文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、経営理念である「水とともに躍進し 人間らしさを求め 社会に貢献できる魅力ある企業」の実現をめざし、事業を展開しております。創業以来80年余にわたり実績を積み上げてきた上下水道用機器・水処理装置の製造および販売をもとに、“水”に関わる分野の社会資本整備に加え、再エネ・省エネによる社会への貢献に積極的に取り組み、人と環境に優しい技術・製品を提供してまいります。
当社グループの主要事業である上下水道事業においては、少子高齢化に伴う人口減少による収入不足、技術者不足や高度成長期に整備された施設・設備の老朽化対策等、多くの課題を抱えております。これらの課題への取り組みに加え、地震等の自然災害に対する防災・減災、エネルギー問題への対応等、当社グループが果たすべき役割は一層高まっていくものと思われます。
こうした状況の中、当社グループは将来の社会、事業環境、顧客ニーズの変化を見据え、持続的な成長をめざすために、「新たな成長への飛躍」をスローガンとした中期3ヵ年経営計画(令和3年度~令和5年度)を策定し、「事業領域の拡充」、「収益基盤の強化」、「持続的成長を支える経営基盤の強化」の3つの施策への取り組みを開始しました。
(1)事業領域の拡充
CO2削減、官民連携、新興国における水インフラ需要などの事業環境の変化に対し、これまで培ってきた技術・製品・提案力を充実させ、さらなる成長をめざします。
(ⅰ)再エネ・省エネ技術の拡充と展開
(ⅱ)官民連携事業の推進
(ⅲ)ASEAN地域における水インフラビジネスの基盤づくり
(2)収益基盤の強化
バルブ・環境・メンテナンス事業において、顧客ニーズを捉えた技術開発、更新提案ならびに生産の効率化を図り、収益力のさらなる向上をめざします。
(ⅰ)顧客ニーズを捉えた技術開発と更新提案
(ⅱ)生産の効率化と現場力の強化
(ⅲ)メンテナンス事業の拡大
(3)持続的成長を支える経営基盤の強化
企業価値を高め、将来にわたって持続可能な成長を支える経営基盤を構築して行きます。
(ⅰ)人材育成と働きがいのある職場づくり
(ⅱ)生産性と付加価値向上に向けたDXの推進
(ⅲ)環境負荷低減に貢献する事業活動の推進
(ⅳ)ガバナンス機能の充実
これらにより、水関連企業、さらに環境関連企業として国内外に貢献し、持続的な発展ができる企業づくりをめざしております。
引き続き、新型コロナウイルス感染症による国内経済への影響に加え、世界的な景気後退、金融資本市場の変動の影響等にも一層留意する必要があり、当社グループを取り巻く事業環境も不透明な状況で推移することが予想されます。当社グループにおいては、日々変化する状況を注視し、これに応じた取り組みに努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場環境の変動
当社グループの事業は、公共事業が占める割合が高いため、国および地方公共団体の予期せぬ政策転換や財政状態の悪化による公共事業予算の削減ならびにコスト縮減や、予算の執行状況により、業績に影響を受ける可能性があります。
(2) 資機材価格の急激な変動
資機材価格が急激に高騰し、それを販売価格に反映させることが困難な場合には、業績に影響を受ける可能性があります。
(3) 退職給付費用及び債務
年金資産の時価の変動や運用利回りの状況、割引率等の退職給付債務算定に用いる前提に変更があった場合には、業績に影響を受ける可能性があります。特に、数理計算上の差異は、発生した連結会計年度に一括費用処理しているため、毎年、業績に影響を与えます。
上記リスクに対して、当社グループの年金資産の運用に関しては安全性を重視しております。また、運用機関による運用実績等を適切にモニタリング・評価を実施すべく、経営企画、財務、人事部門で構成する「前澤グループ企業年金運営委員会」を設置し、四半期ごとに運用機関各社の運用状況を確認しております。
(4) 業績の下期偏重による季節的な変動
当社グループの売上高は、下半期に完成する工事あるいは進捗度合が増す工事の割合が大きいため、上半期と下半期の売上高との間に、著しい相違があります。最近2連結会計年度の上半期及び下半期の実績は、下記のとおりであります。
(5) 自然災害等の大規模災害および感染症等による被害
地震、津波、台風等の自然災害や火災等の事故、通信ネットワークを含む情報システムの停止等および新型コロナウイルスのような感染症が発生し、当社グループの事業活動が停滞または停止するような被害を受けた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済状況は、新型コロナウイルス感染症の影響により個人消費や雇用情勢に弱い動きが続き、依然として厳しい状況にあるなか、設備投資や企業収益等、一部に持ち直しの動きもみられたものの、国内外において感染症影響の収束の見通しは立っておらず先行きの不透明さを抱えての推移となりました。
当社グループを取り巻く事業環境は、公共投資は底堅く推移しているものの、企業間競争の激化や原材料費等の高騰、新型コロナウイルス感染症による営業活動の制限もあり、厳しい環境が続きました。
このような状況のもとで当社グループは、新市場および既存市場における受注の確保、拡大に取り組んでまいりました。その結果、当連結会計年度の業績は、受注高は33,443百万円(前期比4.2%減)となりましたが、売上高は31,810百万円(前期比6.2%増)となりました。
