万円(前連結会計年度比6百万円支出の減少)となりました。減少の主な要因は、配当金の支払いによるものであります。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、税金等調整前当期純利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ206百万円増加し、当連結会計年度末の残高は14,332百万円となりました。この結果、正味運転資金(流動資産から流動負債を控除した金額)は31,197百万円となりました。

 

(キャッシュ・フロー指標のトレンド)

回次

第70期

第71期

第72期

第73期

第74期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

自己資本比率(%)

63.9

67.9

70.9

71.6

71.1

時価ベースの
自己資本比率(%)

62.8

55.9

81.6

61.4

53.8

キャッシュ・フロー
対有利子負債比率(年)

0.6

0.3

0.7

1.0

0.8

インタレスト・
カバレッジ・レシオ

175.6

475.3

201.9

126.0

157.4

 

自己資本比率:自己資本 / 総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額 / 総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債 / キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー / 利払い

 

 (注) 1 各指標は、いずれも連結ベースでの財務数値により算出しております。

2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

翌連結会計年度の重要な資本的支出として、国内の研究開発設備への投資を予定しております。また、資金の調達源としては、自己資金を予定しております。

 

(5) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

34,245

8.3

アジア

6,355

0.4

合計

40,601

7.0

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  上記のほか建物設備全般の総合管理等を行っている連結子会社があります。

3  金額は販売価格によっております。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

27,462

5.6

14,737

18.2

アジア

3,735

17.2

1,589

64.9

合計

31,198

6.9

16,326

21.6

 

(注) 1  受注予測に基づく見込生産については、上記受注実績には含めておりません。

2  上記のほか建物設備全般の総合管理等を行っている連結子会社があります。

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

38,634

8.0

アジア

6,170

△0.1

合計

44,805

6.8

 

(注)  セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。その作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。これらの見積り及び仮定は、過去の実績等を勘案し合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、技術本部(SINKOテクニカルセンター)が主体となり、営業・設計・製造・購買など各部門と連携を取りながら、コア技術の研究、既存製品の改良、デジタル設計大綱、中国市場への対応、新商品の開発施設拡充について、以下の取り組みを行っております。

(1) コア技術の研究では、省エネルギー化やCO2排出量削減を狙った高効率送風機および高効率熱交換器の拡充を進めております。

(2) 既存製品の改良では、室外機一体型ヒートポンプ空調機シリーズであるオクージオGTにおいて新室外機に対応いたしました。

(3) デジタル解析技術とSIMAプロジェクトを組合わせたデジタル運用大綱SSA(SINKO Scalable Architecture)の整備も進めており、国内外の幅広いニーズに対応してまいります。

(4) 中国市場に関しては、現地ニーズに対応した製品開発強化および技術指導・支援を進めております。

(5) 新製品の開発施設拡充では、「空調機総合実験棟」の建設に着手し、国内外のニーズに対応してまいります。

以上により、今後もESG経営・SDGsへ貢献する為の「環境に配慮した製品開発」を目指してまいります。

なお、当連結会計年度における研究開発費は、グループ全体では762百万円であり、セグメント別では、日本562百万円、アジア199百万円であります。