損益につきましては、原材料費等が高騰する中、原価低減に努め、経常利益は3,378百万円(前期比77.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,489百万円(前期比131.5%増)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントの業績を示すと次のとおりであります。
〔環境事業〕
環境事業につきましては、老朽化した施設の更新・再構築等にかかる需要に主眼をおいて、それらにかかる水処理機械設備の販売活動を推し進めました。また、産業廃水処理および有機性廃棄物資源化等の需要に対しソリューション営業を展開し、民需事業の基盤の充実に努めました。
当連結会計年度は、厳しい事業環境の中、受注高は12,991百万円(前期比9.4%減)となりましたが、売上高は11,257百万円(前期比2.6%増)、セグメント利益は465百万円(前期比611百万円の損失)となりました。
〔バルブ事業〕
バルブ事業につきましては、浄水場、配水池、配水管、下水処理場、ポンプ場、農業用水幹線路、揚・排水機場等の整備、更新、耐震化にかかる各種弁・栓・門扉類の需要に対し、幅広く販売活動を展開しました。
当連結会計年度は、厳しい事業環境の中にあっても、受注高は10,299百万円(前期比3.0%増)、売上高は10,280百万円(前期比9.5%増)、セグメント利益は961百万円(前期比29.5%増)となりました。
〔メンテナンス事業〕
メンテナンス事業につきましては、上水道事業、下水道事業、農業用水・河川事業等の各分野における設備・機器のメンテナンスにかかる需要に対し、販売活動を推し進めました。
当連結会計年度は、引き続き施設老朽化に伴う更新・長寿命化のニーズへの対応に取り組み、受注高は10,151百万円(前期比3.9%減)、売上高は10,273百万円(前期比7.3%増)、セグメント利益は1,679百万円(前期比9.4%増)となりました。
イ 資産
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,397百万円増加し、35,767百万円となりました。流動資産は、2,060百万円増加し25,442百万円、固定資産は337百万円増加し10,324百万円となりました。主な増減項目といたしましては、現金及び預金が2,242百万円、電子記録債権が760百万円増加し、受取手形及び売掛金が741百万円減少いたしました。
ロ 負債
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ176百万円増加し、14,971百万円となりました。流動負債は759百万円増加し12,289百万円、固定負債は583百万円減少し2,681百万円となりました。主な増減項目といたしましては、前受金が448百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)が206百万円増加し、支払手形及び買掛金が752百万円、社債(1年内償還予定の社債含む)が244百万円減少いたしました。
ハ 純資産
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,221百万円増加し、20,795百万円となりました。主な増減項目といたしましては、利益剰余金が2,186百万円、その他有価証券評価差額金が234百万円増加いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ2,242百万円増加し、当連結会計年度末には、9,591百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、プラス3,400百万円(前連結会計年度プラス843百万円)となりました。税金等調整前当期純利益3,339百万円、減価償却費541百万円などの資金増加項目が、法人税等の支払額955百万円などの資金減少項目を上回ったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却収入15百万円などがあったものの、有形固定資産の取得による支出566百万円などがあり、マイナス587百万円(前連結会計年度マイナス495百万円)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金による収入800百万円などがあったものの、長期借入金の返済による支出593百万円、社債の償還に伴う支出244百万円、配当金の支払額303百万円などがあり、マイナス570百万円(前連結会計年度マイナス395百万円)となりました。
④ 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格により表示しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、会計上の見積りにおける新型コロナウイルスの感染拡大の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載されているとおりであります。
また、経営成績に影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載されているとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要の主なものは、原材料費、外注費、労務費、販売費及び一般管理費等に係る運転資金と、バルブ類の製造に係る木型・金型の更新、生産設備の更新並びにシステム投資等の設備投資資金であります。また、株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題のひとつと考えており、配当につきましては、中長期的な配当性向の目安を30%としており、当該年度および今後の業績、財務状況等を勘案し、継続的に配当を行いたいと考えております。
当社グループの事業は、公共事業が占める割合が高く、下半期に完成する工事あるいは進捗度合が増す工事の割合が多いため、資金繰りに季節的変動があります。
これらの資金需要に対応し、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保するために、自己資金に加え、必要に応じて金融機関からの短期借入、長期借入を実施することとしています。
(注) イクソム社については、ロイヤリティとして売上高の一定率を支払う契約を含んでおります。
当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1) 環境事業
上水道分野では、重点製品としてMIEXⓇ(帯磁性イオン交換樹脂)による有機物除去システムの販売を推進しております。MIEXⓇ処理システムは水中に溶存する有機物を除去する新しい処理方式です。有機物、色度、トリハロメタン対策などに有効であり、東京都小笠原村父島の扇浦浄水場及び母島の沖村浄水場へ納入して良好な処理が行われております。大規模浄水場への適用に向けたプラント実験及び社内プロジェクトを立上げ、大型物件受注のための準備を行っています。また、平成27年4月より強化された水道水質基準のハロ酢酸類の低減対策として、MIEXⓇを使用した前処理設備を兵庫県佐用町奥海浄水場に納入し、安定した水質が確保されていることを追跡調査でも確認しています。
独自技術であるPTFE製膜ろ過は、浸漬型、ケーシング収納型を開発し、上水・下水・産業排水向けなどに実績を積み重ねており、今後もMIEXⓇ処理システムと同様に重点製品として販売を推進します。
また、近年話題となっているAI技術の浄水場への適用として、昨年度から継続して処理工程への画像診断、水質予測への応用を中央大学、北海道科学大学との共同研究による開発や神奈川県鳥屋浄水場で浄水場の実データをもとに前塩素注入率を予測するAIモデル開発を進めています。
下水道分野では、高知大学、日本下水道事業団、前澤工業の共同研究にて開発した「OD法における二点DO制御システム」は平成26年度に地方共同法人日本下水道事業団の新技術Ⅰ類に登録され、平成27年度に、国土交通大臣賞<循環のみち下水道賞>のグランプリ、及び公益社団法人日本水環境学会の技術賞を受賞しました「OD法における二点DO制御システム」は、5号機として笠間市浄化センターともべ(令和2年2月)が完成し、糸魚川市青海浄化センターの増設工事や宮崎県、岡山県での更新工事も進行中です。また、二点DO制御技術を応用した「高効率固液分離技術と二点DO制御を用いた省エネ型水処理技術の実証事業」(国土交通省B-DASHプロジェクト-国土交通省より平成29年3月にガイドラインとして発刊)は、省エネ型高度処理として共同研究を行った(株)石垣とともに販売戦略を進行中です。
平成29年3月に公益財団法人日本下水道新技術機構の建設技術審査証明を取得し、販売契約を結んでいるアトラスコプコ(株)社製のZSブロワは、平成30年度に受注(延岡市一ヶ岡下水処理場)に引き続き、佐賀県で新たにブロワを受注しました。更に埼玉県との共同研究として圧力が高い場合でも運転可能であるZSブロワの特徴を活かした深槽曝気槽のプラント実験を埼玉県新河岸水循環センターで行い、高い酸素効率と空気量の削減が可能なシステムであることが確認されました。
新たな膜分離活性汚泥法(MBR)として「仕切板挿入型MBR(B-MBR)」を開発し、令和元年7月より国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の戦略的省エネルギー技術革新プログラムの助成事業として埼玉県中川水循環センターに大型実験設備の実験を開始しました。本技術は従来のMBRに比較し、消費電力量が約50%削減可能な省エネ型水処理技術として北海道大学及び中央大学との共同研究で実施に向けた開発を進めています。
当社の得意とする沈砂池設備では省エネルギー化や高性能化を目的に、揚砂装置、除塵機、沈砂分離機(エスカルゴ)、し渣分離脱水機等の開発も実施しております。
水質試験分野では、分析センターの水質分析精度管理を向上させることによって、高い評価を受けております。水道法第20条に基づく登録水質検査機関として、また、クリプトスポリジウムの検査機関として高い信頼を得ております。また、環境計量証明事業者として、下水や工場排水等の分析業務も行っております。水質検査は、水処理システムの運転・維持管理のための評価判定指標のひとつとして重要な位置づけであり、今後も精度管理を徹底し、新たな分析手法・項目に挑戦してまいります。
このセグメントの研究開発費は
(2) バルブ事業
バルブ事業では、引続き「持続可能な上下水道」および「次世代水道・新世代下水道」をキーワードにバルブ・ゲート関連の開発を行っております。
水道事業における課題解決策の一つにCPS(Cyber Physical System)/IoT(Internet of things)技術があります。この技術に対応した製品を目標として、水道管路内の情報を収集し、CPSに連系できる製品の開発を継続しており、フィールド試験も予定しております。
この他に環境負荷低減に向けたコア技術の確立と顧客ニーズを捉えた製品開発に取り組んでおります。材料の開発においても、製品の耐用年数を向上させる新素材について大学との共同研究を継続しております。
このセグメントの研究開発費は